JP2005342587A - 造水方法および造水装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
原水の温度変化などに拘わることなく、透過水のホウ素濃度を所定範囲内に制御することができ、かつ、造水コストを抑えながら運転できる造水方法を提供する。
【解決手段】
ホウ素を含んだ原水から造水する方法であって、第1段目の逆浸透膜モジュールで逆浸透分離して濃縮水と透過水とを得た後、前記透過水を第2段目の逆浸透膜モジュールで逆浸透分離し、第2段目の逆浸透膜モジュールの後段にホウ素吸着剤を備えた造水装置において、ホウ素濃度検出器により検出された生産水のホウ素濃度に応じて、所定の工程を順番に稼働させる。
【選択図】図3

Description

本発明は、逆浸透膜モジュールおよびその透過水中のホウ素を除去する手段を備えた造水装置およびそれらを用いた造水方法に関する。
海水・かん水からの淡水の生成や河川・湖沼水からの上水の生成等には、たとえば逆浸透膜モジュールを備えた造水装置が用いられる。この種の造水装置は、基本的には図1に示すように殺菌や濁質成分除去等の前処理を施した原水(海水等)を高圧ポンプP1を介して所定の圧力(例えば6.0MPa程度)に高めて逆浸透膜モジュール1に供給し、この逆浸透膜モジュール2にて逆浸透作用により透過した透過水(淡水)と濃縮水とを得るように構成される。この透過水は、国内および海外における水質基準値あるいは指針値をほぼ満たす水質を有しているが、唯一ホウ素については、問題が残されている。
ホウ素は海水中に、およそ4〜6.5mg/L含まれているが、現在の海水淡水化用逆浸透膜のホウ素除去率は90%程度であるため、運転条件等にもよるが透過水中には1.0mg/L程度のホウ素が残留することになる。
このため、水中に存在するホウ素を除去する方法として以下のような技術が開示されている。特許文献1には、透過水中に残留したホウ素を除去することを目的として、逆浸透膜モジュールの後段に透過水中のホウ素を除去するためのpH調整手段と2段目逆浸透膜モジュールを設ける水処理方法が提案されている。ホウ素は一般に、中性付近の水中では主に非解離状態のB(OH)3として存在すると考えられており、この状態では逆浸透膜を自由に透過するが、この水をアルカリ性、例えばpH9以上にすると解離状態のB(OH)4 -となることで逆浸透膜を透過しなくなり、濃縮水側にホウ素が濃縮されることになる。
また、特許文献2には、逆浸透膜モジュールの後段に、透過水中のホウ素を除去するためのイオン交換樹脂層を設ける水処理方法が提案されている。
さらに、非特許文献1には、逆浸透膜モジュールの後段に、透過水中のホウ素を除去するために、2段目、3段目逆浸透膜モジュールやホウ素を除去する吸着剤を組み合わせた水処理方法が提案されている。
しかしながら、原水となる海水などの水温は年間を通じて一定であるわけではなく、季節に応じて変化する。例えば、国内の場合には、約5〜30℃といった範囲で変化し、また、海外の場合には、さらにその範囲が広がり、0〜40℃といった場合も想定される。
一方、逆浸透膜により原水からホウ素を除去する場合、逆浸透膜のホウ素に対する除去性能は、温度依存性があることが知られている。例えば、25℃でホウ素除去率が90%であった場合、40℃では85%程度となり、40℃の場合の逆浸透膜の透過水中のホウ素濃度が1.5〜2mg/L程度となることがある。
したがって、逆浸透膜の温度依存性を考慮すると、上記文献における水処理方法は、年間を通じて透過水中のホウ素濃度が変化することになることが考えられ、また、ホウ素濃度を一定に保てたとしても、原水から透過水を得る回収率が低くなったり、ホウ素吸着剤に逆浸透膜の透過水を全量通水したりと、造水コストが高くなり、経済性の点から問題があった。
特開平9−10766号公報(請求項1、[0009]段落など) 特開平10−15356号公報(請求項1、[0013]段落など) マーカス・ブッシュ(Markus Busch)著、「ボロン・リムーバル・イン・シー・ウォーター・デザリネーション(Boron Removal In Sea Water Desalination)」、第39、インターナショナル・デザリネーション・アソシエーション(IDA),2003年発行
本発明は、上記従来の問題点を解決し、逆浸透分離した透過水から効率的にホウ素を除去する経済的な造水方法および造水装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明は、次の(1)(2)の構成を特徴とするものである。
(1)ホウ素を含んだ原水から造水する方法であって、第1段目の逆浸透膜モジュールで逆浸透分離して濃縮水と透過水とを得た後、前記透過水を第2段目の逆浸透膜モジュールで逆浸透分離し、第2段目の逆浸透膜モジュールの後段にホウ素吸着剤を備えた造水装置において、ホウ素濃度検出器により検出された生産水のホウ素濃度に応じて、以下の(A)〜(C)の工程を順番に稼働させることを特徴とする造水方法。
(A)第1段目の逆浸透膜モジュールで逆浸透分離して濃縮水と透過水とを得る。
(B)第1段目の逆浸透膜モジュールの透過水に、アルカリ添加および/または少なくとも一部を、第2段目の逆浸透膜モジュールで逆浸透分離する。
(C)前記第2段目の逆浸透膜モジュールの後段のホウ素吸着剤でホウ素を除去する。 (2)ホウ素を含んだ原水から造水する装置であって、第1段目の逆浸透膜モジュールで逆浸透分離して濃縮水と透過水とを得た後、前記透過水を第2段目の逆浸透膜モジュールで逆浸透分離し、第2段目の逆浸透膜モジュールの後段にホウ素吸着剤を備えた造水装置において、ホウ素濃度検出器により検出された生産水のホウ素濃度に応じて、昇圧手段、アルカリ注入手段、第2段目の逆浸透膜モジュールの供給水のバイパス手段、第2段目の逆浸透膜モジュールの濃縮水量調整手段を制御し、以下の(A)〜(C)の工程を順番に稼働させ、生産水のホウ素濃度を一定の範囲に制御する制御器を備えていることを特徴とする造水装置。
(A)第1段目の逆浸透膜モジュールで逆浸透分離して濃縮水と透過水とを得る。
(B)第1段目の逆浸透膜モジュールの透過水に、アルカリ添加および/または少なくとも一部を、第2段目の逆浸透膜モジュールで逆浸透分離する。
(C)前記第2段目の逆浸透膜モジュールの後段のホウ素吸着剤でホウ素を除去する。
本発明によれば、得られる透過水のホウ素濃度が所定範囲内となるように、第1段目の逆浸透膜モジュール、第2段目の逆浸透膜モジュール、pH調整、第2段目の逆浸透膜モジュールの濃縮水中のホウ素を除去するホウ素吸着剤に順次、通水または添加することで、原水の水温が激しく変化した場合においても、最適な水処理方法を選択しながら運転することができ、年間を通じて造水コストを抑えることができ、ひいては経済性を向上できる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図2は、本発明の一実施形態を示す造水装置の概略フロー図である。図2において、1は第1段目の逆浸透膜モジュール、2は第2段目の逆浸透膜モジュール、3はホウ素吸着剤、4は第1段目の透過水のpHを調整するためのアルカリ注入手段、5はホウ素濃度検出器、6は制御器である。本発明においては、このような造水装置において、殺菌や濁質成分除去等の前処理が施された原水(海水など)は高圧ポンプ(昇圧手段)P1で昇圧されて逆浸透膜モジュール1に供給され、透過水と濃縮水に分離される。逆浸透膜モジュール1の後段には、逆浸透膜モジュール1の透過水のpHを調整するためのアルカリ注入手段4と第1段目の逆浸透膜モジュール1の透過水を昇圧して第2段目の逆浸透膜モジュール2に供給する加圧ポンプ(昇圧手段)P2が設けられており、原水の水温が高くなり、第1段目の逆浸透膜モジュールの透過水中に含まれているホウ素濃度が所定範囲を超えた場合には、加圧ポンプ(昇圧手段)P2で加圧して第2段目の逆浸透膜モジュール2へ供給される。
ここで、ホウ素濃度の所定範囲とは、地域や顧客の要求によって異なるが、例えば、海外の場合にはWHOの水質ガイドライン値である0.5mg/Lが、国内の場合には水質基準である1.0mg/Lが、顧客の要求の場合には特に海外においては0.3,0.4mg/L程度が要求される場合がある。本発明は、かかる要求を満たしつつも、年間を通じて造水コストを抑え、経済性向上に大きく寄与するものである。
最終的に得られた生産水(第2段目の逆浸透膜モジュールの後段のホウ素吸着剤でホウ素を除去された水と第2段目の逆浸透膜モジュール2の透過水との混合水)のホウ素濃度は、検出器5で検出され、制御器へ信号が送られ、ホウ素濃度が所定範囲内となるように各部、すなわち、高圧ポンプ(昇圧手段)、アルカリ注入手段、第2段目の逆浸透膜モジュールのバイパスバルブ(第2段目の逆浸透膜モジュールの濃縮水量調整手段)などが制御される。ここで、第2段目の逆浸透膜モジュールの後段のホウ素吸着剤とは、第2段目の逆浸透膜モジュールの濃縮水もしくは透過水側に設置されたホウ素吸着剤を意味する。造水コストを低減させる場合には、前記ホウ素吸着剤を第2段目の逆浸透膜モジュールの濃縮水側に設置(図2)することが好ましく、一方、ホウ素濃度をより低減させる場合には、前記ホウ素吸着剤を第2段目の逆浸透膜モジュールの透過水側に設置(図示せず)することが好ましい。
そして、さらに水温が高くなり、第2段目の逆浸透膜モジュール2の透過水のホウ素濃度が所定範囲を超える場合には、第2段目の逆浸透膜モジュール2の供給水のpHを9以上にして、第2段目の逆浸透膜モジュール2のホウ素除去率を向上させる。さらに水温が高くなり、pHを上昇させて第2段目の逆浸透膜モジュール2でホウ素を除去しても、その透過水中のホウ素濃度が所定範囲を超えてしまう場合には、第2段目の逆浸透膜モジュール2の濃縮水をホウ素吸着剤で処理し、その透過水を第2段目の逆浸透膜モジュール2の透過水と混合させて、ホウ素濃度を低減させる。
本実施形態において、第1段目の逆浸透膜モジュールは、被分離混合液中の一部の成分、例えば溶媒を透過させ他の成分を透過させない、実質的に逆浸透分離が可能な半透性の膜であって、その素材には、酢酸セルロース系ポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ビニルポリマーなどの高分子素材がよく使用されている。また、その膜構造は膜の少なくとも片面に緻密層を持ち、緻密層から膜内部あるいはもう片方の面に向けて徐々に大きな孔径の微細孔を有する非対称膜、非対称膜の緻密層の上に別の素材で形成された非常に薄い分離機能層を有する複合膜がある。膜形態には中空糸、平膜があるが、逆浸透膜の素材、膜構造や膜形態によらず利用することができいずれも効果がある。代表的な逆浸透膜としては、例えば酢酸セルロース系やポリアミド系の非対称膜およびポリアミド系、ポリ尿素系の分離機能層を有する複合膜などが挙げられる。これらの中でも、酢酸セルロース系の非対称膜、ポリアミド系の複合膜に本発明の装置及び方法が有効である。
第1段目の逆浸透膜モジュールの使用圧力は、特に限定されるものではないが、好ましくは5MPa以上、さらに好ましくは8MPa以上で運転されるのが高い回収率を得るためにも好ましい。したがって、ここで使用される逆浸透膜は、海水淡水化や有価物回収などの高圧力条件で使用される膜が好ましく、より緻密な分離機能層を有し、高い耐圧性を有する膜であることが好ましい。膜の有すべき特性は、3.5%の食塩水、5MPa、25℃、pH6.5で測定した時の塩排除率が90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは99%以上の分離性能を有する膜である。排除率が高いほど透過水中の塩素イオンの濃度が低くなるので好ましい。塩排除率が90%未満では透過水中の塩素イオンの量が多くなり透過水をそのまま飲料水や工業用水として使用することが困難である。さらに、3.5%の食塩水、5MPa、25℃、pH6.5で測定した時の透過流束が1.5m3/m2・日以下、より好ましくは0.5m3/m2・日以上、1.0m3/m2・日以下であることがよい。1.5m3/m2・日を超える場合、膜の塩排除性能や耐圧性の低下を招き、また0.5m3/m2・日未満では大きな膜面積が必要になり、膜のコスト高を招くことになり、高い回収率を得ることが困難となる。
また、本発明において、第2の逆浸透膜モジュールには、いわゆる低圧逆浸透膜が使用できる。低圧逆浸透膜とは、被分離混合液中の一部の成分、例えば溶媒を透過させ他の成分を透過させない、実質的に逆浸透膜分離が可能な半透性の膜であって、4.2MPaまでの耐圧性を有し、その実質的な使用圧力が2MPa以下で、かん水淡水化、超純水製造などで使用される塩濃度の低い溶液を分離対象とした逆浸透膜である。その素材には、酢酸セルロース系ポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ビニルポリマーなどの高分子素材がよく使用されている。また、その膜構造は膜の少なくとも片面に緻密層を持ち、緻密層から膜内部あるいはもう片方の面に向けて徐々に大きな孔径の微細孔を有する非対称膜、非対称膜の緻密層の上に別の素材で形成された非常に薄い分離機能層を有する複合膜がある。膜形態には中空糸、平膜があるが、逆浸透膜の素材、膜構造や膜形態によらず利用することができいずれも効果がある。代表的な逆浸透膜としては、例えば酢酸セルロース系やポリアミド系の非対称膜およびポリアミド系、ポリ尿素系の分離機能層を有する複合膜などが挙げられる。これらの中でも、酢酸セルロース系の非対称膜、ポリアミド系の複合膜に本発明の装置及び方法が有効である。
本発明において、低圧逆浸透膜が有すべき特性は、1500ppmの食塩水、1.5MPa、25℃、pH6.5で測定した時の透過流束が0.8m3/m2・日以上、好ましくは1.0m3/m2・日以上であることがよい。さらに、1500ppmの食塩水、1.5MPa、25℃、pH6.5で測定した時の塩排除率が90%以上、好ましくは98%以上で、かつ、1000ppmの硫酸マグネシウム水溶液、1.5MPa、25℃、pH6.5で測定した時の塩排除率が90%以上、好ましくは98%以上の分離性能を有することが好ましい。さらに好ましくは、上記した排除性能を有し、かつ、500ppmの食塩水を0.5MPa、25℃、pH6.5で測定した時の透過流束が0.5m3/m2・日以上を有する、実質的に10atm以下の圧力で使用される膜がより好ましい。
逆浸透膜エレメントは上記逆浸透膜を実際に使用するために形態化したものであり平膜は、スパイラル、チューブラー、プレート・アンド・フレームのエレメントに組み込んで、また中空糸は束ねた上でエレメントに組み込んで使用することができるが、本発明はこれらの逆浸透膜エレメントの形態に左右されるものではない。
また、逆浸透膜モジュールユニットは上述の逆浸透膜エレメントを1〜数本圧力容器の中に納めたモジュールを並列に配置したもので、その組合せ、本数、配列は目的に応じて任意に行うことができる。
原水の水温が上昇し、第1段目の逆浸透膜モジュール1の透過水のホウ素濃度が所定範囲を超えた場合には、その透過水を第2段目の逆浸透膜モジュール2に供給し、透過水中のホウ素濃度を低減させる。このとき、第1段目の逆浸透膜モジュール1が段階的なモジュール構成となっている場合(1番目のモジュールの濃縮水をさらに2番目のモジュールに供給させるような場合)には、透過水中のホウ素濃度が高い2番目以降のモジュールから出てくる透過水のみを第2段目の逆浸透膜モジュール2に供給してホウ素を低減させてもよい。
さらに原水の水温が上昇し、第2段目の逆浸透膜モジュール2の透過水が所定範囲を超えた場合には、第1段目の逆浸透膜モジュール1の透過水にアルカリを注入してpHを高くすることにより第2段目の逆浸透膜モジュール2のホウ素の除去率を高くする。
第1段目の逆浸透膜モジュール1の透過水のpHを調整する方法には特に制限はなく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ水溶液を添加する方法などがある。添加方法としては、攪拌機つきのpH調整槽を設けたり、通水ラインにアルカリ水溶液注入口を設け、その下流側にスタティックミキサーなどを設置することなどができる。
第1段目の逆浸透膜モジュール1の透過水のpHは、ホウ酸の解離定数pKa9.2(25℃)以上に調整し、より好ましくは10以上、12以下に調整する。pHが9.2未満ではホウ素の除去率が低く、pHが12以上では逆浸透膜が化学劣化する可能性があるためである。
アルカリ水溶液の添加量は、第2段目の逆浸透膜モジュール2の透過水のホウ素濃度が所定範囲を超えないように調整されればよい。
また、アルカリ水溶液の注入と並行して、スケール防止剤を添加してもよい。pHが11以上となった場合には、第2段目の逆浸透膜モジュール2にマグネシウムスケールが発生する可能性があるからである。
さらに原水の水温が上昇し、第2段目の逆浸透膜モジュール2の透過水のホウ素濃度が所定範囲を超えた場合には、第2段目の逆浸透膜モジュール2の濃縮水をホウ素吸着剤で処理することができる。ホウ素吸着剤で処理された処理水は、第2段目の逆浸透膜モジュール2の透過水と混合されることにより、第2段目の逆浸透膜モジュール2の透過水のホウ素濃度が低減される。なお、ホウ素吸着剤で処理する濃縮水の量は、第2段目の逆浸透膜モジュール2の透過水のホウ素濃度によって決めればよく、第2段目の逆浸透膜モジュール2の透過水のホウ素濃度が高い場合には、ホウ素吸着剤で処理する量を多くとればよい。
ホウ素吸着剤は、ホウ素に対して選択性の高い樹脂、ホウ素を選択的に吸着するイオン交換樹脂であればよく、例えば、ホウ素に対して選択性の高いことが知られている多価アルコール残基を官能基とするイオン交換樹脂が好ましく用いられる。
ホウ素に対して選択性の高い多価アルコール残基としては、例えば、グルカミンのN−残基、N−メチルグルカミンのN−残基、ジグルカミンのN−残基などが挙げられる。このような多価アルコール残基を官能基とするイオン交換樹脂は、例えば、スチレン/ジビニルベンゼン共重合体のような基体樹脂に、クロロメチル基のようなアミン反応性基を導入し、これに、グルカミン、N−メチルグルカミン、ジグルカミンのようなアミノ基含有多価アルコールを反応させることにより、得ることができる。ホウ素に対して選択性の高いイオン交換樹脂として市販されているものには、スチレン/ジビニルベンゼン共重合体を樹脂基体とし、N−メチルグルカミンのN−残基を官能基として有する、“デュオライトES371N”(商品名、ローム・アンド・ハース社製)、“アンバーライトIRA743”(商品名、ローム・アンド・ハース社製)、“ダイヤイオンCRB02”(商品名、三菱化学社製)などがある。
ホウ素吸着剤が、適当な量のホウ素、例えば、ほぼ飽和量のホウ素を吸着したら、この樹脂を溶離剤と接触させて、樹脂に吸着されたホウ素を溶離する。この際の溶離剤としては、通常、酸性水溶液、具体的には、硫酸、塩酸、硝酸、蟻酸、酢酸のような酸性化合物の水溶液が用いられる。
なお、本発明においては、ホウ素吸着剤は、特に第2段目の逆浸透膜モジュール2の濃縮水を処理する方法に限られるものではない。ホウ素吸着剤は、第1段目の逆浸透膜の透過水の一部を処理する方法も考えられる。第2段目の逆浸透膜モジュール2の透過水のホウ素濃度が所定範囲を超えた場合に、第1段目の逆浸透膜の透過水の一部をホウ素吸着剤で処理した処理水と第2段目の逆浸透膜モジュール2の透過水とを混合させて所定範囲にできる。
これらの組合せ、流量調整などは、得られる透過水のホウ素濃度に応じて行うことができる。
原水の水温が低下していき、得られる透過水のホウ素濃度が低下していく場合には、上記の逆の操作を行えばよく、得られる透過水のホウ素濃度が所定範囲内となるように、ホウ素吸着剤で処理する第2段目の逆浸透膜モジュール2の濃縮水の量を少なくしていき、さらには、ホウ素吸着剤で処理することを停止する。この操作により、吸着剤の再生で用いる酸・アルカリなどの薬品コストを低減させ、やがてゼロにすることができる。
原水の水温がさらに低下した場合には、第2段目の逆浸透膜モジュール2に注入するアルカリを徐々に減らしていき、やがてゼロにする。この操作により、薬品コストを低減させ、やがて、ゼロにすることができる。
さらに原水の水温が低下した場合には、バイパスをさせて、第2段目の逆浸透膜モジュールへの供給量を低減させていき、やがて、ゼロにすることがでる。この方法により、第2段目の逆浸透膜の加圧ポンプに要する電力を低減でき、また、逆浸透膜モジュールの耐久年数を増加させることができる。
<実施例1>
図2に示す造水装置を用いた場合、原水の水温が大きく変化する地域における年間を通じて造水コストが最低となる最適な水処理方法をシュミレーションした結果を図3に示す。
原水の水温は、年間を通じて10〜40℃の範囲で大きく変化する場合を想定した。原水は4.5%海水、ホウ素濃度は6mg/L、10万m3/日規模のプラントを想定した。なお、電力費は5円/kwhとした。なお、ホウ素濃度の所定範囲をWHOの水質ガイドライン値である0.5mg/Lとした。
その結果、図3に示すように、原水の水温が10〜15℃の間では、第1段目の逆浸透膜モジュールだけで運転するのが最も造水コストが安く、15〜32℃の間では、第2段目の逆浸透膜モジュールで第1段目の逆浸透膜モジュールの透過水を逆浸透分離し、また水温の上昇に伴ってpHを調整しながら運転するのが最も造水コストが安く、さらに、32〜38℃の間では、第2段目の逆浸透膜モジュールの濃縮水をホウ素吸着剤で処理して、その処理水を第2段目の逆浸透膜モジュールの透過水と混合するのが最も造水コストが安いことがわかった。
本発明は、たとえば海水・かん水からの淡水の生成や河川・湖沼水からの上水の生成等に用いられる逆浸透膜モジュールを備えた造水装置などの水処理分野などに用いられる造水に好適に利用される。
従来の造水装置の概略フロー図である。 本発明の一実施形態を示す造水装置を示す概略フロー図である。 本発明の一実施例である。
符号の説明
1:第1段目の逆浸透膜モジュール
2:第2段目の逆浸透膜モジュール
3:ホウ素吸着剤
4:アルカリ注入手段
5:ホウ素濃度検出器
6:制御器
P1:高圧ポンプ
P2:加圧ポンプ

Claims (2)

  1. ホウ素を含んだ原水から造水する方法であって、第1段目の逆浸透膜モジュールで逆浸透分離して濃縮水と透過水とを得た後、前記透過水を第2段目の逆浸透膜モジュールで逆浸透分離し、第2段目の逆浸透膜モジュールの後段にホウ素吸着剤を備えた造水装置において、ホウ素濃度検出器により検出された生産水のホウ素濃度に応じて、以下の(A)〜(C)の工程を順番に稼働させることを特徴とする造水方法。
    (A)第1段目の逆浸透膜モジュールで逆浸透分離して濃縮水と透過水とを得る。
    (B)第1段目の逆浸透膜モジュールの透過水に、アルカリ添加および/または少なくとも一部を、第2段目の逆浸透膜モジュールで逆浸透分離する。
    (C)前記第2段目の逆浸透膜モジュールの後段のホウ素吸着剤でホウ素を除去する。
  2. ホウ素を含んだ原水から造水する装置であって、第1段目の逆浸透膜モジュールで逆浸透分離して濃縮水と透過水とを得た後、前記透過水を第2段目の逆浸透膜モジュールで逆浸透分離し、第2段目の逆浸透膜モジュールの後段にホウ素吸着剤を備えた造水装置において、ホウ素濃度検出器により検出された生産水のホウ素濃度に応じて、昇圧手段、アルカリ注入手段、第2段目の逆浸透膜モジュールの供給水のバイパス手段、第2段目の逆浸透膜モジュールの濃縮水量調整手段を制御し、以下の(A)〜(C)の工程を順番に稼働させ、生産水のホウ素濃度を一定の範囲に制御する制御器を備えていることを特徴とする造水装置。
    (A)第1段目の逆浸透膜モジュールで逆浸透分離して濃縮水と透過水とを得る。
    (B)第1段目の逆浸透膜モジュールの透過水に、アルカリ添加および/または少なくとも一部を、第2段目の逆浸透膜モジュールで逆浸透分離する。
    (C)前記第2段目の逆浸透膜モジュールの後段のホウ素吸着剤でホウ素を除去する。
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