JP2005325310A - 導電性グリース組成物及び転動装置 - Google Patents

導電性グリース組成物及び転動装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高温下においても優れた導電性を示すとともに離油しにくく、また、転動装置に使用した場合に漏洩しにくい導電性グリース組成物を提供する。
【解決手段】基油とカーボンブラックとを含有する導電性グリース組成物において、前記基油は、鉱油及び合成油の少なくとも一方を含有し、前記カーボンブラックは、平均一次粒径が10nm以上200nm以下で且つ比表面積が20m2 /g以上80m2/g以下の第一カーボンブラックと、平均一次粒径が10nm以上200nm以下で且つ比表面積が200m2/g以上1500m2/g以下の第二カーボンブラックと、を含有することを特徴とする導電性グリース組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、導電性に優れたグリース組成物及び転動装置に関する。
一般の事務機器や情報機器、例えば複写機においては、その可動部分には多数の転がり
軸受が使用されている。このような転がり軸受の内外輪の軌道面と転動体との間には回転
中は油膜が形成されていて、軌道面と転動体とは非接触となっている。このような転がり
軸受においては回転に伴って静電気が発生するため、その放射ノイズが複写機の複写画像
に歪み等の悪影響を及ぼす等の不都合が生じる場合がある。
このような不都合が生じることを防止するため、導電性グリースを転がり軸受内部に封
入することにより、内外の軌道輪及び転動体を導電状態にするとともに、内外の軌道輪の
うち一方を接地することにより、静電気を該転がり軸受から除去するという対策が取られ
ている。そして、導電性グリースとしては、カーボンブラックを増ちょう剤及び導電性付
与添加剤として添加したものが主流であった(例えば、特許文献1に記載のもの)。
しかしながら、このような導電性グリースを封入した転がり軸受は、初期においては優
れた導電性を示す(内外の軌道輪及び転動体が導電状態となっている)ものの、導電性が
経時的に低下して転がり軸受の内外輪間の電気抵抗値(以降は軸受抵抗値と記す)が大き
くなることがあるという問題点があった。そして、このような現象の原因としては、以下
のようなことが考えられた。
すなわち、導電性グリースは当初は転がり軸受の軌道輪の軌道面と転動体との接触面に
十分に存在していて、その導電性グリース中のカーボンブラックにより、軌道輪と転動体
との間の導電性が確保されるが、軌道輪と転動体との相対運動により、時間の経過ととも
に導電性グリースが前記接触面から排除されたり、また、カーボンブラック粒子のチェー
ンストラクチャーが破壊されたりするため、導電性が低下して軸受抵抗値が経時的に大き
くなるという現象が生じるのである。
また、特許文献2にも記載されているように、長時間にわたって転がり軸受を回転させ
た場合には、転がり軸受の軌道面に生じる酸化被膜が内外輪間の電気抵抗値を上昇させる
とも言われている。この対策としては、転がり軸受の転がり接触面を保護するために極圧
添加剤や摩耗防止剤を用いる方法(特許文献2を参照)や、無機化合物微粒子を配合する
方法(特許文献3を参照)がある。しかしながら、極圧添加剤は、一般的には高温では効
果が小さい場合が多い。また、単に無機化合物微粒子を添加した場合は、グリースが経時
的に硬化又は軟化したり、長期的に離油度が安定しないことが多い。
さらに、複写機,レーザービームプリンタ等の事務機器のヒートローラ支持部や定着部
などは、約200℃の高温となる場合がある。よって、該部分に使用される転がり軸受に
用いる導電性グリースは、通常の潤滑油を基油として用いたものでは耐熱性が十分ではな
いため、長期にわたって十分な導電性を確保することは困難であった。
通常、導電性グリースの基油として使用される潤滑油としては、例えば、鉱油,ポリα
−オレフィン,エーテル油,エステル油などがあげられるが、これらの基油の使用限界温
度はせいぜい160℃である。そのため、上記のような高温となる部分に用いられる転が
り軸受においては、導電ブラシを用いて静電気を除去するという旧来の方法が依然として
用いられている。
さらに、特許文献4には、フタル酸ジブチル吸収量(以降はDBP吸収量と記す)の小
さいカーボンブラックを比較的多量に配合して、長期間にわたる導電性の安定化を図った
導電性グリースが記載されている。事務機器や情報機器には、グリースや油分により劣化
が促進されやすい樹脂部品が多用されているため、転がり軸受からのグリース漏れや油分
の分離は極力少ない方が好ましいが、特許文献4に記載の導電性グリースは、増ちょう剤
でもあるカーボンブラックのDBP吸収量が小さいため、特に高温において離油度が高く
なるおそれがある。
また、特許文献5及び6には、高温耐久性を考慮してフッ素油及びカーボンブラックを
基本成分とする導電性グリースが記載されているが、離油度や転がり軸受に封入して使用
した場合のグリース漏洩の問題について、改善の余地がある。
特公昭63−24038号公報 特開2002−80879号公報 特開2003−42166号公報 特開2002−53890号公報 特開2001−304276号公報 特開2002−250353号公報
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、高温下においても優
れた導電性を示すとともに離油しにくく、また、転がり軸受等の転動装置に使用した場合
に漏洩しにくい導電性グリース組成物を提供することを課題とする。また、本発明は、高
温下においても優れた導電性を示し、且つ、グリース組成物の漏洩が生じにくい転動装置
及び深溝玉軸受を提供することを併せて課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る
請求項1の導電性グリース組成物は、基油とカーボンブラックとを含有する導電性グリー
ス組成物において、前記基油は、鉱油及び合成油の少なくとも一方を含有し、前記カーボ
ンブラックは、平均一次粒径が10nm以上200nm以下で且つ比表面積が20m2
g以上80m2 /g以下の第一カーボンブラックと、平均一次粒径が10nm以上200
nm以下で且つ比表面積が200m2 /g以上1500m2 /g以下の第二カーボンブラ
ックと、を含有することを特徴とする。
このような構成であれば、高温下においても優れた導電性を示し、且つ、高温下におい
ても離油しにくい。また、転がり軸受等の転動装置に使用した場合にも、転動装置から外
部に漏洩しにくい。すなわち、第一カーボンブラックにより優れた導電性が付与され、且
つ、第二カーボンブラックにより離油が抑制される。そして、両カーボンブラックがとも
に含有されていることにより、カーボンブラック同士の凝集が抑制され、グリース組成物
に適度な流動性が付与される。
両カーボンブラックの比表面積が前記範囲内であれば、前述のような優れた効果が得ら
れるが、第一カーボンブラックの比表面積は23m2 /g以上80m2 /g以下であるこ
とがより好ましく、23m2 /g以上60m2 /g以下であることがさらに好ましく、2
7m2 /g以上42m2 /g以下であることが最も好ましい。また、第二カーボンブラッ
クの比表面積は250m2 /g以上1000m2 /g以下であることがより好ましく、3
20m2 /g以上1000m2 /g以下であることがさらに好ましく、370m2 /g以
上800m2 /g以下であることが最も好ましい。なお、本発明における比表面積の数値
は、窒素吸着法により測定された値である。
また、平均一次粒径が10nm未満であると、カーボンブラック同士が凝集する可能性
が高くなり、200nm超過であると、導電性グリース組成物の流動性が阻害されるおそ
れがある。このような問題がより生じにくくするためには、両カーボンブラックの平均一
次粒径は、10nm以上100nm以下であることがより好ましく、10nm以上80n
m以下であることがさらに好ましく、13nm以上70nm以下であることが最も好まし
い。
また、本発明に係る請求項2の導電性グリース組成物は、請求項1に記載の導電性グリ
ース組成物において、前記第一カーボンブラックのDBP吸収量は30ml/100g以
上160ml/100g以下であり、前記第二カーボンブラックのDBP吸収量は80m
l/100g以上500ml/100g以下であることを特徴とする。
第一カーボンブラックのDBP吸収量が30ml/100g未満であると、第一カーボ
ンブラックの導電性グリース組成物中への分散性が不十分となりやすく、160ml/1
00gを超えると、カーボンブラック同士の凝集を防止する効果が低くなる。このような
問題がより生じにくくするためには、第一カーボンブラックのDBP吸収量は、50ml
/100g以上160ml/100g以下であることがより好ましく、60ml/100
g以上150ml/100g以下であることがさらに好ましく、67ml/100g以上
140ml/100g以下であることが最も好ましい。
また、第二カーボンブラックのDBP吸収量が80ml/100g未満であると、基油
の漏洩等が生じやすくなり、500ml/100gを超えると、カーボンブラック同士が
凝集する傾向が強くなる。このような問題がより生じにくくするためには、第二カーボン
ブラックのDBP吸収量は、90ml/100g以上450ml/100g以下であるこ
とがより好ましく、100ml/100g以上400ml/100g以下であることがさ
らに好ましく、140ml/100g以上360ml/100g以下であることが最も好
ましい。
さらに、本発明に係る請求項3の導電性グリース組成物は、請求項1又は請求項2に記
載の導電性グリース組成物において、前記合成油は、40℃における動粘度が10mm2
/s以上500mm2 /s以下の合成炭化水素油であることを特徴とする。
合成炭化水素油は耐熱性が優れているので、基油として合成炭化水素油を含有する導電
性グリース組成物は、高温下においてより優れた導電性を示す。また、合成炭化水素油は
樹脂に対するケミカルアタックが小さいので、仮に導電性グリース組成物又は基油が転が
り軸受等の転動装置から漏洩して周辺の樹脂製部品に接触しても、樹脂製部品の劣化が生
じにくい。
合成炭化水素油の40℃における動粘度が10mm2 /s未満であると、耐熱性が不十
分となるおそれがあり、500mm2 /s超過であると、転動装置に使用した際のトルク
が過大になるおそれがある。200℃程度の高温下で使用される転動装置に封入される場
合には、トルク性能と耐熱性との兼ね合いから、合成炭化水素油の40℃における動粘度
は、20mm2 /s以上200mm2 /s以下であることがより好ましく、25mm2
s以上100mm2 /s以下であることがさらに好ましい。
さらに、本発明に係る請求項4の導電性グリース組成物は、請求項1〜3のいずれか一
項に記載の導電性グリース組成物において、前記第一カーボンブラックと前記第二カーボ
ンブラックとの質量比は、25:75以上95:5以下であり、前記第一カーボンブラッ
クと前記第二カーボンブラックとの合計の含有量は、組成物全体の1.5質量%以上20
質量%以下であることを特徴とする。
このような構成であれば、両カーボンブラックの特性のバランスがとれて、導電性グリ
ース組成物の導電性及び流動性が良好となる。また、転動装置からの漏洩や基油の離油が
生じにくくなる。
第一カーボンブラックと第二カーボンブラックとの合計量における第一カーボンブラッ
クの割合が25質量%未満(すなわち第二カーボンブラックの割合が75質量%超過)で
あると、カーボンブラックによる増粘効果が大きくなるので全カーボンブラックの含有量
を少なくできるが、高温下における離油が大きくなるおそれがある。一方、第二カーボン
ブラックの割合が5質量%未満(すなわち第一カーボンブラックの割合が95質量%超過
)であると、基油の保持力が不十分となるため、全カーボンブラックの含有量を多くする
必要がでてくる。また、初期の導電性は良好であるが、長期間にわたって良好な導電性を
維持できないおそれがある。
このような問題がより生じにくくするためには、第一カーボンブラックと第二カーボン
ブラックとの質量比は、50:50以上95:5以下であることがより好ましく、75:
25以上90:10以下であることがさらに好ましく、75:25以上88:12以下で
あることが最も好ましい。
また、第一カーボンブラックと第二カーボンブラックとの合計の含有量が、導電性グリ
ース組成物全体の1.5質量%未満であると、導電性が不十分となるおそれがあるととも
に、基油の離油が十分に抑制できないおそれがある。一方、20質量%超過であると、導
電性グリース組成物の流動性が低下するおそれがある。
このような問題がより生じにくくするためには、第一カーボンブラックと第二カーボン
ブラックとの合計の含有量は、導電性グリース組成物全体の3質量%以上17質量%以下
であることがより好ましく、5質量%以上15質量%以下であることがさらに好ましく、
7質量%以上13質量%以下であることが最も好ましい。
さらに、本発明に係る請求項5の導電性グリース組成物は、請求項1〜4のいずれか一
項に記載の導電性グリース組成物において、平均一次粒径が5nm以上10μm以下であ
る金属酸化物,金属窒化物,金属炭化物,粘土鉱物,クラスターダイヤモンド,及びフラ
ーレンのうち一種以上の粉末を、組成物全体の0.05質量%以上5質量%以下含有する
ことを特徴とする。
このような構成であれば、転動装置の軌道面や転動体表面に酸化被膜が生成することを
抑制することができる。前述の各粉末の平均一次粒径が5nm未満であると、酸化被膜の
生成を防止する効果が不十分となり、10μm超過であると、転がり軸受等の転動装置に
使用した場合に異物として作用するおそれがある。このような問題がより生じにくくする
ためには、平均一次粒径は5nm以上2μm以下であることがより好ましく、10nm以
上500nm以下であることがさらに好ましく、10nm以上200nm以下であること
が最も好ましい。
また、粉末の含有量が導電性グリース組成物全体の0.05質量%未満であると、酸化
被膜の生成を防止する効果が乏しく、5質量%超過であると、導電性グリース組成物の流
動性が低下したり、軌道面や転動体表面を過剰に削り取ってしまうおそれがある。このよ
うな問題がより生じにくくするためには、粉末の含有量は、導電性グリース組成物全体の
0.05質量%以上2質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上1質量%
以下であることがさらに好ましく、0.1質量%以上0.5質量%以下であることが最も
好ましい。
さらに、本発明に係る請求項6の導電性グリース組成物は、請求項1〜5のいずれか一
項に記載の導電性グリース組成物において、繊維長さが5nm以上10μm以下で且つア
スペクト比が5以上1000以下であるカーボンナノチューブ,カーボンナノファイバー
,カーボンナノホーン,炭素繊維,及び金属酸化物ウイスカーのうち一種以上を、組成物
全体の0.05質量%以上5質量%以下含有することを特徴とする。
このような繊維状物を含有する導電性グリース組成物は、導電性がより優れている。前
述の各繊維状物の繊維長さが5nm未満であると、導電性を向上させる効果が乏しく、1
0μm超過であると、転がり軸受等の転動装置に使用した場合に異物として作用するおそ
れがある。また、繊維状物の含有量が導電性グリース組成物全体の0.05質量%未満で
あると、導電性を向上させる効果が乏しく、5質量%超過であると、導電性グリース組成
物の流動性が低下するおそれがある。
さらに、本発明に係る請求項7の導電性グリース組成物は、請求項1〜6のいずれか一
項に記載の導電性グリース組成物において、混和ちょう度が200以上300以下である
ことを特徴とする。
混和ちょう度が200未満であると、導電性グリース組成物が硬いため流動性が不十分
であり、300超過であると、導電性グリース組成物がやわらかいため転動装置からの漏
洩等が生じるおそれがある。
なお、混和ちょう度を調整するために、増ちょう剤を添加してもよい。増ちょう剤の種
類は特に限定されるものではないが、平均一次粒径が5nm以上10μm以下の金属石け
ん(例えば12−ヒドロキシステアリン酸リチウム),ウレア化合物(例えばジウレア)
が好ましい。平均一次粒径が5nm未満であると増ちょう効果が乏しく、10μm超過で
あると、転がり軸受等の転動装置に使用した場合に異物として作用するおそれがある。
さらに、本発明に係る請求項8の導電性グリース組成物は、請求項1〜7のいずれか一
項に記載の導電性グリース組成物において、転がり軸受用であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項9の転動装置は、外面に軌道面を有する内方部材と、該内
方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配置された外方部材と、前
記両軌道面間に転動自在に配置された複数の転動体と、を備える転動装置において、前記
内方部材と前記外方部材との間に形成された空隙部内に、請求項1〜7のいずれか一項に
記載の導電性グリース組成物を充填したことを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項10の深溝玉軸受は、内輪と、外輪と、前記両輪の間に転
動自在に配置された複数の玉と、前記両輪のいずれか一方に取り付けられて前記両輪の間
に介在されたシール又はシールドと、を備える深溝玉軸受において、前記両輪の間に形成
された空隙部内に、請求項1〜8のいずれか一項に記載の導電性グリース組成物を、前記
空隙部の容積の15体積%以上35体積%以下充填したことを特徴とする。
前述のような導電性グリース組成物は、転がり軸受等の転動装置に好適であり、特に、
シール又はシールドを備えた深溝玉軸受に好適である。本発明の転動装置は、導電性,耐
熱性,耐久性が優れており、且つグリース組成物の漏洩が生じにくい。導電性グリース組
成物の充填量は、深溝玉軸受の場合には、前記空隙部の容積の15体積%以上35体積%
以下が好ましい。15体積%未満であると、導電性グリース組成物の量が少なすぎて早期
に潤滑不良に陥るおそれがあり、35体積%超過であると、導電性グリース組成物が漏洩
しやすい。
なお、本発明は、種々の転動装置に適用することができる。例えば、転がり軸受,ボー
ルねじ,リニアガイド装置,直動ベアリング等である。ここで、本発明における内方部材
とは、転動装置が転がり軸受の場合には内輪、同じくボールねじの場合にはねじ軸、同じ
くリニアガイド装置の場合には案内レール、同じく直動ベアリングの場合には軸をそれぞ
れ意味する。また、外方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には外輪、同じくボール
ねじの場合にはナット、同じくリニアガイド装置の場合にはスライダ、同じく直動ベアリ
ングの場合には外筒をそれぞれ意味する。
本発明の導電性グリース組成物は、高温下においても優れた導電性を示すとともに離油
しにくく、また、転がり軸受等の転動装置に使用した場合に漏洩しにくい。また、本発明
の転動装置及び深溝玉軸受は、高温下においても優れた導電性を示し、且つ、グリース組
成物の漏洩が生じにくい。
本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1の深溝玉軸受は、内輪1と、外輪2と、内輪1及び外輪2の間に転動自在に配置さ
れた複数の玉3と、内輪1及び外輪2の間に複数の玉3を保持する保持器4と、外輪2の
両端部の内周面に取り付けられたシールド5,5と、を備えている。このシールド5は内
輪1及び外輪2の間に介在され、内輪1の外周面と外輪2の内周面との間の開口部分をほ
ぼ覆っている。また、内輪1及び外輪2の間に形成された空隙部内には、導電性グリース
組成物6が充填されており、シールド5により深溝玉軸受内部に密封されている。充填さ
れている導電性グリース組成物6の量は、空隙部の容積の15体積%以上35体積%以下
である。
この導電性グリース組成物6は、基油と2種のカーボンブラックとからなり、混和ちょ
う度が200以上300以下であるが、所望により酸化被膜生成防止剤,導電性向上剤等
の各種添加剤を含有していてもよい。
2種のカーボンブラックのうち第一カーボンブラックは、平均一次粒径が10nm以上
200nm以下、比表面積が20m2 /g以上80m2 /g以下、DBP吸収量が30m
l/100g以上160ml/100g以下であり、第二カーボンブラックは、平均一次
粒径が10nm以上200nm以下、比表面積が200m2 /g以上1500m2 /g以
下、DBP吸収量が80ml/100g以上500ml/100g以下である。
そして、導電性グリース組成物6に含まれる第一カーボンブラックと第二カーボンブラ
ックとの質量比は、25:75以上95:5以下であり、第一カーボンブラックと第二カ
ーボンブラックとの合計の含有量は、導電性グリース組成物6全体の1.5質量%以上2
0質量%以下である。
このようなカーボンブラックは、平均一次粒径,比表面積,DBP吸収量をもとにして
、各種市販品から選定するとよい。例えば、東海カーボン株式会社製の「トーカブラック
」シリーズや「シースト」シリーズ、三菱化学株式会社製の「三菱カーボンブラック」シ
リーズ、電気化学工業株式会社製の「デンカブラック」シリーズ、ライオンアクゾ社製の
「ケッチェンブラック」シリーズが使用できる。また、いわゆるアセチレンブラックやフ
ライアッシュ等も、平均一次粒径,比表面積等の性状が本発明の範囲内であれば使用する
ことができる。
具体的には、第一カーボンブラックとしては、「トーカブラック」シリーズのトーカブ
ラック#7360SB,#7350/F,#7270SB,#7100F,#7050,
#4500,#4400,#4300,#3845,#3800や、「シースト」シリー
ズのシースト3,NH,N,116HM,116,FM,SO,V,SVH,FY,S,
SPが使用できる。また、「三菱カーボンブラック」シリーズのMA220,MA230
,#25,#20,#10,#5,#95,#260,#3030,#3050,CF9
や、「デンカブラック」シリーズのデンカブラック粒状品,粉状品,HS−100等が使
用できる。
これらの中では、トーカブラック#7050(平均一次粒径66nm、比表面積28m
2 /g、DBP吸収量66ml/100g),シーストV(平均一次粒径62nm、比表
面積27m2 /g、DBP吸収量87ml/100g),シーストSVH(平均一次粒径
62nm、比表面積32m2 /g、DBP吸収量140ml/100g),シーストS(
平均一次粒径66nm、比表面積27m2 /g、DBP吸収量68ml/100g),デ
ンカブラックHS−100(平均一次粒径48nm、比表面積39m2 /g、DBP吸収
量140ml/100g)が好適に使用できる。
また、第二カーボンブラックとしては、トーカブラック#8500/F,#8300/
F,#5500や、三菱カーボンブラック#2700,#2650,#2600,#24
00,#2350,#2300,#2200,#990,#980,#970,#960
,#950,#900,#850,#3230や、ケッチェンブラックEC等が使用でき
る。
これらの中では、トーカブラック#5500(平均一次粒径25nm、比表面積225
2 /g、DBP吸収量155ml/100g),三菱カーボンブラック#3230(平
均一次粒径23nm、比表面積220m2 /g、DBP吸収量140ml/100g),
ケッチェンブラックEC(平均一次粒径30nm、比表面積800m2 /g、DBP吸収
量360ml/100g)が好適に使用できる。
また、基油としては、鉱油や合成油が好適である。鉱油としては、例えばパラフィン系
鉱油やナフテン系鉱油があげられ、合成油としては、例えばエステル油,エーテル油,ポ
リグリコール油,シリコン油,合成炭化水素油,フルオロシリコーン油,フッ素油があげ
られる。これらの中では、耐熱性の高さと樹脂に対するケミカルアタックの小ささを考慮
すると、フッ素油や合成炭化水素油が好ましく、特にパーフルオロポリエーテル油,ポリ
α−オレフィン油(以降はPAO油と記す)が好ましい。また、200℃以上での使用を
考慮すると、パーフルオロポリエーテル油が最適である。
さらに、導電性グリース組成物6に所望により添加される酸化被膜生成防止剤としては
、平均一次粒径が5nm以上10μm以下である金属酸化物,金属窒化物,金属炭化物,
粘土鉱物,クラスターダイヤモンド,及びフラーレンのうち一種以上の粉末が好ましい。
具体例としては、シリカ(酸化ケイ素),アルミナ(酸化アルミニウム),酸化チタン
,酸化亜鉛,酸化ジルコニウム,チタン酸バリウム,チタン酸ジルコニウム,窒化ケイ素
,窒化ジルコニウム,窒化クロム,炭化ケイ素,炭化チタン,炭化タングステン,スメク
タイト,ベントナイト,窒化硼素,カーボンナイトライド,C60フラーレン,C72フラー
レン,C84フラーレン等があげられる。これらの中では、酸化マグネシウム,酸化亜鉛,
酸化ジルコニウム等の金属酸化物が特に好適であり、酸化マグネシウムが最適である。
酸化被膜生成防止剤の添加量は、導電性グリース組成物6全体の0.05質量%以上5
質量%以下が好ましい。
さらに、導電性グリース組成物6に所望により添加される導電性向上剤としては、繊維
長さが5nm以上10μm以下で且つアスペクト比が5以上1000以下であるカーボン
ナノチューブ,カーボンナノファイバー,カーボンナノホーン,炭素繊維,及び金属酸化
物ウイスカーのうち一種以上が好ましい。これらの中では、カーボンナノチューブが特に
好適である。
導電性向上剤の添加量は、導電性グリース組成物6全体の0.05質量%以上5質量%
以下が好ましい。
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定さ
れるものではない。
例えば、導電性グリース組成物6には、混和ちょう度を調整するために増ちょう剤を添
加してもよい。増ちょう剤の種類は特に限定されるものではないが、前述の金属石けんが
好ましい。
また、本実施形態においては、転動装置の例として深溝玉軸受をあげて説明したが、転
がり軸受の種類は深溝玉軸受に限定されるものではなく、本発明は様々な種類の転がり軸
受に対して適用することができる。例えば、アンギュラ玉軸受,自動調心玉軸受,円筒こ
ろ軸受,円すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受
や、スラスト玉軸受,スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。
さらに、本発明は、転がり軸受に限らず、他の種類の様々な転動装置に対して適用する
ことができる。例えば、ボールねじ,リニアガイド装置,直動ベアリング等である。
導電性グリース組成物を封入した転がり軸受について回転試験を行い、回転時の軸受抵
抗値を測定した。以下に、試験方法を説明する。
図2に示すような装置に深溝玉軸受を装着して、回転中の内外輪間の電気抵抗値(最大
値)を測定した。図2中、符号11は測定対象の深溝玉軸受を表し、その内輪11aに取
付けられた軸部材12をモータ13で回転駆動することによって軸受11を回転するよう
に構成されている。そして、内輪11aと一体となっている軸部材12と外輪11bとの
間に、定電圧電源14によって所定の定電圧が印加される。
この定電圧電源14と並列に接続されている抵抗測定装置15は、測定した電圧値(ア
ナログ値)をA/D変換回路16に出力する。A/D変換回路16は、予め設定されたサ
ンプリング周期でデジタル値に変換し、当該変換したデジタル信号を演算処理装置17に
出力する。本実施例では、サンプリング周期を50kHz(サンプリング時間間隔=0.
02ms)に設定してある。
演算処理装置17は、最大抵抗値演算部17Aと、閾値処理部17Bと、波数カウント
部17Cとを備える。最大抵抗値演算部17Aは、入力したデジタル信号に基づき最大抵
抗値を演算する。閾値処理部17Bは、入力したデジタル信号について所定閾値で閾値処
理を行い雑音を除去する。波数カウント部17Cは、閾値処理部17Bからのパルスカウ
ントについて、経時的なパルス値の増減変化によって、所定時間単位毎の変動回数つまり
波山の波数をカウントし、その単位時間当たりの波数の平均値を求める。また、演算処理
装置17は、求めた最大抵抗値及び単位時間当たりの波数の平均値を表示装置18に出力
する。本実施例では、上記波数をカウントする単位時間を0.328秒に設定してある。
表示装置18はディスプレイなどから構成され、演算処理装置17が求めた最大抵抗値及
び単位時間当たりの波数の平均値を表示する。
次に、上記構成の装置を使用して深溝玉軸受11の軸受抵抗値を評価する方法について
説明する。
モータ13を駆動して軸部材12つまり内輪11aを所定回転速度で回転させた状態で
、定電圧電源14から深溝玉軸受11の内外輪11a,11b間に所定の定電圧を印加す
る。このとき、内外輪11a,11b間に電流が流れるが、スパーク等によって電圧が変
動する。その電圧が抵抗測定装置15で測定され、続いて、A/D変換回路16によって
デジタル値に変換され、そのデジタル信号に基づいて、演算処理装置17が最大抵抗値及
び所定単位時間当たりの波数を求め、その値が表示装置18に表示される。
測定条件を以下に示す。
軸部材12の回転速度:120min-1
軸受11に与えるラジアル荷重(Fr):9.8N
印可電圧 :30V
抵抗 :300kΩ
最大電流 :100μA
雰囲気温度 :60℃
封入する導電性グリース組成物の種類を変えた数種の軸受を用意し、上記構成の装置を
使用して、各軸受について回転中の軸受抵抗値(最大値)を測定した。軸受抵抗値の測定
は、回転200時間後と400時間後に行った。
使用した転がり軸受は、日本精工株式会社製の呼び番号6806ZZの深溝玉軸受(内
径30mm,外径42mm,幅7mm)であり、内輪及び外輪の間に形成された空隙部内
に、表1〜4に示すような組成の導電性グリース組成物が充填してある。充填されている
導電性グリース組成物の量は、該空隙部の容積の25体積%である。
Figure 2005325310
Figure 2005325310
Figure 2005325310
Figure 2005325310
表1〜4においてカーボンブラック等の各成分の欄に記載されている数値は、導電性グ
リース組成物全体を100とした場合の各成分の質量比である。また、基油の含有量は表
1〜4には記載されていないが、導電性グリース組成物全体から前述の各成分の含有量を
差し引いた残部である。
なお、実施例1〜10及び比較例2〜6の導電性グリース組成物に使用した基油は、4
0℃における動粘度が48mm2 /sのPAO油であり、比較例1の導電性グリース組成
物に使用した基油は、40℃における動粘度が32mm2 /sのエステル油である。また
、カーボンブラックは、表1〜4のカーボンブラックAがライオンアクゾ社製のケッチェ
ンブラックEC(平均一次粒径30nm、比表面積800m2 /g、DBP吸収量360
ml/100g)であり、カーボンブラックBが電気化学工業株式会社製のデンカブラッ
クHS−100(平均一次粒径48nm、比表面積39m2 /g、DBP吸収量140m
l/100g)であり、カーボンブラックCが東海カーボン株式会社製のシーストS(平
均一次粒径66nm、比表面積27m2 /g、DBP吸収量68ml/100g)であり
、カーボンブラックDは三菱化学株式会社製の#3030B(平均一次粒径55nm、比
表面積29m2 /g、DBP吸収量130ml/100g)である。
さらに、導電性向上剤として使用したカーボンナノチューブは、Johnson Mathey Compa
ny製の多層カーボンナノチューブAlfa Aesar(長さ0.5〜1.0μm、外径
7〜12nm、アスペクト比800)である。さらに、酸化被膜生成防止剤として使用し
た金属酸化物は、平均一次粒径が50nmの酸化マグネシウム微粒子である。さらに、増
ちょう剤として、リチウム石けんを使用した。
また、表1〜4に示すような組成の導電性グリース組成物を充填した別種の軸受を用意
して、回転試験を行い、その焼付き耐久性を評価した。
使用した転がり軸受は、日本精工株式会社製の呼び番号6203VVの深溝玉軸受(内
径17mm,外径40mm,幅12mm)であり、内輪及び外輪の間に形成された空隙部
内に、導電性グリース組成物が充填してある。充填されている導電性グリース組成物の量
は、該空隙部の容積の25体積%である。このような軸受を下記の条件で回転させ、焼付
きが生じるまでの時間(寿命)を測定した。なお、軸受の温度上昇と、軸受を回転駆動す
るモータのトルク上昇(電流値により測定)が生じた時点で、焼付きが生じたものとみな
した。
回転速度 :6000min-1
アキシアル荷重(Fa):196N
ラジアル荷重(Fr) :19.6N
雰囲気温度 :150℃
さらに、表1〜4に示すような組成の導電性グリース組成物を充填した別種の軸受を用
意して、回転試験を行い、動トルクを測定した。
使用した転がり軸受は、日本精工株式会社製の呼び番号608ZZの深溝玉軸受(内径
8mm,外径22mm,幅7mm)であり、内輪及び外輪の間に形成された空隙部内に、
導電性グリース組成物が充填してある。充填されている導電性グリース組成物の量は、該
空隙部の容積の30体積%である。このような軸受を下記の条件で回転させ、3分間回転
させた後の動トルクを測定した。
回転速度 :150min-1
アキシアル荷重(Fa):27.4N
雰囲気温度 :室温
さらに、表1〜4に示すような組成の導電性グリース組成物について、下記のようにし
て樹脂との相性(樹脂に対するケミカルアタック性)を評価した。幅10mm,長さ80
mm,厚さ3mmのポリカーボネート樹脂製試験片を、定歪治具の湾曲面に固定した。試
験片は湾曲面に沿って湾曲するので、所定の歪み率の歪みが負荷される。次に、定歪治具
に固定された試験片の上面にグリースを塗布し、温度23℃、相対湿度50〜60%の環
境下に48時間静置した。定歪治具から試験片を取り外し、判定用治具により試験片に過
大歪みを負荷して、グリースを塗布した表面を肉眼で観察した。
湾曲面の曲率が異なる複数の定歪治具を用いることにより、種々の歪み率(0.2〜1
.6%の範囲で0.2%間隔で試験した)の歪みを負荷した試験片を用意して、試験を行
った。そして、試験片の表面(グリースを塗布した面)にクレーズ又はクラックの発生が
認められなかった歪み率の最大値を限界歪み率とし、この限界歪み率の大きさによって樹
脂に対するケミカルアタック性を評価した。
軸受抵抗値,軸受の焼付き耐久性,軸受のトルク,及び導電性グリース組成物の樹脂と
の相性(樹脂に対するケミカルアタック性)の評価結果を、表1〜4にまとめて示す。な
お、表1〜4においては、軸受抵抗値が10kΩ未満であった場合は◎印、10kΩ以上
20kΩ未満であった場合は○印、20kΩ以上40kΩ未満であった場合は△印、40
kΩ以上であった場合は×印で示してある。また、軸受の焼付き耐久性については、前述
の比較例1の寿命を1とした場合の相対値で示してある。さらに、軸受のトルクについて
は、前述の実施例1のトルクを1とした場合の相対値で示してある。さらに、導電性グリ
ース組成物の樹脂との相性については、限界歪み率が1%以上であった場合は○、1%未
満であった場合は×で示してある。
表1〜4から、実施例1〜10の軸受は、比較例1〜6の軸受と比較して、高温下にお
いても軸受抵抗値が小さい(導電性が優れている)ことが分かる。また、カーボンブラッ
クの含有量が多すぎると、焼付き耐久性が不十分となることが分かる。さらに、カーボン
ブラックと増ちょう剤との合計の含有量が30質量%以上であると、トルクが大きいこと
が分かる。さらに、基油としてPAO油を用いた導電性グリース組成物は、エステル油を
用いた場合と比べて、樹脂に対するケミカルアタック性が小さいことが分かる。
本発明は、例えば、複写機,レーザービームプリンタ等の事務機器や情報機器における
高温となる部分(感光ドラム(定着部),ヒートローラ支持部等)に適用可能である。
本発明の一実施形態である深溝玉軸受の構造を説明する部分縦断面図である。 軸受の抵抗値を測定する装置の概略構成図である。
符号の説明
1 内輪
2 外輪
3 玉
5 シールド
6 導電性グリース組成物

Claims (10)

  1. 基油とカーボンブラックとを含有する導電性グリース組成物において、
    前記基油は、鉱油及び合成油の少なくとも一方を含有し、
    前記カーボンブラックは、平均一次粒径が10nm以上200nm以下で且つ比表面積
    が20m2 /g以上80m2 /g以下の第一カーボンブラックと、平均一次粒径が10n
    m以上200nm以下で且つ比表面積が200m2 /g以上1500m2 /g以下の第二
    カーボンブラックと、を含有することを特徴とする導電性グリース組成物。
  2. 前記第一カーボンブラックのDBP吸収量は30ml/100g以上160ml/10
    0g以下であり、前記第二カーボンブラックのDBP吸収量は80ml/100g以上5
    00ml/100g以下であることを特徴とする請求項1に記載の導電性グリース組成物
  3. 前記合成油は、40℃における動粘度が10mm2 /s以上500mm2 /s以下の合
    成炭化水素油であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の導電性グリース組成
    物。
  4. 前記第一カーボンブラックと前記第二カーボンブラックとの質量比は、25:75以上
    95:5以下であり、前記第一カーボンブラックと前記第二カーボンブラックとの合計の
    含有量は、組成物全体の1.5質量%以上20質量%以下であることを特徴とする請求項
    1〜3のいずれか一項に記載の導電性グリース組成物。
  5. 平均一次粒径が5nm以上10μm以下である金属酸化物,金属窒化物,金属炭化物,
    粘土鉱物,クラスターダイヤモンド,及びフラーレンのうち一種以上の粉末を、組成物全
    体の0.05質量%以上5質量%以下含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    一項に記載の導電性グリース組成物。
  6. 繊維長さが5nm以上10μm以下で且つアスペクト比が5以上1000以下であるカ
    ーボンナノチューブ,カーボンナノファイバー,カーボンナノホーン,炭素繊維,及び金
    属酸化物ウイスカーのうち一種以上を、組成物全体の0.05質量%以上5質量%以下含
    有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の導電性グリース組成物。
  7. 混和ちょう度が200以上300以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか
    一項に記載の導電性グリース組成物。
  8. 転がり軸受用であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の導電性グリ
    ース組成物。
  9. 外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内
    方部材の外方に配置された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配置された複数の転
    動体と、を備える転動装置において、前記内方部材と前記外方部材との間に形成された空
    隙部内に、請求項1〜7のいずれか一項に記載の導電性グリース組成物を充填したことを
    特徴とする転動装置。
  10. 内輪と、外輪と、前記両輪の間に転動自在に配置された複数の玉と、前記両輪のいずれ
    か一方に取り付けられて前記両輪の間に介在されたシール又はシールドと、を備える深溝
    玉軸受において、
    前記両輪の間に形成された空隙部内に、請求項1〜8のいずれか一項に記載の導電性グ
    リース組成物を、前記空隙部の容積の15体積%以上35体積%以下充填したことを特徴
    とする深溝玉軸受。
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