以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の毛髪処理器具の一実施形態の斜視図が示されている。毛髪処理器具1は、細長形状であり、毛髪の保持が可能になされている毛髪保持具2と毛髪挿入具3とを具備している。
毛髪保持具2は細長筒形状をしており、可撓性材料から構成されている。毛髪は毛髪保持具2内に挿入されて保持される。毛髪保持具2は、一端部及び他端部を有しており、各端部は開口している。両端部のうち上端部は毛髪取り込み口4となっている。他端部である下端部には、該下端部の開閉手段としてのチャック5が取り付けられており、該下端部がチャック5によって開閉可能になされている。この開閉手段としては、チャックの他に、面ファスナ、粘着テープ、自己接着性テープ〔例えば仁礼工業製のふしぎテープ(商品名)〕などを用いることもできる。毛髪保持具2の長さは、処理すべき毛髪の長さに応じて適切な長さとされ、好ましくは処理すべき毛髪の長さよりも長くなっている。毛髪保持具2の長さは一般に50〜600mm程度の範囲である。
毛髪取り込み口4は、その開口端に向かうにつれて漸次拡開した漏斗状の形状をしている。これによって、毛髪挿入具3を用いて毛髪を毛髪保持具2内に挿入する際、毛髪取り込み口4に毛髪や毛髪挿入具3が引っかかり難くなり、毛髪を取り込み易くなる。毛髪取り込み口4及びその近傍の部位は、毛髪保持具2における他の部位よりも高剛性となされている。これによって、毛髪を取り込む際に毛髪取り込み口4に、毛髪や毛髪挿入具3が引っかったとしても毛髪取り込み口4が変形しづらくなり、毛髪を取り込み易くなる。毛髪取り込み口4及びその近傍の部位をその他の部位よりも高剛性とするには、例えば毛髪保持具2がプラスチック成形により製造される場合にはこれらの部位をその他の部位よりも肉厚に成形すればよい。また毛髪保持具2が不織布やネットなどから構成される場合には、毛髪取り込み口4及びその近傍の部位に高剛性の材料、例えばプラスチック板や板紙などを貼り付ければよい。
毛髪取り込み口4は、その開口端が毛髪を取り込みやすい形状となっていることが好ましい。例えば毛髪取り込み口4の開口端の形状が、円形又は長径と短径との比が1に近い楕円形であると毛髪を取り込み易い。これに加えて、毛髪取り込み口4の開口端の最大幅W(図1参照)が、5〜200mm、特に10〜90mmであると、毛髪の取り込み易さと、取り扱い性及び操作性とがバランスするので好ましい。
毛髪保持具2を構成する材料としては、各種可撓性材料が用いられる。その例としては、不織布、多孔性又は非多孔性の樹脂フィルム、紙、樹脂ネット、又はこれらの複合体などが挙げられ、毛髪処理器具1の具体的用途に応じて適切な材料が選択される。例えば、毛髪保持具2内に挿入された状態の毛髪に毛髪処理剤を施す場合、挿入されている毛髪のみに毛髪処理剤を施したいときには、該毛髪処理剤に対して非透過性を有する材料を用いればよい。また、挿入されている毛髪に対して毛髪保持具2の外部から毛髪処理剤を施したいときには、該毛髪処理剤に対して透過性を有する材料を用いればよい。
図1に示すように、毛髪保持具2には、その外側面に、該毛髪保持具2の巻き上げ手段としての巻き上げ用糸6が、スパイラル状に巻き付けられている。巻き上げ用糸6は、毛髪保持具2内に挿入された状態の毛髪を、該毛髪保持具2ごと巻き上げる手段として用いられる。本明細書において巻き上げとは、毛髪に所定のくせ付けをすること全般を意味し、本来の巻き上げに加えて例えば湾曲や屈曲なども包含される。巻き上げ用糸6は、毛髪保持具2にスパイラル状に間欠的に設けられた複数の挿通孔7に挿通されている。挿通孔7は、毛髪保持具2を正面から視たときに、長手方向の両側部に設けられている。各側部に設けられている各挿通孔7は所定間隔を置いて配列され、挿通孔列8A,8Bを形成している。また、各挿通孔7は、毛髪保持具2の高さ方向(長手方向)に関し、毛髪保持具2の側面に沿って各挿通孔を順次結んだときにスパイラル状の軌跡を描くように配列されている。
各挿通孔7は近接して配された一対の小孔7A,7Bからなる。小孔7A,7Bは、巻き上げ用糸6が挿通できる程度に開孔していればよく、この点から、毛髪保持具2に小切込を形成し、これを小孔として用いることもできる。巻き上げ用糸6が、毛髪保持具2の外側面に巻き付けられていることは前述の通りであるが、該巻き上げ用糸6は、一対の小孔7A,7B間のみにおいて毛髪保持具2の内側面に配されている。これによって巻き上げ用糸6は毛髪保持具2の外側面に保持されることになる。
巻き上げ用糸6は、その一端が、毛髪保持具2における最下端に位置する挿通孔7(図1では、挿通孔列8Aの最下端)の位置において引き抜かれないようになされている。具体的には、巻き上げ用糸6の一端を毛髪保持具2に固定することで、その引き抜きを防止している。巻き上げ用糸6の固定には、接着剤による接着、熱融着などが用いられる。また、巻き上げ用糸6の一端に、小孔よりも大きな結び目を作り、この結び目によって巻き上げ用糸6を小孔に係止することで、巻き上げ用糸6の引き抜きを防止してもよい。一方、毛髪保持具2における最上端に位置する挿通孔7(図1では、挿通孔列8Bの最上端)においては、巻き上げ用糸6は自由状態になっている。これによって、巻き上げ用糸6の他端を引っ張ると、毛髪保持具2は、スパイラル状に変形することになる(これについては更に後述する)。
巻き上げ用糸6は、これを引っ張って毛髪の巻き上げ操作を行うときに、引きちぎれない程度の強度及び巻き上げ操作を円滑に行い得る柔軟性を有していることが好ましく、この点から、各種樹脂などの合成物、木綿や麻などの天然物、レーヨンなどの半天然物、各種金属、又はこれらの複合体などから構成されていることが好ましい。また、巻き上げ用糸6は、糸状のものに限られず、例えば細長い帯状のものであってもよい。
次に毛髪挿入具3について引き続き図1を参照しながら説明する。毛髪挿入具3は、細長形状の把持部9と、該把持部9の先端に取り付けられたフック部10とを備えている。フック部10は、毛髪保持具2内に挿入される毛髪を引っかけるために用いられ、変形可能になされている。本実施形態の毛髪挿入具2は、一本の線材から構成されている。詳細には、その一端に小ループ11を形成し、その他端をこの小ループ11に通すことで大ループからなるフック部10を形成している。更に大ループの所定位置に小ループ11を通過しない大きさの係止部12が設けられている。この毛髪挿入具3を使用するに際しては、毛髪を引っかけやすい大きさまでフック部10を広げて毛髪を引っかける。次に把持部9を引っ張ることでフック部10を縮める。この操作によってフック部10は係止部12で規制される大きさにまで縮められる。毛髪挿入具3を構成する線材の素材としては、前述した巻き上げ用糸6と同様のものを用いることができる。特に、操作性、取り扱い性及び毛髪処理剤に対する耐食性などの点から、金属製の針金を合成樹脂で被覆したものが好ましく用いられる。
毛髪挿入具3は毛髪保持具2内に挿入された状態で使用される。詳細には、図1に示すように、毛髪挿入具3のフック部10を毛髪保持具2の毛髪取り込み口4側に向けて挿入された状態で使用される。この場合、使用前に毛髪挿入具3が予め個別に毛髪保持具2に取り付られた状態の毛髪処理器具1を用いてもよく、或いは毛髪処理器具1を使用するときに毛髪挿入具3を毛髪保持具2に取り付けてもよいが、予め取り付けられていることにより、製品の製造工程において最適な状態で毛髪保持具2に取り付けることができ、使用者が使用時に取り付ける場合に比べて、取り付けの失敗がない。また、毛髪挿入具3には、取り付けるのに必要とされる強度が要求されないので、糸やフィルムなどの安価な素材に単純な加工を施したものを用いることができ、毛髪挿入具3を生産性高く、低コストで製造できる。毛髪処理器具1を使用するに先立ち、毛髪挿入具3のフック部10を、毛髪保持具2の毛髪取り込み口4から突出させる。そして、フック部10に所望量の毛髪を引っかけ、この状態下に毛髪挿入具3の他端部から引き出されている毛髪挿入具3の把持部9を引っ張る。これによって、フック部10に引っかけられている毛髪がフック部10と共に毛髪保持具2内に挿入される。フック部10が毛髪保持具2内に引き入れられると、該毛髪保持具2内の所定位置において、フック部10による毛髪の引っかけが解除され、毛髪は毛髪保持具2内に円滑に挿入される。フック部10は、毛髪保持具2の下端部を通じて毛髪保持具2の外に引き出される。この説明から明らかなように、毛髪挿入具3の全長は毛髪保持具2の全長よりも長くなっている。
毛髪挿入具3においては、そのフック部10が変形可能になされているので、該フック部10に所望量の毛髪を引っかけて毛髪保持具2内に挿入する際に、仮にフック部10が毛髪取り込み口4に当たっても、それに対応して変形するので、毛髪の挿入を円滑に行うことができる。特に本実施形態においては、毛髪取り込み口4及びその近傍が高剛性となっているので、フック部10が毛髪取り込み口4に当たった時に該フック部10の変形が促進され、毛髪の挿入を一層円滑に行うことができる。
更に、毛髪挿入具3においては、フック部10の周長が、毛髪保持具2における毛髪取り込み口4の周長よりも大きくなされている。フック部10の周長は、その値が大きいほど毛髪の引っかけを容易に行うことができるが、フック部10が変形可能になっていない場合には、フック部10の周長は毛髪取り込み口4の周長で規制されてしまい、フック部10の周長を大きくすることに制限がある。しかし、本実施形態におけるフック部10は前述の通り変形可能になっているので、その周長を毛髪取り込み口4の周長よりも大きくすることができ、その結果フック部10への毛髪の引っかけを容易に行うことが可能となる。本実施形態のフック部10における周長とは、フック部10の縮小が係止部12で規制された状態での値である。フック部の周長は、毛髪取り込み口4の周長の1倍超10倍以下、特に1倍超5倍以下であることが、フック部10への毛髪の引っかけを容易に行い得る点、並びに毛髪挿入具3の操作性及び取り扱い性の点から好ましい。同様の理由から、フック部10の周長の値そのものは40〜500mm、特に80〜200mmであることが好ましい。
同様の理由により、毛髪挿入具3においては、フック部10の最大幅T(図1参照)が、毛髪保持具2における毛髪取り込み口4の最大幅Wよりも大きくなされている。フック部10の最大幅Tは、フック部10を種々の形状に変形させて最も幅が広くなる形状のときの当該幅をいう。本実施形態のフック部10における最大幅Tとは、フック部10の縮小が係止部12で規制された状態での値である。フック部の最大幅Tは、毛髪取り込み口4の最大幅Wの1倍超10倍以下、特に1倍超5倍以下であることが、フック部10への毛髪の引っかけを容易に行い得る点、並びに毛髪挿入具3の操作性及び取り扱い性の点から好ましい。同様の理由から、フック部10の最大幅Tの値そのものは20〜250mm、特に40〜100mmであることが好ましい。
図には示していないが、フック部10は櫛歯を有していることが好ましい。これによって、毛髪保持具2内に毛髪を挿入する際に、毛髪を梳く効果が付与され、毛髪保持具2内に毛髪が均一に分散され、後述する毛髪処理を均一に行うことができる。この点から、櫛歯はフック部10を構成するループの内方(即ち、ループの中心方向)を向いていることが好ましい。
次に、本実施形態の毛髪処理器具を用いた毛髪処理方法について、パーマネントウエーブ処理を例にとり図2(a)〜図2(d)を参照しながら説明する。先ず図2(a)に示すように、毛髪保持具2内に毛髪挿入具3が挿入され、該毛髪挿入具3のフック部10が、毛髪保持具2の毛髪取り込み口4から突出している状態の毛髪処理器具1を用意する。毛髪保持具2の下端部からは、毛髪挿入具3の把持部9の端部が引き出されている。本実施形態においては、毛髪保持具2として、パーマネント処理剤に対して透過性の材料、例えば不織布や樹脂製ネットから構成されているものを用いている。この状態下に、毛髪挿入具3のフック部10に所望量の毛髪を通して引っかける。図示するように、フック部10は毛髪の根元付近に位置させることが、挿入を確実にする点から好ましい。
次に図2(b)に示すように、毛髪保持具2の毛髪取り込み口4付近の位置を一方の手(図示せず)で軽く押さえる。また毛髪保持具2の下端部から引き出されている毛髪挿入具3の把持部9の端部(図示せず)を他方の手(図示せず)で把持し、毛髪挿入具3を毛髪保持具2の外に引き出す。その操作によって、フック部10に引っかけられていた毛髪が首尾良く毛髪保持具2内に挿入、収納される。毛髪保持具2はその全長が、挿入すべき毛髪の長さよりも長くなっているので、毛髪はその全長に亘って毛髪保持具2内に挿入される。
毛髪が毛髪保持具2内に挿入されたら、図2(c)に示すように、毛髪保持具2の毛髪取り込み口4付近の位置を一方の手(図示せず)で軽く押さえる。この状態下に、毛髪保持具2の外側面に巻き付けられている巻き上げ用糸6の自由端を引っ張る。すると図2(d)に示すように、毛髪は毛髪保持具2と共にスパイラル状に巻き上げられて、小さく纏められる。この状態を保持するために、毛髪保持具2から引き出されている巻き上げ用糸6の根元を、固定手段としてのクリップ12で係止する。固定手段としては、クリップの他に、(1)毛髪取り込み口4に切り込みを入れ、該切り込みに巻き上げ用糸6を引っかける方法、(2)毛髪保持具2の最上端に位置する毛髪挿通孔(後述する図15等参照)で返し縫いをする方法、(3)巻き上げ用糸6との摩擦力を高める部材を設ける方法、(4)巻き上げ用糸6に結び目を付ける方法、(5)巻き上げ用糸6として一方向にのみ移動可能な機構(例えばラチェット機構)を有するものを用いる方法などが挙げられる。これらの固定手段のうち、巻き上げ用糸6を引いた状態のまま摩擦力によって当該状態を維持することができる(2)〜(5)の手段を用いることが好ましい。
以上の操作を、パーマネントウエーブ処理を施したい部位全体に対して行う。次いでこの状態下に、毛髪保持具2に向けて第1のパーマネント処理剤(還元剤)を付与する。前述の通り毛髪保持具2はパーマネント処理剤に対して透過性の材料から構成されているので、パーマネント処理剤は毛髪保持具2を透過して毛髪に施される。所定時間放置後、毛髪保持具2に向けて第2のパーマネント処理剤(酸化剤)を付与し、再び所定時間放置する。これによって、毛髪保持具2内に挿入されている毛髪に対して、その巻き上げ形態のパーマネントウエーブがかけられる。その後、巻き上げ用糸6に取り付けられたクリップ12を外し、毛髪の巻き上げ状態を解除する。引き続き毛髪を毛髪保持具2から取り出し、すすぎ洗いをし、更にシャンプー及びブローをする。
このパーマネントウエーブ処理の別法として、図3に示すように、第1のパーマネント処理剤Pを、毛髪保持具2の内面に施しておく方法が挙げられる。この方法によれば、毛髪の巻き上げ後に第1のパーマネント剤を毛髪保持具2の外部から付与する操作を省くことができる。
パーマネントウエーブ処理の更に別法として、前述の操作において、毛髪の毛髪保持具2へ挿入後、その巻き上げ操作を行わない処理方法が挙げられる。この場合には毛髪にストレートパーマがかけられることになる。毛髪を一層ストレートにする観点から、毛髪保持具2を、可撓性はあるものの比較的剛性の高い材料から構成することが好ましい。
以上のパーマネントウエーブ処理によれば、毛髪の巻き上げを極めて簡単に且つ短時間で行うことができる。しかも、パーマネントウエーブ処理後に毛髪の巻き上げ状態を解除する操作を、ヘアカーラを用いた場合よりも、簡単に且つ短時間で行うことができる。
次に、毛髪処理方法の別実施形態として染毛処理を例にとり説明する。この染毛処理については、前述したパーマネントウエーブ処理と異なる点についてのみ説明し、特に説明しない点はパーマネントウエーブ処理と同様である。用いる毛髪処理器具としては、前述したパーマネントウエーブ処理に用いたものと同様のものを用いることができる。但し、本実施形態においては、毛髪保持具2として、染毛剤に対して非透過性の材料、例えば合成樹脂製のフィルムから構成されているものを用いている。
毛髪保持具2への毛髪の挿入操作まで〔図2(a)及び図2(b)〕は、前述したパーマネントウエーブ処理と同様である。但し、本処理方法においては、毛髪保持具2内に毛髪を挿入した後に、その下端部に設けられているチャック5を閉じる。次いで図4に示すように、毛髪保持具2の毛髪取り込み口4から染毛剤を供給し、毛髪の全体に行き渡らせる。前述の通り、毛髪保持具2は、染毛剤に対して非透過性の材料から構成されており且つ毛髪保持具2の下端部は閉じられているので、染毛剤が毛髪保持具2の外に漏れ出すことはない。その結果、毛髪保持具2に挿入されている毛髪以外の毛髪が染毛されることが防止される。従って、本毛髪処理方法は、毛髪の部分的な染毛に特に効果的である。また、染毛剤は、毛髪保持具2内に比較的気密状態で存在することになるので、染毛中に染毛剤に含まれている揮発成分が揮発することが防止され、染毛を効率的に行えるという利点もある。
毛髪が毛髪保持具2内に挿入されたら、図2(c)に示す、毛髪の巻き上げ操作を行う。毛髪保持具2への毛髪の挿入及び毛髪の巻き上げは、頭髪の全体でもよく或いは一部分でもよい。次に、図2(d)に示すように、毛髪保持具2から引き出されている巻き上げ用糸6の根元をクリップ12で係止する。毛髪を巻き上げて小さく纏める理由は、当該毛髪を所望の形状に保持すると同時に、当該毛髪近傍の毛髪を、他の毛髪保持具2内に挿入する操作を行うときの操作性を良好にするためである。
所望により以上の操作を繰り返し、所定時間放置する。その後、巻き上げ用糸6に取り付けたクリップ12を外し、毛髪の巻き上げ状態を解除する。引き続き毛髪を毛髪保持具2から取り出し、すすぎ洗いをし、更にシャンプー及びブローをする。
この染毛方法の別法として、染毛剤を、毛髪保持具2の内面に施しておく方法が挙げられる(図3参照)。この方法によれば、毛髪の挿入後に染毛剤を毛髪取り込み口4から供給する操作を省くことができる。
毛髪処理法の別の実施形態として、毛髪処理剤としてスタイリング剤などの整髪料を用いた毛髪処理法が挙げられる。この方法においては、濡れた状態又は乾いた状態にある毛髪に整髪料を振りかけ、次いで前述の方法に従い毛髪を毛髪保持具内に挿入し、更に毛髪が挿入された毛髪保持具を巻き上げる。そして、毛髪が乾燥している場合には例えば1時間程度、毛髪が濡れている場合には例えば就寝中ずっと、巻き上げ状態を保持しておくことで、所望のくせ付けが行える。
毛髪処理方法の更に別の実施形態として、巻き上げられた状態の毛髪に対して、所定の加熱手段によって該毛髪を加熱して、くせ付けをする処理方法が挙げられる。詳細には、濡れた状態又は乾いた状態にある毛髪を、図2(a)〜図2(d)に示す手順にて、毛髪保持具2と共にスパイラル状に巻き上げ、小さく纏める。この状態下にドライヤなどの加熱手段を用いて毛髪を加熱し、くせ付けをする。この処理方法の別法として、濡れた状態にある毛髪を、図2(a)〜図2(d)に示す手順にて、毛髪保持具2と共にスパイラル状に巻き上げ、小さく纏め、この状態下に毛髪を自然乾燥させて、くせ付けをする方法がある。この方法を、例えば洗髪後就寝前に行えば、翌朝には毛髪に所望のくせ付けがされる。
本発明は前記実施形態に加えて以下の実施形態も包含する。例えば、前記実施形態で用いられる毛髪保持具2においては、巻き上げ用糸6を毛髪保持具2の外面に保持するために、2列の挿通孔列8A,8Bを形成したが、挿通孔列は一列のみでも良い。
また、前記実施形態においては、毛髪挿入具3のフック部はループ状であったが、これに代えて図5(a)及び図5(b)に示すような鉤状のフック部10を有する毛髪挿入具3を用いてもよい。この場合のフック部10は、金属やプラスチック製であり変形しないことが、毛髪の確実な挿入の点から好ましい。
また前記実施形態においては、毛髪処理器具1は、毛髪保持具2及び毛髪挿入具3の2部材から構成されていたが、これに代えて、図6に示すように、毛髪保持具2及び毛髪挿入具3に加えて挿入補助具21の3部材から構成される毛髪処理器具1を用いてもよい。挿入補助具21は逆円錐体形状をしており、剛性の高い材料から構成されている。特に、毛髪保持具2よりも剛性の高い材料から構成されていることが、毛髪の挿入性の向上の点から好適である。挿入補助具21には、該挿入補助具21をその長さ方向に貫き且つ入口22A及び出口22Bを有する貫通路22Cが形成されている。貫通路22Cは入口22Aから前記出口22Bに向けて漸次縮径している。入口22Aの径は、毛髪保持具2における最細部の径よりも小さくなっている。毛髪挿入具3の把持部9は、挿入補助具21の貫通路22Cを入口22Aから出口22Bに向けて貫通している。貫通した把持部9は、更に毛髪保持具2の毛髪取り込み口4に挿通されている。本実施形態の毛髪処理器具1によれば、毛髪保持具2の毛髪取り込み口4の剛性が低い場合であっても毛髪の挿入性が向上するいう利点がある。また、毛髪挿入具3を用いて毛髪を毛髪保持具2内に挿入するときに、挿入補助具21が、比較的扁平になりがちである毛髪保持具2を円筒状に膨らませるので、これによっても毛髪の挿入性が向上するという利点がある。尚、挿入補助具21は、逆円錐体形状の他に、逆角錐体形状などの各種逆錐体形状とすることができる。
図6に示す実施形態の毛髪処理器具1の変形例として、挿入補助具21の入口22Aの径が、毛髪保持具2の毛髪取り込み口4の径よりも大きくなっている実施形態が挙げられる。この場合には、毛髪挿入具3を用いて毛髪を毛髪保持具2内に挿入するときに、挿入補助具21は、毛髪取り込み口4によって毛髪保持具2内に挿入されることが規制されて、毛髪取り込み口4の部分に留まることになる。この場合においても、挿入補助具21によって毛髪の挿入性が向上するいう利点がある。
図6に示す実施形態の毛髪処理器具1の更に別の変形例として、図7(a)に示す挿入補助具23を用いた実施形態が挙げられる。図7(a)に示す挿入補助具23は、プラスチック製であり、上下端が開口した細長い扁平な形状をしている。挿入補助具23は、横断面が楕円形であり、上下端が開口している筒状部23Aと、該筒状部23Aの下端開口に連設され且つ先端に向かうに連れ漸次先細りとなっているテーパー部23Bとから構成されている。テーパー部23Bの先端、つまり挿入補助具21の下端は開口している。筒状部23Aの長さ、横断面形状及び横断面積は、挿入補助具23を毛髪保持具2内に挿入したときに、図7(b)に示すように、筒状部23Aの外面の摩擦力によって毛髪保持具2が挿入補助具23に固定されるような長さ、形状及び/又は面積とする。これによって、毛髪処理器具の使用時に、挿入補助具23によって毛髪保持具2が固定され、挿入補助具23さえ手で持っていれば、毛髪保持具2を手で持たなくてもこれが落下しなくなり、毛髪の挿入操作が一層容易となる。また、筒状部23Aが存在することによって、毛髪の挿入性が一層向上する。
また毛髪保持具2として、図8〜図17に示すものを用いることもできる。尚、図8〜図14及び図17においては、簡便のため、毛髪挿入具の図示を省略してある。また、図8〜図17に示す実施形態において特に説明しない点については、前述の実施形態に関する説明が適宜適用される。図8(a)〜図8(c)に示す毛髪保持具2は、これを正面から視たときに、その長手方向に沿って所定間隔をおいて形成された第1の挿通孔列8Aと、該第1の挿通孔列8Aの各挿通孔と対向する位置に形成された第2の挿通孔列8Bとを有している。本実施形態における挿通孔は、図1に示す毛髪保持具における挿通孔と異なり、各挿通孔は1個の小孔から成っている。巻き上げ用糸6は、その一端が、第1の挿通孔列8Aにおける毛髪保持具2の下端部に最も近い挿通孔7(この挿通孔を、第1列下端挿通孔という)の位置において引き抜かれないようになされている。具体的には、巻き上げ用糸6の一端を、第1列下端挿通孔の付近で毛髪保持具2に固定することで、その引き抜きを防止している。
巻き上げ用糸6の他端は、第1列下端挿通孔に対応する第2の挿通孔列8Bの挿通孔を挿通している。更に巻き上げ用糸6の他端は、毛髪保持具2の下端部よりも下側(外側)を通って第1列下端挿通孔の直上に位置する挿通孔を、第1の挿通孔列8A及び第2の挿通孔列8Bの順に挿通している。以降この挿通が順次所望の回数繰り返される。そして最後に、巻き上げ用糸6の他端は、第2の挿通孔列8Bの挿通孔7を挿通している。
本実施形態の毛髪保持具2を具備する毛髪処理器具を用いた毛髪処理方法においては、毛髪挿入具を用いて毛髪保持具2内に毛髪を挿入した後、毛髪処理剤を施す前又は施した後に、毛髪保持具2に取り付けられている巻き上げ用糸6の自由端を引っ張る。この引っ張りによって、図8(c)に示すように、毛髪保持具2は毛髪(図示せず)と共に、巻き上げ用糸6の引っ張り方向に、つまり毛髪保持具2の下端部から毛髪取り込み口4に向けてロール状に巻き上げられる。そして、その巻き上げ状態を保持するために、毛髪保持具2から引き出されている巻き上げ用糸6の根元をクリップ(図示せず)で係止する。
本実施形態によれば、ヘアカーラを用いた毛髪の巻き上げ形態と同様の巻き上げ形態を実現することができるので、美容院で通常行われているヘアカーラを用いた毛髪の巻き上げ操作が不要となる。尚、図8(a)〜図8(c)に示す実施形態においては、巻き上げ用糸6を1本用いたが、2本用いてもよい。巻き上げ用糸を2本用いることで、巻き上げ操作を一層容易に且つ確実に行うことができる。その場合には、毛髪保持具2を正面から視たときに、長手方向の両側部に、各1本ずつの巻き上げ用糸を前述の手順で挿通すればよい。
図9(a)及び図9(b)に示す毛髪保持具2では、該毛髪保持具2の長手方向に伸びる巻き上げ用糸6が、ぐし縫い状に毛髪保持具2を貫通するように取り付けられている。詳細には、毛髪保持具2を正面から視たときに、巻き上げ用糸6が、毛髪保持具2の正面側と背面側とを交互に通過するように、毛髪保持具2に取り付けられている。巻き上げ用糸6は、毛髪保持具2の最下端に位置する挿通孔7の位置において引き抜かれないようになされている。具体的には、巻き上げ用糸6の一端を、毛髪保持具2の下端部付近で毛髪保持具2に固定することで、その引き抜きを防止している。一方、毛髪取り込み口4に最も近い位置にある挿入孔7においては、巻き上げ用糸6が自由状態となっている。図示していない毛髪挿入具における把持部は、毛髪保持具2内にストレートに挿入されている。
本実施形態の毛髪保持具2を具備する毛髪処理器具を用いた毛髪処理方法においては、毛髪保持具2に取り付けられている巻き上げ用糸6の自由端を引っ張る。すると、毛髪保持具2は毛髪(図示せず)と共に蛇腹状に折り畳まれ、毛髪は略ジグザグ形に屈曲される。そして、その屈曲状態を保持するために、毛髪保持具2から引き出されている巻き上げ用糸6の根元をクリップ(図示せず)で係止する。
毛髪挿入具3における把持部が図9(c)に示すように、毛髪保持具2内を通過する巻き上げ用糸6の間を縫うように蛇行して挿通されている場合には、毛髪の挿入後、巻き上げ用糸6の自由端を引っ張ることで、毛髪保持具2は蛇腹状ではなく、スパイラル状に巻き上げられる。
図10(a)及び図10(b)に示す毛髪保持具2は、図10(a)に示すようにこれを扁平にした状態で、巻き上げ用糸6が、毛髪保持具2の長手方向に沿ってジグザグ形状の軌跡を描いている。このジグザグ形状の軌跡は、左上がりとなっている第1の軌跡6Aと、右上がりとなっている第2の軌跡6Bとが交互に配置されて構成されている。そして、第1の軌跡6Aを描く巻き上げ用糸6が、扁平な状態となっている毛髪保持具2における表面側に位置し、且つ第2の軌跡6Bを描く巻き上げ用糸6が、裏面側に位置している。第1の軌跡6Aはその両端部において毛髪保持具2の裏面へ向けて貫通しており、第2の軌跡6Bの端部に接続している。一方、第2の軌跡6Bはその両端部において毛髪保持具2の表面へ向けて貫通しており、第1の軌跡6Aの端部に接続している。この扁平な状態の毛髪保持具2を図10(b)に示すように円筒状に立体化すると、巻き上げ用糸6は、毛髪保持具2の外面に沿ってほぼスパイラル状に巻き付けられた状態となる。但し、巻き上げ用糸6が毛髪保持具2を貫通するときには、巻き上げ用糸6は毛髪保持具2の内部を通過する。
この毛髪保持具2を用いる場合には、毛髪挿入具(図示せず)を巻き上げ用糸6によって形成されたスパイラルの内部に通しておく。そして、前述の方法に従い毛髪を挿入すると、図10(b)に示すように、毛髪Hは、巻き上げ用糸6によって形成されたスパイラルの内部に通される。この状態下に巻き上げ用糸6を引くと、該巻き上げ用糸6を引く方向を視線の軸として見た場合に、毛髪は三角形や六角形などの多角形の形状に巻き上げられる。どのような形状の多角形に巻き上げられるかは、図10(a)に示す第1の軌跡6A及び第2の軌跡6Bの角度並びに毛髪保持具2に巻き上げ用糸6を取り付けた部分の幅寸法によって決定される。
図11(a)及び図11(b)に示す実施形態の毛髪保持具2は、巻き上げ用糸の通し方が図10(a)及び図10(b)と同じである。両者が異なる点は、図10(a)及び図10(b)においては、毛髪保持具の縦中心線に対称に巻き上げ用糸が通されていたのに対して、本実施形態の毛髪保持具2においては、毛髪保持具2の縦中心線に対して横方向右側へ偏倚した位置に巻き上げ用糸6が通されている点である。この扁平な状態の毛髪保持具2を図11(b)に示すように円筒状に立体化すると、巻き上げ用糸6は、毛髪保持具2の縦半分の外面に沿ってほぼスパイラル状に巻き付けられた状態となる。但し、巻き上げ用糸6が毛髪保持具2を貫通するときには、巻き上げ用糸6は毛髪保持具2の内部を通過する。
この毛髪保持具2を用いる場合には、毛髪挿入具(図示せず)を、毛髪保持具2における巻き上げ用糸6が通っていない部位、つまり、毛髪保持具2の縦中心線に対して横方向左側へ偏倚した位置に通す。そして、前述の方法に従い毛髪を挿入すると、図11(b)に示すように、毛髪Hは、巻き上げ用糸6によって形成されたスパイラルに隣接して該スパイラルの外側を通される。この状態下に巻き上げ用糸6を引くと、該巻き上げ用糸6を引く方向を視線の軸として見た場合に、毛髪は円形に巻き上げられる。また図11(a)に示す第1の軌跡6A及び第2の軌跡6Bの角度によっては、毛髪は三角形や六角形などの多角形の形状に巻き上げられることもある。本実施形態の毛髪保持具を用いると、ロッドを用いて毛髪を巻き上げた場合と同様のくせ付けができるという利点がある。
本実施形態の毛髪保持具2においては、巻き上げ用糸6が通っている部位、つまり毛髪保持具2の縦中心線に対して横方向右側へ偏倚した部位を、巻き上げ用糸6が通っていない部位、つまり毛髪保持具2の縦中心線に対して横方向左側へ偏倚した部位に比べて硬めに形成してもよい。これによって巻き上げ操作を一層円滑に行うことができる。同様の理由により、巻き上げ用糸6が通っていない部位、つまり毛髪保持具2の縦中心線に対して横方向左側へ偏倚した部位を伸縮性の材料から構成してもよい。
図12(a)及び図12(b)に示す毛髪保持具2は、図12(a)に示すように、これを扁平にした状態で、巻き上げ用糸6が、毛髪保持具2の長手方向に沿ってジグザグ形状の軌跡を描いている。このジグザグ形状の軌跡の軌跡は、左上がりとなっている第1の軌跡6A’と右上がりとなっている第2の軌跡6B’とが交互に配置されて構成されている。そして、第1の軌跡6A’を描く巻き上げ用糸6が、扁平な状態となっている毛髪保持具2における裏面側に位置し、且つ第2の軌跡6B’を描く巻き上げ用糸6が、表面側に位置している。
第1の軌跡6A’はその下側の端部において毛髪保持具2の表面へ向けて貫通しており、第2の軌跡6B’の上側の端部に接続している。また、第1の軌跡6A’はその上側の端部において毛髪保持具2の一側縁のやや外側の位置で、第2の軌跡6B’の下側の端部に接続している。一方、第2の軌跡6B’はその上側の端部において毛髪保持具の裏面へ向けて貫通しており、第1の軌跡6A’の下側の端部に接続している。また第2の軌跡6B’はその下側の端部において毛髪保持具2の一側縁のやや外側の位置で、第1の軌跡6A’の下側の端部に接続している。
この扁平な状態の毛髪保持具2を図12(b)に示すように円筒状に立体化すると、巻き上げ用糸6は、毛髪保持具2の外面に沿ってほぼスパイラル状に巻き付けられた状態となる。但し、巻き上げ用糸6が毛髪保持具2を貫通するときには、巻き上げ用糸6は毛髪保持具2の内部を通過する。この毛髪保持具2を用いる場合には、毛髪挿入具(図示せず)を巻き上げ用糸6によって形成されたスパイラルの内部に通しておく。そして、前述の方法に従い毛髪を挿入すると、図12(b)に示すように、毛髪Hは、巻き上げ用糸6によって形成されたスパイラルの内部に通される。この状態下に巻き上げ用糸6を引くと、先に述べた図8(c)と同様の巻き上げ形態となる。本実施形態の毛髪保持具を用いると、ロッドを用いて毛髪を巻き上げた場合と同様のくせ付けができるという利点がある。
図13(a)〜図13(c)に示す毛髪保持具2は、第1の帯状シート13A及び第2の帯状シート13Bの2枚の帯状シートを重ね合わせ、両側部を互いに接合して筒状に形成されている。2枚の帯状シートは同形になっている。2枚の帯状シートのうち、第1の帯状シート13Aは熱収縮性を有している。他方の帯状シートである第2の帯状シート13Bは熱収縮性を有していない。本実施形態の毛髪保持具2を具備する毛髪処理器具を用いた毛髪処理方法においては、毛髪挿入具を用いて毛髪保持具2内に毛髪を挿入した後、毛髪処理剤を施す前又は施した後に、図13(b)に示すように毛髪保持具2に熱を付与する。熱の付与手段としては、例えばヘアドライヤを用いることが簡便である。熱の付与によって、毛髪保持具2を構成する一方のシートである第1の帯状シート13Aが熱収縮する。しかし、他方のシートである第2の帯状シート13Bは熱収縮しない。その結果、両シート間で収縮に差が生じ、図13(c)に示すように、毛髪保持具2はそれに挿入されている毛髪と共に、第1の帯状シート13A側を内側としてロール状に巻き上げられる。この巻き上げ形態は、毛髪保持具2への熱の付与を止めた後も保持される。従って、前述した各実施形態の毛髪保持具と異なり、本実施形態の毛髪保持具には、巻き上げ形態を保持するための手段が不要であるという利点がある。尚、本実施形態においては2枚の帯状シートから筒状の毛髪保持具2を形成したが、これに代えて3枚以上の複数の帯状シートを用い、各帯状シートの長手方向側部を互いに接合して筒状の毛髪保持具を形成してもよい。そして、各帯状シートのうちの少なくとも1枚の帯状シートとして熱収縮性シートを用い、その他の帯状シートとして熱収縮性を有していないシートを用いる。この場合、熱収縮性シートが、毛髪保持具の巻き上げ手段となる。
図14に示す毛髪保持具2は、縦長の帯状シートを筒状に形成したものである。そして、これをロール状に巻き上げた状態で、該状態が保持されるように、所定の手段によってくせ付けをする。これによって、毛髪保持具2は、これをその長手方向に引き伸ばした状態にして、その状態から解放すると、ロール状に巻き上げられた状態へと自発的に巻き上げられる。毛髪保持具2にくせ付けをするためには、帯状シートの構成材料として所定の形状に形成された弾性変形可能な材料を用いることが簡便である。該弾性変形可能な材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリルなどが挙げられる。これらの弾性変形可能な材料を用いて毛髪保持具2にロール状のくせ付けをするには、毛髪保持具2をロール状に巻き上げ、所定の手段によってその巻き上げ形態を保持し、その状態下に毛髪保持具2を所定温度に加熱すればよい。本実施形態の毛髪保持具2を具備する毛髪処理器具を用いた毛髪処理方法においては、毛髪挿入具を用いて毛髪保持具2内に毛髪を挿入した後、引き伸ばした状態にある毛髪保持具2の引き伸ばし状態を解除すれば、毛髪保持具2は自発的に巻き上げられる。従って、本実施形態の毛髪保持具は巻き上げ操作が全く不要である。その上、本実施形態の毛髪保持具は、図13(a)〜図13(c)に示す実施形態の毛髪保持具と同様に巻き上げ形態を保持するための手段が不要であるという利点もある。尚、本実施形態においては、巻き上げ形態としてロール状の形態を例示したが、この他に、目的に応じ、蛇腹状、ジグザグ状、スパイラル状などの種々の形態とすることができる。
図15及び図16に示す実施形態の毛髪処理器具1は、これまでに述べた毛髪処理器具と異なり、毛髪保持具が筒状となっていない。詳細には、図15に示す毛髪処理器具1においては、毛髪保持具2が、短冊状の一枚のシート16からなると共に該毛髪保持具2の巻き上げ手段としての巻き上げ用糸6を備えている。短冊状のシート16には、長手方向に延びる中心線に沿って、毛髪取り込み口4としての毛髪挿通孔17が所定間隔を置いて複数形成されている。毛髪挿入孔7の周囲は、プラスチック板や厚紙の貼り付けによって、毛髪保持具2における他の部位よりも固く形成されている。毛髪保持具2が熱可塑性樹脂製の不織布からなる場合には、毛髪挿入孔17の周囲を加熱し溶融固化させる処理によって該孔の周囲を固く形成することができる。また短冊状のシート16は、その長手方向一側縁部に沿って所定間隔を置いて形成された複数の挿通孔7Aからなる第1の挿通孔列8Aと、他側縁部に沿って所定間隔を置いて形成された複数の挿通孔7Bからなる第2の挿通孔列8Bとを有している。シート16の長手方向に関して、第2の挿通孔列8Bにおける各挿通孔7Bは、第1の挿通孔列8Aにおける各挿通孔7A間に位置している。具体的には、挿通孔7Bは、隣り合う挿通孔7A間の中間に位置している。巻き上げ用糸6は、その一端が、第1の挿通孔列8Aにおける毛髪保持具2の下端部に最も近い挿通孔7Aの位置で固定されていると共にその他端は、該挿通孔7Aを起点として、第2の挿通孔列8Bの挿通孔7Bと第1の挿通孔列8Aの挿通孔7Aとをこの順で前記下端部側から順次挿通し、最後に第2の挿通孔列8Bの挿通孔7Bを挿通している。これによって巻き上げ用糸6は、短冊状のシート16の表裏に交互に配されていると共に毛髪保持具2の長手方向に延びる三角波形の軌跡を描いている。
一方、毛髪処理器具1における毛髪挿入具3は、その把持部9が、ぐし縫い状に短冊状のシート16を貫通するように、該短冊状のシート16に取り付けられている。詳細には、毛髪挿入具3の把持部9が、短冊状のシート16の表裏に交互に配されるように隣り合う毛髪挿入孔17を挿通している。
本実施形態の毛髪処理器具1を用いた毛髪処理方法においては、毛髪挿入具3におけるフック部10に毛髪を引っかけ、次いで把持部9を引っ張ることで、毛髪が、短冊状のシート16の表裏に交互に配されるように隣り合う毛髪挿入孔17を挿通される。この状態下に、毛髪保持具2に取り付けられている巻き上げ用糸6の自由端を引っ張る。その結果、毛髪保持具2は、毛髪と共にスパイラル状ないし蛇腹状に巻き上げられる。そして、その巻き上げ状態を保持するために、毛髪保持具2から引き出されている巻き上げ用糸6の根元をクリップ(図示せず)で係止する。
図16に示す毛髪処理器具1においては、毛髪保持具2が、何れも細帯状である第1のシート18Aと第2のシート18Bとから構成されている。両シート18A,18Bは、その長手方向に亘って所定間隔を置いて接合されている。この接合によって、接合部19と、毛髪取り込み口4としての環状の毛髪挿通部20とが交互に形成されている。各接合部19にはそれぞれ挿通孔7が形成されている。毛髪挿通部20を構成する環状部は、プラスチック板や厚紙の貼り付けによって、毛髪保持具2における他の部位よりも固く形成されている。また毛髪保持具2は、巻き上げ手段としての巻き上げ用糸6を備えている。そして巻き上げ用糸6は、第1のシート18A側と第2のシート18B側とに交互に配されるように隣り合う挿通孔19を挿通している。巻き上げ用糸6の一端は、毛髪保持具2の下端部に位置する挿通孔の位置で固定されている。一方、巻き上げ用糸6の他端は、毛髪保持具2の上端部に位置する挿通孔19に挿通され、自由端となっている。
一方、毛髪処理器具1における毛髪挿入具3は、その把持部9が、隣り合う毛髪挿通部20をぐし縫い状に挿通している
本実施形態の毛髪処理器具1を用いた毛髪処理方法においては、毛髪挿入具3におけるフック部10に毛髪を引っかけ、次いで把持部9を引っ張ることで、毛髪が、毛髪保持具2における隣り合う毛髪挿通部20をぐし縫い状に挿通される。この状態下に、毛髪保持具2に取り付けられている巻き上げ用糸6の自由端を引っ張る。その結果、毛髪保持具2は、毛髪と共に蛇腹状に折り畳まれ、毛髪は略ジグザグ形又はスパイラル形に屈曲される。そして、その屈曲状態を保持するために、毛髪保持具2から引き出されている巻き上げ用糸6の根元をクリップ(図示せず)で係止する。
図17(a)及び図17(b)に示す実施形態の毛髪保持具2は、該毛髪保持具2の巻き上げ状態を保持するための手段を備えるものである。尚、図17(a)及び図17(b)においては、簡便のため毛髪挿入具及び巻き上げ手段の図示を省略してある。この毛髪保持具2は、一面(正面)及びこれと反対側に位置する他面(裏面)を有している。正面には、毛髪保持具2を所定の形状に巻き上げ、湾曲又は屈曲させて該正面と該裏面とを当接させたときに、該正面と該裏面とが接合して該所定の形状を保持し得る接合部が設けられている。具体的には、図17(a)に示すように、毛髪保持具2を正面から視たときに、その正面側に、縦中心線に沿って係合手段14が設けられている。一方、毛髪保持具2の裏面側において、係合手段14と対向する位置に、該係合手段14と係合する被係合手段15が設けられている。係合手段14及び被係合手段15は、何れも毛髪保持具2の長手方向に延びている。係合手段14及び被係合手段15としては、面ファスナのフック部材及びループ部材が典型的な例として挙げられる。この係合手段14は、毛髪保持具2の正面側を内側にして該毛髪保持具2をロール状に巻き上げたときに、毛髪保持具2の正面と裏面とが接合して該ロール状の形状を保持し得る接合部として機能する。詳細には、図示しない毛髪挿入具を用いて毛髪保持具2内に毛髪を挿入した後、巻き上げ手段(図示せず)によって、下端部から毛髪取り込み口に向かって毛髪保持具2を巻き上げる。すると、図17(b)に示すように、前記正面側に設けられている係合手段14が、前記裏面側に設けられている被係合手段15と当接し両者が係合する。つまり、毛髪保持具2の正面と裏面とが接合する。その結果、毛髪保持具2は、その巻き上げ状態が保持される。
図17(a)及び図17(b)に示す実施形態の変形例として、前述の係合手段14及び被係合手段15に代えて、それぞれ自己接着性テープ〔例えば仁礼工業製のふしぎテープ(商品名)〕を用いることもできる。更に別の変形例として、毛髪保持具2の内面に、両面粘着テープを長手方向に沿って貼着した形態のものがある。即ち、この変形例は、図17(a)及び図17(b)に示す実施形態の毛髪保持具において、係合手段14に代えて両面粘着テープを用い且つ被係合手段15を設けない形態のものである。そして両面粘着テープは、毛髪保持具2の正面と裏面と接合部として機能する。この変形例によれば、被係合部材15を設けない分だけ、図17(a)及び図17(b)に示す実施形態の毛髪保持具よりも材料を削減することができる。尚、本実施形態は、毛髪保持具2をロール状に巻き上げた例であるが、これに代えて毛髪保持具2を湾曲又は屈曲させて他の形状としても同様の効果が奏される。また本実施形態では、毛髪保持具2の正面と裏面とを接合したが、これに代えて正面同士を接合して所定の形状となしてもよい。
以上の説明から明らかなように、本発明における毛髪保持具としては、細長筒形状のものや、閉じた開孔が長手方向に間欠的に複数設けられたものが好ましく用いられる。これによって、毛髪を確実に取り込んで保持することができ、また巻き上げた時にも毛髪の乱れを生じさせずに、きれいな巻き上げ形態を安定に維持することが可能となる。
図1〜図17に示す実施形態の毛髪処理器具においては、毛髪の処理方法によっては巻き上げ手段を具備していなくてもよい場合がある。例えば前述したストレートパーマをかける場合である。巻き上げ手段を具備していない毛髪処理器具としては例えば、図1に示す実施形態に対応する実施形態のものとして、
一端部に毛髪取り込み口を有する細長形状の可撓性材料からなる毛髪保持具と、先端に毛髪のフック部を有する毛髪挿入具とを具備し、前記毛髪挿入具がそのフック部を前記毛髪保持具の毛髪取り込み口側に向けて前記毛髪保持具に保持された状態で使用される毛髪処理器具であって、前記毛髪取り込み口及びその近傍の部位が、前記毛髪保持具における他の部位よりも高剛性となされている毛髪処理器具や、
一端部に毛髪取り込み口を有する細長形状の毛髪保持具と、先端に毛髪のフック部を有する毛髪挿入具とを具備し、前記毛髪挿入具がそのフック部を前記毛髪保持具の毛髪取り込み口側に向けて前記毛髪保持具に保持された状態で使用される毛髪処理器具であって、前記毛髪挿入具における前記フック部はループ形状であってその周長が前記毛髪取り込み口の周長よりも大きくなされていると共に該フック部が変形可能になされている毛髪処理器具が挙げられる。
また図6に示す実施形態に対応する実施形態のものとして、
一端部に毛髪取り込み口を有する細長形状の毛髪保持具と、細長形状の把持部及び該把持部の先端に取り付けられた毛髪のフック部を有する毛髪挿入具とを具備し、前記毛髪挿入具がそのフック部を前記毛髪保持具の毛髪取り込み口側に向けて且つその把持部が前記毛髪取り込み口に挿通されて前記毛髪保持具に保持された状態で使用される毛髪処理器具であって、
前記毛髪処理器具は、挿入補助具を更に具備し、該挿入補助具には、該挿入補助具をその長さ方向に貫き且つ入口及び出口を有する貫通路が形成されており、該貫通路は前記入口から前記出口に向けて先細りとなっており、
前記毛髪挿入具の把持部が、前記挿入補助具の貫通路を前記入口から前記出口に向けて貫通し、更に前記毛髪保持具の毛髪取り込み口に挿通されている毛髪処理器具が挙げられる。
更に、図17示す実施形態に対応する実施形態のものとして、
一端部に毛髪取り込み口を有する細長形状の可撓性材料からなる毛髪保持具と、先端に毛髪のフック部を有する毛髪挿入具とを具備し、前記毛髪挿入具がそのフック部を前記毛髪保持具の毛髪取り込み口側に向けて前記毛髪保持具に保持された状態で使用される毛髪処理器具であって、
前記毛髪保持具は、一面及びこれと反対側に位置する他面を有し、該一面には、該毛髪保持具を所定の形状に巻き上げ、湾曲又は屈曲させて該一面と該他面とを当接させたときに、該一面と該他面とが接合、又は該一面同士が接合して該所定の形状を保持し得る接合部が設けられている毛髪処理器具が挙げられる。
これら巻き上げ手段を具備していない毛髪処理器具を用いた毛髪処理方法としては、
前記毛髪処理器具における前記フック部に所望量の毛髪を引っかけ、この状態下に前記毛髪挿入具を前記毛髪保持具における一端部である前記毛髪取り込み口から他端部に向かって引き抜いて前記毛髪を前記毛髪保持具内に挿入し、次いで毛髪処理剤を前記毛髪取り込み口から前記毛髪保持具内に供給するか、又は毛髪処理剤を前記毛髪保持具に向けて付与する毛髪処理方法が挙げられる。
図18〜図22は、毛髪保持具の更に別の実施形態を示す模式図である。これらの図においては、簡便のため、毛髪挿入具及び巻き上げ手段の図示を省略してある。図18に示す毛髪保持具200は、一端の開口部221から他端の開口部222に向けて毛髪束を挿通可能に、シート223により構成された筒状体212からなり、該筒状体212は、その長手方向に実質的に伸縮性を有しておらず、また、該筒状体212における横断面の全周部分のシート223は、該筒状体212の長手方向全長に亘って、テーバーこわさが0.4mN・m以下である。
毛髪保持具200においては、前記筒状体212は、その横断面形状がそれぞれ直線状の二面を結合してなる扁平形状である。尚、図18においては、筒状体212を、便宜上、その開口部が弓形状の二面を結合してなる扁平形状に開口した状態で図示している。毛髪保持具200においては、前記二面は、何れも前記テーバーこわさが0.4mN・m以下であり、好ましくは0.3mN・m以下である。シート223のテーバーこわさが0.4mN・m超であると、筒状体212に毛髪束を挿通して巻回した場合に、筒状体212を円滑に巻回することができず、毛髪束に綺麗なカールを付与することができない。「テーバーこわさ」は、JISP8125に規定される「こわさ試験方法」により測定される。
毛髪保持具200においては、筒状体212は、前述したように、その長手方向(図18における上下方向)に実質的に伸縮性を有していない。筒状体212が長手方向に伸縮性を有していると、保持具の寸法が容易に変化し、筒状部212に毛髪束を挿通する際又は挿通状態において、いわゆる逆毛になったり、毛先に不規則なくせが付き易い。「筒状体の長手方向に実質的に伸縮性を有していない」とは、長手方向に伸縮性を有していないが、筒状体が弾性変形の範囲内で且つ逆毛が生じない程度の伸び量を示しても良いことを意味する。
毛髪保持具200においては、前記筒状体212は、一枚の矩形状のシート223を、その長手方向に沿って二つ折りし、その長手方向に沿う側端部224,224同士を接合させて形成されている。筒状体212の大きさは、毛髪の長さやくせ付けしたい場所、挿入する毛髪束の量に応じて適宜選択できる。
筒状体212を構成するテーバーこわさが0.4mN・m以下のシート223としては、各種可撓性材料が用いられ、例えば、不織布(ポリエチレン不織布、ポリエチレンテレフタレート不織布等)、織布、多孔性又は非多孔性の樹脂フィルム(ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等)、紙、高分子材料シート、ゴムシート、樹脂ネット、又はこれらの複合体等が挙げられる。本実施形態においては、テーバーこわさが0.4mN・m以下で且つパーマ用の毛髪処理剤に対して透過性を有する不織布が用いられている。シート223の厚みは、テーバーこわさが0.4mN・m以下であれば、特に限定されないが、好ましくは5μm〜500μmである。シートのテーバーこわさ及び厚みは、シート全体で均一の方が好ましい。
図19にそれぞれ示すテーバーこわさ値を有する各種可撓性材料(1)〜(5)を用いて形成された筒状体についての評価結果を図19に示す。本評価に用いた筒状体は、何れも前述の毛髪保持具200における筒状体と同様の構成に形成されたものである。テーバーこわさが0.4mN/m以下である、(1)のポリエチレン(PE)不織布、(2)の低密度ポリエチレン(LPDE)フィルム又は(3)のポリエチレンテレフタレート(PET)不織布からそれぞれ形成された筒状体によれば、毛髪束をきれいな円形に巻回することができた。一方、テーバーこわさが0.4mN/m超である、(4)のPET不織布又は(5)のコピー用紙からそれぞれ形成された筒状体によれば、毛髪束を円形に巻回することができない。他に、テーバーこわさが0.4mN/m以下である、ラテックス製の手袋、ストッキング(二枚重ね)及びお土産用のみかん用のネットからそれぞれ形成された筒状体も、可撓性材料(1)〜(3)から形成された筒状体と同様の評価が得られた。
本実施形態の毛髪保持具200を用いて毛髪束を巻回する場合、本実施形態の毛髪保持具200においては、筒状体212を構成するシート223が所定のテーバーこわさを有しているため、毛髪束を挿通した筒状体212をいびつな形状にさせずに円滑に巻回することができ、また、筒状体212が実質的に伸縮性を有していないため、筒状体212に毛髪束を挿通する際又は挿通状態において筒状体212が伸長せず、逆毛や毛先の不規則なくせが生じ難い。そのため、本実施形態の毛髪保持具200によれば、毛髪に、容易且つ確実に綺麗なカールを付与することができる。
図20に示す毛髪保持具200は、筒状体212が、二枚の矩形状のシート223A,223Bを、その長手方向に沿う側端部224,224同士を接合させて形成されており、一方の該シート223Aのテーバーこわさが0.4mN・m以下である。一方のシート223Aのテーバーこわさが0.4mN・m以下であれば、他方のシート223Bのテーバーこわさは、0.4mN・m以下でも0.4mN・m超でもよい。テーバーこわさが0.4mN・m超の場合、好ましくは、テーバーこわさは20mN・m以下である。本実施形態においては、他方のシート223Bとして、テーバーこわさが2〜5mN・mのものを用いている。
図20に示す実施形態の毛髪保持具200によれば、図18に示す実施形態の毛髪保持具と同様に、毛髪に容易且つ確実に綺麗なカールを付与することができる。本実施形態の毛髪保持具200を用いて毛髪束を巻回する場合、テーバーこわさの低いシート223Aを内側にする方がよい。筒状体全体としては伸縮せず、シート自体が伸縮性を有するシートからなる筒状体の場合は、どちらを内側にしてもよい。
図21に示す実施形態の毛髪保持具200は、筒状体212が、一枚の伸縮性を有する矩形状のシート223を、その長手方向に沿って二つ折りし、その長手方向に沿う側端部224,224同士を接合させて形成されており、接合された該側端部224の部分が、伸縮性を有していない。シート223は、長手方向全長に亘ってテーバーこわさが0.4mN・m以下となっている。シート223は、格子状の網目構造を有しており、この網目構造により伸縮性を実現している。そして、筒状体212においては、シート223の網目が筒状体212の長手方向に対し斜行して配置しているが、前述のように、側端部224の部分は、伸縮性を有していないため、筒状体212全体としては、実質的に伸縮性を有していない。本実施形態の毛髪保持具200においては、筒状体212は、その短手方向(図21における左右方向)に伸縮性を有している。筒状体212が短手方向に伸縮性を有していると、筒状部212の開口部221に毛髪束を挿入する際に該開口部221が拡がり易く、毛髪束を挿入し易い。本実施形態の毛髪保持具200によれば、図18に示す実施形態の毛髪保持具と同様に、毛髪に容易且つ確実に綺麗なカールを付与することができる。
図22に示す実施形態の毛髪保持具200は、筒状体212が、格子状の網目構造からなる矩形状のシート223Aと、網目や孔が形成されていない矩形状のシート223Bとを、その長手方向に沿う側端部224,224同士を接合させて形成されている。シート223Aは長手方向に伸縮性を有しているが、シート223Bは長手方向に実質的に伸縮性を有しておらず、そのため、筒状体212全体としては、実質的に伸縮性を有していない。また、シート223Aは長手方向全長に亘ってテーバーこわさが0.4mN・m以下であり、シート223Bは長手方向全長に亘ってテーバーこわさが0.4mN・m超である。本実施形態の毛髪保持具200によれば、シート223A、シート223Bの何れを内側に巻回しても、筒状体212を円滑に巻回することができ、毛髪に、容易且つ確実に綺麗なカールを付与することができる。
図18〜図22に示す実施形態の毛髪保持具は、例えば次に述べるような変更が適宜可能である。筒状体が扁平形状の場合、テーバーこわさが0.4mN・m以下のシートが筒状体における横断面の少なくとも半周を占めていれば、該シートは筒状体の一方の面から他方の面に亘って配置していてもよい。また、扁平形状としては、弓形状の二面を結合してなる形状でもよい。また筒状体は、全体として実質的に伸縮性を有していなければ、筒状体を構成するシートの一部が伸縮性を有していてもよい。図21に示す実施形態においては、筒状体212は、一枚の伸縮性を有するシートを二つ折りし、その側端部同士を接合させて形成されているが、伸縮性を有するシートから形成される筒状体は、二枚の該シートを、その側端部同士を接合させて形成することもできる。
図18〜図22に示す実施形態の毛髪保持具における筒状体は、その形成方法について特に制限はなく、シートを縫合、融着又は接着して形成したものでも、押出成形等により当初から筒状に形成したものでもよい。図18及び図20に示す実施形態においては、筒状体を構成するシートとして、パーマ用の毛髪処理剤に対して透過性を有する不織布を用いているが、本発明においては、筒状体を構成するシートとして液不透過性のシートを用いることができ、更に、筒状体の他端の開口部にチャックを設け、該開口部を閉塞可能な構造とすることもできる。また、筒状体を構成するシートに長手方向に塑性変形部材を接合させてもよく、このような構成の毛髪保持具を用いて毛髪束を巻回すると、筒状体に挿通された毛髪束の復元力を抑制することができる。更に、図18〜図22に示す実施形態においては、筒状体は、その両端が開口しているが、筒状体は、その一端が開口し且つその他端に閉口可能な手段を設けてあるものでもよい。また更に、図18〜図22に示す実施形態のそれぞれ異なる部分を、適宜変更したり組み合わせた形態とすることもできる。
図18〜図22に示す実施形態の毛髪保持具における「筒状体」を構成するシート材の形状及びその表面状態は、上述の形態の筒状体を形成可能なものであれば良く、「扁平状」という場合、シート材の表面は、凹凸面であってもよい。また、本発明の毛髪保持具における「筒状体」は、図23に示すような末広がりの形状でも良く、このようにすれば、毛髪挿入性を良くすることができる。
図18〜図22に示す実施形態の毛髪保持具は巻き上げ手段を有さなくてもよい。その場合には例えば毛髪保持具内に毛髪束を挿入した後、該毛髪保持具を手で巻き上げればよい。例えば、パーマ処理によって毛髪に直接カールを付与する場合について、図24を参照しながら説明する。先ず、毛髪束Hの量や得ようとするカール形状に応じて、適当なテーバーこわさ、長さ及び幅を有する筒状体212からなる毛髪保持具200を用い、図24(a)に示すように、筒状体212の一端の開口部221を楕円形状に開口して、該開口部221から毛髪束Hを挿入する。そして、図24(b)に示すように、毛髪束Hを、その先端が筒状体212の他端の開口部222から少しはみ出るまで、筒状体212に挿通させる。毛髪束Hを筒状体212に挿通させた後、図24(c)及び図24(d)に示すように、毛髪保持具200を筒状体212の他端の開口部222の側から、所望の巻回径で巻回し、クリップ(図示せず)等の周知の固定手段を用いて毛髪束Hの巻回状態を保持する。その後、筒状体212の外側からパーマ用の毛髪処理剤を毛髪束Hに付与する。所定時間後、筒状体212から毛髪束Hを挿脱し、洗髪等して、パーマ処理を完了する。尚、筒状体212の開口部221から毛髪束Hを挿入させる際に、必要に応じ、該開口部221を真円状に開口した方が、毛髪束Hをスムーズに挿入させ易い。また、必ずしも、毛髪束Hの先端を筒状体212の他端の開口部222からはみ出させる必要はない。
図18〜図22に示す実施形態の毛髪保持具であって、巻き上げ手段を有さない毛髪保持具においては、毛髪束Hの巻回の際には、従来と同様に、ロッドを併用してもよい。筒状体212が液不透過性のシートから構成されている毛髪保持具200を用いてパーマ処理をする場合には、パーマ用の毛髪処理剤を筒状体の開口部221から注入すればよい。また、巻き上げ手段を有さない毛髪保持具は、パーマ処理により毛髪にカールを付与する場合に限らず、毛髪束を巻回した後、ドライヤー等により熱処理したり、乾燥した毛髪を巻回状態で保持したり、濡れた状態の毛髪を巻回状態で保持し自然乾燥させたりして、毛髪にカールを付与する場合等にも適用することができる。また、毛髪の先端にカールを付与する場合以外にも、毛髪に波状にカールを付与する場合、毛髪に螺旋状にカールを付与する場合等にも適用が可能である。
図25〜図33に示す実施形態の毛髪処理器具は、一端部に毛髪取り込み口を有し、長手方向に延びる毛髪挿入空間を有する細長の筒形状をしており、該空間は、毛髪が蛇行して挿通されるように形成されている毛髪保持具を備えている。そして、これらの毛髪処理器具は、これまで説明してきた実施形態の毛髪処理器具と異なり、巻き上げ手段を備えていなくても、毛髪にくせ付けをすることができるものである。
図25に示す毛髪処理器具100は、細長形状であり、毛髪の保持が可能になされている毛髪保持具400と毛髪挿入具300とを具備している。毛髪保持具400は細長筒形状をしており、可撓性を有するシート材を細長の扁平な袋状に形成して構成されている。毛髪は毛髪保持具400内に挿入されて保持される。毛髪保持具400は、一端部及び他端部を有しており、各端部は開口している。両端部のうち上端部は毛髪取り込み口404となっている。毛髪保持具400の長さは、処理すべき毛髪の長さに応じて適切な長さとされ、好ましくは処理すべき毛髪の長さよりも長くなっている。毛髪保持具400の長さは一般に50〜600mm程度の範囲である。またその幅は一般に10〜150mm程度である。
毛髪保持具400は、細長い短冊状のシート材421,422が二枚接合されて構成されている。各シート材421,422は同一形状であり、その両側部同士が所定の接合手段で接合されて側縁接合部423,423を形成している。また、各シート材421,422は、その縦中心線に沿って断続的に接合されており、これによって所定間隔を置いた点状の中央接合部424が多数形成されている。中央接合部424同士の距離は、毛髪にどの程度のくせ付けをさせたいかに応じて適宜調整する。一般に中央接合部424同士の距離は10〜100mm程度となっている。これらの接合部423,424によって、毛髪保持具400の内部には空間が形成される。斯かる空間は、後述するように、毛髪が毛髪保持具400の扁平面内において蛇行するように形成されているものである。
毛髪保持具400を構成するシート材としては、各種可撓性材料が用いられる。その例としては、不織布、多孔性又は非多孔性の樹脂フィルム、紙、樹脂ネット、又はこれらの複合体などが挙げられ、毛髪保持具400の具体的用途に応じて適切な材料が選択される。例えば、毛髪保持具400内に挿入された状態の毛髪に対して毛髪保持具400の外部から毛髪処理剤を施したいときには、該毛髪処理剤に対して透過性を有する材料を用いればよい。
毛髪挿入具300は毛髪保持具400内に挿入された状態で使用される。詳細には、図25(a)に示すように、毛髪挿入具300のフック部310を毛髪保持具400の毛髪取り込み口404側に向けて挿入された状態で使用される。毛髪挿入具300の把持部309は、毛髪保持具40内部の空間に挿通される。把持部309の端部は、毛髪保持具400の下端部から外方に延ばしておく。図25(a)に示すように、把持部309は、隣り合う中央接合部424の間を横切るように挿通される。その結果、把持部309は扁平な毛髪保持具400の扁平面内を、蛇行した波形形状に挿通されることになる。
次に、本実施形態の毛髪処理器具100の使用方法について図26(a)及び図26(b)を参照しながら説明する。先ず図26(a)に示すように、毛髪挿入具300のフック部310を、毛髪保持具400の毛髪取り込み口404から突出させる。そして、フック部310に所望量の毛髪Hを引っかけ、この状態下に毛髪挿入具300の下端部から引き出されている毛髪挿入具300の把持部309を引っ張る。これによって、フック部310に引っかけられている毛髪Hがフック部310と共に毛髪保持具400内に挿入される。図26(a)に示すように把持部309は、毛髪保持具400の扁平面内を、蛇行した波形形状に挿通されているので、フック部310と共に毛髪保持具400内に挿入された毛髪Hは、図26(b)に示すように毛髪保持具400の扁平面内において、蛇行した波形形状に挿通される。フック部310は、毛髪保持具400の下端部を通じて毛髪保持具400の外に引き出される。
このようにして毛髪保持具400内に挿入された毛髪Hは、該毛髪保持具400内において、蛇行した波形形状となった状態が保持されるので、この状態を長時間維持すれば、毛髪Hにウエーブ状のくせ付けがされる。また毛髪保持具400が、パーマネント処理剤などの毛髪処理剤に対して透過性を有する材料、例えば不織布や樹脂製ネットから構成されている場合には、毛髪保持具400の外部から該毛髪処理剤を施すことによって、くせ付けのされたパーマネント処理が施される。
図27(a)及び図27(b)に示す実施形態、並びに図28(a)及び図28(b)に示す実施形態においては、毛髪保持具400は、細長い短冊状のシート材421,422が二枚接合されて構成されている。両シート材の接合によって、毛髪保持具400には接合部425と非接合部426とが形成される。接合部425は、各シート材421,422の非接合部426によって、毛髪保持具400の長手方向に延びる蛇行した空間が、縦中心線に沿って形成されるような接合形状になっている。図27(a)に示す実施形態と図28(a)に示す実施形態とが異なる点は、図27(a)に示す実施形態では、非接合部426によって形成された空間以外の領域はすべて接合部425となっているのに対して、図28(a)に示す実施形態では、蛇行した非接合部426の両側にのみ線状の接合部425が形成されており、各シート材421,422の両側部では両シートが接合されていない点である。両実施形態における空間の蛇行の程度は、毛髪にどの程度のくせ付けをさせたいかに応じて適宜調整する。
図29(a)及び図29(b)に示す実施形態においては、毛髪保持具400は、細長い短冊状のシート材421,422が二枚接合されて構成されている。各シート材421,422は、その左右両側部同士が所定の接合手段で接合されて左右の側縁接合部423,423を形成している。各側縁接合部423には、内方へ向かって突出した突出接合部427が延設されている。各突出接合部427は、長手方向に所定間隔を置いて形成されている。左右それぞれの側縁部に形成されている突出接合部427は、一方の側縁部に形成されている突出接合部427が、他方の側縁部に形成されている隣り合う突出接合部427,427の中間の位置に位置するように形成されている。つまり左右の突出接合部は互い違いの位置に形成されている。本実施形態における突出接合部427の形状は山形をしている。しかし、突出接合部427の形状はこれに限られず例えば三角形や矩形であってもよい。本実施形態においては、接合部423,427以外の領域である非接合部によって、毛髪保持具400の長手方向に延びる蛇行した空間が、縦中心線に沿って形成される。
図30に示す実施形態の毛髪保持具400は、図25(a)に示す実施形態における毛髪保持具が多列に並設されたものに相当する。尚、図30では毛髪挿入具が省略されている。本実施形態の毛髪保持具400は、矩形のシート材を二枚重ね、長手方向に延びる線状の接合部423によって接合することで形成される。接合部423は、シート材の幅方向に所定間隔を置いて多数形成されている。隣り合う接合部423の間の距離は、図25(a)に示す実施形態の毛髪保持具の幅と同様とすることができる。隣り合う接合部423の間には、それらの中間の位置に、長手方向に延びる点状の中央接合部424が所定間隔を置いて多数形成されている。隣り合う中央接合部424間の距離は図25(a)に示す実施形態の毛髪保持具と同様とすることができる。本実施形態の毛髪保持具400によれば、図25(a)に示す実施形態の毛髪保持具に比べて、多量の毛髪を一度にくせ付けできる。
図31に示す実施形態の毛髪保持具400は、図25(a)に示す実施形態における毛髪保持具が厚さ方向に複数個重ねられたものに相当する。本実施形態の毛髪保持具400は、細長い短冊状のシート材421の各面に、該シート材421と同形状のシート材422A,422Bがそれぞれ重ね合わされている。各シート材421,422A,422Bは、その両側部同士が所定の接合手段で接合されており、これによって側縁接合部423,423が形成されている。また、各シート材421,422A,422Bは、その縦中心線に沿って断続的に接合されており、これによって所定間隔を置いた点状の中央接合部424が多数形成されている。本実施形態の毛髪保持具400によっても、図30に示す実施形態と同様に、図25(a)に示す実施形態の毛髪保持具に比べて、多量の毛髪を一度にくせ付けできる。
図32に示す実施形態の毛髪保持具400は、細長い短冊状のシート材421,422が貼り合わせて構成されている。各シート材421,422には、その一部が該シート材の面内から突出した突出部428,428,・・が該シート材の長手方向に多数形成されている。各突出部428は、シート材の縦中心線に沿って形成されている。各突出部428は、各シート材421,422同士を貼り合わせたときに、各突出部430同士が対向することで、該シート材の面内に対して上下方向に蛇行した空間が形成されるような形状及び/又は位置に形成されている。各突出部430は、シート材をプレス成形することで形成することができる。本実施形態においては、前記空間は、シート材の面内と直交する方向に蛇行する管状の形状となっている。
図33に示す実施形態の毛髪保持具400は、これまで説明した実施形態のものと異なり円管から構成されている。この円管は螺旋状に巻回されている。本実施形態によれば毛髪は螺旋状にくせ付けされる。この円管は、引き伸ばすことのできない固定状態となっていてもよい。或いは円管は、引き伸ばすことのできる性質を有しており、引き伸ばされた状態から自然状態(つまり引き伸ばす力が加わっていない状態)となったときに、自発的に図示する螺旋状に巻回されるようになっていてもよい。円管が引き伸ばすことのできる性質を有している場合には、円管を引き伸ばした状態で該円管内に毛髪を挿入し、次いで引き伸ばす力を解放することで自発的に図示する巻回状態となるので、毛髪の挿入性が向上するという利点がある。
図25(a)〜図33に示す実施形態においては、図1〜図22に示す実施形態と同様に、毛髪保持具に所定の巻き上げ手段を付加してもよい。巻き上げ手段としては、毛髪保持具400を手で巻き上げた後にクリップやピンで巻き上げ状態を固定する手段や、毛髪保持具に自己接着性を付与する手段がある。更に、巻き上げ手段として、先に説明した巻き上げ用糸や熱収縮を利用することも可能である。毛髪保持具400に毛髪を挿入した後に巻き上げることで、更に複雑な三次元状のくせ付けを行うことが可能となる。具体的には、図25(a)に示す実施形態を例にとれば、図34(a)に示すように、巻き上げ手段として巻き上げ用糸6が用いられる。巻き上げ用糸6は、毛髪保持具400の長手方向に伸びており、ぐし縫い状に毛髪保持具400を貫通するように取り付けられている。詳細には、毛髪保持具400を正面から視たときに、巻き上げ用糸6が、毛髪保持具400の正面側と背面側とを交互に通過するように、毛髪保持具400に取り付けられている。巻き上げ用糸6は、各中央接合部424を貫通している。巻き上げ用糸6は、毛髪保持具400の最下端に位置する中央接合部424の位置において引き抜かれないようになされている。具体的には、巻き上げ用糸6の一端を、最下端に位置する中央接合部424で毛髪保持具400に固定することで、その引き抜きを防止している。一方、毛髪取り込み口404に最も近い位置にある中央接合部424においては、巻き上げ用糸6が自由状態となっている。
毛髪保持具400に取り付けられている巻き上げ用糸6の自由端を引っ張ると、図34(b)に示すように、毛髪保持具400は毛髪(図示せず)と共に蛇腹状に折り畳まれ、毛髪は略ジグザグ形に屈曲される。そして、その屈曲状態を保持するために、毛髪保持具400から引き出されている巻き上げ用糸6の根元をクリップ(図示せず)で係止する。この実施形態によれば、平面内(つまり二次元)で蛇行していた毛髪が略ジグザグ形に屈曲されることで、複雑な三次元状のくせ付けをすることができる。
巻き上げ手段に関しては、図27(a)〜図32に示す実施形態についても、図25(a)に示す実施形態と同様に適用できる。また、図25(a)〜図32に示す実施形態においては、複数枚のシート材を用いて毛髪保持具を構成したが、必要に応じ1枚のシート材から毛髪保持具を構成してもよい。
以上、図1〜図34を参照して種々述べてきた実施形態においては、毛髪束の巻回の際に、巻き上げ手段を用いるが、これに加えて従来と同様に、ロッドを併用してもよい。
尚、前述した毛髪処理器具及び毛髪処理方法に関する各実施形態の内容は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で相互に置換することができる。