JP2005338260A - イエロートナー、画像形成方法及びプロセスカートリッジ - Google Patents

イエロートナー、画像形成方法及びプロセスカートリッジ Download PDF

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Abstract

【課題】 彩度、透明性及び耐光性が良好であり、且つ耐ブリード性の良いイエロートナー、このイエロートナーを用いる画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】 結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有するイエロートナーにおいて、トナーの酸価を2〜40mgKOH/gとし、着色剤として下記一般式(1)で表される染料を用いる。
【化1】
Figure 2005338260


(上記式中、R及びRはそれぞれ水素原子、ヒドロキシル基又はハロゲン原子のいずれかを示し、R〜Rはそれぞれ水素原子、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基又はスルホン酸塩基のいずれかを示し、R〜R10はそれぞれ水素原子、ヒドロキシル基、ジメチルアミド基又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等の画像形成方法において形成される静電荷像の現像に用いるイエロートナー及び該イエロートナーを使用するフルカラー画像形成方法及びイエロートナーを使用するプロセスカートリッジに関するものである。
フルカラー複写機においては、四つの像担持体と無端形状の中間転写体を有し、各像担持体上にそれぞれ静電荷像を形成し、形成された静電荷像をシアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー及びブラックトナーを用い、減色混合作用を利用して各色のトナーを重ね合わせることで現像し、現像により形成された各色のトナー画像をOHPシートや普通紙等の転写材上に最終的に重ね合わせて転写し、転写材上に重ね合わせたトナー画像を転写材に定着させることで所望のカラー画像を形成している。
カラー画像の画質を向上させる観点から、彩度、透明性及び耐光性に優れ、また着色力の高いカラートナーが要求されている。これに対し、トナーに含有される着色剤からのアプローチとしてこれまで様々な検討が為されている。
トナーの着色剤として顔料を使用する場合、耐光性には優れるがトナー結着樹脂に対して不溶性であるため、粒径数十〜数百nmの粒子としてトナー結着樹脂中に分散することになり、彩度の低下とOHP画像における透明性の低下が問題となる。そこで、含水顔料をフラッシング法により樹脂中に分散させる方法(例えば、特許文献1参照)、あらかじめ水中で微粒径に加工した顔料を用いる方法(例えば、特許文献2参照)等の方法が提案されている。
しかしながら、上記従来の方法ではトナーの透明性は充分でなく、またトナーの着色力を高めるために顔料の含有量を上げると、トナー製造時に顔料の凝集が起こり、結果としてトナーの透明性が低下するという問題がある。特にイエロートナーについては、その色相角の変化に対する人間の感度が高く、透過光の色度変化が感じられやすい。
トナーの着色剤として染料を用いる場合、染料は分子状態でトナー結着樹脂に染着するため、トナーの透明性は一般に良好であり、彩度や耐光性は分子構造に依存する。そこで、彩度及び耐光性の高い分子構造を有する染料をトナーに使用する方法も提案されている(例えば、特許文献3及び4参照)。しかし、このような染料を用いて製造されたトナーは、カラー画像形成に用いた場合、染料が結着樹脂中を移動し抜け出すブリードと呼ばれる現象が生じやすい。このため、例えば高温環境下においてカラー画像を重ねて保管した場合、トナーから抜け出した染料が上に重なった紙面に付着し、汚れが生じるという問題がある。
特開平6−161154公報 特開2001−228653公報 特開平11−143129公報 特開2000−122346公報
本発明の課題は、従来の上記技術における問題点を解決し、彩度、透明性及び耐光性が良好で、且つ耐ブリード性の高いイエロートナー、このイエロートナーを用いる画像形成方法及びプロセスカートリッジを提供することにある。
本発明者等は、着色剤として彩度、透明性及び耐光性の高い特定の構造を有する特定の染料をイエロートナーに用いる際に、トナーが特定の酸価を有するようにすることで、染料分子が有する水酸基と結着樹脂中の水酸基の相互作用により染料が樹脂中で安定化され、ブリードを生じないイエロートナーが得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は以下の通りである。
(1)結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナーにおいて、前記トナーは酸価が2〜40mgKOH/gであり、前記着色剤として下記一般式(1)で表される染料を含有することを特徴とするイエロートナー。
Figure 2005338260

(上記式中、R及びRはそれぞれ水素原子、ヒドロキシル基又はハロゲン原子のいずれかを示し、R〜Rはそれぞれ水素原子、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基又はスルホン酸塩基のいずれかを示し、R〜R10はそれぞれ水素原子、ヒドロキシル基、ジメチルアミド基又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
(2)前記着色剤として、イエロー顔料C.I.Pigment Yellow 74、93、180及び185のいずれかをさらに含有することを特徴とする(1)のイエロートナー。
(3)前記一般式(1)で表される染料が、下記式(2)で表される染料であることを特徴とする(1)又は(2)のイエロートナー。
Figure 2005338260

(4)前記トナーは、酸価が5〜20mgKOH/gであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかのイエロートナー。
(5)前記トナーは、酸価が7〜15mgKOH/gであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかのイエロートナー。
(6)前記結着樹脂は、主成分としてポリエステルユニット及びビニル系重合体ユニットを有する樹脂であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかのイエロートナー。
(7)前記結着樹脂は、ポリエステルユニットにビニル系重合体ユニット又はビニル系モノマーを付加重合させたグラフト体及び/又はカルボン酸基を有するビニル系重合体ユニ
ット中のカルボン酸基とポリエステルユニット又はポリエステル系モノマーの水酸基が重合したグラフト体を含有することを特徴とする(1)〜(6)のいずれかのイエロートナー。
(8)前記結着樹脂は、ポリエステルユニットを樹脂全量に対して10〜98質量%含有することを特徴とする(6)又は(7)のイエロートナー。
(9)前記結着樹脂は、ポリエステルユニットを樹脂全量に対して50〜95質量%含有することを特徴とする(6)又は(7)のイエロートナー。
(10)前記結着樹脂は、ポリエステルユニットを樹脂全量に対して70〜90質量%含有することを特徴とする(6)又は(7)のイエロートナー。
(11)像担持体に第一の静電荷像を担持させ、シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー及びブラックトナーからなるグループから選択される第一のトナーで第一の静電荷像を現像して第一のトナー画像を像担持体上に形成し、中間転写体を介して又は介さずに前記第一のトナー画像を転写材に転写し、
像担持体に第二の静電荷像に担持させ、シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー及びブラックトナーからなるグループから選択される、前記第一のトナー以外の第二のトナーで第二の静電荷像を現像して第二のトナー画像を像担持体上に形成し、中間転写体を介して又は介さずに前記第二のトナー画像を転写材に転写し、
像担持体に第三の静電荷像を形成し、シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー及びブラックトナーからなるグループから選択される、前記第一のトナー及び前記第二のトナー以外の第三のトナーで第三の静電荷像を現像して第三のトナー画像を像担持体上に形成し、中間転写体を介して又は介さずに前記第三のトナー画像を転写材に転写し、
像担持体に第四の静電荷像を形成し、シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー及びブラックトナーからなるグループから選択される、前記第一のトナー、前記第二のトナー及び前記第三のトナー以外の第四のトナーで第四の静電荷像を現像して第四のトナー画像を像担持体上に形成し、中間転写体を介して又は介さずに前記第四のトナー画像を転写材に転写し、
転写材上のシアントナー画像、マゼンタトナー画像、イエロートナー画像及びブラックトナー画像を加熱定着することにより、転写材にフルカラー画像を形成する画像形成方法において、
前記イエロートナーは、(1)〜(10)のいずれかのイエロートナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
(12)静電荷像を担持するための像担持体と、この像担持体にトナーを供給して像担持体が担持する静電荷像を現像するためのトナーを有する現像手段とを一体的に有し、且つ前記像担持体に静電荷像を形成し、この静電荷像を前記現像手段によって現像する画像形成装置の本体に着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、
前記トナーは、(1)〜(10)のいずれかのイエロートナーであることを特徴とするプロセスカートリッジ。
本発明により、彩度、透明性及び耐光性が良好であり、且つ耐ブリード性の高いイエロートナーを提供することができる。また、該イエロートナーを用いることで、彩度、透明性及び耐光性が良好な画像が得られる画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
本発明のイエロートナーは、着色剤として彩度、透明性及び耐光性の高い特定の構造を有する下記式(1)で表される染料をトナーに用いる際に、トナー自身が2〜40mgKOH/gの酸価を有するようにすることで、染料分子が有する水酸基と結着樹脂中の水酸基の相互作用により、染料が結着樹脂中で安定化され、ブリードを生じないトナーが得ら
れることを見出した。
Figure 2005338260
(上記式(1)中、R及びRはそれぞれ水素原子、ヒドロキシル基又はハロゲン原子のいずれかを示し、R〜Rはそれぞれ水素原子、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基又はスルホン酸塩基のいずれかを示し、R〜R10はそれぞれ水素原子、ヒドロキシル基、ジメチルアミド基又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
なお、上記式中の、R、R、R〜R10におけるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素等が挙げられる。R〜Rのスルホン酸塩基の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
本発明のイエロートナーは、着色剤として前記一般式(1)で表される染料を、結着樹脂100質量部に対して1〜10質量部含有することが好ましい。より好ましくは、2〜8質量部含有する場合であり、さらに好ましくは3〜5質量部含有する場合である。前記一般式(1)で表される染料の含有量が10質量部より多い場合には、透明性や中間色の再現性が低下し、さらにはトナーの帯電性の安定性が低下する場合があり好ましくない。また、前記一般式(1)で表される染料の含有量が1質量部より少ない場合、トナーの着色力が低いため画像の品位が低下する場合があり好ましくない。
本発明のイエロートナーは、着色剤として前記一般式(1)で表される染料を単独で用いても良いが、イエロー顔料C.I.Pigment Yellow 74、93、180及び185のいずれかをさらに含有させると、着色力及び色相調整の観点から効果的である。この場合、トナーに含有される前記一般式(1)で表される染料に対するイエロー顔料は、0.1〜1質量倍の範囲内であることが好ましい。
本発明において、前記一般式(1)で示される染料としては、例えば、下記式(2)〜(18)で表される化合物が挙げられる。中でも、下記式(2)で表される化合物を用いる場合、イエロートナーとして好ましい色彩が得られるため好ましい。これらの誘導体化合物は、複数を組み合わせて用いても良い。
Figure 2005338260
Figure 2005338260
Figure 2005338260
Figure 2005338260
本発明のイエロートナーは、酸価が2〜40mgKOH/gであることを特徴とするが、酸価が5〜20mgKOH/gであるとブリードの抑制及びトナーの帯電安定性の点で効果的であり、さらには酸価が7〜15mgKOH/gであるとより一層効果的であることから好ましい。イエロートナーの酸価が2mgKOH/g未満であるか、又は40mgKOH/gを超える場合は、染料のブリードが生じる場合があるため好ましくない。
本発明のイエロートナーでは、結着樹脂としてポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを含有する樹脂を用いると、染料のブリードをより効果的に抑制できる。結着樹脂がポリエステルユニットにビニル系重合体ユニット又はビニル系モノマーを付加重合させたグラフト体及び/又はカルボン酸基を有するビニル系重合体ユニット中のカルボン酸基とポリエステルユニット又はポリエステル系モノマーの水酸基が重合したグラフト体を含有すると、より効果的である。
本発明のイエロートナーでは、結着樹脂としてポリエステルユニットを樹脂全量に対して10〜98質量%含有することが好ましく、より好ましくは結着樹脂としてポリエステルユニットを樹脂全量に対して50〜95質量%含有する場合であり、さらに好ましくはポリエステルユニットを樹脂全量に対して70〜90質量%含有する場合である。このような樹脂を結着樹脂として用いた場合、樹脂中で染料が安定化されるためブリードがより生じにくくなる。
本発明のイエロートナーでは、結着樹脂としてポリエステルユニットにビニル系重合体ユニット又はビニル系モノマーを付加重合させたグラフト体及び/又はカルボン酸基を有するビニル系重合体ユニット中のカルボン酸基とポリエステルユニット又はポリエステル系モノマーの水酸基が重合したグラフト体を含有する樹脂を用いることができるが、これらの樹脂は以下の(1)〜(5)に示す方法で製造することができる。
(1)ビニル系重合体ユニット製造後に、これの存在下にポリエステルユニットを重合する方法である。グラフト体は、ビニル系重合体ユニットとポリエステル系モノマー(アルコール、カルボン酸)又はポリエステルユニットとの反応により製造される。この際、必要に応じてビニル系モノマーを追加添加することもできる。また、適宜有機溶剤を使用することができる。
(2)ポリエステルユニット製造後に、これの存在下にビニル系重合体ユニットを重合する方法である。グラフト体は、ポリエステルユニットとビニル系モノマー又はビニル系重合体ユニットとの反応により製造する。この際、必要に応じてポリエステル系モノマーを追加添加することもできる。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
(3)ビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニットを製造後、これらの重合体ユニット存在下に、ビニル系モノマー及びポリエステル系モノマー(アルコール、カルボン酸)の少なくともいずれか一方を添加し、反応させることによりグラフト体を製造する方法である。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
(4)ビニル系モノマー及びポリエステル系モノマー(アルコール、カルボン酸等)を混合して、付加重合及び縮重合反応を連続して行うことにより、ビニル系重合体ユニット、ポリエステルユニット及びグラフト体を製造する方法である。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
(5)前記(1)〜(4)の方法により製造したグラフト体の存在下に、ビニル系モノマー及びポリエステル系モノマー(アルコール、カルボン酸)の少なくともいずれか一方を添加して、付加重合及び縮重合反応のいずれか適当な反応を行うことにより、さらにグラフト体を多く含む樹脂を製造する方法である。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
前記(1)〜(5)の製造方法において、ビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニットには、複数の異なる分子量、架橋度を有する重合体ユニットを使用することができる。
前記グラフト体の存在は、13C−NMRチャートにおいて、ポリエステルユニット及びビニル系重合体ユニットのいずれのユニットにも帰属しない新たなピークの出現により確認することができる。以下にビニル系重合体としてスチレンとアクリル酸エステルを用いた場合の測定結果の一例を表1に示す。
Figure 2005338260
本発明におけるイエロートナーに用いられる結着樹脂として、上記のグラフト体以外に、ポリエステル樹脂、ビニル系重合体等も用いてもよい。
本発明のイエロートナーに含有されるポリエステル樹脂及びグラフト体のポリエステルユニットには、二価以上のアルコールとカルボン酸、又はカルボン酸無水物、カルボン酸エステル等を原料モノマーとして使用できる。
具体的には、二価アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
三価以上のアルコール成分としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6〜12のアルキル基若しくはアルケニル基で置換されたコハク酸又はその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;が挙げられる。
それらの中でも、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール及びポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノール誘導体をジオール成分とし、二価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸)を酸成分として、これらを縮重合したポリエステルユニットを用いた場合、トナーの表層に存在するポリエステルユニットの割合が低くなり、帯電特性の点から好ましい。さらに、ポリエステルユニットのジオール成分としてエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオールを全ジオール成分基準で90%以上用いた場合、特に好ましい。
前記ポリエステル樹脂及びグラフト体のポリエステルユニットの製造時には触媒を用いることが好ましい。触媒としては、ジオクチルスズオキシド、モノブチルスズオキシド、ジブチルスズオキシド等のスズ含有触媒;テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、アセチルトリプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラヘキシルチタネート、2−エチルヘキシルチタネート、ポリブチルチタネート等のアルキルチタネート;チタンジクロロチタン、トリクロロチタン、テトラクロロチタン、トリフルオロチタン、テトラフルオロチタン等のハロゲン化チタン;チタンアセチルアセトナート、チタンジイソプロポキシドビスアセチルアセトナート、チタニルアセチルアセトナート等のチタンジケトンエノレート;脂肪族モノカルボン酸チタン、脂肪族ジカルボン酸チタン、脂肪族トリカルボン酸チタン、4価以上の脂肪族ポリカルボン酸チタン、芳香族カルボン酸チタン等のカルボン酸チタン類;等が挙げられる。
本発明のイエロートナーに含有されるビニル系重合体又はグラフト体のビニル系重合体ユニットを生成するためのビニル系モノマーとしては、スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等のスチレンの誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等の不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレン等の不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸又はメタクリル酸誘導体が挙げられる。
マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステル等の不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸等の不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸等のα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物等のα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステル等のカルボン酸エステル基を有するモノマーもビニル系モノマーとして挙げられる。
2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレン等のヒドロキシ基を有するモノマーもビニル系モノマーとして挙げられる。
本発明において、ビニル系重合体又はグラフト体のビニル系重合体ユニットは、ビニル基を二個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよい。用いられる架橋剤は、芳香族ジビニル化合物として、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等が挙げられる。アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として、例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6ヘキサンジ
オールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及びこれらの化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及びこれらの化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート及びこれらの化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。
ビニル系重合体又はグラフト体のビニル系重合体ユニットは多官能の架橋剤で架橋された構造であってもよく、そのとき用いられる多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びこれらの化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート等が挙げられる。
前記ビニル系重合体又はグラフト体のビニル系重合体ユニットには、分子量分布を調整するために、製造する際に分子量調整剤を用いることが好ましい。分子量調整剤としては、一般的にRSH(R:アルキル基)で表されるメルカプタン類、例えばt−ドデシルメルカプタン等、又はα−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマー、α−メチルスチレンオリゴマー類が挙げられる。
前記ビニル系重合体又はグラフト体のビニル系重合体ユニットを製造する場合には重合開始剤が用いられてもよく、用いられる重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−カーバモイルアゾイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ(t−ブチル)パーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(n−プロピル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ(t−ブチル)パーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ
−2−エチルヘキサノエート、ジ(t−ブチル)パーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ(t−ブチル)パーオキシアゼレート等が挙げられる。
前記グラフト体を構成するビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニットの少なくともいずれか一方は、原料中に両ユニットと相互に反応し得るモノマー成分を含むことが好ましい。ポリエステルユニットを構成するモノマーのうちビニル系重合体ユニットと反応し得るものとしては、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸又はその無水物等が挙げられる。ビニル系重合体ユニットを構成するモノマーのうちポリエステルユニットと反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル等が挙げられる。
本発明のイエロートナーのTHF可溶分は、GPC測定によるクロマトグラムにおいて、分子量3000〜15000の領域にピークを有し、Mw/Mnが2〜100であることが好ましいが、より好ましくは分子量5000〜12000の領域にピークを有し、Mw/Mnが3〜50となる場合であり、さらに好ましくは分子量7000〜10000の領域にピークを有し、Mw/Mnが5〜30となる場合である。もし、分子量3000〜15000の領域にピークを有さないか、又はMw/Mnが2未満、100超となる場合には、定着画像の光沢度が低下し、画像の彩度が低下する場合があり好ましくない。
本発明のイエロートナーは、THF不溶分を全樹脂成分基準で30質量%以下含有することが好ましいが、より好ましくはTHF不溶分を全樹脂成分基準で5〜25質量%含有する場合であり、さらに好ましくはTHF不溶分を全樹脂成分基準で10〜20質量%含有する場合である。もし、THF不溶分を全樹脂成分基準で30質量%を超えて含有する場合には、トナー定着画像の表面に凹凸が生じ、画像の光沢度が低下するため彩度が低下する場合があり好ましくない。
イエロートナーの結着樹脂の酸価が本発明の範囲となるようにするには、モノマーの選択、反応条件等を調整することでコントロールできる。また、イエロートナーの結着樹脂の分子量、THF不溶分、THF可溶分が本発明の範囲となるようにするには、それらに加えて開始剤や架橋剤の種類や量を調整することによりコントロールできる。
本発明のイエロートナーには、必要に応じて他の顔料や染料を配合してもよい。また、後述する本発明の画像形成方法では、本発明のイエロートナーと他の色のトナーを組み合わせて用いるが、このとき他の色のトナーに用いることができる着色剤の例を以下に示す。なお、着色剤以外の結着樹脂、後述のワックス、帯電制御剤、外添剤等は、本発明のイエロートナーに用いるものと同様のものが用いられる。
マゼンタ着色剤としては、顔料を単独で使用しても良く、また顔料と染料を併用しても良い。マゼンタ顔料としては、C.I.Pigment Red 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50、51、52、53、54、55、57、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、202、206、207、209、238、C.I.Pigment Violet 19、C.I.Vat Red 1、2、10、13、15、23、29、35等が挙げられる。また、マゼンタ染料としては、C.I.Solvent Red 1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121、146、195、C.I.Disperse Red 9、53、55、59、60、C.I.Solvent Violet 8、13、14、21、27、C.I.Diperse
Violet 1、36等の油溶染料;C.I.Basic Red 1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35
、36、37、38、39、40、C.I.Basic Violet 1、3、7、10、11、11:1、14、15、21、25、26、27、28等の塩基性染料が挙げられる。
シアン着色剤としては、C.I.Pigment Blue 2、3、15、16、17、C.I.Acid Blue 6、C.I.Acid Blue 45、C.I.Solvent Blue 70、C.I.Disperse Blue 60又はフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料等が挙げられる。
ブラック用着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、イエロー/マゼンタ/シアン着色剤を2種以上組み合わせて用い、黒色に調色されたもの等が利用できる。
各色のトナーが含有する着色剤量は、結着樹脂100質量部に対して1〜15質量部であることが好ましく、2〜12質量部であることがより好ましく、3〜10質量部であることがさらに好ましい。着色剤の含有量が15質量部より多い場合には、透明性や中間色の再現性が低下し、さらにはトナーの帯電性の安定性が低下する場合があり好ましくない。また、着色剤の含有量が1質量部より少ない場合、トナーの着色力が低いため画像の品位が低下する場合があり好ましくない。
本発明のイエロートナー中にはワックスを含有させても良い。ワックスを含有させることにより、イエロートナーが示差走査熱量計(DSC)により測定される昇温時のDSC曲線において、温度60〜120℃の範囲に少なくとも1個の吸熱ピーク又はショルダーを有することが好ましい。より好ましくは温度70〜110℃の範囲に少なくとも1個の吸熱ピーク又はショルダーを有する場合である。もし、温度60〜120℃の範囲に少なくとも1個の吸熱ピーク又はショルダーを有さない場合には、定着画像の透過度が悪化し、色再現性が低下するため好ましくない。
本発明のイエロートナーに含有されるワックスとしては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;脂肪族炭化水素系ワックスのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックス等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス;及び脱酸カルナバワックス等の脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したもの等が挙げられる。
さらに、ワックスとして、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸等の飽和直鎖脂肪酸;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸等の不飽和脂肪酸;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール等の飽和アルコール;ソルビトール等の多価アルコール;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族系ビスアミド;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸等のビニルモノマーをグラフト化させたグラフトワックス;ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエ
ステル化合物;等も挙げられる。
本発明において、特に好ましく用いられるワックスとしては、パラフィンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスである。
ワックスはトナーの質量を基準として0.1〜10質量%含有させることが好ましい。ワックスの量が0.1質量%未満の場合は、特に定着オイルの塗布量を減らした場合又は全く使用しない場合の離型効果が得られないことがあり、10質量%よりも多い場合は、トナーの透明性が悪くなり、彩度を損なうことがある。
本発明のイエロートナーは、帯電制御剤として有機金属化合物を用いることができる。本発明に使用する有機金属化合物としては、芳香族オキシカルボン酸及び芳香族アルコキシカルボン酸から選択される芳香族カルボン酸誘導体、該芳香族カルボン酸誘導体の金属化合物であることが好ましく、その金属としては、二価以上の金属原子が好ましい。二価の金属としては、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Pb2+、Fe2+、Zr2+、Co2+、Ni2+、Zn2+及びCu2+等が挙げられ、三価以上の金属としてはAl3+、Cr3+、Fe3+及びNi3+等が挙げられる。これらの金属の中で好ましいのはZr2+、Ca2+、Mg2+、Sr2+
及びAl3+であり、特に好ましいのはAl3+である。
芳香族オキシカルボン酸及び芳香族アルコキシカルボン酸から選択される芳香族カルボン酸誘導体の金属化合物は、例えば、オキシカルボン酸及びアルコキシカルボン酸を水酸化ナトリウム水溶液に溶解させ、二価以上の金属原子を溶解している水溶液を水酸化ナトリウム水溶液に滴下し、加熱撹拌し、水溶液のpHを調整し、室温まで冷却した後、ろ過水洗することにより得られる。ただし、上記芳香族カルボン酸誘導体の金属化合物を得る方法は、上記の合成方法だけに限定されるものではない。
本発明においては、有機金属化合物として、ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物が特に好ましい。
本発明のイエロートナーにおいて、上記有機金属化合物はトナーの結着樹脂100質量部に対して5質量部以下添加すること好ましいが、より好ましくは0.1〜1質量部添加する場合であり、さらに好ましくは0.2〜0.8質量部添加する場合である。もし、上記有機金属化合物の添加量が5質量部超となると、トナーの帯電性に悪影響を与え、画像欠陥が生じることがあり好ましくない。
本発明のイエロートナーは、画質向上のため外添剤として流動性向上剤をトナー粒子に外添して用いることが好ましい。例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末等のフッ素系樹脂微粉末;湿式製法によるシリカ微粉末、乾式製法によるシリカ微粉末等のシリカ微粉末、それらシリカ微粉末をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイル等の処理剤により表面処理を施した処理シリカ微粉末;酸化チタン微粉末;アルミナ微粉末、処理酸化チタン微粉末、処理酸化アルミナ微粉末等が挙げられる。
外添剤は数種類のものを組み合わせて用いてもよく、その場合外添剤の総量はトナー粒子100質量部に対して0.1〜5質量部であることが好ましい。
外添剤として、個数平均粒径が90nm以上500nm以下である微粉末を添加することが好ましい。この場合、外添剤がトナー間のスペーサー粒子として機能し、トナーの現像性及び転写性に影響を及ぼすトナー粒子間の相互作用が抑えられるため、良好な画像が得られる。
トナー粒子に外添剤を外添するには、例えば、ヘンシェルミキサ等の混合機により流動性向上剤とトナー粒子とを十分混合することによって行われる。このような混合作業によ
り、トナー粒子表面に外添剤を有するトナーを得ることができる。
本発明のイエロートナーは一成分系現像剤として用いても良いし、二成分系現像剤として用いても良い。二成分系現像剤として用いる場合、本発明のイエロートナーは磁性キャリアと混合して使用される。磁性キャリアとしては、例えば、鉄又は表面酸化処理鉄;ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類等の金属粒子;それらの合金粒子;酸化物粒子、フェライト、又は磁性粒子を樹脂粒子中に分散した磁性粒子分散型樹脂キャリア;等が使用できる。また、これらの磁性キャリアをコアとして、表面を樹脂で被覆した被覆キャリアも用いることができる。
磁性キャリアコア粒子表面への被覆樹脂としては、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロエチレン、ポリフルオロクロロエチレン等のパーフルオロポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリパーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとトリフルオロクロルエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、フッ化ビニルとフッ化ビニリデンとの共重合体、フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンとの共重合体等のフッ素系樹脂;シリコーン樹脂;ポリエステル樹脂;スチレン系樹脂;アクリル系樹脂;ポリアミド樹脂;ポリビニルブチラール樹脂;アミノアクリレート樹脂;等が挙げられる。これらは、単独又は複数で用いられる。
特に、磁性粒子分散型樹脂キャリアの表面を少なくともフッ素系樹脂を含有する樹脂で被覆したキャリアは、現像スリーブに交流バイアスを印加する現像法において特に好ましい。この場合、バイアスを印加した際のキャリアとトナーの分離性が向上するため現像効率が良化し、またキャリア表面へのトナー及び外添剤付着が抑制されるため耐久性が良好となる。被覆方法としては、上記の被覆樹脂を溶剤中に溶解又は懸濁させて調製した塗布液を磁性キャリアコア粒子表面に付着させる方法、磁性キャリアコア粒子と被覆樹脂とを粉体で混合し付着させる方法等、従来公知の方法が適用できる。
前記キャリアコア粒子を被覆するための被覆樹脂は、キャリアコア粒子100質量部に対し0.1〜5質量部を被覆処理することが好ましく、より好ましくは0.2〜3質量部の場合である。被覆樹脂の処理量が0.1質量部未満である場合には、被覆による現像性向上及びキャリア表面の汚染防止効果が得られにくく好ましくない。また、被覆樹脂の処理量が5質量部を超える場合には、被覆層の強度が低下し、耐久性が低下する場合があり好ましくない。
前記磁性キャリアの体積平均粒径は10〜100μmであることが好ましく、20〜70μmであることがより好ましい。体積平均粒径が10μm未満である場合には、現像時に磁性キャリアが現像スリーブから離れ、画像に付着する場合があり、好ましくない。体積平均粒径が100μmを超える場合には、現像スリーブ上に形成されるキャリア穂立ちの密度が低下し、高精細な画像を得られない場合があり好ましくない。
本発明のイエロートナーと磁性キャリアとを混合して二成分系現像剤を調製する場合、その混合比率は、現像剤中のトナー濃度が2〜15質量%であることが、通常良好な結果を得る上で好ましく、4〜13質量%であることがより好ましい。
本発明の画像形成方法は、前述した本発明のイエロートナーを用いてカラー画像を形成することができる画像形成方法である。本発明の画像形成方法は、本技術分野における公知の装置や手段、及びイエロー以外の公知のトナーを用いて実現することが可能である。
本発明の画像形成方法は、像担持体に第一の静電荷像を担持させ、シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー及びブラックトナーからなるグループから選択される第一の
トナーで第一の静電荷像を現像して第一のトナー画像を像担持体上に形成し、中間転写体を介して又は介さずに前記第一のトナー画像を転写材に転写し、
像担持体に第二の静電荷像に担持させ、シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー及びブラックトナーからなるグループから選択される、前記第一のトナー以外の第二のトナーで第二の静電荷像を現像して第二のトナー画像を像担持体上に形成し、中間転写体を介して又は介さずに前記第二のトナー画像を転写材に転写し、
像担持体に第三の静電荷像を形成し、シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー及びブラックトナーからなるグループから選択される、前記第一のトナー及び前記第二のトナー以外の第三のトナーで第三の静電荷像を現像して第三のトナー画像を像担持体上に形成し、中間転写体を介して又は介さずに前記第三のトナー画像を転写材に転写し、
像担持体に第四の静電荷像を形成し、シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー及びブラックトナーからなるグループから選択される、前記第一のトナー、前記第二のトナー及び前記第三のトナー以外の第四のトナーで第四の静電荷像を現像して第四のトナー画像を像担持体上に形成し、中間転写体を介して又は介さずに前記第四のトナー画像を転写材に転写し、
転写材上のシアントナー画像、マゼンタトナー画像、イエロートナー画像及びブラックトナー画像を加熱定着することにより、転写材にフルカラー画像を形成し、且つイエロートナーは、上記の本発明のイエロートナーを用いる。
以下、本発明の画像形成方法の一例を、図1を参照しながら説明する。
図1は、電子写真法によりフルカラーの画像を形成するための画像形成装置の一例を示す概略構成図である。図1の画像形成装置は、フルカラー複写機又はフルカラープリンタとして使用される。フルカラー複写機は、図1に示すように、上部にデジタルカラー画像リーダ部II(以下単に「リーダ部II」という。)、下部にデジタルカラー画像プリンタ部I(以下単に「プリンタ部I」という。)を通常有する。例えば、リーダ部IIで読み取った原稿Dの画像に基づき、プリンタ部Iによって記録材Pに画像を形成する。
以下、プリンタ部Iの構成、つづいてリーダ部IIの構成を説明する。
プリンタ部Iは、矢印R1方向に回転駆動される像担持体としての感光ドラム1を有する。感光ドラム1の周囲には、その回転方向に沿って順に、一次帯電器(帯電手段)2、露光手段3(3a〜3c)、現像装置(現像手段)4、転写装置5、クリーニング器6、前露光ランプ7等が配置されている。転写装置5の下方(すなわちプリンタ部Iの下半部)には、記録材Pの給送搬送部8が配置され、さらに転写装置5の上部には分離手段9(9a〜9c)が設置され、また分離手段9の下流側(記録材Pの搬送方向についての下流側)には加熱加圧定着器10及び排紙部11が配置されている。
感光ドラム1は、アルミニウム製のドラム状の基体(不図示)と、その表面を覆うOPC(有機光半導体)の感光体(不図示)とを有し、駆動手段(不図示)によって矢印R1方向に所定のプロセススピード(周速度)で回転駆動されるように構成されている。
一次帯電器2は、感光ドラム1に対向する部分が開口したシールド(不図示)と、シールドの内側に感光ドラム1の母線と平行に配置された放電ワイヤ(不図示)と、シールドの開口部に配置されて帯電電位を規制するグリッド(不図示)とを有するコロナ帯電器である。一次帯電器2は、電源(不図示)によって帯電バイアスが印加され、これにより、感光ドラム1表面を所定の極性、所定の電位に均一に帯電するようになっている。
露光手段3は、後述のリーダ部IIからの画像信号に基づいてレーザ光を発光するレーザ出力部(不図示)と、レーザ光を反射するポリゴンミラー3aと、レンズ3bと、ミラー3cとを有する。露光手段3は、このレーザ光が感光ドラム1表面を照射することによって感光ドラム1を露光し、露光部分の電荷を除去して静電潜像を形成するように構成されている。感光ドラム1表面に形成される静電潜像は、原稿の画像に基づいて、イエロー、
シアン、マゼンタ、ブラックの4色に色分解され、それぞれの色に対応した静電潜像が順次形成されるようになっている。
現像装置4は、感光ドラム1の回転方向(矢印R1方向)に沿って上流側から順にイエロートナー、シアントナー、マゼンタトナー、ブラックトナーの各色トナー(現像剤)を収納した現像器4Y、4C、4M、4Bkを備えている。各現像器4Y、4C、4M、4Bkは、それぞれ感光ドラム1表面に形成された静電荷像を現像するためのトナーを有する現像剤を担持している現像スリーブ4aを有し、静電荷像の現像に供せられる所定の色の現像器が偏心カム4bによって、択一的に感光ドラム1表面に近接する現像位置に配置されている。現像スリーブ4aに担持されている現像剤のトナーが静電荷像を現像し、顕像としてのトナー像(可視画像)を形成するように構成されている。現像に供せられる現像器以外の他の3色の現像器は、現像位置から退避するようになっている。
転写装置5は、表面に転写材Pを担持する転写ドラム(転写材担持体)5a、感光ドラム1上のトナー像を転写材Pに転写する転写帯電器(転写帯電手段)5b、転写材Pを転写ドラム5aに吸着させるための吸着帯電器5cとこれに対向する吸着ローラ5d、内側帯電器5e、外側帯電器5fを有し、矢印R5方向に回転駆動されるように軸支された転写ドラム5aの周面開口域には誘電体からなる転写材担持シート5gが円筒状に一体的に張設されている。転写材担持シート(不図示)は、ポリカーボネートフィルム等の誘電体シートを使用している。転写装置5は転写ドラム5a表面に転写材Pを吸着して担持するように構成されている。
クリーニング器6は、転写材Pに転写されずに感光ドラム1表面に残った残留トナーを掻き落とすクリーニングブレード(不図示)、及び掻き落したトナーを回収するクリーニング容器を備えている。
前露光ランプ7は、一次帯電器2の上流側に隣接して配置され、クリーニング器6によって清掃された感光ドラム1表面の不要な電荷を除去する。
給紙搬送部8は、大きさの異なる転写材Pを積載収納する複数の給紙カセット8a、給紙カセット8a内の転写材Pを給紙する給紙ローラ8b、多数の搬送ローラ、そしてレジストローラ8c等を有し、所定の大きさの転写材Pを転写ドラム5aに供給する。
分離手段9は、トナー像が転写された後の転写材Pを転写ドラム5aから分離するための分離帯電器9a、分離爪9b、そして分離押上げころ9c等を有する。
加熱加圧定着器10は、内側にヒータを有する定着ローラ10aと、定着ローラ10aの下方に配置され、転写材Pを定着ローラ10aに押し付ける加圧ローラ10bとを有する。
排紙部11は、加熱加圧定着器10の下流側に配置された、搬送パス切替えガイド11a、排出ローラ11b、排紙トレイ11c等を有する。また、搬送パス切替えガイド11aの下方には、1枚の転写材Pに対してその両面に画像形成を行うために搬送縦パス11d、反転パス11e、積載部材(不図示)、中間トレイ(不図示)、さらに搬送ローラ11h、11i、反転ローラ11j等が配置されている。
また、感光ドラム1周囲における、一次帯電器2と現像装置4との間には、感光ドラム表面の帯電電位を検出する電位センサS1が、また現像装置4と転写ドラム5aとの間には、感光ドラム1上のトナー像の濃度を検知する濃度センサS2が、それぞれ配置されている。
つづいて、リーダ部IIについて説明する。プリンタ部Iの上方に配置されたリーダ部IIは、原稿Dを載置する原稿台ガラス12a、移動しながら原稿Dの画像面を露光走査する
露光ランプ12b、原稿Dからの反射光をさらに反射させる複数のミラー12c、反射光を集光するレンズ12d、そしてレンズ12dからの光に基づいてカラー色分解画像信号を形成するフルカラーセンサ(不図示)等を有する。カラー色分解画像信号は、増幅回路(不図示)を経て、ビデオ処理ユニット(不図示)によって処理を施され、上述のプリンタ部Iに送出されるようになっている。
次に、上述構成の画像形成装置の動作を説明する。以下の説明においては、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの順に4色フルカラーの画像を形成するものとする。
リーダ部IIの原稿台ガラス12aに載置された原稿Dの画像は、露光ランプ12bによって照射され、色分解されてまずイエローの画像がフルカラーセンサ(不図示)によって読み取られ、所定の処理を施され画像信号としてプリンタ部Iに送られる。
プリンタ部Iでは、感光ドラム1が矢印R1方向に回転駆動され、一次帯電器2によって表面が均一に帯電される。上述のリーダ部IIから送られてきた画像信号に基づいて、露光手段3のレーザ出力部からレーザ光が照射され、ポリゴンミラー3a等を介して帯電済の感光ドラム1表面を光像Eによって露光する。感光ドラム1表面の露光を受けた部分は、電荷が除去され、これによりイエローに対応した静電荷像が形成される。現像装置4においては、イエローの現像器4Yが所定の現像位置に配置され、その他の現像器4C、4M、4Bkは現像位置から退避される。感光ドラム1上の静電荷像は、現像器4Yによってイエローのトナーが付着され、顕像化されてイエロートナー像となる。この感光ドラム1上のイエロートナー像は、転写ドラム5aに担持された転写材Pに転写される。転写材Pは、原稿画像に適した大きさの転写材Pが所定の給紙カセットを8aから給紙ローラ8b、搬送ローラ、そしてレジストローラ8c等を介して所定のタイミングで転写ドラム5aに供給されたものである。このようにして供給された転写材Pは、転写ドラム5aの表面に巻き付くように吸着されて矢印R5方向に回転し、転写帯電器5bによって感光ドラム1上のイエロートナー像が転写される。
一方、イエロートナー像が転写された後の感光ドラム1は、クリーニング器6によって表面の残留トナーが除去され、さらに前露光ランプ7によって不要な電荷が除去され、一次帯電から始まる次の画像形成に供される。
以上のリーダ部IIによる原稿画像の読取りから、転写ドラム5a上の転写材Pに対するトナー像の転写、さらには感光ドラム1の清掃、除電に至る各プロセスが、イエロー以外の他の色、すなわちシアン、マゼンタ、ブラックについても同様に行われ、転写ドラム5a上の転写材Pには、イエロートナー、シアントナー、マゼンタトナー及びブラックトナーの4色のトナー像が重なるようにして転写される。
4色のトナー像の転写を受けた転写材Pは、分離帯電器9a、分離爪9b等によって転写ドラム5aから分離され、未定着のトナー像を表面に担持した状態で定着器10に搬送される。転写材Pは、加熱加圧定着器10の定着ローラ10a及び加圧ローラ10bによって加熱加圧され、カラートナー像が溶融されて定着され、フルカラー画像が転写材の一方の面に形成される。定着後の記録材Pは、排出ローラ11bによって排紙トレイ11c上に排出される。
本発明の画像形成方法の一実施の形態として、図1を参照しながら、一つの静電荷像担持体に四色の現像器が設置されている画像形成装置による画像形成方法を説明したが、本発明の画像形成方法は、本発明のイエロートナーを用いるのであれば、図1に示す画像形成装置による方法に限定されない。例えば本発明の画像形成方法は、四色の現像器がそれぞれ異なる像担持体に設置され、像担持体上に形成されたトナー画像が順次転写材上へ転写されるタンデム方式の画像形成装置による画像形成方法であっても良い。
本発明の画像形成方法は、像担持体上に形成されたトナー画像を転写材に転写する場合に、像担持体から直接転写材へトナー画像を転写する画像形成装置による画像形成方法であっても良いし、また、図1に示す画像形成装置のように、像担持体上のトナー画像を中間転写体へ転写し、中間転写体からトナー画像を転写材へ転写する画像形成装置による画像形成方法であっても良い。さらに前記中間転写体は、形態については特に限定されず、図1に示すようにドラム状の中間転写体であっても良いし、プーリに支持されるベルトによって形成される無端形状の中間転写体であっても良い。
本発明のプロセスカートリッジは、静電荷像を担持するための像担持体と、この像担持体にトナーを供給して像担持体が担持する静電荷像を現像するためのトナーを有する現像手段とを一体的に有し、且つ前記像担持体に静電荷像を形成し、この静電荷像を前記現像手段によって現像する画像形成装置の本体に着脱可能であり、上記のイエロートナーを有する。
現像手段には、前述した本発明のイエロートナーが収容される。本発明のプロセスカートリッジは、像担持体及び現像手段を一体的に有しており、かつ画像形成装置本体に対して着脱自在に構成される。本発明のプロセスカートリッジは、このような構成を有するものであれば特に限定されず、クリーニング手段、帯電手段等の他の手段を一体的な構成としてさらに有してもよく、公知の構成を利用して実現することが可能である。本発明のプロセスカートリッジとしては、例えば、前記タンデム式の画像形成装置において像担持体、現像装置、及び像担持体用のクリーニング手段を有する各色の画像形成ユニットが挙げられる。
以下、本発明のトナーの各物性を測定するのに好適な測定方法を以下に説明する。
(1)酸価の測定方法
トナーサンプル2〜10gを200〜300mlの三角フラスコに秤量し、メタノール:トルエン=30:70の混合溶媒約50mlを加えてトナーを溶解させる。溶解性が悪いようであれば少量のアセトンを加えてもよい。0.1%のブロムチモールブルーとフェノールレッドの混合指示薬を用い、あらかじめ標定された0.1規定水酸化カリウムのアルコール溶液で滴定し、水酸化カリウムアルコール溶液の消費量V(ml)を用いて次式から酸価(Av)を求める。
Av=(V×N×56.1)/試料質量
(式中、Nは0.1規定の水酸化カリウムアルコール溶液のファクター)
(2)トナー及びトナーに用いる結着樹脂のTHF可溶分の分子量測定
トナー及びトナーに用いる結着樹脂のTHF可溶分の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって次の条件で測定される。40℃のヒートチャンバ中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。またカラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせて使用することが好ましく、例えば昭和電工(株)製のshodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807、800Pの組み合わせや、東ソー(株)製のTSKgelG1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKguard columnの組み合わせを挙げることができる。
トナー及びトナーに用いる結着樹脂のTHF可溶分の試料溶液は以下のようにして作製する。
試料をTHF中に入れ数時間放置した後、十分振とうし、THFと良く混ぜ(試料の合
一体がなくなるまで)、さらに12時間以上静置する。このときTHF中への浸漬時間が24時間以上となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.2〜0.5μm、例えばマイショリディスクH−25−2 東ソー(株)製等が利用できる)を通過させ、GPC用のTHF試料溶液とする。試料濃度は、樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調整する。
試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば東ソー(株)製又は昭和電工(株)製の分子量が102〜107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いることが適当である。
(3)トナーのTHF不溶分量の測定
トナーを0.5〜1.0gの範囲で精秤し、円筒ろ紙(東洋濾紙(株)製、No.86R、寸法は外形28mm×高さ100mm)に入れ、ソックスレー抽出器にかける。抽出溶媒であるTHFは200ml使用する。抽出はオイルバスの温度を120〜130℃に制御し、一回の還流に要する時間は120〜150秒になるように調整する。抽出時間は10時間とする。抽出終了後は円筒濾紙を50℃で10時間減圧乾燥し、下記式からTHF不溶分量X(質量%)を算出する。
X=[{W1−(W2+W3)}/(W1−W)]×100
(式中、W1は試料の質量、W2はトナーに含有される結着樹脂成分中のTHF可溶成分の質量、W3はトナーに含有される樹脂以外の成分(例えば、顔料、ワックス、外添剤等で
ある)の質量を表す。)
(4)トナーのDSC曲線の測定
示差走査熱量計(DSC測定装置)、DSC 2920(TAインスツルメンツ社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
トナー5mgを精秤し、これをアルミパンに入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、30〜200℃の温度範囲で昇温速度10℃/分で測定を行う。この昇温過程で、温度60〜200℃の範囲におけるDSC曲線を測定する。
本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<結着樹脂の製造>
[結着樹脂(1)の製造]
ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン51質量部、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン28質量、ジメチルテレフタル酸13質量部、イソフタル酸14質量部、フマル酸0.5質量部及び酸化ジブチル錫0.1質量部をガラス製4リットルの四つ口フラスコに入れた。この四つ口フラスコに温度計、撹拌棒、コンデンサーを取り付け、前記四つ口フラスコをマントルヒーター内においた。撹拌しながら徐々に昇温し、200℃で4時間反応し、ピーク分子量7300のポリエステル樹脂(A)を得た。
ポリエステル樹脂(A)70質量部を、還流管、撹拌機、温度計、窒素導入管、滴下装置及び減圧装置を備えた反応容器にキシレン200質量部と共に投入し、窒素を導入しながら135℃まで加熱した。
この溶液にスチレン24質量部、アクリル酸ブチル4質量部、マレイン酸モノブチル2質量部及び重合開始剤としてジ−t−ブチルパーオキサイド2質量部からなるビニル系モノマー混合物を、上記反応容器に添加して8時間ラジカル重合反応を行うことで、グラフ
ト体を含有し、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットの質量比が70:30である結着樹脂(1)(ピーク分子量8200)を得た。
[結着樹脂(2)の製造]
エチレングリコール16質量部、プロピレングリコール8.9質量部、ネオペンチルグリコール9.3質量部、ジメチルテレフタル酸37質量部、イソフタル酸29質量部、フマル酸0.27質量部及び酸化ジブチル錫0.1質量部をガラス製4リットルの四つ口フラスコに入れた。この四つ口フラスコに温度計、撹拌棒、コンデンサーを取り付け、前記四つ口フラスコをマントルヒーター内においた。撹拌しながら徐々に昇温し、200℃で4時間反応し、ピーク分子量10200のポリエステル樹脂(B)を得た。
ポリエステル樹脂(B)40質量部を、還流管、撹拌機、温度計、窒素導入管、滴下装置及び減圧装置を備えた反応容器にキシレン200質量部と共に投入し、窒素を導入しながら135℃まで加熱した。
この溶液にスチレン43質量部、アクリル酸ブチル14質量部、マレイン酸モノブチル3質量部及び重合開始剤としてジ−t−ブチルパーオキサイド2質量部からなるビニル系モノマー混合物を、上記反応容器に添加して8時間ラジカル重合反応を行うことで、グラフト体を含有し、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットの質量比が40:60である結着樹脂(2)(ピーク分子量5300)を得た。
[結着樹脂(3)の製造]
ビニル系重合体ユニットのビニル系モノマーとして、スチレン3.9質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル0.4質量部、フマル酸0.3質量部、重合開始剤としてジクミルパーオキサイド0.5質量部を滴下ロートに入れる。また、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン37質量部、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン27質量部、テレフタル酸15質量部、無水トリメリット酸7.0質量部、フマル酸7.9質量部及び酸化ジブチル錫0.2質量部をガラス製4リットルの四つ口フラスコに入れる。この四つ口フラスコに温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取り付け、前記四つ口フラスコをマントルヒーター内においた。次に前記四つ口フラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、145℃の温度で撹拌しつつ、先の滴下ロートよりビニル系重合体ユニットのモノマー及び重合開始剤を4時間かけて滴下した。次いで200℃に昇温を行うことで、グラフト体を含有し、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットの質量比が95:5である結着樹脂(3)(ピーク分子量13200)を得た。
[結着樹脂(4)の製造]
エチレングリコール9.2質量部、プロピレングリコール5.7質量部、ネオペンチルグリコール1.6質量部、ジメチルテレフタル酸20質量部、無水トリメリット酸4.6質量部、イソフタル酸8.4質量部、フマル酸0.42質量部及び酸化ジブチル錫0.1質量部をガラス製4リットルの四つ口フラスコに入れた。この四つ口フラスコに温度計、撹拌棒、コンデンサーを取り付け、前記四つ口フラスコをマントルヒーター内においた。撹拌しながら徐々に昇温し、200℃で4時間反応し、ピーク分子量12600のポリエステル樹脂(C)を得た。
ポリエステル樹脂(C)15質量部を、還流管、撹拌機、温度計、窒素導入管、滴下装置及び減圧装置を備えた反応容器にキシレン200質量部と共に投入し、窒素を導入しながら135℃まで加熱した。
この溶液にスチレン60質量部、アクリル酸ブチル20質量部、マレイン酸モノブチル5質量部及び重合開始剤としてジ−t−ブチルパーオキサイド2質量部からなるビニル系
モノマー混合物を、上記反応容器に添加して8時間ラジカル重合反応を行うことで、グラフト体を含有し、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットの質量比が15:85である結着樹脂(4)(ピーク分子量13800)を得た。
[結着樹脂(5)の製造]
ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン21質量部、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン46質量部、ジメチルテレフタル酸22質量部、イソフタル酸11質量部、フマル酸0.38質量部及び酸化ジブチル錫0.2質量部をガラス製4リットルの四つ口フラスコに入れた。この四つ口フラスコに温度計、撹拌棒、コンデンサーを取り付け、前記四つ口フラスコをマントルヒーター内においた。撹拌しながら徐々に昇温し、200℃で4時間反応を行うことで、ポリエステル樹脂である結着樹脂(5)(ピーク分子量5500)を得た。
[結着樹脂(6)の製造]
エチレングリコール1.0質量部、プロピレングリコール0.36質量部、ネオペンチルグリコール1.6質量部、ジメチルテレフタル酸2.1質量部、イソフタル酸0.8質量部、フマル酸0.17質量部及び酸化ジブチル錫0.03質量部をガラス製4リットルの四つ口フラスコに入れた。この四つ口フラスコに温度計、撹拌棒、コンデンサーを取り付け、前記四つ口フラスコをマントルヒーター内においた。撹拌しながら徐々に昇温し、200℃で3時間反応を行い、ピーク分子量5200のポリエステル樹脂(D)を得た。
ポリエステル樹脂(D)5質量部を、還流管、撹拌機、温度計、窒素導入管、滴下装置及び減圧装置を備えた反応容器にキシレン200質量部と共に投入し、窒素を導入しながら135℃まで加熱した。
この溶液にスチレン62質量部、アクリル酸ブチル15質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル18部及び重合開始剤としてジ−t−ブチルパーオキサイド2質量部からなるビニル系モノマー混合物を、上記反応容器に添加して8時間ラジカル重合反応を行うことで、グラフト体を含有し、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットの質量比が5:95である結着樹脂(6)(ピーク分子量4400)を得た。
[結着樹脂(7)の製造]
ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ47質量部、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン17質量部、ジメチルテレフタル酸15質量部、イソフタル酸8.3質量部、無水トリメリット酸4.8質量部、フマル酸4.5質量部及び酸化ジブチル錫0.2質量部をガラス製4リットルの四つ口フラスコに入れた。この四つ口フラスコに温度計、撹拌棒、コンデンサーを取り付け、前記四つ口フラスコをマントルヒーター内においた。撹拌しながら徐々に昇温し、200℃で8時間反応を行うことで、ポリエステル樹脂である結着樹脂(7)(ピーク分子量15300)を得た。
<実施例1>
[イエロートナー(1)の製造]
・結着樹脂(1) 100質量部
・前記式(2)で表される染料 4質量部
・C.I.Pigment Yellow 74 2質量部
・パラフィンワックス(融点78℃) 5質量部
・ジ−tertブチルサリチル酸アルミニウム化合物 1質量部
上記の処方の材料をヘンシェルミキサ(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混
合した後、温度120℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、池貝鉄工(株)製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られたトナー粗砕物を、高圧気体を用いた衝突式気流粉砕機を用いて粉砕した。さらにコアンダ効果を利用した多分割分級機により分級を行い、体積平均粒径6.6μmのトナー粒子(1)を得た。
上記トナー粒子(1)100質量部に、外添剤として個数平均粒径130nmのシリカ微粉末1.5質量部、個数平均粒径40nmのシリカ微粉末0.7質量部を添加し、ヘンシェルミキサ(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合して合わせてイエロートナー(1)とした。このイエロートナー(1)のTHF不溶分量は結着樹脂100質量%に対して17質量%であり、酸価は12mgKOH/gであった。また、THF可溶分の分子量を測定したところ、分子量8400にメインピークを有し、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量の比、Mw/Mnは10であった。このイエロートナー(1)について示差走査熱量計(DSC)を用い、昇温時におけるDSC曲線の測定を行ったところ、温度77℃において1個の吸熱ピークを有していた。結果を表2に示す。
[キャリア(1)の製造]
体積平均粒径0.25μmのマグネタイト粉と、体積平均粒径0.60μmのヘマタイト粉に対して、それぞれ4.0質量%のシラン系カップリング剤(3-(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)を加え、容器内で120℃以上で高速混合撹拌し
、親油化処理マグネタイト粉及び親油化処理ヘマタイト粉を得た。
次に、下記材料をフラスコに入れ、攪拌、混合しながら30分間で85℃まで昇温・保持し、3時間重合反応させて硬化させた。その後、30℃まで冷却し、更に水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)、60℃の温度で乾燥して、キャリアコア(1)を得た。
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液
(ホルムアルデヒド40%、メタノール10%、水50%) 6質量部
・親油化処理マグネタイト粉 63質量部
・親油化処理ヘマタイト粉 21質量部
・28%アンモニア水 5質量部
・水 10質量部
更に、次のように前記キャリアコア(1)の表面に樹脂コートを行った。メチルメタクリレートと、下記式(19)で表されるパーフルオロアルキル基を有するメタクリレートエステルとの共重合体(共重合比8:1、重量平均分子量45,000)2質量部をメチルエチルケトン及びトルエンの1:1混合溶媒18質量部中に溶解させ、これにキャリアコア(1)100質量部を加えた。この混合物を、剪断応力を連続して加えながら70℃に加熱し、溶媒を揮発させた後、さらに100℃で2時間撹拌し、熱処理を行った。これを冷却後解砕し、200メッシュのふるいで分級して、フッ素樹脂で表面被覆した磁性粒子分散型樹脂キャリアであるキャリア(1)を得た。キャリア(1)の体積平均粒径は32μm、真比重は3.53g/cm、見かけ比重は1.84g/cm、磁化の強さは42Am/Kgであった。
Figure 2005338260
[イエロー現像剤(1)の製造]
イエロートナー(1)と、キャリア(1)とを、トナー濃度が8質量%になるように混合し、イエロー現像剤(1)を得た。
[耐光性の評価]
(耐光性及び耐ブリード性評価用画像の作製)
イエロー現像剤(1)を用い、二成分現像式カラー複写機CLC−700(キヤノン(株)製)の定着器を取り外した改造機にて坪量80g/cm2のキヤノン(株)製のCL
Cカラーコピー用紙(A4サイズ)に未定着画像を作製した。画像は、縦横10mmのベタ画像とし、得られた未定着画像を130℃のオーブンに入れ、1分間静置することで定着を行った。この際、定着後のベタ部の画像濃度が1.5となるように現像条件を調整し、評価用画像を作製した。なお、画像濃度は反射濃度計RD−918(マクベス社製)を用いて測定した。
(耐光性評価)
評価用ベタ画像(画像濃度1.5)の耐光性はJIS K7102にほぼ準じて評価した。光源にはカーボンアークランプを使用した。耐光性の評価は、未試験画像と200時間の照射を行った後の画像濃度の差ΔDにより評価した。評価基準は以下の通りである。A:ΔDが0.2未満
B:ΔDが0.2以上0.5未満
C:ΔDが0.5以上
本実施例のトナーにおいては、ΔD=0.12と非常に良好な結果であった。結果を表2に示す。
[耐ブリード性の評価]
耐ブリード性の評価は次のように行った。
評価用ベタ画像の上に坪量80g/cm2のキヤノン(株)製のCLCカラーコピー用
紙(A4サイズ)100枚を載せ、40℃の恒温槽中に3日間放置した後、画像を取り出し、評価用画像に重ねた紙面に着色が見られるかを観察し評価した。評価基準は下記の通りである。
A:全く着色は観察できない
B:わずかに着色が見られる
C:かなり着色が見られ、実用上問題がある
本実施例のトナーでは全く着色が見られず、耐ブリード性は良好であった。結果を表2に示す。
[透明性の評価]
(透明性評価用画像の作製)
イエロー現像剤(1)を用い、二成分現像式カラー複写機CLC−700(キヤノン(株)製)の定着器を取り外した改造機にてOHP用トランスペアレンシーシートCG3700(A4サイズ、住友3M(株)製)に未定着画像を作製した。画像は、縦横10mmのベタ画像とし、トナーの載り量は0.6mg/cm2となるように現像条件を調整した
。得られた未定着画像を130℃のオーブンに入れ、1分間静置することで透明性評価用画像を作製した。
(透明性評価)
OHP画像の透明性については、市販のオーバーヘッドプロジェクターを用いて、トランスペアレンシーフィルムに形成したカラー画像を投影して、以下の評価基準に基づいて評価した。
A:透明性に優れ、色再現性も優れる
B:若干色彩に変化があるが、実用上問題ない
C:透明性が悪く、色再現性に乏しい
本実施例のトナーでは透明性は良好であり、明るいイエロー色を再現することができた。結果を表3に示す。
<実施例2>
[イエロー現像剤(2)の製造]
前記式(2)で表される染料の代わりに、前記式(8)で表される染料を使用した以外は実施例1と同様にして、イエロー現像剤(2)を得た。これを実施例1と同様にして評価した結果を表2及び表3に示す。
<実施例3>
[イエロー現像剤(3)の製造]
前記式(2)で表される染料の代わりに、前記式(16)で表される染料を使用した以外は実施例1と同様にして、イエロー現像剤(3)を得た。これを実施例1と同様にして評価した結果を表2及び表3に示す。
<実施例4>
[イエロー現像剤(4)の製造]
C.I.Pigment Yellow74の代わりに、C.I.Pigment Yellow180を使用した以外は実施例1と同様にして、イエロー現像剤(4)を得た。これを実施例1と同様にして評価した結果を表2及び表3に示す。
<実施例5>
[イエロー現像剤(5)の製造]
C.I.Pigment Yellow74の代わりに、C.I.Pigment Yellow93を使用した以外は実施例1と同様にして、イエロー現像剤(5)を得た。これを実施例1と同様にして評価した結果を表2及び表3に示す。
<実施例6>
[イエロー現像剤(6)の製造]
下記の原料を使用した他は実施例1と同様にして、イエロー現像剤(6)を得た。これを実施例1と同様にして評価した結果を表2及び表3に示す。
・結着樹脂(1) 100質量部
・前記式(2)で表される染料 5質量部
・パラフィンワックス(融点78℃) 5質量部
・ジ−tertブチルサリチル酸アルミニウム化合物 1質量部
<実施例7>
結着樹脂(1)の代わりに、結着樹脂(2)を使用した以外は実施例1と同様にして、イエロー現像剤(7)を得た。これを実施例1と同様にして評価した結果を表2及び表3に示す。
<実施例8>
結着樹脂(1)の代わりに、結着樹脂(3)を使用した以外は実施例1と同様にして、イエロー現像剤(8)を得た。これを実施例1と同様にして評価した結果を表2及び表3に示す。
<実施例9>
結着樹脂(1)の代わりに、結着樹脂(4)を使用した以外は実施例1と同様にして、イエロー現像剤(9)を得た。これを実施例1と同様にして評価した結果を表2及び表3に示す。
<実施例10>
結着樹脂(1)の代わりに、結着樹脂(5)を使用した以外は実施例1と同様にして、イエロー現像剤(10)を得た。これを実施例1と同様にして評価した結果を表2及び表3に示す。
<実施例11>
イエロートナー(1)を、一成分現像式カラープリンターColor Laser Jet LBP2040(キヤノン(株)製)のプロセスカートリッジに充填し、坪量80g/cm2のキヤノン(株)製のCLCカラーコピー用紙(A4サイズ)及びOHP用ト
ランスペアレンシーシートCG3700(A4サイズ、住友3M(株)製)に画像を作製したところ、彩度及び透明性が良好な、高品質な画像が得られた。
<実施例12>
[シアン現像剤(1)の製造]
下記の原料を使用した他は実施例1と同様にして、シアン現像剤(1)を得た。
・結着樹脂(1) 100質量部
・C.I.Pigment Blue 15:3 4質量部
・パラフィンワックス(融点78℃) 5質量部
・ジ−tertブチルサリチル酸アルミニウム化合物 1質量部
[マゼンタ現像剤(1)の製造]
下記の原料を使用した他は実施例1と同様にして、マゼンタ現像剤(1)を得た。
・結着樹脂(1) 100質量部
・C.I.Pigment Red 122 4質量部
・パラフィンワックス(融点78℃) 5質量部
・ジ−tertブチルサリチル酸アルミニウム化合物 1質量部
[ブラック現像剤(1)の製造]
下記の原料を使用した他は実施例1と同様にして、ブラック現像剤(1)を得た。
・結着樹脂(1) 100質量部
・カーボンブラック 4質量部
・パラフィンワックス(融点78℃) 5質量部
・ジ−tertブチルサリチル酸アルミニウム化合物 1質量部
イエロー現像剤(1)、シアン現像剤(1)、マゼンタ現像剤(1)及びブラック現像剤(1)を用い、二成分現像式カラー複写機CLC−700(キヤノン(株)製)にて坪量80g/cm2のキヤノン(株)製のCLCカラーコピー用紙(A4サイズ)にフルカ
ラー画像を作製したところ、色再現範囲が広く、高画質な画像が得られた。
<比較例1>
結着樹脂(1)の代わりに、結着樹脂(6)を使用した以外は実施例1と同様にして、比較用イエロー現像剤(1)を得た。これを実施例1と同様にして評価した結果を表2及び表3に示す。
<比較例2>
結着樹脂(1)の代わりに、結着樹脂(7)を使用した以外は実施例1と同様にして、比較用イエロー現像剤(2)を得た。これを実施例1と同様にして評価した結果を表2及び表3に示す。
<比較例3>
下記の原料を使用した他は実施例1と同様にして、比較用イエロー現像剤(3)を得た。これを実施例1と同様にして評価した結果を表2及び表3に示す。
・結着樹脂(1) 100質量部
・C.I.Pigment Yellow74 6質量部
・パラフィンワックス(融点78℃) 5質量部
・ジ−tertブチルサリチル酸アルミニウム化合物 1質量部
Figure 2005338260
Figure 2005338260
本発明のイエロートナーを用いる画像形成装置の一例を示す概略的断面図である。

Claims (12)

  1. 結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナーにおいて、前記トナーは酸価が2〜40mgKOH/gであり、前記着色剤として下記一般式(1)で表される染料を含有することを特徴とするイエロートナー。
    Figure 2005338260

    (上記式中、R及びRはそれぞれ水素原子、ヒドロキシル基又はハロゲン原子のいずれかを示し、R〜Rはそれぞれ水素原子、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基又はスルホン酸塩基のいずれかを示し、R〜R10はそれぞれ水素原子、ヒドロキシル基、ジメチルアミド基又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
  2. 前記着色剤として、イエロー顔料C.I.Pigment Yellow 74、93、180及び185のいずれかをさらに含有することを特徴とする請求項1に記載のイエロートナー。
  3. 前記一般式(1)で表される染料が、下記式(2)で表される染料であることを特徴とする請求項1又は2に記載のイエロートナー。
    Figure 2005338260
  4. 前記トナーは、酸価が5〜20mgKOH/gであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のイエロートナー。
  5. 前記トナーは、酸価が7〜15mgKOH/gであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のイエロートナー。
  6. 前記結着樹脂は、主成分としてポリエステルユニット及びビニル系重合体ユニットを有する樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のイエロートナー。
  7. 前記結着樹脂は、ポリエステルユニットにビニル系重合体ユニット又はビニル系モノマーを付加重合させたグラフト体及び/又はカルボン酸基を有するビニル系重合体ユニット中のカルボン酸基とポリエステルユニット又はポリエステル系モノマーの水酸基が重合した
    グラフト体を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のイエロートナー。
  8. 前記結着樹脂は、ポリエステルユニットを樹脂全量に対して10〜98質量%含有することを特徴とする請求項6又は7に記載のイエロートナー。
  9. 前記結着樹脂は、ポリエステルユニットを樹脂全量に対して50〜95質量%含有することを特徴とする請求項6又は7に記載のイエロートナー。
  10. 前記結着樹脂は、ポリエステルユニットを樹脂全量に対して70〜90質量%含有することを特徴とする請求項6又は7に記載のイエロートナー。
  11. 像担持体に第一の静電荷像を担持させ、シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー及びブラックトナーからなるグループから選択される第一のトナーで第一の静電荷像を現像して第一のトナー画像を像担持体上に形成し、中間転写体を介して又は介さずに前記第一のトナー画像を転写材に転写し、
    像担持体に第二の静電荷像に担持させ、シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー及びブラックトナーからなるグループから選択される、前記第一のトナー以外の第二のトナーで第二の静電荷像を現像して第二のトナー画像を像担持体上に形成し、中間転写体を介して又は介さずに前記第二のトナー画像を転写材に転写し、
    像担持体に第三の静電荷像を形成し、シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー及びブラックトナーからなるグループから選択される、前記第一のトナー及び前記第二のトナー以外の第三のトナーで第三の静電荷像を現像して第三のトナー画像を像担持体上に形成し、中間転写体を介して又は介さずに前記第三のトナー画像を転写材に転写し、
    像担持体に第四の静電荷像を形成し、シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー及びブラックトナーからなるグループから選択される、前記第一のトナー、前記第二のトナー及び前記第三のトナー以外の第四のトナーで第四の静電荷像を現像して第四のトナー画像を像担持体上に形成し、中間転写体を介して又は介さずに前記第四のトナー画像を転写材に転写し、
    転写材上のシアントナー画像、マゼンタトナー画像、イエロートナー画像及びブラックトナー画像を加熱定着することにより、転写材にフルカラー画像を形成する画像形成方法において、
    前記イエロートナーは、請求項1〜10のいずれか一項に記載のイエロートナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
  12. 静電荷像を担持するための像担持体と、この像担持体にトナーを供給して像担持体が担持する静電荷像を現像するためのトナーを有する現像手段とを一体的に有し、且つ前記像担持体に静電荷像を形成し、この静電荷像を前記現像手段によって現像する画像形成装置の本体に着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、
    前記トナーは、請求項1〜10のいずれか一項に記載のイエロートナーであることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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