JP2005340504A - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】InP基板上に半導体層をエピタキシャル成長させる際のウェハの割れや欠けを低減し、PDを歩留まりよく製造できる方法を提供することを目的とする。
【解決手段】n−InP基板100上にn−InGaAsP光吸収層101やn−InGaAs受光層103等からなる半導体多層膜を順次エピタキシャル成長した後、SiN膜を堆積し、パターニングを行う。次に、SiN膜のパターンをマスクとして半導体多層膜をInP基板100までエッチングして複数の島状の半導体多層膜110を形成するとともに、基板の外周部の多層膜も同時にエッチングする。
【選択図】図2

Description

本発明は、多層の半導体膜をエピタキシャル成長した半導体ウェハを用いた場合のウェハ割れを低減し、安定に製造可能な半導体装置の製造方法に関する。
長距離用光通信に用いられる受光素子(Photo Diode:以下PD)としては、一般にInP系化合物半導体が用いられる。PDの作製にあたってはInP基板を使用し、受光層には、受信波長を十分吸収できるような半導体材料、例えば波長1.3μm帯や1.5μm帯を受信するための受光層にはInGaAsPやInGaAsを用いる。これら受光層は、高い受光感度を得るために一定以上の厚さであることが望ましく、受光層は3〜5μm程度の厚膜を必要とする。
一芯の光ファイバで1.3μm帯と1.5μm帯の光をそれぞれ上り、下り信号に用いる一芯双方向通信する場合について具体例を以下に示す。
1本の光ファイバで行う一芯双方向通信では、送受信器としてレーザダイオード(Laser Diode:以下LD)とPDを同一の小さなパッケージ内に設置する。送信波長が1.3μm帯のLDと、1.5μm帯の受信光を受信するPDを使用するモジュールの場合、1.5μm帯を受信するPDは、バンドギャップの関係から、受信光だけでなく、送信光に対する感度もあるため、送信光を感受してしまう。前述したようにLDとPDは小さなパッケージ内に設置されているので、高出力のLDの散乱光はパッケージ内に充満しており、PDには上下左右のあらゆる方向から送信光が入射してしまう。PDが送信光を感受することを、光学的クロストークといい、送信光を感受すると受信光の検知を困難にする。したがって、光学的クロストークはできる限り抑制する必要がある。
光学的クロストークを抑制する上で、信号光を1.4μm程度の吸収端波長を持つInGaAsP光吸収層を介してInGaAs受光層に入射させることが有効である。光学的クロストークを大きく低減させようとするとInGaAsP光吸収層を3〜10μmと非常に厚く堆積させる必要がある。以下にその例を示す。
図3は一芯双方向通信に用いる1.5μm帯信号光を受光するPDの断面構造図を示している。n−InP半導体基板300の上面にn−InGaAsP光吸収層301、n−InPバッファ層302、n−InGaAs受光層303、n−InPウィンドウ層304、n−InGaAsコンタクト層305がこの順に堆積されている。ここで、n−InGaAsコンタクト層305は、P電極308との接触抵抗を下げる目的で所望の形状に加工されている。n−InPウィンドウ層304からn−InGaAs受光層303の一部まではP型領域306となっており、n−InGaAs受光層303中にはPN接合が形成されている。半導体多層膜の一部を除いた領域に絶縁膜307を堆積し、P電極308およびその外周部に遮光メタル309が堆積されている。n−InP半導体基板300の下面には、反射防止膜310が設けられ、反射防止膜310の周囲にはN電極311が設けられている。
図3に示すPDは裏面入射タイプのものであり、反射防止膜310が設けられている側から受信光が入射し、n−InP基板300中を通過した光が受光される。このPDでは、受信光だけでなく送信光も反射防止膜310等から入射されるが、1.4μm程度の吸収端波長を持つInGaAsP光吸収層を介して、光学的クロストークを抑制しようとするものである(例えば特許文献1参照)。
本構造において、n−InGaAs受光層303は高い受光感度を得るために厚さ3〜5μm、n−InGaAsP光吸収層301は光クロストークを抑制するために厚さ3〜10μmを堆積させる。
特開2001−28454号公報
しかしながら、Si等とは違って、InGaAs受光層やInGaAsP光吸収層をエピタキシャル成長によって、厚くしかも多数積層させると、成長時から常温への温度変化でn−InP基板と熱膨張係数が異なることから、ウェハに応力がかかり、反りが発生する。また、応力が大きいとウェハ外周部には格子不整合によるクロスハッチが発生する。ウェハの反りやクロスハッチは、ウェハ加工段階における熱処理等でますます増幅される。また、クロスハッチはエッチング処理等により深く抉れて、ウェハのクラックや割れの起点となる。このように、ウェハの反りやクロスハッチはウェハ割れを引き起こし、加工歩留低下の原因となっている。
本発明は上記問題点を解決し、ウェハの割れや欠けを低減し、PDを歩留まりよく製造できる手法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板上に前記基板と熱膨張係数の異なる少なくとも一層以上の半導体膜をエピタキシャル成長する工程と、前記半導体膜の一部の領域を前記半導体基板まで除去して複数の島状領域を分割形成する工程とを備えている。
前記島状領域を分割形成する工程において、同時に前記基板外周部の前記半導体膜の一部を前記半導体基板まで除去することが好ましい。
前記複数の島状領域を含む前記半導体基板の上に前記半導体基板および前記半導体層と異なる熱膨張係数を有する膜を堆積してもよい。
前記複数の島状領域の間の前記半導体膜が除去された領域をスクライブラインとして用いることが好ましい。
前記複数の島状領域が受光素子の受光領域であることが好ましい。
前記半導体基板はInP基板であり、前記半導体膜がInGaAs層ないしInGaAsP層であることが好ましい。
以上のように本発明によれば、半導体膜が多数積層された半導体基板を用いて半導体素子を作製する場合、半導体膜の一部をエッチング除去して複数の領域に分割することによって、ウェハにかかる応力を分散でき、反りを低減できる。また、同様に、ウェハ外周部の半導体膜の一部をエッチング除去することによって、外周部に発生していたクロスハッチを除去できる。これにより、以降の加工工程でのウェハ割れが低減し、加工歩留り向上に極めて有効である。
以下、本発明の実施の形態について、図1および図2を参照しながら説明する。
図1に本発明の実施の形態における半導体受光素子の製造工程説明図を示す。
まず、図1(a)に示すように、n−InP基板100上に、n−InGaAsP光吸収層101、n−InPバッファ層102、n−InGaAs受光層103、n−InPウィンドウ層104、n−InGaAsコンタクト層105がこの順にエピタキシャル成長によって堆積される。成長温度は500〜600℃である。n−InP基板100、n−InGaAsP光吸収層101、n−InPバッファ層102、n−InGaAs受光層103、n−InPウィンドウ層104、n−InGaAsコンタクト層105の膜厚は、例えば、それぞれ、350μm、5μm、3μm、5μm、2μm、0.3μmである。n−InGaAsP光吸収層101およびn−InGaAs受光層103は厚膜の混晶である。
ここで、n−InGaAsP光吸収層101およびn−InGaAs受光層103は、n−InP基板100に対して格子定数や熱膨張係数が異なることから、成長前後の温度変化によっては、ウェハは全体的に反ってしまい、また、ウェハ外周部では格子不整合に起因するクロスハッチが発生するおそれがある。
次に、図1(b)に示すように、まず、SiN膜106を堆積させ、レジスト107を塗布する。次に、フォトリソグラフィーにより、ウェハ中央部に、複数の領域に分割するパターン領域A108とウェハ外周部パターン領域B109を形成させる。ここで、複数の領域に分割するパターン領域A108は、例えば、(0−1−1)および(0−11)方向に対して、格子状にストライプ窓が形成されている。つまり、レジストで被覆された部分は矩形であり、この矩形が複数配列されたパターン形状となっている。ここで、ストライプ窓幅は40μmであり、矩形はチップの大きさ400μm×400μmとする。また、外周部パターン領域B109はウェハ外周3mmをリング状にレジストの被覆がないパターン形状としている。
次に、図1(c)に示すように、パターニングされたウェハに対し、露出している部分のSiN膜をエッチング後、レジスト除去を行う。
さらに、図1(d)に示すように、領域A108および領域B109のパターニングされたSiN膜をマスクとしてn−InGaAsコンタクト層105〜n−InGaAsP光吸収層101までをエッチングにより除去し、その後、SiN膜を除去する。エッチング方法はウェットエッチングでもドライエッチングでも構わない。ウェットエッチングの場合、n−InGaAsコンタクト層105〜n−InGaAsP光吸収層101までをエッチング選択性のない酢酸系エッチャントで除去しても、エッチング選択性のある塩酸系エッチャントや硫酸系エッチャントを併用して、層毎に除去していってもよい。ただし、n−InP基板100はエッチングしない方がよい。n−InP基板100までエッチングを行ってしまうと、基板が薄くなり、これ以降の工程でウェハ割れを引き起こすからである。
このようにして得られたウェハは、中央部では島状の半導体多層膜となり、外周部は半導体多層膜がない、つまりn−InP基板100が露出する状態となる。
以上のように本実施の形態によれば、半導体多層膜をエッチングにより複数の領域に分割したことにより、ウェハにかかる応力を分散できるので、ウェハの反りを低減できる。また、ウェハ外周部においては、ウェハ割れの起点となるクロスハッチを除去できる。これにより、ウェハ全体にかかる応力を緩和できるので、以降の加工工程におけるウェハ割れが低減できる。
さらに、分離された島状の半導体多層膜110を1チップのPDとすると都合がよい。エッチングされた部分をスクライブライン111としてダイシングできるからである。
図2は本実施の形態における半導体多層膜をエッチングして分割した状態のウェハを上から見た図を示している。ウェハ中央部には、島状の半導体多層膜が複数存在し、1つ1つは互いに孤島のようになっており、この島状の半導体多層膜210の領域1つをPD1チップとする。また、外周部はn−InP基板200が露出しており、クロスハッチは除去されている。
以上の工程に引き続き、以下に示す工程を経て図3に示すPDチップの製造を行った。
まず、n−InGaAsコンタクト層305を所望の形状に加工後、Znの熱拡散によって、n−InPウィンドウ層304からn−InGaAs受光層303の一部までの領域をP型領域306に形成する。これにより、n−InGaAs受光層303中にはPN接合が形成される。次に、SiO2やSiN等の絶縁膜307を堆積し、一部を開口する。絶縁膜307の開口部分から絶縁膜上にかけてP電極308が、また、P電極308の外周部にある程度の隙間を隔てて遮光メタル309がリフトオフにより同時形成される。P電極308や遮光メタル309に用いる金属はTi/Pt/Au等である。
さらに、n−InP半導体基板300の下面には、SiNなどの反射防止膜310が堆積、加工され、反射防止膜310の周囲には、AuGeNi/Au等の金属を用い、リフトオフによってN電極311が形成される。
最後に、図1(d)に示した工程で形成されたスクライブライン111を用いてダイシングを行い、チップを分離し、PDチップが完成する。
上述したように、半導体基板に半導体膜を堆積させた段階で、すでに、ウェハは全体的に反っており、また、外周部はクロスハッチが発生している可能性が高い。従来の製造方法では、このようなウェハ状態で、さらに、表面にInP基板やInGaAs層、InGaAsP層と熱膨張係数の異なる絶縁膜や金属等を堆積させていくため、ウェハには応力がさらに加わり、最終的にウェハが割れるといったことが頻発していた。
それに対し、本実施の形態によれば、表面に絶縁膜や金属等を堆積させていく前に、ウェハにかかっている応力を緩和させているので、ウェハ割れの発生を低減できた。ウェハ割れ率は、本発明を実施しない場合と比較して、50%低減された。また、ウェハ反りに伴うマスク合わせ精度の低下もなく、作業効率の向上も確認された。
なお、本実施の形態では、半導体基板に半導体膜を堆積させた直後に、半導体膜のエッチングを行ったが、必ずしも直後である必要はなく、ウェハ割れの起こりやすい工程の以前に実施すればよく、例えば、研磨工程や複雑な裏面加工工程の前に実施してもよい。また、化合物半導体材料、厚さや開口部等の寸法は、上記で挙げた例に限定されない。さらに、本発明は化合物半導体の受光素子に限定されるものではなく、Si系の半導体素子やその他LEDやレーザ等の半導体素子にも適用され得る。
本発明に係る半導体装置の製造方法は、ウェハ上へのエピタキシャル膜成長時に生じる応力やそりを低減する方法として、特に化合物半導体装置の製造方法として有用である。
本発明の実施の形態における半導体受光素子の製造工程説明図 本発明の実施の形態における半導体多層膜をエッチングして分割した状態のウェハを上から見た図 従来の技術におけるPDの断面構造図
符号の説明
100 n−InP基板
101 n−InGaAsP光吸収層
102 n−InPバッファ層
103 n−InGaAs受光層
104 n−InPウィンドウ層
105 n−InGaAsコンタクト層
106 SiN膜
107 レジスト
108 パターン領域A
109 パターン領域B
110 島状の半導体多層膜
111 スクライブライン
200 n−InP基板
205 n−InGaAsコンタクト層
210 島状の半導体多層膜
211 スクライブライン
300 n−InP基板
301 n−InGaAsP光吸収層
302 n−InPバッファ層
303 n−InGaAs受光層
304 n−InPウィンドウ層
305 n−InGaAsコンタクト層
306 P型領域
307 絶縁膜
308 P電極
309 遮光メタル
310 反射防止膜
311 N電極

Claims (6)

  1. 半導体基板上に前記基板と熱膨張係数の異なる少なくとも一層以上の半導体膜をエピタキシャル成長する工程と、
    前記半導体膜の一部の領域を前記半導体基板まで除去して複数の島状領域を分割形成する工程とを備えた半導体装置の製造方法。
  2. 前記島状領域を分割形成する工程において、同時に前記基板外周部の前記半導体膜の一部を前記半導体基板まで除去することを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
  3. 前記複数の島状領域を含む前記半導体基板の上に前記半導体基板および前記半導体層と異なる熱膨張係数を有する膜を堆積することを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置の製造方法。
  4. 前記複数の島状領域の間の前記半導体膜が除去された領域をスクライブラインとして用いることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
  5. 前記複数の島状領域が受光素子の受光領域であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の半導体素子の製造方法。
  6. 前記半導体基板はInP基板であり、前記半導体膜がInGaAs層ないしInGaAsP層であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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