JP2005336166A - 貼付剤用粘着剤及びその製造方法 - Google Patents

貼付剤用粘着剤及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】β−ヒドロキシプロピオン酸(塩)含有量が少なく、安定した保形性、粘着力及び薬物の経皮吸収性を持つ、アクリル酸塩系重合体からなる貼付剤用粘着剤組成物の提供。
【解決手段】構成単位として、(1)アクリル酸塩(アンモニウム塩又はアルカリ金属塩)単量体、(2)アクリル酸単量体、(3)(1)及び(2)以外の不飽和単量体、を含み、(1)のアクリル酸塩単量体単位を5モル%以上含有しているアクリル酸塩系重合体からなり、β−ヒドロキシプロピオン酸(塩)含有量が重合体固形分当たり5000ppm以下である貼付剤用粘着剤、その製造方法及びその貼付剤用粘着剤とアルミニウム化合物と水を含む貼付剤用粘着剤組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は経皮吸収型外用剤等の貼付剤に用いられるアクリル酸塩系重合体を主成分とする粘着剤に関するものである。更に詳しく言えば、貼付剤として重要な粘着力等の物性にほとんどバラツキが無く、安定した品質を確保し得るアクリル酸塩系重合体及びその製造方法に関するものである。
一般にパップ剤のような含水系の貼付剤は、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリル酸ナトリウム共重合体やポリアクリル酸架橋物等をアルミニウム化合物によりイオン架橋させて成形させている。イオン架橋が充分でないと粘着層が支持体である不織布等にしみ出すばかりか、皮膚に“のり残り”が生じ、患者に不快感を与える。また、過度に架橋すると、粘着層が堅くなり粘着性が劣ってきてしまい、それにより皮膚から脱落したり、薬物の経皮吸収性が悪化する等の事態が生じていた。したがって、アルミニウム化合物とアクリル酸塩系重合体との架橋は品質面から非常に重要である。
含水系の貼付剤製造時に用いられる、アルミニウム化合物は一般に水に難溶性のものが用いられている。これは水に易溶性のものを用いると、架橋が一気に進行し、架橋が不均一になってしまうためである。そのため、難溶性のアルミニウム化合物を酸により徐々に溶解せしめて架橋させる方法が一般的である。酸としては乳酸や酒石酸のような分子内に水酸基とカルボキシル基を有するオキシカルボン酸を用いることで溶解速度を速くして生産性を向上させることができる(特開昭60-226808号公報;特許文献1)。従ってアルミニウム化合物の量とオキシカルボン酸の量は含水系貼付剤の品質の要となっている。
また、含水系の貼付剤用粘着剤の組成においては、アクリル酸塩系重合体は水やグリセリン等の保湿剤の次に配合量が多い。しかしながら、アクリル酸塩系重合体がアルミニウム化合物との架橋の度合いに及ぼす影響について考察した文献は従来ほとんど見あたらない。
本発明者らは、アルミニウム化合物及びオキシカルボン酸のロットや含有量を厳密に管理することにより架橋の度合いが大きく異なることに注目し、種々のアクリル酸塩系重合体の製造方法について鋭意研究を行い、アクリル酸塩系重合体の不純物をガスクロマトグラフや液体クロマトグラフで分析し、それらと架橋の度合いとの関連を追及していった。その中でβ−ヒドロキシプロピオン酸(ヒドロアクリル酸)が関連が強いことを見出し、本発明を完成するに至った。
特開昭60−226808号公報
本発明は、β−ヒドロキシプロピオン酸(塩)含有量の少ないアクリル酸塩系重合体を用いることで、重合体中のカルボキシル基とアルミニウムとの架橋反応を安定させ、結果として、安定した保形性、粘着力及び薬物の経皮吸収性を持つ貼付剤を提供することにある。
この様な実情に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、アクリル酸塩系重合体中のβ−ヒドロキシプロピオン酸(塩)の濃度を低く抑えることで、アルミニウム化合物と重合体との架橋速度のコントロールが容易となり、その結果、粘着層の硬さを一定にでき、粘着力も安定し、薬物の吸収性も再現性が確保される。また脱落等の危険も低減され、品質管理を容易にすることができる。さらに、アクリル酸塩系重合体中のβ−ヒドロキシプロピオン酸(塩)の濃度を低く抑えることで人体に適用される貼付剤用粘着剤としてより安全なものが提供できる。
β−ヒドロキシプロピオン酸は以下のようにアクリル酸から生成する。
Figure 2005336166
一方、通常、重合は100%反応することはなく、必ず未反応のモノマーが残存する。アクリル酸の重合の場合も例外ではなく、重合後、不純物として重合体中に残留アクリル酸が存在する。すなわち、β−ヒドロキシプロピオン酸はアクリル酸を原料とした重合体の製造時に水を介する過程が有れば必然的に含まれてくる化合物である。
一方で、前述したように、一般にパップ剤のような含水系の貼付剤の製造に用いる架橋剤であるアルミニウム化合物は難溶性のものが用いられ、それらを乳酸や酒石酸といった分子内に水酸基とカルボキシル基を両方含むオキシカルボン酸を用いることで溶解せしめている。ここで注目すべきはβ−ヒドロキシプロピオン酸もオキシカルボン酸であるということにある。
しかしながら、このオキシカルボン酸は大量に配合すると、架橋速度が逆に遅くなることが知られている。これは液のpHが下がり、その結果重合体が凝集してしまうこと、及びオキシカルボン酸がアルミニウムイオンをキレート作用でマスキングし、アルミニウムイオンと重合体のカルボキシレートとのイオン結合を阻害しているためと考えられる。実際、酒石酸やクエン酸はキレート剤として工業的に広く用いられている(「入門キレート化学」上野景平、南江堂)。
すなわち、アルミニウム化合物の溶解助剤として意図的に添加させるオキシカルボン酸以外のオキシカルボン酸が存在すると、アルミニウムの溶解が早くなり架橋が不均一になったり、または逆にアルミニウムイオンと重合体とのイオン結合を阻害し、架橋を不十分なものにさせてしまうことが考えられる。前述したようにβ−ヒドロキシプロピオン酸もオキシカルボン酸であり、その含有量によっては架橋の度合いに影響を及ぼすことは十分考えられる。
なお、特開平6-56931号公報に重合前のアクリル酸モノマー中のβ−ヒドロキシプロピオン酸(塩)を低く抑えることにより、重合後のポリマー中の残留モノマーの濃度を低減できる旨が記載されている。しかしこれはあくまでも重合体中に残留したアクリル酸の低減に関する発明であり、アクリル酸の低減化の方法としてβ−ヒドロキシプロピオン酸(塩)の濃度をコントロールするというものである。本発明は重合体中のβ−ヒドロキシプロピオン酸(塩)の濃度をコントロールすることにより、アルミニウム化合物とアクリル酸塩系重合体との架橋反応の精度を高めるというものであるから、本質的に特開平6-56931号公報の発明とは異なるものである。
すなわち、本発明者らは従来何等注目されていなかったアクリル酸塩系重合体中に少量含まれるβ−ヒドロキシプロピオン酸(塩)の重要性に注目し、その含有量を抑えることによりアルミニウム化合物とアクリル酸塩系重合体との架橋反応の安定化を図り、高い品質の貼付剤を製造し得る貼付剤用粘着剤を完成したのである。
本発明は以下に示す1〜11の貼付剤用粘着剤及びその製造方法に関する。
1.アクリル酸(塩)を単量体単位として5モル%以上含有しているアクリル酸塩系重合体からなり、β−ヒドロキシプロピオン酸(塩)含有量が重合体固形分当たり5000ppm以下であることを特徴とする貼付剤用粘着剤。
2.繰り返し単位が、一般式(1)、(2)及び(3)
Figure 2005336166
(式中、MはNH4 +またはアルカリ金属を表し、Xは一般式(1)及び(2)以外の不飽和単量体単位を表す。)で示され、(1)/(2)=100/0〜0/100(モル比)、かつ(1)及び(2)の合計/(3)=100/0〜5/95であるアクリル酸塩系重合体を用いる前記1記載の貼付剤用粘着剤。
3.前記Mがナトリウムで、かつ前記繰り返し単位(1)及び(2)の割合が(1)/(2)=20/80〜80/20(モル比)の範囲にあり、前記繰り返し単位(3)を含まない前記2記載の貼付剤用粘着剤。
4.アクリル酸塩系重合体が分子内架橋されている前記1記載の貼付剤用粘着剤。
5.アクリル酸塩系重合体がアクリル酸ナトリウム−N−ビニルアセトアミド共重合体である前記1記載の貼付剤用粘着剤。
6.前記1乃至5のいずれか1項に記載の貼付剤用粘着剤を製造する方法において、アクリル酸塩系重合体を40〜160℃以下の温度に管理する乾燥工程を含むことを特徴とする貼付剤用粘着剤の製造方法。
7.前記1乃至5のいずれか1項に記載の貼付剤用粘着剤を製造する方法において、アクリル酸塩系重合体乾燥工程を含み、前記乾燥工程前のアクリル酸塩系重合体中の含水率を40%以下に管理することを特徴とする貼付剤用粘着剤の製造方法。
8.前記乾燥工程の前にアクリル酸塩系重合体を予め水溶性有機溶媒にて脱水する脱水工程を含む前記7記載の貼付剤用粘着剤の製造方法。
9.さらに亜臨界流体及び/または超臨界流体と接触させてβ−ヒドロキシプロピオン酸(塩)含有量を低減する工程を含む前記6乃至8のいずれか1項に記載の貼付剤用粘着剤の製造方法。
10.亜臨界流体及び/または超臨界流体が二酸化炭素である前記9記載の貼付剤用粘着剤の製造方法。
11.前記1乃至5のいずれか1項に記載の貼付剤用粘着剤を0.1〜20質量%、アルミニウム化合物を0.01〜20質量%及び水を1〜99.89質量%含むことを特徴とする貼付剤用粘着剤組成物。
本発明のアクリル酸塩系重合体は、β−ヒドロキシプロピオン酸(塩)含有量が少なく、結果重合体中のカルボキシル基とアルミニウムとの架橋反応が安定して行われるので、安定した保形性、粘着力及び薬物の経皮吸収性を持つ貼付剤を製造することが可能である。
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明の貼付剤用粘着剤において、アクリル酸塩系重合体中のβ−ヒドロキシプロピオン酸(塩)の含有量は、固形分あたり5000ppm以下であることが必須であり、好ましくは1000ppm以下、更に好ましくは500ppm以下、最も好ましくは100ppm以下である(なお、本発明でβ−ヒドロキシプロピオン酸(塩)の含有量とは、β−ヒドロキシプロピオン酸及びβ−ヒドロキシプロピオン酸塩の合計含有量を指す。)。β−ヒドロキシプロピオン酸(塩)の含有量が5000ppmを越える場合、得られた貼付剤用粘着剤は架橋が不十分もしくは過度に行われてしまい、粘着層の硬さが不安定になるため、結果として、粘着力や薬物の吸収性も不安定になってしまう。
本発明の貼付剤用粘着剤において、アクリル酸塩系重合体を構成する単量体単位としてのアクリル酸(塩)の割合は、5〜100モル%であることが好ましい(なお、本発明でアクリル酸(塩)とは、アクリル酸及びアクリル酸塩の合計を指す)。本発明において架橋反応の安定化をより多く発現するため、本発明のより好ましいアクリル酸(塩)の割合は10〜100モル%、更には40〜100モル%である。アクリル酸(塩)の含有量が5モル%未満の場合、アルミニウム化合物との架橋反応に時間がかかり製造時間の延長化やアルミニウム化合物の濃度を上げなければならず、結果としてコストアップにつながるので好ましくない。この共重合比の範囲でアクリル酸(塩)の割合がかなり少ないものも含まれているが、重要なのはβ−ヒドロキシプロピオン酸(塩)含有量であり、仮に重合仕込み時にはアクリル酸(塩)を15%仕込んでも、その相手のモノマーとの共重合性が悪いがために結果的に重合体中には5%しか含まれてこない場合がある。その場合未反応のアクリル酸(塩)が10%となり、それらがβ−ヒドロキシプロピオン酸(塩)に変換する場合がある。
本発明の貼付剤用粘着剤におけるアクリル酸塩系重合体は、繰り返し単位が、一般式(1)、(2)及び(3)
Figure 2005336166
(式中、MはNH4 +またはアルカリ金属を表し、Xは一般式(1)及び(2)以外の不飽和単量体単位を表す。)で示され、(1)/(2)=100/0〜0/100(モル比)かつ、(1)及び(2)の総量/(3)=100/0〜5/95であるものがとくに好ましい。
上記のアクリル酸塩系重合体としては、具体的には、アクリル酸のナトリウム塩、カリウム塩のようなアルカリ金属塩、アンモニウム塩等の単独重合体、アクリル酸のナトリウム塩、カリウム塩のようなアルカリ金属塩、アンモニウム塩等とアクリル酸との共重合体、アクリル酸の単独重合体等を挙げることができ、貼付剤製造時にはこれらを併用してもかまわない。なお上記の中でも、諸物性に優れる重合体を得るためには、ナトリウム塩やカリウム塩が好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。
また、アクリル酸がナトリウム塩で、かつ前記繰り返し単位(1)及び(2)の割合が(1)/(2)=20/80〜80/20(モル比)の範囲にあり、前記繰り返し単位(3)を含まない重合体であることが好ましい。
本発明の貼付剤用粘着剤に用いられる全不飽和単量体のうち、95モル%までの範囲でアクリル酸(塩)以外の不飽和単量体を用いてもよい。
アクリル酸(塩)以外の不飽和単量体としては、例えば、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イタコン酸、ビニルスルフォン酸、スチレンスルフォン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルフォン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルフォン酸等の酸基含有の親水性不飽和単量体及びその塩;N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン等のノニオン性の親水性不飽和単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及びその四級塩等のカチオン性の親水性不飽和単量体、スチレン、塩化ビニル、ブタジエン、イソブテン、エチレン、プロピレン、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの群から選ばれる1種あるいは2種以上を使用できる。また、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル等の様に、官能基の加水分解によって、親水性樹脂を形成する不飽和単量体を用いてもよい。
これらの中でも、特にN−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、メタクリル酸(塩)、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリルアミドが好ましい。
本発明の貼付剤用粘着剤において、アクリル酸塩系重合体中の固形分あたりのβ−ヒドロキシプロピオン酸の含有量が5000ppm以下の量に制限された貼付剤用粘着剤の調製手段は特に制限されるものではない。
本発明の貼付剤用粘着剤で用いられる重合方法としては、例えば、(a)ラジカル重合開始剤による方法、(b)放射線による方法、(c)電子線による方法、(d)光増感剤による紫外線重合等の公知の手法を挙げることができるが、高性能のアクリル酸塩系重合体を得るためには、(a)のラジカル重合開始剤による重合が好ましい。
かかる重合法(a)としては、例えば、型枠内重合、含水ゲル状重合体の細分化によるもの、加圧条件下での重合等の各種水溶液重合、逆相懸濁重合、逆相乳化重合、沈澱重合、バルク重合等の公知の重合方法が挙げられるが、逆相懸濁重合または水溶液重合が特に好ましい。また、重合方式としては、連続式、半回分式、回分式のいずれでもよく、減圧、加圧、常圧のいずれの条件でも実施できる。
重合は、バルク重合や沈澱重合でもよいが、性能面や重合の制御の容易さから、溶液重合が好ましい。重合系溶媒としては、不飽和単量体が溶解する液体ならば特に制限はなく、例えば、水、メタノール、エタノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられるが、水または水性液が特に好ましい。また、不飽和単量体を溶液重合する際の濃度は特に制限はなく飽和濃度を越えてもかまわないが、諸物性や残存モノマー低減の面から、通常、20質量%〜飽和濃度、好ましくは25〜50質量%の範囲である。また、重合に際して、不飽和単量体に、連鎖移動剤や、澱粉、セルロースやそれらの誘導体、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルアセトアミド架橋体等の親水性高分子を添加してもよい。それらの使用量は通常、連鎖移動剤は5質量部以内、親水性高分子は50質量部以内である。なお連鎖移動剤としては、次亜燐酸、次亜燐酸ナトリウム等の次亜燐酸類、チオ酢酸、チオグリコール酸、メルカプトエタノール等の含硫黄化合物、ジスルフィド類、四塩化炭素などのハロゲン化物、亜燐酸、亜燐酸ナトリウム等の亜燐酸類等が挙げられる。
重合に用いられるラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;過酸化水素;2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ化合物;その他、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩、第二セリウム塩、過マンガン酸塩等公知の重合開始剤が挙げられるが、これらの中でも、過硫酸塩、過酸化水素、アゾ化合物よりなる群から選ばれる1種或は2種以上が好ましい。また、酸化性ラジカル重合開始剤を用いる場合は亜硫酸(水素)塩や、鉄、L−アスコルビン酸等の還元剤を併用してもよいし、アゾ系重合開始剤等を用いる場合は紫外線を併用してよい。なお、これらラジカル重合開始剤等は重合系に一括添加してもよいし、逐次添加してもよいが、その使用量は不飽和単量体に対して、通常0.001〜2モル%、好ましくは0.01〜1モル%である。
本発明の貼付剤用粘着剤では、アクリル酸塩系重合体を架橋してもよい。架橋重合体を用いることにより、貼付剤の保形性や溶媒保持性を向上させることができる。
架橋方法は特に制限はなく、例えば、(a)アクリル酸塩系重合体を得た後、更に重合中や重合後に架橋剤を添加して後架橋する方法、(b)ラジカル重合開始剤によるラジカル架橋、(c)電子線等による放射線架橋等が挙げられるが、生産性の向上を図るには、(d)予め所定量の内部架橋剤を不飽和単量体に添加して重合を行い、重合と同時または重合後に架橋反応させることが好ましい。
好ましい手法(d)で用いられる内部架橋剤としては、例えば、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(β−アクリロイルオキシプロピオネート)、トリメチロールプロパントリ(β−アクリロイルオキシプロピオネート)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、ポリエチレンイミン等の内部架橋剤の1種または2種以上が用いられる。その使用量は不飽和単量体に対して、通常、0.005〜5モル%、より好ましくは0.01〜1モル%である。なお、これらの中でも、特に1分子に2個以上の重合性不飽和基を有する重合性内部架橋剤を用いることが好ましい。
β−ヒドロキシプロピオン酸(塩)を低減させる方法としては、例えば、アクリル酸中にモノマーの前駆体としてβ−ヒドロキシプロピオン酸が存在することから、β−ヒドロキシプロピオン酸(塩)の含有量が少ないアクリル酸(塩)を用いて重合する方法、重合時の触媒処方により重合後の残留アクリル酸(塩)を低減する方法、重合後の重合体の後処理工程でβ−ヒドロキシプロピオン酸(塩)の生成を抑えたり、または除去する方法が考えられる。
不飽和単量体を溶液として重合を行う場合、重合後のアクリル酸塩系ポリマーはそのまま貼付剤用粘着剤として用いてもよいが、取り扱い性の点からは、乾燥することが好ましい。
乾燥は、公知の方法により行われる。例えば、高濃度で重合させることで、重合熱により乾燥と重合を同時に行う方法を採用しても良いし、重合後の固形分によっては、得られたゲル状重合体を更に乾燥してもよい。更に乾燥を行う場合は、例えば、熱風移送型乾燥、材料撹拌型乾燥(流動層乾燥機等)、材料搬送及び静置型乾燥、円筒乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥、過熱蒸気乾燥等の方法が採用される。
乾燥条件として、乾燥温度を低く抑えることにより、β−ヒドロキシプロピオン酸(塩)の濃度を低くすることができる。これは、高温では水の存在下、アルカリ雰囲気でなくともβ−ヒドロキシプロピオン酸が生成してしまうためである。すなわち、低い温度で乾燥すれば重合体中の残留アクリル酸からβ−ヒドロキシプロピオン酸が生成する割合を低減することができる。
従って、本発明の貼付剤用粘着剤の製造方法における乾燥工程は通常、40〜160℃、好ましくは50〜150℃、より好ましくは70〜140℃で行われる。この温度範囲を外れるとβ−ヒドロキシプロピオン酸(塩)の濃度が高くなってしまう。なお、乾燥時間は重合体の含水率や粒子径、乾燥温度等によって、適宜決定されるが、通常、10分から12時間の範囲である。
また、上記のβ−ヒドロキシプロピオン酸の生成メカニズムから、乾燥条件として、乾燥前のアクリル酸塩系重合体中の含水率を低く抑えることによりβ−ヒドロキシプロピオン酸(塩)の濃度を低くすることができる。
乾燥前のアクリル酸塩系重合体中の含水率は、通常は40%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは10%以下としておくのがよい。乾燥前のアクリル酸塩系重合体中の含水率が40%以下であれば、乾燥温度は160℃を超えることがあってもよい。
乾燥前のアクリル酸塩系重合体中の含水率を40%以下にする方法としては、凍結乾燥や真空乾燥等が挙げられるが、水溶性有機溶媒を用いて脱水する方法が簡易である。水溶性有機溶媒は水に溶解するものであれば特に制限はない。例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、イソアミルアルコール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、1−オクタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、セロソルブ、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの中でも、脱水効率から、メタノール、エタノール及びプロパノールが好ましく、特に人体への安全性の面からエタノールが好ましい。
水溶性有機溶媒はそのまま用いても、水溶液として用いてもよく、さらには複数の水溶性有機溶媒を混合して用いてもよい。その際、アクリル酸塩系重合体が溶け出さないように溶媒の組成を選択するのが好ましい。
本発明の貼付剤用粘着剤の製造方法においては、アクリル酸塩系重合体を、亜臨界流体及び/または超臨界流体と接触させることにより、β−ヒドロキシプロピオン酸(塩)を低減することが可能である。アクリル酸塩系重合体を、亜臨界流体及び/または超臨界流体と接触させる方法を用いることにより、有機溶媒を用いる方法に比べ、溶媒の残留を回避でき、人体に適用される貼付剤の本用途に適した方法と言える。亜臨界流体及び/または超臨界流体と接触させるアクリル酸塩系重合体は、予め乾燥を行うことが好ましく、乾燥温度は200℃以下であることがよい。乾燥温度によってはβ−ヒドロキシプロピオン酸(塩)の生成する割合が高くなることがあるが、亜臨界流体及び/または超臨界流体と接触させることにより、β−ヒドロキシプロピオン酸(塩)を低減することが可能である。
本発明の貼付剤用粘着剤の製造方法において、亜臨界流体とは、臨界温度未満及び/または臨界圧力未満の条件下にある流体である。また、超臨界流体とは、臨界温度以上かつ臨界圧力以上の条件下にある流体である。亜臨界流体及び超臨界流体として具体的に用いる流体の種類は特に限定されず、従来から知られている種々の流体を使用できる。また、亜臨界流体及び超臨界流体は、複数種を併用してもよい。複数種を併用する場合は、混合して同時に用いても、単独で順に用いてもよい。
亜臨界流体及び超臨界流体としては、例えば、二酸化炭素、一酸化炭素、窒素酸化物(例えば、亜酸化窒素等)、アンモニア、飽和炭化水素(メタン、エタン、プロパン、ブタン等)、不飽和炭化水素(エチレン、プロピレン、ブテン等)、窒素、水素、酸素、ハロゲン化炭化水素(フロンガス等)及びジメチルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種以上の流体が好ましく用いられる。
上述した流体の中でも、使用後のアクリル酸塩系重合体との分離の容易さから、常温・常圧(10℃、大気圧)条件下においては気体である物質が好ましい。さらに、使用後の分離性や安定性から、二酸化炭素、一酸化炭素、亜酸化窒素、アンモニア、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ジメチルエーテルが好ましい。特に、二酸化炭素は、温和な臨界温度を有し、かつ安全性や安定性に優れるので、特に好ましく使用される。
アクリル酸塩系重合体中のβ−ヒドロキシプロピオン酸(塩)を低減するために使用した後の亜臨界流体及び超臨界流体は、精製操作(例えば、蒸留操作、吸着操作、吸収操作等)を経て、あるいは精製操作を経ること無く再使用してもよい。
本発明の貼付剤用粘着剤の製造方法においては、必要に応じて、亜臨界流体及び/または超臨界流体にエントレーナー(抽出助剤)を添加してもよい。エントレーナーを用いることでアクリル酸塩系重合体中に含有されるβ−ヒドロキシプロピオン酸(塩)の溶解力を向上させたり、または分離する際の選択性を向上させることができる。用いるエントレーナーは特に限定されず、対象とする不純物や使用する亜臨界流体及び/または超臨界流体に対する親和性、回収の容易さ、安全性、安定性等の観点から選定すれば良い。
エントレーナーとしては、例えば、有機溶媒、水、及び有機溶媒と水の混合液が挙げられる。有機溶媒の具体例としては、炭素数1〜30のアルコール類、炭素数3〜30のケトン類、炭素数2〜30のエーテル類、炭素数3〜30の酢酸エステル類、炭素数1〜30の炭化水素類、炭素数3〜30のカーボネート類、炭素数6〜30の芳香族炭化水素類等が挙げられる。
具体例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、イソアミルアルコール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、1−オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、2−ペンタノン、3−ペンタノン等のケトン類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸ブチル等の酢酸エステル類;メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類;エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等のカーボネート類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;等が挙げられる。
これらの中でも、エントレーナーとしての効果、回収の容易さから、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタンが好ましく、特に、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトン、ジメチルエーテルがより好ましい。
エントレーナーは、1種を単独で、あるいは2種以上を混合して用いてもよい。複数種を用いる場合には、混合して同時に用いても、単独で順に用いてもよい。
エントレーナーは、亜臨界流体及び/または超臨界流体とアクリル酸塩系重合体を接触させる全ての過程において用いてもよいし、亜臨界流体及び/または超臨界流体とアクリル酸塩系重合体を接触させる一部の過程において用いてもよい。具体的には、例えば、(1)エントレーナーを添加した亜臨界流体及び/または超臨界流体とアクリル酸塩系共重合体を接触させた後、エントレーナーを含有しない亜臨界流体及び/または超臨界流体とアクリル酸塩系重合体とを接触させる方法、(2)エントレーナーを含有しない亜臨界流体及び/または超臨界流体とアクリル酸塩系重合体を接触させた後、エントレーナーを添加した亜臨界流体及び/または超臨界流体とアクリル酸塩系重合体とを接触させる方法等が挙げられる。
使用後のエントレーナーは、精製操作(例えば、蒸留操作、吸着操作等)を経て再使用することができる。また、精製操作を経ること無く再使用してもよい。
エントレーナーを用いる場合、その添加量は、亜臨界流体及び/または超臨界流体100質量部に対し、0.0001〜100質量部が好ましく、0.001〜30質量部がより好ましく、0.01〜10質量部が特に好ましく、0.1〜3質量部が最も好ましい。ここでいう添加量は、複数種のエントレーナーを用いる場合はその合計質量である。上述の各範囲の各上限値のように、エントレーナーの使用量を適度に少なくすれば、回収負荷を低減できる。また、各下限値のように適度に多くすれば、抽出効果を十分発揮する。
アクリル酸塩系重合体を亜臨界流体及び/または超臨界流体と接触させる前に、必要に応じて、アクリル酸塩系重合体に対して前処理操作を実施してもよい。
前処理操作としては、例えば、固体状であるアクリル酸塩系重合体の粒子サイズの調整を、乾式または湿式の粉砕装置を用いて、連続式または回分式操作で行うことができる。また、分級が必要な場合には、乾式または湿式の分級装置を用いて、連続式または回分式操作で分級を行ってもよい。この際、粉砕機構と分級機構を兼ね備えた装置を用いてもよい。また、逆に、アクリル酸塩系重合体の粒子サイズが過度に小さ過ぎて操作に困難が生じる場合には、自足造粒系または強制造粒系の造粒操作を行ってもよい。
また、前処理操作として、β−ヒドロキシプロピオン酸(塩)を多く含有するアクリル酸塩系重合体の予備洗浄操作を行ってもよい。例えば、アクリル酸塩系重合体の変性が生じない温度条件下において、常温・常圧条件下では液体または固体である洗浄溶媒(例えば、水、メタノール等)を用いて洗浄してもよい。予備洗浄後のアクリル酸塩系重合体中の不純物(残存洗浄溶媒も含む)については、本発明の方法に従い、亜臨界流体及び/または超臨界流体を用いてアクリル酸塩系重合体から分離できる。また、予備洗浄操作の実施前及び実施後におけるアクリル酸塩系重合体の相状態(固体状、液体状、ゲル状等)も、特に限定されないが、粉末状態であることが好ましい。
アクリル酸塩系重合体と亜臨界流体及び/または超臨界流体を接触させる際には、エントレーナーの有無にかかわらず、アクリル酸塩系重合体中に含有されるβ−ヒドロキシプロピオン酸(塩)の少なくとも一部が溶解する温度・圧力条件を選択し、適度な時間接触させればよい。
温度条件は、エントレーナーの有無にかかわらず、好ましくは臨界温度の0.2〜10倍、より好ましくは臨界温度の0.8〜5倍、特に好ましくは臨界温度の0.9〜2倍の温度である。上記各範囲の上限値はアクリル酸塩系重合体の変性を抑制する点等において意義が有り、下限値は冷却に要する負荷を小さくする点等において意義が有る。
圧力条件は、エントレーナーの有無にかかわらず、好ましくは臨界圧力の0.2〜60倍、より好ましくは臨界圧力の0.5〜10倍、特に好ましくは臨界圧力の0.8〜5倍の圧力である。上記各範囲の上限値は、高耐圧を要し装置設計が困難になることを避ける点等に意義があり、下限値は、亜臨界流体及び/または超臨界流体に対するβ−ヒドロキシプロピオン酸(塩)の溶解性の点等において意義がある。
接触時間は、通常は50時間以下、好ましくは10時間以下、より好ましくは2時間以下、特に好ましくは30分以下、最も好ましくは1分以下である。上記各範囲の上限値は、大型の装置が必要となり装置設計が困難になることを避ける点等において意義が有り、下限値は、アクリル酸塩系重合体から十分にβ−ヒドロキシプロピオン酸(塩)の除去を行う点等において意義が有る。
亜臨界流体及び/または超臨界流体の使用量は、特に限定されない。アクリル酸塩系重合体中のβ−ヒドロキシプロピオン酸(塩)の濃度に応じて、目的とする高純度アクリル酸塩系重合体が得られる使用量とすればよい。具体的使用量は、アクリル酸塩系重合体1質量部に対し、500質量部以下が好ましく、300質量部以下がより好ましく、100質量部以下が特に好ましい。上記各範囲の上限値は、回収負荷の低減等で意義があり、下限値はβ−ヒドロキシプロピオン酸(塩)の除去効果を十分発揮する点等で意義がある。
アクリル酸塩系重合体と亜臨界流体及び/または超臨界流体とを接触させる操作は、連続式操作、半回分式操作、回分式操作の何れでもよい。連続多段抽出操作を行い、アクリル酸塩系重合体と亜臨界流体及び/または超臨界流体とを、向流または並流で接触させることも好ましい。
アクリル酸塩系重合体と亜臨界流体及び/または超臨界流体とを接触させる装置は特に限定されない。アクリル酸塩系重合体の性状に応じて、好ましい装置を選択すればよい。具体的には、例えば、液液抽出操作や固液抽出操作で使用される装置等を採用することもできる。さらに具体的には、例えば、撹拌槽、固定床型装置、移動床型装置、混練装置、単軸または二軸混練機等が挙げられる。また、亜臨界流体及び/または超臨界流体との接触の前後におけるアクリル酸塩系重合体の相状態(固体状、液体状、ゲル状等)は、特に限定されない。
本発明の貼付剤用粘着剤の製造方法において、アクリル酸塩系重合体と亜臨界流体及び/または超臨界流体を接触させた後の処理については、特に限定されない。
例えば、アクリル酸塩系重合体、不純物、エントレーナー、亜臨界流体及び/または超臨界流体を、所望の成分及び/または成分群に分離してもよい。具体的な分離方法としては、例えば、温度及び/または圧力の調節によって、アクリル酸塩系重合体、β−ヒドロキシプロピオン酸(塩)、β−ヒドロキシプロピオン酸(塩)以外の不純物、エントレーナー、亜臨界流体及び/または超臨界流体のうち、少なくとも一部が実質的に分離される条件に設定する方法が挙げられる。設定温度条件及び/または圧力条件は、複数段階であってもよい。分離された成分及び/または成分群は、その少なくとも一部を再度使用してもよい。また再使用前に、さらなる分離操作(例えば、蒸留操作、吸着操作等)を行ってもよい。
この様にして得られた本発明のアクリル酸塩系重合体からなる貼付剤用粘着剤は、このままの状態で使用してもよいが、更に粉砕や造粒を行って粒度を調整してもよい。目的とする粒度はアクリル酸塩系重合体の種類によっても異なるが、通常、平均粒子径10〜2000μm、更に好ましくは50〜1000μm、最も好ましくは150〜500μm程度である。
本発明で得られる貼付剤用粘着剤は優れた性質を有しているので下記のような種々の用途に応用することができる。
(I)医薬品:例えば経皮吸収用製剤、経粘膜吸収用製剤。
(II)医療用具:例えば発熱時の患部の冷却剤、創傷治癒剤、治療用パット、手術用吸液剤、やけど治癒剤。
(III)化粧品、医薬部外品:例えばフェイスマスク、パック剤、サンタン用品、ニキビ用品。
(IV)雑貨:例えば熱さまし用冷却シート。
本発明の貼付剤用粘着剤は、貼付剤とするとき、その組成物全量に対して0.1〜20質量%の範囲で使用することが好ましく、さらに好ましくは1〜10%の範囲がよい。0.1%未満の場合には、ゲル体から離しょう液が生成し、不均一な粘着層となり、20%を超えると成形時のゾルの粘度が上昇して成形や他の成分の混合が困難となる。
また本発明の貼付剤用粘着剤を貼付剤に成形する際、粘着層の保形性維持のため、また皮膚への「のり残り」防止の目的で架橋剤としてアルミニウム化合物を添加する。
アルミニウム化合物の量を変化させることで粘着性を自由にコントロールすることができる。アルミニウム化合物は組成物全量に対して0.01〜20%の範囲で添加され、さらに好ましくは0.1〜10%の範囲がよい。添加量が0.01%未満の場合には架橋が不十分となって基剤に糸引きが生じる。20%を超えるとゲルが硬くなりすぎ、組成物の粘着性が劣ってくる。
アルミニウム化合物としては、塩化アルミニウム、カリ明バン、アンモニウム明バン、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、EDTA−アルミニウム、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウム共沈物(例えば、協和化学工業(株)の「クムライト」等)、合成ケイ酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、アルミニウムアラントイネート、合成ハイドロタルサイト(例えば、協和化学工業(株)の「アルカマック」「アルカマイザー」「キョーワード」等)、水酸化アルミナ・マグネシウム(例えば、協和化学工業(株)の「サナルミン」等)、水酸化アルミニウム(例えば、協和化学工業(株)の「乾燥水酸化アルミニウムゲルS−100」等)、酢酸アルミニウム、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート(例えば、協和化学工業(株)の「グリシナール」等)、カオリン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(例えば、富士化学工業(株)の「ノイシリン」)、ケイ酸アルミン酸マグネシウム等を包含する。これらのアルミニウム化合物は、水溶性のものであっても、難溶性のものでもよい。これらのアルミニウム化合物は1種または2種以上用いることができるが、水溶性のアルミニウム化合物と難溶性のアルミニウム化合物を併用することにより初期の架橋を前者で、後期の架橋を後者で進行させることができ、短時間で保形性に優れた粘着層を得ることが可能となる。
その他の架橋剤も添加可能である。具体例としては、カルシウム、錫、鉄、マグネシウム、マンガン、亜鉛、バリウム等の無機酸塩(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、鉄明バン、硫酸第2鉄、硫酸マグネシウム、EDTA−カルシウム、EDTA−マグネシウム、塩化第1錫、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム)、水酸化物(例えば、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム(例えば、協和化学工業(株)の「キスマ」等)、水酸化第2鉄、水酸化第1錫等)、酸化物(例えば、酸化マグネシウム(例えば、協和化学工業(株)の「キョーワマグ」「マグサラット」等))、ホルムアルデヒド、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物等が挙げられる。これらの架橋剤は1種を単独でまたは2種以上を併用することができる。
水はアクリル酸塩系重合体の溶解性を高め、増粘性をだすために添加される。その添加量は1〜99.89%である。1%未満であるとアクリル酸塩系重合体の増粘効果が少なくなるため、重合体が剥離紙上や適用皮膚面上に残存する、いわゆる「のり残り」現象や、貼付剤用粘着剤が支持体を抜け出てしまう、いわゆる「裏抜け」現象等が生じる。一方99.89%より多いと組成物中での薬物の溶解性が悪くなり、薬物の拡散速度が低下し、結果皮膚への吸収性が低下する。
さらに、架橋反応の速度調製剤として、酒石酸、クエン酸、乳酸、グリコール酸、リンゴ酸、サリチル酸、フマール酸、メタンスルホン酸、マレイン酸、酢酸、EDTA−2ナトリウム、尿素、トリエチルアミン、アンモニア等の金属イオンに対してキレートもしくは配位能をもつ有機酸、有機酸塩、有機塩基等の他に塩酸、リン酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸等の無機酸等が利用できる。
また、貼付剤用粘着剤中での薬物の溶解性及び活量を高め、皮膚への移行性を向上させる目的で多価アルコールを配合しても良い。多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ブチレングリコール(2価アルコール)、グリセリン、トリオキシイソブタン(3価アルコール)、エリトリット、ペンタエリトリット(4価アルコール)、キシリット、アドニット(5価アルコール)、アロズルシット、ソルビトール、ソルビット液、マンニトール(6価アルコール)、ポリグリセリン、ジプロピレングリコール等が挙げられる。これらの中でも、安全性やアクリル酸塩系重合体との親和性の面から特にグリセリンが好ましい。多価アルコールは単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
また、多価アルコール類以外の溶剤も添加できる。それらの溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、ヘキシルアルコール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、オクチルアルコール、ブタノール、ペンタノール等の1価アルコール、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、セロソルブ、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の水と混和しうる有機溶剤のほか、酢酸エチル、クロタミトン等の水と混和しない有機溶剤が挙げられる。
本発明の貼付剤用粘着剤を用いて多数の薬剤を投与することができるが、代表例を以下に挙げる。(a)コルチコステロイド類:ハイドロコーチゾン、プレドニゾン、ベクロメタゾンプロピオネート、フルメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノロン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノロンアセトニドアセテート、プロピオン酸クロベタゾール等。
(b)消炎鎮痛剤:サリチル酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸メチル、1−メントール、カンファー、スリンダック、トリメチンナトリウム、ナプロキセン、フェンブフェン、ピロキシカム、トリアムシノロン、酢酸ヒドロコルチゾン、インドメタシン、ケトプロフェン、アセトアミノフェン、メフェナム酸、フルフェナム酸、イブフェナック、ロキソプロフェン、チアプロフェン、プラノプロフェン、ジクロフェナック、ジクロフェナクナトリウム、アルクロフェナック、ロルノキシカム、オキシフェンブタゾン、イブプロフェン、フェルビナク、ケトロナック、ベルモプロフェン、ナブメトン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、フルオシノニド、プロピオン酸クロベタゾール、COX−2阻害剤(エトドラク、セレコキシブ、ロフェコキシブ、ニメスリド、メロキシカム等)等。
(c)抗真菌剤:クロトリマゾール、トルナフテート、硝酸エコナゾール、硝酸オモコナゾール、硝酸チオコナゾール、硝酸ケトコナゾール、硝酸ミコナゾール、硝酸イソコナゾール、硝酸スルコナゾール、ピロールニトリン、ピマフシン、ウンデシレン酸、サリチル酸、シッカニン、ナイスタチン、エキサラミド、フェニルヨードウンデシノエート、チアントール、シクロピロクスオラミン、ハロプロジン、トリコマイシン、バリオチン、ペンタマイシン、アムホテリシンB等。
(d)抗ヒスタミン剤:塩酸テトラサイクリン、塩酸ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、ジフェニルイミダゾール、クロラムフェニコール等の抗生物質、ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン等。
(e)催眠鎮静剤:フェノバルビタール、アモバルビタール、シクロバルビタール、ロラゼパム、ハロペリドール等。
(f)精神安定剤:フルフェナジン、テオリダジン、ジアゼパム、フルニトラゼパム、クロルプロマジン等。
(g)抗高血圧剤:クロニジン、塩酸クリニジン、ピンドロール、プロプラノール、塩酸プロプラノール、ブプラノノール、インデノロール、ブクモロール、ニフェジピン等。
(h)降圧利尿剤:ハイドロサイアザイド、シクロペンチアザイド等。
(i)抗生物質:ペニシリン、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、硫酸フラジオマイシン、エリスロマイシン、クロラムフェニコール等。
(j)麻酔剤:リドカイン、ベンゾカイン、アミノ安息香酸エチル、ジブカイン等。
(k)抗菌性物質:塩化ベンザルコニウム、ニトロフラゾン、ナイスタチン、アセトスルフアミン、クロトリマゾール等。
(l)ビタミン剤:ビタミンA、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、オクトチアミン、リボフラビン酪酸エステル等。
(m)抗てんかん剤:ニトラゼパム、メプロバメート、クロナゼパム等。
(n)冠血管拡張剤:ニトログリセリン、ニトログリコール、イソソルビジナイトレート、エリスルトールテトラナイトレート、ペンタエリスリトールテトラナイトレート、プロパチルナイトレート等。
(o)抗ヒスタミン剤:塩酸ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、ジフェニルイミダゾール等。
(p)鎮咳剤:デキストロメトルファン、テルブタリン、エフェドリン、
塩酸エフェドリン等。
(q)性ホルモン:プロゲステロン、エストラジオール等。
(r)抗うつ剤:ドキセピン等。
(s)狭心症治療剤:ジエチルアミド、カンフル等の制汗剤、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド等。
(t)麻薬性鎮痛剤:塩酸モルヒネ、塩酸エチルモルヒネ、硫酸モルヒネ、塩酸コカイン、塩酸ペチジン、リン酸コデイン、リン酸ジヒドロコデイン、クエン酸フェンタニール、スフェンタニール、塩酸メペリジン等。
(u)生薬:オウバク、オウヒ、オンジ、ガジュツ、カミツレ、カロニン、カンゾウ、キキョウ、キョウニン、ゴオウ、ゴミシ、サイカチ、サイコ、サイシン、シヤゼンシ、ショウマ、セネガ、ソウジュツ、ソウハクヒ、チョウジ、チンピ、トコン、ナンテンジツ、バイモ、バクモンドウ、ハンゲ、ビヤクジュツ、ヒヨス、ボウホウ、マオウ、トウガラシエキス等。
(v)その他:5−フルオロウラシル、ジヒドロエルゴタミン、フェンタニール、デスモプレシン、ジゴキシン、メトクロプラミド、ドンペリドン、スコポラミン、臭化水素酸スコポラミン等の他に、動物用医薬品、睡眠薬、循環器系治療薬、脳代謝賦活薬、殺菌剤、酵素製剤、酵素阻害剤、生体医薬(ポリペプチド)、角化症治療剤、麻薬、抗悪性腫瘍剤、全身麻酔剤、抗不安剤、喘息・鼻アレルギー剤、抗パーキンソン剤、化学療法剤、駆虫剤、抗原虫剤、止血剤、強心剤、興奮剤・覚醒剤、習慣性中毒用剤、漢方剤、放射性医薬品、泌尿生殖器及び肛門用剤、血糖降下剤、抗潰瘍剤、頭髪用剤、金属イオン封鎖剤、発汗防止剤、トランキライザー、抗擬血剤、抗リュウマチ、抗痛風剤及び抗凝固薬等。
上記の薬物は必要に応じて2種類以上併用することができる。薬物の配合割合は上記貼付剤用粘着剤の全質量に対して0.01〜30質量%、好ましくは2〜20質量%に調整するのが好ましい。
本発明の貼付剤用粘着剤においては、薬剤は溶液段階またはゲル懸濁段階あるいは架橋反応のための熟成後、内含させることができる。好適な方法は、その薬剤の物性、投与部位及び目的とする放出速度等により選択される。
また、薬剤の吸収を促進する補助剤を添加することができる。このような補助剤としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、1,3−ブタンジオール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール#400、ポリエチレングリコール#200、ポリエチレングリコール#300、ポリエチレングリコール#600、ポリエチレングリコール#1500、ポリエチレングリコール#1540、ポリエチレングリコール#1000、ポリエチレングリコール#4000、ポリエチレングリコール#6000、ポリエチレングリコール#20000、ポリエチレングリコール#35000、グリセリン、クロタミトン、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、炭酸プロピレン、ヘキシルドデカノール、プロパノール、サリチル酸、アラントイン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジイソプロピルアジペート、ジエチルセバケート、エチルラウレート、ラノリン、エイゾン、1−ゲラニルアザシルクロヘプタン−2−オン(GACH)、脂肪酸ジアルキロールアミド、サリチル酸誘導体、尿素、イオウ等の角質軟化剤、ピロリドンカルボン酸等の保湿剤、プロピレングリコールモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノステアレート、グリセリンモノステアレート等の界面活性剤、ミリスチン酸イソプロピル、セバシン酸ジエチル等のエステル類、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール等の高級アルコール類、ステアリン酸、ヘキサン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、オレイン酸、リノール酸等の脂肪酸、メントール、メントン、リモネン、ピネン、ピペリトン、テルピネン、テルピノレン、テルピノロール、カルベオール等のテルペン系化合物及び界面活性剤、アラントイン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジイソプロピルアジペート、ジエチルセバケート、エチルラウレート、ラノリン、エイゾン等の助剤、またその他必要に応じてメントール、カンフル等の清涼化剤、アーモンド油、オリーブ油、ツバキ油、パーシック油、ハッカ油、ゴマ油、ダイズ油、ミンク油、綿実油、トウモロコシ油、サフラワー油、ヤシ油、ユーカリ油、ヒマシ油、流動パラフィン、ワセリン、スクワレン、スクワラン、ラノリン等の油成分、カルボキシビニルポリマー等のゲル化剤、ジイソプロパノールアミン等の中和剤等が挙げられる。これらは1種類または2種類以上配合することができる。配合量は、皮膚刺激性等を考慮すると、組成物100質量部に対して0.1〜5質量部が望ましい。
本発明の貼付剤用粘着剤を用いた貼付剤は、その特性をより多く発現させるため、あるいは加工・成形性及び品質の向上、粘着層中の薬剤の分散性と安定性の向上等の目的で、粘着性能を損なわない範囲で下記に例示する添加剤を選択して配合することができる。
(1)湿潤剤:グリセリン、プロピレングリコール、ソルビット、1,3−ブチレングリコール、dl−ピロリドンカルボン酸、乳酸ナトリウム等。
(2)収れん剤:クエン酸、酒石酸、乳酸、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントインジヒドロキシアルミニウム、アルミニウムフェノールスルホン酸、パラフェノールスルホン酸亜鉛、硫酸亜鉛、アルミニウムクロロヒドロオキシド等。
(3)保湿剤:グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類、乳酸ナトリウム等のNMF成分、ヒアルロン酸、コラーゲン、ムコ多糖類、コンドロイチン硫酸等の水溶性高分子等。
(4)増粘剤:アラビアガム、トラガントガム、ローカストビーンガム、グアーガム、エコーガム、カラヤガム、寒天、デンプン、カラゲナン、アルギン酸、アルギン酸塩(例えばアルギン酸ナトリウム)、アルギン酸プロピレングリコール、デキストラン、デキストリン、アミロース、ゼラチン、コラーゲン、プルラン、ペクチン、アミロペクチン、アミロペクチンセミグリコール酸ナトリウム、キチン、アルブミン、カゼイン等の天然の高分子、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボシキメチルスターチ、アルカリ金属カルボキシメチルセルロース、アルカリ金属セルロース硫酸塩、セルロースグラフト重合体、架橋ゼラチン、セルロースアセテートフタレート、デンプン−アクリル酸グラフト重合、無水フタル酸変性ゼラチン、コハク酸変性ゼラチン等の半合成の高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、ビニルピロリドン−アクリル酸エチル共重合体、ビニルピロリドン−スチレン共重合体、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、ビニルアセテート−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリビニルアセテート−クロトン酸共重合体、N−ビニルアセトアミド架橋体のごときN−ビニルアセトアミド系重合体、N−メチル−N−ビニルビニルアセトアミド架橋体のごときN−メチル−N−ビニルアセトアミド系重合体、ポリビニルスルホン酸、N−ビニルアセトアミド架橋物、ポリイタコン酸、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリアクリルアミド、アクリルアミド−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸無水物共重合体等の合成の高分子等。
(5)粘着付与物質:シリコーンゴム、ポリイソブレンゴン、スチレン−ブロック共重合体ゴム、アクリルゴム、天然ゴム等の各粘着性物質等。
(6)止痒剤:カンフル、チモール、メントール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、抗ヒスタミン剤、アミノ安息香酸エチル等。
(7)角質軟化剥離剤:イオウ、チオキソロン、硫化セレン、サリチル酸、レゾルシン等。
(8)誤食防止物質:唐辛子粉、トウガラシエッセンス等。
(9)粉体原料:モンモリロラート、無水ケイ酸、石コウ、カーボンブラック、珪藻土、ベンガラ、炭酸カルシウム、ヒドロタルサイト、タルク、ガラス、カオリン、ベントナイト、金属石鹸、エーロジル、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等、亜鉛華、二酸化チタン等。
(10)油性原料:アーモンド油、オリーブ油、硬化油、つばき油、ヒマシ油、モクロウ油、ヤシ油、ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナバロウ、キャンデリラロウ、流動パラフィン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、スクワレン、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、オクチルドデカノール、コレステロール、ヘキシルデカノール、ホワイトステロール、乳酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデカノール、ステアリン酸ブチル、カカオ油、ホホバ油、グレープシード油、アボカド油、ミンク油、卵黄油、セレシンワックス、パラフィンワックス、ベヘニン酸、アジピン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、コレステロールオレエート等。
(11)界面活性剤:ラウリル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸、N−アシルアミノ酸塩、ステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、セチル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、パルミチン酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルリン酸ナトリウム、アシルグルタミン酸ナトリウム、サーファクチン等のアニオン界面活性剤、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム等のカチオン界面活性剤、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、レシチン等の両性界面活性剤、ポリオール脂肪酸エステル、モノステアリン酸グリセリン、親油型モノオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、N−アシルアミノ酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、ポリオキシエチレン化ステロール、ポリオキシエチレン化ラノリン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の非イオン性界面活性剤等。
(12)着色剤:黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、群青、カーボンブラック、水酸化クロム、酸化クロム、タール色素、レーキ、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色201号、黄色4号、黄色5号、青色1号、青色2号等。
(13)香料:芥子油、オレンジ油、胡椒油、ジャスミン油、杉油、ショウブ油、テルピン油、橙花油、バラ油、ユーカリ油、ライム油、レモン油、和種ハッカ油、ローズマリー油等の植物性香料、ムスク、レイビョウコウ、カイリコウ、リュウゼンコウ等の動物性香料、ブロモスチロール、ピネン、リモネン等の炭化水素系香料、ベンジルアルコール、l−メントール等のアルコール系香料、酢酸エチル、サリチル酸メチル等のエステル類系香料、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド類系香料、カンファー、ムスコン、ムスクケトン、l−メントン等のケトン類系香料、サフロール等のエーテル類系香料、チモール等のフェノール類系香料、ラクトン類系香料、フェニル酢酸等の酸系香料、インドール等の窒素化合物系香料等。
(14)紫外線遮断剤:ASL-24, Cyasorb UV-9, Uvinul M-40等のベンゾフェノン系、Salol等の安息香酸系、Tinuvin P等のアゾール系、Uvinul N-35等のニトリル系、Ancour UA等の尿素系、Neo Heliopan Give tan F、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチルパラアミノベンゾエート、エチルヘキシルパラメトキシサイナメート等のパラアミノ酸系、サリチル酸系、ベンゾフラン系、クマリン系、アゾール系等。
(15)防腐殺菌剤:安息香酸、サリチル酸、デヒドロ酢酸、ソルビン酸、ホウ酸等の酸類及びその塩類、フェノール、クロロクレゾール、クロルキシレノール、イソプロピルメチルフェノール、レゾルシン、オルトフェニルフェノール、パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、チモール、ヒノキチオール、チオキソロン等のフェノール類、ヘキサクロロフェン、2,4,4'−トリクロロ−2'−ヒドロキシジフェニルエーテル等のハロゲン化ビスフェノール類、トリクロロカルバニリド、ハロカルバン、ウデシレン酸モノエタノールアミド等のアミド化合物類、塩化ベンザルコニウム、臭化アルキルイソキノリニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム等の4級アンモニム化合物類、ラウリルジ(アミノエチル)グリシン等の両性界面活性剤、2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛塩、グルコン酸、クロルヘキシジン、チラム、N−トリクロロメチルチオ−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシイミド、クロロブタノール等。
(16)酸化防止剤:ノルジヒドログアヤレチン酸、グアヤク脂、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、トコフェロール(ビタミンE)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチル)フェノール等。
(17)キレート剤:エデト酸塩、ピロリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、クエン酸、酒石酸、グルコン酸等。
(18)紫外線散乱剤:酸化チタン、カオリン、タルク等。
(19)pH調整剤:水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、アンモニア、アンモニア水、トリエタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロパノールアミン、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ポリエタノールアミン等のアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、第1級、第2級もしくは第3級のアルキルアミン、または第1級、第2級もしくは第3級のアルカノールアミン等のアルカリ、さらにクエン酸、酒石酸、乳酸、グリコール酸、塩酸、硝酸、リンゴ酸、リン酸等の酸の他、酸性またはアルカリ性を示す高分子も用いられ、例えばアルギン酸、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、デンプン−アクリル酸グラフト重合体、ポリアクリル酸、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、ポリビニルスルホン酸、ポリイタコン酸、スチレン−マレイン酸無水物共重合体、アクリルアミド−アクリル酸共重合体等。
(20)その他:安定剤、充填剤、保存剤、可塑剤、軟化剤、劣化防止剤等。
貼付剤の製造方法:
本発明の貼付剤用粘着剤を用いて貼付剤を製造するには、各種原料を混合後、ゾル状態で適当な型に流し込み、そこで架橋させて成形するか、架橋後のゲルを直接適当な成形機、打錠機等を用いて各種成形物に調製する。原料の混合は、例えばニーダー、コニーダー、ニーダールーダー、アジホモミキサー、プラネタリーミキサー、ダブルプラネタリーミキサー等を適宜に選択使用することにより行うことができる。
貼付剤用粘着剤組成物をシート化するには、紙、木材、金属、ガラス繊維、布(ネル、織布、不織布等)、合成樹脂(ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン66等)、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等)、アルミニウム等の金属箔、ゴムまたはセルロース誘導体およびこれらとプラスチックフィルムとの積層フィルム等の成形品、シート(箔)、またはテープのごとき支持体の1面あるいは両面に貼付剤用粘着剤組成物を適量塗布すればよい。得られたシート状の貼付剤用粘着剤組成物の保存を容易にするために、貼付剤用粘着剤組成物を塗布した面に、シリコンまたはその他の適当な方法で処理した剥離シートを貼着しておくか、あるいは貼付剤用粘着剤組成物を塗布していない面をシリコンまたはその他の適当な方法で処理して剥離面とし、ゲルが塗布されていない面と重なるように巻くか重ねておくことが望ましい。剥離シートとしてはポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、剥離紙、セロハン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル等が用いられる。
次に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、部は質量部を示す。
アクリル酸塩系重合体の製造方法:
実施例1:
2Lのセパラブルフラスコにアクリル酸、アクリル酸ナトリウム及び水を仕込んだ。なお、アクリル酸/アクリル酸ナトリウム比は50/50(モル比)とした。重合開始剤として、過硫酸アンモニウム、重合促進剤として重亜硫酸カリウム、連鎖移動剤として次亜リン酸ナトリウムを加え、重合開始温度20度で10時間重合した。得られた寒天状のゲル体をミンチし、エタノールで脱水し(エタノール脱水後のミンチ中の含水率35%)、窒素気流下210℃にて丸一日熱風乾燥した。
ポリマー中のβ−ヒドロキシプロピオン酸をアセトニトリル水溶液で抽出し、HPLCで定量した。溶離液として0.1%のリン酸水溶液、カラムとしてSHODEX KC−811(昭和電工(株))を用い、カラム温度40℃、218nmでUV検出した。その結果、β−ヒドロキシプロピオン酸は30ppmであった。
比較例1:
2Lのセパラブルフラスコにアクリル酸、アクリル酸ナトリウム及び水を仕込んだ。なお、アクリル酸/アクリル酸ナトリウム比は50/50(モル比)とした。重合開始剤として、過硫酸アンモニウム、重合促進剤として重亜硫酸カリウム、連鎖移動剤として次亜リン酸ナトリウムを加え、重合開始温度20度で10時間重合した。得られた寒天状のゲル体をミンチし、210℃にて丸一日熱風乾燥した。
ポリマー中のβ−ヒドロキシプロピオン酸の含有量を上記と同様に定量したところ、7800ppmであった。
実施例2:
2Lのセパラブルフラスコにアクリル酸ナトリウム及び水を仕込んだ。重合開始剤として、過硫酸ナトリウム、重合促進剤として亜硫酸ナトリウム、連鎖移動剤として次亜リン酸カリウムを加え、重合開始温度10℃で15時間重合した。得られた寒天状のゲル体をミンチし、50℃にて丸一日熱風乾燥した。
ポリマー中のβ−ヒドロキシプロピオン酸の含有量を上記と同様に定量したところ、110ppmであった。
比較例2:
2Lのセパラブルフラスコにアクリル酸ナトリウム及び水を仕込んだ。重合開始剤として、過硫酸ナトリウム、重合促進剤として亜硫酸ナトリウム、連鎖移動剤として次亜リン酸カリウムを加え、重合開始温度10℃で15時間重合した。得られた寒天状のゲル体をミンチし、200℃にて丸一日熱風乾燥した。
ポリマー中のβ−ヒドロキシプロピオン酸の含有量を上記と同様に定量したところ、8600ppmであった。
実施例3:
アクリル酸ナトリウム−N−ビニルアセトアミド共重合体(共重合比:アクリル酸ナトリウム/N−ビニルアセトアミド=40/60質量比)を水溶液重合した。得られた寒天状のゲル(水分75%)を200℃で丸一日熱風乾燥し、粉砕して得た粉末を、炭酸ガス超臨界流体を用い精製した。精製には昭和炭酸(株)の超臨界CO2抽出装置(標準型)を用いた。なお、精製前のβ−ヒドロキシプロピオン酸濃度は6700ppmであった。
処理条件は500mLの抽出器に重合体100gを仕込み、1000NLの炭酸ガスを1時間流通した。条件は40℃、30M・Paとし、一回のみの流通とした。なお共重合体が微細粉体であるため、昇圧時に抽出器内でのサンプルの拡散を抑制するため、炭酸ガスを抽出器上下から流通し、圧力は10M・Paまで昇圧した。10M・Pa以上では下部経路からのみ炭酸ガスを流通した。減圧条件は4M・Paまで10〜12分(500〜1000NL/h)かけて落とし、4M・Paから大気圧まで5分(500NL/h以下)かけて落とした。処理後のサンプルの膨張は見られなかった。
ポリマー中のβ−ヒドロキシプロピオン酸の含有量を上記と同様に定量したところ、10ppmであった。
実施例4:
ポリアクリル酸架橋体(カーボポール934,NOVEON社,粉末)を、炭酸ガス超臨界流体を用い精製した。精製には昭和炭酸(株)の超臨界CO2抽出装置(標準型)を用いた。なお、精製前のβ−ヒドロキシプロピオン酸濃度は5600ppmであった。
処理条件は500mLの抽出器に重合体30gを仕込み、1000NLの炭酸ガスを5時間流通した。条件は40℃、15M・Paとし、エントレーナーとしてエタノールを添加した。流通は二回行った。なお重合体が微細粉体であるため、昇圧時に抽出器内でのサンプルの拡散を抑制するため、炭酸ガスを抽出器上下から流通し、圧力は10M・Paまで昇圧した。10M・Pa以上では下部経路からのみ炭酸ガスを流通した。なお減圧条件は4M・Paまで10〜12分(500〜1000NL/h)かけて落とし、4M・Paから大気圧まで5分(500NL/h以下)かけて落とした。処理後のサンプルの膨張は見られなかった。
ポリマー中のβ−ヒドロキシプロピオン酸の含有量を上記と同様に定量したところ、350ppmであった。
架橋実験1:
実施例1で得られたアクリル酸−アクリル酸ナトリウム共重合体(0.2%水溶液粘度450mPa・s)及び比較例1で得られたアクリル酸−アクリル酸ナトリウム共重合体(0.2%水溶液粘度463mPa・s)を用い以下の配合及び処方で架橋実験を行った。
[配合]
アクリル酸−アクリル酸ナトリウム共重合体 16部
グリセリン 120部
酒石酸 0.8部
乾燥水酸化アルミニウムゲル 1.6部
水 240部
[処方]
水(240g)及び酒石酸(0.8g)の混合液に、ポリアクリル酸ナトリウム重合体(16g)とグリセリン(120g)及び乾燥水酸化アルミニウムゲル(1.6g)の分散液を加え混合し、均一になるまで練合した。得られたゾルを成形し密封したのち約20℃下10日間熟成した。架橋の度合いを評価するパラメーターとして、ゲル強度を測定した。すなわち、デジタルフォースゲージ(日本電産シンポ DFG−0.2K)及びその専用スタンドを用い、カードテンションメーターの原理で測定した。官能軸(アルミニウム製)は直径10mm、高さ12mmの円柱とし、移動距離は30mm、移動速度は5mm/secとした。またゲルは樹脂製サンプル瓶にゾル状態の時に流し込み、測定はn=3で実施した。
なお、本測定法によるゲル強度の測定値と触指による感応テストとの相関は以下の通りである。
Figure 2005336166
結果を図1に示す。図からβ−ヒドロキシプロピオン酸(塩)含有量の多い比較例1のポリマーはゲル化の速度(架橋の度合いの進行度)が遅いことが分かる。
架橋実験2:
実施例2で得られたポリアクリル酸ナトリウム(0.2%水溶液粘度560mPa・s)及び比較例2で得られたポリアクリル酸ナトリウム(0.2%水溶液粘度551mPa・s)を用い以下の配合及び処方で架橋実験を行った。
[配合]
ポリアクリル酸ナトリウム 16部
グリセリン 120部
乳酸 1.6部
グリシナール 0.4部
水 240部
[処方]
水(240g)及び乳酸(1.6g)の混合液に、ポリアクリル酸ナトリウム(16g)とグリセリン(120g)及びグリシナール(0.4g)の分散液を加え混合し、均一になるまで練合した。得られたゾルを成形し密封したのち約20℃下10日間熟成した。ゲル強度を架橋実験1と同様にして測定した。結果を図2に示す。β−ヒドロキシプロピオン酸(塩)含有量の多い比較例2のポリマーはゲル化の速度(架橋の度合いの進行度)が遅いことが分かる。
実施例1及び比較例1で得られたアクリル酸−アクリル酸ナトリウム共重合体の架橋実験におけるゲル強度の経時変化を示す。 実施例2及び比較例2で得られたポリアクリル酸ナトリウムの架橋実験におけるゲル強度の経時変化を示す。

Claims (11)

  1. アクリル酸(塩)を単量体単位として5モル%以上含有しているアクリル酸塩系重合体からなり、β−ヒドロキシプロピオン酸(塩)含有量が重合体固形分当たり5000ppm以下であることを特徴とする貼付剤用粘着剤。
  2. 繰り返し単位が、一般式(1)、(2)及び(3)
    Figure 2005336166
    (式中、MはNH4 +またはアルカリ金属を表し、Xは一般式(1)及び(2)以外の不飽和単量体単位を表す。)で示され、(1)/(2)=100/0〜0/100(モル比)、かつ(1)及び(2)の合計/(3)=100/0〜5/95であるアクリル酸塩系重合体を用いる請求項1記載の貼付剤用粘着剤。
  3. 前記Mがナトリウムで、かつ前記繰り返し単位(1)及び(2)の割合が(1)/(2)=20/80〜80/20(モル比)の範囲にあり、前記繰り返し単位(3)を含まない請求項2記載の貼付剤用粘着剤。
  4. アクリル酸塩系重合体が分子内架橋されている請求項1記載の貼付剤用粘着剤。
  5. アクリル酸塩系重合体がアクリル酸ナトリウム−N−ビニルアセトアミド共重合体である請求項1記載の貼付剤用粘着剤。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の貼付剤用粘着剤を製造する方法において、アクリル酸塩系重合体を40〜160℃以下の温度に管理する乾燥工程を含むことを特徴とする貼付剤用粘着剤の製造方法。
  7. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の貼付剤用粘着剤を製造する方法において、アクリル酸塩系重合体乾燥工程を含み、前記乾燥工程前のアクリル酸塩系重合体中の含水率を40%以下に管理することを特徴とする貼付剤用粘着剤の製造方法。
  8. 前記乾燥工程の前にアクリル酸塩系重合体を予め水溶性有機溶媒にて脱水する脱水工程を含む請求項7記載の貼付剤用粘着剤の製造方法。
  9. さらに亜臨界流体及び/または超臨界流体と接触させてβ−ヒドロキシプロピオン酸(塩)含有量を低減する工程を含む請求項6乃至8のいずれか1項に記載の貼付剤用粘着剤の製造方法。
  10. 亜臨界流体及び/または超臨界流体が二酸化炭素である請求項9記載の貼付剤用粘着剤の製造方法。
  11. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の貼付剤用粘着剤を0.1〜20質量%、アルミニウム化合物を0.01〜20質量%及び水を1〜99.89質量%含むことを特徴とする貼付剤用粘着剤組成物。
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