JP2014039908A - 水回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】RO膜の目詰りを抑制することが可能な、新規かつ改良された水回収方法を提供する。
【解決手段】上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、海水と海水よりも浸透圧が高いDSとを正浸透膜で仕切ることで、海水中の水分をDSに流入させるステップと、逆浸透膜を用いて、DS及び水分からなるDS混合液から水分を回収するステップと、DS混合液から水分を回収する前に、DSに酸を投入するステップと、を含むことを特徴とする、水回収方法が提供される。
【選択図】図1

Description

本発明は、水回収方法に関する。
FO/RO法を用いて海水中の水分を回収する(すなわち、海水を淡水化する)水回収方法が提案されている。この方法では、まず、FO(Forward Osmosis)法により海水中の水分をDS(Draw Solution)に流入させる。具体的には、海水と、海水よりも浸透圧が高いDSとを正浸透膜(FO膜)で仕切ることで、海水中の水分をDSに流入させる。これにより、DS及び海水中の水分を含むDS混合液を生成する。そして、RO(Reverse Osmosis)法により、DS混合液から海水中の水分を回収する。具体的には、逆浸透膜(RO膜)で仕切られた2つの空間のうち、一方の空間にDS混合液を投入し、DS混合液の浸透圧以上の圧力をDS混合液にかける。これにより、DS混合液中の水分、すなわち海水中の水分がRO膜を透過し、他方の空間に移動する。そして、他方の空間内の水分を回収する。
特開2012−86120号公報 特開2007−869号公報
しかし、上記の技術では、DS中の溶質(電解質)がRO膜に析出し、RO膜を目詰り(ファウリング)させるという問題があった。RO膜が目詰りを起こすと、水分がRO膜を透過しにくくなる。このため、RO膜が目詰りを起こした場合、DS混合液の供給圧力を高くする必要があった。なお、DSの溶質として多価イオンを含むDS電解質を使用した場合、目詰りが特に発生しやすかった。
この問題を解決する方法として、RO膜を洗浄する方法が考えられる。特許文献1、2は、膜洗浄方法を開示する。したがって、特許文献1、2に開示された方法を用いてRO膜を洗浄することで、RO膜の目詰りを減少させることができる。しかし、この方法では、RO膜の洗浄を頻繁に行う必要があるので、非常に手間がかかってしまう。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、RO膜の目詰りを抑制することが可能な、新規かつ改良された水回収方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、海水と海水よりも浸透圧が高いDSとを正浸透膜で仕切ることで、海水中の水分をDSに流入させるステップと、逆浸透膜を用いて、DS及び水分からなるDS混合液から水分を回収するステップと、DS混合液から水分を回収する前に、DSに酸を投入するステップと、を含むことを特徴とする、水回収方法が提供される。
この観点による水回収方法は、少なくともDS混合液から水分を回収する前に、DSに酸を投入するので、逆浸透膜(RO膜)の目詰りを抑制することができる。
ここで、DS混合液に酸を投入してもよい。
この観点によれば、RO膜の目詰りを抑制することができる。
また、酸は有機酸を含んでいてもよい。
この観点によれば、上記の効果に加え、TDS阻止率を向上させることができる。さらに、有機酸は無機酸よりも安全性が高いので、透過水を飲用に供する場合に特に好適となる。
また、有機酸は、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、乳酸、及び酢酸からなる群から選択される少なくとも1つの酸を含んでいてもよい。
この観点によれば、RO膜の目詰りを抑制し、かつ、TDS阻止率を向上させることができる。
また、DSは多価イオンを含んでいてもよい。この観点によれば、DSの浸透圧を高い値に維持することができる。したがって、第1のステップ時に海水中の水分を効果的に回収することができる。
以上説明したように本発明によれば、少なくともDS混合液から水分を回収する前に、DSに酸を投入するので、RO膜の目詰りを抑制することができる。
本発明の第1の実施形態に係るRO装置の概略構成を示すブロック図である。 実施例1と比較例1との供給圧力を比較したグラフである。 クエン酸含有率とRO膜単位面積単位時間当りの透過水量(フラックス)及びTDH阻止率との対応関係を示すグラフである。 RO膜単位面積当りの透過水量と運転時間との対応関係を有機酸の種類毎に示すグラフである。 TDS阻止率と有機酸の種類との対応関係を示すグラフである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(水回収方法の説明)
まず、本実施形態に係る水回収方法について説明する。水回収方法は、3つのステップに大別される。第1のステップは、海水と海水よりも浸透圧が高いDSとを正浸透膜(FO膜)で仕切ることで、海水中の水分をDSに流入させるステップである。第2のステップは、逆浸透膜(RO膜)を用いて、DS及び水分からなるDS混合液から水分を回収するステップである。第3のステップは、DS混合液から水分を回収する前に、DSに酸を投入するステップである。すなわち、本実施形態に係る水回収方法は、概略的には、FO/RO法による水回収方法に第3のステップを追加したものである。
(第1のステップ)
まず、第1のステップについて説明する。第1のステップは、上述したように、海水と海水よりも浸透圧が高いDSとをFO膜で仕切ることで、海水中の水分をDSに流入させるステップである。すなわち、第1のステップは、FO法により海水中の水分をDSに流入させる。第1のステップでは、海水とDSとの浸透圧の違いにより、海水中の水分が自然にFO膜を透過し、DSに流入する。これにより、DSに水分が混入したDS混合液が生成される。
DSは、電解質(以下、DS電解質とも称する)が水に溶解した水溶液である。DS電解質の種類は特に問われない。例えば、DS電解質は、1価イオンを含むものであっても、多価イオンを含むものであってもよい。ただし、多価イオンは、DSの浸透圧を高くすることができるので好ましい。多価イオンを含むDSは、MVI(Multi−Valence−Ion)系DSとも称される。本実施形態の水回収方法に多価イオンを含むDSが用いられる場合、本実施形態の水回収方法は、いわゆるSWFO/MVI/RO法となる。DSの浸透圧は、海水の浸透圧よりも高くなるように調整される。
MVIとしては、例えば、塩化カルシウムや塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム等が挙げられる。また、1価イオンを含むDS電解質としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、炭酸水素ナトリウムが挙げられる。
FO膜は、特に制限されず、公知の正透過膜が任意に使用可能である。FO膜としては、例えば、Hydration Technologies Inc.(HTI)社製の三酢酸セルロース膜が挙げられるが、General Electric(GE)社製の二酢酸と三酢酸との混合酢酸セルロース膜であるCEやCG等のRO膜をFO膜として使用しても構わない。なお、FO膜は、親水性の高い膜が好ましい。海水からの汚れが付着しにくいからである。このように、第1のステップには、公知のFO法を任意に適用することができ、これらのFO法により、海水中の水分がDSに流入する。
(第2のステップ)
第2のステップは、RO膜を用いて、DS及び水分からなるDS混合液から水分を回収するステップである。具体的には、第2のステップでは、RO膜で仕切られた2つの空間のうち、一方の空間にDS混合液を投入し、DS混合液の浸透圧以上の圧力をDS混合液にかける。これにより、DS混合液中の水分がRO膜を透過し、他方の空間に移動する。そして、他方の空間内の水分、すなわち透過水を回収する。透過水には、海水中の水分が含まれる。これにより、海水中の水分が回収される。
第2のステップで使用されるRO膜としては、公知のRO膜の他、NF膜(ルーズRO膜)と呼ばれる膜も挙げられる。本実施形態は、海水から水分を回収する(海水を淡水化する)方法であるので、第2のステップで使用されるRO膜は、海水淡水化用のRO膜が好ましい。
第2のステップで使用されるRO膜は、具体的には、海水淡水化用スパイラル型RO膜のポリアミド系複合膜として、日東電工社製NTR−70SWC、Hydranautics SWC5、東レ社製Romembra SU−810、SU−820、DOW社製FILMTEC SW30等が挙げられる。
また、第2のステップで使用されるRO膜は、低圧用のスパイラル型RO膜のポリアミド系複合膜やNF膜であってもよい。低圧用のスパイラル型RO膜のポリアミド系複合膜としては、例えば、日東電工社製ES−20、Hydranautics ESPA2、東レ社製Romembra SU−710、SU−720、DOW社製FILMTEC BW30LE等が挙げられる。
また、NF膜としては、日東電工社製スルホン化ポリスルホン複合膜のNTR−7400シリーズ、PVA複合膜であるNTR−729HF、NTR−7250、東レ社製ピペラジンアミド系架橋複合膜Romembra SU−610、SU−210S、DOW社製FILMTEC NF−90、NF−70等が挙げられる。
このように、本実施形態では、RO法により海水から直接水分を回収するのではなく、海水中の水分を一旦DSに回収させ、その後、DS混合液から水分を回収するようにしている。この理由は以下の通りである。すなわち、海水は、その成分がまちまちであり、浸透圧もまちまちである。このため、RO法により海水から直接水分を回収する場合、海水の成分に応じて海水への圧力を調整する必要がある。さらに、海水は非常に汚れているので、RO膜の目詰りも激しくなる。一方、本実施形態では、DSの濃度を適宜調整することで、DS混合液の浸透圧を所望の値に調整することができる。さらに、DSは海水のように汚れていないので、RO膜の目詰りは海水よりも低減される。以上の理由により、本実施形態では、海水中の水分を一旦DSに回収させている。さらに、本実施形態では、後述する第3のステップにより、RO膜の目詰りをさらに抑制することができる。
(第3のステップ)
第3のステップは、DS混合液から水分を回収する前に、DSに酸を投入するステップである。第3のステップは、第1のステップ及び第2のステップのうち、いずれのステップの前に行われる。例えば、第3のステップは、第2のステップの前に行われる。この場合、DS混合液に酸が投入される。
このように、本実施形態では、DS混合液には酸が含まれることになる。したがって、第2のステップでは、酸を含むDS混合液から水分を回収することになる。DS混合液に酸を含めることにより、DS混合液のpHが低下するので、DS電解質の溶解度が向上する。言い換えれば、DS電解質の析出限界濃度が上がる。このため、RO膜にDS電解質が付着しにくくなる。すなわち、RO膜の目詰まりが抑制される。
酸は塩酸、硫酸等の無機酸であっても、酢酸、クエン酸等の有機酸であってもよい。いずれの酸であっても、DS混合液のpHを低下させることができるからである。ただし、以下の理由により、有機酸が好ましい。すなわち、有機酸をDS混合液に含めることで、DS電解質の陽イオンが有機酸イオンと錯体を形成することができる。これにより、陽イオンの粒径が大きくなるので、陽イオンがRO膜を通過しにくくなる。さらに、有機酸及び有機酸イオン自身も無機酸よりも粒径が大きいので、RO膜を通過しにくい。
これに対し、無機酸イオンは、DS電解質の陽イオンと錯体を形成しないので、DS電解質の陽イオンはRO膜を通過しやすくなる。さらに、無機酸及び無機酸イオンは粒径が小さいので、RO膜を通過しやすい。したがって、DSに無機酸を投入した場合、第2のステップ中に酸及びDS電解質を定期的にDS混合液に投入する必要があるので、ケミカルコストが高くなる。さらに、透過水が飲用に供される場合、特に安全性の観点からは、透過水に無機酸が含まれないことが好ましい。なお、有機酸もRO膜を透過する場合があるが、有機酸は無機酸に比べてはるかに安全性が高い。
以上の理由により、無機酸よりも有機酸が好ましい。なお、DS電解質及び酸のRO膜の通りにくさは、TDS阻止率で示される。ここで、TDS(Total Dissolve Solid)は、DS混合液中のイオンの総量であり、TDS阻止率は、以下の式(1)で示される。
Figure 2014039908
ここで、AはTDS阻止率、BはDS混合液(原水)のTDS、Cは透過水(RO処理液)のTDSを示す。したがって、有機酸をDS混合液に含めた場合、TDS阻止率が高くなる。
無機酸及び有機酸の種類は特に制限されず、任意の無機酸及び有機酸が本実施形態に適用可能である。有機酸の好ましい例としては、クエン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、乳酸、酢酸が挙げられる。
酸の投入量(含有率)は、DS中の溶媒の質量に対して0.01〜1.0質量%が好ましく、0.05〜0.5質量%がより好ましい。酸の含有率はこれらの範囲外であっても効果は見込めるが、酸の含有率がこれらの範囲となる場合に、RO膜の目詰りが効果的に抑制され、かつ、TDS阻止率が向上するからである。また、pHが低くなりすぎると、透過水の飲用への適用が容易でなくなり、かつ、RO膜が膨潤する可能性があることから、酸の含有率は1.0質量%以下が好ましい。
(水回収装置)
次に、図1に基づいて、本実施形態に係る水回収方法に使用される水回収装置10の構成について説明する。水回収装置10は、DSタンク11と、ポンプ13と、ROモジュール14と、配管15a〜15fとを備える。
DSタンク11は、DS混合液12を貯蔵する。なお、DSタンク11内のDS混合液12には、酸が投入されている。ポンプ13は、DSタンク11内のDS混合液12を汲み上げ、ROモジュール14に供給する。ここで、ポンプ13は、DS混合液12をROモジュール14に供給する際に、DS混合液12の浸透圧以上の圧力をDS混合液12にかける。
ROモジュール14は、セル14aと、RO膜14dとを備える。セル14aは、RO膜14dにより2つの空間、すなわちDS混合液供給室14bと透過水回収室14cとに仕切られる。ポンプ13から供給されたDS混合液12は、DS混合液供給室14bに供給される。DS混合液12には、浸透圧よりも高い圧力が掛けられているので、DS混合液12中の水分は、RO膜14dを透過して透過水回収室14cに流入する。透過水回収室14c内の水分は、透過水として回収される。
配管15aは、DSタンク11とポンプ13とを連結する。配管15bは、ポンプ13と配管15c、15dとを連結する。配管15cは、配管15bとDS混合液供給室14bとを連結する。配管15dは、配管15bと配管15eとを連結する。配管15eは、DS混合液供給室14bとDSタンク11とを連結する。配管15fは、透過水回収室14cを外部の回収タンク等に連結する。
水回収装置10の作用は以下の通りである。すなわち、ポンプ13は、DSタンク11からDS混合液12を汲み上げる。汲み上げられたDS混合液12は、配管15aを通ってポンプ13に到達する。その後、ポンプ13は、DS混合液12を配管15bに送り出すとともに、DS混合液12にDS混合液12の浸透圧以上の圧力をかける。配管15b内のDS混合液12は、配管15cを通ってDS混合液供給室14bに供給されるが、一部のDS混合液12は、配管15d、15eを通ってDSタンク11に戻される。
ROモジュール14は、DS混合液供給室14b内のDS混合液12を水分とDSとに分離する。すなわち、DS混合液供給室14b内のDS混合液12は、浸透圧よりも高い圧力が掛けられている。このため、DS混合液12中の水分は、RO膜14dを透過し、透過水回収室14cに流入する。透過水回収室14c内の水分は、透過水として配管15fに導入される。これにより、ROモジュール14は、DS混合液12を水分とDSとに分離する。言い換えれば、ROモジュール14は、DS混合液12から水分を回収する。ここで、DS混合液12内の水分には、海水中の水分が含まれる。したがって、水回収装置10は、海水中の水分を回収することができる。分離されたDSは、配管15eを通ってDSタンク11に回収される。したがって、DSは再利用される。
ここで、DS混合液12には酸が含まれるため、RO膜14dにDS電解質が析出しにくくなる。すなわち、RO膜14dの目詰りが抑制される。このため、ポンプ13は、DS混合液12への供給圧力を低い値に維持することができる。言い換えれば、より少ないエネルギーで大量の透過水を回収することができる。さらに、酸が有機酸となる場合、DS電解質の陽イオンと有機酸イオンとが錯体を形成するので、DS電解質の陽イオンはRO膜を通過しにくくなる。さらに、有機酸及び有機酸イオン自身もRO膜を通過しにくい。したがって、透過水のTDSが小さくなる。
次に、本実施形態の実施例を説明する。本実施例では、第1のステップを行う代わりに、DSを透過水で2倍希釈したものを第1のステップにより得られるDS混合液とみなした。第1のステップは、結局のところDSに水分を流入させる処理であるので、このような近似が可能となる。そして、本実施例では、DS混合液をRO膜により透過水とDSとに分離し、透過水とDSとを回収することで、SWFO/MVI/RO法を再現した。
RO膜を透過した水分は透過水となり、透過せず分離濃縮されたDS混合液はDSとなる。本実施例では、RO膜の透過流量、DS混合液への供給圧力の経時変化を測定することで、RO膜の目詰まりを評価した。さらに、本実施例では、透過水及びDS混合液のTDSを測定し、これらのTDSからTDS阻止率を測定した。本実施例では、RO膜内でのMVI結晶化が抑制され、結果として、RO膜の圧力上昇が抑制された。さらに、本実施例では、TDS阻止率が向上した。以下、実施例を詳細に説明する。
(実施例1)
イオン交換水1Lに塩化マグネシウムをイオン交換水の質量に対して1質量%添加することでDSを生成し、さらに、DSにクエン酸をイオン交換水の質量に対して0.5質量%だけ添加した。そして、DSに1Lの透過水(RO膜の透過水)を加えることで、DS混合液を生成した。ここで、RO膜の透過水は、水道水に直結したGE社製Merlin(登録商標)から得た。DS混合液のpHは2.4、TDSは6825mg/Lであった。ここで、TDSの測定は、TDSメータ(HM DIGITAL)を用いて行われた。具体的には、100mL容器に1mLのDS混合液を投入し、これを純水で100倍希釈した。そして、希釈後の溶液にTDSメータを浸漬することで、DS混合液のTDSを測定した。
一方、図1に示す水回収装置10として、ROテスト装置(日東電工製:メンブレンマスターC10−7)を用意し、ROテスト装置にRO膜(日東電工製:ES−10)をセットした。そして、ROテスト装置にDS混合液を導入し、RO膜への初期供給圧力(すなわち、DS混合液への初期供給圧力)を0.6MPaに設定し、ROテスト装置を運転させた。そして、透過水量及び供給圧力を1時間測定した。ここで、供給圧力は、RO膜の単位面積及び単位時間当りの透過水量、すなわち流束(フラックス)が一定となるように調整された。
(比較例1)
比較例1は、実施例1にクエン酸を添加しない例である。具体的には、比較例1では、イオン交換水1Lに塩化マグネシウムをイオン交換水の質量に対して1質量%だけ添加することで、DSを生成した。そして、DSに1Lの透過水(RO膜の透過水)を加えることで、DS混合液を生成した。ここで、RO膜の透過水は、水道水に直結したGE社製Merlin(登録商標)から得た。DS混合液のpHは9.0、TDSは5840mg/Lであった。ここで、TDSの測定は、実施例1と同様に行われた。
一方、水回収装置10として、実施例1と同じROテスト装置を用意し、ROテスト装置に実施例1と同じRO膜をセットした。そして、ROテスト装置にDS混合液を導入し、RO膜への初期供給圧力を0.6MPaに設定し、ROテスト装置を運転させた。そして、透過水量及び供給圧力を1時間測定した。ここで、供給圧力は、流束が一定となるように調整された。
(評価)
図2に、テスト装置の運転時間と供給圧力との対応関係を示す。点P1は、実施例1における対応関係を示し、点P2は比較例1における対応関係を示す。図2に示すように、実施例1(クエン酸含有DS)では、1時間の間流束の低下はほとんど起こらず、また供給圧力は、最大で0.12PMaだけ上昇した。すなわち、RO膜の目詰りはほとんど確認されなかった。一方、比較例1(MVIのみのDS)では、1時間の間流束の低下はほとんど起こらなかったが、供給圧力が最大で0.3MPaも上昇した。したがって、比較例1では、流束を維持するために供給圧力が上昇したので、RO膜の目詰りが確認された。実施例1及び比較例1により、クエン酸添加によるRO膜の目詰りが抑制されることがわかった。
(実施例2)
イオン交換水に塩化マグネシウムをイオン交換水の質量に対して3.5質量%添加することでDSを生成し、さらに、DSにクエン酸をイオン交換水の質量に対して0.009質量%だけ添加した。そして、DSにイオン交換水と同量の透過水(RO膜の透過水)を加えることで、DS混合液を生成した。ここで、RO膜の透過水は、水道水に直結したGE社製Merlin(登録商標)から得た。さらに、実施例1と同様の方法により、DS混合液のTDSを測定した。
一方、図1に示す水回収装置10として、ROテスト装置(AKICO社製:逆浸透膜試験装置試験セル300cc単体型)を用意し、ROテスト装置にRO膜(DOW社製:FILMTEC SW30)をセットした。なお、逆浸透膜試験装置試験セル300cc単体型は、窒素ガス等の不活性ガスを用いてDS混合液を加圧する。
そして、DS混合液200mLをROテスト装置に加え、ROテスト装置を27分間運転させた。ここで、DS混合液への供給圧力は5MPaで一定とした。加圧には窒素ガスを用いた。そして、透過水の総量に基づいて、流束(フラックス)を算出した。この流束は、ROテスト装置運転時間内の流束の平均値となる。また、運転中のROモジュール温度を測定した。
また、透過水のTDSを測定し、DS混合液のTDSと透過水のTDSとに基づいて、TDS阻止率を算出した。ここで、透過水のTDSは以下のように測定された。すなわち、20mL容器に1mLの透過水を投入し、これを純水で20倍希釈した。そして、希釈後の溶液に実施例1のTDSメータを浸漬することで、透過水のTDSを測定した。
(実施例3〜8)
クエン酸の質量%をイオン交換水の質量に対して0.01、0.05、0.1、0.5、1、2質量%とした他は、実施例2と同様の処理を行った。
(比較例2)
クエン酸をDSに投入しなかった他は、実施例2と同様の処理を行った。
(評価)
表1に、実施例2〜8、及び比較例2で測定された流束、ROモジュール温度、TDS、及びTDS阻止率を示す。流束の単位(LMH)は、L/m/hの略である。
Figure 2014039908
また、図3に、クエン酸含有率と流束との対応関係、及びクエン酸含有率とTDS阻止率との対応関係を示す。図3中、点P3はクエン酸含有率と流束との対応関係を示す点であり、折れ線L3は点P3を連結するものである。点P4はクエン酸含有率とTDS阻止率との対応関係を示す点であり、折れ線L4は点P4を連結するものである。
表1及び図3によれば、有機酸(クエン酸)の好ましい含有率は、0.01〜0.5質量%であることがわかった。含有率がこの範囲となる場合に、流束及びTDS阻止率が高い値となるからである。さらに、クエン酸の含有率が0.009質量%という僅かな値となる場合であっても効果を得られることが分かった。すなわち、クエン酸はDS混合液に少量添加しただけでも効果は見込める。
一方、クエン酸含有率が0.5質量%を超えると、流束が下がり、0.8質量%以上では、比較例2(クエン酸無添加のDS)より透過水量(LMH)の悪化が見られた。しかし、この理由はRO膜の目詰りではなく、クエン酸投入によるDS混合液の浸透圧増加によるものであると考えられる。具体的には、クエン酸含有率が0.5質量%を超えた場合、透過水を得るために5.0MPa以上の圧力が必要となる。言い換えれば、比較例2のDSに、実施例6〜8のクエン酸と同量の塩化マグネシウムをさらに投入した場合、浸透圧はやはり大きくなり、かつ、RO膜の目詰りも発生しやすくなる。したがって、クエン酸の含有率が0.5質量%より大きくなっても効果は見込める。
(実施例9)
イオン交換水に塩化マグネシウムをイオン交換水の質量に対して3.5質量%添加することでDSを生成し、さらに、DSにクエン酸をイオン交換水の質量に対して0.1質量%だけ添加した。そして、DSにイオン交換水と同量の透過水(RO膜の透過水)を加えることで、DS混合液を生成した。ここで、RO膜の透過水は、水道水に直結したGE社製Merlin(登録商標)から得た。さらに、実施例1と同様の方法により、DS混合液のTDSを測定した。
一方、図1に示す水回収装置10として、ROテスト装置(AKICO社製:逆浸透膜試験装置試験セル300cc単体型)を用意し、ROテスト装置にRO膜(DOW社製:FILMTEC SW30)をセットした。
そして、DS混合液200mLをROテスト装置に加え、ROテスト装置を27分間運転させた。ここで、DS混合液への供給圧力は5MPaで一定とした。加圧には窒素ガスを用いた。さらに、ROテスト装置の運転中に、RO膜の単位面積当りの透過水量を複数回測定した。ここで、RO膜の単位面積当りの透過水量は、ROテスト装置の運転開始時から各測定時刻までにRO膜の単位面積を透過した透過水の量を意味する。したがって、測定値は、運転時間の経過に応じて大きくなる。さらに、運転時間中の透過水の総量に基づいて、流束(フラックス)を算出した。さらに、実施例2と同様の方法により、透過水のTDSを測定した。
(実施例10〜13)
DSに投入する有機酸をそれぞれアスコルビン酸、リンゴ酸、乳酸、酢酸とした他は、実施例9と同様の処理を行った。
(比較例3)
クエン酸をDSに投入しなかった他は、実施例9と同様の処理を行った。
(評価)
表2に、実施例9〜13、及び比較例3で測定された流束、TDS、及びTDS阻止率を示す。
Figure 2014039908
さらに、図4に、運転時間(測定時刻)とRO膜の単位面積当りの透過水量との対応関係を示す。
点P10は、有機酸がクエン酸となる場合における運転時間と透過水量との対応関係を示す。折れ線L10は、点P10を連結したものである。点P11は、有機酸がアスコルビン酸となる場合における運転時間と透過水量との対応関係を示す。折れ線L11は、点P11を連結したものである。
点P12は、有機酸がリンゴ酸となる場合における運転時間と透過水量との対応関係を示す。折れ線L12は、点P12を連結したものである。点P13は、有機酸が乳酸となる場合における運転時間と透過水量との対応関係を示す。折れ線L13は、点P13を連結したものである。
点P14は、有機酸が酢酸となる場合における運転時間と透過水量との対応関係を示す。折れ線L14は、点P14を連結したものである。点P15は、有機酸が無添加となる場合における運転時間と透過水量との対応関係を示す。折れ線L15は、点P15を連結したものである。
また、図5に、有機酸の種類とTDS阻止率との対応関係を示す。表2、図4、及び図5によれば、有機酸を添加することで無添加時よりもRO膜の単位面積当りの透過水量及びTDS阻止率の向上が確認できた。この結果、有機酸の分子量、種類は問わないことが明確となった。
以上により、本実施形態による水回収方法は、少なくともDS混合液から水分を回収する前に、DSに酸を投入するので、RO膜の目詰りを抑制することができる。
さらに、本実施形態では、DS混合液に酸を投入してもよく、この場合であっても、RO膜の目詰りを抑制することができる。
また、酸は有機酸を含んでいてもよく、この場合、上記の効果に加え、TDS阻止率を向上させることができる。さらに、有機酸は無機酸よりも安全性が高いので、透過水を飲用に供する場合に特に好適となる。
また、有機酸は、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、乳酸、及び酢酸からなる群から選択される少なくとも1つの酸を含んでいてもよく、この場合であっても、RO膜の目詰りを抑制し、かつ、TDS阻止率を向上させることができる。
また、DSは多価イオンを含んでいてもよく、この場合、DSの浸透圧を高い値に維持することができる。したがって、第1のステップ時に海水中の水分を効果的に回収することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施例では、DS混合液に酸を投入するが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、第1のステップ時にDSに酸を投入しておいてもよい。この場合であっても、同様の効果が得られる。また、上記実施例では、特定のRO膜を用いて効果を検証したが、他のRO膜であっても同様の効果が得られる。
10 水回収装置
11 DSタンク
12 DS混合液
13 ポンプ
14 ROモジュール

Claims (5)

  1. 海水と前記海水よりも浸透圧が高いDSとを正浸透膜で仕切ることで、前記海水中の水分を前記DSに流入させるステップと、
    逆浸透膜を用いて、前記DS及び前記水分からなるDS混合液から前記水分を回収するステップと、
    前記DS混合液から前記水分を回収する前に、前記DSに酸を投入するステップと、を含むことを特徴とする、水回収方法。
  2. 前記DS混合液に前記酸を投入することを特徴とする、請求項1記載の水回収方法。
  3. 前記酸は有機酸を含むことを特徴とする、請求項1または2記載の水回収方法。
  4. 前記有機酸は、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、乳酸、及び酢酸からなる群から選択される少なくとも1つの酸を含むことを特徴とする、請求項3記載の水回収方法。
  5. 前記DSは多価イオンを含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水回収方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017113657A (ja) * 2015-12-21 2017-06-29 株式会社東芝 水処理システムおよび水処理システムに使用される作業媒体
US20220332606A1 (en) * 2021-04-05 2022-10-20 Florida State University Research Foundation, Inc. Plasma activated water production with membrane concentration

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