JP2005340358A - 太陽電池、その製造方法および反射防止膜成膜装置 - Google Patents

太陽電池、その製造方法および反射防止膜成膜装置 Download PDF

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Abstract

【課題】
反射防止膜としてHパッシベーション効果の高い窒化シリコン膜を有する太陽電池を提供する。
【解決手段】
シリコン基板からなる太陽電池の反射防止膜として窒化シリコン膜を用いる。窒化シリコン膜の形成は、反射防止膜形成装置301によって行われる。チャンバー302に搬送されたシリコン基板は搬送室305に格納された搬送装置によって表面波励起プラズマCVD装置303に搬送される。そして、表面波励起プラズマCVD装置303によって窒化シリコン膜が形成される。次に搬送室305に格納された搬送装置によって加熱室304に搬送される。そして加熱室304においてランプヒータにより水素雰囲気中で熱処理がなされる。
【選択図】図3

Description

本発明は、太陽電池、製造方法および反射防止膜成膜装置に関する。
太陽電池は、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換する電子デバイスであり、人工衛星や腕時計、電卓の電源などに実用化されている。太陽電池は、基本的には、n型シリコンとp型シリコンという積層構成の半導体で構成されており、この半導体に光が当たると光電効果により電気が発生する。太陽電池は、太陽光を効率よく吸収するために、通常、太陽電池の受光面を反射防止膜で被覆している。従来、この種の反射防止膜として、プラズマCVD法により、水素を含有する窒化シリコン膜を太陽電池の受光面に形成する技術が知られている(特許文献1)。また、太陽電池の反射防止膜である窒化シリコン膜中の水素が太陽電池のシリコン基板に拡散され、太陽電池の効率が上がるパッシベーション効果が知られている(特許文献2)。
特開2000−299482号公報 特開2003−273382号公報
特許文献1および特許文献2の窒化シリコン膜は、プラズマCVD法による成膜時の成膜条件によって窒化シリコン中の水素の濃度を調節する。このため、Hパッシベーション効果を高めるために窒化シリコン中の水素の含有量を大きくしようとすると、成膜時の反応ガス使用量が増加したり、成膜条件の制御が困難になるなど、生産性の低下をもたらすという問題点があった。また特許文献2では、Hパッシベーション効果を高めるために350℃以上の温度で成膜しなくてはならない。このため、プラズマCVD装置の内部に付着する生成物が多くなり、プラズマCVD装置内のクリーニング頻度が高くなるという問題点があった。
請求項1の発明による太陽電池の製造方法は、結晶性シリコン基板の受光面側に窒化シリコン膜の反射防止膜を形成して成る太陽電池の製造方法において、前記窒化シリコン膜を高密度プラズマCVD法により形成する成膜工程と、前記窒化シリコン膜を水素を含む雰囲気中で熱処理する熱処理工程とを有することを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1の太陽電池の製造方法において、前記成膜工程は、表面波励起プラズマ装置によって成膜することを特徴とする。
請求項3の発明による太陽電池は、請求項1または2の方法で製造されたものである。
請求項4の発明による反射防止膜成膜装置は、結晶性シリコン基板の受光面側に窒化シリコン膜の反射防止膜を形成して成る太陽電池の反射防止膜成膜装置において、前記窒化シリコン膜を高密度プラズマCVD法により形成する成膜手段と、前記窒化シリコン膜を水素を含む雰囲気中で熱処理する熱処理手段とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、生産性を低下させず、またプラズマCVD装置の温度を上げずに太陽電池の反射防止膜として、Hパッシベーション効果の高い窒化シリコン膜の形成が可能となる。
以下、本発明の実施の形態による太陽電池について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態による太陽電池の断面図である。太陽電池1は、p型シリコン基板層11、n型拡散層12、p裏面側不純物拡散層13、反射防止膜14、表面電極15、裏面電極16および半田層17、18から構成される。
p型シリコン基板層11は、ホウ素などの3価元素を微量に加えて作製されたシリコン基板により形成される。p型シリコン基板層は単結晶でも多結晶でもよい。n型拡散層12は、p型シリコン基板の表面にn型のドーパントとしてリンを拡散することによって形成され、p型シリコン基板層11とn型拡散層12によってpn結合が形成される。p裏面側不純物拡散層13は、p型シリコン基板の表面にp型のドーパントとしてアルミニウムを拡散することによって形成される。反射防止膜14には、窒化シリコンが用いられ、表面電極15および裏面電極16はAg電極が用いられる。
以下、本実施の形態の太陽電池の製造方法について、図2を参照しながら説明する。
ステップS201で、p型シリコン基板の表面に微細凹凸構造を形成するために表面処理を行う。アルカリ水溶液でエッチングする方法や反応性イオンエッチング法による方法などによって表面処理を行う。シリコン基板の表面に微細凹凸構造を形成することによってシリコン基板表面の光の反射を抑えることができる。ステップS202で、n型ドーパントをp型シリコン基板の表面から拡散させ、n型拡散層12を形成する。n型ドーパントとしてリン(P)を使用する。POClを用いた気相拡散法、Pを用いた塗布拡散法、Pイオンを直接拡散させるイオン打ち込み法などにより、リンをp型シリコン基板の表面に拡散させる。ステップS203で、n型ドーパントを拡散したp型シリコン基板の一方の面のn型拡散層を除去するためにエッチング処理を行う。ステップS204で、エッチングしたp型シリコン基板の表面からp型のドーパントを拡散させ、p+裏面側不純物拡散層13を形成する。p型のドーパントとしてアルミニウム(Al)を使用する。エッチングしたp型シリコン基板の表面にAlペーストを塗布し、熱処理することによってアルミニウムをp型シリコン基板の表面に拡散させる。
ステップS205で、n型拡散層12の表面に反射防止膜14を形成する。反射防止膜として窒化シリコン膜を使用し、高密度プラズマCVD装置を使用して形成する。ステップS206で、表面電極15および裏面電極16のパターニングを行う。パターニングは、Ag粉、バインダ、フリットからなるAgペーストをスクリーン印刷することによって行う。太陽電池の効率を高めるために電極はくし型パターンに形成される。ステップS207で、印刷されたAgペーストが焼成され、電極が形成される。ステップS208で、半田ディップ法で半田層17、18が形成される。
ステップS204の製造工程まで完了した太陽電池は、図3に示される反射防止膜形成装置301に搬送され、反射防止膜14が形成される。ステップS204の製造工程まで完了した太陽電池を、便宜上、反射防止膜形成前基板311と呼ぶ。反射防止膜形成装置301は、チャンバー302、表面波励起プラズマCVD装置303、加熱室304、搬送室305から構成される。チャンバー302は、反射防止膜形成前基板311が反射防止膜形成装置301に搬送された際、雰囲気を外気から反射防止膜形成装置301内部の雰囲気に置換する装置である。表面波励起プラズマCVD装置303は、反射防止膜形成前基板311の表面に窒化シリコン膜を形成する装置である。加熱室304は、表面波励起プラズマ装置303において窒化シリコン膜が形成された反射防止膜形成前基板311の熱処理をする装置である。搬送室305には、反射防止膜形成前基板311をチャンバー302から表面波プラズマCVD装置303に搬送するとともに、表面波励起プラズマCVD装置303により窒化シリコン膜を形成した反射防止膜形成前基板311を加熱室304に搬送し、加熱室304で熱処理を完了した反射防止膜形成前基板311をチャンバー302に搬送するための搬送装置が格納されている。図3中の矢印A〜Cは、搬入された反射防止膜形成前基板311の移動を順に示す。
図3に示される表面波励起プラズマCVD装置303の詳細を、図4を参照しながら説明する。図4は、表面波励起プラズマCVD装置の概略構成を示す断面図である。表面波励起プラズマCVD装置(以下、SWP−CVD装置という)は、表面波を利用して大面積で高密度のプラズマを容易に発生させることができ、このプラズマは、表面波励起プラズマ(SWP:Surface Wave Plasma)と呼ばれる。
図4において、SWP−CVD装置303は、チャンバー401、マイクロ波導波管402、終端整合器403、スロットアンテナ404、誘電体板405、側面反射板406、プロセスガス導入管407、材料ガス導入管408、真空排気管409および基板ホルダー410を備える。チャンバー401は、その内部空間に生成する表面波励起プラズマPを利用して、基板ホルダー410に保持された基板の表面に成膜するための密閉容器である。基板ホルダー410は、上下方向の移動と回転が可能であり、必要に応じて、成膜対象である基板の加熱、冷却、電界印加などが可能に構成される。
チャンバー401の上部には、石英、アルミナまたはジルコニアなどで作製された誘電体板405が設けられている。誘電体板305の上面に接して、マイクロ波導波管402が載置されている。誘電体板405と接するマイクロ波導波管402の底板には、長矩形の開口であるスロットアンテナ404が複数個設けられている。
成膜ガスのうち、プロセスガス導入管407からチャンバー401へ導入されるプロセスガスは、Nガス、Oガス、Hガス、NOガス、NOガス、NHガス等の反応性活性種の原料となるガスおよびArガス、Heガス、Neガス、Krガス、Xeガス等の希ガスである。成膜ガスのうち材料ガス導入管408からチャンバー401へ導入される材料ガスは、SiHガス、Siガス等のシリコン薄膜或いはシリコン化合物薄膜の成分であるSi元素を含むガスである。
チャンバー401の底板には、不図示の真空排気ポンプに接続される真空排気管409が配設されている。プロセスガス導入管407、材料ガス導入管408を通してそれぞれ所定のガスを所定流量でチャンバー401内に導入しながら排気を行うことによって、チャンバー401内を所定圧力に保持することができる。
上記のように構成されたSWP−CVD装置303では、マイクロ波発生源から周波数2.45GHzのマイクロ波をマイクロ波導波管402内に伝搬させ、終端整合器403によってTE10モードの電磁波の定在波Tを発生させる。そして定在波Tは、定在波Tの波長の間隔に設置したスロットアンテナ404から誘電体板405へ放射される。スロットアンテナ404から放射された電磁波は誘電体板405の内部を伝播し、側面反射板406で囲われた範囲で固有の定在波を発生させる。そして誘電体板405表面に表面波SWを発生させる。この表面波SWによって誘電体板405直下の成膜ガスが電離、解離されて表面波励起プラズマPが生成する。
表面波励起プラズマPはマイクロ波のカットオフ密度以上の電子密度となり、プラズマ境界面で電磁波を全反射し、プラズマ内へ電磁波が吸収されないため、電磁波によるイオン、電子の加熱が生じることがなく、イオンエネルギーは10eV以下の低温を維持する。表面波励起プラズマPは、誘電体板405表面とプラズマ境界面の間でエネルギーの授受が行われ、誘電体板405表面近傍のみに高エネルギーのプラズマが分布し、誘電体表面から離れるにしたがって指数関数的にエネルギーレベルが減少する。誘電体板405から200mm程度の距離ではイオンエネルギーは20ev以下となる。このように表面波励起プラズマPには高エネルギー領域と低エネルギー領域が発生するので、高エネルギー領域でラジカル生成を行い、低エネルギー領域に材料ガスを導入することによって、高効率ラジカル生成と、低ダメージ高速成膜が可能となる。
表面波SWは、誘電体板405の内面全域に拡がるので、表面波励起プラズマPもチャンバー401内でそれに対応した領域に拡がる。よって誘電体板405を拡張することで大面積対応が可能となる。この表面波励起プラズマPを利用して、反射防止膜形成前基板311上に反射防止膜14の成膜を行う。
図3に示される加熱室304の詳細を、図5を参照しながら説明する。図5は、加熱室304の概略構成を示す断面図である。加熱室304は、ランプヒータ501、基板ホルダー502、プロセスガス導入管503および真空排気管504を備える。ランプヒータ501は、ランプから発せられる赤外線によって試料ホルダー502に搭載された反射防止膜形成前基板311を加熱する。プロセスガス導入管503から加熱室304へ導入されるプロセスガスは、Hガスである。加熱室304の底板には、不図示の真空排気ポンプに接続される真空排気管504が配設されている。プロセスガス導入管407を通してそれぞれ所定のガスを所定流量で加熱室304内に導入しながら排気を行うことによって、加熱室304内を所定圧力に保持することができる。
以下、ステップS205の反射防止膜の形成工程を詳述する。
(1)窒化シリコン層の形成
反射防止膜形成前基板311を、搬送室305に格納されている搬送装置によってSWP−CVD装置303の基板ホルダー410にセットして、チャンバー401内を0.01Pa程度の高真空に排気する。プロセスガス導入管407を通してNHガス、Arガスをそれぞれチャンバー401内に導入し、材料ガス導入管408を通してSiHガスをチャンバー401内に導入し、チャンバー401内を圧力4.0Paに保持する。マイクロ波電力2.0kWにより生成した表面波プラズマPにより20秒間の成膜を行い、厚さ800Åの窒化シリコン層14を形成する。この場合のガス流量は、SiHガス、50sccm、NHガス、50sccmおよびArガス、100sccmとした。また、成膜温度は70〜100℃とした。
(2)窒化シリコン層の熱処理
SWP−CVD装置303によって窒化シリコン層を形成した反射防止膜形成前基板311を搬送室305に格納されている搬送装置によってSWP−CVD装置303から加熱室304へ搬送する。そして反射防止膜形成前基板311を基板ホルダー502にセットする。プロセスガス導入管503を通してHガスを加熱室304内に導入する。そしてランプヒータ501によって300℃〜350℃で30分間加熱する。以上のようにして、反射防止膜形成前基板311の反射防止膜14の形成が完了する。
上記のように作製した窒化シリコン膜は高いHパッシベーション効果を有する。以下その理由を説明する。
SWP−CVD装置などの高密度プラズマCVD装置を使用した成膜の速度は非常に速いので、膜厚が数百Å程度の太陽電池の反射防止膜14は短時間に形成される。このため、高密度プラズマCVD装置によって生成された窒化シリコン膜の結晶性は非常に悪くなり、熱処理の際、水素の拡散が容易に進むようになる。よって、窒化シリコン膜中の水素の拡散が容易であるため、雰囲気中の水素は容易にn型拡散層12やp型シリコン基板層11に拡散され、また窒化シリコン膜の水素含有量を高めることができる。このため上記作製した反射防止膜14のHパッシベーション効果は高い。高密度プラズマCVD装置によって生成された窒化シリコン膜は加熱室304によって熱処理されることによって最終的には結晶性の改善された緻密な膜となる。また、窒化シリコン膜を形成した後に膜中の水素含有量を高くする処理を行うため、成膜時の反応ガス使用量が増加したり、成膜条件の制御が困難になるなど、生産性の低下をもたらすという問題点も発生しない。
本実施の形態では、高密度プラズマCVD装置によって反応ガスは完全に解離するので、高密度プラズマCVD装置の内部に付着する生成物の量は少ない。このため、高密度プラズマCVD装置のクリーニングの頻度は少なくなる。また、高密度プラズマCVD装置の内部の温度が低いので、クリーニング作業が可能となる温度に下がるまでに要する時間が短い。このためクリーニングをするために高密度プラズマCVD装置を停止させる時間を短くすることができる。
本実施の形態では、反射防止膜14の成膜装置として、SWP−CVD装置について説明したが、電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマまたは誘導結合プラズマ(ICP)を用いるCVD装置を使用することもできる。SWP−CVD装置、ECR−CVD装置およびICP−CVD装置は、いずれも電子密度が1012cm−3程度の高密度プラズマが得られ、成膜速度が非常に速い。従って、生成が不完全な窒化シリコン膜を作製することができるので、他のプラズマCVD装置に比べてHハッシベーション効果を高くすることができる。
以下、本実施の形態では、SWP−CVD装置303で窒化シリコン膜を形成する際、SiH、NH、Arガスを使用したが、SiH、NH、Nガスを使用してもよい。また、加熱室304で熱処理をする際、反射防止膜形成前基板311の加熱にランプヒータ501を使用したが、ランプヒータ501の代わりにホットプレートやシースヒータを使用してもよい。
本発明の太陽電池の断面図である。 本発明の太陽電池の製造工程を示すフローチャートである。 本願発明の一実施形態である反射防止膜形成装置を説明する図である。 本願発明の一実施形態であるSWP−CVD装置を説明する図である。 本願発明の一実施形態である加熱室を説明する図である。
符号の説明
1 太陽電池
11 p型シリコン基板層
12 n型拡散層
13 p裏面側不純物拡散層
14 反射防止膜
15 表面電極
16 裏面電極
17、18 半田層
301 反射防止膜形成装置301
302 チャンバー
303 表面波励起プラズマCVD装置
304 加熱室
305 搬送室

Claims (4)

  1. 結晶性シリコン基板の受光面側に窒化シリコン膜の反射防止膜を形成して成る太陽電池の製造方法において、
    前記窒化シリコン膜を高密度プラズマCVD法により形成する成膜工程と、
    前記窒化シリコン膜を水素を含む雰囲気中で熱処理する熱処理工程とを有することを特徴とする太陽電池の製造方法。
  2. 請求項1の太陽電池の製造方法において、
    前記成膜工程は、表面波励起プラズマ装置によって成膜することを特徴とする太陽電池の製造方法。
  3. 請求項1または2の方法で製造された太陽電池。
  4. 結晶性シリコン基板の受光面側に窒化シリコン膜の反射防止膜を形成して成る太陽電池の反射防止膜成膜装置において、
    前記窒化シリコン膜を高密度プラズマCVD法により形成する成膜手段と、
    前記窒化シリコン膜を水素を含む雰囲気中で熱処理する熱処理手段とを備えることを特徴とする太陽電池の反射防止膜成膜装置。
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