JP2010240637A - Nb膜、周期律表5A族金属合金膜を使用した水素分離システム - Google Patents

Nb膜、周期律表5A族金属合金膜を使用した水素分離システム Download PDF

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Hideto Kurokawa
英人 黒川
Takumi Nishii
匠 西井
Yoshinori Shirasaki
義則 白崎
Isamu Yasuda
勇 安田
Masahiko Morinaga
正彦 森永
Hiroshi Yugawa
宏 湯川
Tomonori Nanbu
智憲 南部
Yoshihisa Matsumoto
佳久 松本
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Nagoya University NUC
Tokyo Gas Co Ltd
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Tokyo Gas Co Ltd
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Abstract

【課題】Nb膜の特性を利用して、低水素濃度ガスから低水素分圧差で水素を分離する水素製造システム、および高温メタン含有低水素濃度ガス中のメタンを改質し、生成改質ガスから低水素分圧差で水素を製造、分離する水素製造システムを得る。
【解決手段】室温低水素濃度ガス発生装置から発生するところの室温且つ常圧の低水素濃度ガスからNb膜により水素を分離するシステムであって、(a)Nb膜と、(b)燃焼器からなる加熱手段と、(c)前記Nb膜の一次側に室温低水素濃度ガスを供給する手段と、(d)前記Nb膜の二次側に水素を回収する手段と、を備え、(e)Nb膜の固溶水素量C(H/M)=0.26以下の条件下、前記(b)燃焼器からなる加熱手段により、Nb膜を300〜500℃に加熱することにより、低水素濃度ガスから水素を選択的に分離するようにしてなることを特徴とする水素分離システム。
【選択図】図1

Description

本発明は、Nb膜、元素の周期律表5A族金属(V、Nb、Ta)合金膜を使用して、低水素濃度ガス又はメタン含有低水素濃度ガスから低差圧で水素を分離するための水素分離システムに関する。
従来、水素含有ガスからの水素分離や炭化水素を改質して得られた改質ガスからの水素分離システムは、それらの高水素濃度ガスについて高圧(0.8MPa程度あるいはその圧力以上)の条件下で水素を分離するものであり、低濃度の水素を含む常圧の水素含有ガスの分離に特化した水素分離システムは存在しない。また、低濃度の水素を含むガスすなわち低水素濃度ガスは、これまで主に燃焼や混焼に用いられており、そのガスから水素の分離、製造は非効率であったため従来行われていない。
しかし、バイオマス、例えば下水汚泥から得られるバイオガスなどには約10vol%の低濃度の水素を含むものや低濃度のメタンと低濃度の水素を含むものがある。そのような低濃度の水素を含むガスから水素を分離し、また、そのような低濃度のメタンと低濃度の水素を含むガス中のメタンを改質し、その改質ガスから水素(メタンとともに元々含まれている水素を含む)を分離することができれば、その分離水素は、例えば燃料電池の燃料として利用可能になり、エネルギーの有効利用につなげることができる。
ところで、Nb膜からなる水素分離膜を使用すると、低濃度の水素を含むガスから低水素分圧差で水素を分離することができ、Nb膜の場合には300〜500℃の温度で効率よく水素を分離することができる。そのようにNb膜がそれら条件で水素を分離できること、またNb−W合金膜、Nb−W−Ta合金膜などのNb系合金膜についても同様に水素を分離できることについては、本発明者らが先に開発し、出願している(特許文献1、2)。
特願2008−072607(出願日:平成20年3月19日) 特願2008−072609(出願日:平成20年3月19日)
水素分離膜としてNb膜およびNb系合金膜をそのような特定の条件下で使用すると、水素分離のために昇圧する必要が無くなり、常圧でも作動可能であることから、シンプルな水素分離システムとすることができる。また、低濃度のメタンを含むガスを水蒸気改質により改質し、生成改質ガスを、Nb膜やNb系合金膜をそのような特定の条件下で使用することでさらに精製して高純度の水素を製造する水素製造システムとすることができる。
本発明は、Nb膜やNb系合金膜のそのような特性を利用し、またNbと同じく元素の周期律表5A族金属であるV、Ta等の安価な元素の合金膜を利用して、低水素濃度ガスから水素分圧差を生じさせ、300〜500℃の温度で水素を分離する水素製造システム、および高温メタン含有低水素濃度ガス中のメタンを改質し、生成改質ガスから水素分圧差によって、300〜500℃の温度で水素を製造、分離する水素製造システムを提供することを目的とするものである。
本発明(1)は、室温低水素濃度ガス発生装置から発生するところの、室温且つ常圧の低水素濃度ガスからNb膜により水素を分離するシステムであって、
(a)Nb膜と、
(b)燃焼器からなる加熱手段と、
(c)前記Nb膜の一次側に室温低水素濃度ガスを供給する手段と、
(d)前記Nb膜の二次側に水素を回収する手段と、を備え、
(e)前記Nb膜の固溶水素量C(H/M)=0.26以下の条件下、前記(b)燃焼器からなる加熱手段により、Nb膜を温度=300〜500℃に加熱することにより、低水素濃度ガスから水素を選択的に分離するようにしてなることを特徴とする水素分離システムである。
本発明(2)は、高温低水素濃度ガス発生装置から発生するところの、高温且つ常圧の低水素濃度ガスからNb膜により水素を分離するシステムであって、
(a)Nb膜と、
(b)燃焼器からなる加熱手段と、
(c)高温低水素濃度ガス発生装置の廃熱を利用する加熱手段と、
(d)前記Nb膜の一次側に高温低水素濃度ガスを供給する手段と、
(e)前記Nb膜の二次側に水素を回収する手段と、を備え、
(f)前記Nb膜の固溶水素量C(H/M)=0.26以下の条件下、前記(b)燃焼器からなる加熱手段及び/又は(c)高温低水素濃度ガス発生装置の廃熱利用する加熱手段により、Nb膜を温度=300〜500℃に加熱することにより、低水素濃度ガスから水素を選択的に分離するようにしてなることを特徴とする水素分離システムである。
本発明(3)は、高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置から発生するところの、高温且つ常圧のメタン含有低水素濃度ガスからNb膜により水素を製造分離するシステムであって、
(a)燃焼器からなる加熱手段と、
(b)高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱を利用する加熱手段と、
(c)メタン含有低水素濃度ガスに添加する水蒸気をボイラーにより発生する手段と、
(d)前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを改質触媒兼支持体に通してその中のメタンを水蒸気改質して水素を含む改質ガスを生成する手段と、
(e)前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを改質する改質触媒兼支持体の一面にNb膜を配置してなるメタンを水蒸気改質し且つ水素を分離する手段と、
(f)前記改質触媒兼支持体のNb膜と相対する側である一次側に前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを供給する手段と、
(g)前記Nb膜の二次側に水素を回収する手段と、を備え、
(h)前記Nb膜の固溶水素量C(H/M)=0.26以下の条件下、前記(a)燃焼器からなる加熱手段及び/又は(b)メタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱を利用する加熱手段により、前記改質触媒兼支持体及びNb膜を温度=300〜500℃に加熱することにより、メタン含有低水素濃度ガスから水素を製造し、水素を選択的に分離するようにしてなることを特徴とする水素分離システムである。
本発明(4)は、高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置から発生するところの、高温且つ常圧のメタン含有低水素濃度ガスからNb膜により水素を製造分離するシステムであって、
(a)燃焼器からなる加熱手段と、
(b)高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱を利用する加熱手段と、
(c)メタン含有低水素濃度ガスに添加する水蒸気を高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱により発生させる手段と、
(d)前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを改質触媒兼支持体に通してその中のメタンを水蒸気改質して水素を含む改質ガスを生成する手段と、
(e)前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを改質する改質触媒兼支持体の一面にNb膜を配置してなるメタンを水蒸気改質し且つ水素を分離する手段と、
(f)前記改質触媒兼支持体のNb膜と相対する側である一次側に前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを供給する手段と、
(g)前記Nb膜の二次側に水素を回収する手段と、を備え、
(h)前記Nb膜の固溶水素量C(H/M)=0.26以下の条件下、前記(a)燃焼器からなる加熱手段及び/又は(b)メタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱を利用する加熱手段により、前記改質触媒兼支持体及びNb膜を温度=300〜500℃に加熱することにより、メタン含有低水素濃度ガスから水素を製造し、水素を選択的に分離するようにしてなることを特徴とする水素分離システムである。
ここで、本発明(1)〜(4)において、Nb膜としては、Nb膜のほか、NbにWを添加して合金化したNb−W系合金膜、NbにW、Moを添加して合金化したNb−W−Mo系合金膜、NbにTaを添加して合金化したNb−Ta系合金膜、NbにTa、Wを添加して合金化したNb−Ta−W系合金膜等のNb系合金膜を含むものである。これを本発明(1)〜(4)についてより具体的に記載すると、下記のとおりとなる。
本発明(1)は、室温低水素濃度ガス発生装置から発生するところの、室温且つ常圧の低水素濃度ガスからNb膜またはNb系合金膜により水素を分離するシステムであって、
(a)Nb膜またはNb系合金膜と、
(b)燃焼器からなる加熱手段と、
(c)前記Nb膜またはNb系合金膜の一次側に室温低水素濃度ガスを供給する手段と、
(d)前記Nb膜またはNb系合金膜の二次側に水素を回収する手段と、を備え、
(e)前記Nb膜またはNb系合金膜の固溶水素量C(H/M)=0.26以下の条件下、前記(b)燃焼器からなる加熱手段により、Nb膜またはNb系合金膜を温度=300〜500℃に加熱することにより、低水素濃度ガスから水素を選択的に分離するようにしてなることを特徴とする水素分離システムである。
本発明(2)は、高温低水素濃度ガス発生装置から発生するところの、高温且つ常圧の低水素濃度ガスからNb膜またはNb系合金膜により水素を分離するシステムであって、
(a)Nb膜またはNb系合金膜と、
(b)燃焼器からなる加熱手段と、
(c)高温低水素濃度ガス発生装置の廃熱を利用する加熱手段と、
(d)前記Nb膜またはNb系合金膜の一次側に高温低水素濃度ガスを供給する手段と、
(e)前記Nb膜またはNb系合金膜の二次側に水素を回収する手段と、を備え、
(f)前記Nb膜またはNb系合金膜の固溶水素量C(H/M)=0.26以下の条件下、前記(b)燃焼器からなる加熱手段及び/又は(c)高温低水素濃度ガス発生装置の廃熱利用する加熱手段により、Nb膜またはNb系合金膜を温度=300〜500℃に加熱することにより、低水素濃度ガスから水素を選択的に分離するようにしてなることを特徴とする水素分離システムである。
本発明(3)は、高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置から発生するところの、高温且つ常圧のメタン含有低水素濃度ガスからNb膜またはNb系合金膜により水素を製造分離するシステムであって、
(a)燃焼器からなる加熱手段と、
(b)高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱を利用する加熱手段と、
(c)メタン含有低水素濃度ガスに添加する水蒸気をボイラーにより発生する手段と、
(d)前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを改質触媒兼支持体に通してその中のメタンを水蒸気改質して水素を含む改質ガスを生成する手段と、
(e)前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを改質する改質触媒兼支持体の一面にNb膜またはNb系合金膜を配置してなるメタンを水蒸気改質し且つ水素を分離する手段と、
(f)前記改質触媒兼支持体のNb膜またはNb系合金膜と相対する側である一次側に前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを供給する手段と、
(g)前記Nb膜またはNb系合金膜の二次側に水素を回収する手段と、を備え、
(h)前記Nb膜またはNb系合金膜の固溶水素量C(H/M)=0.26以下の条件下、前記(a)燃焼器からなる加熱手段及び/又は(b)メタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱を利用する加熱手段により、前記改質触媒兼支持体及びNb膜またはNb系合金膜を温度=300〜500℃に加熱することにより、メタン含有低水素濃度ガスから水素を製造し、水素を選択的に分離するようにしてなることを特徴とする水素分離システムである。
本発明(4)は、高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置から発生するところの、高温且つ常圧のメタン含有低水素濃度ガスからNb膜またはNb系合金膜により水素を製造分離するシステムであって、
(a)燃焼器からなる加熱手段と、
(b)高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱を利用する加熱手段と、
(c)メタン含有低水素濃度ガスに添加する水蒸気を高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱により発生させる手段と、
(d)前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを改質触媒兼支持体に通してその中のメタンを水蒸気改質して水素を含む改質ガスを生成する手段と、
(e)前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを改質する改質触媒兼支持体の一面にNb膜またはNb系合金膜を配置してなるメタンを水蒸気改質し且つ水素を分離する手段と、
(f)前記改質触媒兼支持体のNb膜またはNb系合金膜と相対する側である一次側に前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを供給する手段と、
(g)前記Nb膜またはNb系合金膜の二次側に水素を回収する手段と、を備え、
(h)前記Nb膜またはNb系合金膜の固溶水素量C(H/M)=0.26以下の条件下、前記(a)燃焼器からなる加熱手段及び/又は(b)メタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱を利用する加熱手段により、前記改質触媒兼支持体及びNb膜またはNb系合金膜を温度=300〜500℃に加熱することにより、メタン含有低水素濃度ガスから水素を製造し、水素を選択的に分離するようにしてなることを特徴とする水素分離システムである。
本発明(5)は、室温低水素濃度ガス発生装置から発生するところの、室温且つ常圧の低水素濃度ガスから周期律表5A族金属合金膜により水素を分離するシステムであって、
(a)周期律表5A族金属合金膜と、
(b)燃焼器からなる加熱手段と、
(c)前記5A族金属合金膜の一次側に室温低水素濃度ガスを供給する手段と、
(d)前記5A族金属合金膜の二次側に水素を回収する手段と、を備え、
(e)前記5A族金属合金膜の固溶水素量C(H/M)が脆性−延性の境界値以下の条件下、前記(b)燃焼器からなる加熱手段により、5A族金属合金膜を温度=300〜500℃に加熱することにより、低水素濃度ガスから水素を選択的に分離するようにしてなることを特徴とする水素分離システムである。
本発明(6)は、高温低水素濃度ガス発生装置から発生するところの、高温且つ常圧の低水素濃度ガスから周期律表5A族金属合金膜により水素を分離するシステムであって、
(a)周期律表5A族金属合金膜と、
(b)燃焼器からなる加熱手段と、
(c)高温低水素濃度ガス発生装置の廃熱を利用する加熱手段と、
(d)前記5A族金属合金膜の一次側に高温低水素濃度ガスを供給する手段と、
(e)前記5A族金属合金膜の二次側に水素を回収する手段と、を備え、
(f)前記5A族金属合金膜の固溶水素量C(H/M)が脆性−延性の境界値以下の条件下、前記(b)燃焼器からなる加熱手段及び/又は(c)高温低水素濃度ガス発生装置の廃熱利用する加熱手段により、5A族金属合金膜を温度=300〜500℃に加熱することにより、低水素濃度ガスから水素を選択的に分離するようにしてなることを特徴とする水素分離システムである。
本発明(7)は、高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置から発生するところの、高温且つ常圧のメタン含有低水素濃度ガスから5A族金属合金膜により水素を製造分離するシステムであって、
(a)燃焼器からなる加熱手段と、
(b)高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱を利用する加熱手段と、
(c)メタン含有低水素濃度ガスに添加する水蒸気をボイラーにより発生する手段と、
(d)前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを改質触媒兼支持体に通してその中のメタンを水蒸気改質して水素を含む改質ガスを生成する手段と、
(e)前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを改質する改質触媒兼支持体の一面に5A族金属合金膜を配置してなるメタンを水蒸気改質し且つ水素を分離する手段と、
(f)前記改質触媒兼支持体の5A族金属合金膜と相対する側である一次側に前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを供給する手段と、
(g)前記5A族金属合金膜の二次側に水素を回収する手段と、を備え、
(h)前記5A族金属合金膜の固溶水素量C(H/M)が脆性−延性の境界値以下の条件下、前記(a)燃焼器からなる加熱手段及び/又は(b)高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱を利用する加熱手段により、前記改質触媒兼支持体及び5A族金属合金膜を温度=300〜500℃に加熱することにより、メタン含有低水素濃度ガスから水素を製造し、水素を選択的に分離するようにしてなることを特徴とする水素分離システムである。
本発明(8)は、高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置から発生するところの、高温且つ常圧のメタン含有低水素濃度ガスから5A族金属合金膜により水素を製造分離するシステムであって、
(a)燃焼器からなる加熱手段と、
(b)高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱を利用する加熱手段と、
(c)メタン含有低水素濃度ガスに添加する水蒸気を高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱により発生させる手段と、
(d)前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを改質触媒兼支持体に通してその中のメタンを水蒸気改質して水素を含む改質ガスを生成する手段と、
(e)前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを改質する改質触媒兼支持体の一面に5A族金属合金膜を配置してなるメタンを水蒸気改質し且つ水素を分離する手段と、
(f)前記改質触媒兼支持体の5A族金属合金膜と相対する側である一次側に前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを供給する手段と、
(g)前記5A族金属合金膜の二次側に水素を回収する手段と、を備え、
(h)前記5A族金属合金膜の固溶水素量C(H/M)が脆性−延性の境界値以下の条件下、前記(a)燃焼器からなる加熱手段及び/又は(b)メタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱を利用する加熱手段により、前記改質触媒兼支持体及び5A族金属合金膜を温度=300〜500℃に加熱することにより、メタン含有低水素濃度ガスから水素を製造し、水素を選択的に分離するようにしてなることを特徴とする水素分離システムである。
本発明によれば、元素の周期律表5A族金属であるNb、V、Ta等の安価な金属、それら金属の合金を利用し、従来、主に燃焼や混焼のみに使用されていた、バイオガスや燃料電池のアノードオフガスなどの低濃度の水素を含むガス、すなわち低水素濃度ガスから水素を回収することにより、例えば燃料電池の燃料として利用可能とし、エネルギーの有効利用につなげることができる。
図1は本発明(1)を説明する図である。 図2は本発明(2)を説明する図である。 図3は本発明(3)を説明する図である。 図4は本発明(4)を説明する図である。 図5は本発明において、分離膜(例えばNb膜)の複数個を積層、あるいは併置して使用する態様例を説明する図である。 図6は本発明において、分離膜(例えばNb膜)の複数個を積層、あるいは併置して使用する態様例を説明する図である。 図7は本発明において、分離膜又はNb合金膜の複数個を積層、あるいは併置して使用する態様例を説明する図である。 図8は本発明において、分離膜又はNb合金膜の複数個を積層、あるいは併置して使用する態様例を説明する図である。 図9は本発明(5)を説明する図である。 図10は本発明(6)を説明する図である。 図11は本発明(7)を説明する図である。 図12は本発明(8)を説明する図である。 図13はSP試験装置の構造、動作および操作法を説明する図である。 図14は温度300〜500℃におけるNb膜各試験片の固溶水素量C(H/Nb)とNb膜による吸収エネルギーの関係を示した図である。 図15はPCT装置による、400℃における、雰囲気の水素圧力P、Nbに対する固溶水素量Cの測定結果をプロットした図である。 図16はSP試験装置による、Nbに対する固溶水素量C(H/Nb)と温度と延性−脆性遷移との関係を調べてプロットした図である。 図17はPCT装置により、一例として温度500℃における、Nbに対する固溶水素量と水素圧との関係を調べてプロットした図である。 図18は純VのSP試験で得られた、吸収エネルギーと固溶水素量の関係(400〜500℃)を示す図である。 図19はV−W系合金膜について、温度400℃、450℃、500℃における、雰囲気の水素圧力Pと固溶水素量Cの関係をプロットした図である。 図20はV−5W合金膜について、温度500℃で0.01MPa(H/M=0.03)〜0.3MPa(H/M=0.2)の水素雰囲気下で行ったSP破壊試験より得られた荷重−変位曲線である。 図21はPd−26Ag合金、Nb−5W合金、V−5W合金について、水素透過速度試験の試験条件、結果を示す図である。
本発明(1)〜(8)の水素分離システムは、従来水素分離に使用不可能とされていたNb膜、周期律表5A族金属合金膜を特定条件下で有効に利用する水素分離システムである。Nb膜、5A族金属合金膜を用いることにより、常圧の低水素濃度ガスを昇圧することなく、温度300℃から500℃の範囲で水素を分離することができる。
本発明において使用するNb膜を構成するNbは、実質的な純度が100%であるNbのほかに、その製造過程で不可避的に含まれる不純物を含んでいてもよく、またNb−Ru合金、Nb−W合金、Nb−W−Ta合金、Nb−W−Mo合金などのNb合金でもよい。それらの合金膜を含めて本明細書中Nb膜と称している。
本明細書において、低水素濃度ガスとは、ガスに含まれる水素の濃度(すなわちガス全体中の水素の割合)が、Nb膜もしくは5A族金属合金膜が水素脆性を起さないところの低い水素分圧となるガスを意味する。また、本明細書において、メタン含有低水素濃度ガスとは、低濃度のメタンを含み(場合によっては低濃度のメタンに加えて低濃度の水素を含み)、改質後のガスに含まれる水素の濃度(すなわち改質後のガス全体中の水素の割合)が、Nb膜もしくは5A族金属合金膜が水素脆性を起さないところの低い水素分圧であるガスを意味する。
以下、本発明(1)〜(8)の態様について説明し、これに続き、Nb膜、5A族金属合金膜が特定条件下で有効である点について、それを見い出すに至るまでの過程、成果と本発明との関連事項を説明している。
〈本発明(1)の態様〉
本発明(1)は、室温低水素濃度ガス発生装置から発生するところの、室温且つ常圧の低水素濃度ガスからNb膜により水素を分離するシステムである。そして、(a)Nb膜と、(b)燃焼器からなる加熱手段と、(c)前記Nb膜の一次側に室温低水素濃度ガスを供給する手段と、(d)前記Nb膜の二次側に水素を回収する手段と、を備え、
(e)Nb膜の固溶水素量C(H/M)=0.26以下の条件下、前記(b)燃焼器からなる加熱手段により、Nb膜を温度=300〜500℃に加熱することにより、低水素濃度ガスから水素を選択的に分離するようにしてなることを特徴とする。
図1は本発明(1)を説明する図である。
本発明(1)は、室温低水素濃度ガス発生装置から発生するところの室温且つ常圧の低水素濃度ガスを原料とする。その低水素濃度ガスとして、例えばバイオマス発酵装置で発生するバイオガス、PEFCの作動時つまり運転時に発生する燃料極オフガスなどがあるが、室温且つ常圧で、水素を低濃度で含むガスであればいずれも原料とすることができる。図1中、バイオマス発酵装置、PEFCなどを室温低水素濃度ガス発生装置と記載している。なお、PEFCからの燃料極オフガスにはPEFCで未利用の水素が含まれている。
室温低水素濃度ガス発生装置において、室温、常圧で発生する低水素濃度ガスをNb膜搭載型水素分離装置に供給する。Nb膜は300〜500℃の温度範囲で有効であるので、当該水素分離装置をその範囲の温度に加熱することが必要である。その加熱用にバーナー等の燃焼器(=燃焼炉)を利用する。
燃焼器では燃料を空気により燃焼し、生成燃焼ガスにより水素分離装置を加熱する。燃料としては都市ガスやLPG、灯油等のほかに、水素分離装置から排出するオフガスを利用することもできる。例えばバイオマス発酵装置で発生するバイオガスにはメタン等の可燃ガスが含まれている場合がある。水素分離装置に組み込んだNb膜は水素のみを選択的に透過するので、メタン等の水素以外のガスはオフガスとして排出される。図1(a)に示すように、そのオフガスを燃焼器での燃料として補足的に利用する。
Nb膜は、それ自体を配置してもよく、多孔質支持体に支持して配置してもよい。この点、Nb膜を使用する他の態様、後述周期律表5A族金属の合金膜を使用する態様についても同様である。図1(b)にそれ自体を配置する態様を示し、図1(c)に多孔質支持体に支持して配置する態様を示している。図1(b)〜(c)にはNb膜をシート状あるいは平板状で使用する場合を示しているが、円筒状に構成してもよい。Nb膜はそれ自体で強度を保つが、膜面積を広くする場合には、図1(c)のように多孔質支持体に支持して配置する態様であるのが好ましい。なお、多孔質支持体の配置は、Nb膜のガス供給側でも、水素回収側でもよい。この点、Nb膜を使用する他の態様、後述周期律表5A族金属の合金膜を使用する態様についても同様である。
図1(b)のとおり、Nb膜1の両面のうち、一方の面側に原料である低水素濃度ガスの供給層3を設け、他方の面側に水素回収層4を設ける。低水素濃度ガス供給層3がNb膜1の一次側となり、水素回収層4がNb膜1の二次側となる。図1(b)では、多孔質支持体を一次側とし、Nb膜を二次側にする場合を例にしているが、Nb膜を一次側とし、多孔質支持体を二次側にしてもよい。これらの点は、図1(c)の態様、また図2〜4の態様についても同様である。
図1(c)はNb膜を多孔質支持体2に支持して配置する態様である。この場合には、多孔質支持体2の側に低水素濃度ガスの供給層3を設け、Nb膜1の側に水素回収層4を設ける。多孔質支持体2における多孔質とは、その一方の面側から他方の面側に至る連通した多数の孔を有することを意味する。低水素濃度ガスはその供給層3から多孔質支持体2の多数の孔を経てNb膜1に至り、ここで水素を選択的に透過する。透過した水素は水素回収層4を経て取り出される。
図1(b)〜(c)のいずれの態様においても、Nb膜1を透過しないガスは、低水素濃度ガス供給層3の他端側(低水素濃度ガスの導入端側と相対する端側)から導出される。Nb膜1は一個とは限らず、複数個を積層あるいは併置して使用することができる。
〈本発明(2)の態様〉
本発明(2)は、高温低水素濃度ガス発生装置から発生するところの、高温且つ常圧の低水素濃度ガスからNb膜により水素を分離するシステムである。そして、
(a)Nb膜と、(b)燃焼器からなる加熱手段と、(c)高温低水素濃度ガス発生装置の廃熱を利用する加熱手段と、(d)前記Nb膜の一次側に高温低水素濃度ガスを供給する手段と、(e)前記Nb膜の二次側に水素を回収する手段と、を備え、
(f)前記Nb膜の固溶水素量C(H/M)=0.26以下の条件下、前記(b)燃焼器からなる加熱手段及び/又は(c)高温低水素濃度ガス発生装置の廃熱利用する加熱手段により、Nb膜を温度=300〜500℃に加熱することにより、低水素濃度ガスから水素を選択的に分離するようにしてなることを特徴とする。
図2は本発明(2)を説明する図である。
本発明(2)は、高温低水素濃度ガス発生装置から発生するところの、高温且つ常圧の低水素濃度ガスを原料とする。低水素濃度ガスとしては、例えばバイオマスガス化炉で発生するバイオガス、SOFCの作動時に発生する燃料極オフガスなどがあるが、高温且つ常圧で、水素を低濃度で含むガスであればいずれも原料とすることができる。図2中、バイオマスガス化炉、排出ガスに低濃度の水素が含まれる化学プラント、SOFCなどを高温低水素濃度ガス発生装置と記載している。なお、SOFCからの燃料極オフガスにはSOFCで未利用の水素のほか、微量のメタン及び一酸化炭素が含まれている。
高温低水素濃度ガス発生装置において、高温、常圧で発生する低水素濃度ガスをNb膜搭載型水素分離装置に供給する。Nb膜は300〜500℃の温度範囲で有効であるので、当該水素分離装置を加熱することが必要である。その加熱用にバーナー等の燃焼器を利用する。高温低水素濃度ガス発生装置からの高温の廃熱を利用することもできる。なお、高温低水素濃度ガス発生装置からの高温の廃熱量が十分であるときは、バーナー等の燃焼器を省略することができる。
燃焼器では燃料を空気により燃焼し、生成燃焼ガスにより水素分離装置を加熱する。燃料としては都市ガスやLPG、灯油等のほかに、水素分離装置から排出するオフガスを利用することもできる。例えばバイオマス発酵装置で発生するバイオガスにはメタン等の可燃ガスが含まれている場合があり、SOFCからの燃料極オフガスには未利用の一酸化炭素が含まれている。水素分離装置に組み込んだNb膜は水素を選択的に透過するので、水素以外のガスはオフガスとして排出される。これを燃焼器での燃料として補足的に利用するものである。
Nb膜は、それ自体を配置してもよく、多孔質支持体に支持して配置してもよい。図2(b)にそれ自体を配置する態様を示し、図2(c)に多孔質支持体に支持して配置する態様を示している。図2(b)〜(c)にはNb膜をシート状あるいは平板状で使用する場合を示しているが、円筒状に構成してもよい。Nb膜はそれ自体で強度を保つが、膜面積を広くする場合には、図2(c)のように多孔質支持体に支持して配置する態様であるのが好ましい。
図2(b)のとおり、Nb膜の両面のうち、一方の面側に低水素濃度ガスの供給層3を設け、他方の面側に水素回収層4を設ける。低水素濃度ガス供給層3がNb膜の一次側となり、水素回収層4がNb膜の二次側となる。この点図2(c)の態様でも同様である。
図2(c)はNb膜1を多孔質支持体2に支持して配置する態様である。この場合には、多孔質支持体2の側に低水素濃度ガス供給層2を設け、他方の面側に水素回収層4を設ける。多孔質支持体2における多孔質とは、その表面側から裏面側に至る連通した多数の孔を有することを意味する。低水素濃度ガスはその供給層3から多孔質支持体の多数の孔を経てNb膜1に至り、ここで水素のみを選択的に透過する。透過した水素は水素回収層4を経て取り出される。なお、多孔質支持体の配置は、Nb膜のガス供給側でも、水素回収側でもよい。
図2(b)〜(c)のいずれの態様においても、Nb膜1を透過しないガスは、低水素濃度ガス供給層3の他端側(低水素濃度ガスの導入端側と相対する端側)から導出される。Nb膜1は一個とは限らず、複数個を積層、あるいは併置して使用することができる。
〈本発明(3)の態様〉
本発明(3)は、高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置から発生するところの、高温且つ常圧のメタン含有低水素濃度ガスからNb膜により水素を製造分離するシステムである。そして、
(a)燃焼器からなる加熱手段と、(b)高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱を利用する加熱手段と、(c)メタン含有低水素濃度ガスに添加する水蒸気をボイラーにより発生する手段と、(d)前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを改質触媒兼支持体に通してその中のメタンを水蒸気改質して水素を含む改質ガスを生成する手段と、(e)前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを改質する改質触媒兼支持体の一面にNb膜を配置してなるメタンを水蒸気改質し且つ水素を分離する手段と、(f)前記改質触媒兼支持体のNb膜と相対する側である一次側に前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを供給する手段と、(g)前記Nb膜の二次側に水素を回収する手段と、を備え、
(h)前記Nb膜の固溶水素量C(H/M)=0.26以下の条件下、前記(a)燃焼器からなる加熱手段及び/又は(b)高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱を利用する加熱手段により、前記改質触媒兼支持体及びNb膜を温度=300〜500℃に加熱することにより、メタン含有低水素濃度ガスから水素を製造し、水素を選択的に分離するようにしてなることを特徴とする。
図3は本発明(3)を説明する図である。
本発明(3)は、高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置から発生するところの、高温且つ常圧のメタン含有低水素濃度ガスを原料とする。そのメタン含有低水素濃度ガスとして、例えばバイオマスガス化炉で発生するバイオガス、化学プラントから発生するガスなどがあるが、高温且つ常圧で、メタンを含み、水素を低濃度で含むガスであればいずれも原料とすることができる。図3中、バイオマスガス化炉、化学プラント、SOFCなどを高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置と記載している。SOFCからの燃料極オフガスにはSOFCで未利用の水素のほか、微量のメタン及び一酸化炭素が含まれている。
本発明(3)においては、原料である高温メタン含有低水素濃度ガスのうちメタンを水蒸気により改質して水素を生成する(CH4+H2O→3H2+CO)。改質には改質触媒が用いられ、水素のほか一酸化炭素を副生する。
メタン含有低水素濃度ガス中のメタンを水蒸気改質するには水蒸気(スチーム)が必要である。このため、高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置で発生するメタン含有低水素濃度ガスには水蒸気を添加する必要があり、水蒸気はボイラにより発生させる。図3(a)に示すとおり、ボイラからの水蒸気は、高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置から「改質器+Nb膜搭載型水素分離装置」に連結された導管に供給することで添加する。
「改質器+Nb膜搭載型水素分離装置」としては、例えば「改質触媒兼支持体」を使用することができる。改質触媒兼支持体は多孔質である。多孔質とは、改質触媒兼支持体の表面側からNb膜が位置する裏面側に至る連通した多数の孔を有することを意味する。
図3(b)のとおり、Nb膜1を改質触媒兼支持体21に支持して配置する。図3(b)にはNb膜1をシート状あるいは平板状で使用する場合を示しているが、円筒状に構成してもよい。この場合には、改質触媒兼支持体はそれに対応した円筒状に構成する。
改質触媒兼支持体としては、それ自体改質触媒としての機能を有し且つNb膜1を支持する機能を有する多孔質材料が用いられ、その例としてはニッケルとイットリア安定化ジルコニアの混合物の焼結体(=Ni−YSZサーメット)その他、それらの機能を有する多孔質セラミックス、多孔質サーメットなどが挙げられる。そのうちNi粒子が改質触媒としての役割をする。
改質触媒としてはNi系やRu系などが使用できるが、それら改質触媒はおおよそ300℃以上で有効である。このため本発明(3)においては改質触媒兼支持体及びNb膜を温度=300〜500℃に加熱する。この点本発明(4)においても同様である。
Ni−YSZサーメットの場合、例えばNi粒子、NiO粒子及びYSZ(=イットリア安定化ジルコニア)粒子を混合し、混合物を押し出し成形、加圧成形等により成形し、焼成することにより作製される。Nb膜は、改質触媒兼支持体に対して支持するが、改質触媒兼支持体の一面に配置してもよく、Nb、Nb−Ru合金又はNb−W合金としてめっき法や蒸着法その他適宜の方法により支持してもよい。
改質触媒兼支持体21に支持したNb膜2のうち、改質触媒兼支持体側に“メタン含有低水素濃度ガス+水蒸気の供給層3”を設け、Nb膜1側に水素回収層4を設ける。メタン含有低水素濃度ガス+水蒸気の供給層2側がNb膜1の一次側となり、水素回収層4側がNb膜の二次側となる。
高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置において、高温、常圧で発生するメタン含有低水素濃度ガスを改質触媒兼支持体21に供給する。メタン含有低水素濃度ガスは、その供給層3から改質触媒兼支持体21の多数の孔を流れながら水素に改質されてNb膜1に至り、ここで水素のみを選択的に透過する。Nb膜1を透過した水素は水素回収層4を経て取り出される。
また、Nb膜は300〜500℃の温度範囲で有効であるので、当該「改質器+Nb膜搭載型水素分離装置」を加熱することが必要である。その加熱手段としてバーナー等の燃焼器を利用するが、高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置からの高温の廃熱を利用することもできる。なお、高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置からの高温の廃熱量が十分であるときは、バーナー等の燃焼器を省略することができる。
燃焼器では燃料を空気により燃焼し、生成燃焼ガスにより水素分離装置を加熱する。水素分離装置に組み込んだNb膜は水素のみを選択的に透過するので、水素以外のガスはオフガスとして排出される。改質反応で副生する一酸化炭素その他、オフガスに可燃ガスが含まれている場合には、これを燃焼器での燃料として補足的に利用する。
〈本発明(4)の態様〉
本発明(4)は、高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置から発生するところの、高温且つ常圧のメタン含有低水素濃度ガスからNb膜により水素を製造分離するシステムである。そして、
(a)燃焼器からなる加熱手段と、(b)高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱を利用する加熱手段と、(c)メタン含有低水素濃度ガスに添加する水蒸気をメタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱により発生させる手段と、(d)前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを改質触媒兼支持体に通してその中のメタンを水蒸気改質して水素を含む改質ガスを生成する手段と、(e)前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを改質する改質触媒兼支持体の一面にNb膜を配置してなるメタンを水蒸気改質し且つ水素を分離する手段と、(f)前記改質触媒兼支持体のNb膜と相対する側である一次側に前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを供給する手段と、(g)前記Nb膜の二次側に水素を回収する手段と、を備え、
(h)前記Nb膜の固溶水素量C(H/M)=0.26以下の条件下、前記(a)燃焼器からなる加熱手段及び/又は(b)高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱を利用する加熱手段により、前記改質触媒兼支持体及びNb膜を温度=300〜500℃に加熱することにより、メタン含有低水素濃度ガスから水素を製造し、水素を選択的に分離するようにしてなることを特徴とする。
図4は本発明(4)を説明する図である。
本発明(4)においては、本発明(3)と同じく、原料である高温メタン含有低水素濃度ガス(=高温でメタンを含有し、当該メタンを改質した後の水素が低濃度であるガス)のうちメタンを水蒸気により改質して水素を生成する。メタン含有低水素濃度ガス中のメタンを水蒸気改質するには水蒸気が必要である。このため、高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置で発生するメタン含有低水素濃度ガスには水蒸気を添加する必要がある。
本発明(4)においては、図4(a)に示すとおり、その水蒸気発生手段として(c)メタン含有低水素濃度ガスに添加する水蒸気をメタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱により発生する手段、すなわちその廃熱を熱源とする水蒸気発生器を備える。ここで発生させた水蒸気(スチーム)は、高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置から「改質器+Nb膜搭載型水素分離装置」に連結されたメタン含有低水素濃度ガス導管に供給することで添加する。
前述本発明(3)では(c)メタン含有低水素濃度ガスに添加する水蒸気をボイラーにより発生する手段を備える。そのように本発明(3)では水蒸気をボイラーにより発生させるのに対して、本発明(4)においては、(c)メタン含有低水素濃度ガスに添加する水蒸気をメタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱により発生する手段、つまり当該廃熱を加熱源とする水蒸気発生器を備えることにより、水蒸気をメタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱により発生する。この点以外は前述本発明(3)の態様と同様である。
〈Nb膜の複数個を使用する態様例〉
本発明(1)〜(4)において、Nb膜は一個とは限らず、その複数個を積層、あるいは併置して使用することができる。図5〜8はその態様例を説明する図であり、図6は図5中の水素分離装置11の内部、すなわち積層した角形平板状の部分を拡大して示した図である。多孔質支持体又は改質触媒兼支持体に支持したNb膜を角形平板状に構成し、その複数個を積層して構成した水素分離装置と、加熱装置である燃焼炉(=燃焼器)の配置、配管系などの概略を示している。
図5のとおり、Nb膜搭載型水素分離装置11を囲んで燃焼炉15を配置する。水素分離装置11には低水素濃度ガス導入管12、水素導出管13、オフガス導出管14を配置する。燃焼炉15にはバーナー16を配置し、例えば都市ガスを燃料として空気で燃焼させる。その反対側に燃焼排ガス管17を配置する。
バーナー16での燃焼ガスにより水素分離装置11内のNb膜を加熱し、Nb膜を適温に維持する。図7は図6中A−A線断面図で、A−A線に示した矢印(→)は当該A−A線断面を見た方向を示し、図8は図6中B−B線断面図で、B−B線に示した矢印(→)は当該B−B線断面を見た方向を示している。
図7中点線で示した部分は、当該A−A線断面では見えないが、その矢印(→)方向の奥(すなわち図6中、左部)に位置する構造(低水素濃度ガス導入管12、水素導出管13)を示している。図7〜8のとおり、セパレータ1〜4を介して、Nb膜1と多孔質支持体2の4対のペアのうち最上部のペアは膜側を上にし、次のペアは膜側を下にし、その次のペアは膜側を上にし、最下部のペアは膜側を下にして配置されている。また、図7〜8中に示した矢印は、作動時における各ガスの流動方向を示している。
本装置の作動に際しては、バーナー16により都市ガス等の燃料を空気で燃焼させ、水素分離装置11を加熱し、Nb膜を適温300〜500℃に昇温する。所定温度に到達後、原料ガスであるメタン含有低水素濃度ガスを相対する反応板の平板状改質触媒兼支持体側に供給してメタンを改質し、Nb膜により低水素濃度ガス中の水素を選択的に透過して分離し、Nb膜側の空隙を経て、水素導出管から高純度の水素として取り出される。低水素濃度ガス中の水素以外の成分、すなわち窒素、CO2等は相対する多孔質支持体2側を通り、オフガス導出管14からオフガスとして排出される。
〈本発明(5)〜(8)の態様〉
本発明(5)〜(8)は、低水素濃度ガス発生装置から発生するところの高温且つ常圧の低水素濃度ガスから、周期律表5A族金属合金膜により水素を分離するシステムである。周期律表5A族金属の合金膜の例としては、NbにWを添加して合金化したNb−W系合金膜、NbにW、Moを添加して合金化したNb−W−Mo系合金膜、VにWを添加して合金化したV−W系合金膜、TaにWを添加して合金化したTa−W系合金膜、NbにTaを添加して合金化したNb−Ta系合金膜、NbにTa、Wを添加して合金化したNb−Ta−W系合金膜等が挙げられるが、これらに限定されない。
〈本発明(5)の態様〉
本発明(5)は、室温低水素濃度ガス発生装置から発生するところの、室温且つ常圧の低水素濃度ガスから周期律表5A族金属合金膜により水素を分離するシステムである。そして、
(a)周期律表5A族金属合金膜と、(b)燃焼器からなる加熱手段と、(c)前記5A族金属合金膜の一次側に室温低水素濃度ガスを供給する手段と、(d)前記5A族金属合金膜の二次側に水素を回収する手段と、を備え、
(e)前記5A族金属合金膜の固溶水素量C(H/M)=0.26以下の条件下、前記(b)燃焼器からなる加熱手段により、5A族金属合金膜を温度=300〜500℃に加熱することにより、低水素濃度ガスから水素を選択的に分離するようにしてなることを特徴とする。
図9は本発明(5)を説明する図である。
本発明(5)は、室温低水素濃度ガス発生装置から発生するところの、室温且つ常圧の低水素濃度ガスを原料とする。その室温且つ常圧の低水素濃度ガスとして、例えばバイオマス発酵装置で発生するバイオガス、PEFCから発生するアノードオフガス(燃料極からのオフガス)などがあるが、室温且つ常圧で、水素を低濃度で含むガスであればいずれも原料とすることができる。図9中、バイオマス発酵装置、PEFCなどを室温低水素濃度ガス発生装置と記載している。
「水素分離器」としては、5A族金属合金膜または多孔質支持体2に5A族金属合金膜を配置したものを使用することができる。多孔質支持体2が板状である場合は、その表裏両面のうち一面に5A族金属合金膜を配置して構成される。多孔質支持体2における多孔質とは、支持体の表面側から裏面側(裏面側=周期律表5A族金属合金膜が位置する側)に至る、連通した多数の孔を有することを意味する。
図9(b)に5A族金属合金膜それ自体を配置する態様を示し、図9(c)に5A族金属合金膜を多孔質支持体に支持して配置する態様を示している。多孔質支持体に支持して配置する態様では、図9(c)のとおり、5A族金属合金膜1を多孔質支持体2に支持して配置する。図9(c)には5A族金属合金膜1をシート状あるいは平板状で使用する場合を示しているが、円筒状に構成してもよい。円筒状に構成する場合には、多孔質支持体2はそれに対応した円筒状に構成する。
多孔質支持体2としては、5A族金属合金膜1を支持する機能を有する多孔質材料が用いられる。その例としては、イットリア安定化ジルコニアの混合物の焼結体その他、多孔質セラミックスなどが挙げられる。本発明(5)において、5A族金属合金膜1は、多孔質支持体2に対して支持するが、多孔質支持体2の一面に配置してもよく、5A族金属の合金をめっき法や蒸着法その他適宜の方法により支持してもよい。
本発明(5)においては、5A族金属合金膜1を配置した多孔質支持体2を温度300〜500℃に加熱する。
5A族金属合金膜1を支持した多孔質支持体2のうち、多孔質支持体2側に“低水素濃度ガスの供給層3”を設け、5A族金属合金膜1側に水素回収層4を設ける。低水素濃度ガスの供給層3側が5A族金属合金膜1の一次側となり、水素回収層4側が5A族金属合金膜1の二次側となる。
室温低水素濃度ガス発生装置において、室温、常圧で発生する低水素濃度ガスを5A族金属合金膜1を支持した多孔質支持体2に供給する。低水素濃度ガスは、その供給層3から5A族金属合金膜1を支持した多孔質支持体2中の多数の孔を流れながら、5A族金属合金膜1に至り、ここで水素のみを選択的に透過する。透過した水素は水素回収層4を経て取り出される。
また、5A族金属合金膜は300〜500℃の温度範囲で有効であるので、“5A族金属合金膜搭載型水素分離装置”を加熱することが必要である。この装置は多孔質支持体に5A族金属合金膜を支持して構成される。“5A族金属合金膜搭載型水素分離装置”とは図9(a)中“水素分離器(5A族金属合金水素分離膜使用)”として示している部分である。その加熱手段としてバーナー等の燃焼器を利用する。
燃焼器では都市ガス等の燃料を空気により燃焼し、生成燃焼ガスにより水素分離型改質器を加熱する。水素分離型改質器に組み込んだ5A族金属合金膜は水素のみを選択的に透過するので、水素以外のガスはオフガスとして排出される。オフガスに、改質反応で副生する一酸化炭素その他、可燃ガスが含まれている場合には、これを燃焼器での燃料として補足的に利用することができる。
〈本発明(6)の態様〉
本発明(6)は、高温低水素濃度ガス発生装置から発生するところの、高温且つ常圧の低水素濃度ガスから周期律表5A族金属合金膜により水素を分離するシステムである。そして、
(a)周期律表5A族金属合金膜と、
(b)燃焼器からなる加熱手段と、
(c)高温低水素濃度ガス発生装置の廃熱を利用する加熱手段と、
(d)前記5A族金属合金膜の一次側に高温低水素濃度ガスを供給する手段と、
(e)前記5A族金属合金膜の二次側に水素を回収する手段と、を備え、
(f)前記5A族金属合金膜の固溶水素量C(H/M)が脆性−延性の境界値以下の条件下、前記(b)燃焼器からなる加熱手段及び/又は(c)高温低水素濃度ガス発生装置の廃熱利用する加熱手段により、5A族金属合金膜を温度=300〜500℃に加熱することにより、低水素濃度ガスから水素を選択的に分離するようにしてなることを特徴とする。
図10は本発明(6)を説明する図である。
本発明(6)は、高温の低水素濃度ガス発生装置から発生するところの、高温且つ常圧の低水素濃度ガスを原料とする。その高温且つ常圧の低水素濃度ガスとして、例えばバイオマスガス化炉で発生するバイオマスガス化ガス、SOFCから発生するアノードオフガス(燃料極からのオフガス)などがあるが、高温且つ常圧で、水素を低濃度で含むガスであればいずれも原料とすることができる。図10中、バイオマスガス化炉、化学プラント(排出ガスに低濃度の水素が含まれる化学プラント)、SOFCなどを高温低水素濃度ガス発生装置と記載している。
高温低水素濃度ガス発生装置において、高温、常圧で発生する低水素濃度ガスを5A族金属合金膜搭載型水素分離装置に供給する。5A族金属合金膜は300〜500℃の温度範囲で有効であるので、当該5A族金属合金膜搭載型水素分離装置を加熱することが必要である。その加熱用にバーナー等の燃焼器を利用する。高温低水素濃度ガス発生装置からの高温の廃熱を利用することもできる。なお、高温低水素濃度ガス発生装置からの高温の廃熱量が十分であるときは、バーナー等の燃焼器を省略することができる。
燃焼器では燃料を空気により燃焼し、生成燃焼ガスにより水素分離装置を加熱する。燃料としては都市ガスやLPG、灯油等のほかに、水素分離装置から排出するオフガスを利用することもできる。例えばバイオマス発酵装置で発生するバイオガスにはメタン等の可燃ガスが含まれている場合があり、SOFCからの燃料極オフガスには未利用の一酸化炭素が含まれている。水素分離装置に組み込んだ5A族金属合金膜は水素を選択的に透過するので、水素以外のガスはオフガスとして排出される。これを燃焼器での燃料として補足的に利用するものである。
5A族金属合金膜は、それ自体を配置してもよく、多孔質支持体に支持して配置してもよい。図10(b)に5A族金属合金膜それ自体を配置する態様を示し、図10(c)に5A族金属合金膜を多孔質支持体に支持して配置する態様を示している。図10(b)〜(c)にはそれらをシート状あるいは平板状で使用する場合を示しているが、円筒状に構成してもよい。円筒状に構成する場合には、多孔質支持体はそれに対応した円筒状に構成する。5A族金属合金膜はそれ自体で強度を保つが、膜面積を広くする場合には、図10(c)のように多孔質支持体に支持して配置する態様であるのが好ましい。
図10(b)のとおり、5A族金属合金膜の両面のうち、一方の面側に低水素濃度ガスの供給層3を設け、他方の面側に水素回収層4を設ける。低水素濃度ガス供給層3が5A族金属合金膜の一次側となり、水素回収層4が5A族金属合金膜の二次側となる。
図10(b)は5A族金属合金膜1を多孔質支持体2に支持して配置する態様である。この場合には、多孔質支持体2の側に低水素濃度ガス供給層3を設け、他方の面側に水素回収層4を設ける。多孔質支持体2における多孔質とは、その表面側から裏面側に至る連通した多数の孔を有することを意味する。低水素濃度ガスはその供給層3から多孔質支持体の多数の孔を経て5A族金属合金膜1に至り、ここで水素のみを選択的に透過する。透過した水素は水素回収層4を経て取り出される。なお、多孔質支持体2の配置は、5A族金属合金膜のガス供給側でも、水素回収側でもよい。
図10(b)の態様において、5A族金属合金膜1を透過しないガスは、低水素濃度ガス供給層3の他端側(低水素濃度ガスの導入端側と相対する導出端側)から導出される。5A族金属合金膜1は一個とは限らず、複数個を積層、あるいは併置して使用することができる。
〈本発明(7)の態様〉
本発明(7)は、高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置から発生するところの、高温且つ常圧のメタン含有低水素濃度ガスから5A族金属合金膜により水素を製造分離するシステムである。そして、
(a)燃焼器からなる加熱手段と、(b)高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱を利用する加熱手段と、(c)メタン含有低水素濃度ガスに添加する水蒸気をボイラーにより発生する手段と、(d)前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを改質触媒兼支持体に通してその中のメタンを水蒸気改質して水素を含む改質ガスを生成する手段と、(e)前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを改質する改質触媒兼支持体の一面に5A族金属合金膜を配置してなるメタンを水蒸気改質し且つ水素を分離する手段と、(f)前記改質触媒兼支持体の5A族金属合金膜と相対する側である一次側に前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを供給する手段と、(g)前記5A族金属合金膜の二次側に水素を回収する手段と、を備え、
(h)前記5A族金属合金膜の固溶水素量C(H/M)=0.26以下の条件下、前記(a)燃焼器からなる加熱手段及び/又は(b)高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱を利用する加熱手段により、前記改質触媒兼支持体及び5A族金属合金膜を温度=300〜500℃に加熱することにより、メタン含有低水素濃度ガスから水素を製造し、水素を選択的に分離するようにしてなることを特徴とする。
図11は本発明(7)を説明する図である。
本発明(7)は、高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置から発生するところの、高温且つ常圧のメタン含有低水素濃度ガスを原料とする。そのメタン含有低水素濃度ガスとして、例えばバイオマスガス化炉で発生するバイオガス、化学プラントから発生するガスなどがあるが、高温且つ常圧で、メタンを含み、水素を低濃度で含むガスであればいずれも原料とすることができる。図11中、バイオマスガス化炉、化学プラント、SOFCなどを高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置と記載している。
本発明(7)においては、原料である高温メタン含有低水素濃度ガスのうちメタンを水蒸気により改質して水素を生成する(CH4+H2O→3H2+CO)。改質には改質触媒が用いられ、水素のほか一酸化炭素を副生する。
メタン含有低水素濃度ガス中のメタンを水蒸気改質するには水蒸気が必要である。このため、高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置で発生するメタン含有低水素濃度ガスには水蒸気を添加する必要があり、水蒸気はボイラにより発生させる。水蒸気は、図11(a)に示すとおり、高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置から「水素分離型改質器(5A族金属合金水素分離膜使用)」に連結された導管に供給することで添加する。
「水素分離型改質器(5A族金属合金系水素分離膜使用)」における改質器の構成としては、例えば「改質触媒兼支持体」を使用することができる。改質触媒兼支持体は多孔質である。多孔質とは、改質触媒兼支持体の表面側(一方の面側)から裏面側(他方の面側)に至る連通した多数の孔を有することを意味する。
図11(b)のとおり、5A族金属合金膜1を改質触媒兼支持体21に支持して配置する。図11(b)には5A族金属合金膜1をシート状あるいは平板状で使用する場合を示しているが、円筒状に構成してもよい。この場合には、改質触媒兼支持体はそれに対応した円筒状に構成する。
改質触媒兼支持体としては、それ自体改質触媒としての機能を有し且つ5A族金属合金膜1を支持する機能を有する多孔質材料が用いられ、その例としてはニッケルとイットリア安定化ジルコニアの混合物の焼結体(=Ni−YSZサーメット)その他、それらの機能を有する多孔質セラミックス、多孔質サーメットなどが挙げられる。そのうちNi粒子が改質触媒としての役割をする。
改質触媒としてはNi系やRu系などが使用できるが、それら改質触媒はおおよそ300℃以上で有効である。このため本発明(7)においては改質触媒兼支持体及び5A族金属合金膜を温度=300〜500℃に加熱する。この点、後述本発明(8)においても同様である。
Ni−YSZサーメットの場合、例えばNi粒子、NiO粒子及びYSZ(=イットリア安定化ジルコニア)粒子を混合し、混合物を押し出し成形、加圧成形等により成形し、焼成することにより作製される。5A族金属合金膜は、改質触媒兼支持体に対して支持するが、改質触媒兼支持体の表裏両面のうち一方の面に配置する。その配置は、5A族金属合金又はその合金としてめっき法や蒸着法その他適宜の方法により支持してもよい。
5A族金属合金膜1を支持した改質触媒兼支持体21のうち、改質触媒兼支持体21側に“メタン含有低水素濃度ガス+水蒸気(スチーム)の供給層3”を設け、5A族金属合金膜1側に水素回収層4を設ける。メタン含有低水素濃度ガス+水蒸気の供給層2側が5A族金属合金膜1の一次側となり、水素回収層4側が5A族金属合金膜の二次側となる。
高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置において、高温、常圧で発生するメタン含有低水素濃度ガスを改質触媒兼支持体21に供給する。メタン含有低水素濃度ガスは、その供給層3から改質触媒兼支持体21の多数の孔を流れながら水素に改質されて(CH4+H2O→3H2+CO)、5A族金属合金膜1に至り、ここで水素のみを選択的に透過する。透過した水素は水素回収層4を経て取り出される。
また、5A族金属合金膜は300〜500℃の温度範囲で有効であるので、当該「改質器+5A族金属合金膜搭載型水素分離装置」を加熱することが必要である。その加熱手段としてバーナー等の燃焼器を利用するが、高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置からの高温の廃熱を利用することもできる。なお、高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置からの高温の廃熱量が十分であるときは、バーナー等の燃焼器を省略することができる。
燃焼器では燃料を空気により燃焼し、生成燃焼ガスにより水素分離装置を加熱する。水素分離装置に組み込んだ5A族金属合金膜は水素のみを選択的に透過するので、水素以外のガスはオフガスとして排出される。改質反応で副生する一酸化炭素その他、オフガスに可燃ガスが含まれている場合には、これを燃焼器での燃料として補足的に利用する。
〈本発明(8)の態様〉
本発明(8)は、 高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置から発生するところの、高温且つ常圧のメタン含有低水素濃度ガスから5A族金属合金膜により水素を製造分離するシステムである。そして、
(a)燃焼器からなる加熱手段と、(b)高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱を利用する加熱手段と、(c)メタン含有低水素濃度ガスに添加する水蒸気を高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱により発生させる手段と、(d)前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを改質触媒兼支持体に通してその中のメタンを水蒸気改質して水素を含む改質ガスを生成する手段と、(e)前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを改質する改質触媒兼支持体の一面に5A族金属合金膜を配置してなるメタンを水蒸気改質し且つ水素を分離する手段と、(f)前記改質触媒兼支持体の5A族金属合金膜と相対する側である一次側に前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを供給する手段と、(g)前記5A族金属合金膜の二次側に水素を回収する手段と、を備え、
(h)前記5A族金属合金膜の固溶水素量C(H/M)=0.26以下の条件下、前記(a)燃焼器からなる加熱手段及び/又は(b)メタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱を利用する加熱手段により、前記改質触媒兼支持体及び5A族金属合金膜を温度=300〜500℃に加熱することにより、メタン含有低水素濃度ガスから水素を製造し、水素を選択的に分離するようにしてなることを特徴とする。
図12は本発明(8)を説明する図である。
本発明(8)においては、前述本発明(7)と同じく、原料である高温のメタン含有低水素濃度ガスのうちメタンを水蒸気により改質して水素を生成する。メタンを水蒸気改質するには水蒸気が必要であるので、高温のメタン含有低水素濃度ガス発生装置で発生するメタン含有低水素濃度ガスには水蒸気を添加する必要がある。
本発明(8)においては、図12(a)に示すとおり、その水蒸気発生手段として(c)メタン含有低水素濃度ガスに添加する水蒸気を高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱により発生させる手段、すなわちその廃熱を熱源とする水蒸気発生器を備える。ここで発生させた水蒸気は、高温のメタン含有低水素濃度ガス発生装置と「水素分離型改質器」との間に連結されたメタン含有低水素濃度ガス導管に供給することで添加する。水素分離型改質器では5A族金属合金膜系の水素分離膜を使用する。
前述本発明(7)においては、(c)メタン含有低水素濃度ガスに添加する水蒸気をボイラーにより発生する手段を備え、そのように水蒸気をボイラーにより発生させる。これに対して、本発明(8)においては、(c)メタン含有低水素濃度ガスに添加する水蒸気をメタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱により発生させるものである。この点以外は前述本発明(7)の態様と同様である。
以下、Nb膜、5A族金属合金膜が特定条件下で有効である点について、それを見い出すに至るまでの過程、成果と本発明との関連事項について説明する。
〈Nb膜の水素選択透過特性、使用条件について〉
本発明者らは、Nb膜は、H/M=0.26以下〔ここで、Mは金属原子数を表し、例えば、MをNbとすれば、H/Nbは当該Nbに対する固溶Hの原子数の比(=原子比)〕の領域では延性を示し、そのようなH/M=0.26以下という低固溶水素量であれば、水素分離膜として使用可能であることを見い出した。本発明においては、Nb膜を、H/M=0.26以下の条件下、300〜500℃の温度範囲で使用するものである。
例えば、Pd系合金膜を用いた水素分離では、シーベルトの法則(Sievert's law:C=KP1/2。以下“シーベルツ則”と略称する。)に従うため、高い水素透過量J(J=D・ΔC/d、Dは拡散係数、ΔCは固溶水素量差、dは膜厚)を稼ぐためには、膜の両面に対してある程度の水素分圧差(ΔP)が必要であるが、Nbはシーベルツ則に従わない領域があることがわかった。このため、低水素濃度においても膜の両面に対して水素圧力差や水素分圧差が発生すれば、高い固溶水素量差(ΔC)が得られ、高い水素透過量(J)を得ることができる。
その事実を基にNb、Nb合金についてさらに検討、追求し、Nb膜、Nb合金膜をH/M=0.26以下の条件下、300〜500℃の温度範囲で使用することにより、水素分離膜に使用不可能とされていたNb、Nb合金を水素分離膜として使用可能とした水素含有ガスから水素を選択的に分離する水素精製法を先に開発している(特許文献1、2)。
その開発の過程、特性について順次説明する。
水素分離膜の膜材料について、水素透過能を高めるためには、膜材料に対する水素の溶解度係数や水素の拡散係数を高くする必要があるが、溶解度係数を大きくすると、膜材料の種類如何によっては水素脆化が顕著になることが知られている。従って、水素透過能と耐水素脆性との両特性を満たす水素分離膜材料を得るためには、膜材料に対する固溶水素量の確保に加えて、水素分離膜の両側つまり一次側と二次側との間の水素圧力差による膜自体の破壊やクラックの生成を避けるための条件を確かめ、把握することが必要となる。
Nb膜がどのような耐水素脆性をもつのかを確かめるには、その前提として、水素分離膜としての使用温度範囲における、(a)水素雰囲気中、すなわち一次側と二次側が同じ水素圧である水素雰囲気中において、また(b)水素透過中、すなわち一次側の水素圧が二次側の水素圧より大きい水素雰囲気中において、Nb膜の水素脆性、その他の特性をその場で定量的に測定、評価できる試験装置が必要である。
そこで、本発明者らは、Nb膜の水素脆性等の機械的性質をその場で測定できる特殊な試験装置〔スモールパンチ試験装置(以下適宜“SP試験装置”と略記する。)と称している〕を新たに開発し、当該SP試験装置を用いてNb膜の水素脆性その他の特性を定量的に測定し、評価した。
SP試験装置を使用すると、Nbからなる水素分離膜材料について、そのPCT曲線に基づいた固溶水素量と変形、破壊形態との関係を求め、耐水素脆性についての限界固溶水素量を評価することができる。ここで、PCT曲線とは、水素分離膜材料としての例えばNb膜について、(a)水素圧力Pと(b)固溶水素量Cと(c)使用温度Tとの関係を示したデータを意味する。
〈SP試験装置の構造および試験事項と、その操作法の概略〉
以下、SP試験装置の構造および試験事項と、その操作法の概略を説明する。図13はSP試験装置、操作法を説明する図で、図13(a)は縦断面図、図13(b)は図13(a)中コア部分を拡大して示した図である。本SP試験装置は全体としては円筒状である。
図13において、31は支持部材である。支持部材31は支持台とも言えるが、本明細書では支持部材と称している。支持部材31は縦断面が2段の凸状(2個のフランジを有する)を備えて構成され、その中央部に円筒状の空隙を有している。32は支持部材31に設けた導入水素貯留部、33は導入水素貯留部32から後述一次側水素雰囲気Yに連通する導管、35は支持部材31に設けた導出水素貯留部、34は後述二次側水素雰囲気Zから導出水素貯留部35に連通する導管である。
導入水素貯留部32は、弁V1を備える当該導入水素貯留部32への水素供給用の導管に連通し、導出水素貯留部35は、弁V2を備える当該導出水素貯留部35からの水素排出用の導管に連通している。
支持部材31における2段の凸状(2個のフランジを有する)のうち、1段目(図中下の方)の凸状の外周には蛇腹(bellows)39の下端部を固定するフランジ部材(以下、固定部材と略称する。)36が配置されている。固定部材36はボルト37により支持部材31のフランジに固定され、固定部材36とフランジとの間はガスケット(Cu製)38により気密シールされている。
42は支持部材31と相対する上部位置に置かれた上下動可能な上蓋部材である。上蓋部材42は縦断面が2段の逆凸状(2個のフランジを有する)に構成されている。上蓋部材42における2段の逆凸状のうち、1段目(図中、上の方)の逆凸状の外周には蛇腹39の上端部を固定するフランジ部材40が配置されている。固定部材40はボルト(図示は省略している。)により上蓋部材42のフランジに固定され、固定部材40と上蓋部材42のフランジとの間はガスケット(Cu製)41により気密シールされている。
43は上蓋部材42を上下に移動させるスライディングシャフト(滑動軸)であり、その下端が支持部材31に固定されている。46はロードセルに接続された、上部から圧力を加える圧縮ロッドである。後述膜試料50をセットした後、上蓋部材42をスライディングシャフト43を介して下方に移動することにより、後述パンチャー54を下方へ移動させ、所定位置に固定することで、後述膜試料50に所定の荷重(押圧力)を加えることができる。なお、44は閉空間Y内の圧力上昇時に上蓋部材42の脱落を防ぐためのロックナットであり、スライディングシャフト43に沿ってスライドブッシュ45を介して上蓋部材42が下方に移動できる。
支持部材31、固定部材36、ガスケット38、蛇腹39、固定部材40、上蓋部材42、ガスケット41、導入水素貯留部32、後述膜試料50の上面および後述固定部材51で囲まれた閉空間Yが、後述膜試料50に対する一次側の水素雰囲気Yとなり、後述膜試料50の下面、導管34および導出水素貯留部35で囲まれた空間が二次側水素雰囲気Zとなる。
〈膜試料に対する水素圧力の負荷〉
導入水素貯留部32、導管33を経て供給する水素量を弁V1で調節することにより一次側の水素圧を調節し、導管34、導出水素貯留部35を経て導出する水素量を弁V2で調節することにより二次側の水素雰囲気の水素圧を調節する。これにより、後述膜試料50の一次側と二次側との水素雰囲気を同一の水素圧力に制御し、また異なる水素圧力に制御することができる。
〈膜試料に対する荷重の付与、計測〉
50は膜試料、49は膜試料50を支持するガスケット(SUS鋼製)である。51は膜試料50の固定部材、54はパンチャー、55は鋼球もしくはSi34製の球である。固定部材51の下部は逆凹状に形成され、下端から上端に至る複数の貫通孔52を有している。当該逆凹状の底部面は膜試料の上面との間にスペースを保ち、複数の貫通孔52は水素雰囲気Yと連通している。
固定部材51の中央部に上下貫通する円筒状の空隙を有している。53はその内壁である。固定部材41の中央部の円筒状空隙に内壁53に沿ってパンチャー54が嵌挿され、鋼球もしくはSi34製の球55は膜試料50の上面に当接、配置される。パンチャー54により鋼球もしくはSi34製の球55を押し下げ、鋼球もしくはSi34製の球55を膜試料50に押し付けることにより、所定の荷重に対応する膜試料の形状変化の有無、また形状変化有りのときの、その変化の程度を観察することができる。所定の荷重値は46の圧縮ロッドに接続されたロードセルにより計測される。
支持部材31の中央部の円筒状空隙の近傍にはセラミックヒータ47が内蔵されており、膜試料50の近くまで熱電対48が挿入されている。セラミックヒータ47と熱電対48により膜試料の温度を測定、制御する。
本SP試験装置は、Nb膜に対して真空〜0.3MPaの水素圧力を負荷することができ、室温〜600℃の範囲で温度制御が可能であり、それらの各条件下におけるNb膜、Nb合金膜(例えば、Nb−Ru膜やNb−W膜など)の延性−脆性遷移を評価することが可能である。
〈SP試験装置によるNb膜について試験〉
SP試験装置を使用して、縦横の長さ10mm、厚さ0.5mm(10mm×10mm×0.5mm=50mm3)のNb膜の試験片について、250〜550℃の範囲の各温度における固溶水素量C〔H/Nb(原子比、以下同じ。)〕に対する吸収エネルギーの変化を求めた。
本試験において、一次側水素雰囲気Yと二次側水素雰囲気Zは同一の水素圧とした。各試験毎に、Nb膜の試験片を取り替え、且つ、雰囲気の水素圧と荷重による押圧力を変え、脆性破壊の有無を観察した。ここで、雰囲気の水素圧を変えたとは言っても、一次側水素雰囲気Yと二次側水素雰囲気Zは同一の水素圧である。
各試験片に対する荷重による押圧力は、パンチャー54による鋼球もしくはSi34製の球55の位置を連続的に下方へ移動させることにより、すなわち一定速度で試験片を押圧していき、打ち抜くことにより、その際に得られる、荷重−変位曲線を解析して、延性と脆性の評価を行った。
各試験片の固溶水素量C(H/Nb)は、先に求めたPCT曲線から得られる水素圧力と固溶水素量および温度との関係に基づいて、当該SP試験において負荷した水素圧力から見積もった値である。
図14は、温度300〜500℃におけるその結果を示している。図14中、横軸はNb膜中の固溶水素量C(H/Nb)、縦軸は各膜試料つまり各Nb膜試料の固溶水素量に対応する延性あるいは脆性破壊時の吸収エネルギーである。
〈荷重と吸収エネルギーとの関係〉
ここで、吸収エネルギーとは、試験片の変形開始から破壊に至るまでに要した仕事量に対応(相当)している。パンチャー54により鋼球もしくはSi34製の球55を押し下げた圧力、つまり荷重(N)を変位量に対して積分する(=荷重−変位曲線の下の面積を計算する。)ことにより吸収エネルギーを算出する。図14においては当該吸収エネルギーを示している。
〈固溶水素量について〉
Nb膜に対する水素の固溶量は、ある所定温度におけるNb膜に対する水素の固溶量であり、Nbの原子数に対する固溶した水素の原子数で表される。例えば、固溶水素量C(H/Nb)=0.26とは、Nbの原子数100に対して固溶している水素の原子数が26であることを示している。
図14のとおり、Nb膜による吸収エネルギーは、Nb膜中の固溶水素量〔H/Nb=0.26〕を境に固溶水素量が増えるに伴い大きく減少している。試験後の各Nb膜について走査型電子顕微鏡(SEM)による破面観察を行ったところ、図14中“Ductile(延性)⇔Brittle(脆性)”として示しているとおり、Nb膜中の固溶水素量C(H/Nb)=0.26を境に、固溶水素量が増加するにしたがって、延性破壊から脆性破壊へと移行していることが観察された。
300〜500℃の範囲の各温度についても同様の傾向を示した。これらの事実は、所定の温度範囲において、Nb膜中の固溶水素量C(H/Nb)=0.26を境にその固溶水素量が増えるに伴い、Nb膜の吸収エネルギーは急激に低下し、延性から脆性へと移行(遷移)する固溶水素量、つまり“耐水素脆性に対する限界固溶水素量”が存在していることを示している。このことから、Nb膜は、その限界固溶水素量以下〔すなわち、Nb膜中の固溶水素量C(H/Nb)=0.26以下〕の条件であれば水素分離膜として利用できることがわかった。
〈従来の認識との関係〉
ここで、水素分離膜の水素透過性能は一般に、水素透過係数Φに係る式(1):Φ=J×d/(P1 1/2−P2 1/2)=D×Kを用いて評価されている。
式(1)中、Jは単位面積当たりの水素透過速度、dは膜厚、Dは膜厚の一次側から二次側への拡散係数である。Kは、シーベルツ則(C=K×P1/2)から与えられる水素の溶解度係数である。
このように、従来の認識においてはシーベルツ則が成り立つことを前提としている。
しかし、PCT測定装置を使用して、300〜500℃の範囲における、試験雰囲気の水素圧力P、Nbに対する固溶水素量Cを測定し、その結果をプロットしたところ、Nbについては“シーベルツ則が成り立たない領域がある”ことがわかった。図15はその1例として400℃におけるその結果をプロットした図である。
ここで、PCT測定装置(JIS H 7201)とは、ある温度Tにおいて、物質が水素を吸蔵、放出するときの特性(圧力P、水素吸蔵量C)を測定する装置である。図15における固溶水素量Cは水素吸蔵量Cに相当している。
〈シーベルツ則との関係〉
Nbについてシーベルツ則が成り立つとすると、図15中“C=K・P1/2”として示すとおり直線(以下“シーベルツ直線”と言う。)となる。しかし、図15中、純Nbとして示すとおり、Nbに対する固溶水素量がおおよそ0.06まではシーベルツ則の従うが、それ以上になるとシーベルツ直線から外れ、シーベルツ則に従わない領域があることを示している。
本発明においては、Nb膜中の固溶水素量に関して延性から脆性へと移行する前の領域、すなわち前述図14のとおり、Nb膜中の固溶水素量C(H/Nb)=0.26以下の領域で、且つ、シーベルツ直線から外れる固溶水素量領域、すなわち図15のとおり、シーベルツ直線から外れる固溶水素量C(H/Nb)=0.06以上領域を、Nb膜による水素含有ガスからの水素分離に利用するものである。
そのように、Nb膜中の固溶水素量に関して、延性から脆性へと移行する前の延性領域で且つ、シーベルツ直線から外れる固溶水素量領域を、Nb膜による水素含有ガスからの水素分離に利用する。これを数値的に言えば、本発明は、シーベルツ直線から外れるNb膜中の固溶水素量C(H/Nb)=0.06以上の領域から、Nb膜中の固溶水素量C(H/Nb)=0.26以下の領域、すなわちNb膜中の固溶水素量0.26以下の領域の間で水素含有ガスから水素を分離するものである。
図16は、SP試験装置により、Nbに対する固溶水素量C(H/Nb)と温度と延性−脆性遷移との関係を調べてプロットした図である。図16には、過去の文献〔S.Gahr and H.K.Birnbaum,“Acta Metall.”26(1978) p.1781〕で紹介された「延性−へき開破壊遷移曲線(Ductile-Cleavage Fracture Transition)」(図16中、A線)を併記している。
図16中、A線を境にその左側から左上側にわたる領域が従来延性領域とされていた領域であり、この領域では脆性破壊が起こらない領域であるはずである。ところが、図16中、Bとして示すとおり、その延性領域中でも、約300℃から500℃の温度範囲で、Nbに対する固溶水素量C(H/Nb)が0.26より右側に脆性破壊が起こる領域があることを示している。
この事実からして、脆性破壊を免れる領域は、図16中B線よりも左側の固溶水素量C(H/Nb)が0.26より左側の領域となる。なお、図16から明らかなように、約250℃から常温域までの温度範囲にも、α+α’相やα+β相などの脆化相の析出を避けて脆性破壊を免れ得る領域があり、この領域でも水素分離が可能である。
本発明においては、それらの事実を利用し、特に300〜500℃の温度範囲において、Nb膜を、Nbに対する固溶水素量C(H/Nb)が0.26以下の条件下に使用して水素含有ガスから水素を選択的に分離するものである。ここで、その領域について、固溶水素量C(H/Nb)の下限はおおよそ0.06を目安とすることができるが、それ以下でも分離可能である。そのおおよその目安は、前述図14〜15に示す事実と、Nb膜で水素を透過するにはある程度の固溶水素量が必要であることによるものである。
前述のとおり、Nbは、水素透過係数としては最も高い値を示すことが知られていたにもかかわらず、実用上は使い物にならず、水素分離膜としての使用は困難であると考えられていたが、これは恐らく、本発明において実験、追求した上記延性領域についての認識、図16で言えば、Bとして示す領域より右側でも破壊が起こることについての認識を欠いていたことによるものと推認される。
図17は、PCT測定装置(JIS H 7201)により、一例として温度500℃における、Nbに対する固溶水素量と水素圧との関係をプロットした図である。図17は温度500℃におけるPCT曲線に相当するが、図17から、例えば以下のような分離精製ができることがわかる。
(1)Nb膜からなる水素分離膜を使用して水素含有ガスから水素を分離するに際して、Nb膜からなる水素分離膜を、500℃において、0.03MPa以下の水素分圧下に使用して水素含有ガスから水素を選択的に分離することができる。
(2)Nb膜からなる水素分離膜を使用して水素含有ガスから水素を分離するに際して、Nb膜からなる水素分離膜を、温度500℃、Nbに対する固溶水素量C(H/Nb)0.09〜0.14(ΔH/Nb=0.05)、水素分圧差0.02〜0.01MPaの範囲で使用して水素含有ガスから水素を選択的に分離することができる。
(3)Nb膜からなる水素分離膜を使用して水素含有ガスから水素を分離するに際して、Nb膜からなる水素分離膜を、温度500℃、Nbに対する固溶水素量C(H/Nb)0.09〜0.19(ΔH/Nb=0.10)、水素分圧差0.01〜0.03MPaの範囲で使用して水素含有ガスから水素を選択的に分離することができる。
本発明においては、被処理ガスである水素含有ガスをNb膜の一次側に通し、二次側から水素を回収することになるが、被処理ガスである水素含有ガス中の水素濃度は、Nb膜が水素脆性を起さない固溶水素量0.26以下に対応する低水素濃度であることが必須である。このため例えば、Nb膜を、400℃においては0.005MPa(約0.05気圧)以下の水素分圧に対応する水素濃度のガス、500℃においては0.03MPa(約0.3気圧)以下の水素分圧に対応する水素濃度のガスを被処理ガスとして使用する。
上述(1)〜(3)は温度500℃での例であるが、その温度を当該500℃を含む300℃から500℃までの各温度におけるNbに対する固溶水素量と水素圧との関係を実測により調べてプロットしたPCT曲線を作成し、これを基にNb膜からなる水素分離膜として利用できる条件を設定することができる。また、その設定法を利用することにより、Nb膜により水素含有ガスから水素を選択的に分離することができる。
このように、Nb膜を用いることにより、低水素濃度ガスから温度300〜500℃の範囲において水素を分離することができ、例えば常圧下、400℃においては〜5vol%、500℃においては〜30vol%の低水素濃度ガスから水素を分離することができる。
例えば、流量95L/hの都市ガス13AにS/C比=3の水蒸気を添加して500℃で改質触媒を介して改質し、改質ガスを長さ450mm、幅120mm、厚さ20μmのNb膜に一次側を常圧、二次側を0.01MPaに減圧して精製する場合、一次側14.8vol%(ウェットベース)と30vol%以下であるので、Nb膜の脆性破壊を起すことなく分離することができる。
本発明においては、被処理ガスである水素含有ガスをNb膜の一次側に通すことになるが、(a)Nb膜の固溶水素量はNb膜の雰囲気ガスの水素濃度に比例し、(b)Nb膜は水素脆性を起さない固溶水素量=0.26以下に対応する低水素濃度であることが必須である。
〈V−W系合金膜の水素選択透過特性、使用条件について〉
本SP試験装置は、V−W系合金膜に対して真空〜0.3MPaの水素圧力を負荷することができ、室温〜600℃の範囲で温度制御が可能であり、V−W系合金膜についてそれらの条件下における延性−脆性遷移を評価することが可能である。
〈SP試験装置によるV膜、V−W系合金膜について試験〉
SP試験装置を使用して、(1)V膜(=純V膜)の試験片、(2)V−5W合金膜(=VとWとの合計量中、Wが5モル%のV−W合金膜)の試験片について試験した。これらは、いずれも、アーク溶解法により製造した縦横の長さ10mm、厚さ0.5mm(10mm×10mm×0.5mm=50mm3)の試験片である。
それら各試験片について、400〜500℃の範囲の各温度において、0.001〜5.00(1×10-3〜5×100)MPaの各水素圧力Pと固溶水素量C〔H/M(水素原子と金属原子の原子比、以下、同種の記載について同じ。)〕との間の関係を把握した上でSP試験を行い、“荷重−変位”を測定して評価した。
ここで、400〜500℃の範囲の各温度とは、前記各試験片、例えば(2)の試験片であるV−5W合金膜の各試験片について、それぞれ400℃、450℃、500℃の一定温度とし、各試験片の試験が終了するまで同じ温度で試験することを意味する。
また、0.001〜5.00MPaの各水素圧力とは、一次側水素雰囲気Yと二次側水素雰囲気Zは同一の水素圧力とし、V−5W合金膜の各試験片について当該水素圧力を所定水素圧力、例えば0.01MPaの一定水素圧力とし、試験が終了するまで同じ水素圧雰囲気で試験することを意味する。
〈V膜のSP試験で得られた吸収エネルギーと固溶水素量の関係〉
図18に、純V膜のSP試験で得られた、温度300〜500℃におけるSP吸収エネルギーと固溶水素量の関係を示している。図18中、横軸は、V膜中の固溶水素量C〔H/M(ここではM=V)〕、縦軸は各V膜試料の固溶水素量に対する延性あるいは脆性破壊時の吸収エネルギーである。
ここで、吸収エネルギーとは、試験片の変形開始から破壊に至るまでに要した仕事量に対応(相当)している。パンチャー54により鋼球もしくはSi34製の球55を押し下げた圧力、つまり荷重(N)を変位量に対して積分する(=荷重−変位曲線の下の面積を計算する。)ことにより吸収エネルギーを算出する。図18においては当該吸収エネルギーを示している。
V膜に対する水素の固溶量は、ある所定温度におけるV膜に対する水素の固溶量であり、Vの原子数に対する固溶した水素の原子数で表される。例えば、固溶水素量C(H/V)=0.22とは、Vの原子数100に対して固溶している水素の原子数が22であることを示している。
図18のとおり、V膜による吸収エネルギーは、V膜中の固溶水素量(H/V=0.22)を境に固溶水素量が増えるに伴い大きく減少している。すなわち、V膜中の固溶水素量C(H/V)=0.22を境にその固溶水素量が増えるに伴い、V膜の破壊形態が延性から脆性へと移行(遷移)する固溶水素量、つまり、“耐水素脆性に対する限界固溶水素量”が存在していることを示している。このことから、V膜は、その限界固溶水素量以下の条件であれば水素分離膜として利用できることが分かった。
〈V−5W合金膜についてのSP試験による水素脆性の定量評価〉
“V−5W合金膜”についてのSP試験による水素脆性の定量評価は、以下のようにして行った。
(a)“V−5W合金膜”の各試験片について、温度を400℃〜500℃の範囲で設定し、水素圧を0.001〜5.00MPaの範囲で一定水素圧に設定し、この各雰囲気に1時間保持した当該試験片に鋼球もしくはSi34製の球55による荷重により押圧力をかけながら試験片を変形させ、そのときの荷重とクロスヘッド(鋼球のヘッド)の移動量を試験片が破壊するまで記録を続け、“荷重−変位”曲線を作成する。
(b)当該試験片の固溶水素量〔H/M(H/Mは水素原子と合金を構成する金属原子の原子比)〕は、当該試験の温度400℃(≒673K)〜500℃(≒773K)におけるPCT曲線に基づいて、当該試験で加えた水素圧力から見積もった。
〈PCT測定装置による測定〉
PCT測定装置(JIS H 7201)による測定結果の例として、(1)の各試験片について400℃、(2)の各試験片について、400℃、450℃、500℃の温度における固溶水素量Cと水素圧力Pの関係を図19に示す。縦軸は水素圧力P(MPa)、横軸は固溶水素量C(H/M)である。PCT測定装置は、ある温度Tにおいて、物質が水素を吸蔵、放出するときの特性(圧力P、水素吸蔵量C)を測定する装置であり、図19における固溶水素量Cは水素吸蔵量Cに相当している。
図19から、V−5W合金膜は、500℃においては0.3MPa(約3気圧)以下の水素分圧であれば水素分離膜として使用可能であり、450℃においては0.13MPa(約1.3気圧)以下の水素分圧であれば水素分離膜として使用可能である。また、同じ400℃で比較すると、V−W合金膜は純V膜よりも高い水素圧力で使用可能であることがわかる。
図20はV−5W合金膜について、温度500℃で0.01MPa(H/M=0.03)〜0.3MPa(H/M=0.2)の水素雰囲気下で行ったSP破壊試験より得られた荷重−変位曲線である。この場合、Si34の球55の押下速度vは、毎分0.5mmである。
図20に示すように、V−5W合金膜は0.01MPa(H/M=0.03)〜0.2MPa(H/M=0.16)の水素雰囲気下で破壊に至るまでに1.1mm〜1.5mmの大きな変位を示しており、この条件下において延性的に破壊することが分かる。また、図19に示した、限界固溶水素量の条件下である0.3MPa(H/M=0.2)の水素雰囲気下では0.4mmの変位で変形中に表面欠陥が僅かに発生した様子が窺えたが、合金膜が降伏現象を示した後のさらなる塑性変形中にこれが生じており、変形能は依然として高く、延性的であることが分かった。すなわち、V−5W合金膜は優れた耐水素脆性を示すとともに、水素雰囲気下で良好な機械的性質を有していることが分かった。
〈水素透過速度試験〉
水素透過速度試験の結果を図21に示した。図21には、V−5W合金膜とNb−5W合金膜のほかに、Pd−26Ag合金膜についての結果を示している。図21から、V−W系合金膜は、圧力条件如何によっては、Nb−W合金膜やPd−Ag合金膜と比較して高い水素透過速度を得ることが分かった。横軸は試験開始からの時間(min)、縦軸は単位時間(s)に単位面積(m2)を透過する水素の量を膜厚(m-1)で規格化した水素透過速度J・d(mol・m-1・s-1)である。
なお、図21の縦軸の記載中、符号“mol H”は水素原子としてのモル数(=原子数)の意味である。また、図21中、例えば“V−5W(0.25/0.01)”において、V−5Wとは、VとWとの合計量中、Wを5モル%含んだV−W合金膜の意味であり、(0.25/0.01)とはその一次側水素分圧が0.25MPa、二次側の水素分圧が0.01MPaであることを意味する。
図21のとおり、500℃において、水素透過速度は、Pd−26Ag合金膜(0.2 6/0.06)が12(mol-1・m-1・s-1)であるのに対し、V−5W合金膜(0.15/0.01)が40(mol-1・m-1・s-1)であり、V−5W合金膜(0.20/0.01)が50(mol-1・m-1・s-1)であり、それぞれ、同じ面積、同じ厚さの分離膜であれば、それぞれ、約3.2倍、約4.1倍の水素透過量が得られる。
本発明によれば、例えば水素分圧3気圧の水素を含むガスから、低い水素濃度差にもかかわらず、従来のPd−Ag合金膜などと比較して効率よく水素を分離することが可能になり、PdやAgなどの貴金属の使用量を低減することで水素分離膜の低コスト化につなげることができる。V−W系合金膜は、特許文献2で既に提案しているNb−W系合金膜を上回る水素透過速度を有しているため、非Pd系水素分離膜として、より効率的な水素分離を用いた水素製造が可能となる。
1 Nb膜、5A族金属合金膜
2 多孔質支持体
3 低水素濃度ガス供給層
4 水素回収層
21 改質触媒兼支持体
11 水素分離装置
12 低水素濃度ガス導入管
13 水素導出管
14 オフガス導出管
15 燃焼炉
16 バーナー
17 燃焼排ガス管
31 支持部材
39 蛇腹
42 支持部材31と相対する上部位置に置かれた上下動可能な上蓋部材
47 セラミックヒータ
50 膜試料
51 膜試料20の固定部材
52 貫通孔
55 鋼球もしくはSi34製の球
56 支持部材31の凸部

Claims (8)

  1. 室温低水素濃度ガス発生装置から発生するところの、室温且つ常圧の低水素濃度ガスからNb膜により水素を分離するシステムであって、
    (a)Nb膜と、
    (b)燃焼器からなる加熱手段と、
    (c)前記Nb膜の一次側に室温低水素濃度ガスを供給する手段と、
    (d)前記Nb膜の二次側に水素を回収する手段と、を備え、
    (e)前記Nb膜の固溶水素量C(H/M)=0.26以下の条件下、前記(b)燃焼器からなる加熱手段により、Nb膜を温度=300〜500℃に加熱することにより、低水素濃度ガスから水素を選択的に分離するようにしてなることを特徴とする水素分離システム。
  2. 高温低水素濃度ガス発生装置から発生するところの、高温且つ常圧の低水素濃度ガスからNb膜により水素を分離するシステムであって、
    (a)Nb膜と、
    (b)燃焼器からなる加熱手段と、
    (c)高温低水素濃度ガス発生装置の廃熱を利用する加熱手段と、
    (d)前記Nb膜の一次側に高温低水素濃度ガスを供給する手段と、
    (e)前記Nb膜の二次側に水素を回収する手段と、を備え、
    (f)前記Nb膜の固溶水素量C(H/M)=0.26以下の条件下、前記(b)燃焼器からなる加熱手段及び/又は(c)高温低水素濃度ガス発生装置の廃熱利用する加熱手段により、Nb膜を温度=300〜500℃に加熱することにより、低水素濃度ガスから水素を選択的に分離するようにしてなることを特徴とする水素分離システム。
  3. 高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置から発生するところの、高温且つ常圧のメタン含有低水素濃度ガスからNb膜により水素を製造分離するシステムであって、
    (a)燃焼器からなる加熱手段と、
    (b)高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱を利用する加熱手段と、
    (c)メタン含有低水素濃度ガスに添加する水蒸気をボイラーにより発生する手段と、
    (d)前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを改質触媒兼支持体に通してその中のメタンを水蒸気改質して水素を含む改質ガスを生成する手段と、
    (e)前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを改質する改質触媒兼支持体の一面にNb膜を配置してなるメタンを水蒸気改質し且つ水素を分離する手段と、
    (f)前記改質触媒兼支持体のNb膜と相対する側である一次側に前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを供給する手段と、
    (g)前記Nb膜の二次側に水素を回収する手段と、を備え、
    (h)前記Nb膜の固溶水素量C(H/M)=0.26以下の条件下、前記(a)燃焼器からなる加熱手段及び/又は(b)メタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱を利用する加熱手段により、前記改質触媒兼支持体及びNb膜を温度=300〜500℃に加熱することにより、メタン含有低水素濃度ガスから水素を製造し、水素を選択的に分離するようにしてなることを特徴とする水素分離システム。
  4. 高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置から発生するところの、高温且つ常圧のメタン含有低水素濃度ガスからNb膜により水素を製造分離するシステムであって、
    (a)燃焼器からなる加熱手段と、
    (b)高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱を利用する加熱手段と、
    (c)メタン含有低水素濃度ガスに添加する水蒸気を高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱により発生させる手段と、
    (d)前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを改質触媒兼支持体に通してその中のメタンを水蒸気改質して水素を含む改質ガスを生成する手段と、
    (e)前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを改質する改質触媒兼支持体の一面にNb膜を配置してなるメタンを水蒸気改質し且つ水素を分離する手段と、
    (f)前記改質触媒兼支持体のNb膜と相対する側である一次側に前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを供給する手段と、
    (g)前記Nb膜の二次側に水素を回収する手段と、を備え、
    (h)前記Nb膜の固溶水素量C(H/M)=0.26以下の条件下、前記(a)燃焼器からなる加熱手段及び/又は(b)メタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱を利用する加熱手段により、前記改質触媒兼支持体及びNb膜を温度=300〜500℃に加熱することにより、メタン含有低水素濃度ガスから水素を製造し、水素を選択的に分離するようにしてなることを特徴とする水素分離システム。
  5. 室温低水素濃度ガス発生装置から発生するところの、室温且つ常圧の低水素濃度ガスから周期律表5A族金属合金膜により水素を分離するシステムであって、
    (a)周期律表5A族金属合金膜と、
    (b)燃焼器からなる加熱手段と、
    (c)前記5A族金属合金膜の一次側に室温低水素濃度ガスを供給する手段と、
    (d)前記5A族金属合金膜の二次側に水素を回収する手段と、を備え、
    (e)前記5A族金属合金膜の固溶水素量C(H/M)が脆性−延性の境界値以下の条件下、前記(b)燃焼器からなる加熱手段により、5A族金属合金膜を温度=300〜500℃に加熱することにより、低水素濃度ガスから水素を選択的に分離するようにしてなることを特徴とする水素分離システム。
  6. 高温低水素濃度ガス発生装置から発生するところの、高温且つ常圧の低水素濃度ガスから周期律表5A族金属合金膜により水素を分離するシステムであって、
    (a)周期律表5A族金属合金膜と、
    (b)燃焼器からなる加熱手段と、
    (c)高温低水素濃度ガス発生装置の廃熱を利用する加熱手段と、
    (d)前記5A族金属合金膜の一次側に高温低水素濃度ガスを供給する手段と、
    (e)前記5A族金属合金膜の二次側に水素を回収する手段と、を備え、
    (f)前記5A族金属合金膜の固溶水素量C(H/M)が脆性−延性の境界値以下の条件下、前記(b)燃焼器からなる加熱手段及び/又は(c)高温低水素濃度ガス発生装置の廃熱利用する加熱手段により、5A族金属合金膜を温度=300〜500℃に加熱することにより、低水素濃度ガスから水素を選択的に分離するようにしてなることを特徴とする水素分離システム。
  7. 高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置から発生するところの、高温且つ常圧のメタン含有低水素濃度ガスから5A族金属合金膜により水素を製造分離するシステムであって、
    (a)燃焼器からなる加熱手段と、
    (b)高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱を利用する加熱手段と、
    (c)メタン含有低水素濃度ガスに添加する水蒸気をボイラーにより発生する手段と、
    (d)前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを改質触媒兼支持体に通してその中のメタンを水蒸気改質して水素を含む改質ガスを生成する手段と、
    (e)前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを改質する改質触媒兼支持体の一面に5A族金属合金膜を配置してなるメタンを水蒸気改質し且つ水素を分離する手段と、
    (f)前記改質触媒兼支持体の5A族金属合金膜と相対する側である一次側に前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを供給する手段と、
    (g)前記5A族金属合金膜の二次側に水素を回収する手段と、を備え、
    (h)前記5A族金属合金膜の固溶水素量C(H/M)が脆性−延性の境界値以下の条件下、前記(a)燃焼器からなる加熱手段及び/又は(b)高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱を利用する加熱手段により、前記改質触媒兼支持体及び5A族金属合金膜を温度=300〜500℃に加熱することにより、メタン含有低水素濃度ガスから水素を製造し、水素を選択的に分離するようにしてなることを特徴とする水素分離システム。
  8. 高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置から発生するところの、高温且つ常圧のメタン含有低水素濃度ガスから5A族金属合金膜により水素を製造分離するシステムであって、
    (a)燃焼器からなる加熱手段と、
    (b)高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱を利用する加熱手段と、
    (c)メタン含有低水素濃度ガスに添加する水蒸気を高温メタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱により発生させる手段と、
    (d)前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを改質触媒兼支持体に通してその中のメタンを水蒸気改質して水素を含む改質ガスを生成する手段と、
    (e)前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを改質する改質触媒兼支持体の一面に5A族金属合金膜を配置してなるメタンを水蒸気改質し且つ水素を分離する手段と、
    (f)前記改質触媒兼支持体の5A族金属合金膜と相対する側である一次側に前記水蒸気添加したメタン含有低水素濃度ガスを供給する手段と、
    (g)前記5A族金属合金膜の二次側に水素を回収する手段と、を備え、
    (h)前記5A族金属合金膜の固溶水素量C(H/M)が脆性−延性の境界値以下の条件下、前記(a)燃焼器からなる加熱手段及び/又は(b)メタン含有低水素濃度ガス発生装置の廃熱を利用する加熱手段により、前記改質触媒兼支持体及び5A族金属合金膜を温度=300〜500℃に加熱することにより、メタン含有低水素濃度ガスから水素を製造し、水素を選択的に分離するようにしてなることを特徴とする水素分離システム。
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