JP5005024B2 - Ge吸着剤 - Google Patents

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Description

本発明はGe吸着剤、特に68Ge−68Gaジェネレータシステム用Ge吸着剤に関する。
医療分野では、解剖学的形態画像を提供するCTと並んで、放射線を利用しないMRIが急速に普及してきた。MRIの画像情報は、本質的には、生体の約70%をしめる水の存在状態の違いを写しだした形態画像に他ならない。それに対し、Positron Emission Tomography(PET)は、ポジトロン(β)放出放射性同位元素によって標識された生理活性物質や薬剤を投与することにより、臓器や組織の分子レベルでの機能画像を提供できるという点で、他の画像診断技術の追随を許しておらず、脳科学等の生命科学分野の発展にも大きく寄与してきた。それだけに、画像診断用薬剤の重要性は極めて大きく、なかでも、18Fで標識されたデオキシグルコース(18F−FDG)は、生体の糖代謝状況を可視化するという画期的な薬剤であり、脳内の病変ばかりでなく、代謝が活発な癌の早期診断に利用できるため、その利用が切望されていた。2002年4月に18F−FDGが保健適用されて以来、2000年時点でほんの25施設であったPET施設が短期間で一挙に142施設に増加したことは、そのことを端的に示している。
ただ、一般に11C(半減期:約20分)、13N(半減期:約10分)、15O(半減期:約2分)等のポジトロン(β)放出核種は極めて短寿命であるため、PET撮像装置の他にサイクロトロンを設置した大型施設の併設が必要となる。そのため、優れた特性が評価されているにもかかわらず、臨床応用や基礎研究等への広範な利用が制約を受けてきたのも実情である。
そこで、本発明者らは、PETの持つこれらの特性をさらに多方面で活用するために、サイクロトロンを必要としないβ放出核種68Ga(半減期68分)の製法である68Ge−68Gaジェネレータの構築が、最有力なPET支援技術の一つであると認識した。そして、68Ge−68Gaジェネレータシステムの成否を左右する、68Ge吸着樹脂(Ge吸着剤)の開発を行ってきた。
ジェネレータによる放射性核種の製造は、長半減期親核種−短半減期娘核種の組み合わせで放射平衡が成立する場合に可能となる。本発明において対象とする68Ge−68Gaジェネレータでは、半減期271日の長寿命の核種で放射平衡の関係にある。従って、68Geのみを担持した吸着剤から、生成した68Gaのみを溶離できれば、簡単な操作でβ放出核種を製造するための、いわゆるジェネレータが完成する。これまでに68Ge−68Gaジェネレータシステムの開発が試みられてきた。従来は、非特許文献1、2に開示されるように、いずれの場合も、無機吸着剤が使用されていた。
Malyshev, K. V.; Smirnov, V. V., "Gallium-68 Yield from Hydrated Zirconium Oxide-based Generators," Sov. Radiochem. 17, 137 (1975) Ambe, S., "Germanium-68-gallium-68 Generator with Alpha-ferric Oxide Support," AppL Radiat. Isot. 39, 49 (1988)
しかし、本発明者らが調査したところ、無機吸着剤は、68Geに対する選択性に乏しく、吸着効率も低かった。
かかる事情から、本発明が解決しようとする課題は、68Geに対する選択性及び吸着効率が改善された、特に68Ge−68Gaジェネレータシステム用として有用なGe吸着剤を提供することにある。
さらに、68Geに対する選択性及び吸着効率が改善され、かつ、十分に高いGaの溶離効率が得られる、68Ge−68Gaジェネレータシステム用Ge吸着剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究したところ、グルカミン基を有する有機合成樹脂が上記の目的に合致する性能を持つことを見出した。Geは、ホウ酸と同様に、ゲルマニウム酸とグルカミン基との間での脱水縮合反応により樹脂に吸着されると考えられる。一方、グルカミン基は、68Geの崩壊によって生成される68Gaに対しほとんど親和性を示さないため、理論的には、68Geと68Gaの完全分離が可能となる。実際に、三菱化学社製のN−メチルグルカミンが導入されたホウ酸吸着樹脂(DIAION(登録商標) CRB−02)上に68Geを吸着させ、68Geとそれから生成する68Gaとの分離を試みたところ、中性溶液で、68Geと68Gaの混合物から68Gaを分離溶出することが可能であった。そしてさらに研究を進めた結果、グリシジルメタクリレートとエチレングリコールジメタクリレートとからなる共重合体(PGMA−EG)に、N−メチルグルカミンを導入したポリマー(PGMA−EG−MG)がより高い効率で68Gaを溶離し得ることを見出した。
本発明は次のとおりである。
(1)グルカミン基を有する有機合成樹脂からなる、68Ge−68Gaジェネレータシステム用Ge吸着剤。
(2)グルカミン基を有する有機合成樹脂が、グリシジルメタクリレート−エチレングリコールジメタクリレート共重合体にN−メチルグルカミンを導入してなるポリマーである、前記(1)記載のGe吸着剤。
(3)上記ポリマーが0.2〜1.0mmol/gの窒素原子を含む前記(2)記載のGe吸着剤。
(4)上記共重合体が、1molのグリシジルメタクリレートに対して0.3〜0.7molのエチレングリコールジメタクリレートを共重合させて得られるものである前記(2)又は(3)記載のGe吸着剤。
(5)グルカミン基を有する有機合成樹脂が、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体にN−メチルグルカミンを導入したポリマーである、前記(1)記載のGe吸着剤。
(6)グルカミン基を有する有機合成樹脂に68Geと68Gaを含む水溶液を接触させた後、弱酸で処理して68Gaを溶出させる方法。
(7)グルカミン基を有する有機合成樹脂が、グリシジルメタクリレート−エチレングリコールジメタクリレート共重合体にN−メチルグルカミンを導入してなるポリマーである、前記(6)記載の方法。
(8)上記ポリマーが0.2〜1.0mmol/gの窒素原子を含む前記(7)記載の方法。
(9)上記共重合体が、1molのグリシジルメタクリレートに対して0.3〜0.7molのエチレングリコールジメタクリレートを共重合させて得られるものである前記(7)又は(8)記載の方法。
(10)グルカミン基を有する有機合成樹脂が、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体にN−メチルグルカミンを導入したポリマーである、前記(6)記載の方法。
(11)弱酸の処理が、クエン酸ナトリウム水溶液、リン酸ナトリウム水溶液、またはリン酸緩衝液をグルカミン基を有する有機合成樹脂に付す処理である、前記(6)〜(10)のいずれかに記載の方法。
(12)グリシジルメタクリレート−エチレングリコールジメタクリレート共重合体にN−メチルグルカミンを導入してなるポリマーからなる、Ge吸着剤。
本発明のGe吸着剤は、Geをよく吸着するとともにGaを脱離させることが容易であるから、68Geから生成した68Gaを、高い効率で回収することが可能であり、68Ge−68Gaジェネレータシステム用の優れた吸着剤になり得る。特に、PGMA−EGは、官能基の導入および68Ge吸着と68Gaの脱着が容易となることを期待し、比表面積、親水性の増大を目指して、本発明者らが設計したものである。通常、高橋架け度の高分子に親水性の官能基を導入するのは容易でないが、本発明で扱うPGMA−EGには、高い効率で、グルカミン基が導入できた。本発明の吸着剤は、親水性高分子基材を用いているため、水に馴染みやすく、吸着速度、脱着速度ともに迅速であることが期待される。
本発明の吸着剤を用いた68Ge−68Gaジェネレータシステムを用いて68Ga標識を行うための具体的な実施態様の模式図である。 Gaの脱着率の検討のための評価装置の模式図である。 PGMA−EG−MGへのGeの吸着速度を示す。 バッチ法による振とう時間と68Geの吸着率との関係を示す。 PGMA−EG−MG、CRB−02の吸着剤を用いて68Gaを溶離したときの溶離率を示す。
符号の説明
1 溶離液
2 ポンプ
3 カラム
11、12 溶離液
20 カラム
30 68Ga錯体
40 配位子交換
50 68Ga標識放射性医薬品
グリシジルメタクリレート−エチレングリコールジメタクリレート共重合体(PGMA−EG)は、グリシジルメタクリレート(GMA)およびエチレングリコールジメタクリレート(EG)をモノマーとする共重合体である。共重合においては、両モノマーの炭素−炭素二重結合の位置で付加重合が生じて共重合体が得られる。
共重合体を得るために用いるGMAとEGとの比率については、GMA1molに対して、EGは好ましくは0.1〜1.0 molであり、より好ましくは0.3〜0.7 molである。EGが多いと共重合体中に橋架けが多くなるために機械的強度が増すという利点があり、一方、GMAが多いと後述するN−メチルグルカミンをより多く導入できるために最終的に得られる吸着剤のGe吸着容量が増すという利点がある。GMAに対するEGの比率が上記範囲であれば、上述の利点が高いレベルで両立し得る。なお、実施例1〜6に記載するような付加重合反応によれば、使用する両モノマーの添加量の比率が、そのまま、得られる共重合体における両成分の比率になると考えられる。
共重合体の製造方法は特に限定はなく、例えば、実施例に挙げるような、GMAおよびEGの各モノマーを重合開始剤の存在下で加熱する懸濁重合が挙げられる。
懸濁重合は、適切な分散溶媒にGMA、EG、重合開始剤と必要に応じてその他の添加剤を加えて、加熱することによって重合反応物を得る方法である。
懸濁重合を行う場合の分散溶媒は、特に限定はなく、例えば、塩が溶解した水溶液が挙げられる。塩としては、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、亜硝酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどが挙げられる。分散溶媒には、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、プルラン、ポリビニルピロリドンなどがさらに溶解していてもよい。
重合開始剤としては、反応系においてフリーラジカルを発生し得る化合物が好適であり、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス酪酸ジメチル、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、過酸化ベンゾイルなどが例示される。
本発明者らの新知見によれば、懸濁共重合の分散溶媒にメチルイソブチルケトン(MIBK)を共存させることが好ましい。この場合、MIBKは多孔化剤として作用して、得られる共重合体の比表面積が増大するため、吸着剤としての性能が高まる。MIBKの量は特に限定はなく、GMAおよびEGの合計量100容量部に対して、好ましくは50〜150容量部である。ここで、容量部は室温下における溶積を基準にして算出される。上記範囲内では、多孔化剤としての効果に特に優れる。
このようにして得られるPGMA−EG共重合体は、水、エタノールやアセトンなどで適宜洗浄してもよい。
ここで、グルカミン基を導入する前のPGMA−EG共重合体を篩過して粒子径を揃えることが好ましい。用いる篩としては、好ましくは目開き75〜500μmであり、より好ましくは75〜150μmである。
PGMA−EG共重合体の比表面積は好ましくは15〜120 m/gであり、より好ましくは70〜105 m/gである。PGMA−EG共重合体を上述のように合成した後に篩過することにより所望の比表面積のものを得ることができる。
PGMA−EG共重合体にN−メチルグルカミンを導入することによって、本発明の吸着剤の材料となるポリマーを得ることができる。N−メチルグルカミンの導入は、PGMA−EG共重合体が有するエポキシ基とN−メチルグルカミンの二級アミンとの付加反応によって行われる。PGMA−EG共重合体が有するエポキシ環は、グリシジルメタクリレートに由来するものである。
本発明で用いる樹脂系は、N−メチルグルカミンを多く導入し易いという特徴がある。PGMA−EG共重合体へN−メチルグルカミンを導入する方法としては、適切な溶媒でPGMA−EG共重合体を湿潤して、そこにN−メチルグルカミンの溶液を加えた後に、加熱する方法が挙げられる。この方法における好適な溶媒としては、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジオキサン、等が挙げられる。反応のための加熱条件としては、60〜100℃にて1〜9時間の加熱が好ましい。
上記反応のために加えるN−メチルグルカミンの量は、PGMA−EG共重合体1gに対して、好ましくは2〜10 mmolである。該共重合体は、比表面積が高く、導入されるN−メチルグルカミンのほぼ100%が表面に存在し、68Geの吸着に有効に作用することから、N−メチルグルカミンの導入量が多いほどGe吸着容量が増すので好ましい。
このようにして、PGMA−EG共重合体へN−メチルグルカミンを導入してなるポリマー(PGMA−EG−MG)を得ることができる。上記のようにPGMA−EG共重合体を篩過してさらに溶解させずに湿潤させた場合には、得られたPGMA−EG−MGを洗浄すれば、そのまま吸着剤として用いることができる。
最終的に得られるポリマー(PGMA−EG−MG)には、好ましくは0.2〜1.0mmol/gの窒素原子が含まれる。この窒素原子は、N−メチルグルカミンのアミンに由来するものである。ポリマーに含まれる窒素原子は、有機微量元素分析装置 Perkin Elmer 2400 IIを用いて測定される。
本発明のGe吸着剤は、かかるPGMA−EG−MGに示されるように、グルカミン基を有する有機合成樹脂であり、典型的には、基体となる有機合成樹脂にN−メチルグルカミンを導入することによって得ることができる。かかる基体樹脂としては、PGMA−EGに限定されず、その他の有機合成樹脂であってもよい。
基体樹脂へのN−メチルグルカミンの導入は、上記PGMA−EG−MGのように、基体樹脂として、エポキシ環を有する単量体成分を含むポリマーを使用し、そのエポキシ環にN−メチルグルカミンを反応させる方法が好適である。なお、エポキシ環を有する単量体としては、上記のグリシジルメタクリレート(GMA)の他、グリシジルアクリレートを使用することができ、また、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル等のグリシジル不飽和エーテル等も使用可能である。
PGMA−EG以外の基体樹脂としては、例えば、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリスチレン系重合体、フェノール樹脂等の芳香族系ポリマーが挙げられる。かかる芳香族系ポリマーにおいては、公知の方法によりクロロメチルメチルエーテル等のクロロメチル化剤を反応させてクロロメチル化ポリマーを合成し、次いでN−メチルグルカミンを導入すればよい。前記のとおり、本発明は、N−メチルグルカミンが導入されたホウ酸吸着樹脂(三菱化学社製 DIAION CRB−02)が68GeとGa68を分離し得る68Ge−68Gaジェネレータシステム用のGe吸着剤となり得るという新規知見に基づいており、かかる三菱化学社製のN−メチルグルカミンが導入されたホウ酸吸着樹脂(DIAION CRB−02)は、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体にN−メチルグルカミンが導入されたものである。
その他、本発明のGe吸着剤となり得る、基体樹脂が芳香族系ポリマーからなるグルカミン基を有する有機合成樹脂としては、アンバーライト(AMBERLITE、登録商標)IRA743[Rohm & Haas社製、基体樹脂:スチレン−ジビニルベンゼン系共重合体]、デュオライト(Duolite、登録商標) ES371[Rohm & Haas社製、基体樹脂:ポリスチレン系重合体]、ユニセレックUR-3500[ユニチカ(株)製、基体樹脂:フェノール樹脂]、DIAION CRB03、CRB05[三菱化学(株)製、基体樹脂:スチレン−ジビニルベンゼン系共重合体]等の市販品を例示することができる。これらは、ポリスチレン系重合体やフェノール樹脂にN−メチルグルカミンを導入したホウ酸吸着樹脂として公知である。
これらの基体樹脂が芳香族系ポリマーからなるグルカミン基を有する有機合成樹脂においては、N−メチルグルカミンを有する構造単位(GMA、EG、およびN−メチルグルカミンからなる単位)が全体の30重量%以上であるのが好ましく、40重量%以上であるのがより好ましく、50重量%以上であるのがさらに好ましい。
本発明のGe吸着剤は、クロマトグラフィーにおいてGeを吸着させるための固定相である。好ましくは、本発明のGe吸着剤は、68Ge−68Gaジェネレータシステムのための吸着剤として用いられる。当該システムでは、Ge吸着剤に吸着した68Geが崩壊して68Gaを生成するところ、特に上述のPGMA−EG−MGにおいてはGaに対しほとんど親和性を示さないため、適切な溶離液を流すことで高効率にて、68Gaを得ることが可能となる。このようにして得られた68Gaは、Positron Emission Tomography(PET)などへと適用されることが期待される。
本発明の吸着剤を用いた68Ge−68Gaジェネレータシステムにおいて、吸着した68Geの崩壊により生成する68Gaは弱酸で処理し、選択的に溶出させることにより、容易に回収することができる。本明細書中、「弱酸で処理する」とは、68Gaを回収するための溶離液としての弱酸塩(アルカリ金属塩)の水溶液により処理することをいう。68Gaを回収するための溶離液としては、例えば、弱酸塩(アルカリ金属塩)の水溶液が挙げられ、具体的には、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、酒石酸等の塩の水溶液が挙げられる。中でも、クエン酸塩、リン酸塩の水溶液が好ましく、クエン酸ナトリウム水溶液、リン酸ナトリウム水溶液、リン酸緩衝液等がより好ましく、クエン酸三ナトリウム水溶液、リン酸水素二ナトリウム水溶液がとりわけ好ましい。かかる弱酸塩水溶液の濃度は、好ましくは0.01〜0.6 mol/l程度であり、より好ましくは0.05〜0.2 mol/l程度である。また、pHは好ましくは7.0〜10.0程度であり、より好ましくは8〜9程度である。
なお、本発明の吸着剤に吸着したGeは塩酸を流すことによって容易に脱離させることができる。よって、68Ge−68Gaジェネレータシステムにおいて使用済みの吸着剤から68Geを回収して、再利用することも可能である。
図1は、本発明の吸着剤を有する68Ge−68Gaジェネレータシステムを用いて68Ga標識を行う場合の2つの具体的な実施態様の模式図である。68Gaが吸着している本発明の吸着剤を充填したカラム20を備えた装置に溶離剤11を通して、68Ga標識放射性医薬品50を得る(第1法)か、あるいは、溶離剤12をカラム20に通して得られる68Ga錯体30を配位子交換40に供して68Ga標識放射性医薬品50を得る(第2法)。但し、本発明は図示された態様に限定されるわけではない。
第1法は溶離剤11に錯生成力の強い配位子を用い、溶出液がそのまま68Ga標識放射性医薬品50として使用できる理想的な方法である。第2法は68Gaを溶出した後、得られた68Ga錯体30を配位子交換40に供して目的の68Ga標識放射性医薬品50に変換する方法である。第1法に用いる溶離剤11としては臨床応用が可能な配位子で錯生成力が強く、かつ親水性であることが必要となる。この条件を満たす配位子としてはEDTAが挙げられ、Welchらは68Ga−EDTAは腎あるいは血液−脳関門機能診断薬として利用できると報告している(M. J. Welch, M. R. Kilbourn, and M. A. Green, C. J. Mathias Radiopharmaceuticals Labeled with short-Lived Positron-Emitting Radionuclides., RADIOISOTOPES., 34, 170-179 (1985))。しかしながら、現在は68Gaで、生理活性ペプチドの標識を試みる場合が多く、その標識体の有用性を評価する方向へと研究が進められている。ただ、これら68Gaのためのキレート生成基を導入したペプチド等高分子の場合は吸着剤への吸着が懸念されることや、樹脂内部への拡散が制限されるため、68Gaを直接溶離することは困難となり得ることも予想される。
従って、これらの配位子の標識を行う際には第2法がより実用的であると考えられる。この方法では、配位子交換40を考慮して比較的錯生成力の弱い配位子で68Gaを溶出する必要がある。本発明者らは、錯生成力の弱い配位子として0.1 Mクエン酸三ナトリウム水溶液が、高い脱着率を示すことを見出している。このことは、後述の実施例によって明らかになる。
以下、実施例を用いて本発明をより詳しく説明するが、これらの例は本発明を何ら限定するものではない。
(合成例1〜6)PGMA−EGの合成
1gのゼラチンを100 mLの温水(40〜50℃)に溶解させた後に室温まで冷却して、1重量%ゼラチン水溶液を調製した。球状の三頸フラスコに精製水500 mL、1重量%ゼラチン水溶液20 mL,および硫酸ナトリウム6 gを溶解させて、分散溶媒を得た。
別途、300 mL三角フラスコにグリシジルメタクリレート(GMA)、エチレングリコールジメタクリレート(EG)およびメチルイソブチルケトン(MIBK)を表1に示すような割合で混合し、さらに0.5 gの2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を添加して、均一になるまで混合して、モノマー相を得た。
このモノマー相を分散溶媒中に分散させ、800 rpmで撹拌しながら、1時間室温で放置した。1時間放置後、10分毎に10℃間隔で30分を要して50℃まで液温を上昇させ、そのまま50℃の液温を30分間維持した。次に、10分毎に5℃間隔で50分を要して75℃まで液温を上昇させ、そのまま75℃の液温を40分間維持した。さらに、20分毎に5℃間隔で1時間を要して液温を90℃にまで上昇させ、そのまま90℃の液温を1時間30分維持させて、重合反応を完了させた。
重合反応による反応物を吸引濾過した。得られた重合体PGMA−EGを温水(40〜50℃)で三回洗浄し、エタノールで二回洗浄し、アセトンで1回洗浄した後、風乾させた。得られたPGMA−EG樹脂を篩過し、各粒子径のPGMA−EG樹脂を分取した。表1において、「PGMA−EG」の後ろの数値はGMAとEGの合計体積に占めるEGの体積%を表し、その後ろのカッコ内の数値は、GMAとEGの合計体積に対するMIBKの体積%を表す。
Figure 0005005024
参考例1〜2、実施例3、参考例4〜5、実施例6)PGMA−EG−MGの合成(PGMA−EGへのグルカミン基の導入)
表1に示した合成例1〜6のPGMA−EGの1 gをそれぞれ試験管に入れ、3 mLのDMSOで1時間浸潤させた。三角フラスコにN−メチルグルカミン(MG)5 mmolを入れ、DMSO 7 mLで溶解させた。これをPGMA−EGの入った試験管に添加し、20分毎試験管を振盪させながら、80℃で4時間反応させた。反応終了後、吸引濾過し、合成例1〜6からそれぞれ得られたPGMA−EG−MG(参考例1〜2、実施例3、参考例4〜5、実施例6)を精製水でよく洗浄し、風乾させた。
Figure 0005005024
参考例7〜8)基体樹脂にN−メチルグルカミンが導入された他の有機合成樹脂
参考例7として、N−メチルグルカミンが導入されたスチレン−ジビニルベンゼン系共重合体である三菱化学(株)製ダイヤイオン CRB−02(以下、CRB−02と略称することもある)を、参考例8としてN−メチルグルカミンが導入されたフェノール樹脂であるユニチカ(株)製ユニセレック UR−3500(以下、UR−3500と略称することもある)を使用し、評価した。
以下の評価において、放射活性はアロカg カウンター ARC-380を用いて測定した。樹脂の比表面積は、(株)島津製作所から入手し得る自動比表面積測定装置(マイクロメリティックス(Micromeritics)社製、ジェミニ(GEMINI) 2360(V3.0))を用いて窒素ガス吸着法により測定した。
(評価1)樹脂のGeの吸着容量の検討
1.三角フラスコ(50 mL)に、50 mgの評価対象の樹脂(PGMA−EG−MG、CRB−02、またはUR−3500)を入れた。
2.二酸化ゲルマニウムを適量の0.1 Mの水酸化ナトリウムで溶解させ、0.5 MのHClで中和し、0.01 Mのリン酸緩衝液(pH 7)で200 mLにメスアップし5 mMのGe溶液を作成した。
3.2の溶液を、1の三角フラスコに20 mL添加した。
4.3の三角フラスコを25℃で一晩接触振盪(120 rpm)させ、樹脂へGeを吸着させた。
5.振盪後の三角フラスコから上澄みを採取し、所定の検量線の範囲に入るように適宜希釈した。
6.フェニルフルオロン吸光光度法により樹脂のGe吸着量を算出した(表3)。
(評価2)樹脂のGe吸着速度の検討
1.三角フラスコ(50 mL)に、25 mgのPGMA−EG−MGを入れた。
2.1の三角フラスコに5 mLの0.01 Mリン酸緩衝液(pH 7)を添加し、樹脂を一晩浸潤した。
3.Geの標準溶液を100 mLのメスフラスコに入れ、0.5 MのHClで中和し、0.0.1 Mのリン酸緩衝液(pH 7)で100 mLにメスアップし、0.1 mMのGe溶液を作成した。
4.3の溶液を2の三角フラスコに5 mL入れ、Geの最終濃度が0.05 mMになるように調製した。
5.4の溶液を各時間(0,5,15,30,60,120 min)接触振盪させ、各時間経過後、吸引濾過することで、樹脂を除去した。
6.5の樹脂を除去した溶液中から5 mL採取し、フェニルフルオロン吸光光度法により、樹脂のGe吸着量を算出した。
(評価3)Gaの脱着率の検討(バッチ法)
1.PGMA−EG−MG、またはCRB−02(5 mg)の入ったバイアルに、68GeCl原液を0.01 Mのリン酸緩衝液(pH 7)で適宜希釈しながら添加した。
2.このバイアルを1時間振盪後(120 rpm)、上澄みの0.8 mLを採取した。採取した上澄みの放射活性(counts)を測定した。
3.残りの上澄をピペットマン(微量分注器、登録商標)で樹脂を吸引しないようにして除去し、0.01 Mのリン酸緩衝液0.5 mLで1回洗浄した。
4.その洗浄した溶液を3と同様にして除去し、アセトン0.5 mLで洗浄した。
5.その後、アセトンを風乾させ、そのまま二日放置した。
6.この放置した樹脂に溶離液を1 mL添加し、そのまま1時間接触振盪(120 rpm)した。
7.6の上澄みを0.8 mL採取後、その放射活性を測定し、Gaの溶離率を算出した。
(評価4)Gaの脱着率の検討(カラム法)
300 mgのPGMA−EG−MG、またはCRB−02を内径8 mm×長さ35 mmのカラム管に詰め、0.01 Mリン酸緩衝液(pH 7)にて一晩、膨潤させ、図2に模式的に示すように、溶離液1、ポンプ2、カラム3を経てサンプルを回収するような装置を組んだ。
(Ge 吸着)
1.68GeCl原液を0.01 Mリン酸緩衝液(pH 7)で適宜希釈して、樹脂を充填したカラムに添加した。
2.精製水を流速0.5 mL/minで通液してカラムを洗浄した。
3.2の流出液を2 mLずつ回収し、二日後にその放射活性を測定した。
(Ge 溶離)
4.二日放置したカラムに、吸着の際と同様に、溶離液を流速0.5 mL/minで通液した。
5.それぞれ、1 mL(2 min)ずつ採取したサンプルの放射活性を測定した。ここで、1において、カラムに添加した溶液の放射活性から、2の放射活性を差し引いたものをGeの吸着率とし、その吸着したGeの放射活性を100%とした場合の5の放射活性をGaの溶離率として算出した。
6.5のサンプルを二日放置し、その放射活性を測定した。このとき、溶離液を流した際の、溶離液へのGeの流出を確認した。
<結果および考察>
(比表面積の測定)
合成例1〜6として得られたPGMA−EG樹脂の比表面積を測定した(表2)。比表面積は、橋架け剤のEGおよび多孔化剤のMIBKの使用量が増加するに伴って増大した。特に、PGMA−EG50(150)では、その値は100 m/gを超した。
Figure 0005005024
(実施例及び参考例の樹脂の諸特性の評価)
参考例1〜2、実施例3、参考例4〜5、実施例6、参考例7の評価対象の樹脂(PGMA−EG−MG、およびCRB−02)の乾燥容積(V)、湿潤容積(V)、N含量を測定した(表3)。これらの測定方法は概略すると以下のとおりである。
・・・10 mLのメスシリンダーに乾燥した評価対象の樹脂1 gを入れ,体積を測定する。
・・・V測定後、メスシリンダーに精製水を約6 mLを添加し、2日間放置後、体積を測定し、V(mL) とする。
N含量・・・参考例1〜2、実施例3、参考例4〜5、実施例6、参考例7、8の評価対象の樹脂(PGMA−EG−MG、CRB−02、およびUR−3500)について有機微量元素分析装置 Perkin Elmer 2400 IIを用いて分析する。
、Vは、多孔化剤の使用量が多いPGMA−EGから合成された樹脂、およびCRB−02で大きく、PGMA−EG−MGの膨潤度(V/V)は、橋架け剤の使用量が増加するほど低下し、1に近づいた。すなわち、橋架け度が高い程、樹脂吸着剤容積の変化が小さいことを意味しており、ジェネレータの吸着剤の設計には有利であると考えられる。通常、橋架け度が高くなると高分子鎖構造が密となり、グルカミン基のような親水性の官能基の導入量は極端に減少する。ところが、今回合成した高橋架け度のPGMA−EGでは、PGMA−EGの比表面積が大きいほど、官能基導入量の低下が小さいことが、表3のN含量からわかる。
また、バッチ法で求めた参考例1〜2、実施例3、参考例4〜5、実施例6、参考例7〜8の評価対象の樹脂に対するGeの吸着容量も表3に示した。なお、非放射性Geは、酸化ゲルマニウム(GeO)を溶解しGe(IV)溶液として使用した。その結果、Ge吸着容量はN含量から類推されるグルカミン基導入量にほぼ対応した効率的Ge吸着能が確認され、いずれの樹脂でも、トレーサ量の68Geを吸着するには、十分な吸着容量を有していた。
Figure 0005005024
さらに、比表面積の最も大きなPGMA−EG50(150)から誘導したPGMA−EG−MGへのGeの吸着速度の検討を行った。その結果を図3に示す。図示されるように、30分以内でほぼ平衡に到達し、添加したGeの50%が吸着するのに要する時間は5分以内と速やかであった。また、CRB−02について、バッチ法にて吸着速度の検討を行ったところ、CRB−02も図3とさほど変わらない吸着速度を示した(図示せず)。
既にN−メチルグルカミン型樹脂がホウ酸に対して吸着性を有している事は述べた。一般に、ホウ酸がシスジオールを有する糖類及びポリオールと脱水縮合反応により錯体を生成することはよく知られている。又、吉村らの報告によるとホウ酸イオン(B(OH) )のN−メチルグルカミン型樹脂への吸着機構も、以下のスキームに示すように、N−メチルグルカミン基との脱水縮合反応によるものと考えられる(K. Yoshimura., Y. Miyazaki., F. Ota., S. Matsuoka., H. Sakashita., Complexation of boric acid with the N-methyl-D-glucamine group in solution and in crosslinked polymer., J. Chem. Soc., Faraday Trans, 94, 683 (1998))。
Figure 0005005024
従って、ホウ酸と類似の挙動を示すゲルマニウム酸(Ge(OH))もホウ酸と同様の機構で、樹脂上に吸着されることが予想される。一方、Gaはこの機構でN−メチルグルカミン基と結合することは考えにくい事から、PGMA−EG−MG、CRB−02等のグルカミン基を有する有機合成樹脂はGeに対して選択的吸着性を有していると考えている。
そこで以下の実験で、実際に放射性68Geを添加した系でGeに対する吸着特性の検討を進めた。実際の場合には、68Geはキャリアーフリーで使用されねばならないが、37 MBq(1 mCi)の68Geでも2.08×10−9 molと極微量であるため、吸着容量よりもむしろ68Geに対する吸着速度が重要となる。
バッチ法による振とう時間と68Geの吸着率との関係を図4に示した。
68Ge溶液は0.01 Mリン酸緩衝液を用いてpH 7に調整し、キャリアーフリーの場合あるいはキャリアーとしてのGe(IV)濃度が0.01 mMとなるように調製して用いた。いずれの場合も30分の振とうで、PGMA−EG−MGについてはほぼ100%、CRB−02についてはほぼ90%吸着することがわかった。又、キャリアーGe(IV)を含む場合でも吸着速度はほぼ変わらず、共に5分以内で約50%吸着することから、カラム法による吸着操作も容易に行うことができることを示している。
そこで、実際にPGMA−EG50(150)−MG、CRB−02を68Ge吸着剤として用いる68Ge/68Gaジェネレータシステムの構築を進めた。カラム作成は、バッチ法によりN−メチルグルカミン型樹脂に68Geを吸着させた後、これをカラムに充填することで当然達成されるが、ジェネレータを製造する際の68Geの吸着操作は、できるだけ容易かつ短時間に行える方が望ましい。
そこで、PGMA−EG50(150)−MG、CRB−02に対する68Geの吸着性をカラム法で検討した。樹脂300 mgを充填した内径8 mm×長さ35 mmのカラムに、流速0.5 ml/minで68Ge溶液を通液し吸着率を求めた結果、通液するだけでPGMA−EG50(150)−MG、CRB−02ともほぼ100%の68Geを吸着することがわかった。
PGMA−EG50(150)−MG、CRB−02等のグルカミン基を有する有機合成樹脂を用いたジェネレータシステムにより、68Ga標識を行うための、上述した第2法(図1参照)を考慮して、まず、PGMA−EG50(150)−MG、CRB−02に68Geを吸着させた68Ge吸着剤をそれぞれ作成しカラム20に充填し、0.1 Mクエン酸ナトリウム水溶液(pH 8.2)で68Gaを溶離した。このときの溶離率を図5に示す。CRB−02を吸着剤として用いるジェネレータシステムにくらべ、PGMA−EG50(150)−MGを吸着剤として用いた場合は、68Gaの溶離率が、溶離操作初期の段階で、20%程度高いことがわかる(図5(b))。すなわち、吸着剤の比表面積及び親水性の増大が、溶離率の増加に繋がったものと考察している。これらのポリマーを充填したカラムは、68Geの吸着が速く、68Gaを高い効率で選択的に溶離させることが容易であるから、68Geから生成した68Gaを、高い効率で回収することが可能であり、グルカミン基を有する有機合成樹脂からなるポリマー、中でもPGMA−EG−MGは68Ge−68Gaジェネレータシステム用の優れた吸着剤になり得る。
図5(a)および(b)のデータにおける諸条件は以下のとおりである。
カラム:長さ50 mm(うち樹脂は35 mm)、内径8 mm、流速:0.5 mL/分、溶離液:0.1 Mクエン酸ナトリウム水溶液(pH 8.2)、画分量:1 mL、68Geの添加量:50 μL、3.7 kBq(70000 cpm)、樹脂:PGMA−EG50(150)−MG、または、CRB−02、樹脂量:1.5 mL、樹脂重量:560〜600 mg
図5(c)のデータにおける諸条件は以下のとおりである。
カラム:8×30 mm、流速:0.5 mL/分、溶離液:0.1 Mクエン酸ナトリウム水溶液(pH 8.2)、画分量:1 mL、68Geの添加量:50 μL、3.7 kBq(70000 cpm)、樹脂:CRB−02、樹脂量:1.5 mL、樹脂重量:560〜600 mg
産業上の利用の可能性
本発明のグルカミン基を有する有機合成樹脂からなるGe吸着剤は、Geをよく吸着するとともにGaを脱離させることが容易であるから、68Geから生成した68Gaを、高い効率で回収することが可能であり、68Ge−68Gaジェネレータシステム用の優れた吸着剤になり得る。
本出願は日本で出願された特願2007−053504を基礎としており、その内容は本明細書に全て包含される。

Claims (3)

  1. 比表面積が70〜105/gである、グリシジルメタクリレート−エチレングリコールジメタクリレート共重合体に、N−メチルグルカミンを導入してなるポリマーからなる、68Ge−68Gaジェネレータシステム用Ge吸着剤。
  2. 上記ポリマーが0.2〜1.0mmol/gの窒素原子を含む請求項1記載のGe吸着剤。
  3. 上記共重合体が、1molのグリシジルメタクリレートに対して0.3〜0.7molのエチレングリコールジメタクリレートを共重合させて得られたものである請求項1又は2記載のGe吸着剤。
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