以下に、本発明を実施するための最良の形態を添付図面を参照して説明する。
尚、以下に示した実施の形態は、本発明プリンターを、例えば、病院内で使用され、コンピューター断層撮影(CT)された画像データーをサーマルヘッドを用いて熱転写により印画フィルム(印画シート)に印刷するサーマルヘッドプリンターに適用したものである。
プリンター1は、印画シートをそのシート面が垂直方向を向いた状態で搬送するように横置きに設置可能であると共に印画シートをそのシート面が水平方向を向いた状態で搬送するように縦置きに設置可能な横置き縦置き兼用型のプリンターである。尚、以下の説明においては、プリンター1を縦置きに設置したときの方向により説明する。
プリンター1は上記のように横置き及び縦置きの両方の設置を可能とする兼用型であるため、設置場所のスペースに応じて設置することができ、設置場所の自由度を向上することができる。
縦置きに設置した場合には大きな設置スペースを必要としないため、例えば、パソコンテーブル1000のテーブル上に設置されたパーソナルコンピューター2000の下方にプリンター1を設置することができる(図1参照)。
プリンター1は筐体2内に、シート収納ブロック100、ピックアップブロック200、搬送ブロック300、位置決めブロック400、印画ブロック500、中間搬送ブロック600、濃度測定ブロック700、シート排出ブロック800及びシート取出ブロック900の所要の各ブロックが配置されて成る(図2参照)。
プリンター1において印画シート3000は、シート収納ブロック100からピックアップブロック200によって取り出され、搬送ブロック300、位置決めブロック400、印画ブロック500、中間搬送ブロック600、濃度測定ブロック700、シート排出ブロック800を経てシート取出ブロック900まで搬送される(図2参照)。
筐体2の前面には、シート収納ブロック100を挿入又は取り出すための着脱口2aが形成されている(図1乃至図3参照)。
シート収納ブロック100は筐体2内の右端部に配置され(図2参照)、前後方向に長い扁平な箱状を為すシートカセット3を備えている(図3乃至図6参照)。
シートカセット3は、筐体2に対して着脱可能とされており、左方に開口されたケース体4と該ケース体4の開口を閉塞するカバー体5とから成る(図3乃至図5参照)。シートカセット3の後端部には、シート取出口3aが形成されている。
カバー体5は平板状を為し、シートカセット3内に収納される印画シート3000の一方のシート面を受けるシート受板として設けられている。カバー体5の内面には、前後に離間して上下方向に長い転動ローラー6、6が回転自在に支持されている(図3及び図5参照)。
シートカセット3の内部には、印画シート3000の他方のシート面を押さえる押さえ手段として押さえ板7が左右方向へ移動自在に支持されている(図3R>3、図5及び図6参照)。押え板7は平板状に形成され、カバー体5に対向して配置され、印画シート3000と略同じか一回り大きく形成されている。
ケース体4の右側面部4aと押さえ板7との間には、調整機構8が配置されている(図6参照)。調整機構8は駆動モーター9とウォーム10とメインギヤ11と従動ギヤ12、12とラック体13、13と調整ギヤ14、14、・・・とを備え、シートカセット3に積層状に収納された印画シート3000、3000、・・・の厚みに応じて押さえ板7をカバー体5に離接する方向へ移動させるための機構である。
駆動モーター9はケース体4の前端部に取り付けられており、そのモーター軸にウォーム10が固定されている。
メインギヤ11は小径部11aと大径部11bとから成る2段ギヤであり、大径部11aがウォーム10に噛合されている。
従動ギヤ12、12は、それぞれ大径部12a、12aと小径部12b、12bとから成る2段ギヤであり、大径部12a、12がそれぞれメインギヤ11の小径部11aに噛合されている。
ラック体13、13はそれぞれケース体4の上面部4bと下面部4cとに前後方向に移動自在に支持されており、前後方向に長く形成されたメインラック部13a、13aと該メインラック部13a、13aの前後方向における中央部から互いに近付く方向へ突出された突板部13b、13bとが一体に形成されて成る。突板部13b、13bの先端縁にはそれぞれラック13c、13cが形成され、該ラック13c、13cにそれぞれ従動ギヤ12、12の小径部12b、12bが噛合されている。
調整ギヤ14、14、・・・は、それぞれ円板部14a、14a、・・・と、該円板部14a、14a、・・・の一方の面に設けられたギヤ部14b、14b、・・・と、円板部14a、14a、・・・の他方の面から突出されたカム突部14c、14c、・・・とが一体に形成されて成り、該カム突部14c、14c、・・・は円板部14a、14a、・・・の外周部に設けられている。調整ギヤ14、14、・・・は、ケース体4の上面部4bと下面部4cとに前後に離間して2つずつが支持された状態で、ギヤ部14b、14b、・・・がそれぞれラック体13、13のメインラック部13a、13aに噛合されている。
調整ギヤ14、14、・・・のカム突部14c、14c、・・・は、それぞれケース体4内に配置された押さえ板7の上縁及び下縁に右方から摺動自在に係合されている。
調整機構8において駆動モーター9が回転されると、その駆動力がウォーム10、メインギヤ11、従動ギヤ12、12、ラック体13、13及び調整ギヤ14、14、・・・に順に伝達され、該調整ギヤ14、14、・・・が回転されてカム突部14c、14c、・・・の位置が変化される。従って、調整ギヤ14、14、・・・の回転に伴いカム突部14c、14c、・・・が係合されている押さえ板7が、左右方向、即ち、カバー体4に離接する方向へ移動される。
ピックアップブロック200はシート収納ブロック100の後端側に配置され(図2参照)、シートカセット3に収納された印画シート3000、3000、・・・を1枚ずつ取り出すための取出機構15を備えている(図3乃至図5参照)。
取出機構15はピックアップローラー16を有し、該ピックアップローラー16はその後方において支持された一対の分離ローラー17、17のうちの一方の分離ローラー17とタイミングベルト18によって連結されている。
タイミングベルト18によって連結されたピックアップローラー16の回転軸と分離ローラー17の回転軸とを連結するようにして被検出部材19が設けられ、該被検出部材19は被検出部19aがピックアップローラー16から前方へ突出されている(図5参照)。被検出部材19は付勢バネ20によってケース体4の右側面部4a側に付勢され、シートカセット3に収納された印画シート3000、3000、・・・にピックアップローラー16が押し付けられる。
被検出部材19の被検出部19aはローラー位置センサー21によって検出され、この検出結果に基づいてピックアップローラー16の位置が検出される。
分離ローラー17、17の後方にはピックアップ用モーター22が配置され、分離ローラー17、17とピックアップ用モーター22との間にギヤ群23が支持されている(図3参照)。
取出機構15においてピックアップ用モーター22が回転されると、その駆動力がギヤ群23、分離ローラー17及びピックアップローラー16に順に伝達され、該ピックアップローラー16が回転されて印画シート3000がシートカセット3から取り出され、取り出されたシートカセット3000が分離ローラー17、17間を経由して搬送ブロック300へ向けて送られる。
搬送ブロック300は筐体2内の後端部に配置され(図2参照)、回転駆動部24と第1の回転体25と第2の回転体26とを備えている(図3及び図4参照)。
回転駆動部24は搬送用モーター24aと該搬送用モーター24aによって回転されるギヤ群24bとを有している(図4参照)。
第1の回転体25は、上下方向に延びる軸25aと、該軸25aの軸方向に離間して設けられた搬送ローラー25b、25b、・・・と、軸25aの一端部に設けられた駆動ギヤ25cとから成り、該駆動ギヤ25cがギヤ群24bの一のギヤと噛合されている。搬送用モーター24aの回転によりギヤ群24bが回転されると駆動ギヤ25cが回転され、該駆動ギヤ25cの回転に伴って軸25aと搬送ローラー25b、25b、・・・とが一体となって回転される。
搬送ローラー25b、25b、・・・の外周面に対向してそれぞれ押さえ体27、27、・・・が配置され、該押さえ体27、27、・・・がバネによって搬送ローラー25b、25b、・・・に押し付けられる。
第2の回転体26は、上下方向に延びる軸26aと、該軸26aの軸方向に離間して設けられた搬送ローラー26b、26b、・・・と、軸26aの一端部に設けられた駆動ギヤ26cとから成り、該駆動ギヤ26cがギヤ群24bの一のギヤと噛合されている。搬送用モーター24aの回転によりギヤ群24bが回転されると駆動ギヤ26cが回転され、該駆動ギヤ26cの回転に伴って軸26aと搬送ローラー26b、26b、・・・とが一体となって回転される。従って、第1の回転体25と第2の回転体26は同期して回転される。
搬送ローラー26b、26b、・・・の外周面に対向してそれぞれ押さえ体28、28・・・と押さえ体29、29、・・・とが搬送ローラー26b、26b、・・・の周方向に離間して配置され、該押さえ体28、28、・・・と押さえ体29、29、・・・とがバネによって搬送ローラー26b、26b、・・・に押し付けられる。
位置決めブロック400は搬送ブロック300の前方において筐体2内の左端部に配置され(図2参照)、固定側ベース板30と可動側ベース板31とを備えている(図7及び図8参照)。
固定側ベース板30は、主面が左右方向を向く平面部32と、該平面部32の下縁から右方へ突出された下側エッジ部33と、平面部32の上縁から左方へ突出された上側エッジ部34と、該上側エッジ部34の左縁から上方へ突出された機構取付部35とが一体に形成されて成る。
平面部32の前端寄りの位置にはローラー配置孔32aが形成され、該ローラー配置孔32aの上側開口縁と下側開口縁とからそれぞれローラー取付片32b、32bが左方へ突出されている。ローラー取付片32b、32bには押さえローラー36が支持され、該押さえローラー36の一部がローラー配置孔32aから右方へ突出されている(図8参照)。平面部32には、ローラー配置孔32aの後側にバネ掛け片32cが設けられている。平面部32の後端寄りの位置にはシート検出センサー37が取り付けられている。
上側エッジ部34の前後方向における略中央部には、バネ挿通孔34aが形成されている。
機構取付部35には移動機構38が設けられ、該移動機構38は位置決め用モーター39とウォーム40とカムギヤ41とを備えている。位置決め用モーター39は機構取付部35の前後方向における略中央部に取り付けられ、そのモーター軸にウォーム40が固定されている。カムギヤ41は位置決め用モーター39の後側において機構取付部35に支持され、ギヤ部41aと該ギヤ部41aの外周部に右方へ突出して設けられたカムピン41bとから成る(図9参照)。カムギヤ41はギヤ部41aがウォーム40に噛合されている。
機構取付部35のカムギヤ41の近傍に位置センサー42が取り付けられている。位置センサー42によってカムギヤ41が回転されたときのカムピン41aの位置が検出される。
機構取付部35の前端部と後端部とには、それぞれ連結部材43、43がその一端部を支点として回動自在に支持されている。
固定側ベース板30は筐体2内に設けられた上下に長い軸部材44に固定されている。
可動側ベース板31は、主面が左右方向を向く平面部45と、該平面部45の下縁から左方へ突出された位置決めエッジ部46と、平面部45の上縁から左方へ突出された取付エッジ部47とを備えている。位置決めエッジ部46は、印画シートを所定位置に位置決めするための位置決め部としての役割を果たすものである。
平面部45の前端寄りの位置にはローラー挿入孔45aが形成されている。
押圧エッジ部47の後端寄りの位置には被作用片48が設けられている(図7及び図9参照)。被作用片48は押圧エッジ部47から上方へ突出された基端部48aと該基端部48aの上縁から左方へ突出された係合部48bとから成る。
押圧エッジ部47の前端部と後端部とには、それぞれ上方へ突出された支持片49、49が設けられ、該支持片49、49に上記連結部材43、43がその他端部を支点として回動自在に支持されている。
可動側ベース板31は上記軸部材44に、その軸方向、即ち、上下方向に移動自在に支持されている。
連結部材43、43は、上記のように、それぞれ固定側ベース板30の機構取付部35と可動側ベース板31の支持片49、49とに回動自在に支持されており、固定側ベース板30の平面部32と可動側ベース板31の平面部45とが僅かな間隙を以て対向して位置されている(図8参照)。平面部32と平面部45との間の空間は、搬送ブロック300によって搬送された印画シート3000が挿入される挿入空間50として形成されている。
固定側ベース板30の下側エッジ部33は可動側ベース板31の位置決めエッジ部46の上側に位置され、固定側ベース板30の上側エッジ部34は可動側ベース板31の押圧エッジ部47の下側に位置されている(図8参照)。可動側ベース板31の被作用片48の係合部48bの下面には、上記カムギヤ41のカムピン41bが摺動自在に係合されている(図9参照)。
可動側ベース板31の押圧エッジ部47には引張コイルバネ51の一端部が支持され、該引張コイルバネ51は固定側ベース板30の上側エッジ部34に形成されたバネ挿通孔34aを挿通され、他端部が固定側ベース板30のバネ掛け片32cに支持されている。従って、可動側ベース板31は固定側ベース板30に対して下方へ付勢されている。
移動機構38において位置決め用モーター39が回転されると、その駆動力がウォーム40及びカムギヤ41に順に伝達され、該カムギヤ41が回転されてカムピン41bの位置が変化される。カムピン41bの位置が変化されると、該カムピン41bに係合されている被作用片48を有する可動側ベース板31が固定側ベース板30に対して軸部材44に案内されて上下方向へ移動される。
固定側ベース板30の平面部32の右方には回動駆動部52が配置され、該回動駆動部52はローラー回動用モーター52aと該ローラー回動用モーター52aによって回転されるギヤ群52bとを有している(図4参照)。ギヤ群52bの最終段のギヤには回動レバー53の一端部が支持され、該回動レバー53の他端部には上下に長いローラー軸54が支持されている。ローラー軸54の軸方向における中央部には中間ピックアップローラー55が設けられている(図3、図4及び図8R>8参照)。中間ピックアップローラー55は挿入空間50に挿入された印画シート3000を取り出して印画ブロック500へ向けて送る中間ピックアップ手段として設けられており、回動駆動部52によって回動レバー53が回動されることにより略左右へ移動される。
中間ピックアップローラー55は左方側へ回動されたときに可動側ベース板31のローラー挿入孔45aに挿入され、挿入空間50に挿入された印画シート3000を挟んで押さえローラー36に押し付けられ印画シート3000が印画ブロック500へ向けて送られる。
印画ブロック500は位置決めブロック400の前方に配置され(図2参照)、ヘッド機構56とヘッド駆動機構57とを備えている(図3及び図4参照)。
ヘッド機構56はヘッド支持体58に印画ヘッド59が設けられて成り、該印画ヘッド59として熱転写により印画シート3000に印画するサーマルヘッドが用いられている。
ヘッド駆動機構57はヘッド機構56の左側に位置され、ヘッド圧調整部材60と被作用部材61とヘッド圧調整カム62とを備えている(図10乃至図12参照)。
ヘッド圧調整部材60は略前後方向に長く形成され、その後端部に位置する上記回動軸63を支点として回動自在に支持されている。ヘッド圧調整部材60の前端部には、右方へ突出された加圧ローラー60aが支持されている。
被作用部材61は略前後方向に長く形成され、その後端部に位置する回動軸63を支点として回動自在に支持されている。被作用部材61はヘッド圧調整部材60より長く形成され、前端部がヘッド圧調整部材60の前方に位置されている。被作用部材61の前端部には、左方へ突出された被作用ローラー61aが支持されている。
ヘッド圧調整部材60と被作用部材61との間には、圧縮コイルバネ63が縮設されている。従って、ヘッド圧調整部材60と被作用部材61とは、互いに圧縮コイルバネ63によって離間する方向、即ち、ヘッド圧調整部材60はヘッド機構56に近づく方向へ付勢され、被作用部材61はヘッド機構56から離間する方向へ付勢されている。
ヘッド圧調整カム62は筐体2内に回転自在に支持された上下方向に長い回転軸65に固定されている(図4参照)。ヘッド圧調整カム62はその外周面がカム面66として形成されており、該カム面66には回転軸65の回転中心からの距離が近い順に待機用カム部66a、横置用カム部66b及び縦置用カム部66cが形成されている(図10乃至図12参照)。ヘッド圧調整カム62はカム面66が被作用部材61に支持された被作用ローラー61aに接している。
ヘッド圧調整カム62の左方にはカム位置検知プレート67が固定されている。カム位置検知プレート67は略円板状に形成され、周方向に等間隔に離間して3つの検知用スリット67a、67b、67cが形成されている。
ヘッド機構56の印画ヘッド59に対向してプラテンローラー68が支持されている。ヘッド機構56はプラテンローラー68に対して離接する方向へ移動可能とされている。
図示しない回転機構による回転軸65の回転に伴ってヘッド圧調整カム62が回転されると、カム面66の被作用ローラー61aに対する位置が変化され、被作用部材61が回動軸63を支点として回動される。従って、被作用部材61の回動動作によって圧縮コイルバネ64を介してヘッド圧調整部材60に回動力が付与され、該ヘッド圧調整部材60は回動軸63を支点として加圧ローラー60aがヘッド支持体58に離接する方向へ回動され、加圧ローラー60aによるヘッド支持体58に対する押圧力に応じて印画ヘッド59のプラテンローラー68に対する圧力が変化される。
回転機構の動作は図示しない状態認知手段の認知結果に基づいて行われる。状態認知手段によって印画シート3000に印画が行われない待機モードであることが認知されると、待機用カム部66aが被作用ローラー61aに接するようにヘッド圧調整カム62が回転される(図10参照)。印画シート3000に印画されるときに状態認知手段によってプリンター1が横置きにされた横置きモードであることが認知されると、横置用カム部66bが被作用ローラー61aに接するようにヘッド圧調整カム62が回転される(図11参照)。印画シート3000に印画されるときに状態認知手段によってプリンター1が縦置きにされた縦置きモードであることが認知されると、縦置用カム部66cが被作用ローラー61aに接するようにヘッド圧調整カム62が回転される(図12参照)。
状態認知手段による認知は、例えば、重力センサーを用いて自動的に行われるようにしてもよく、また、使用者が手動で各状態を入力することにより行われるようにしてもよい。
上記のようにヘッド圧調整カム62が回転されたときに、待機用カム部66aが被作用ローラー61aに接した状態においては、ヘッド圧調整カム62によって検知用スリット67aが遮蔽され、待機用カム部66aが被作用ローラー61aに接していることが検出される(図10参照)。待機用カム部66aが被作用ローラー61aに接した状態においては、ヘッド圧調整部材60の加圧ローラー60aがヘッド支持体58から離間され、印画ヘッド59がプラテンローラー68と離間されている。
ヘッド圧調整カム62が回転されたときに、横置用カム部66bが被作用ローラー61aに接した状態においては、ヘッド圧調整カム62によって検知用スリット67bが遮蔽され、横置用カム部66bが被作用ローラー61aに接していることが検出される(図1111参照)。横置用カム部66bが被作用ローラー61aに接した状態においては、ヘッド圧調整部材60の加圧ローラー60aによってヘッド支持体58が押圧され、印画ヘッド59がプラテンローラー68に圧着されている。
ヘッド圧調整カム62が回転されたときに、縦置用カム部66cが被作用ローラー61aに接した状態においては、ヘッド圧調整カム62によって検知用スリット67cが遮蔽され、縦置用カム部66cが被作用ローラー61aに接していることが検出される(図1212参照)。縦置用カム部66cが被作用ローラー61aに接した状態においては、ヘッド圧調整部材60の加圧ローラー60aによってヘッド支持体58が押圧され、印画ヘッド59がプラテンローラー68に圧着されている。このとき印画ヘッド59は横置用カム部66bが被作用ローラー61aに接している場合よりもプラテンローラー68に強く押し付けられており、例えば、1.5倍の圧力で押し付けられている。
このように、横置きモードに対して縦置きモードにおいては、ヘッド駆動機構57による印画ヘッド59からプラテンローラー68に対して付与される圧力が大きく、横置きモードにおけるヘッド機構56のプラテンローラー68に対する自重による圧力を考慮すると、両モードにおいて略一定の圧力がヘッド機構56からプラテンローラー68に付与される。
従って、プリンター1にあっては、縦置きモード又は横置きモードに拘わらず一定のヘッド圧により印画シート3000に対する適正な印画動作を行うことができる。
また、印画シート3000に対する印画ヘッド59による印画を行わない待機モードにおいては、印画ヘッド59とプラテンローラー68との間に所定の間隙が形成されているため、印画ヘッド59とプラテンローラー68との不必要な接触を回避して両者の摩耗等を防止することができると共に印画ブロック500への印画シート3000の良好な搬送動作を確保することができる。
状態認知手段による認知が行われたときには、上記したように、印画ヘッド59からプラテンローラー68に対して付与される圧力が調整されるが、このときシート収納ブロック100からシート取出ブロック900まで印画シート3000が搬送されるときに、該印画シート3000に押し付けられる各部、即ち、ピックアップローラー16、分離ローラー17、17、搬送ローラー25b、26b、中間ピックアップローラー55、ピンチローラー69、69、第1の折返用ローラー71、第2の折返用ローラー75、排出用ローラー77等の印画シート3000に対する圧力が上記状態認知手段の認知結果に応じて調整され、横置き及び縦置きの両モードにおいて略一定の圧力が印画シート3000に付与される。
従って、縦置き又は横置きに拘わらず搬送時に一定の圧力が印画シート3000に付与され、該印画シート3000の搬送動作の適正化を図ることができる。
印画ブロック500にはプラテンローラー68の前後に、それぞれピンチローラー69、69と該ピンチローラー69、69が圧着されるキャプスタン70、70とが支持されている(図3参照)。
ピンチローラー69、69の前方には第1の折返用ローラー71が支持され、該第1の折返用ローラー71には無端状の搬送ベルト72が圧着されている(図3参照)。搬送ベルト72は該搬送ベルト72に一定のテンションを付与するテンションローラー73、73、・・・の回転によって第1の折返用ローラー72の回転に伴って送られる。
中間搬送ブロック600は印画ブロック500の後方に配置され(図2参照)、押さえローラー74を備えている(図3参照)。押さえローラー74は、上記中間ピックアップローラー55を挟んで位置決めブロック400の押さえローラー36と反対側の位置において支持されている。中間ピックアップローラー55が右方側へ回動されると、該中間ピックアップローラー55は押さえローラー74に押し付けられ、印画シート3000が濃度測定ブロック700へ向けて搬送可能な状態とされる。
濃度測定ブロック700は、中間搬送ブロック600の後方に配置され(図2参照)、濃度測定ブロック700には搬送された印画シート3000の印画濃度を測定するための図示しない濃度測定器が配置されている。
濃度測定ブロック700には第2の折返用ローラー75が支持され、該第2の折返用ローラー75の回転中心を挟んで反対側の位置に、それぞれ第2の折返用ローラー75に圧着される圧着ローラー76、76が支持されている(図3参照)。第2の折返用ローラー75は、上記回動駆動部52のローラー回動用モーター52aの駆動力が伝達されて回転される。
シート排出ブロック800は濃度測定ブロック700の前方に配置され(図2参照)、印画シート3000を排出するための排出用ローラー77と該排出用ローラー77に圧着される送りローラー78とを備えている(図3参照)。
シート取出ブロック900はシート収納ブロック100の左側に配置され(図2参照)、シート取出ブロック900には排出用ローラー77によって排出される印画シート3000を取り出すためのシート取出空間79が形成されている(図3参照)。
筐体2の内部の前端部には、その左端側に寄ってファン80、80、80が上下に離間して配置されている。
以下に、プリンター1における印画シート3000の送り動作及び各ブロックにおける動作について説明する。尚、以下には、特に明示しない限り、プリンター1を縦置きモードで使用した場合の動作について説明する。
印画シート3000、3000、・・・は、そのシート面が水平方向を向いて積層された状態でシート収納ブロック100のシートカセット3内に収納され、該シートカセット3が筐体2の内部に着脱口2aから挿入されて装着されることにより取出機構15による印画シート3000の取出が可能な状態とされる。
シート収納ブロック100には収納された印画シート3000、3000、・・・の総厚み又は総枚数を検出する図示しない検出手段が設けられており、該検出手段の検出結果に基づいて調整機構8が動作される。調整機構8において駆動モーター9が回転されると、上記のように、押さえ板7が収納された印画シート3000に離接する方向へ移動される。
シートカセット3からの印画シート3000の取出が行われないときには、押さえ板7が印画シート3000に接する方向へ移動され、押さえ板7によって収納された印画シート3000、3000、・・・がシートカセット3のカバー体5側に押し付けられ、印画シート3000が転動ローラー6、6に接した状態とされる(図13参照)。従って、シートカセット3内に収納された印画シート3000、3000、・・・に反りが生じることがなく、ピックアップブロック200の取出機構15による取出動作の不良や取出時の印画シート3000の破損等といった不具合を防止することができる。
印画シート3000、3000、・・・は、プリンター1が横置きされた横置きモードにおいても縦置きされた縦置きモードにおいても押さえ板7によって押さえられるが、縦置きモードにおいては印画シート3000、3000、・・・の反りが発生し易いため、縦置きモードにおいて、特に、押さえ板7が効果的に機能する。
一方、シートカセット3から印画シート3000の取出が行われるときには、調整ギヤ14が回転され一時的に押さえ板7が印画シート3000から離間する方向へ移動され、収納された印画シート3000、3000、・・・がシートカセット3のカバー体5側に押し付けられた状態が解除される(図14参照)。従って、シートカセット3内に収納された印画シート3000を1枚ずつ取出機構15によって確実に取り出すことができる。
尚、プリンター1においては、押さえ手段として印画シート3000、3000、・・・の全面を押さえる押さえ板7を設けているが、例えば、押さえ手段として印画シート3000の搬送方向である前後方向に離間して上下に長い2本の押さえ軸をシートカセット3内に配置し、印画シート3000、3000、・・・のシート面の一部を押さえるようにしてもよい。押さえ軸の長さは印画シート3000のシート面の上下方向における幅と略同じか、又は、それ以上の長さに形成することが望ましい。
このように印画シート3000の搬送方向に少なくとも2つの押さえ手段を設けて押さえることによっても、印画シート3000、3000、・・・の反りの発生を効果的に防止することができる。
印画シート3000、3000、・・・はピックアップブロック200のピックアップローラー16によってシートカセット3から1枚ずつ取り出され、取り出されたシートカセット3000が分離ローラー17、17によって搬送ブロック300へ向けて送られる。取出機構15によって取り出される印画シート3000は、シートカセット3のカバー体5に支持された転動ローラー6、6に接している。従って、印画シート3000の取出機構15による取出時には転動ローラー6、6が回転されるため、印画シート3000を確実かつ容易に取り出すことができる。
印画シート3000の取出時には、被検出部材19の被検出部19aがローラー位置センサー21によって検出され、この検出結果に基づいてピックアップローラー16の位置検出が行われる。
ピックアップブロック200によって取り出され搬送ブロック300へ送られた印画シート3000は、搬送ブロック300において位置決めブロック400へ向けて搬送される。搬送ブロック300においては、印画シート3000は搬送ローラー25b、26bによって順に搬送される。
位置決めブロック400に搬送された印画シート3000は、固定側ベース板30と可動側ベース板31との間に形成された挿入空間50に挿入される。印画シート3000が挿入空間50に挿入されるときには、シート検出センサー37よって印画シート3000の挿入が検出される。
印画シート3000はシートカセット3に収納された状態において、位置決めブロック400において位置決めされる所定位置に対して距離Hだけ上方にシフトして位置されている(図15参照)。シートカセット3から取り出された印画シート3000は、ピックアップブロック200及び搬送ブロック300を経由して位置決めブロック400へ搬送されるが、この搬送中に重力の影響を受けて下方へずれながら、例えば、H′ずれて位置決めブロック400に送られる可能性があるが、ズレの予想量H′よりHが大きくされている。従って、印画シート3000は挿入空間50に挿入されるときに自重により下方へ移動され、挿入空間50に挿入された状態において印画シート3000の下端が可動側ベース板31の位置決めエッジ部46に接した状態とされ、所定位置に位置決めされる(図15参照)。
このようにプリンター1にあっては、搬送された印画シート3000が位置決めブロック400において所定位置に位置決めされるため、印画シート3000が位置決めブロック400から印画ブロック500の適正な印画位置に送られ、印画ブロック500において印画シート3000に対する印画不良を生じることなく適正な印画を行うことができる。
また、印画シート3000の位置決めブロック400における位置決めは、予め印画シート3000を位置決めブロック400における所定位置に対して上方にシフトするだけで行うことができるため、印画シート3000の位置決めを容易かつ確実に行うことができる。
印画シート3000は、上記のように、シートカセット3に収納された状態において、位置決めブロック400において位置決めされる所定位置に対して距離Hだけシフトして位置されている(図15参照)。従って、プリンター1が横置きにされた横置きモードにおいては、印画シート3000が挿入空間50に挿入されたときに、移動機構38が動作されて印画シート3000の所定位置への位置決めが行われる。
横置きモードにおいて、印画シート3000が挿入空間50に挿入されると、位置決め用モーター39の回転によりカムギヤ41が回転され、上記のシフト分可動側ベース板31が固定側ベース板30に対して移動されて印画シート3000が所定位置に位置決めされる。カムギヤ41が回転されると、その位置が位置センサー42によって検出される。
このようにプリンター1の横置きモードにおいても、移動機構38によって簡単かつ確実に印画シート3000の位置決めを行うことができる。
位置決めブロック400における印画シート3000の所定位置への位置決めが終了すると、ローラー回動用モーター52aにより回動レバー53が回動されて中間ピックアップローラー55が印画シート3000を介して押さえローラー36に圧着され、中間ピックアップローラー55の回転により印画シート3000が印画ブロック500へ向けて送られる。
印画シート3000が印画ブロック500へ送られると、ヘッド駆動機構57の駆動により、待機モードにおいてプラテンローラー68と離間されていた印画ヘッド59が印画シート3000及び図示しない記録リボンを介してプラテンローラー68に圧着され、印画ヘッド59がピンチローラー69、69によって送られる印画シート3000上を走査されて該印画シート3000に対して熱転写による印画が行われる。このとき、上記したように、ヘッド圧調整カム62が回転されてカム面66の被作用ローラー61aに対する位置が変化され、縦置きモード又は横置きモードに応じて印画ヘッド59のプラテンローラー68に対する圧力が変化される。
印画が終了した印画シート3000は、第1の折返用ローラー71と搬送ベルト72とによって方向転換されて中間搬送ブロック600へ向けて送られる。
中間搬送ブロック600に印画シート3000が送られると、ローラー回動用モーター52aが先程とは反対方向へ回転され、回動レバー53の回動動作によって中間ピックアップローラー55が印画シート3000を介して押さえローラー74に圧着されて印画シート3000が濃度測定ブロック700へ向けて搬送される。
濃度測定ブロック700に印画シート3000が搬送されると、濃度測定器によって印画シート3000の印画濃度が測定される。測定の結果、印画濃度にバラツキがある等の不具合が生じている場合には、例えば、筐体2に設けられた図示しない表示部に当該不具合がある旨が表示される。
印画シート3000は第2の折返用ローラー75と圧着ローラー76、76とによって方向転換されてシート排出ブロック800へ向けて送られる。
シート排出ブロック800に送られた印画シート3000は、排出用ローラー77と送りローラー78とによってシート取出ブロック900のシート取出空間79まで送られ、印画シート3000に対する送り動作が終了する。
上記した最良の形態において示した各部の具体的な形状及び構造は、何れも本発明の実施に際しての具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
1…プリンター、5…カバー体(シート受板)、6…転動ローラー、7…押さえ板(押さえ手段)、100…シート収納ブロック、200…ピックアップブロック、300…搬送ブロック、500…印画ブロック、800…シート排出ブロック、3000…印画シート