JP2005324829A - 食品包装用ストレッチシュリンクフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 生鮮食品や加工食品のプリパッケージ、オーバーラップシュリンクフィルム用途に好適な特性を有する食品包装用ストレッチシュリンクフィルムを提供する。
【解決手段】 非塩素系材料からなるフィルムにおいて、フィルムの縦方向の50%引張り伸び応力が30〜80MPaの範囲にあり、かつ横方向の50%引張り伸び応力が5〜10MPaの範囲にあることを特徴とする食品包装用ストレッチシュリンクフィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、主に、生鮮食品や加工食品のプリパッケージ、オーバーラップシュリンクフィルム用途に好適な特性を有する食品包装用ストレッチシュリンクフィルムに関する。
上記用途における熱収縮性を有するシュリンクフィルムに使用する原料樹脂の例としてはポリ塩化ビニル(PVC)やポリオレフィン(PO)が最もよく知られている。これは、PVCやPO系材料からなるシュリンクフィルムが、機械強度、剛性、光学特性、収縮特性等の実用特性、およびコスト面も含めて、ユーザーの要求を比較的広く満足するからである。
しかしながらこの中で、PVC製フィルムは廃棄物処理の問題等があることから、PVC以外の材料からなるシュリンクフィルムが要望されていた。したがって上記用途において、現状ではほとんどPO系材料からなるシュリンクフィルムが市場を占有している。
また、本用途における、シュリンクフィルムはその用途により大きく2つに大別される。1つは、コンビニエンスストア等の弁当や惣菜等の蓋付き容器のオーバーラップシュリンク包装に使用される高収縮タイプのシュリンクフィルムであり、もう1つは、主に通常の生鮮品のストレッチ包装と同一の発泡ポリスチレンやポリプロピレン系材料からなる蓋なしトレーを容器として用いてシュリンクフィルムで包装する方法である。
前者においては、包装方法は主に横ピロー式と呼ばれる溶断シール方式の包装機が用いられる。本包装方式においてはフィルムの搬送途中において、針の付属したロールを通過させ、フィルムに一定のピッチで穴を形成し、容器を包み込むようにフィルムトンネル状に形成し容器の底部部でフィルムを長手方向にローラーで圧着して熱シールした後に容器の前後を溶断シールし、その後シュリンクトンネルを通過せしめ、先に形成したフィルムの針穴からエアを逃がしながら収縮包装する方式である。本用途においてはさまざまな形状や大きさの容器に対応してタイトな包装仕上がりを得るために、高い収縮率(一般に120℃で縦、横共に50%以上)や針穴での引き裂けないフィルムの物性等が求められる。
本要求品質を満足させるためフィルムの製造においては、材料構成の工夫やフィルム製造工程において電子線による架橋等が行われているが、一般にフィルムコストが高いものとなっている。
一方、後者においては、容器の包装形態は全く通常のストレッチ包装と同一であり、トレーをフィルムでオーバーラップし、フィルムをトレーの底に折り込む方式である。本方式では通常、ストレッチ用の包装機と同一の横ピロー式の折込タイプや突き上げ式と呼ばれる折込みタイプの包装機が用いられるが、熱収縮性を有するフィルムを使用することと、シュリンクトンネルを通過させることにより包装後のシワを取り除くことが出来るとともに、タイトな包装仕上がりが得られることが、通常のストレッチ包装と大きく異なる点である。
本包装機のうち、横ピロー式は包装能力が高い(60〜80パック/分)ものの包装ラインが長くサイズ切り替え等、段替え作業の効率等が悪いことから、同一商品を多量にパックし段替え作業の比較的少ないパックセンターや食品加工工場などで多く採用されており、商品は包装後に各店舗に配送されて陳列される。また、突き上げ包装機は逆に、包装能力は低い(25〜50パック/分)ものの、1サイズのフィルムで比較的多くのトレーサイズに対応できることや、比較的コンパクトで設置スペースが少なくて済むことから、パックセンター等にも導入されているものの、むしろスーパーマーケットのインストア等で多く採用されている。
このように生鮮品の包装はパックセンター等で包装し各店舗に配送するものと、インストアで包装し直接店舗内に陳列するものに大別されているが、最近では、人件費や包装作業の効率からみた総合コスト面で、インストアの包装比率が減少しパックセンター等での包装比率が高まりつつある。ここで、パックセンターにおける包装においてはパックした商品を2〜4パック程度積み重ねてコンテナに詰められて保冷車で各店舗に配送されるため、通常のストレッチ包装では輸送途中の振動や商品同士の摩擦等により、配送後にフィルムの破れや積み重ねによるフィルムのたるみが発生することがあり、配送後の店舗において商品のディスプレー効果を低下させてしまったり、場合によってはリパックが必要となり付帯作業が増加するという問題がある。
この問題を解決するために、ストレッチフィルムに比べフィルムの強度やパックした商品のタイトな張りが得られる上記の熱収縮性を有するシュリンクフィルムの使用が増加する傾向にある。
本方式は、包装機が通常のストレッチ包装機と同一であり、包装後の工程にシュリンクトンネルを付与するのみであり、またトレー形状も多岐にわたらないことから、弁当容器包装のような高い収縮率は要求されず、小さな収縮率で十分良好な包装しあがりが得られる。むしろ、内容物が生鮮食品であるため、比較的低い温度での収縮率(低温収縮性)が求められる。このような用途のシュリンクフィルムは、包装形態や使用する包装機がストレッチフィルム用と同一であり、ある程度ストレッチ性を保持していることからストレッチシュリンクフィルムと呼ばれる。ストレッチシュリンクフィルムとしては、下記の特許文献1乃至特許文献4等に種々構成のフィルムが示されている。
しかしながら、従来のストレッチシュリンクフィルムは、若干のストレッチ性は残しているものの、熱収縮性を付与するため基本的にテンターまたはチューブラ法によるいわゆる2軸延伸による高配向フィルムであり、フィルムの縦方向および横方向ともにフィルムが伸びにくく、特に突き上げ包装機で包装した場合には、シュリンクトンネルを通しても良好な包装状態は得られ難い。すなわち、突き上げ包装機の場合、その包装機構は定尺にカットされたフィルムがその横端部をベルト等で保持されながら搬送され、次にクランプで保持された状態で、フィルム下部よりトレーを突き上げてフィルムをトレーの底部分に縦横両方向に折り込む方式である。この場合、トレーの底位置の高さがフィルムを保持するクランプと同等以上の高さまで突き上げる必要があるため、フィルムの特に横方向は少なくとも20%以上伸ばされることになる。
しかしながら従来のシュリンクフィルムでは、フィルムが縦横ともに伸びにくいため、突き上げ時にトレーに大きな負荷が加わり、トレーが割れたり、大きく変形するといった不具合が発生しやすい。また、当然保持されたフィルムにも瞬間的に過大な張力が加わり、保持されたクランプの部分からフィルムが裂けてしまい包装できない不具合が発生することがある。このような不具合を回避するためにはフィルムをトレーの底に折り込む際にクランプがフィルムを開放するタイミングを早くする等の調整をすることである程度効果があるが、包装後のパック品は全面張りがなくシワが多く、また底に折り込まれたフィルムも重なりが不十分ある。このような状態では後工程で熱シールが十分できなかったり、シュリンクトンネルを通してもシワが十分取り切れない不具合を生ずる。また、突き上げ包装機は包装直後に値札ラベル等を貼り付ける機構のものが多く、シワの多い状態で値札ラベルを貼ると、シュリンクトンネルを通しても、ラベルの周囲のみにシワが残ってしまう状態となることが多い。
特開平8−230122号公報 特開平10−272747号公報 特開平11−99600号公報 特開平12−272069号公報
本発明の目的は、特定の伸び特性と収縮特性を有するフィルムにより上記の諸問題を解決できるストレッチシュリンクフィルムを提供することにある。
本発明の要旨は、非塩素系材料からなるフィルムにおいて、フィルムの縦方向の50%引張り伸び応力が30〜80MPaの範囲にあり、かつ横方向の50%引張り伸び応力が5〜10MPaの範囲にあることを特徴とする食品包装用ストレッチシュリンクフィルムにある。
さらに、オイルバス中で100℃、10秒間により測定したフィルムの縦方向の収縮率が、20〜70%のフィルムを含み、また、フィルムが表層/中間層/裏層の少なくとも3層の積層構成からなり、表層及び、裏層の材料の融点が中間層材料の融点より10℃以上低いことを特徴とする食品包装用ストレッチシュリンクフィルムにある。
本発明は、特に、突き上げ式包装機にシュリンクトンネルを付帯した包装形態に用いるストレッチシュリンクフィルムとしての利用性が大きい。
次に具体的に発明の実施形態について述べる。
本発明におけるフィルムの縦方向とは、フィルムの製膜時等のフィルム引取り方向であり、フィルムの横方向とは縦方向に対して直交する方向である。
前述の伸び特性に関しては、フィルムの縦方向の50%引張り伸び応力が30〜80MPaの範囲が好適であり、さらに好ましくは40〜60MPaの範囲である。30MPa未満であると、パックした商品に十分なタイト感や張りの強さを与えることが出来ない。また80MPaを超えると、特に突き上げ包装機においては包装時にトレーの割れや変形を発生させることがある。また、横方向に関しては50%引張り伸び応力が5〜10MPaの範囲が好適であり、さらに好ましくは6〜8MPaの範囲である。縦方向と同様の理由で5MPa未満であると、パックした商品に十分なタイト感や張りの強さを与えることが出来ない。また10MPaを超えると、突き上げ包装機においてはフィルムの伸びが不十分で包装時にトレーの割れや変形を発生させることがある。
収縮率はオイルバスで測定した100℃、10秒間の縦方向の収縮率は20〜70%が好適であり、さらに好ましくは、30〜60%である。
縦方向の収縮率が20%未満ではシュリンクトンネルを通過させても包装後に生じたシワが取りきれず、70%を超えると収縮応力にもよるが、トレーを変形させたり、トレーの底部に折り込まれたフィルムが熱シールする際に、カールしてしまったりする。また、本用途のストレッチシュリンクフィルムは前述のように大きな収縮率は求められない。特に、縦方向の収縮率が十分であればトレー包装後の縦方向の収縮応力はトレーの縁部分で拘束され、その結果、横方向にも収縮力がある程度働き、結果的にシワのない良好な仕上がりが得られるのである。
本発明においては、非塩素系材料を用いて上記物性を満足すれば、特に材料に制限されるものではない。ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等、フィルム包装材料として一般に用いられる樹脂を制限無く使用することが出来る。
また、本発明においてはフィルム全体としての伸び特性や収縮特性の調整、引き裂き強度等の機械的強度の向上、耐熱性の向上、滑り性の調整、防曇性の付与等を目的として異種材料を用いた積層フィルムが好適に使用できる。
積層フィルムとしては、表層/中間層/裏層の少なくとも3層の積層構成からなるフィルムが好適であり、表層及び、裏層を構成する材料としては、実用的にはポリオレフィン系材料を使用することが出来るが、本用途におけるシュリンクフィルムは適度な伸びが要求されるため、ある程度結晶性の低いものが好ましい。また、中間層としては、軟質のポリプロピレン系材料を単体およびブレンドにより任意に組み合わせることが出来る。すなわち、低結晶性のポリプロピレン材料として結晶性ポリプロピレンに非晶性ポリプロピレンや低結晶性材料をブレンドしたもの、あるいはいわゆるリアクターTPOと呼ばれる、重合段階で結晶性部分と非晶性部分が混在するよう共重合したものであっても良い。また、結晶性を低下させながら、弾性率と収縮率を維持するために石油樹脂等をブレンドしても良い。
またその他の中間層に適した材料としては、低密度(高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等)、中密度及び高密度ポリエチレンのいずれも使用できる。
さらに、ポリアミド系樹脂を用いる場合は、6−66共重合ポリアミド樹脂や6−12共重合ポリアミド樹脂、またはこれらに非晶性ポリアミド樹脂をブレンドしても良い。
次に表層及び裏層(以下「表裏層」という)に用いる材料としては、中間層に用いる材料の融点より少なくとも10℃以上、好ましくは20℃以上融点の低い材料が好ましく、例としては、低密度ポリエチレン(高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等)あるいは、エチレンとαオレフィンの共重合体またはその他のコモノマーとの共重合体を好適に用いることが出来る。
表裏層材料の融点が、中間層の融点より低いことで包装後、パックされた商品の底シール部が熱板により熱シールされる場合、表裏層の樹脂が融着し、なおかつ中間層は融点に達しないため融解して穴の開かない熱シールに適正な温度範囲を拡大することが出来るのである。
上記α−オレフィンとしてはプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、オクテン−1等が例示でき、その他のコモノマーとしては不飽和エステル等の酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸プロピル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル等が挙げられる。
また、表裏層材料、および中間層材料には、包装機で使用した場合に必要な滑り性やパックした商品のフィルム内面に水滴の付着による曇りを防止するために公知の防曇剤や、オイル類等を添加することが出来る。
さらに、フィルムの製法としては、前述の伸び特性および収縮特性を満足すれば特に制限されるものではないが、少なくとも縦方向に延伸することが好ましく、テンター法やチューブラ法による2軸延伸、またはインフレーション法による無延伸での製膜後、さらに縦延伸する方法、Tダイ法による無延伸での製膜後、さらに縦延伸する方法等が挙げられる。特に2軸延伸法を用いる場合には延伸後に再加熱により横方向に弛緩処理を施すことで、本発明で規定する伸び特性および収縮特性を満足させることが出来る。
上記積層フィルムの全厚みは本用途においてその要求品質を満足するものであれば特に限定されるものではないが、6〜30μm、好ましくは8〜20μmである。
以下、実施例及について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
中間層として、結晶性ポリプロピレン(融点150℃、エチレン2モル%、MFR=3g/10min)50重量%および、低結晶性ポリプロピレン系共重合体(出光TPO、T−310E、融点150℃、MFR=1.5g/10min)50重量%の混合物を配し、表裏層として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(融点90℃、酢酸ビニル15重量%、MFR−2.3g/10min)97重量%と防曇剤として、ジグリセリンオレイン酸エステル(理研ビタミン製、O−71DE)3重量%を混合した樹脂組成物を配して、共押出して上向きインフレーション法でブローアップ比5.0倍で厚み比が表層/中間層/裏層=9/18/9μm、総厚み36μmになるように製膜し、引取機に設置した縦延伸機により、縦方向に80℃で3倍延伸し、最終的にフィルム厚みを表層/中間層/裏層=3/6/3μm、総厚み12μmの積層フィルムを得た。
(実施例2)
中間層として、直鎖状低密度ポリエチレン(共重合樹脂:ブテン−1、密度0.920g/cm3、MFR=2.0g/min)を配し、表裏層として、実施例1で用いたと同様のエチレン−酢酸ビニル共重合体と防曇剤との混合樹脂組成物を配し、その他は実施例1と同様の方法で共押出しインフレーション法でブローアップ比5.0倍で厚み比が表層/中間層/裏層=9/18/9μm、総厚み36μmになるように製膜し、引取機に設置した縦延伸機により、縦方向に80℃で3倍延伸し、最終的にフィルム厚みを表層/中間層/裏層=3.0/6.0/3.0μm、総厚み12μmの積層フィルムを得た。
(実施例3)
実施例2と同様の材料構成を用いて、Tダイ法により実施例2と同様の厚み構成の共押出しキャストフィルム、厚み比が表層/中間層/裏層=9/18/9μm、総厚み36μmを製膜した後、縦方向に80℃で3倍延伸し、最終的にフィルム厚みを表層/中間層/裏層=3/6/3μm、総厚み12μmの積層フィルムを得た。
(実施例4)
実施例1と同様の材料構成を用いて、丸ダイによる下向き水冷方式にて、厚み比が表層/中間層/裏層=30/60/30μm、総厚み120μmなる原チューブを採取し、続いて低速ニップロールで引き取り後、赤外ヒーターにより原チューブを再加熱し内部にエアを注入しバブル径を拡大後エアリングにてバブルにエアを当てて冷却固化しながら、高速ニップロールで引取り2軸延伸フィルムを採取した。延伸倍率は、縦方向はニップロールの速度比により、また横方向はバブルの径の比により調整し、縦/横の延伸倍率をそれぞれ3.3/5.0倍とした。
続いて得られたフィルムを70℃に設定したアニリングロールを通過させ、横方向のみを弛緩処理し、最終の延伸倍率を3.3/3.0倍とし、表層/中間層/裏層=3.0/6.0/3.0μm、総厚み12.0μmの積層フィルムを得た。
(実施例5)
中間層として、6−66共重合ポリアミド樹脂、その両面にマレイン酸変成ポリエチレン系接着樹脂を配し、さらに表裏層として、実施例1で用いた材料と同様のエチレン−酢酸ビニル共重合体と防曇剤との混合樹脂組成物を配し、実施例2と同様の方法にて、各層の厚みを30/10/20/10/30μm、総厚み100μの3種5層構成の原チューブを得た。次に実施例4と同様にして2軸延伸し、縦/横の延伸倍率をそれぞれ3.3/3.5倍とした。
続いて得られたフィルムを70℃に設定したアニリングロールを通過させ、横方向のみを弛緩処理し、最終の延伸倍率を3.3/2.5倍とし、表層/接着層/中間層/接着層/裏層=3.6/1.2/2.4/1.2/3.6μm、総厚み12.0μmの積層フィルムを得た。
(比較例1)
実施例1と同様の材料構成、同様の厚み比でブローアップ比5.0倍のインフレーションフィルムを製膜し、縦延伸なしで最終的にフィルム厚みを表層/中間層/裏層=3.0/6.0/3.0μm、総厚み12μmの積層フィルムを得た。
(比較例2)
実施例4と同様の材料構成を用いて、丸ダイによる下向き水冷方式にて、厚み比が表層/中間層/裏層=50/100/50μm、総厚み200μmなる原チューブを採取し、続いて低速ニップロールで引き取り後、赤外ヒーターにより原チューブを再加熱し内部にエアを注入しバブル径を拡大後エアリングにてバブルにエアを当てて冷却固化しながら、高速ニップロールで引き取り2軸延伸フィルムを採取した。延伸倍率は縦方向はニップロールの速度比により、また横方向はバブルの径の比により調整し、縦/横の延伸倍率をそれぞれ3.3/5.0倍とした。
得られたフィルムはアニリングロールを通さずに表層/中間層/裏層=3.0/6.0/3.0μm、総厚み12.0μmの積層フィルムを得た。
(比較例3)
実施例5と同様の材料構成を用いて、実施例2と同様の方法にて、各層の厚みを42/14/28/14/42μm、総厚み140μmの3種5層の構成の原チューブを得た。次に実施例2と同様に、して2軸延伸し、縦/横の延伸倍率をそれぞれ3.3/3.5倍とした。
得られたフィルムはアニリングロールを通さずに表層/中間層/裏層=3.6/1.2/2.4/1.2/3.6μm、総厚み12.0μmの積層フィルムを得た。
(比較例4)
表裏層樹脂が直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、中間層が超低密度ポリエチレン樹脂からなる2種3層構成で厚み比が表層/中間層/裏層=2.0/7.0/2.0μm、総厚み11.0μmの市販のシュリンクフィルムを評価した。
<測定方法>
上記フィルムを用いて、下記(1)〜(3)の項目について測定した。測定結果を表1に示した。
(1)引張り破断伸び特性
市販の引張り試験機(株)島津製作所製、AGS−H500N)を用いて、下記の条件で縦横両方向について引張り試験を行い、チャートより50%引張り荷重を読み取り、引張り応力に換算した。
1-1 サンプルサイズ:
幅10mm長さ100mmの短冊状に縦横両方向にフィルムを切り出す。
1-2 チェック間距離:
切り出したフィルムをチェック間40mmにてセットし、引張り速度を200mm/minで引張り試験をする。
1-3 試験データ:
試験は縦横両方向につきそれぞれ3回行い平均値を算出する。
(2)オイルバス収縮率
市販のオイルバスを用いてフィルムの縦方向について以下の条件で収縮率を測定した。
2-1 サンプルサイズ:
幅10mm長さ140mmの短冊状に縦横両方向にフィルムを切り出す。
その中間付近に長さ100mmの間隔の標線を引く。
2-2 試験条件:
オイルバスを100℃に温調し試験サンプルを10秒間オイルの中に浸漬し、取り出した後標線間の長さを測定し、収縮率を算出する。
2-3 試験データ:
試験は縦横両方向につきそれぞれ3回行い平均値を算出する。
(3)材料の融点
用いた材料それぞれの示差操作熱量計(パーキンエルマー社製、DSC−7)を用いて得られたフィルムの−40℃〜250℃の間で操査速度10℃/minにて昇温、降温、再昇温の測定を行い、チャートより再昇温過程の表面層、中間層それぞれの融解ピーク温度を読み取り融点とした。
<包装テスト>
以下の2種の包装機を用い、上記の各フィルムによる包装テスト用のパックサンプルを作成した。
a.ピロー式 大森機械(株)製:横ピロー型包装機(STN7500)
b.突上式 (株)イシダ製:突き上げ式包装機(Wmin、ZERO1)
尚、トレーは通常の発泡スチレン製トレー(長さ×幅×高さ=200×150×15mm)を用い、フィルム幅は400mmを使用した。パック品の張りの強さを評価するために、トレーには中身を充填しない空トレーでパックサンプルを作成した。
また、包装直後、シュリンクトンネル通過前に値札ラベルをパック品上面に貼り付けた。
その後シュリンクトンネル(大森機械(株)のピロー包装機付属のC−300型)を用いて熱風温度設定100℃、通過時間3秒間で収縮させた。
<包装仕上がり評価法>
上記パックサンプル作成に関して下記(1)〜(5)の項目について各包装機により評価した。評価結果を表2に示した。
(1) 包装直後の状態
包装直後でシュリンクトンネルを通す前の状態を上面、底面について評価した。
上面:×:シワ、たるみが多く全面に発生しており、非常に見苦しい
△:シワたるみが全体の半分程度でやや見苦しい。
○:シワがトレーの周囲にわずかにある程度。
◎:トレー上面にシワがほとんど無く見栄えが良い状態。
底面:×:フィルム同士の重なりがほとんど無く、めくれや剥がれの多い状態。
△:フィルムの重なりはわずかにあるものの、トレーを覆っていない部分がある。
○:フィルムはトレー全面を覆っているものの、重なり状態がぴったりしていない状態。
◎:フィルムはトレー底面の全面にきれいに折りたたまれている状態。
(2) シュリンクトンネル通過後の張りの評価
常温(23℃)にてパックしたサンプルの上面中央部分を、先端が半径10mmの半球状の棒を速度200mm/minで押し込み、発生する応力をチャートに記録し、15mm押し込んだ位置の応力値を読み取り、張り強さとして評価した。
×:450g未満
△:450g以上〜600g未満
○:600g以上〜700g未満
◎:700g以上
(3) シュリンクトンネル通過後のラベル周囲のシワと底シールの状態評価
(表2ではラベル周囲のシワ/底シールの状態で表示)
×:シワが多く見苦しい。
△:多少シワがり、見栄えがやや悪い。
○:わずかにシワがあるが、気にならない。
◎:まったくシワの無い状態
(4) 中身を200gの粘土(厚み10mm)とした他は同様にパックサンプルを作成し、3段積み重ねた後、5℃で10時間放置後の下段サンプルの上面の状態を評価した。
×:たるみが多く、見苦しい状態。
△:たるみがややある状態。
○:たるみがわずかにある状態。
◎:たるみがまったく無い状態。
(5) 総合評価
上記(1)から(4)の評価結果より食品包装用ストレッチシュリンクフィルムとして総合評価した。
×:包装仕上がりが悪く、実用上問題がある。
△:
○:包装仕上がりが良好でストレッチシュリンクフィルムとして優れている。
◎:包装仕上がりが良好でストレッチシュリンクフィルムとして極めて優れている。
Figure 2005324829
Figure 2005324829

Claims (5)

  1. 非塩素系材料からなるフィルムにおいて、フィルムの縦方向の50%引張り伸び応力が30〜80MPaの範囲にあり、かつ横方向の50%引張り伸び応力が5〜10MPaの範囲にあることを特徴とする食品包装用ストレッチシュリンクフィルム。
  2. オイルバス中で100℃、10秒間により測定したフィルムの縦方向の熱収縮率が、20〜70%であることを特徴とする請求項1記載の食品包装用ストレッチシュリンクフィルム。
  3. フィルムが表層/中間層/裏層の少なくとも3層の積層構成からなり、表層及び、裏層を構成する材料の融点が中間層材料の融点より10℃以上低いことを特徴とする請求項1又は2記載の食品包装用ストレッチシュリンクフィルム。
  4. 中間層がポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂及び、ポリエチレン系樹脂から選ばれた少なくとも1種類の樹脂からなることを特徴とする請求項3記載の食品包装用ストレッチシュリンクフィルム。
  5. 表層及び、裏層がポリエチレン系樹脂から選ばれた単独または混合樹脂からなることを特徴とする請求項3記載の食品包装用ストレッチシュリンクフィルム。
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