JP2005333848A - キノコ用栽培容器及びキノコの栽培方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】開口上面から栽培容器内に雑菌が入ってしまうのを防止して、キノコの成長促進を好適に行うことができるキノコ用栽培容器及びキノコの栽培方法を提供する。
【解決手段】キノコ用栽培容器10は上部に開口13を有し、種菌と培地が収容される容器本体11と、この容器本体11の開口13に装着される蓋14とから構成する。蓋14は少なくとも容器本体11の開口13を閉塞可能な寸法を有する上壁16を備え、容器本体11の開口に嵌合した状態において、当該開口13の一定範囲で容器本体11の内外を連通する。
【選択図】図2
【解決手段】キノコ用栽培容器10は上部に開口13を有し、種菌と培地が収容される容器本体11と、この容器本体11の開口13に装着される蓋14とから構成する。蓋14は少なくとも容器本体11の開口13を閉塞可能な寸法を有する上壁16を備え、容器本体11の開口に嵌合した状態において、当該開口13の一定範囲で容器本体11の内外を連通する。
【選択図】図2
Description
本発明は、種菌と培地が収容される容器本体の開口に装着される蓋を備えたキノコ用栽培容器に関するものである。
従来よりエリンギ、マイタケ、ヒラタケ、シイタケ等の食用キノコを栽培するために広口のプラスチック製の栽培容器やプラスチック製の袋等が広く用いられている。キノコは外部から雑菌の侵入を嫌うことから栽培容器でキノコを栽培する場合、キノコの生育に必要な豊富な栄養分を含んだ培地基材料と種菌を混合した培地を栽培容器内に入れ、開口に蓋を装着して菌糸の培養が行われている。即ち、開口に略密閉状態で蓋を装着した栽培容器をキノコ栽培室内に入れ所定の間隔で並べた後、所定の温度・湿度環境にて菌糸の培養を行い発芽させる。発芽したら、栽培容器の開口に装着した蓋を外してキノコ栽培室で所定の温度と湿度環境にてキノコを生育させていた(特許文献1参照)。
前述のようにキノコの栽培では栽培容器の開口に装着した蓋を外してキノコを生育させていた。しかしながら、埃や塵は一般的に重力で自然落下するので、埃や塵に混じった雑菌が開口から栽培容器内に入ってしまう。栽培容器内に雑菌が入ると、その雑菌が栄養分を含んだ培地で繁殖してしまう。このため、キノコの成長が繁殖した雑菌によって阻害されてしまうという問題があった。
本発明は、係る従来技術の課題を解決するために成されたものであり、開口上面から栽培容器内に雑菌が入ってしまうのを防止して、キノコの成長促進を好適に行うことができるキノコ用栽培容器及びキノコの栽培方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明のキノコ用栽培容器は、上部に開口を有し、種菌と培地が収容される容器本体と、この容器本体の開口に装着される蓋とから成るものであって、蓋は少なくとも容器本体の開口を閉塞可能な寸法を有する上壁を備え、容器本体の開口に嵌合した状態において、当該開口の一定範囲で容器本体の内外を連通させることを特徴とする。
また、請求項2の発明のキノコ用栽培容器は、上記に加えて、蓋は、上壁が容器本体の開口から離間した状態で当該容器本体の開口端面に部分的に当接する当接部を備えることを特徴とする。
また、請求項3の発明のキノコ用栽培容器は、請求項2に加えて、蓋は、上壁周縁から容器本体側に延在して設けられた外側周囲壁と、この外側周囲壁の内側に所定の間隔を存した位置であって、当接部の外側となる位置に設けられ、上壁から容器本体側に延在して容器本体の開口外側に嵌合する内側周囲壁とを備え、内側周囲壁を、容器本体の開口の一定範囲で切り欠くと共に、当該切り欠かれた範囲において当接部は開口端面に当接しないことを特徴とする。
また、請求項4の発明のキノコ用栽培容器は、請求項1、請求項2又は請求項3において、容器本体の内外を連通させる範囲は、開口全周のうちの90°〜150°の範囲であることを特徴とする。
また、請求項5の発明のキノコ用栽培容器は、請求項4において、容器本体の内外を連通させる範囲は、開口全周のうちの120°の範囲であることを特徴とする。
また、請求項6の発明のキノコの栽培方法は、請求項1乃至請求項5において、殺菌された後、種菌が混合された培地を容器本体内に充填する培地充填工程と、培地が充填された容器本体の開口を塞ぎ、キノコ栽培室の所定の温・湿度環境にて菌糸の培養を行い、キノコの芽を出す発芽工程と、この発芽工程の終了後、容器本体の開口を一旦開放し、当該開口に蓋を装着し、キノコ栽培室の所定の温・湿度環境にて発芽したキノコを生育させる生育工程とを含むことを特徴とする。
以上詳述した如く本発明によれば、上部に開口を有し、種菌と培地が収容される容器本体と、この容器本体の開口に装着される蓋とから成るものであって、蓋は少なくとも容器本体の開口を閉塞可能な寸法を有する上壁を備え、容器本体の開口に嵌合した状態において、当該開口の一定範囲で容器本体の内外を連通させているので、例えば容器本体内で生育しているキノコを容器本体外に成長させることができる。また、容器本体の開口に蓋を装着しているので、容器本体の開口上面から栽培容器内に雑菌が入ってしまうのを阻止することができる。これにより、容器本体の開口に蓋を装着したままキノコを生育することができるので、容器本体内に雑菌が入ってキノコの成長が阻害されてしまうなどの不都合を確実に防止することができる。
また、栽培容器の開口に蓋を装着したままキノコを生育することができるので、例えばキノコ栽培室の殺菌消毒が不十分な場合などでも、雑菌によってキノコの成長に支障を来すなどの不都合を防止することができる。これにより、キノコ栽培室の殺菌管理が容易となり、栽培容器の実用効果を大幅に向上することができるようになる。従って、キノコの生育時に栽培容器内に雑菌が入ってキノコの成長が阻害されてしまう不都合も解消されるので、栽培容器の利便性を極めて向上させることができるようになるものである。
特に、キノコの栽培容器の開口に装着する蓋だけを改良しているので、従来使用していた容器本体の改良を行わずにそのまま本発明の蓋を装着して使用することができる。これにより、栽培容器を製造するための設備費が高騰してしまうのを抑えることができるようになる。
また、請求項2の発明によれば、上記に加えて、蓋は、上壁が容器本体の開口から離間した状態で当該容器本体の開口端面に部分的に当接する当接部を備えているので、例えば、請求項3の如く蓋は、上壁周縁から容器本体側に延在して設けられた外側周囲壁と、この外側周囲壁の内側に所定の間隔を存した位置であって、当接部の外側となる位置に設けられ、上壁から容器本体側に延在して容器本体の開口外側に嵌合する内側周囲壁とを備え、内側周囲壁を、容器本体の開口の一定範囲で切り欠くと共に、当該切り欠かれた範囲において当接部は開口端面に当接しないので、切り欠いた範囲のみ容器本体内部と外部とを連通させることができる。これにより、連通させた部分から容器本体の外部にキノコを成長させることができる。従って、例えばキノコを大量に栽培する際栽培容器と栽培容器との隙間に、連通させた部分を向けて栽培容器を設置すれば、隣接する栽培容器から成長するキノコと他のキノコとが衝突してしまうなどの不都合を防止することができるので、変形のない綺麗なキノコを栽培することができるようになり、栽培容器の利便性を大幅に向上することができるようになるものである。
また、請求項4の発明によれば、請求項1、請求項2又は請求項3において、容器本体の内外を連通させる範囲は、開口全周のうちの90°〜150°の範囲内、詳しくは例えば、請求項5の如く120°の範囲とすることにより、生育するキノコを容器本体の内外を連通する範囲から容器本体の外に成長させることができるようになる。これにより、キノコを大量に栽培する際、略接して設置した栽培容器と栽培容器との隙間に、容器本体の内外を連通する範囲を向けて栽培容器を設置することにより、成長するキノコと他の成長するキノコとの衝突を確実に防止することができる。従って、更に変形のない綺麗なキノコを栽培することができるようになるものである。
また、請求項6の発明によれば、殺菌された後、種菌が混合された培地を容器本体内に充填する培地充填工程と、培地が充填された容器本体の開口を塞ぎ、キノコ栽培室の所定の温・湿度環境にて菌糸の培養を行い、キノコの芽を出す発芽工程と、この発芽工程の終了後、容器本体の開口を一旦開放し、当該開口に蓋を装着し、キノコ栽培室の所定の温・湿度環境にて発芽したキノコを生育させる生育工程とを含むので、請求項1乃至請求項5同様の効果を得ることができる。
本発明は、栽培容器内でキノコを栽培する際雑菌によってキノコの成長が阻害されてしまうのを防止することを特徴とする。キノコの成長が阻害されてしまうのを防止するため、栽培容器の開口に蓋を装着した状態でキノコを栽培することで実現した。
次に、図面に基づき本発明の実施の形態を詳述する。図1は本発明の一実施例を示す開口13に蓋14を閉じた状態でキノコ30を栽培している状態を示すキノコ用栽培容器10の斜視図、図2は本発明のキノコ用栽培容器10の縦断側面図、図3は本発明のキノコ用栽培容器10に使用する蓋14の裏面図、図4は同図3のA−A線断面図をそれぞれ示している。栽培容器10は、図1に示すように上部に開口13(図2に図示)を有し内部にキノコ30の種菌と培地が収容される円筒形の容器本体11と、この容器本体11の開口13に装着される蓋14とから構成されている。
栽培容器10は、水分或いは湿気などが通過しないポリプロピレン等の合成樹脂の成形品にて構成されると共に肉厚約1.4mmにて構成されている。容器本体11は、図2に示すように底部から上方に延在する太胴部11Aと、この太胴部11Aより連続して徐々に細くなりながら上方に延在し端部にに開口13が形成された細胴部11Bとから構成されている。そして、この開口13縁を開口端面13Aとしている。
容器本体11は、大径の太胴部11Aの上方に連続して太胴部11Aより小径の細胴部11Bを備えており、この太胴部11Aと細胴部11Bは一体に成形されている。係る太胴部11Aは、直径約100mm、高さ約178mmに形成されると共に、この細胴部11Bは、太胴部11Aより所定寸法細い直径約62mm、高さ約35mm〜40mmに形成されている。
一方、蓋14は図3、図4に示すように円形に形成された上壁16と、この上壁16周縁に形成された外側周囲壁18と、この外側周囲壁18の内側に所定の間隔を存して形成され、容器本体11の開口13外側に嵌合する内側周囲壁22とから構成されている。該外側周囲壁18は、上壁16周縁から容器本体11側に所定寸法延在すると共に、内側周囲壁22は外側周囲壁18の内側に約5mmの間隔を存してやはり上壁16から容器本体11側に所定寸法延在している。
また、内側周囲壁22と外側周囲壁18は、容器本体11側に約15mm延在している。外側周囲壁18は、太胴部11Aより約20mm小径に形成されると共に、容器本体11の開口13外側(細胴部11Bの外側周囲)に嵌合可能に構成されている。係る、容器本体11の開口13に蓋14(内側周囲壁22)が嵌合された状態で、外側周囲壁18の下端と太胴部11Aとは約25mm〜30mmの隙間を有している。即ち、栽培容器10を密着して設置し、隣接する容器本体11(太胴部11A)が当接した場合でも、各栽培容器10の細胴部11Bと細胴部11Bとの間にキノコを成長させられるように容器本体11内に連通する隙間14Aを下方に向けて開口している。
内側周囲壁22には、容器本体11の開口13の一定範囲切り欠いた切欠部24を設けており、この切欠部24によって内側周囲壁22内外(容器本体11内と、内側周囲壁22と外側周囲壁18との隙間14A)とを連通させている。この内側周囲壁22内と外側周囲壁18内とを連通させる切欠部24の範囲は、容器本体11の開口13全周のうちの90°〜150°°、好ましくは120°の範囲設けている(図3矢印範囲)。即ち、外側周囲壁18の内側に内側周囲壁22を全周設けずに120°の範囲に切欠部24を設け、残りの240°の範囲だけ内側周囲壁22を設けている。
また、蓋14には外側周囲壁18に直交して厚さ約1.4mmの補強板20を設けている。この補強板20は、外側周囲壁18と内側周囲壁22の間に設けられると共に、外側周囲壁18と内側周囲壁22の間に渡って設けられている。該補強板20は、上壁16から容器本体11側に内側周囲壁22と略同等の高さまで延在すると共に、内側周囲壁22と外側周囲壁18間を円周方向に所定の間隔を存して複数設けている。これによって、切欠部24を設けても内側周囲壁22は補強板20によって外側周囲壁18に支持されるので、内側周囲壁22が変形することなく、容器本体11の開口13に蓋14を確実に装着できるようになっている。
また、蓋14には上壁16に対して容器本体11の開口13側に突出する当接部26を備えており、この当接部26は、内側周囲壁22の内側周縁に設けている。該当接部26は、上壁16から容器本体11側に約3mm〜5mm突出させて段差を構成すると共に、蓋14の中心方向に約10mm幅に形成し、内側周囲壁22の内側に略馬蹄形状に形成している。これにより、容器本体11の開口13に蓋14を装着した状態で、容器本体11の開口端面13Aが当接部26に当接しして、上壁16は開口端面13Aより所定寸法離間するように構成している。
また、当接部26は、内側周囲壁22に接して設けられると共に、内側周囲壁22の切欠部24と略同等に開口した馬蹄形に形成している。この場合、当接部26は内側周囲壁22の切欠部24と反対側を狭い幅、切欠部24側を広い幅に形成している。即ち、当接部26は、切欠部24側を所定の角度で拡開しており、先端は切欠部24近傍に位置している。この場合、実施例では当接部26先端は切欠部24側より少許狭い角度になっている。
そして、上壁16が容器本体11の開口13から当接部26の厚さ寸法だけ離間した状態で、当接部26は部分的(内側周囲壁22の切欠部24以外)に容器本体11の開口端面13Aに当接するようになっている。即ち、該栽培容器10は、容器本体11の開口13に蓋14を装着した状態で、上壁16は開口端面13Aに当接すると共に、当接部26は内側周囲壁22の切欠部24に位置する容器本体11の開口端面13Aに部分的に当接(この場合、切欠部24以外の内側周囲壁22と容器本体11の開口端面13Aとが当接)するように構成されている。尚、当接部26先端の角度は切欠部24同等の角度、或いは少許広い角度の方が好ましい。
また、容器本体11の開口13に蓋14が装着された状態で、内側周囲壁22の切欠部24に対応する容器本体11の開口端面13Aと蓋14の上壁16とは、当接部26の厚さ分の隙間が開くように構成している。該栽培容器10は、図5矢印で示すように容器本体11の開口13に蓋14が装着された状態で、容器本体11内から上方の蓋14に設けた切欠部24を介して細胴部11Bと外側周囲壁18との隙間14Aから下方に向かって容器本体11の内外が連通するように構成している。
即ち、栽培容器10は、容器本体11に装着した蓋14の外側周囲壁18と細胴部11Bとの間の隙間14Aから下方に向けて開口させている。これにより、自然落下する埃や塵に混じっている雑菌が栽培容器10内に容易に入らないように構成している。尚、キノコは空気に触れる方向に成長することが知られており、隙間14Aを外側周囲壁18と細胴部11Bとの間から下方に向けて形成した場合でも、キノコはその隙間14Aから栽培容器10の外に向かって成長する。
以上の構成で次に上述の栽培容器10を用いたキノコ30の栽培方法を説明する。尚、キノコ30の栽培には予め用意された図示しない清浄空間を備えたキノコ30の栽培装置が用いられるものとする。また、キノコ30としては、図1に示すような商品名「雪の羽衣」というマイタケを栽培するものとする。尚、雪の羽衣は、マイタケの白色系品種の亜種で、普通のマイタケに比べて、茎が厚く扇形をしているのが特徴で、煮ても焼いても形が崩れず、西洋料理、中華料理、和食料理のどれにも合い、また、ビタミンやミネラルが豊富で、食した誰もが、歯触りが良く、美味しいと言われている。本発明の栽培容器10は、このような扇形をしたキノコの栽培に好適である。
先ず、キノコ30の栽培装置でキノコ30の生育に必要な豊富な栄養分を含んだオガクズ、フスマ、コーン、ブラン等多数の材料を混合機で混合して培地基材料を作る。作った培地基材料を電気ヒーター或いはボイラー等の加熱装置を用いて約+120℃で約3時間から5時間加熱殺菌を行う。加熱殺菌を行った培地基材料をコンベアに乗せて移動させながら冷却器を用いて所定の温度に冷却した後、混合機によって培地基材料と種菌とを満遍に混合し培地を作る。
次に、種菌が混合された培地を開口13から容器本体11内に所定量充填する。培地が充填された容器本体11の開口13に従来使用していた蓋を装着して略密閉状態に塞いだ後、培養室に所定の間隔で並べ所定の温・湿度環境にて菌糸の培養を行う。このときは、各栽培容器10に装着した従来使用していた蓋には切欠部を設けていないので、どの方向に栽培容器10を並べても差し支えない。
そして、菌糸の培養が所定期間行われた後、栽培容器10を芽だし室に移動し、芽出し室で所定の温度、湿度でマイタケの芽出し(発芽)が行われる。マイタケの芽が出たら次に容器本体11の開口13に装着した従来の蓋を外し、切欠部24を備えた本発明の蓋14を容器本体11の開口13に装着した後、栽培容器10を所定の温・湿度環境の育成室に移動して並べる。
このとき、各栽培容器10は、装着された蓋14の切欠部24が他の栽培容器10と栽培容器10との間に位置するように並べる。この場合、生産性向上の関係から育成室に栽培容器10を広い間隔で並べず、近接した所定の間隔に並べている。栽培容器10を近接して並べると、成長するキノコ30と他の成長するキノコ30とが衝突してしまうため、切欠部24を他の栽培容器10と栽培容器10との間に位置するように並べ、キノコ30が衝突するのを防止している。
育成室に並べられた栽培容器10が所定の温・湿度環境に置かれると発芽したキノコ30は培地の豊富な栄養分を充分に吸収して大きく成長する。このとき、栽培容器10は切欠部24を介して容器本体11の内外を連通しているので、図5の矢印で示すようにキノコ30は切欠部24を経て容器本体11の細胴部11Bと、蓋14を構成する外側周囲壁18との隙間14Aから図1に示すように容器本体11の外に扇形に大きく成長する。
このように、栽培容器10の蓋14は、少なくとも容器本体11の開口13を閉塞可能な寸法を有する上壁16を備えており、この蓋14を容器本体11の開口13縁に嵌合した状態で、開口13の一定範囲で容器本体11の内外を連通させているので、容器本体11内で生育するキノコ30を隙間14Aから容器本体11外に大きく成長させることができる。また、容器本体11の開口13に蓋14を装着しているので、上から栽培容器10内に雑菌が入ってしまうのを防止することができる。これにより、容器本体11の開口13に蓋14を装着したままキノコ30を生育することができるので、容器本体11内に雑菌が入ってキノコ30の成長が阻害されてしまうなどの不都合を確実に防止することができるようになる。
また、栽培容器10の開口13に蓋14を装着したままキノコ30を生育することができるので、育成室の殺菌消毒が不十分な場合などでも、雑菌によってキノコ30の成長に支障を来すなどの不都合を防止することができる。これにより、育成室の殺菌管理が容易となり、栽培容器10の実用効果を大幅に向上することができるようになる。従って、キノコ30の生育時に栽培容器10内に雑菌が入ってキノコ30の成長が阻害されてしまう不都合も解消されるので、栽培容器10の利便性を極めて向上させることができるようになる。
特に、キノコ30の栽培容器10の開口13に装着する蓋14だけを改良しているので、従来使用していた容器本体の改良を行わずにそのまま本発明の蓋14を装着して使用することができる。これにより、栽培容器10を製造するための設備費が高騰してしまうのを抑えることができる。
また、蓋14には上壁16が容器本体11の開口13から離間した状態で当該容器本体11の開口端面13Aに部分的に当接する当接部26を備えると共に、上壁16周縁から容器本体11側に延在して設けられた外側周囲壁18と、この外側周囲壁18の内側に所定の間隔を存した位置であって、当接部26の外側となる位置に設けられ、上壁16から容器本体11側に延在して容器本体11の開口13外側に嵌合する内側周囲壁22とを備えている。また、蓋14の内側周囲壁22を、容器本体11の開口13の一定範囲で切り欠いた切欠部24を設けると共に、切欠部24の範囲において当接部26は開口端面13Aに当接しないので、切欠部24のた範囲だけ容器本体11内部と外部とを連通させることができる。
これにより、連通させた隙間14Aから容器本体11の外部にキノコ30を成長させることができる。従って、例えばキノコ30を大量に栽培する際栽培容器10と栽培容器10との隙間に、切欠部24近傍の隙間14Aを向けて栽培容器10を設置すれば、隣接する栽培容器10から成長するキノコ30と他のキノコ30とが衝突してしまうなどの不都合を確実に防止することができるので、変形のない綺麗なキノコ30を栽培することができる。
また、容器本体11の内外を連通する切欠部24の範囲は、開口13全周のうちの90°〜150°の範囲内、好ましくは120°の範囲とすることにより、生育するキノコ30を容器本体11の内外を連通する部分の範囲から容器本体11の外に成長させることができる。これにより、キノコ30を大規模或いは中規模栽培する際、略接して設置した栽培容器10と栽培容器10との隙間に、容器本体11の内外を連通する切欠部24近傍の隙間14Aを向けて栽培容器10を設置することにより、成長するキノコ30と他の成長するキノコ30とが衝突してしまうのを確実に防止することができる。従って、更に変形のない綺麗なキノコ30を栽培することができるようになる。
特に、栽培容器10は、容器本体11に装着した蓋14の外側周囲壁18と細胴部11Bとの間から下方に向けて隙間14Aを開口しているので、自然落下する埃や塵に混じっている雑菌が栽培容器10内に入ってしまうのを確実に防止することができる。これにより、雑菌によってキノコ30の成長に支障を来すなどの不都合を確実に防止することができる。
次に、図6には本発明の他の実施例のキノコ用栽培容器10(蓋14)を示している。該栽培容器10は、前述の実施例1と略同じ構成を有している。以下、異なる部分について説明する。尚、前述の実施の形態と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。栽培容器10は、図6に示すように実施例1の蓋14に対して当接部26の形状を変えている。
この場合、実施例1に示した当接部26に対して切欠部24側と反対側に当接部26を設けていない。即ち、当接部26は内側周囲壁22の切欠部24を除いた内側周囲全体に形成していない。この場合、当接部26は蓋14を切欠部24側上面から見て略ハ字状に形成している。このように、当接部26を略ハ字状に形成した場合でも前述の実施例同様の効果を得ることができる。
次に、図7には本発明の他の実施例のキノコ用栽培容器10(蓋14)を示している。該栽培容器10は、前述の実施例1と略同じ構成を有している。以下、異なる部分について説明する。尚、前述の実施の形態と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。栽培容器10は、図7に示すように実施例1の蓋14に対して当接部26の形状を変えている。
この場合、実施例1に示した当接部26に対して、当接部26を内側周囲壁22の内側に所定の幅で形成している。この場合、当接部26は、容器本体11の肉厚と略同等、或いは2倍〜3倍の幅としている。即ち、当接部26は容器本体11の開口13端部が当接可能な最小限に近い幅に形成すると共に、内側周囲壁22の内側全体に設けている。このように、当接部26を内側周囲壁22の内側に所定の幅で形成した場合でも前述の実施例同様の効果を得ることができる。尚、当接部26は、内側周囲壁22の内側全体に設けず、点線のように断続して設けても差し支えない。
尚、実施形態ではキノコ用栽培容器10の形状や寸法を記載したが、キノコ用栽培容器10の要旨を逸脱しない範囲内で容器本体11及び蓋14の形状や寸法を変更しても良いのは言うまでもない。もちろん、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲を逸脱することなく他の様々な変更を行っても本発明は有効である。
10 栽培容器
11 容器本体
13 開口
13A 開口端面
14 蓋
14A 隙間
16 上壁
18 外側周囲壁
22 内側周囲壁
24 切欠部
26 当接部
30 キノコ
11 容器本体
13 開口
13A 開口端面
14 蓋
14A 隙間
16 上壁
18 外側周囲壁
22 内側周囲壁
24 切欠部
26 当接部
30 キノコ
Claims (6)
- 上部に開口を有し、種菌と培地が収容される容器本体と、該容器本体の開口に装着される蓋とから成るキノコ用栽培容器において、
前記蓋は少なくとも前記容器本体の開口を閉塞可能な寸法を有する上壁を備え、前記容器本体の開口に嵌合した状態において、当該開口の一定範囲で容器本体の内外を連通させることを特徴とするキノコ用栽培容器。 - 前記蓋は、前記上壁が前記容器本体の開口から離間した状態で当該容器本体の開口端面に部分的に当接する当接部を備えることを特徴とする請求項1のキノコ用栽培容器。
- 前記蓋は、前記上壁周縁から前記容器本体側に延在して設けられた外側周囲壁と、該外側周囲壁の内側に所定の間隔を存した位置であって、前記当接部の外側となる位置に設けられ、前記上壁から前記容器本体側に延在して前記容器本体の開口外側に嵌合する内側周囲壁とを備え、
前記内側周囲壁を、前記容器本体の開口の一定範囲で切り欠くと共に、当該切り欠かれた範囲において前記当接部は前記開口端面に当接しないことを特徴とする請求項2のキノコ用栽培容器。 - 前記容器本体の内外を連通させる範囲は、前記開口全周のうちの90°〜150°の範囲であることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3のキノコ用栽培容器。
- 前記容器本体の内外を連通させる範囲は、前記開口全周のうちの120°の範囲であることを特徴とする請求項4のキノコ用栽培容器。
- 殺菌された後、種菌が混合された培地を前記容器本体内に充填する培地充填工程と、
培地が充填された前記容器本体の開口を塞ぎ、キノコ栽培室の所定の温・湿度環境にて菌糸の培養を行い、キノコの芽を出す発芽工程と、
該発芽工程の終了後、前記容器本体の開口を一旦開放し、当該開口に前記蓋を装着し、前記キノコ栽培室の所定の温・湿度環境にて発芽した前記キノコを生育させる生育工程とを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項5のキノコ用栽培容器を用いたキノコの栽培方法。
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JP2004154363A JP2005333848A (ja) | 2004-05-25 | 2004-05-25 | キノコ用栽培容器及びキノコの栽培方法 |
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KR200456980Y1 (ko) * | 2009-03-12 | 2011-11-30 | 주식회사머쉬텍 | 동충하초 배양용기 |
CN107996290A (zh) * | 2017-12-19 | 2018-05-08 | 吴泽英 | 一种用于填装食用菌培养料的装置及其使用方法 |
-
2004
- 2004-05-25 JP JP2004154363A patent/JP2005333848A/ja active Pending
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