JP2005336362A - エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 流動性、成形性、耐半田性に優れた特性を有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 エポキシ樹脂、フェノール樹脂、硬化促進剤、SiO2とZrO2の共融物を含むことを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物、好ましくは前記SiO2とZrO2の共融物の平均粒径が0.1μm以上、3.0μm以下である半導体封止用エポキシ樹脂組成物、並びにそれらを用いて半導体素子を封止してなることを特徴とする半導体装置。

Description

本発明は、半導体封止用のエポキシ樹脂組成物及びこれを用いた半導体装置に関するものであり、特に流動性、硬化性、成形性、耐半田性に優れた半導体封止用エポキシ樹脂組成物に関するものである。
IC、LSI等の半導体素子の封止方法として、エポキシ樹脂組成物のトランスファー成形が低コスト、大量生産に適しており、採用されて久しく、信頼性の点でもエポキシ樹脂や硬化剤であるフェノール樹脂の改良により特性の向上が図られてきた。しかし、近年の電子機器の小型化、軽量化、高性能化の市場動向において、半導体の高集積化も年々進み、また、半導体装置の表面実装化が促進されるなかで、半導体封止用エポキシ樹脂組成物への要求は益々厳しいものとなってきている。このため、従来からのエポキシ樹脂組成物では解決出来ない問題点も出てきている。
その最大の問題点は、表面実装の採用により半導体装置が半田浸漬或いは半田リフロー工程で急激に200℃以上の高温にさらされ、吸湿した水分が爆発的に気化する際の応力により、半導体装置にクラックが発生したり、半導体素子、リードフレーム、インナーリード上の各種メッキされた各接合部分とエポキシ樹脂組成物の硬化物の界面で剥離が生じたりして、信頼性が著しく低下する現象である。
半田処理による信頼性低下を改善するために、エポキシ樹脂組成物中の無機質充填材の充填量を増加させることで低吸湿化、高強度化、低熱膨張化を達成し耐半田性を向上させ、低溶融粘度の樹脂を使用して、成形時に低粘度で高流動性を維持させる手法がある(例えば、特許文献1参照。)。この手法を用いることにより耐半田クラック性がかなり改良されるが、無機充填材の充填割合の増加と共に、流動性が犠牲になりパッケージ内に空隙が生じやすくなる欠点があった。そこで平均粒径の異なる充填材を併用して流動性を維持する手法(例えば、特許文献2参照)が提案されているが、しかし十分良好な半導体封止用エポキシ樹脂組成物は得られるには至っていない。
特開昭64−65116号公報(2〜7頁) 特開平8−20673号公報(2〜6頁)
本発明は、従来の上記のような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、流動性、成形性に優れ、熱時強度が高い特性を有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び耐半田性に優れた半導体装置を提供することにある。
本発明は、
[1] (A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)硬化促進剤、及び(D)SiO2とZrO2の共融物を含むことを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物、
[2] 前記SiO2とZrO2の共融物(D)の平均粒径が0.1μm以上、3.0μm以下である第[1]項記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物、
[3] 前記SiO2とZrO2の共融物(D)において、その組成中のSiO2の割合が80重量%以上、99重量%以下であり、ZrO2の割合が10重量%以下、1重量%以上である第[1]又は[2]項に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物、
[4] (E)前記(D)成分を除く無機充填材を含み、前記(D)成分と前記(E)成分との含有重量比が(D)/(E)=3/97〜25/75である第[1]ないし[3]項のいずれかに記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物、
[5] 前記(D)成分と(E)成分とを合わせた合計の含有割合が、全エポキシ組成物中の84重量%以上、94重量%以下である第[1]ないし[4]項のいずれかに半導体封止用エポキシ樹脂組成物、
[6] 第[1]ないし[5]項のいずれかに記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなることを特徴とする半導体装置、

である。
本発明によれば、流動性、成形性に優れた半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び耐半田性に優れた半導体装置を得ることができる。
本発明は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、硬化促進剤、無機充填材、及びSiO2とZrO2の共融物を含むことにより、流動性、成形性に優れた半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び耐半田性に優れた半導体装置を得ることができるものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に用いるエポキシ樹脂は、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般であり、その分子量、分子構造は特に限定するものではないが、例えばビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂(フェニレン骨格、ビフェニレン骨格等を有する)等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いても差し支えない。
本発明に用いるフェノール樹脂は、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般であり、その分子量、分子構造を特に限定するものではないが、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、トリフェノールメタン型樹脂、フェノールアラルキル樹脂(フェニレン骨格、ビフェニレン骨格等を有する)等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いても差し支えない。
エポキシ樹脂とフェノール樹脂の含有量としては、全エポキシ樹脂のエポキシ基数と全フェノール樹脂のフェノール性水酸基数の比が0.8以上、1.3以下であることが好ましく、この範囲を外れると、エポキシ樹脂組成物の硬化性の低下、或いは硬化物のガラス転移温度の低下、耐湿信頼性の低下等が生じる可能性がある。
本発明で用いられる硬化促進剤としては、エポキシ基とフェノール性水酸基の反応を促進するものであれば特に限定しないが、例えば、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等のジアザビシクロアルケン及びその誘導体、トリブチルアミン、ベンジルジメチルアミン等のアミン系化合物、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、トリフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラ安息香酸ボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラナフトイックアシッドボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラナフトイルオキシボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラナフチルオキシボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート等が挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
本発明ではSiO2とZrO2の共融物が必須である。一般に無機充填材として好適に使用される溶融シリカは、通常その組成の99%以上がSiO2からなるが、粒径が小さくなるほど凝集性が高くなり、樹脂中での分散性が低下する。特に3.0μm以下の領域ではその傾向は著しい。しかし組成中にZrO2を含有することにより、凝集性が低くなり、樹脂中での分散性が上がるので、流動性が向上し、また耐半田性悪化の要因となる凝集物が少なくなるのである。
本発明で用いるSiO2とZrO2の共融物の平均粒径は、特に限定するものではないが、0.1〜3.0μmであることが好ましい。上限値を超えると、分散性向上の効果が薄れ、下限値を下回ると、粒子同士の凝集を抑えることが困難となるので好ましくない。本発明に用いる無機充填材の平均粒径は、レーザー式粒度分布計((株)島津製作所製、SALD−7000)を用いて測定したものである。またSiO2とZrO2の共融物の形状は球状であることが流動性が向上し好ましい。形状は走査型電子顕微鏡等で共融物を観察して判定すればよい。
本発明に用いる無機充填材としては、SiO2とZrO2の共融物の他に、一般に半導体封止用エポキシ樹脂組成物に使用されているものと併用することができる。併用するものとしては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、タルク、アルミナ、窒化珪素等が挙げられ、最も好適に使用されるものは、球状の溶融シリカである。これらの併用する無機充填剤は、単独でも混合して用いても差し支えない。
本発明に用いるSiO2とZrO2の共融物の含有量は、特に限定するものではないが、SiO2とZrO2の共融物(D)とそれを除く無機充填材(E)との割合が、(D)/(E)=3/97〜25/75であることが好ましい。SiO2とZrO2の共融物の割合が、下限値を下回ると流動性が低下し、上限値を上回ると吸湿率の上昇に伴い耐半田性が低下する等の問題が生じるので好ましくない。SiO2とZrO2の共融物(D)とそれを除く無機充填材との両方を合わせた含有割合は、全エポキシ樹脂組成物中に84重量%以上、94重量%以下が好ましい。下限値を下回ると吸湿率の上昇に伴い耐半田性が低下し、上限値を越えると金線変形及びパッドシフト等の問題が生じるので好ましくない。
本発明に用いるSiO2とZrO2の共融物は、その組成中のSiO2の割合が80重量%以上、99重量%以下、ZrO2の割合が10重量%以下、1重量%以上であることが好ましい。SiO2の割合が上限値を超えると凝集力が強くなり、下限値を下回ると熱的安定性が低下するので好ましくない。ZrO2の割合が上限値を超えると粗粒分がX線不透過物として検出される可能性が高まり、下限値を下回ると凝集力が強くなるので好ましくない。またSiO2とZrO2の共融物の組成において、他にTiO2、Al23、Fe23等が含まれていても構わない。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じてカップリング剤を使用する。カップリング剤とは、通常無機物質の表面処理に用いられているカップリング剤を指す。例えばアミノシラン、エポキシシラン、メルカプトシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等のシランカップリング剤や、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、アルミニウム/ジルコニウムカップリング剤等が挙げられるが、最も好適に使用されるものとしてはシランカップリング剤であり、より好ましく使用されるものとしてはアミノシラン、エポキシシラン、メルカプトシラン、ウレイドシランが挙げられ、これらを例示すると、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニルγ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルγ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-6-(アミノヘキシル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(3-(トリメトキシシリルプロピル)-1,3-ベンゼンジメタナン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどが挙げられ、これらは単独でも混合して用いても差し支えない。また、カップリング剤は、予め水或いは必要に応じて酸又はアルカリを添加して、加水分解処理して用いてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、(A)〜(E)成分を必須とし、必要に応じてカップリング剤を添加するが、更にこれ以外に、カーボンブラック等の着色剤、天然ワックス、合成ワックス等の離型剤及び、ゴム等の低応力添加剤、臭素化エポキシ樹脂や三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ほう酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、フォスファゼン等の難燃剤等の添加剤を適宜配合しても差し支えない。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、(A)〜(E)成分の他、必要に応じて添加する添加物をミキサー等を用いて十分に均一に混合した後、更に熱ロール又はニーダー等で溶融混練し、冷却後粉砕して得られる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて、半導体素子等の各種の電子部品を封止し、半導体装置を製造するには、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の従来からの成形方法で硬化成形すればよい。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。配合割合は重量部とする。
なお、実施例及び比較例で用いたSiO2とZrO2の共融物及びそれ以外の無機充填材の内容について以下に示す。
共融物1(球状、平均粒径:0.5μm、SiO2:92.8重量%、ZrO2:5.4重量%)
共融物2(球状、平均粒径:2.6μm、SiO2:96.3重量%、ZrO2:2.1重量%)
共融物3(球状、平均粒径:0.2μm、SiO2:88.4重量%、ZrO2:8.9重量%)
無機充填材1(溶融球状シリカ、平均粒径:28.4μm、SiO2:99.9重量%)
無機充填材2(溶融球状シリカ、平均粒径:0.5μm、SiO2:99.9重量%)
実施例1
エポキシ樹脂1:ジャパンエポキシレジン(株)製、YX−4000、エポキシ当量190g/eq、融点105℃、以下、E−1という 56重量部
フェノール樹脂1:三井化学(株)製、XLC−LL、水酸基当量165g/eq、軟化点79℃、以下H−1という 48重量部
1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(以下、DBUという)
5重量部
共融物1 100重量部
無機充填材1 780重量部
共融物1 100重量部
カップリング剤(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン) 3重量部
カーボンブラック 3重量部
カルナバワックス 5重量部
を混合し、熱ロールを用いて、95℃で8分間混練して冷却後粉砕し、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を、以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
評価方法
スパイラルフロー:EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用金型を用いて、金型温度175℃、圧力6.9MPa、硬化時間120秒で測定した。単位はcm。
耐半田性:低圧トランスファー成形機を用いて、成形温度175℃、圧力8.3MPa、硬化時間120秒で、80pQFP(Cuフレーム、チップサイズ6.0mm×6.0mm)を成形し、アフターベークとして175℃、8時間加熱処理した後、85℃、相対湿度85%で120時間の加湿処理を行った後、260℃のIRリフロー処理をした。パッケージ内部の剥離とクラックを超音波探傷機で確認した。10個のパッケージ中の不良パッケージ数を示す。
実施例2〜5、比較例1〜2
表1の配合に従い、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を得て、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
実施例1以外で用いた原材料を以下に示す。
エポキシ樹脂2:日本化薬(株)製、NC3000P、軟化点58℃、エポキシ当量273、以下、E−2という。
フェノール樹脂2:明和化成(株)製、MEH−7851SS、軟化点107℃、水酸基当量204、以下、H−2という。
本発明によれば、流動性、成形性に優れ、凝集物の少ない特性を有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物を得ることができるため、より高いレベルの耐半田性が要求される半導体装置に好適に用いられる。

Claims (6)

  1. (A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)硬化促進剤、及び(D)SiO2とZrO2の共融物を含むことを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  2. 前記SiO2とZrO2の共融物(D)の平均粒径が0.1μm以上、3.0μm以下である請求項1記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  3. 前記SiO2とZrO2の共融物(D)において、その組成中のSiO2の割合が80重量%以上、99重量%以下であり、ZrO2の割合が10重量%以下、1重量%以上である請求項1又は2に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  4. (E)前記(D)成分を除く無機充填材を含み、前記(D)成分と前記(E)成分との含有重量比が(D)/(E)=3/97〜25/75である請求項1ないし3のいずれかに記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  5. 前記(D)成分と(E)成分とを合わせた合計の含有割合が、全エポキシ組成物中の84重量%以上、94重量%以下である請求項1ないし4のいずれかに半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなることを特徴とする半導体装置。
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