以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の毛髪処理器具の一実施形態の斜視図が示されている。毛髪処理器具1は、細長形状であり、毛髪の保持が可能になされている毛髪保持具2と毛髪挿入具3とを具備している。
毛髪保持具2は細長筒形状をしており、可撓性材料から構成されている。毛髪は毛髪保持具2内に挿入されて保持される。毛髪保持具2は、一端部及び他端部を有しており、各端部は開口している。両端部のうち上端部は毛髪取り込み口4となっている。他端部である下端部には、該下端部の開閉手段としてのチャック5が取り付けられており、該下端部がチャック5によって開閉可能になされている。この開閉手段としては、チャックの他に、面ファスナ、粘着テープ、自己接着性テープ〔例えば仁礼工業製のふしぎテープ(商品名)〕などを用いることもできる。毛髪保持具2の長さは、処理すべき毛髪の長さに応じて適切な長さとされ、好ましくは処理すべき毛髪の長さよりも長くなっている。毛髪保持具2の長さは一般に50〜600mm程度の範囲である。
毛髪取り込み口4は、その開口端に向かうにつれて漸次拡開した漏斗状の形状をしている。これによって、毛髪挿入具3を用いて毛髪を毛髪保持具2内に挿入する際、毛髪取り込み口4に毛髪や毛髪挿入具3が引っかかり難くなり、毛髪を取り込み易くなる。毛髪取り込み口4及びその近傍の部位は、毛髪保持具2における他の部位よりも高剛性となされている。これによって、毛髪を取り込む際に毛髪取り込み口4に、毛髪や毛髪挿入具3が引かったとしても毛髪取り込み口4が変形しづらくなり、毛髪を取り込み易くなる。毛髪取り込み口4及びその近傍の部位をその他の部位よりも高剛性とするには、例えば毛髪保持具2がプラスチック成形により製造される場合にはこれらの部位をその他の部位よりも肉厚に成形すればよい。また毛髪保持具2が不織布やネットなどから構成される場合には、毛髪取り込み口4及びその近傍の部位に高剛性の材料、例えばプラスチック板や板紙などを貼り付ければよい。
毛髪取り込み口4は、その開口端が毛髪を取り込みやすい形状となっていることが好ましい。例えば毛髪取り込み口4の開口端の形状が、円形又は長径と短径との比が1に近い楕円形であると毛髪を取り込み易い。これに加えて、毛髪取り込み口4の開口端の最大幅W(図1参照)が、5〜200mm、特に10〜90mmであると、毛髪の取り込み易さと、取り扱い性及び操作性とがバランスするので好ましい。
毛髪保持具2を構成する材料としては、各種可撓性材料が用いられる。その例としては、不織布、多孔性又は非多孔性の樹脂フィルム、紙、樹脂ネット、又はこれらの複合体などが挙げられ、毛髪処理器具1の具体的用途に応じて適切な材料が選択される。例えば、毛髪保持具2内に挿入された状態の毛髪に毛髪処理剤を施す場合、挿入されている毛髪のみに毛髪処理剤を施したいときには、該毛髪処理剤に対して非透過性を有する材料を用いればよい。また、挿入されている毛髪に対して毛髪保持具2の外部から毛髪処理剤を施したいときには、該毛髪処理剤に対して透過性を有する材料を用いればよい。
図1に示すように、毛髪保持具2には、その外側面に、該毛髪保持具2の巻き上げ手段としての巻き上げ用糸6がスパイラル状に巻き付けられている。巻き上げ用糸6は、毛髪保持具2内に挿入された状態の毛髪を、該毛髪保持具2ごと巻き上げる手段として用いられる。本明細書において巻き上げとは、毛髪に所定のくせ付けをすること全般を意味し、本来の巻き上げに加えて例えば湾曲や屈曲なども包含される。巻き上げ用糸6は、毛髪保持具2にスパイラル状に間欠的に設けられた複数の挿通孔7に挿通されている。挿通孔7は、毛髪保持具2を正面から視たときに、長手方向の両側部に設けられている。各側部に設けられている各挿通孔7は所定間隔を置いて配列され、挿通孔列8A,8Bを形成している。また、各挿通孔7は、毛髪保持具2の高さ方向(長手方向)に関し、毛髪保持具2の側面に沿って各挿通孔を順次結んだときにスパイラル状の軌跡を描くように配列されている。
各挿通孔7は近接して配された一対の小孔7A,7Bからなる。小孔7A,7Bは、巻き上げ用糸6が挿通できる程度に開孔していればよく、この点から、毛髪保持具2に小切込を形成し、これを小孔として用いることもできる。巻き上げ用糸6が、毛髪保持具2の外側面に巻き付けられていることは前述の通りであるが、該巻き上げ用糸6は、一対の小孔7A,7B間のみにおいて毛髪保持具2の内側面に配されている。これによって巻き上げ用糸6は毛髪保持具2の外側面に保持されることになる。
巻き上げ用糸6は、その一端が、毛髪保持具2における最下端に位置する挿通孔7(図1では、挿通孔列8Aの最下端)の位置において引き抜かれないようになされている。具体的には、巻き上げ用糸6の一端を毛髪保持具2に固定することで、その引き抜きを防止している。巻き上げ用糸6の固定には、接着剤による接着、熱融着などが用いられる。また、巻き上げ用糸6の一端に、小孔よりも大きな結び目を作り、この結び目によって巻き上げ用糸6を小孔に係止することで、巻き上げ用糸6の引き抜きを防止してもよい。一方、毛髪保持具2における最上端に位置する挿通孔7(図1では、挿通孔列8Bの最上端)においては、巻き上げ用糸6は自由状態になっている。これによって、巻き上げ用糸6の他端を引っ張ると、毛髪保持具2は、スパイラル状に変形することになる(これについては更に後述する)。
巻き上げ用糸6は、これを引っ張って毛髪の巻き上げ操作を行うときに、引きちぎれない程度の強度及び巻き上げ操作を円滑に行い得る柔軟性を有していることが好ましく、この点から、各種樹脂などの合成物、木綿や麻などの天然物、レーヨンなどの半天然物、各種金属、又はこれらの複合体などから構成されていることが好ましい。また、巻き上げ用糸6は、糸状のものに限られず、例えば細長い帯状のものであってもよい。
次に毛髪挿入具3について引き続き図1を参照しながら説明する。毛髪挿入具3は、細長形状の把持部9と、該把持部9の先端に取り付けられたフック部10とを備えている。フック部10は、毛髪保持具2内に挿入される毛髪を引っかけるために用いられ、変形可能になされている。本実施形態の毛髪挿入具3は、一本の線材から構成されている。詳細には、その一端に小ループ11を形成し、その他端をこの小ループ11に通すことで大ループからなるフック部10を形成している。更に大ループの所定位置に小ループ11を通過しない大きさの係止部12が設けられている。この毛髪挿入具3を使用するに際しては、フック部10を、毛髪を引っかけやすい大きさまで広げて毛髪を引っかける。把持部9を引っ張ることでフック部10を縮める。この操作によってフック部10は係止部12で規制される大きさにまで縮められる。毛髪挿入具3を構成する線材の素材としては、前述した巻き上げ用糸6と同様のものを用いることができる。特に、操作性、取り扱い性及び毛髪処理剤に対する耐食性などの点から、金属製の針金を合成樹脂で被覆したものが好ましく用いられる。
毛髪挿入具3は毛髪保持具2内に挿入された状態で使用される。詳細には、図1に示すように、毛髪挿入具3のフック部10を毛髪保持具2の毛髪取り込み口4側に向けて挿入された状態で使用される。この場合、使用前に毛髪挿入具3が予め個別に毛髪保持具2に取り付けられた状態の毛髪処理器具1を用いてもよく、或いは毛髪処理器具1を使用するときに毛髪挿入具3を毛髪保持具2に取り付けてもよいが、予め取り付けられていることにより、製品の製造工程において最適な状態で毛髪保持具2に取り付けることができ、使用者が使用時に取り付ける場合に比べて、取り付けの失敗がない。また、毛髪挿入具3には、取り付けるのに必要とされる強度が要求されないので、糸やフィルムなどの安価な素材に単純な加工を施したものを用いることができ、毛髪挿入具3を生産性高く、低コストで製造できる。毛髪処理器具1を使用するに先立ち、毛髪挿入具3のフック部10を、毛髪保持具2の毛髪取り込み口4から突出させる。そして、フック部10に所望量の毛髪を引っかけ、この状態下に毛髪挿入具3の他端部から引き出されている毛髪挿入具3の把持部9を引っ張る。これによって、フック部10に引っかけられている毛髪がフック部10と共に毛髪保持具2内に挿入される。フック部10が毛髪保持具2内に引き入れられると、該毛髪保持具2内の所定位置において、フック部10による毛髪の引っかけが解除され、毛髪は毛髪保持具2内に円滑に挿入される。フック部10は、毛髪保持具2の下端部を通じて毛髪保持具2の外に引き出される。この説明から明らかなように、毛髪挿入具3の全長は毛髪保持具2の全長よりも長くなっている。
毛髪挿入具3においては、そのフック部10が変形可能になされているので、該フック部10に所望量の毛髪を引っかけて毛髪保持具2内に挿入する際に、仮にフック部10が毛髪取り込み口4に当たっても、それに対応して変形するので、毛髪の挿入を円滑に行うことができる。特に本実施形態においては、毛髪取り込み口4及びその近傍が高剛性となっているので、フック部10が毛髪取り込み口4に当たった時に該フック部10の変形が促進され、毛髪の挿入を一層円滑に行うことができる。
更に、毛髪挿入具3においては、フック部10の周長が、毛髪保持具2における毛髪取り込み口4の周長よりも大きくなされている。フック部10の周長は、その値が大きいほど毛髪の引っかけを容易に行うことができるが、フック部10が変形可能になっていない場合には、フック部10の周長は毛髪取り込み口4の周長で規制されてしまい、フック部10の周長を大きくすることに制限がある。しかし、本実施形態におけるフック部10は前述の通り変形可能になっているので、その周長を毛髪取り込み口4の周長よりも大きくすることができ、その結果フック部10への毛髪の引っかけを容易に行うことが可能となる。本実施形態のフック部10における周長とは、フック部10の縮小が係止部12で規制された状態での値である。フック部の周長は、毛髪取り込み口4の周長の1倍超10倍以下、特に1倍超5倍以下であることが、フック部10への毛髪の引っかけを容易に行い得る点、並びに毛髪挿入具3の操作性及び取り扱い性の点から好ましい。同様の理由から、フック部10の周長の値そのものは40〜500mm、特に80〜200mmであることが好ましい。
同様の理由により、毛髪挿入具3においては、フック部10の最大幅T(図1参照)が、毛髪保持具2における毛髪取り込み口4の最大幅Wよりも大きくなされている。フック部10の最大幅Tは、フック部10を種々の形状に変形させて最も幅が広くなる形状のときの当該幅をいう。本実施形態のフック部10における最大幅Tとは、フック部10の縮小が係止部12で規制された状態での値である。フック部の最大幅Tは、毛髪取り込み口4の最大幅Wの1倍超10倍以下、特に1倍超5倍以下であることが、フック部10への毛髪の引っかけを容易に行い得る点、並びに毛髪挿入具3の操作性及び取り扱い性の点から好ましい。同様の理由から、フック部10の最大幅Tの値そのものは20〜250mm、特に40〜100mmであることが好ましい。
図には示していないが、フック部10は櫛歯を有していることが好ましい。これによって、毛髪保持具2内に毛髪を挿入する際に、毛髪を梳く効果が付与され、毛髪保持具2内に毛髪が均一に分散され、後述する毛髪処理を均一に行うことができる。この点から、櫛歯はフック部10を構成するループの内方(即ち、ループの中心方向)を向いていることが好ましい。
次に、本実施形態の毛髪処理器具を用いた毛髪処理方法について、染毛処理を例にとり図2(a)〜図2(e)を参照しながら説明する。先ず図2(a)に示すように、毛髪保持具2内に毛髪挿入具3が挿入され、該毛髪挿入具3のフック部10が、毛髪保持具2の毛髪取り込み口4から突出している状態の毛髪処理器具1を用意する。毛髪保持具2の下端部からは、毛髪挿入具3の把持部9の端部が引き出されている。本実施形態においては、毛髪保持具2として、染毛剤に対して非透過性の材料、例えば合成樹脂製のフィルムから構成されているものを用いている。この状態下に、毛髪挿入具3のフック部10に所望量の毛髪を通して引っかける。図示するように、フック部10は毛髪の根元付近に位置させることが、挿入を確実にする点から好ましい。
次に図2(b)に示すように、毛髪保持具2の毛髪取り込み口4付近の位置を一方の手(図示せず)で軽く押さえる。また毛髪保持具2の下端部から引き出されている毛髪挿入具3の把持部9の端部を他方の手(図示せず)で把持し、毛髪挿入具3を毛髪保持具2の外に引き出す。その操作によって、フック部10に引っかけられていた毛髪が首尾良く毛髪保持具2内に挿入、収納される。毛髪保持具2はその全長が、挿入すべき毛髪の長さよりも長くなっているので、毛髪はその全長に亘って毛髪保持具2内に挿入される。
毛髪が毛髪保持具2内に挿入されたら、図2(c)に示すように、毛髪保持具2の下端部に設けられている開閉手段としてのチャック5を閉じ、該下端部を閉じる。次いで、毛髪保持具2の毛髪取り込み口4から染毛剤を供給し、毛髪の全体に行き渡らせる。前述の通り、毛髪保持具2は、染毛剤に対して非透過性の材料から構成されており且つ毛髪保持具2の下端部は閉じられているので、染毛剤が毛髪保持具2の外に漏れ出すことはない。その結果、毛髪保持具2に挿入されている毛髪以外の毛髪が染毛されることが防止される。従って、本毛髪処理方法は、毛髪の部分的な染毛に特に効果的である。また、染毛剤は、毛髪保持具2内に比較的気密状態で存在することになるので、染毛中に染毛剤に含まれている揮発成分が揮発することが防止され、染毛を効率的に行えるという利点もある。
次に、図2(d)に示すように、毛髪保持具2の毛髪取り込み口4付近の位置を一方の手(図示せず)で軽く押さえる。この状態下に、毛髪保持具2の外側面に巻き付けられている巻き上げ用糸6の自由端を引っ張る。すると図2(e)に示すように、毛髪は毛髪保持具2と共にスパイラル状に巻き上げられて、小さく纏められる。この状態を保持するために、毛髪保持具2から引き出されている巻き上げ用糸6の根元を、固定手段としてのクリップ12で係止する。毛髪を巻き上げて小さく纏める理由は、当該毛髪を所望の形状に保持すると同時に、当該毛髪近傍の毛髪を、他の毛髪保持具2内に挿入する操作を行うときの操作性を良好にするためである。固定手段としては、クリップの他に、(1)毛髪取り込み口4に切り込みを入れ、該切り込みに巻き上げ用糸6を引っかける方法、(2)毛髪保持具2の最上端に位置する毛髪挿通孔(後述する図9等参照)で返し縫いをする方法、(3)巻き上げ用糸6との摩擦力を高める部材を設ける方法、(4)巻き上げ用糸6に結び目を付ける方法、(5)巻き上げ用糸6として一方向にのみ移動可能な機構(例えばラチェット機構)を有するものを用いる方法などが挙げられる。これらの固定手段のうち、巻き上げ用糸6を引いた状態のまま摩擦力によって当該状態を維持することができる(2)〜(5)の手段を用いることが好ましい。
所望により以上の操作を繰り返し、所定時間放置する。その後、巻き上げ用糸6に取り付けたクリップ12を外し、毛髪の巻き上げ状態を解除する。引き続き毛髪を毛髪保持具2から取り出し、すすぎ洗いをし、更にシャンプー及びブローをする。
この染毛方法の別法として、図3に示すように、染毛剤Dを、毛髪保持具2の内面に施しておく方法が挙げられる。この方法によれば、毛髪の挿入後に染毛剤を毛髪取り込み口4から供給する操作を省くことができる。
次に、毛髪処理方法の別実施形態としてパーマネントウエーブ処理を例にとり説明する。このパーマネントウエーブ処理については、前述した染毛処理と異なる点についてのみ説明し、特に説明しない点は染毛処理と同様である。用いる毛髪処理器具としては、前述した染毛処理に用いたものと同様のものを用いることができる。但し、本実施形態においては、毛髪保持具2として、パーマネント処理剤に対して透過性の材料、例えば不織布や樹脂製ネットから構成されているものを用いている。
毛髪保持具2への毛髪の挿入操作まで〔図2(a)及び図2(b)〕は、前述した染毛処理と同様である。但し、本処理方法においては、毛髪保持具2の下端部を閉じる必要はない。毛髪が毛髪保持具2内に挿入されたら、図2(d)に示す、毛髪の巻き上げ操作を行う。毛髪保持具2への毛髪の挿入及び毛髪の巻き上げは、頭髪の全体でもよく或いは一部分でもよい。次に、図2(e)に示すように、毛髪保持具2から引き出されている巻き上げ用糸6の根元をクリップ12で係止する。この状態下に、毛髪保持具2に向けて第1のパーマネント処理剤(還元剤)を付与する。前述の通り毛髪保持具2はパーマネント処理剤に対して透過性の材料から構成されているので、パーマネント処理剤は毛髪保持具2を透過して毛髪に施される。所定時間放置後、毛髪保持具2に向けて第2のパーマネント処理剤(酸化剤)を付与し、再び所定時間放置する。これによって、毛髪保持具2内に挿入されている毛髪に対して、その巻き上げ形態のパーマネントウエーブがかけられる。その後、巻き上げ用糸6に取り付けられたクリップ12を外し、毛髪の巻き上げ状態を解除する。引き続き毛髪を毛髪保持具2から取り出し、すすぎ洗いをし、更にシャンプー及びブローをする。
このパーマネントウエーブ処理の別法として、前述の操作において、毛髪の毛髪保持具2へ挿入後、その巻き上げ操作を行わない処理方法が挙げられる。この場合には毛髪にストレートパーマがかけられることになる。毛髪を一層ストレートにする観点から、毛髪保持具2を、可撓性はあるものの比較的剛性の高い材料から構成することが好ましい。
パーマネントウエーブ処理の更に別法として、第1のパーマネント処理剤を、毛髪保持具2の内面に施しておく方法が挙げられる(図3参照)。この方法によれば、毛髪の巻き上げ後に第1のパーマネント処理剤を毛髪保持具2の外部から付与する操作を省くことができる。
以上のパーマネントウエーブ処理によれば、毛髪の巻き上げを極めて簡単に且つ短時間で行うことができる。しかも、パーマネントウエーブ処理後に毛髪の巻き上げ状態を解除する操作を、ヘアカーラを用いた場合よりも、簡単に且つ短時間で行うことができる。
毛髪処理方法の更に別の実施形態として、巻き上げられた状態の毛髪に対して、所定の加熱手段によって該毛髪を加熱して、くせ付けをする処理方法が挙げられる。詳細には、濡れた状態又は乾いた状態にある毛髪を、図2(a)及び図2(b)に示す手順にて毛髪保持具2内に毛髪を挿入、保持した後、図2(d)に示すように毛髪を巻き上げ、小さく纏める。次に、図2(e)に示すように、毛髪保持具2から引き出されている巻き上げ用糸6の根元をクリップ12で係止する。この状態下にドライヤなどの加熱手段を用いて毛髪を加熱し、くせ付けをする。この処理方法の別法として、濡れた状態にある毛髪を、図2(a)、図2(b)、図2(d)及び図2(e)に示す手順にて、毛髪保持具2と共にスパイラル状に巻き上げ、小さく纏め、この状態下に毛髪を自然乾燥させて、くせ付けをする方法がある。この方法を、例えば洗髪後就寝前に行えば、翌朝には毛髪に所望のくせ付けがされる。
本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態で用いられる毛髪保持具2においては、巻き上げ用糸6を毛髪保持具2の外面に保持するために、2列の挿通孔列8A,8Bを形成したが、挿通孔列は一列のみでも良い。
また前記実施形態においては、毛髪処理器具1は、毛髪保持具2及び毛髪挿入具3の2部材から構成されていたが、これに代えて、図4に示すように、毛髪保持具2及び毛髪挿入具3に加えて挿入補助具21の3部材から構成される毛髪処理器具1を用いてもよい。挿入補助具21は逆円錐体形状をしており、剛性の高い材料から構成されている。特に、毛髪保持具2よりも剛性の高い材料から構成されていることが、毛髪の挿入性の向上の点から好適である。挿入補助具21には、該挿入補助具21をその長さ方向に貫き且つ入口22A及び出口22Bを有する貫通路22Cが形成されている。貫通路22Cは入口22Aから前記出口22Bに向けて漸次縮径している。入口22Aの径は、毛髪保持具2における最細部の径よりも小さくなっている。毛髪挿入具3の把持部9は、挿入補助具21の貫通路22Cを入口22Aから出口22Bに向けて貫通している。貫通した把持部9は、更に毛髪保持具2の毛髪取り込み口4に挿通されている。本実施形態の毛髪処理器具1によれば、毛髪保持具2の毛髪取り込み口4の剛性が低い場合であっても毛髪の挿入性が向上するという利点がある。また、毛髪挿入具3を用いて毛髪を毛髪保持具2内に挿入するときに、挿入補助具21が、比較的扁平になりがちである毛髪保持具2を円筒状に膨らませるので、これによっても毛髪の挿入性が向上するという利点がある。尚、挿入補助具21は、逆円錐体形状の他に、逆角錐体形状などの各種逆錐体形状とすることができる。
図4に示す実施形態の毛髪処理器具1の変形例として、挿入補助具21の入口22Aの径が、毛髪保持具2の毛髪取り込み口4の径よりも大きくなっている実施形態が挙げられる。この場合には、毛髪挿入具3を用いて毛髪を毛髪保持具2内に挿入するときに、挿入補助具21は、毛髪取り込み口4によって毛髪保持具2内に挿入されることが規制されて、毛髪取り込み口4の部分に留まることになる。この場合においても、挿入補助具21によって毛髪の挿入性が向上するという利点がある。
また毛髪保持具2として、図5〜図11に示すものを用いることもできる。尚、図5〜図8及び図11においては、簡便のため、毛髪挿入具の図示を省略してある。また、図5〜図11に示す実施形態において特に説明しない点については、前述の実施形態に関する説明が適宜適用される。図5(a)〜図5(c)に示す毛髪保持具2は、これを正面から視たときに、その長手方向に沿って所定間隔をおいて形成された第1の挿通孔列8Aと、該第1の挿通孔列8Aの各挿通孔と対向する位置に形成された第2の挿通孔列8Bとを有している。本実施形態における挿通孔は、図1に示す毛髪保持具における挿通孔と異なり、各挿通孔は1個の小孔から成っている。巻き上げ用糸6は、その一端が、第1の挿通孔列8Aにおける毛髪保持具2の下端部に最も近い挿通孔7(この挿通孔を、第1列下端挿通孔という)の位置において引き抜かれないようになされている。具体的には、巻き上げ用糸6の一端を、第1列下端挿通孔の付近で毛髪保持具2に固定することで、その引き抜きを防止している。
巻き上げ用糸6の他端は、第1列下端挿通孔に対応する第2の挿通孔列8Bの挿通孔を挿通している。更に巻き上げ用糸6の他端は、毛髪保持具2の下端部よりも下側(外側)を通って第1列下端挿通孔の直上に位置する挿通孔を、第1の挿通孔列8A及び第2の挿通孔列8Bの順に挿通している。以降この挿通が順次所望の回数繰り返される。そして最後に、巻き上げ用糸6の他端は、第2の挿通孔列8Bの挿通孔を挿通している。
本実施形態の毛髪保持具2を具備する毛髪処理器具を用いた毛髪処理方法においては、毛髪挿入具を用いて毛髪保持具2内に毛髪を挿入した後、毛髪処理剤を施す前又は施した後に、毛髪保持具2に取り付けられている巻き上げ用糸6の自由端を引っ張る。この引っ張りによって、図5(c)に示すように、毛髪保持具2は毛髪(図示せず)と共に巻き上げ用糸6を引っ張り方向に、つまり毛髪保持具2の下端部から毛髪取り込み口に向けてロール状に巻き上げられる。そして、その巻き上げ状態を保持するために、毛髪保持具2から引き出されている巻き上げ用糸6の根元をクリップ(図示せず)で係止する。
本実施形態によれば、ヘアカーラを用いた毛髪の巻き上げ形態と同様の巻き上げ形態を実現することができるので、美容院で通常行われているヘアカーラを用いた毛髪の巻き上げ操作が不要となる。尚、図5(a)〜図5(c)に示す実施形態においては、巻き上げ用糸6を1本用いたが、2本用いてもよい。巻き上げ用糸を2本用いることで、巻き上げ操作を一層容易に且つ確実に行うことができる。その場合には、毛髪保持具2を正面から視たときに、長手方向の両側部に、各1本ずつの巻き上げ用糸を前述の手順で挿通すればよい。
図6(a)及び図6(b)に示す毛髪保持具2では、該毛髪保持具2の長手方向に伸びる巻き上げ用糸6が、ぐし縫い状に毛髪保持具2を貫通するように取り付けられている。詳細には、毛髪保持具2を正面から視たときに、巻き上げ用糸6が、毛髪保持具2の正面側と背面側とを交互に通過するように、毛髪保持具2に取り付けられている。巻き上げ用糸6は、毛髪保持具2の最下端に位置する挿通孔7の位置において引き抜かれないようになされている。具体的には、巻き上げ用糸6の一端を、毛髪保持具2の下端部付近で毛髪保持具2に固定することで、その引き抜きを防止している。一方、毛髪取り込み口4に最も近い位置にある挿入孔7においては、巻き上げ用糸6が自由状態となっている。図示していない毛髪挿入具における把持部は、毛髪保持具2内にストレートに挿入されている。
本実施形態の毛髪保持具2を具備する毛髪処理器具を用いた毛髪処理方法においては、毛髪保持具2に取り付けられている巻き上げ用糸6の自由端を引っ張る。すると、毛髪保持具2は毛髪(図示せず)と共に蛇腹状に折り畳まれ、毛髪は略ジグザグ形に屈曲される。そして、その屈曲状態を保持するために、毛髪保持具2から引き出されている巻き上げ用糸6の根元をクリップ(図示せず)で係止する。
毛髪挿入具3における把持部が図6(c)に示すように、毛髪保持具2内を通過する巻き上げ用糸6の間を縫うように蛇行して挿通されている場合には、毛髪の挿入後、巻き上げ用糸6の自由端を引っ張ることで、毛髪保持具2は蛇腹状ではなく、スパイラル状に巻き上げられる。
図7(a)〜図7(c)に示す毛髪保持具2は、第1の帯状シート13A及び第2の帯状シート13Bの2枚の帯状シートを重ね合わせ、両側部を互いに接合して筒状に形成されている。2枚の帯状シートは同形になっている。2枚の帯状シートのうち、第1の帯状シート13Aは熱収縮性を有している。他方の帯状シートである第2の帯状シート13Bは熱収縮性を有していない。本実施形態の毛髪保持具2を具備する毛髪処理器具を用いた毛髪処理方法においては、毛髪挿入具を用いて毛髪保持具2内に毛髪を挿入した後、毛髪処理剤を施す前又は施した後に、図7(b)に示すように毛髪保持具2に熱を付与する。熱の付与手段としては、例えばヘアドライヤを用いることが簡便である。熱の付与によって、毛髪保持具2を構成する一方のシートである第1の帯状シート13Aが熱収縮する。しかし、他方のシートである第2の帯状シート13Bは熱収縮しない。その結果、両シート間で収縮に差が生じ、図7(c)に示すように、毛髪保持具2はそれに挿入されている毛髪と共に、第1の帯状シート13A側を内側としてロール状に巻き上げられる。この巻き上げ形態は、毛髪保持具2への熱の付与を止めた後も保持される。従って、前述した各実施形態の毛髪保持具と異なり、本実施形態の毛髪保持具には、巻き上げ形態を保持するための手段が不要であるという利点がある。尚、本実施形態においては2枚の帯状シートから筒状の毛髪保持具2を形成したが、これに代えて3枚以上の複数の帯状シートを用い、各帯状シートの長手方向側部を互いに接合して筒状の毛髪保持具を形成してもよい。そして、各帯状シートのうちの少なくとも1枚の帯状シートとして熱収縮性シートを用い、その他の帯状シートとして熱収縮性を有していないシートを用いる。この場合、熱収縮性シートが、毛髪保持具の巻き上げ手段となる。
図8に示す毛髪保持具2は、縦長の帯状シートを筒状に形成したものである。そして、これをロール状に巻き上げた状態で、該状態が保持されるように、所定の手段によってくせ付けをする。これによって、毛髪保持具2は、これをその長手方向に引き伸ばした状態にして、その状態から解放すると、ロール状に巻き上げられた状態へと自発的に巻き上げられる。毛髪保持具2にくせ付けをするためには、帯状シートの構成材料として所定の形状に形成された弾性変形可能な材料を用いることが簡便である。該弾性変形可能な材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリルなどが挙げられる。これらの弾性変形可能な材料を用いて毛髪保持具2にロール状のくせ付けをするには、毛髪保持具2をロール状に巻き上げ、所定の手段によってその巻き上げ形態を保持し、その状態下に毛髪保持具2を所定温度に加熱すればよい。本実施形態の毛髪保持具2を具備する毛髪処理器具を用いた毛髪処理方法においては、毛髪挿入具を用いて毛髪保持具2内に毛髪を挿入した後、引き伸ばした状態にある毛髪保持具2の引き伸ばし状態を解除すれば、毛髪保持具2は自発的に巻き上げられる。従って、本実施形態の毛髪保持具は巻き上げ操作が全く不要である。その上、本実施形態の毛髪保持具は、図7(a)〜図7(c)に示す実施形態の毛髪保持具と同様に巻き上げ形態を保持するための手段が不要であるという利点もある。尚、本実施形態においては、巻き上げ形態としてロール状の形態を例示したが、この他に、目的に応じ、蛇腹状、ジグザグ状、スパイラル状などの種々の形態とすることができる。
図9及び図10に示す実施形態の毛髪処理器具1は、これまでに述べた毛髪処理器具と異なり、毛髪保持具が筒状となっていない。詳細には、図9に示す毛髪処理器具1においては、毛髪保持具2が、短冊状の一枚のシート16からなると共に該毛髪保持具2の巻き上げ手段としての巻き上げ用糸6を備えている。短冊状のシート16には、長手方向に延びる中心線に沿って、毛髪取り込み口4としての毛髪挿入孔17が所定間隔を置いて複数形成されている。毛髪挿入孔17の周囲は、プラスチック板や厚紙の貼り付けによって、毛髪保持具2における他の部位よりも固く形成されている。毛髪保持具2が熱可塑性樹脂製の不織布からなる場合には、毛髪挿入孔17の周囲を加熱し溶融固化させる処理によって該孔の周囲を固く形成することができる。また短冊状のシート16は、その長手方向一側縁部に沿って所定間隔を置いて形成された複数の挿通孔7Aからなる第1の挿通孔列8Aと、他側縁部に沿って所定間隔を置いて形成された複数の挿通孔7Bからなる第2の挿通孔列8Bとを有している。シート16の長手方向に関して、第2の挿通孔列8Bにおける各挿通孔7Bは、第1の挿通孔列8Aにおける各挿通孔7A間に位置している。具体的には、挿通孔7Bは、隣り合う挿通孔7A間の中間に位置している。巻き上げ用糸6は、その一端が、第1の挿通孔列8Aにおける毛髪保持具2の下端部に最も近い挿通孔7Aの位置で固定されていると共にその他端は、該挿通孔7Aを起点として、第2の挿通孔列8Bの挿通孔7Bと第1の挿通孔列8Aの挿通孔7Aとをこの順で前記下端部側から順次挿通し、最後に第2の挿通孔列8Bの挿通孔7Bを挿通している。これによって巻き上げ用糸6は、短冊状のシート16の表裏に交互に配されていると共に毛髪保持具2の長手方向に延びる三角波形の軌跡を描いている。
一方、毛髪処理器具1における毛髪挿入具3は、その把持部9が、ぐし縫い状に短冊状のシート16を貫通するように、該短冊状のシート16に取り付けられている。詳細には、毛髪挿入具3の把持部9が、短冊状のシート16の表裏に交互に配されるように隣り合う毛髪挿入孔17を挿通している。
本実施形態の毛髪処理器具1を用いた毛髪処理方法においては、毛髪挿入具3におけるフック部10に毛髪を引っかけ、次いで把持部9を引っ張ることで、毛髪が、短冊状のシート16の表裏に交互に配されるように隣り合う毛髪挿入孔17を挿通される。この状態下に、毛髪保持具2に取り付けられている巻き上げ用糸6の自由端を引っ張る。その結果、毛髪保持具2は、毛髪と共にスパイラル状ないし蛇腹状に巻き上げられる。そして、その巻き上げ状態を保持するために、毛髪保持具2から引き出されている巻き上げ用糸6の根元をクリップ(図示せず)で係止する。
図10に示す毛髪処理器具1においては、毛髪保持具2が、何れも細帯状である第1のシート18Aと第2のシート18Bとから構成されている。両シート18A,18Bは、その長手方向に亘って所定間隔を置いて接合されている。この接合によって、接合部19と、毛髪取り込み口4としての環状の毛髪挿通部20とが交互に形成されている。各接合部19にはそれぞれ挿通孔7が形成されている。毛髪挿通部20を構成する環状部は、プラスチック板や厚紙の貼り付けによって、毛髪保持具2における他の部位よりも固く形成されている。また毛髪保持具2は、巻き上げ手段としての巻き上げ用糸6を備えている。そして巻き上げ用糸6は、第1のシート18A側と第2のシート18B側とに交互に配されるように隣り合う挿通孔19を挿通している。巻き上げ用糸6の一端は、毛髪保持具2の下端部に位置する挿通孔の位置で固定されている。一方、巻き上げ用糸6の他端は、毛髪保持具2の上端部に位置する挿通孔19に挿通され、自由端となっている。
一方、毛髪処理器具1における毛髪挿入具3は、その把持部9が、隣り合う毛髪挿通部20をぐし縫い状に挿通している。
本実施形態の毛髪処理器具1を用いた毛髪処理方法においては、毛髪挿入具3におけるフック部10に毛髪を引っかけ、次いで把持部9を引っ張ることで、毛髪が、毛髪保持具2における隣り合う毛髪挿通部20をぐし縫い状に挿通される。この状態下に、毛髪保持具2に取り付けられている巻き上げ用糸6の自由端を引っ張る。その結果、毛髪保持具2は、毛髪と共に蛇腹状に折り畳まれ、毛髪は略ジグザグ形又はスパイラル形に屈曲される。そして、その屈曲状態を保持するために、毛髪保持具2から引き出されている巻き上げ用糸6の根元をクリップ(図示せず)で係止する。
図11(a)及び図11(b)に示す実施形態の毛髪保持具2は、これまで説明した実施形態の毛髪保持具と異なり、該毛髪保持具の巻き上げ手段を有していないものである。この毛髪保持具2は、一面(正面)及びこれと反対側に位置する他面(裏面)を有している。正面には、毛髪保持具2を所定の形状に巻き上げ、湾曲又は屈曲させて該正面と該裏面とを当接させたときに、該正面と該裏面とが接合して該所定の形状を保持し得る接合部が設けられている。具体的には、図11(a)に示すように、毛髪保持具2を正面から視たときに、その正面側に、縦中心線に沿って係合手段14が設けられている。一方、毛髪保持具2の裏面側において、係合手段14と対向する位置に、該係合手段14と係合する被係合手段15が設けられている。係合手段14及び被係合手段15は、何れも毛髪保持具2の長手方向に延びている。係合手段14及び被係合手段15としては、面ファスナのフック部材及びループ部材が典型的な例として挙げられる。この係合手段14は、毛髪保持具2の正面側を内側にして該毛髪保持具2をロール状に巻き上げたときに、毛髪保持具2の正面と裏面とが接合して該ロール状の形状を保持し得る接合部として機能する。詳細には、図示しない毛髪挿入具を用いて毛髪保持具2内に毛髪を挿入した後、下端部から毛髪取り込み口に向かって毛髪保持具2を巻き上げる。すると、図11(b)に示すように、前記正面側に設けられている係合手段14が、前記裏面側に設けられている被係合手段15と当接し両者が係合する。つまり、毛髪保持具2の正面と裏面とが接合する。その結果、毛髪保持具2は、その巻き上げ状態が保持される。
図11(a)及び図11(b)に示す実施形態の変形例として、前述の係合手段14及び被係合手段15に代えて、それぞれ自己接着性テープ〔例えば仁礼工業製のふしぎテープ(商品名)〕を用いることもできる。更に別の変形例として、毛髪保持具2の内面に、両面粘着テープを長手方向に沿って貼着した形態のものがある。即ち、この変形例は、図11(a)及び図11(b)に示す実施形態の毛髪保持具において、係合手段14に代えて両面粘着テープを用い且つ被係合手段15を設けない形態のものである。そして両面粘着テープは、毛髪保持具2の正面と裏面との接合部として機能する。この変形例によれば、被係合部材15を設けない分だけ、図11(a)及び図11(b)に示す実施形態の毛髪保持具よりも材料を削減することができる。尚、本実施形態は、毛髪保持具2をロール状に巻き上げた例であるが、これに代えて毛髪保持具2を湾曲又は屈曲させて他の形状としても同様の効果が奏される。また本実施形態では、毛髪保持具2の正面と裏面とを接合したが、これに代えて正面同士を接合して所定の形状となしてもよい。
以上の説明から明らかなように、本発明における毛髪保持具としては、細長筒形状のものや、閉じた開孔が長手方向に間欠的に複数設けられたものが好ましく用いられる。これによって、毛髪を確実に取り込んで保持することができ、また巻き上げた時にも毛髪の乱れを生じさせずに、きれいな巻き上げ形態を安定に維持することが可能となる。
尚、前述した毛髪処理器具及び毛髪処理方法に関する各実施形態の内容は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で相互に置換することができる。