JP2005336003A - 高純度水素製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】炭化水素の改質反応によって得られた水素含有ガスから、分離膜で水素を分離し、一酸化炭素を触媒反応で除去する装置において、動力効率や熱効率の向上、装置の運転制御の容易化や装置全体のコンパクト化を図る。
【解決手段】炭化水素と水蒸気とを混合した原料を改質触媒と接触させ水素含有ガスを生成する水蒸気改質装置,生成した水素含有ガス中の水素を分離膜で分離し回収する水素分離膜装置,回収した水素を触媒と接触させて水素中の一酸化炭素を除去する一酸化炭素除去装置を少なくとも設けた高純度水素製造装置において、一酸化炭素除去装置を熱交換型反応器とし、一方側流路に一酸化炭素転化触媒を充填して水素製造装置で回収した水素の流通流路とし、他方側流路を純水の流通流路とし、水素と熱交換して加熱された純水より生成した過熱水を水蒸気改質装置における水蒸気用のプロセス水として供給する流路を設けた高純度水素製造装置。
【選択図】図1
【解決手段】炭化水素と水蒸気とを混合した原料を改質触媒と接触させ水素含有ガスを生成する水蒸気改質装置,生成した水素含有ガス中の水素を分離膜で分離し回収する水素分離膜装置,回収した水素を触媒と接触させて水素中の一酸化炭素を除去する一酸化炭素除去装置を少なくとも設けた高純度水素製造装置において、一酸化炭素除去装置を熱交換型反応器とし、一方側流路に一酸化炭素転化触媒を充填して水素製造装置で回収した水素の流通流路とし、他方側流路を純水の流通流路とし、水素と熱交換して加熱された純水より生成した過熱水を水蒸気改質装置における水蒸気用のプロセス水として供給する流路を設けた高純度水素製造装置。
【選択図】図1
Description
本発明は、炭化水素を水蒸気改質して水素含有ガスを生成し、生成した水素含有ガス中の水素を水素分離膜で透過分離して水素を製造する高純度水素製造装置に関するものである。
従来、都市ガス、LPG、ナフサまたは灯油などの炭化水素を原料とし、炭化水素原料(以下単に「原料」という。)中の硫黄分を脱硫装置で脱硫し、脱硫した原料に水蒸気を添加した改質原料を水蒸気改質装置(以下「改質装置」という。)により、改質触媒と接触させて水蒸気改質して水素含有ガスを生成し、生成した水素含有ガス中の水素を水素分離膜を設けた水素分離膜装置で透過分離して高純度水素を製造して燃料電池用の燃料、化学原料または半導体工業用などに利用される高純度水素製造装置が開発されている。
前記の水素含有ガスから水素分離膜装置で高純度水素を製造する装置としては、炭化水素と水蒸気とを混合した改質原料を改質装置により水蒸気改質して水素含有ガスを製造し、水素含有ガス中の一酸化炭素を変成器で二酸化炭素に変成したのち、水素分離膜装置で透過側に水素の一部を分離し、分離した高純度水素を脱硫用水素として循環し、非透過側のオフガスを燃料電池用燃料水素などとして供給する方法が開示されている(特許文献1参照)。
また、炭化水素と水蒸気とを混合した改質原料を、内部が水素分離膜により2室に区画され、一方の区画室には改質触媒が充填され、炭化水素と水蒸気とを混合した改質原料を改質触媒と接触させて水蒸気改質して水素含有ガスを生成する水蒸気改質室とし、他方の区画室は前記水蒸気改質室で生成した水素含有ガス中の水素を水素分離膜で透過分離して回収する水素回収室とし、水蒸気改質反応と水素分離膜による水素分離を同一容器内で行なうメンブレンリアクターが開示されている(特許文献2参照)。
また、水素含有ガスから水素分離膜を設けた水素分離膜装置で水素を透過分離し、水素分離膜装置の後段に、前記水素分離膜で分離された水素中にリークして混入した一酸化炭素および/または二酸化炭素を除去する除去装置を設け、前記水素分離膜にピンホールが生じ、一酸化炭素や二酸化炭素を含有する水素含有ガスが透過側にリークしたとしても、確実に除去することができる水素製造方法および装置が開示されている(特許文献3参照)。
また、原料の炭化水素と水蒸気用の純水を混合して原料/スチーム加熱器に導入し、改質炉を出る高温の燃焼ガスとの熱交換により加熱して、高温の炭化水素とスチームの混合体の改質原料とし、改質炉の反応管に導入して高温水蒸気改質反応を行わせる水素製造装置が開示されている(特許文献4参照)。
特許第2911061号公報
特開平1−219001号公報
特開2002−100388号公報
特開平9−309703号公報
従来の炭化水素の改質反応によって得られた水素含有ガスから、パラジウム膜などの水素分離膜で水素を分離し、水素分離膜の破損などにより分離した水素中にリークした不純物(主に一酸化炭素)などを触媒反応で除去する方法および装置においては、動力効率や熱効率の向上、装置の運転制御の容易化や装置全体のコンパクト化を図るのが課題となっているが、その課題を解決するにあたり、改質装置や水素分離膜装置における圧力および温度を如何に効率よく利用できるかが重要な点となっている。
なお、改質装置で生成した水素含有ガス中の一酸化炭素を除去する方法の一つとして、メタネーション触媒層でメタン化して除去する方法は、反応温度が高ければ反応速度が高い反面、反応平衡的には不利であり、また、一酸化炭素と同時に二酸化炭素もメタンに転化されやすいため、水素のロスが大きく、純度も低下する。そのため、反応温度を下げることが望ましいが、ニッケルなどの卑金属系メタネーション触媒は反応速度の低下が顕著となり、十分に反応が進まない恐れがある。また、触媒反応温度を適切に保つための制御手段が必要になるが、負荷変動などにも対応させることは困難であるなどの問題がある。
本発明は、炭化水素の改質反応によって得られる水素含有ガスから、水素分離膜を用いて高純度水素を製造する装置において、改質反応や水素分離膜による水素の分離における圧力および温度を効率よく利用し、不純物のない高純度水素を効率よく容易に製造でき、また、装置の運転制御が容易で、装置全体のコンパクト化が図れる高純度水素製造装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するための本発明の要旨は、請求項1に記載の発明においては、炭化水素と水蒸気とを混合した改質原料を改質触媒と接触させて水蒸気改質して水素含有ガスを生成する水蒸気改質装置と前記水蒸気改質装置で生成した水素含有ガス中の水素を水素分離膜で透過分離して回収する水素分離膜装置とを設けた水素製造装置と、前記水素製造装置で分離回収した水素を一酸化炭素転化触媒と接触させて水素中の一酸化炭素を除去する一酸化炭素除去装置を少なくとも設けた高純度水素製造装置において、前記一酸化炭素除去装置を熱交換型反応器として形成し、前記熱交換型反応器の一方側流路に一酸化炭素転化触媒を充填して前記水素製造装置で回収した水素の流通流路とし、他方側流路を純水の流通流路とし、前記水素と熱交換して加熱された前記純水より生成した過熱水を前記水蒸気改質装置における水蒸気用のプロセス水として供給するプロセス水供給流路を設けたことを特徴とする高純度水素製造装置である。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の高純度水素製造装置において、前記水素製造装置を、内部が水素分離膜により2室に区画され、一方の区画室は改質触媒が充填され、炭化水素と水蒸気とを混合した改質原料を改質触媒と接触させて水蒸気改質して水素含有ガスを生成する水蒸気改質室とし、他方の区画室は前記水蒸気改質室で生成した水素含有ガス中の水素を水素分離膜で透過分離して回収する水素回収室とし、水蒸気改質反応と水素分離膜による水素分離を同一容器内で行なうメンブレンリアクターとして形成した高純度水素製造装置である。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の高純度水素製造装置において、前記水素製造装置の水素分離膜の非透過側から排出されるオフガスと前記プロセス水供給流路から供給されるプロセス水とを熱交換する熱交換器および/または前記プロセス水供給流路から供給されるプロセス水と前記水蒸気改質装置および水素分離膜装置を加熱する燃焼炉から排出される排出ガスとを熱交換する熱交換器、を付設した高純度水素製造装置である。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1、請求項2または請求項3に記載の高純度水素製造装置において、前記一酸化炭素転化触媒がメタネーション触媒である高純度水素製造装置である。
前記構成において、原料としては、例えば灯油,ナフサ,LPG、都市ガスなどの炭化水素が主に用いられる。
また、水蒸気改質装置やメンブレンリアクタに用いられる改質触媒としては、アルミナ、シリカまたはジルコニアなどを担体とし、ニッケルやルテニウムを触媒成分として担持したものが用いられる。なお、水蒸気改質における反応温度と反応圧力は、反応温度が600〜900℃、反応圧力が0.5〜1.0MPa、好ましくは0.7〜0.9MPaである。反応温度が600℃よりも低いとメタンの水蒸気改質反応が進まず、水素製造量が少なくなる。一方、900℃よりも高いと、補助燃料が必要となり、運転費が嵩むことになる。また、反応圧力が0.5MPaよりも低いと水素分離膜における水素透過量が低下し、水素製造量が少なくなる。一方、1.0MPaよりも高いと、動力費や装置費が嵩むことになる。メンブレンリアクタにおける反応温度と反応圧力は、反応温度が500〜600℃、反応圧力が上記水蒸気改質反応と同様に、0.5〜1.0MPa、好ましくは0.7〜0.9MPaである。反応温度が500℃よりも低いとメタンの水蒸気改質反応が進まず、水素製造量が少なくなる。一方、600℃よりも高いと、改質反応が進みやすくなる反面、生成水素を透過分離して反応を促進するといった、メンブレンリアクタの特性を活かしきれず、むしろ補助燃料が必要となり、運転費が嵩むことになる。
また、水素分離膜装置やメンブレンリアクタに用いられる水素分離膜としては、セラミックス、ガラスまたはステンレスなどの多孔質体で円筒状、ハニカム状または平板状などに形成された担体の少なくとも一方の表面に、パラジウム膜、パラジウムと銀、銅、ニッケルなどの金属との合金膜を1〜100μmの厚さで形成させたPd系分離膜が好ましい。水素分離膜としては、このほかバナジウム−ニッケル系などの非Pd系分離膜や、ニッケル−ジルコニア系などのアモルファル膜、無機多孔質担体の表面に、水素が選択的に分離する孔径(1,000オングストローム以下)に調節した、アルミナ、シリカ、ジルコニア、ゼオライト、ガラスまたはカーボンなどの薄膜を形成した水素分離膜であってもよい。なお、水素分離膜における温度と圧力は、分離膜の種類によるがPd系分離膜の場合、温度300〜600℃、圧力が0.5〜1.0MPaである。温度が300℃よりも低いと水素透過速度が遅くなりすぎて水素製造量が少なくなる。一方、600℃よりも高いと、水素分離膜が熱変成する恐れがある。また、圧力が大きいほど、分離膜透過側の水素分圧が大きくなるため、水素回収量が多くなるが、動力費や装置費が嵩むことになる。
また、一酸化炭素除去装置に用いられる一酸化炭素転化触媒としては、アルミナやマグネシウムなどを担体とし、酸化ニッケル、ニッケルまたはルテニウムなどの貴金属を触媒成分として担持したメタネーション触媒を用いるのが好ましいが、銅・亜鉛・アルミナ系の一酸化炭素変成触媒やアルミナ担体に白金やルテニウムを担持した一酸化炭素選択酸化触媒などを用いることができる。
なお、メタネーション触媒によるメタネーション反応における反応温度は、150〜250℃である。温度が150℃よりも低いと反応速度の低下が顕著で、十分に反応が進まない恐れがある。一方、250℃よりも高いと、一酸化炭素と同時に二酸化炭素もメタンに転化されやすいため、水素のロスが大きく、得られる水素製造量と高純度水素の純度が低下する。
また、一酸化炭素変成触媒の場合、水素分離膜の透過側に透過促進用のスイープガスとしてスチームを流したとき有効で、反応温度は200〜250℃である。温度が200℃よりも低いと反応速度の低下が顕著で、十分に反応が進まない恐れがある。一方、250℃よりも高いと、シンタリングを起こし触媒活性が低下する。
また、一酸化炭素選択酸化触媒の場合、反応温度は150〜200℃である。150℃より低いと反応速度の低下が顕著で、十分に反応が進まない恐れがある。一方、200℃より高いと一酸化炭素や二酸化炭素がメタンに転化される副反応が起こりやすくなるため、水素のロスが大きく、得られる水素製造量と高純度水素の純度が低下する。
なお、一酸化炭素除去装置におけるいずれの反応も、反応圧力は水素分離膜で透過分離する設定圧力になる。この圧力が高いと水素製造量が低下する。一般的には、常圧から0.3MPaが好ましい。
さらに、一酸化炭素除去装置として用いられる熱交換型反応器としては、シェル&チューブ式やプレート式をはじめ、どのタイプも適用可能であるが、シェル&チューブ式熱交換型反応器を用いるのが好ましく、シェル&チューブ式の場合、流体の流れは触媒反応の温度制御を重視するときは並流方式、熱回収を重視するときは向流方式が好ましい。
また、一般的には、原料によっては硫黄分を含有しているため、脱硫装置が水蒸気改質装置の前段に配置される。脱硫装置での脱硫方法は、原料に水素を添加し、反応温度300〜400℃、反応圧力0.5〜4.0MPaでコバルト−モリブデン触媒またはニッケル−モリブデン触媒の水素化触媒と接触させて原料中の硫黄分と水素を反応させて硫化水素を生成し、後段に設けた酸化亜鉛や酸化ニッケルなどの脱硫剤で吸着脱硫する方法が用いられるが、硫黄分が殆ど無い原料では、脱硫装置が必要ないことはいうまでもない。また、水素を添加することなく脱硫処理を行う装置であってもよい。
水素分離膜を用いた水素製造装置における水蒸気改質の反応圧力、つまりは改質原料として供給されるプロセス水の圧力は0.5〜1.0MPa程度であるが、その圧力における水の沸点はおよそ160〜180℃になる。この温度域は一酸化炭素のメタン化(または一酸化炭素選択酸化)反応に適する温度であり、熱交換型反応器に供給する水の量は、出口温度が前記温度になるように調節することが好ましい。
また、一酸化炭素除去装置からのプロセス水は、高温の水素と熱交換して水の沸点近傍/または沸点以上まで加熱されるが、主に水蒸気と液体の混相状態の過熱水となっており、水素分離膜装置やメンブレンリアクタの非透過側から排出されるオフガスと熱交換する熱交換器および/または水蒸気改質装置などを加熱する燃焼炉から排出される排出ガスと熱交換する熱交換器を配置して完全に水蒸気として原料に混合し、水蒸気改質装置に供給するのが好ましい。
本発明の高純度水素製造装置では、水素分離膜の製造において多少のピンホールが生じた場合や水素分離膜が使用途中で破損した場合であっても(例えば、分離した水素の純度が99%程度であっても)、一酸化炭素を1ppm未満に低減でき、従って、水素分離膜の薄膜化による透過性能の向上や水素分離膜モジュール本数の低減、さらには、水素分離膜の製造における歩留りの向上、などの効果があり、水素分離膜の製造コストの低減、コンパクト化が可能である。
また、改質反応で用いるプロセス水としての純水を沸点近傍/または沸点以上まで予熱しながら、水素中の一酸化炭素の除去と製品となる高純度水素の温度も下げることができ、水蒸気改質やオートサーマル反応ではスチームの発生に費やす熱量が改質効率に大きく影響するため、効率が向上する。また、メタネーションや一酸化炭素選択酸化などの一酸化炭素除去反応は発熱反応であり、本発明の熱交換型反応器を用いることで、この反応熱も回収することができる。
また、水素製造装置においては、水蒸気改質装置と水素分離膜装置を別置する構成であってもよいが、請求項2に記載の発明における水蒸気改質反応と水素分離膜による水素分離を同一容器内で行なうメンブレンリアクターを配置することにより、装置のコンパクト化をより効果的に図ることができる。
また、水素製造装置やメンブレンリアクタの水素分離膜の非透過側から排出されるオフガスとプロセス水供給流路から供給されるプロセス水とを熱交換する熱交換器および/または前記プロセス水供給流路から供給されるプロセス水と水蒸気改質装置などを加熱する燃焼炉から排出される排出ガスとを熱交換する熱交換器を付設することにより、プロセス水を完全に水蒸気とすることができ、原料に混合する水蒸気温度の制御が容易となると共に排出ガスの熱量を有効に利用することができる。
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施の形態の高純度水素製造装置の系統図、図2は本発明の他の実施の形態の高純度水素製造装置の系統図、図3は本発明の一実施の形態の一酸化炭素除去装置である熱交換器型反応器の概略縦断面図である。なお、図1および図2において同一の作用を有する部材については、同一の符号を付した。
図1において、符号1は都市ガス、LPG、ナフサまたは灯油などの原料中の硫黄分を脱硫処理する脱硫装置であり、図示しないが、前段に原料中の硫黄分と水素を反応させて硫化水素に転化する水素化触媒、後段に転化された硫化水素を吸着する脱硫触媒が充填されている。
なお、前記水素化触媒としては、コバルト−モリブデン,ニッケル−モリブデンなどの酸化物あるいは硫化物をシリカやアルミナなどの担体に担持したものが適宜用いられるが、比較的低圧下ではニッケル−モリブデン触媒が好ましい。また、脱硫剤としては、酸化亜鉛や酸化ニッケルなどが単独あるいは適宜担体に担持して用いられるが、酸化亜鉛脱硫剤の後段に酸化ニッケル脱硫剤を充填した二段脱硫装置が好ましく用いられる。
なお、前記水素化触媒としては、コバルト−モリブデン,ニッケル−モリブデンなどの酸化物あるいは硫化物をシリカやアルミナなどの担体に担持したものが適宜用いられるが、比較的低圧下ではニッケル−モリブデン触媒が好ましい。また、脱硫剤としては、酸化亜鉛や酸化ニッケルなどが単独あるいは適宜担体に担持して用いられるが、酸化亜鉛脱硫剤の後段に酸化ニッケル脱硫剤を充填した二段脱硫装置が好ましく用いられる。
符号2は、改質触媒が充填され、脱硫原料に水蒸気を混合した改質原料を改質触媒と接触させて改質し、水素含有ガスを生成する水蒸気改質装置であり、前記改質触媒としては白金,ルテニウムまたはニッケルなどのVIII族元素をアルミナ,シリカまたはジルコニアなどの担体に担持したものが用いられるが、特にニッケルを担持したニッケル触媒が工業的には好ましく用いられる。
また、符号3は、水素分離膜3cが設けられ、水蒸気改質装置2で生成した水素含有ガス中の水素を水素分離膜3cで分離し、透過側3bに水素および非透過側3aにオフガスを得る水素分離膜装置であり、水素分離膜3cとしては、パラジウム系水素分離膜を用いるのが好ましく、前記パラジウム水素分離膜は、セラミックス、ガラスまたはステンレスなどの多孔質体で円筒状、ハニカム状または平板状などに形成された担体の少なくとも一方の表面に、パラジウム単独膜、パラジウムと銀または銅、ニッケルなどの金属との合金膜などが用いられるが、1〜20μmの厚さで形成させたパラジウム−銀合金分離膜が好ましく用いられる。
符号5は、水蒸気改質装置2および水素分離膜装置3からなる水素製造装置を内設し、それぞれの装置2,3を加熱する燃焼炉であり、前記水蒸気改質装置2および水素分離膜装置3は、上端で連通する仕切り壁5cにより区画された区画室5a,5bにそれぞれ配置される。なお、それぞれの区画室5a,5bを仕切る仕切り壁5cは、下端で連通する構成であってもよい。
符号6は、熱交換器型反応器として形成された一酸化炭素除去装置(以下「CO除去装置」という。)であり、図3に概略縦断面図で示すように、シェル&チューブ式熱交換型反応器が用いられ、一方側流路であるチューブ側を水素流通流路22として形成し、一酸化炭素転化触媒23が充填してあり、また、他方側流路であるシェル側を純水流通流路21として形成し、水素中の一酸化炭素を除去するとともに高温の水素と純水とを熱交換して純水を加熱する構成となっている。なお、一酸化炭素転化触媒としては、アルミナやマグネシウムなどを担体とし、ルテニウムなどの貴金属を触媒成分として担持したメタネーション触媒を用いるのが好ましい。
また、符号7は原料を所定の圧力に加圧して供給する原料供給コンプレッサ、符号8は燃焼炉のバーナに燃焼用の空気を供給するブロワ、符号9はCO除去装置6に純水を供給する水供給ポンプ、符号10はCO除去装置6からプロセス水供給流路を経て供給されるプロセス水と水素分離膜装置3の非透過側から排出されるオフガスとを熱交換する第一熱交換器、符号11は第一熱交換器10により加熱されたプロセス水と燃焼炉から排出される排出ガスとを熱交換する第二熱交換器、符号12はオフガスを燃焼炉の燃料の一部として用いるため、適宜温度に冷却する冷却器である。なお、灯油などの液体原料を用いる場合には、原料供給コンプレッサ7は原料供給ポンプとなり、水素添加流路bは別途設けたリサイクルコンプレッサーを介して、原料供給ポンプの後段に送られる。
また、符号13はプロセス水供給流路gに設けられ、CO除去装置6からの過熱水であるプロセス水の温度を測定する温度指示調節計(TIC)であり、符号14はCO除去装置6に供給される純水の純水供給流路mから分岐されたバイパス流路pに設けられ、前記温度計13で測定された過熱水温度に基づいてCO除去装置6に供給される純水の流量を調節する調節弁である。
次に、前記構成の水素製造装置で原料を脱硫改質して高純度水素を製造する方法について以下詳述する。原料は原料供給流路aから供給されると共に水素添加流路bから水素が添加され、原料供給コンプレッサ7で加圧されて脱硫装置1に導入され、水素化触媒と接触させることにより、原料中の硫黄分が水素と反応して硫化水素が生成し、生成した硫化水素は、後段の脱硫触媒と接触して吸着除去される。
なお、脱硫装置1における反応温度は300〜400℃、反応圧力は0.5〜1.0MPaとして脱硫処理される。
また、硫化水素と脱硫触媒とは、例えばH2S+ZnO=ZnS+H2Oの反応が起こる。
なお、脱硫装置1における反応温度は300〜400℃、反応圧力は0.5〜1.0MPaとして脱硫処理される。
また、硫化水素と脱硫触媒とは、例えばH2S+ZnO=ZnS+H2Oの反応が起こる。
前記脱硫装置1で脱硫された原料は、水蒸気供給流路iから水蒸気が添加され、脱硫原料供給流路cを経て水蒸気改質装置2に導入され、水蒸気改質触媒と接触させることにより、原料の炭化水素と水蒸気が反応し、低分子化された水素含有ガス(水素を主成分とし、メタン、一酸化炭素、二酸化炭素などを含有する)が生成する。なお、水蒸気改質装置2における反応温度は600〜900℃、反応圧力は0.5〜1.0MPaである。なお、水蒸気改質装置2の後段に一酸化炭素変成器を設けて一酸化炭素を水素に転化してもよい。一酸化炭素変成器における反応温度は200〜500℃、反応圧力は0.5〜1.0MPaである。
前記水蒸気改質反応は、次のとおりである。
CmHn+mH2O→mCO+(m+n/2)H2 ……(1)
CO+3H2←→CH4+H2O ……(2)
CO+H2O←→CO2+H2 ……(3)
前記水蒸気改質反応は、次のとおりである。
CmHn+mH2O→mCO+(m+n/2)H2 ……(1)
CO+3H2←→CH4+H2O ……(2)
CO+H2O←→CO2+H2 ……(3)
さらに、水蒸気改質装置2で生成した水素含有ガスは、水素含有ガス供給流路dから水素分離膜装置3に導入され、水素分離膜3cにより分離することにより、透過側3bに水素および非透過側3aにオフガスが得られる。なお、水素分離膜装置3おける分離温度は、300〜600℃、分離圧力は0.5〜1.0MPaであり、透過側3bでは常圧〜0.3MPaである。また、透過側3bに得られる水素の純度はピンホールの発生具合によるが、95vol%〜99.999vol%程度で回収される。
また、水蒸気改質装置2および水素分離膜装置3からなる水素製造装置が内設された燃焼炉5は、原料を燃料として燃料供給流路nから、図示しない燃焼バーナに供給され、空気供給ブロワ8により空気供給流路kから供給される空気により燃焼され、水蒸気改質装置2および水素分離膜装置3における所定の温度が維持される。なお、水素分離膜装置3の非透過側3aに得られるオフガスが燃料の一部として用いられる。
また、水素分離膜装置3からの水素は、分離水素抜出流路eからCO除去装置6に供給され、また、水素と熱交換される純水は、純水供給流路mから水供給ポンプ9によりCO除去装置6に供給される。CO除去装置6は,図3に示すように、シェル&チューブ式熱交換型反応器20として形成され、一方側流路であるチューブ側の水素流通流路22に分離水素26が供給され、充填されたメタネーション触媒層23を流通する間に、水素中の一酸化炭素が水素と反応してメタンに転化され、メタネーションにより生成した微量のメタンを含む高純度水素27が得られる。
なお、メタネーション触媒層23におけるメタネーション反応は、次のとおりである。
CO+3H2 ←→CH4+H2O (4)
CO2+4H2←→CH4+2H2O (5)
一方、他方側流路であるシェル側の純水流通流路21に純水24が供給され、供給された純水24は純水流通流路21を流通する間に水素流通流路22を流通する高温の水素と熱交換して加熱され、水蒸気と水との混相状態である過熱水25が生成される。
なお、CO除去装置6における反応温度は150〜250℃、反応圧力は常圧から0.3MPaである。また、CO除去装置6に供給する純水の量は、出口温度が沸点(気液混相状態)になるように調節される。この温度が沸点よりも低い場合は、プロセス水供給流路gに設けた温度指示調節計13を監視しながら、バイパス流路pに設けた調節弁14を開けることによって、CO除去装置6に供給される純水の流量を調節する。
なお、メタネーション触媒層23におけるメタネーション反応は、次のとおりである。
CO+3H2 ←→CH4+H2O (4)
CO2+4H2←→CH4+2H2O (5)
一方、他方側流路であるシェル側の純水流通流路21に純水24が供給され、供給された純水24は純水流通流路21を流通する間に水素流通流路22を流通する高温の水素と熱交換して加熱され、水蒸気と水との混相状態である過熱水25が生成される。
なお、CO除去装置6における反応温度は150〜250℃、反応圧力は常圧から0.3MPaである。また、CO除去装置6に供給する純水の量は、出口温度が沸点(気液混相状態)になるように調節される。この温度が沸点よりも低い場合は、プロセス水供給流路gに設けた温度指示調節計13を監視しながら、バイパス流路pに設けた調節弁14を開けることによって、CO除去装置6に供給される純水の流量を調節する。
CO除去装置6で生成した過熱水は、水蒸気改質用のプロセス水としてプロセス水供給流路gから抜き出され、第一熱交換器10で水素分離膜装置の非透過側からオフガス排出流路hを経て排出されるオフガスと熱交換して加熱され、さらに、第二熱交換器11で水蒸気改質装置2などを加熱する燃焼炉5から排出ガス流路jを経て排出される排出ガスと熱交換して完全に水蒸気とされ、水蒸気供給流路iを経て原料に混合される。また、第一熱交換器10でプロセス水と熱交換したオフガスは冷却器12で適宜温度に冷却され、燃焼炉における燃料の一部として用いられる。さらに、一酸化炭素が除去された高純度水素は、高純度水素排出流路fから図示しない貯留タンクなどに供給され、製品高純度水素として、燃料電池などに使用されると共に一部は脱硫装置1における脱硫用水素として水素添加流路bに循環される。
なお、改質反応で用いる水の沸点はおよそ160〜180℃であり、前記温度域は一酸化炭素のメタン化(または一酸化炭素選択酸化)反応に適する温度であるため、前記の構成で水素分離膜3cで分離された水素中の一酸化炭素の除去と改質装置に用いられる水蒸気の生成をCO除去装置6で同時に行うことにより、圧力および温度を極めて効率よく利用でき、また、装置の運転制御が容易であり、さらに、装置全体のコンパクト化が図れる高純度水素製造装置を提供することができる。
図2の実施例は、図1における水蒸気改質装置2および水素分離膜装置3からなる水素製造装置が、前記両装置2,3を兼用するメンブレンリアクタが配置されている以外は図1と同様であるため、相違する部分について、以下説明する。符号4は水蒸気改質反応と水素分離膜による水素分離を同一容器内で行なうメンブレンリアクタであり、内部が水素分離膜4cで2室4a,4bに区画されており、一方の区画室4aである非透過側には改質触媒が充填され、炭化水素と水蒸気とを混合した改質原料を改質触媒と接触させて水蒸気改質して水素含有ガスを生成する水蒸気改質室とし、他方の区画室4bは前記水蒸気改質室4aで生成した水素含有ガス中の水素を水素分離膜4cで透過分離して回収する水素回収室とし、非透過側4aに原料が供給され、供給された原料が改質触媒層を流通する間に改質され、同時に水素分離膜4cで水素が分離され、透過側4bに水素が得られる。
(実験例)
図3に示すシェル&チューブ式熱交換型反応器のチューブ側にルテニウム系メタネーション触媒を充填し、図1に示す高純度水素製造装置を用い、同装置のパラジウム系水素分離膜で分離した水素を350℃で供給し、一方、シェル側に常温の純水を0.8MPaで供給した。また、温度を水素、純水ともに出口温度で180℃になるように調整した。この結果、水素中の一酸化炭素濃度は、触媒なしで25ppmだったものが、触媒充填後0.05ppmに減少した。
前記の結果、水素分離膜で分離した水素の熱量で、純水を加熱し、改質装置におけるプロセス水として使用可能な温度に調整できると共に水素中の一酸化炭素を十分低減することができることが判明した。
図3に示すシェル&チューブ式熱交換型反応器のチューブ側にルテニウム系メタネーション触媒を充填し、図1に示す高純度水素製造装置を用い、同装置のパラジウム系水素分離膜で分離した水素を350℃で供給し、一方、シェル側に常温の純水を0.8MPaで供給した。また、温度を水素、純水ともに出口温度で180℃になるように調整した。この結果、水素中の一酸化炭素濃度は、触媒なしで25ppmだったものが、触媒充填後0.05ppmに減少した。
前記の結果、水素分離膜で分離した水素の熱量で、純水を加熱し、改質装置におけるプロセス水として使用可能な温度に調整できると共に水素中の一酸化炭素を十分低減することができることが判明した。
1:脱硫装置
2:水蒸気改質装置
3:水素分離膜装置
4:メンブレンリアクタ
5:燃焼炉
6:一酸化炭素除去装置(熱交換器型反応器)
7:原料供給コンプレッサ
8:空気供給ブロワ
9:水供給ポンプ
10:第一熱交換器
11:第二熱交換器
12:冷却器
13:温度指示調節計
14:調節弁
2:水蒸気改質装置
3:水素分離膜装置
4:メンブレンリアクタ
5:燃焼炉
6:一酸化炭素除去装置(熱交換器型反応器)
7:原料供給コンプレッサ
8:空気供給ブロワ
9:水供給ポンプ
10:第一熱交換器
11:第二熱交換器
12:冷却器
13:温度指示調節計
14:調節弁
Claims (4)
- 炭化水素と水蒸気とを混合した改質原料を改質触媒と接触させて水蒸気改質して水素含有ガスを生成する水蒸気改質装置と前記水蒸気改質装置で生成した水素含有ガス中の水素を水素分離膜で透過分離して回収する水素分離膜装置とを設けた水素製造装置と、前記水素製造装置で分離回収した水素を一酸化炭素転化触媒と接触させて水素中の一酸化炭素を除去する一酸化炭素除去装置を少なくとも設けた高純度水素製造装置において、前記一酸化炭素除去装置を熱交換型反応器として形成し、前記熱交換型反応器の一方側流路に一酸化炭素転化触媒を充填して前記水素製造装置で回収した水素の流通流路とし、他方側流路を純水の流通流路とし、前記水素と熱交換して加熱された前記純水より生成した過熱水を前記水蒸気改質装置における水蒸気用のプロセス水として供給するプロセス水供給流路を設けたことを特徴とする高純度水素製造装置。
- 前記水素製造装置を、内部が水素分離膜により2室に区画され、一方の区画室は改質触媒が充填され、炭化水素と水蒸気とを混合した改質原料を改質触媒と接触させて水蒸気改質して水素含有ガスを生成する水蒸気改質室とし、他方の区画室は前記水蒸気改質室で生成した水素含有ガス中の水素を水素分離膜で透過分離して回収する水素回収室とし、水蒸気改質反応と水素分離膜による水素分離を同一容器内で行なうメンブレンリアクターとして形成した請求項1に記載の高純度水素製造装置。
- 前記水素製造装置の水素分離膜の非透過側から排出されるオフガスと前記プロセス水供給流路から供給されるプロセス水とを熱交換する熱交換器および/または前記プロセス水供給流路から供給されるプロセス水と前記水蒸気改質装置および水素分離膜装置を加熱する燃焼炉から排出される排出ガスとを熱交換する熱交換器、を付設した請求項1または請求項2に記載の高純度水素製造装置。
- 前記一酸化炭素転化触媒がメタネーション触媒である請求項1、請求項2または請求項3に記載の高純度水素製造装置。
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