JP2005325390A - Cu−Ni−Si−Mg系銅合金条 - Google Patents

Cu−Ni−Si−Mg系銅合金条 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は,高い強度および良好な応力緩和特性を安定して有し,さらに製造性にも優れるCu−Ni−Si−Mg系銅合金条を提供することである。
【解決手段】1.0〜4.5質量%のNiを含有し、Niの質量%濃度に対し1/6〜1/4の濃度のSiを含有し、さらにMgを含有するCu合金であって,Mg濃度ならびにO,S,Se,Te,P,As,SbおよびBiの等価濃度(T)が
【数14】
Figure 2005325390

の範囲に調整したことを特徴とするCu−Ni−Si−Mg系銅合金条。

Description

本発明は、半導体機器のリ−ドフレ−ム材やコネクタ、端子、リレ−、スイッチ等の導電性ばね材として好適な、高い強度,耐応力緩和特性,導電性等を備えた銅合金に関するものである。
リ−ドフレ−ム、端子、コネクタ等に使用される電子材料用銅合金には、合金の基本特性として高い強度、高い電気伝導性又は熱伝導性を両立させることが要求される。また,これら特性以外にも,曲げ加工性,耐応力緩和特性,耐熱性,めっきとの密着性,半田濡れ性,エッチング加工性,プレス打ち抜き性,耐食性等が求められる。
特開昭61−250134 特開平05−345941 特開平09−209062 特開昭63−297531 特開平05−059468
一方,近年の電子部品の小型化、高集積化に対応して、リ−ドフレ−ム、端子、コネクタにおいては、リ−ド数の増加および狭ピッチ化が進み,部品形状も複雑化している。同時に、組立て時および実装後における信頼性向上の要求が高まっている。このような背景から,上述した銅合金素材の特性に対する要求レベルは,ますます高度化している。
高強度及び高導電性の観点から、近年,電子材料用銅合金としては従来のりん青銅、黄銅等に代表される固溶強化型銅合金に替わり、時効硬化型の銅合金の使用量が増加している。時効硬化型銅合金では、溶体化処理された過飽和固溶体を時効処理することにより、微細な析出物が均一に分散して、合金の強度が高くなると同時に、銅中の固溶元素量が減少し電気伝導性が向上する。このため、強度、ばね性などの機械的性質に優れ、しかも電気伝導性、熱伝導性が良好な材料が得られる。
時効硬化型銅合金のうち、Cu−Ni−Si系銅合金は高強度と高導電性とを併せ持つ代表的な銅合金であり、電子機器用材料として実用化されている。この銅合金では、銅マトリックス中に微細なNi−Si系金属間化合物粒子が析出することにより強度と導電率が上昇する。
Cu−Ni−Si系銅合金には,機械的特性等を改善するために,NiとSi以外の元素が追加で添加される場合が多い。特にMgは,Cu−Ni−Si系銅合金に添加される代表的な元素である。Mg添加の効果として,
a)強度および耐応力緩和特性が向上する(特開昭61−250134),
b)熱間加工性が向上する(特開平05−345941),
c)Mgが酸化物となって酸素をトラップすることにより、熱処理の際のSi酸化物の生成又は粗大化を阻止できる(特開平09−209062),
等が報告されている。工業的に生産されている代表的なCu−Ni−Si−Mg系銅合金条はC70250(CDA合金番号)であり,この合金はNiを2.2〜4.2質量%,Siを0.25〜1.2質量%,Mgを0.05〜0.3質量%の範囲で含有する。
Cu−Ni−Si−Mg系銅合金条の一般的な製造プロセスでは,まず大気溶解炉を用い,木炭被覆下で,電気銅,Ni,Si,Mg等の原料を溶解し,所望の組成の溶湯を得る。そして,この溶湯をインゴットに鋳造する。その後,熱間圧延,冷間圧延および熱処理を行い,所望の厚みおよび特性を有する条や箔に仕上げる。
上述したようにCu−Ni−Si系銅合金にMgを添加すると合金特性が格段に向上するが,特開昭63−297531でも報告されているように,Mgを添加すると鋳造の際の湯流れが低下し,インゴットの鋳肌に凹凸が生じやすくなる。鋳肌の劣化はMg添加量が増加するほど顕著になる。鋳肌に凹凸が発生すると,熱間圧延において,凹凸を起点とする表面割れが発生したり,凹凸がかさぶた状の表面欠陥に変化したりする。このような表面欠陥は次工程で切削し除去する必要があり,このためCu−Ni−Si系銅合金にMgを添加すると製造歩留まりが低下していた。
以上のような技術的背景により,Mg添加による特性改善効果を,より少ないMg添加量で得ることが,Cu−Ni−Si−Mg系銅合金条を工業的に製造する場合の課題となっていた。
特開平05−59468によれば,Cu−Ni−Si系銅合金にMgを添加する場合には,OおよびS濃度を0.0015質量%以下に低減しなければならない。OまたはSが0.0015%を超えると、Mgが多量の酸化物または硫化物となり、応力緩和特性に対するMg添加の効果が失われるためである。この発明は,Mg添加の特性改善効果を高めるためには,OおよびS濃度の管理が重要であることを示している。
本発明の課題は,高い強度および良好な応力緩和特性を安定して有し,さらに製造性にも優れるCu−Ni−Si−Mg系銅合金条を提供することである。
本発明者は,工業的に生産されているCu−Ni−Si−Mg系銅合金条について,成分組成と特性のデ−タを蓄積し解析した。その結果,OおよびS濃度が0.0015%以下であっても,Ni,SiおよびMg濃度が同等の材料間で,強度および応力緩和特性の無視できないばらつきが存在することが明らかになった。このことより,Cu−Ni−Si系銅合金に対するMg添加の効果を有効に発現させるためには,OおよびS濃度の管理だけでは不十分なことがわかった。
その後,少ないMg添加量で充分な特性改善効果を安定して得るための方法を研究し,O,Sだけではなく,Se,Te,P,As,SbおよびBiについても,濃度を管理する必要があることを見出した。
O,S,Se,Te,P,As,SbおよびBiは,5B族または6B族に属する非金属元素であり,それぞれMgとの間でMgO,MgS,MgSe,MgTe,Mg32,Mg3As2,Mg3Sb2およびMg3Bi2といった非金属介在物を形成する。非金属介在物を形成したMgは,Cu−Ni−Si系銅合金の特性向上には寄与せず,むしろ曲げ加工性や伸びを低下させ,合金の製造性も低下させる。
S,Se,Te,As,SbおよびBiは,Cu−Ni−Si−Mg系銅合金条の主要原料である電気銅が含有する代表的不純物である。電解前の粗銅中にかなりの濃度で含有され,そのなかの一部が電気銅中に残留する。S,Se,Te,AS,SbおよびBiの濃度を低く抑えるためには,原料として用いる電気銅中の不純物量を管理することが肝要である。
Pは溶銅の脱酸によく用いられる元素であり,P脱酸が適用される銅合金として,りん脱酸銅やりん青銅がある。工業的に製造されるCu−Ni−Si−Mg系銅合金条の原料には,Cu−Ni−Si−Mgの純原料だけではなく,銅合金スクラップも用いられる。P濃度を低く抑えるためには,Cu−Ni−Si−Mg系銅合金条に対してP脱酸を行わないことはもちろんのこと,Pを含有するスクラップを用いないことが重要である。
OはCu−Ni−Si−Mg系銅合金条を溶製する際に,大気から混入するほか,耐火物,溶湯被覆剤等の含有水分が還元されることによっても混入する。O濃度を低く抑えるためには,木炭被覆や溶解フラックス等により溶湯と大気との接触を避けること,溶湯と接触する部材を乾燥しその水分を充分に低減すること,原料の酸素量を管理すること,等が重要である。
さらに,本発明者は,C濃度とCu−Ni−Si−Mg系銅合金条の特性との間に相関があることも発見した。すなわち,O,S,Se,Te,P,AS,SbおよびBi濃度が同等であっても,C濃度が高いほど優れた強度および応力緩和特性が得られることを見出したのである。この理由については,溶湯中にCが存在すると,金属Mgとして溶湯中に存在するMgの割合が増加するためと推定された。
本発明は上記発見に基づき成されたものであり,請求項1に記載のように、1.0〜4.5質量%のNiを含有し、Niの質量%濃度に対し1/6〜1/4の濃度のSiを含有し、さらにMgを含有する銅合金であって,Mg濃度ならびにO,S,Se,Te,P,AS,SbおよびBiの等価濃度(T)を次式の範囲に調整したことを特徴とするCu−Ni−Si−Mg系銅合金条である。
Figure 2005325390
(1)Ni及びSi
Ni及びSiは、時効処理を行うことにより、Ni2Siを主とする金属間化合物の微細な粒子を形成する。その結果、合金の強度が著しく増加し,同時に電気伝導度も上昇する。Siの添加濃度(質量%)は、Niの添加濃度(質量%)の1/6〜1/4の範囲とする。Si添加量がこの範囲から外れると、導電率が低下する。Niは1.0〜4.5質量%の範囲で添加する。Niが1.0を下回ると充分な強度が得られない。Niが4.5質量%を超えると,熱間圧延で割れが発生する。
(2)Mg,O,S,Se,Te,P,AS,SbおよびBi濃度
O,S,Se,Te,P,AS,SbおよびBiは,それぞれMgO,MgS,MgSe,MgTe,Mg32,Mg3AS2,Mg3Sb2およびMg3Bi2を形成することにより,Cu−Ni−Si系銅合金に対するMg添加の効果を減ずる。全てのO,S,Se,Te,P,AS,SbおよびBiが,Mgとの間で上記化合物を形成するとき,化合物形成に消費されるMgの濃度は24Tと推算される。Tは不純物の等価濃度を示すパラメ−タであり,次式で与えられる。
Figure 2005325390
ここで,[%i]は元素iの含有濃度(質量%)である。また,24,16,32,79,128,31,75,122および209は,それぞれMg,O,S,Se,Te,P,AS,SbおよびBiの原子量である。不純物と化合物を形成していないフリ−のMg,すなわち特性改善に寄与するMgの濃度を[%Mg]0とすると,
Figure 2005325390
となる。[%Mg]0が強度および応力緩和特性と相関をもつことは,本発明者の実験によって確かめられた。この場合,[%Mg]0=0〜0.01の範囲では[%Mg]0が増加するとともに特性が急激に向上し,[%Mg]0が0.01を超えると,[%Mg]0増加による特性の向上は緩やかになった。そこで,十分なMg添加効果を得るための条件を,
Figure 2005325390
と規定する。この関係式により,不純物等価濃度(T)が決まっている場合はMgの最少添加濃度が規定され,Mg濃度が決まっている場合は不純物等価濃度(T)の最大許容値が規定される。
一方,Mg添加濃度[%Mg]は0.20%以下にする必要がある。Mgの添加量が0.20%を超えると,インゴットの鋳肌が劣化し,熱間圧延で表面欠陥が発生するためである。特に良好な鋳肌を求める場合には,[%Mg]を0.15%以下にすることが好ましい。
また,不純物等価濃度Tは,0.005以下にする必要がある。Tが0.005を超えると,Mg添加量を調整して式(3)の関係を満たしたとしても,MgO,MgS,MgSe,MgTe,Mg32,Mg3AS2,Mg3Sb2およびMg3Bi2といった非金属介在物が増加し,冷間圧延の際に介在物が表面に現出し表面傷が発生する,伸びや曲げ等の特性が劣化する等の不具合が生じるためである。以上,良好な特性および製造性が得られる条件をまとまると,
Figure 2005325390
となる。
なお,Cu−Ni−Si−Mg系合金において,S,Se,Te,AS,SbおよびBiの濃度を規制することは,特開昭63−297531でも提唱されているが,その目的は0.001〜0.01%のMgを含有するCu−Ni−Si−Mg系合金の熱間加工性を改善することである。一方,本発明のCu−Ni−Si−Mg系合金は,式(3)から明らかなように24T(不純物と化合物を形成するMgの推算値)に加え0.01%のMgを含有するため,上記不純物のうち固溶状態のものはほとんど存在しない。したがって,Mgに起因してインゴット鋳肌が若干劣ることはあっても,上記不純物の存在による熱間加工性の劣化はほとんど見られない。
また,特開昭63−297531でのMg添加量では最大でも0.01質量%と微量であるため,Cu−Ni−Si系銅合金の強度や応力緩和特性を充分に改善することはできない。
Cu−Ni−Si−Mg系銅合金において,Mg濃度と不純物濃度との関係に着目し,特性を改善する技術は過去に報告されてない。
(3)C濃度
Tおよび[%Mg]が同等であっても,0.0005質量%以上のCを含有すると,強度および応力緩和特性が向上する。しかし,C濃度が0.0015質量%を超えると,インゴットの粒界にCが偏析し,インゴットに粒界割れが発生する。特性改善効果と製造性を両立させるためのC濃度範囲は,0.0005〜0.0015質量%である。
なお,特開平11−43731では,Cを0.0003〜0.01質量%含有するCu−Ni−Si−Mg系銅合金が提唱されている。この発明でのC添加の目的は,スタンピング(プレス)の際のばり,だれ等を少なくすることであり,CがCu−Ni−Si−Mg系銅合金の強度および応力緩和特性を向上させることは述べられていない。このように発明の目的が異なるため,特開平11−43731の実施例における発明合金は,0.0015〜0.080質量%と高濃度のCを含有している。0.0015質量%以上のCを添加しても,強度および応力緩和特性はほとんど向上せず,合金の製造性が低下するのみである。
(4)Sn,Fe,CO,MO,Mn,Zn,Ag
Cu−Ni−Si−Mgの強度を改善するために,Sn,Fe,CO,MO,Mn,ZnおよびAgのうち一種以上を,添加することができる。
一種類以上の総量が0.01質量%以下では強度改善効果が小さく,一種類以上の総量が2.0質量%を超えると導電率が低下する。そこで,一種類以上を総量を0.01〜2.0質量%とする。
市販の電気銅をアノ−ドとして,硝酸銅浴中で電解を行い,カソ−ドに高純度銅を析出させた。この高純度銅中のS,Se,Te,P,AS,SbおよびBi濃度は,いずれも0.0001質量%未満であった。以下,この高純度銅を原料として用いた。
高周波誘導炉用い,内径60mm,深さ200 mmの黒鉛るつぼ中で2 kgの高純度銅を溶解した。溶銅表面を木炭片で覆った後,所定量のNi,SiおよびMgを添加し,溶銅温度を1200℃に調整した。次に,O,S,Se,Te,P,AS,Sb,Biを添加して不純物濃度を調整した。なおOの添加にはCu2Oを用い,O以外の不純物の添加には各元素の母合金等を用いた。その後,溶湯を金型に鋳込み,幅60mm,厚み30mmのインゴットを製造した。
次に,このインゴットを950℃で3時間加熱した後,厚さ8mmまで熱間圧延した。この熱間圧延板表面の酸化スケ−ルをグラインダ−で研削,除去した後,板厚0.2 mmまで冷間圧延した。溶体化処理として800℃で20秒間加熱し水中で急冷した後,化学研磨により表面酸化膜を除去した。その後,加工度25%の冷間圧延を行い,板厚を0.15mmとした。最後に,時効処理として水素中で460℃で6時間加熱した。
このように作製した試料について,次の試験を行った。
(1)成分分析
Ni,SiおよびMg濃度をICP−発光分光法で,O濃度を不活性ガス溶融−赤外線吸収法で,S,Se,Te,P,AS,SbおよびBi濃度をICP−質量分析法で,C濃度を燃焼−赤外線吸収法でそれぞれ測定した。
(2)0.2%耐力
引張り方向が圧延方向と平行になる方向に,JIS−Z2201(2003年)に規定された13B号試験片を採取した。この試験片を用いてJIS−Z2241(2003年)に従って引張試験を行い0.2%耐力を求めた。
(3)応力緩和率
幅10mm,長さ100mmの短冊形状の試験片を,試験片の長手方向が圧延方向と平行になるように採取した。図1のように,l=50mmの位置を作用点として,試験片にy0のたわみを与え,0.2%耐力の80%に相当する応力(σ0)を負荷した。y0は次式により求めた。
0=(2/3)・l2・σ0 / (E・T)
ここで,Eはヤング率(131 GPa)であり,Tは試料の厚みである。150℃にて1000時間加熱後に除荷し,図2のように永久変形量(高さ)yを測定し,応力緩和率{[y(mm)/y0(mm)]×100(%)}を算出した。
表1に,成分組成,0.2%耐力および応力緩和率を示す。全ての試料のC濃度は,0.0008〜0.0010質量%の範囲に収まっていた。
Figure 2005325390
本発明例No.1〜14では,
Figure 2005325390
が満たされおり,600MPaを超える高い耐力,および15%を下回る低い応力緩和率が得られている。また,[%Mg]が0.15%以下であるNo.1〜13のインゴット鋳肌は良好であり,熱間圧延後のグラインダ−研削において,表面を0.5mm除去することにより,良好な表面品質が得られた。[%Mg]が0.15〜0.20のNo.14については,良好な表面品質を得るために必要な熱間圧延板表面のグラインダ−研削量は1 mmであった。
一方,比較例であるNo.15〜18は,
Figure 2005325390
であり,0.2%耐力が600MPaを下回り,応力緩和率が20%を超えた。
また,比較例のNo.19は[%Mg]が0.2を超えているため,熱間圧延板の表面を1 mm研削しても,割れ状の部位が表面に残留した。引張試験および応力緩和特性用の試験片は,この表面欠陥部を外して採取した。
さらに,Tが0.005を超えているNo.20については,表面に存在する非金属介在物に起因して,冷間圧延の際に,表面傷が発生した。
図3,4にそれぞれ,[%Mg]−24Tと0.2%耐力および応力緩和率との関係を示す。[%Mg]−24Tは,不純物と化合物を形成していないフリ−なMgの濃度を表すパラメ−タである。
(1)
Figure 2005325390
の範囲において,[%Mg]−24Tが増加すると特性が急激に向上すること,
(2)
Figure 2005325390
の範囲では, [%Mg]−24Tが増加すると,特性が緩やかに向上すること,
(3)
Figure 2005325390
の範囲では, [%Mg]−24Tが増加しても特性がほとんど変化しないこと,
がわかる。
高周波誘導炉用い,内径60mm,深さ200 mmの黒鉛るつぼまたはアルミナるつぼ中で,2 kgの高純度銅を溶解した。溶銅表面を木炭片で覆った後,所定量のNi,Si,Mgを添加し,溶湯温度を1150〜1450℃の温度で10分間保持した。黒鉛るつぼを用いる替わりにアルミナるつぼを用いることにより,Cu−Ni−Si−Mg中のC濃度が低くなる。また,Cu−Ni−Si−Mg中のCの溶解度は,高温ほど大きくなるので,溶湯の保持温度が高いほどC濃度が高くなる。
その後,O,S,Se,Te,P,AS,Sb,Biを添加して不純物濃度を調整した後,溶湯温度を1200℃に調整し,溶湯を金型に鋳込み,幅60mm,厚み30mmのインゴットを製造した。
次に,このインゴットを950℃で3時間加熱した後,厚さ8mmまで熱間圧延した。この熱延材表面の酸化スケ−ルをグラインダ−で研削,除去した後,板厚0.3 mmまで冷間圧延した。溶体化処理として800℃で20秒間加熱し水中で急冷した後,化学研磨により表面酸化膜を除去した。その後,加工度50%の冷間圧延を行い板厚を0.15mmとし,水素中で440℃で6時間の時効処理を行った。時効後,加工度20%の冷間圧延を行い板厚を0.12mmとし,最後に水素中で300℃で30分間加熱し歪取り焼鈍を行った。実施例1の工程が曲げや伸び等の延性を重視した工程であるのに対し,実施例2の工程は強度を重視した工程である。
作製した試料について,実施例1と同様の方法で,成分分析を行い,0.2%耐力および応力緩和特性を評価した。
Figure 2005325390
表2に,成分組成,0.2%耐力および応力緩和率を示す。Tを0.0005程度に調整し,るつぼの種類および溶湯保持温度によりC濃度を変化させている。図5,6に示すように,
Figure 2005325390
の範囲において,C濃度の増加とともに,0.2%耐力が増加し,応力緩和率が低下している。C添加の効果は,[%C]=0.0005%でほぼ飽和している。0.00015質量%を超えるCを含有するNo.27〜28では,インゴットの内部において,Cの粒界偏析に起因する割れが発生し,この割れにより製造歩留まりが低下した。
Sn,Fe,CO,MO,Mn,Zn,Ag等の元素を添加したCu−Ni−Si−Mg系銅合金条について,本発明の効果を検証した。実験方法は,実施例1と同じである。ただし,Sn,Fe,CO,MO,Mn,ZnおよびAg濃度はICP−発光分光法で測定した。
Figure 2005325390
表3に評価結果を示す。Sn,Fe,CO,MO,Mn,Zn,Ag等の元素を添加したCu−Ni−Si−Mg系銅合金条においても,
Figure 2005325390
に調整することにより,0.2%耐力が上昇し,応力緩和率が小さくなることがわかった。
応力緩和試験法の説明図である。 応力緩和試験法の永久変形量に関する説明図である。 [%Mg]−24Tと0.2%耐力との関係を示す図である。 [%Mg]−24Tと応力緩和率との関係を示す図である。 C濃度と0.2%耐力との関係を示す図である。 C濃度と応力緩和率との関係を示す図である。

Claims (3)

  1. 1.0〜4.5質量%のNiを含有し、Niの質量%濃度に対し1/6〜1/4の濃度のSiを含有し、さらにMgを含有するCu合金であって,Mg濃度ならびにO,S,Se,Te,P,As,SbおよびBiの等価濃度(T)を次式の範囲に調整したことを特徴とするCu−Ni−Si−Mg系銅合金条。
    Figure 2005325390
  2. 0.0005〜0.0015質量%のCを含有することを特徴とする請求項1のCu−Ni−Si−Mg系銅合金条。
  3. Sn,Fe,Co,Mo,Mn,Zn,Agのうち1種類以上を総量で0.01〜2.0質量%含有することを特徴とする請求項1および2のCu−Ni−Si−Mg系銅合金条。
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