JP2005340186A - リチウム二次電池正極材料用層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体及びその製造方法と、それを用いたリチウム二次電池用正極、並びにリチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池正極材料用層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体及びその製造方法と、それを用いたリチウム二次電池用正極、並びにリチウム二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウム二次電池正極材料として使用した際に、低コスト化及び高安全性化と電池性能の向上との両立が可能なリチウム二次電池正極材料用層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体を提供する。
【解決手段】組成が下記(I)式で表され、40MPaの圧力で圧密した時の体積抵抗率が5×10Ω・cm以下であり、かつ、含有炭素濃度をC(重量%)、BET比表面積をS(m/g)とした場合、C/S値が0.025以下であるリチウム二次電池正極材料用層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体。限定された組成範囲において、体積抵抗率を規定値以下とし、更に含有炭素濃度を著しく低減させたものとすることにより、低コスト化、高安全性化と電池性能の向上との両立が可能となる。
Li1+zNiMnCo1−x−yδ …(I)
(但し、0<z≦0.91、0.1≦x≦0.55、0.20≦y≦0.90、0.50≦x+y≦1、1.9≦δ≦3)

Description

本発明は、リチウム二次電池正極材料用層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体及びその製造方法と、この層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体を用いたリチウム二次電池用正極、並びにこのリチウム二次電池用正極を備えるリチウム二次電池に関する。
リチウム二次電池は、エネルギー密度及び出力密度等に優れ、小型、軽量化に有効であるため、ノート型パソコン、携帯電話及びハンディビデオカメラ等の携帯機器の電源としてその需要は急激な伸びを示している。リチウム二次電池はまた、電気自動車や電力のロードレベリング等の電源としても注目されている。
現在、リチウム二次電池用の正極活物質材料としては、スピネル構造を有するリチウムマンガン系複合酸化物、層状リチウムニッケル系複合酸化物、層状リチウムコバルト系複合酸化物が用いられている。これらのリチウム系複合酸化物を用いたリチウム二次電池は、いずれも特性面で利点と欠点とを有する。即ち、スピネル構造を有するリチウムマンガン系複合酸化物は、安価かつ合成が比較的容易であり、電池とした時の安全性に優れる反面、容量が低く、高温特性(サイクル、保存)が劣る。層状リチウムニッケル系複合酸化物は、容量が高く、高温特性に優れる反面、合成が難しく、電池とした時の安定性に劣り、保管にも注意を要する等の欠点を抱えている。層状リチウムコバルト系複合酸化物は、合成が容易かつ電池性能バランスが優れているため、携帯機器用の電源として広く用いられているが、安全性が不十分な点や高コストである点が大きな欠点となっている。
こうした現状において、これらの正極活物質材料が抱えている欠点が克服乃至は極力低減され、かつ電池性能バランスに優れる活物質材料の有力候補として、層状構造を有するリチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物が提案された。特に近年における低コスト化要求、安全化要求の高まりの中で、この二つの要求に応え得る正極活物質材料として有望視されている。ただし、その低コスト化及び安全性の程度は組成比、特にNi/Mn/Co比率によって変化するため、更なる低コスト化、より高い安全性の要求に対しては、本発明者らが規定する限られた組成範囲のものを選択して使用する必要がある。
しかしながら、このような低コストかつ安全性が高い組成範囲の層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物を正極材料として使用したリチウム二次電池は、充放電容量や出力特性等の電池本来の性能が低下するため、実用化に際しては電池性能の向上のために更なる改良が必要であった。
従来、安全性の比較的高いリチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物組成領域について、電池性能の改善を図った特許文献として、特開2002−110167号公報が開示されている。該文献において、電池性能の改善が図られる理由の一つとして、リチウム/遷移金属(ニッケル、マンガン、コバルト)比率の選択が考えられる。しかしながら、この文献には本発明の電池性能改善のための要件である体積抵抗率について記載が無い。また、不純物構成成分として副反応をひき起こしたり、正極活物質の表面や粒界に存在し、リチウムイオンの吸蔵・放出反応を阻害する等して電池性能に影響を与える含有炭素濃度についての記載もなく、体積抵抗率や含有炭素濃度の電池性能への影響についての認識は全くない。
また、当該文献に記載される、共沈法による製法では、得られる共沈水酸化物前駆体の比表面積が低いために、焼成段階において、この前駆体とリチウム化合物との反応性が低く、未反応リチウムが炭酸化して残留しやすい。また、その後のリチウム化合物との混合が不十分であるために、リチウム化合物が不均一に局在している箇所に余剰リチウム分が炭酸化して残留することにより、本発明で規定する低炭素濃度のリチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物を得ることは極めて困難である。
特開2002−110167号公報
本発明は、リチウム二次電池正極材料としての使用において、低コスト化及び高安全性化と電池性能向上との両立が可能なリチウム二次電池正極材料用層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体及びその製造方法と、この層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体を用いたリチウム二次電池用正極、並びにこのリチウム二次電池用正極を備えるリチウム二次電池を提供することを目的とする。
本発明のリチウム二次電池正極材料用層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体は、組成が下記(I)式で表され、40MPaの圧力で圧密した時の体積抵抗率が5×10Ω・cm以下であり、かつ、含有炭素濃度をC(重量%)、BET比表面積をS(m/g)とした場合、C/S値が0.025以下であることを特徴とする。
Li1+zNiMnCo1−x−yδ …(I)
(但し、0<z≦0.91、0.1≦x≦0.55、0.20≦y≦0.90、0.50≦x+y≦1、1.9≦δ≦3)
本発明のリチウム二次電池正極材料用層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体は、組成が下記(II)式で表され、40MPaの圧力で圧密した時の体積抵抗率が5×10Ω・cm以下であり、かつ、含有炭素濃度をC(重量%)、BET比表面積をS(m/g)とした場合、C/S値が0.025以下であるものが好ましい。
Li1+zNiMnCo1−x−y …(II)
(但し、0<z≦0.15、0.20≦x≦0.55、0.20≦y≦0.55、0.50≦x+y≦1)
更に、式(I)及び式(II)において、Mn/Ni原子比率を表わすy/xが、0.95≦y/x≦2.5であることが好ましい。
即ち、本発明者らは、鋭意検討の結果、限定された組成範囲の層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物において、体積抵抗率を規定値以下とし、更に含有炭素濃度を著しく低減させたものとすることにより、リチウム二次電池正極材料として、低コスト化、高安全性化と電池性能の向上との両立が可能な層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
なお、層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物の体積抵抗率を規定値以下とする方法については、特に限定されないが、例えば、後述するように、リチウム/遷移金属(ニッケル、マンガン、コバルト)比率や、活物質表面・粒界に存在し得る未反応物や不純物等の抵抗成分の低減、などにより実現できると考えられる。また、層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物の含有炭素濃度を著しく低減する方法についても特に限定されないが、後述の如く、例えば、原料の選択や、原料の粉砕程度、原料の高比表面積化、原料の混合度の向上等による焼成時の反応性向上などにより実現できると考えられる。
本発明のリチウム二次電池正極材料用層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体は、含有炭素濃度Cは0.025重量%以下であることが好ましく、嵩密度は1.5g/cc以上で、平均一次粒子径Bは0.1〜3μm、二次粒子のメジアン径Aは3〜20μmの範囲にあることが好ましい。また、BET比表面積は0.2〜2.5m/gであることが好ましい。
本発明のリチウム二次電池正極材料用層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体の製造方法は、このような本発明のリチウム二次電池正極材料用層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体を製造する方法であって、ニッケル化合物、マンガン化合物、及びコバルト化合物を、液体媒体中で平均粒子径0.3μm以下まで粉砕し、均一に分散させたスラリーを噴霧乾燥して、一次粒子が凝集して二次粒子を形成してなる粉体とした後、リチウム化合物と十分に混合し、該混合物を酸素含有ガス雰囲気中で焼成することを特徴とする。
本発明のリチウム二次電池用正極は、このような本発明のリチウム二次電池正極材料用層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体と結着剤とを含有する正極活物質層を集電体上に有することを特徴とする。
本発明のリチウム二次電池は、リチウムを吸蔵・放出可能な負極、リチウム塩を含有する非水電解質、及びリチウムを吸蔵・放出可能な正極を備えたリチウム二次電池であって、正極としてこのような本発明のリチウム二次電池用正極を用いたことを特徴とする。
本発明のリチウム二次電池正極材料用層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体は、リチウム二次電池正極材料として用いた場合、低コスト化及び高安全性化と電池性能の向上との両立を図ることができる。このため、本発明によれば、安価で安全性が高く、しかも電池性能に優れたリチウム二次電池が提供される。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に限定されるものではない。
[層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物]
本発明のリチウム二次電池正極材料用層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体は、組成が下記(I)式で表され、40MPaの圧力で圧密した時の体積抵抗率が5×10Ω・cm以下であり、かつ、含有炭素濃度をC(重量%)、BET比表面積をS(m/g)とした場合、C/S値が0.025以下であることを特徴とする。
Li1+zNiMnCo1−x−yδ …(I)
(但し、0<z≦0.91、0.1≦x≦0.55、0.20≦y≦0.90、0.50≦x+y≦1、1.9≦δ≦3)
上記(I)式において、zの値は0より大で、好ましくは0.02以上、より好ましくは0.04以上、最も好ましくは0.05以上であり、0.91以下、好ましくは0.75以下、より好ましくは0.55以下、更に好ましくは0.35以下、最も好ましくは0.15以下である。この下限を下回ると未反応物が残ったり、結晶構造が不安定化しやすくなったり、導電性が低下する虞があり、上限を超えると遷移金属サイトに置換する量が多くなりすぎて電池容量が低くなる等、これを使用したリチウム二次電池の性能低下を招く虞がある。
xの値は0.10以上、好ましくは0.15以上、より好ましくは0.20以上、0.55以下、好ましくは0.50以下、より好ましくは0.45以下である。この下限を下回ると電池容量が低くなる虞があり、上限を超えると安全性が低下しやすくなる。
yの値は0.20以上、好ましくは0.25以上、より好ましくは0.30以上、0.90以下、好ましくは0.70以下、より好ましくは0.55以下である。この下限を下回ると、貯蔵安定性が低下して劣化しやすくなり、上限を超えると異相が生成しやすくな
ったり、電池性能低下を招きやすくなる。
x+yの値は0.50以上、好ましくは0.60以上、より好ましくは0.65以上、更に好ましくは0.7以上であり、1以下、好ましくは0.95以下、より好ましくは0.90以下、最も好ましくは0.85以下である。この下限を下回ると電池とした時の安全性が損なわれる虞がある。この上限は低くなるほど電池性能が向上しやすくなるので好ましい。
δの値は通常1.9以上、好ましくは1.95以上、より好ましくは1.97以上、さらに好ましくは1.98以上、最も好ましくは2以上であり、通常3以下、好ましくは2.9以下、より好ましくは2.7以下、さらに好ましくは2.5以下、最も好ましくは2.2以下である。この下限は高いほど結晶構造が安定になり、電池性能が向上しやすくなるので好ましい。この上限は低くなるほど電池性能が向上しやすくなるので好ましい。
層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体の組成(Li/Ni/Mn/Co)はICP−AES分析により求めることができる。
(I)式中の酸素量δは、例えば組成分析により求めたLi/(Ni+Mn+Co)比と、化学分析(モール塩を用いた酸化還元滴定やヨードメトリーなど)により求めたNi+Mn+Coの平均原子価から電気中性の原理を用いて求めることができる。
特に、本発明のリチウム二次電池正極材料用層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物は、組成が下記(II)式で表され、40MPaの圧力で圧密した時の体積抵抗率が5×10Ω・cm以下であり、かつ、含有炭素濃度をC(重量%)、BET比表面積をS(m/g)とした場合、C/S値が0.025以下であることが好ましい。
Li1+zNiMnCo1−x−y …(II)
(但し、0<z≦0.15、0.20≦x≦0.55、0.20≦y≦0.55、0.50≦x+y≦1)
上記(II)式において、zの値は0より大で、好ましくは0.02以上、より好ましくは0.04以上、最も好ましくは0.05以上であり、0.15以下、好ましくは0.12以下、より好ましくは0.10以下、最も好ましくは0.08以下である。この下限を下回ると未反応物が残ったり、結晶構造が不安定化しやすくなったり、導電性が低下する虞があり、上限を超えると遷移金属サイトに置換する量が多くなりすぎて電池容量が低くなる等、これを使用したリチウム二次電池の性能低下を招く虞がある。
xの値は0.20以上、好ましくは0.25以上、より好ましくは0.30以上、0.55以下、好ましくは0.50以下、より好ましくは0.45以下である。この下限を下回ると電池容量が低くなる虞があり、上限を超えると安全性が低下しやすくなる。
yの値は0.20以上、好ましくは0.25以上、より好ましくは0.30以上、0.55以下、好ましくは0.50以下、より好ましくは0.45以下である。この下限を下回ると、貯蔵安定性が低下して劣化しやすくなり、上限を超えると異相が生成しやすくなったり、電池性能低下を招きやすくなる。
x+yの値は0.50以上、好ましくは0.60以上、より好ましくは0.65以上、更に好ましくは0.7以上であり、1以下、好ましくは0.95以下、より好ましくは0.90以下、最も好ましくは0.85以下である。この下限を下回ると電池とした時の安全性が損なわれる虞がある。この上限は低くなるほど電池性能が向上しやすくなるので好ましい。
また、前記(I)式、好ましくは前記(II)式で表される本発明の層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体は、特に安全性及び貯蔵安定性向上の観点から、Mn/Ni原子比率を表わすy/xの値が、通常0.95以上、好ましくは1以上、また、電池容量の観点から、通常2.5以下、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.3以下、最も好ましくは1.1以下の範囲であることが好ましい。
特に、上記(II)式の組成範囲において、Li/(Ni+Mn+Co)モル比が定比である1に近い程C/S値が低くなるが、一方で体積抵抗率が高くなるという傾向が見られ、逆にLi/(Ni+Mn+Co)モル比が定比より大きくなる程C/S値が高くなるが、体積抵抗率が低くなるという傾向が見られる。また、Mn/Ni原子比率が1以上の場合、本発明は、とりわけこの相反する傾向を打破すべく鋭意検討を行った結果、完成されたものであり、双方を規定値以下とすることが重要である。
なお、上記(II)式の組成においては、酸素量の原子比は便宜上2と記載しているが、多少の不定比性があっても良い。
また、本発明の層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物は、その構造内に置換元素Mが導入されても良い。置換元素Mは、Al,Fe,Ti,Mg,Cr,Ga,Cu,Zn,Nb,Zr,Mo,W,Snの何れか一種以上の中から選択される。
本発明の層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体を40MPaの圧力で圧密した時の体積抵抗率の値は、通常5×10Ω・cm以下、好ましくは2×10Ω・cm以下、より好ましくは1×10Ω・cm以下、特に好ましくは2×10Ω・cm以下、最も好ましくは1×10Ω・cm以下である。この体積抵抗率がこの上限を超えると、電池とした時のレート特性や低温特性などが低下する虞がある。体積抵抗率の下限は、5×10Ω・cm以上、好ましくは1×10Ω・cm以上、更に好ましくは5×10Ω・cm以上、最も好ましくは1×10Ω・cm以上である。体積抵抗率がこの下限を下回ると、電池とした時の安全性などが低下する虞がある。
なお、本発明において、層状リチウムニッケルマンガン系複合酸化物粉体の体積抵抗率は、四探針・リング電極、電極間隔5.0mm、電極半径1.0mm、試料半径12.5mmで、印加電圧リミッタを90Vとして、層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体を40MPaの圧力で圧密した時の体積抵抗率である。体積抵抗率の測定は、例えば、粉体抵抗率測定装置(例えば、ダイアインスツルメンツ社製:ロレスターGP粉体抵抗率測定システム)を用い、粉体用プローブユニットにより、所定の加圧下の粉体に対して行うことができる。
本発明の層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体のC/S値は、0.025以下、好ましくは0.020以下、更に好ましくは0.017以下、最も好ましくは0.015以下である。この上限を超えると、電池とした時のガス発生による膨れが増大したり、電池性能が低下する虞がある。
ここで、C/S値は、単位比表面積当たりの層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体の含有炭素濃度を表す。即ち、層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体の含有炭素濃度Cは比表面積Sに依存するため、比表面積の異なる試料間において正当に比較しようとする場合、単位比表面積当たりに換算して比較する必要がある。このC/S値は、層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体の炭素量と比表面積とから算出することができ、本発明では、後述の実施例の項で示すそれぞれの測定方法によって得られた値を用いて求められる。即ち、本発明において、層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体の含有炭素濃度Cは、後述の如く、酸素気流中燃焼(高周波加熱炉式)赤外吸収法による測定で求められる。また、層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体の比表面積は、公知のBET式粉体比表面積測定装置によって測定される。具体的には、吸着ガスに窒素、キャリアガスにヘリウムを使用し、連続流動法によるBET1点式法測定を行う。まず、粉体試料を吸着ガスとキャリアガスの混合ガスにより150℃の温度で加熱脱気し、次いで液体窒素温度まで冷却して混合ガスを吸着させる。これを水により室温まで加温して吸着された窒素ガスを脱着させ、その量を熱伝導度検出器によって検出し、これから試料の比表面積を算出する。
なお、後述の炭素分析により求めた層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体の含有炭素濃度から、当該炭素を全て炭酸イオン由来と仮定した数値と、イオンクロマトグラフィーにより分析した層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体中の炭酸イオン濃度とがよく一致することから、層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体中の炭素は概ね炭酸として存在すると考えられ、従って、C/S値は、単位比表面積当たりの炭酸化合物、特に炭酸リチウムの付着量についての情報を示すものとみなすことができる。
本発明のリチウム二次電池正極材料用層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体は、含有炭素濃度Cが0.025重量%以下であることが好ましい。含有炭素濃度はより好ましくは0.020重量%以下、更に好ましくは0.015重量%以下、最も好ましくは0.010重量%以下である。含有炭素濃度Cがこの上限を超えると、本発明の電池性能を維持することが困難となる。
なお、層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体を電池としたときのガス発生量は、例えば以下に示す方法によって測定することができる。
シート状のリチウム二次電池を作製し、これをエタノール浴中に浸して体積を測定した後、60℃において0.5Cの定電流充電を行い、4.25Vに到達した後、定電圧充電に切り替え、1週間連続充電を行う。この電池を冷却させた後、エタノール浴中に浸して体積を測定し、連続充電の前後の体積変化から発生したガス量を求める。
本発明のリチウム二次電池正極材料用層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体は、嵩密度が1.5g/cc以上で、平均一次粒子径Bが0.1〜3μm、二次粒子のメジアン径Aが3〜20μmであることが好ましい。
本発明の層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物は、一次粒子が凝集して中実な二次粒子を形成してなる粉体であることが好ましい。このような形態は、粉体物性と電池性能の双方を向上させるために有効であり、この形態を得るための製法としては、噴霧乾燥法により製造されることが好ましいが、これに限定されない。前記特徴的形状の具体的確認方法としては、SEM観察、断面SEM観察が挙げられる。
本発明の層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物の平均一次粒子径としては、通常0.1μm以上、好ましくは0.2μm以上、更に好ましくは0.3μm以上、最も好ましくは0.4μm以上で、通常3μm以下、好ましくは2μm以下、更に好ましくは1μm以下、最も好ましくは0.6μm以下である。上記上限を超えると球状の二次粒子を形成し難く、粉体充填性に悪影響を及ぼしたり、比表面積が大きく低下するために、レート特性や出力特性等の電池性能が低下する可能性が高くなるため好ましくない。上記下限を下回ると結晶が未発達であるために充放電の可逆性が劣る等の問題を生ずる虞があるため好ましくない。
また、本発明の層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物の二次粒子のメジアン径Aは通常3μm以上、好ましくは5μm以上、より好ましくは9μm以上、最も好ましくは10μm以上で、通常20μm以下、好ましくは18μm以下、より好ましくは16μm以下、最も好ましくは15μm以下である。上記下限を下回ると、高嵩密度品が得られなくなる虞があり、上限を超えると電池性能の低下を来したり、正極活物質層形成時の塗布性に問題を生ずる虞があるため好ましくない。
また、本発明の層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物の二次粒子の90%積算径(D90)は通常30μm以下、好ましくは26μm以下、より好ましくは23μm以下、最も好ましくは20μm以下で、通常5μm以上、好ましくは8μm以上、より好ましくは12μm以上、最も好ましくは15μm以上である。上記上限を超えると電池性能の低下を来したり、正極活物質層形成時の塗布性に問題が生ずる虞があり、下限を下回ると高嵩密度品が得られなくなる虞があるため好ましくない。ここで規定する90%積算径(D90)は屈折率1.24で設定した場合の値である。
本発明の層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体の嵩密度は通常1.5g/cc以上、好ましくは1.7g/cc以上、より好ましくは1.9g/cc以上、最も好ましくは2.1g/cc以上である。この下限を下回ると粉体充填性や電極調製に悪影響を及ぼし、また、これを活物質とする正極は単位容積当たりの容量密度が小さくなりすぎて好ましくない。また、嵩密度の上限は通常3g/cc以下、好ましくは2.8g/cc以下、より好ましくは2.6g/cc以下である。嵩密度がこの上限を上回ることは、粉体充填性や電極密度向上にとって好ましい一方、比表面積が低くなり過ぎる虞があり、電池性能が低下するため好ましくない。
なお、本発明において、層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体の平均一次粒子径は30,000倍で観察したSEM画像より求められたものである。また、二次粒子のメジアン径Aは、公知のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置によって、屈折率1.24を設定し、粒子径基準を体積基準として測定されたものである。本発明では、測定の際に用いる分散媒として、0.1重量%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を用い、5分間の超音波分散後に測定を行った。また、嵩密度は、層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体5〜10gを10mlのガラス製メスシリンダーに入れ、ストローク約20mmで200回タップした時の粉体充填密度(タップ密度)である。
本発明の層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物はまた、BET比表面積が、0.2m/g以上、好ましくは0.3m/g以上、更に好ましくは0.4m/g以上で、2.5m/g以下、好ましくは1.5m/g以下、より好ましくは1.2m/g以下、更に好ましくは0.9m/g以下、最も好ましくは0.6m/g以下である。BET比表面積がこの範囲よりも小さいと電池性能が低下しやすく、大きいと嵩密度が上がりにくくなったり、正極活物質形成時の塗布性に問題が発生しやすい。
[層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物の製造方法]
本発明の層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物は、例えば、ニッケル化合物、マンガン化合物、コバルト化合物を液体媒体中に分散させたスラリーを噴霧乾燥後、リチウム化合物と混合し、該混合物を焼成して製造することができる。
層状リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の体積抵抗率を下げると共に、C/S値を下げて、本発明の層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体を得るためには、いくつかの工夫点を採用することが重要であり、適切な原料を使用したり、好ましい製造法を適用しないと規定した範囲内のものを得るのは容易ではない。例えば、前述したように、本発明における特定の遷移金属組成比において、Li/(Ni+Mn+Co)モル比を制御したうえで、本発明の製造方法に従って、遷移金属化合物原料の粉砕度などを制御することが重要であると考えられる。
以下に本発明の層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体の製造方法を詳細に説明する。
本発明の方法により、層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物を製造するに当たり、スラリーの調製に用いる原料化合物のうち、ニッケル化合物としては、Ni(OH)2、NiO、NiOOH、NiCO3・2Ni(OH)2・4H2O、NiC24・2H2O、Ni(NO32・6H2O、NiSO4、NiSO4・6H2O、脂肪酸ニッケル、ニッケルハロゲン化物等が挙げられる。この中でも、焼成処理の際にNOX及びSOX等の有害物質を発生させない点で、窒素原子や硫黄原子を含有しない、Ni(OH)2、NiO、NiOOH、NiCO3・2Ni(OH)2・4H2O、NiC24・2H2Oのようなニッケル化合物が好ましい。また、更に工業原料として安価に入手できる観点、及び反応性が高いという観点から、特に好ましいのはNi(OH)2、NiO、NiOOHである。これらのニッケル化合物は1種を単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
また、マンガン化合物としてはMn23、MnO2、Mn34等のマンガン酸化物、MnCO3、Mn(NO32、MnSO4、酢酸マンガン、ジカルボン酸マンガン、クエン酸マンガン、脂肪酸マンガン等のマンガン塩、オキシ水酸化物、塩化マンガン等のハロゲン化物等が挙げられる。これらのマンガン化合物の中でも、MnO、Mn23、Mn34は、焼成処理の際にNOX及びSOX、CO等のガスを発生せず、更に工業原料として安価に入手できるため好ましい。これらのマンガン化合物は1種を単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
また、コバルト化合物としては、Co(OH)2、CoOOH、CoO、Co23、Co34、Co(OCOCH32・4H2O、CoCl2、Co(NO32・6H2O、Co(SO42・7H2O等が挙げられる。中でも、焼成工程の際にNOX及びSOX等の有害物質を発生させない点で、Co(OH)2、CoOOH、CoO、Co23、Co34が好ましく、更に好ましくは、工業的に安価に入手できる点及び反応性が高い点でCo(OH)2、CoOOHである。これらのコバルト化合物は1種を単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
原料の混合方法は特に限定されるものではなく、湿式でも乾式でも良い。例えば、ボールミル、振動ミル、ビーズミル等の装置を使用する方法が挙げられる。湿式混合は、より均一な混合が可能であり、かつ焼成工程において混合物の反応性を高めることができるので好ましい。
混合の時間は、混合方法により異なるが、原料が粒子レベルで均一に混合されていれば良く、例えばボールミル(湿式又は乾式)では通常1時間から2日間程度、ビーズミル(湿式連続法)では滞留時間が通常0.1時間から6時間程度である。
なお、原料の混合段階においてはそれと並行して原料の粉砕が為されていることが好ましい。
ここで、原料の粉砕程度は本発明に重要な役割を果たしていると考えられる。即ち、上記遷移金属化合物原料の粉砕度は、とりわけ本発明の規定するC/S値に影響を与える重要な一因子と考えられる。粉砕度が低く、粉砕後の原料粒子の粒径が大きい場合、その後のリチウム原料との反応性が低下するため、未反応リチウムの残存率が増加する結果、残存リチウムが焼成段階ないしは焼成後に炭酸化して残留し、大きなC/S値となりやすい。一方、粉砕度が高く、原料粒子の粒径が小さい場合、その後のリチウム原料との反応性が向上するため、未反応リチウムの残存率が減少する結果、焼成段階ないしは焼成後に炭酸化して残留しにくくなり、小さなC/S値とすることが可能となる。
粉砕の程度としては、粉砕後の原料粒子の粒径が指標となるが、平均粒子径(メジアン径)として通常0.3μm以下、好ましくは0.25μm以下、更に好ましくは0.2μm以下、最も好ましくは0.15μm以下とする。粉砕後の原料粒子の平均粒子径が大きすぎると、前記の如く焼成工程における反応性が低下するため、規定するC/Sの範囲内とするのが困難になるのに加え、組成を均一化し難くなる。ただし、必要以上に小粒子化することは、粉砕のコストアップに繋がるので、平均粒子径が通常0.01μm以上、好ましくは0.02μm以上、更に好ましくは0.05μm以上となるように粉砕すれば良い。このような粉砕程度を実現するための手段としては特に限定されるものではないが、湿式粉砕法が好ましい。具体的にはダイノーミル等を挙げることができる。なお、本発明の実施例に記載のスラリー中の粉砕粒子のメジアン径は、公知のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置によって、屈折率1.24を設定し、粒子径基準を体積基準に設定して測定されたものである。本発明では、測定の際に用いる分散媒として、0.1重量%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を用い、5分間の超音波分散後に測定を行った。
湿式粉砕後は、次いで通常乾燥工程に供される。乾燥方法は特に限定されないが、生成する粒子状物の均一性や粉体流動性、粉体ハンドリング性能、球状の二次粒子を効率よく形成できる等の観点から噴霧乾燥が好ましい。
湿式粉砕により平均粒子径0.3μm以下に粉砕した後噴霧乾燥することにより、一次粒子が凝集して中実な二次粒子を形成してなる粉体を得ることができる。一次粒子が凝集して中実な二次粒子を形成してなる粉体は、本発明品の形状的特徴である。このような形状的特徴としては、粒子サイズの変化はあるものの、基本的にLi原料と混合・焼成して得られる層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体にも反映される。形状の確認方法としては、例えば、SEM観察、断面SEM観察が挙げられる。
噴霧乾燥により得られる粒子状物の平均粒子径は通常50μm以下、より好ましくは40μm以下、最も好ましくは30μm以下となるようにする。ただし、あまりに小さな粒径は得にくい傾向にあるので、通常は3μm以上、好ましくは5μm以上、より好ましくは6μm以上である。噴霧乾燥法で粒子状物を製造する場合、その粒子径は、噴霧形式、加圧気体流供給速度、スラリー供給速度、乾燥温度等を適宜選定することによって制御することができる。なお、本発明の実施例に記載の、噴霧乾燥して得られた粒子状粉末のメジアン径は、公知のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置によって、屈折率1.24を設定し、粒子径基準を体積基準にして測定されたものである。本発明では、測定の際に用いる分散媒として、0.1重量%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を用い、5分間の超音波分散後に測定を行った。
また、噴霧乾燥により得られる粒子状物は、比表面積が低いと、次工程のリチウム化合物との焼成反応により層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物を作製するに当たって、リチウム化合物との反応性が低下してしまうため、前記の如く、噴霧乾燥前に出発原料を粉砕するなどの手段により、できるだけ高比表面積化されていることが好ましい。一方で、過度に高比表面積化しようとすると、工業的に不利となる。従って、これによって得られた噴霧乾燥粒子は、BET比表面積にして通常20m/g以上、好ましくは30m/g以上、より好ましくは40m/g以上、更に好ましくは50m/g以上、最も好ましくは60m/g以上で、通常200m/g以下、好ましくは150m/g以下とすることが好ましい。
噴霧乾燥により得られた造粒粒子に混合するリチウム化合物としては、LiCO、LiNO、LiNO、LiOH、LiOH・HO、LiH、LiF、LiCl、LiBr、LiI、CHOOLi、LiO、LiSO、ジカルボン酸Li、クエン酸Li、脂肪酸Li、アルキルリチウム等が挙げられる。これらリチウム化合物の中で好ましいのは、焼成処理の際にNO及びSO等の有害物質を発生させない点で、窒素原子や硫黄原子を含有しないリチウム化合物であり、また、焼成処理後の含有炭素濃度を極力低減させる点で、炭素原子を含有しない化合物であり、これらの点を勘案すると、とりわけLiOH、LiOH・HOが好ましい、これらのリチウム化合物は1種を単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
このようなリチウム化合物の粒径としては、ニッケル原料、マンガン原料、コバルト原料を含有する混合物との混合性を上げるため、且つ電池性能を向上させるために、平均粒子径で、通常500μm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、更に好ましくは20μm以下、最も好ましくは10μm以下である。一方、あまりに小さな粒径のものは、大気中での安定性が低いために平均粒子径で通常0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上、更に好ましくは0.2μm以上、最も好ましくは0.5μm以上である。なお、後述の実施例において原料として使用した水酸化リチウムの平均粒子径としてのメジアン径は、公知のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置によって、屈折率1.14を設定し、粒子径基準を体積基準として測定されたものである。本発明では、測定の際に用いる分散媒としてエチルアルコールを用い、水酸化リチウムの飽和溶液とした後、5分間の超音波分散後に測定を行った。
特定の製造条件を固定した場合には、噴霧乾燥により得られた造粒粒子にリチウム化合物を混合する際のリチウム化合物の遷移金属に対する仕込量を調節することで、Li/(Ni+Mn+Co)モル比を制御することができる。
噴霧乾燥により得られた粉体とリチウム化合物との混合は十分に行うことが重要である。十分に混合出来る限りにおいて、この混合手法に特に制限はないが、一般的に工業用として使用されている粉体混合装置を使用するのが好ましい。混合する系内の雰囲気としては、大気中での炭酸吸収を防ぐために、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気とするのが好ましい。
このようにして得られた混合粉体は、次いで焼成処理される。この焼成条件は、組成や使用するリチウム化合物原料にも依存するが、傾向として、焼成温度が高すぎると一次粒子が成長しすぎ、逆に低すぎると嵩密度が小さく、また比表面積が大きくなりすぎる。焼成温度としては、通常800℃以上、好ましくは900℃以上、更に好ましくは950℃以上、通常1100℃以下、好ましくは1075℃以下、更に好ましくは1050℃以下である。
焼成には、例えば、箱形炉、管状炉、トンネル炉、ロータリーキルン等を使用することができる。焼成工程は、通常、昇温・最高温度保持・降温の三工程に分けられる。二番目の最高温度保持工程は必ずしも一回とは限らず、目的に応じて二段階又はそれ以上の段階をふませてもよい。二次粒子を破壊しない程度に凝集を解消することを意味する解砕工程又は、一次粒子或いは更に微小粉末まで砕くことを意味する粉砕工程を挟んで、昇温・最高温度保持・降温の工程を二回又はそれ以上繰り返しても良い。
昇温工程は通常1℃/分以上10℃/分以下の昇温速度で炉内を昇温させる。この昇温速度があまり遅すぎても時間がかかって工業的に不利であるが、あまり速すぎても炉によっては炉内温度が設定温度に追従しなくなる。
最高温度保持工程での保持時間は、温度によっても異なるが、通常前述の温度範囲であれば30分以上、好ましくは5時間以上、更に好ましくは10時間以上で、50時間以下、好ましくは25時間以下、更に好ましくは20時間以下である。焼成時間が短すぎると結晶性の良いリチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体が得られ難くなり、長すぎるのは実用的ではない。焼成時間が長すぎると、その後解砕が必要になったり、解砕が困難になったりするので不利である。
降温工程では、通常0.1℃/分以上10℃/分以下の降温速度で炉内を降温させる。降温速度があまり遅すぎても時間がかかって工業的に不利であるが、あまり速すぎても目的物の均一性に欠けたり、容器の劣化を早める傾向にある。
焼成時の雰囲気は、空気等の酸素含有ガス雰囲気を用いることができる。通常は酸素濃度が1体積%以上、好ましくは10体積%以上で100体積%以下、好ましくは50体積%以下の雰囲気とする。
このようにして得られた層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物によれば、容量が高く、レート特性に優れ、低温出力特性にも優れた、性能バランスの良いリチウム二次電池用正極材料を提供される。
[リチウム二次電池用正極]
本発明のリチウム二次電池用正極は、本発明のリチウム二次電池正極材料用層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体及び結着剤を含有する正極活物質層を集電体上に形成してなるものである。
正極活物質層は、通常、正極材料と結着剤と更に必要に応じて用いられる導電材及び増粘剤等を、乾式で混合してシート状にしたものを正極集電体に圧着するか、或いはこれらの材料を液体媒体中に溶解又は分散させてスラリー状にして、正極集電体に塗布、乾燥することにより作成される。
正極集電体の材質としては、通常、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ、チタン、タンタル等の金属材料や、カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素材料が用いられる。中でも金属材料が好ましく、アルミニウムが特に好ましい。また、形状としては、金属材料の場合、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金属薄膜、エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタル等が、炭素材料の場合、炭素板、炭素薄膜、炭素円柱等が挙げられる。中でも、金属薄膜が、現在工業化製品に使用されているため好ましい。なお、薄膜は適宜メッシュ状に形成しても良い。
正極集電体として薄膜を使用する場合、その厚さは任意であるが、通常1μm以上、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、また通常100mm以下、好ましくは1mm以下、より好ましくは50μm以下の範囲が好適である。上記範囲よりも薄いと、集電体として必要な強度が不足する虞がある一方で、上記範囲よりも厚いと、取り扱い性が損なわれる虞がある。
正極活物質層の製造に用いる結着剤としては、特に限定されず、塗布法の場合は、電極製造時に用いる液体媒体に対して安定な材料であれば良いが、具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、フッ素ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体及びその水素添加物、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・エチレン共重合体、スチレン・イソプレンスチレンブロック共重合体及びその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子、アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
正極活物質層中の結着剤の割合は、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、更に好ましくは5重量%以上であり、通常80重量%以下、好ましくは60重量%以下、更に好ましくは40重量%以下、最も好ましくは10重量%以下である。結着剤の割合が低すぎると、正極活物質を十分保持できずに正極の機械的強度が不足し、サイクル特性等の電池性能を悪化させてしまう虞がある一方で、高すぎると、電池容量や導電性の低下につながる虞がある。
正極活物質層には、通常、導電性を高めるために導電材を含有させる。その種類に特に制限はないが、具体例としては、銅、ニッケル等の金属材料や、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、アセチレンブラック等のカーボンブラック、ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素材料などを挙げることができる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。正極活物質層中の導電材の割合は、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは1重量%以上であり、また、通常50重量%以下、好ましくは30重量%以下、更に好ましくは15重量%以下である。導電材の割合が低すぎると導電性が不十分になることがあり、逆に高すぎると電池容量が低下することがある。
スラリーを形成するための液体媒体としては、正極材料であるリチウムニッケル系複合酸化物粉体、結着剤、並びに必要に応じて使用される導電材及び増粘剤を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いても良い。水系溶媒の例としては水、アルコールなどが挙げられ、有機系溶媒の例としてはN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、アセトン、ジメチルエーテル、ジメチルアセタミド、ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルフォキシド、ベンゼン、キシレン、キノリン、ピリジン、メチルナフタレン、ヘキサン等を挙げることができる。特に、水系溶媒を用いる場合、増粘剤に併せて分散剤を加え、SBR等のラテックスを用いてスラリー化する。なお、これらの溶媒は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
正極活物質層中の正極材料としての本発明の層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体の含有割合は、通常10重量%以上、好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上であり、通常99.9重量%以下、好ましくは99重量%以下である。正極活物質層中の層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体の割合が多すぎると正極の強度が不足する傾向にあり、少なすぎると容量の面で不十分となることがある。
また、正極活物質層の厚さは、通常10μm以上200μm以下程度である。
なお、塗布、乾燥によって得られた正極活物質層は、正極活物質の充填密度を上げるために、ローラープレス等により圧密化することが好ましい。
[リチウム二次電池]
本発明のリチウム二次電池は、リチウムを吸蔵・放出可能な上記の本発明のリチウム二次電池用正極と、リチウムを吸蔵・放出可能な負極と、リチウム塩を電解塩とする非水電解質とを備える。更に、正極と負極との間に、非水電解質を保持するセパレータを備えていても良い。正極と負極との接触による短絡を効果的に防止するには、このようにセパレータを介在させるのが望ましい。
負極は通常、正極と同様に、負極集電体上に負極活物質層を形成して構成される。
負極集電体の材質としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料や、カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素材料が用いられる。中でも金属材料の場合、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金属薄膜等が、炭素材料の場合、炭素板、炭素薄膜、炭素円柱等が挙げられる。中でも、金属薄膜が、現在工業化製品に使用されていることから好ましい。なお、薄膜は適宜メッシュ状に形成しても良い。負極集電体として金属薄膜を使用する場合、その好適な厚さの範囲は、正極集電体について上述した範囲と同様である。
負極活物質層は、負極活物質を含んで構成される。負極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば、その種類に他に制限はないが、通常は安全性の高さの面から、リチウムを吸蔵、放出できる炭素材料が用いられる。
炭素材料としては、その種類に特に制限はないが、人造黒鉛、天然黒鉛等の黒鉛(グラファイト)や、様々な熱分解条件での有機物の熱分解物が挙げられる。有機物の熱分解物としては、石炭系コークス、石油系コークス、石炭系ピッチの炭化物、石油系ピッチの炭化物、或いはこれらピッチを酸化処理したものの炭化物、ニードルコークス、ピッチコークス、フェノール樹脂、結晶セルロース等の炭化物等及びこれらを一部黒鉛化した炭素材、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ピッチ系炭素繊維等が挙げられる。中でも黒鉛が好ましく、特に好適には、種々の原料から得た易黒鉛性ピッチに高温熱処理を施すことによって製造された、人造黒鉛、精製天然黒鉛、又はこれらの黒鉛にピッチを含む黒鉛材料等であって、種々の表面処理を施したものが主として使用される。これらの炭素材料は、それぞれ1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
負極活物質として黒鉛材料を用いる場合、学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)が、通常0.335nm以上、また、通常0.34nm以下、好ましくは0.337nm以下であるものが好ましい。
また、黒鉛材料の灰分が、黒鉛材料の重量に対して通常1重量%以下、中でも0.5重量%以下、特に0.1重量%以下であることが好ましい。
更に、学振法によるX線回折で求めた黒鉛材料の結晶子サイズ(Lc)が、通常30nm以上、中でも50nm以上、特に100nm以上であることが好ましい。
また、レーザー回折・散乱法により求めた黒鉛材料のメジアン径が、通常1μm以上、中でも3μm以上、更には5μm以上、特に7μm以上、また、通常100μm以下、中でも50μm以下、更には40μm以下、特に30μm以下であることが好ましい。
また、黒鉛材料のBET法比表面積は、通常0.5m/g以上、好ましくは0.7m/g以上、より好ましくは1.0m/g以上、更に好ましくは1.5m/g以上、また、通常25.0m/g以下、好ましくは20.0m/g以下、より好ましくは15.0m/g以下、更に好ましくは10.0m/g以下であることが好ましい。
更に、黒鉛材料についてアルゴンレーザー光を用いたラマンスペクトル分析を行った場合に、1580〜1620cm−1の範囲で検出されるピークPの強度Iと、1350〜1370cm−1の範囲で検出されるピークPの強度Iとの強度比I/Iが、0以上0.5以下であるものが好ましい。また、ピークPの半価幅は26cm−1以下が好ましく、25cm−1以下がより好ましい。
なお、上述の各種の炭素材料の他に、リチウムの吸蔵及び放出が可能なその他の材料の負極活物質として用いることもできる。炭素材料以外の負極活物質の具体例としては、酸化錫や酸化ケイ素などの金属酸化物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金などが挙げられる。これらの炭素材料以外の材料は、それぞれ1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、上述の炭素材料と組み合わせて用いても良い。
負極活物質層は、通常は正極活物質層の場合と同様に、上述の負極活物質と、結着剤と、必要に応じて導電材及び増粘剤とを液体媒体でスラリー化したものを負極集電体に塗布し、乾燥することにより製造することができる。スラリーを形成する液体媒体や結着剤、増粘剤、導電材等としては、正極活物質層について上述したものと同様のものを使用することができる。
電解質としては、例えば公知の有機電解液、高分子固体電解質、ゲル状電解質、無機固体電解質等を用いることができるが、中でも有機電解液が好ましい。有機電解液は、有機溶媒に溶質(電解質)を溶解させて構成される。
ここで、有機溶媒の種類は特に限定されないが、例えばカーボネート類、エーテル類、ケトン類、スルホラン系化合物、ラクトン類、ニトリル類、塩素化炭化水素類、エーテル類、アミン類、エステル類、アミド類、リン酸エステル化合物等を使用することができる。代表的なものを列挙すると、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、4−メチル−2−ペンタノン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、1,2−ジクロロエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等が挙げられ、これらの単独若しくは2種類以上の混合溶媒が使用できる。
上述の有機溶媒には、電解塩を解離させるために、高誘電率溶媒を含めることが好ましい。ここで、高誘電率溶媒とは、25℃における比誘電率が20以上の化合物を意味する。高誘電率溶媒の中でも、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、及び、それらの水素原子をハロゲン等の他の元素又はアルキル基等で置換した化合物が、電解液中に含まれることが好ましい。高誘電率溶媒の電解液に占める割合は、好ましくは20重量%以上、更に好ましくは30重量%以上、最も好ましくは40重量%以上である。高誘電率溶媒の含有量が上記範囲よりも少ないと、所望の電池特性が得られない場合がある。
電解塩であるリチウム塩の種類も特に限定されず、従来公知の任意の溶質を使用することができる。具体例としては、LiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiB(C、LiBOB、LiCl、LiBr、CHSOLi、CFSOLi、LiN(SOCF、LiN(SO、LiC(SOCF、LiN(SOCF等が挙げられる。これらの電解塩は任意の1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
電解塩のリチウム塩は電解液中に、通常0.5mol/L以上1.5mol/L以下となるように含有させる。電解液中のリチウム塩濃度が0.5mol/L未満でも1.5mol/Lを超えても電気伝導度が低下し、電池特性に悪影響を与えることがある。下限としては0.75mol/L以上、上限として1.25mol/L以下が好ましい。
電解液中には、CO、NO、CO、SO等のガスやビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、ポリサルファイドS 2−など負極表面にリチウムイオンの効率良い充放電を可能にする良好な被膜を形成する添加剤を、任意の割合で添加しても良い。
高分子固体電解質を使用する場合にも、その種類は特に限定されず、固体電解質として公知の任意の結晶質・非晶質の無機物を用いることができる。結晶質の無機固体電解質としては、例えば、LiI、LiN、Li1+xTi2−x(PO(J=Al、Sc、Y、La)、Li0.5―3xRE0.5+xTiO(RE=La、Pr、Nd、Sm)等が挙げられる。また、非晶質の無機固体電解質としては、例えば、4.9LiI−34.1LiO−61B、33.3LiO−66.7SiO等の酸化物ガラス等が挙げられる。これらは任意の1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いても良い。
電解質として前述の有機電解液を用いる場合には、電極同士の短絡を防止するために、正極と負極との間にセパレータが介装される。セパレータの材質や形状は特に制限されないが、使用する有機電解液に対して安定で、保液性に優れ、且つ、電極同士の短絡を確実に防止できるものが好ましい。好ましい例としては、各種の高分子材料からなる微多孔性のフィルム、シート、不織布等が挙げられる。高分子材料の具体例としては、ナイロン、セルロースアセテート、ニトロセルロース、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等のポリオレフィン高分子が用いられる。特に、セパレータの重要な因子である化学的及び電気化学的な安定性の観点からは、ポリオレフィン系高分子が好ましく、電池におけるセパレータの使用目的の一つである自己閉塞温度の点からは、ポリエチレンが特に望ましい。
ポリエチレンからなるセパレータを用いる場合、高温形状維持性の点から、超高分子ポリエチレンを用いることが好ましく、その分子量の下限は好ましくは50万、更に好ましくは100万、最も好ましくは150万である。他方、分子量の上限は、好ましくは500万、更に好ましくは400万、最も好ましくは300万である。分子量が大きすぎると流動性が低くなりすぎてしまい、加熱された時にセパレータの孔が閉塞しない場合があるからである。
本発明のリチウム二次電池は、上述した本発明のリチウム二次電池用正極と、負極と、電解質と、必要に応じて用いられるセパレータとを、適切な形状に組み立てることにより製造される。更に、必要に応じて外装ケース等の他の構成要素を用いることも可能である。
本発明のリチウム二次電池の形状は特に制限されず、一般的に採用されている各種形状の中から、その用途に応じて適宜選択することができる。一般的に採用されている形状の例としては、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプなどが挙げられる。また、電池を組み立てる方法も特に制限されず、目的とする電池の形状に合わせて、通常用いられている各種方法の中から適宜選択することができる。
以上、本発明のリチウム二次電池の一般的な実施形態について説明したが、本発明のリチウム二次電池は上記実施形態に制限されるものではなく、その要旨を超えない限りにおいて、各種の変形を加えて実施することが可能である。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制限されるものではない。なお、製造されたリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物の物性等は各々次のようにして測定した。
結晶相:粉末X線回折パターンにより同定した。
比表面積S:BET法により求めた。
平均一次粒子径B:30,000倍のSEM画像により求めた。
二次粒子のメジアン径A:超音波分散5分後に測定した。
二次粒子の90%積算径(D90):超音波分散5分後に測定した。
嵩密度:試料粉体5〜10gを10mlのガラス製メスシリンダーに入れ、ストローク
約20mmで200回タップした時の粉体充填密度として求めた。
含有炭素濃度C:数十〜100mgの試料を空焼きした磁性るつぼに秤り取り、助燃剤
を加えて、酸素気流中、高周波加熱炉で炭素を燃焼抽出した。燃焼ガ
ス中のCOを、(株)堀場製作所製:EMIA−520炭素硫黄分
析計を使用して、非分散赤外吸光光度法により定量した。感度較正に
は社団法人日本鉄鋼連盟製「150−15低合金鋼1号」(C保証値
:0.469重量%)を使用した。
体積抵抗率:粉体抵抗率測定装置(ダイアインスツルメンツ社製:ロレスターGP粉体
抵抗率測定システム)を用い、試料重量3gとし、粉体用プローブユニッ
ト(四探針・リング電極、電極間隔5.0mm、電極半径1.0mm、試
料半径12.5mm)により、印加電圧リミッタを90Vとして、種々加
圧下の粉体の体積抵抗率〔Ω・cm〕を測定し、40MPaの圧力下にお
ける体積抵抗率の値について比較した。
また、スラリー中の粉砕粒子の平均粒子径としてのメジアン径は、公知のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置によって、屈折率1.24を設定し、粒子径基準を体積基準として測定した。
また、原料LiOH粉末の平均粒子径としてのメジアン径は、公知のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置によって、分散媒としてエチルアルコールを用い、水酸化リチウムの飽和溶液とした後、5分間の超音波分散後、屈折率1.14を設定し、粒子径基準を体積基準として測定した。また、噴霧乾燥により得られた粒子状粉末の形態はSEM観察及び断面SEM観察により確認し、平均粒子径としてのメジアン径乃至90%積算径(D90)は、公知のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置によって、屈折率1.24を設定し、粒子径基準を体積基準として測定し、比表面積はBET法により測定した。
(実施例1)
Ni(OH)、Mn及びCo(OH)を、Ni:Mn:Co=1:1:1のモル比となるように秤量し、混合した後、これに純水を加えてスラリーを調製した。このスラリーを攪拌しながら、循環式媒体攪拌型湿式粉砕機を用いて、スラリー中の固形分をメジアン径0.15μmに粉砕した。
スラリーをスプレードライヤーにより噴霧乾燥して得られた粒子状粉末(一次粒子が凝集して中実な二次粒子を形成してなる粉体。平均粒子径(メジアン径):11.7μm、BET比表面積:46m/g)に、平均粒子径(メジアン径)20μm以下に粉砕したLiOH粉末をLi/(Ni+Mn+Co)モル比にして1.10の比で添加した。この混合前粉末約6gを100ml広口ポリ瓶に入れ、密栓してストローク約20cm、1分間当たり約160回で20分間手振り混合した。この焼成前混合物をアルミナ製るつぼに仕込み、空気流通下、950℃で10時間焼成(昇降温速度5℃/min)した後、解砕して、組成がLi1.09Ni0.33Mn0.33Co0.34の層状構造を有するリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物を得た。この平均一次粒径Bは0.5μmで、メジアン径Aは10.8μm、90%積算径(D90)は17.8μm、嵩密度は2.0g/cc、BET比表面積は1.053m/g、含有炭素濃度は0.020重量%であり、C/S値は0.019であった。体積抵抗率は1.8×10Ω・cmであった。
(実施例2)
Ni(OH)、Mn及びCo(OH)を、Ni:Mn:Co=2:2:1のモル比となるように秤量して混合した後、これに純水を加えてスラリーを調製した。このスラリーを攪拌しながら、循環式媒体攪拌型湿式粉砕機を用いて、スラリー中の固形分をメジアン径0.15μmに粉砕した。
スラリーをスプレードライヤーにより噴霧乾燥して得られた粒子状粉末(一次粒子が凝集して中実な二次粒子を形成してなる粉体。平均粒子径:8.9μm、BET比表面積:48m/g)に、平均粒子径20μm以下に粉砕したLiOH粉末をLi/(Ni+Mn+Co)モル比にして1.10の比で添加した。この混合前粉末約13gを100ml広口ポリ瓶に入れ、密栓して20分間手振り混合した。この焼成前混合物をアルミナ製るつぼに仕込み、空気流通下、950℃で10時間焼成(昇降温速度5℃/min)した後、解砕して、組成がLi1.06Ni0.40Mn0.40Co0.20の層状構造を有するリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物を得た。この平均一次粒径Bは0.5μmで、メジアン径Aは8.6μm、90%積算径(D90)は13.8μm、嵩密度は1.7g/cc、BET比表面積は1.238m/g、含有炭素濃度は0.025重量%であり、C/S値は0.020であった。体積抵抗率は3.1×10Ω・cmであった。
(実施例3)
Ni(OH)、Mn及びCo(OH)を、Ni:Mn:Co=1:1:1のモル比となるように秤量し、混合した後、これに純水を加えてスラリーを調製した。このスラリーを攪拌しながら、循環式媒体攪拌型湿式粉砕機を用いてスラリー中の固形分を平均粒子径0.21μmに粉砕した。
スラリーをスプレードライヤーにより噴霧乾燥して得られた粒子状粉末(一次粒子が凝集して中実な二次粒子を形成してなる粉体。平均粒子径:11.8μm、BET比表面積:68m/g)に、平均粒子径20μm以下に粉砕したLiOH粉末をLi/(Ni+Mn+Co)モル比にして1.10の比で添加した。この混合前粉末約3kgをハイスピードミキサーを用い、窒素雰囲気下、アジテーターの回転数を300rpm/min、チョッパーの回転数を3000rpm/minとして、1時間かけて混合した。この焼成前混合物をアルミナ製角鉢に仕込み、空気流通下、990℃で12時間焼成(昇降温速度5℃/min)した後、解砕して、組成がLi1.04Ni0.33Mn0.33Co0.34の層状構造を有するリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物を得た。この平均一次粒径Bは1μmで、メジアン径Aは10.5μm、90%積算径(D90)は16.7μm、嵩密度は2.1g/cc、BET比表面積は0.560m/g、含有炭素濃度は0.0097重量%であり、C/S値は0.017であった。体積抵抗率は1.7×10Ω・cmであった。
(比較例1)
実施例1と同様にして調製したスラリーをスプレードライヤーにより噴霧乾燥して得られた粒子状粉末(BET比表面積:46m/g)に、平均粒子径20μm以下に粉砕したLiOH粉末をLi/(Ni+Mn+Co)モル比にして1.20の比で添加した。この混合前粉末約6gを100ml広口ポリ瓶に入れ、密栓して20分間手振り混合した。この焼成前混合物をアルミナ製るつぼに仕込み、空気流通下、950℃で10時間焼成(昇降温速度5℃/min)した後、解砕して、組成がLi1.20Ni0.33Mn0.33Co0.34の層状構造を有するリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物を得た。この平均一次粒径Bは0.5μmで、メジアン径Aは11.2μm、90%積算径(D90)は18.5μm、嵩密度は2.0g/cc、BET比表面積は0.817m/g、含有炭素濃度は0.029重量%であり、C/S値は0.035であった。体積抵抗率は3.6×10Ω・cmであった。
(比較例2)
実施例2と同様にして調製したスラリーを湿式粉砕処理することなくスプレードライヤーにより噴霧乾燥して得られた粒子状粉末(BET比表面積:48m/g)に、平均粒子径20μm以下に粉砕したLiOH粉末をLi/(Ni+Mn+Co)モル比にして1.05の比で添加した。この混合前粉末約13gを100ml広口ポリ瓶に入れ、密栓して20分間手振り混合した。この焼成前混合物をアルミナ製るつぼに仕込み、空気流通下、950℃で10時間焼成(昇降温速度5℃/min)した後、解砕して、組成がLi0.99Ni0.40Mn0.40Co0.20の層状構造を有するリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物を得た。この平均一次粒径Bは0.5μmで、メジアン径Aは8.3μm、90%積算径(D90)は12.9μm、嵩密度は1.8g/cc、BET比表面積は1.010m/g、含有炭素濃度は0.014重量%であり、C/S値は0.014であった。体積抵抗率は6.1×10Ω・cmであった。
(比較例3)
Ni:Mn:Co=1:1:1のモル比からなる共沈複合水酸化物粉末(BET比表面積:6m/g)に、平均粒子径20μm以下に粉砕したLiOH粉末をLi/(Ni+Mn+Co)モル比にして1.10の比で添加した。この混合前粉末約13gを100ml広口ポリ瓶に入れ、密栓して20分間手振り混合した。この焼成前混合物をアルミナ製角鉢に仕込み、空気流通下、900℃で12時間焼成(昇降温速度5℃/min)した後、解砕して、組成がLi1.03Ni0.33Mn0.33Co0.34の層状構造を有するリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物を得た。この平均一次粒径Bは1μmで、メジアン径Aは14.4μm、90%積算径(D90)は20.0μm、嵩密度は2.4g/cc、BET比表面積は0.460m/g、含有炭素濃度は0.043重量%であり、C/S値は0.093であった。体積抵抗率は4.6×10Ω・cmであった。
(比較例4)
Ni(OH)、Mn及びCo(OH)を、Ni:Mn:Co=19:19:2のモル比となるように秤量して混合した後、これに純水を加えてスラリーを調製した。このスラリーを攪拌しながら、循環式媒体攪拌型湿式粉砕機を用いて、スラリー中の固形分をメジアン径0.16μmに粉砕した。
スラリーをスプレードライヤーにより噴霧乾燥して得られた粒子状粉末(一次粒子が凝集して中実な二次粒子を形成してなる粉体。平均粒子径:11.5μm、BET比表面積:46m/g)に、平均粒子径20μm以下に粉砕したLiOH粉末をLi/(Ni+Mn+Co)モル比にして1.20の比で添加した。この混合前粉末約26.5gを250ml広口ポリ瓶に入れ、密栓して20分間手振り混合した。この焼成前混合物をアルミナ製るつぼに仕込み、空気流通下、950℃で10時間焼成(昇降温速度5℃/min)した後、解砕して、組成がLi1.18Ni0.47Mn0.48Co0.05の層状構造を有するリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物を得た。この平均一次粒径Bは0.6μmで、メジアン径Aは10.5μm、90%積算径(D90)は16.9μm、嵩密度は1.8g/cc、BET比表面積は1.085m/g、含有炭素濃度は0.038重量%であり、C/S値は0.035であった。体積抵抗率は1.1×10Ω・cmであった。
〈電池の作製及び評価〉
実施例1〜3及び比較例1〜4で製造した層状リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物粉体を用いて、以下の方法で電池の作製及び評価を行った。
(1)初期充放電容量:
実施例1〜3及び比較例1〜4で製造した層状リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物粉体を各々75重量%、アセチレンブラック20重量%、ポリテトラフルオロエチレンパウダー5重量%の割合で秤量したものを乳鉢で十分混合し、薄くシート状にしたものを9mmφのポンチを用いて打ち抜いた。この際、全体重量は約8mgになるように調整した。これをアルミニウムエキスパンドメタルに圧着して、9mmφの正極とした。
9mmφの正極を試験極とし、リチウム金属板を対極とし、EC(エチレンカーボネート):DMC(ジメチルカーボネート):EMC(エチルメチルカーボネート)=3:3:4(容量比)の溶媒にLiPFを1mol/Lで溶解した電解液を用い、厚さ25μmの多孔性ポリエチレンフィルムをセパレータとしてコイン型セルを組み立てた。
得られたコイン型セルについて、0.2mA/cmの定電流で、充電上限電圧を4.3V、放電下限電圧を3.0Vとして充放電を行った。この時の充放電容量(mAh/g)の結果を表1−2に示した。なお、実施例の合格判定基準として、該放電容量が160mAh/g以上を設定した。
(2)低温負荷特性試験:
実施例1〜3及び比較例1〜4で製造した層状リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物粉体を各々75重量%、アセチレンブラック20重量%、ポリテトラフルオロエチレンパウダー5重量%の割合で秤量したものを乳鉢で十分混合し、薄くシート状にしたものを9mmφ及び12mmφのポンチを用いて打ち抜いた。この際、全体重量は各々約8mmg、約18mgになるように調整した。これをアルミニウムエキスパンドメタルに圧着して、9mmφ及び12mmφの正極とした。
9mmφの正極を試験極とし、リチウム金属板を対極とし、EC(エチレンカーボネート):DMC(ジメチルカーボネート):EMC(エチルメチルカーボネート)=3:3:4(容量比)の溶媒にLiPFを1mol/Lで溶解した電解液を用い、厚さ25μmの多孔性ポリエチレンフィルムをセパレータとしてコイン型セルを組み立てた。
得られたコイン型セルについて、0.2mA/cmの定電流定電圧充電、即ち正極からリチウムイオンを放出させる反応を上限4.2Vで行った。次いで0.2mA/cmの定電流放電、即ち正極にリチウムイオンを吸蔵させる反応を下限3.0Vで行った際の、正極活物質単位重量当たりの初期充電容量をQs(C)[mAh/g]、初期放電容量をQs(D)[mAh/g]とした。
負極活物質として平均粒子径8〜10μmの黒鉛粉末(d002=3.35Å)、バインダーとしてポリフッ化ビニリデンをそれぞれ用い、これらを重量比で92.5:7.5の割合で秤量し、これをN−メチルピロリドン溶液中で混合し、負極合剤スラリーとした。このスラリーを20μmの厚さの銅箔の片面に塗布し、乾燥して溶媒を蒸発させた後、12mmφに打ち抜き、0.5ton/cmでプレス処理をしたものを負極とした。この時、電極上の負極活物質の量は約5〜12mgになるように調節した。
なお、この負極を試験極とし、リチウム金属を対極として電池セルを組み、0.2mA/cm−3mVの定電流−定電圧法(カット電流0.05mA)で負極にリチウムイオンを吸蔵させる試験を下限0Vで行った際の、負極活物質単位重量当たりの初期吸蔵容量をQf[mAh/g]とした。
上記正極、負極を組み合わせ、コインセルを使用して試験用電池を組み立て、その電池性能を評価した。即ち、コインセルの正極缶の上に、作製した上述の正極を置き、その上にセパレータとして厚さ25μmの多孔性ポリエチレンフィルムを置き、ポリプロピレン製ガスケットで押さえた後、非水電解液として、EC(エチレンカーボネート):DMC(ジメチルカーボネート):EMC(エチルメチルカーボネート)=3:3:4(容量比)の溶媒にLiPFを1mol/Lで溶解した電解液を用い、これを缶内に加えてセパレータに十分染み込ませた後、上述の負極を置き、負極缶を載せて封口し、コイン型のリチウム二次電池を作製した。なお、この時、正極活物質の重量と負極活物質重量のバランスは、ほぼ以下の式を満たすように設定した。
正極活物質重量[g]/負極活物質重量[g]
=(Qf[mAh/g]/1.2)Qs(C)[mAh/g]
こうして得られた電池の低温負荷特性を測定するため、電池の1時間率電流値、即ち1Cを下式の様に設定し、以下の試験を行った。
1C[mA]=Qs(D)×正極活物質重量[g]/h
まず、室温で定電流0.2C充放電2サイクル及び定電流1C充放電1サイクルを行った。なお、充電上限は4.1V、下限電圧は3.0Vとした。次に、1/3C定電流充放電により、充電深度40%に調整したコインセルを−30℃の低温雰囲気に1時間以上保持した後、定電流0.5C[mA]で10秒間放電させた時の10秒後の電圧をV[mV]、放電前の電圧をV[mV]とした時、△V=V−Vとして下式より抵抗値R[Ω]を算出した。
R[Ω]=△V[mV]/0.5C[mA]
表1−2に、実施例1〜3及び比較例1〜4の層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物をそれぞれ正極活物質として使用した電池で測定した抵抗値を示す。抵抗値が小さい程、低温負荷特性が良好であることを表す。なお、実施例の合格判定基準として、該抵抗値が400Ω以下であることを設定した。
Figure 2005340186
表1より次のことが明らかである。
比較例1では、Li量が多すぎるため、未反応リチウムが炭酸化して残留しやすくなり、表面や粒界に炭酸リチウムが存在していると推定され、C/S値が大きく、電池の初期充放電容量が小さい。
比較例2では、Li量が少なすぎるため導電性が低く、電池の低温抵抗が大きい。
比較例3では、リチウムと混合する前のニッケル・マンガン・コバルト粉末が、共沈法で作られ、BET比表面積が小さいことから、焼成時のリチウムとの反応性が低く、未反応リチウムが炭酸化して残留し、C/S値が高く、電池の低温抵抗が大きい。
比較例4では、Li量が多すぎるため、未反応リチウムが炭酸化して残留しやすくなり、表面や粒界に炭酸リチウムが存在していると推定され、C/S値が大きく、電池の初期充放電容量が小さく、低温抵抗が大きい。
これに対し、特定の体積抵抗率及びC/S値を満たす本発明の層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体を正極材料として用いることにより、容量が高く、低温出力特性にも優れた、性能バランスの良いリチウム二次電池が提供される。
本発明のリチウム二次電池の用途は特に限定されず、公知の各種の用途に用いることが可能である。具体例としては、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、ストロボ、カメラ、自動車用動力源等を挙げることができる。

Claims (9)

  1. 組成が下記(I)式で表され、
    40MPaの圧力で圧密した時の体積抵抗率が5×10Ω・cm以下であり、かつ、
    含有炭素濃度をC(重量%)、BET比表面積をS(m/g)とした場合、C/S値が0.025以下である
    ことを特徴とするリチウム二次電池正極材料用層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体。
    Li1+zNiMnCo1−x−yδ …(I)
    (但し、0<z≦0.91、0.1≦x≦0.55、0.20≦y≦0.90、0.50≦x+y≦1、1.9≦δ≦3)
  2. 組成が下記(II)式で表され、
    40MPaの圧力で圧密した時の体積抵抗率が5×10Ω・cm以下であり、かつ、
    含有炭素濃度をC(重量%)、BET比表面積をS(m/g)とした場合、C/S値が0.025以下である
    ことを特徴とするリチウム二次電池正極材料用層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体。
    Li1+zNiMnCo1−x−y …(II)
    (但し、0<z≦0.15、0.20≦x≦0.55、0.20≦y≦0.55、0.50≦x+y≦1)
  3. 請求項1又は2において、式(I)及び式(II)における、Mn/Ni原子比率を表わすy/xが、0.95≦y/x≦2.5であることを特徴とするリチウム二次電池正極材料用層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項において、含有炭素濃度Cが0.025重量%以下であることを特徴とするリチウム二次電池正極材料用層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項において、嵩密度が1.5g/cc以上で、平均一次粒子径Bが0.1〜3μm、二次粒子のメジアン径Aが3〜20μmの範囲にあることを特徴とするリチウム二次電池正極材料用層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項において、BET比表面積が0.2〜2.5m/gであることを特徴とするリチウム二次電池正極材料用層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体。
  7. ニッケル化合物、マンガン化合物、及びコバルト化合物を、液体媒体中で平均粒子径0.3μm以下まで粉砕し、均一に分散させたスラリーを噴霧乾燥して、一次粒子が凝集して二次粒子を形成してなる粉体とした後、リチウム化合物と十分に混合し、該混合物を酸素含有ガス雰囲気中で焼成することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のリチウム二次電池正極材料用層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体の製造方法。
  8. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のリチウム二次電池正極材料用層状リチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体と結着剤とを含有する正極活物質層を集電体上に有することを特徴とするリチウム二次電池用正極。
  9. リチウムを吸蔵・放出可能な負極、リチウム塩を含有する非水電解質、及びリチウムを吸蔵・放出可能な正極を備えたリチウム二次電池であって、正極として請求項8に記載のリチウム二次電池用正極を用いたことを特徴とするリチウム二次電池。
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