JP2005322800A - 圧粉磁心およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 損傷なくコイルが取り付けられるとともに、所望の磁気的特性を発揮する圧粉磁心およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 ステータコアは、金属磁性粒子と、金属磁性粒子を取り囲む絶縁被膜とを含む複数の軟磁性粒子が接合されて形成されている。ステータコアは、先端部17を有し、その先端部17から挿入されたコイル13が位置決めされ、一体的に成形された本体部15(ヨーク部11およびティース部12)と、接続手段によって先端部17に接続され、本体部15に対するコイル13の位置を固定する鍔部18とを備える。接続手段は、鍔部18の熱収縮による締り嵌めを含む。
【選択図】 図8
【解決手段】 ステータコアは、金属磁性粒子と、金属磁性粒子を取り囲む絶縁被膜とを含む複数の軟磁性粒子が接合されて形成されている。ステータコアは、先端部17を有し、その先端部17から挿入されたコイル13が位置決めされ、一体的に成形された本体部15(ヨーク部11およびティース部12)と、接続手段によって先端部17に接続され、本体部15に対するコイル13の位置を固定する鍔部18とを備える。接続手段は、鍔部18の熱収縮による締り嵌めを含む。
【選択図】 図8
Description
この発明は、一般的には、圧粉磁心およびその製造方法に関し、より特定的には、複数の軟磁性粒子が接合されて形成された圧粉磁心およびその製造方法に関する。
従来、電動機のステータコアなどとして用いられる磁心を、軟磁性粉末を加圧成形して作製することが知られており、これに関して、たとえば特表2003−507991号公報には、電気機械の電機子セグメントを製造する方法が開示されている(特許文献1)。
図10および図11は、特許文献1に開示された電機子セグメントを製造する方法の工程を示す断面図である。図10を参照して、銅線を複数回、螺旋状に巻いてコイル101を作製し、そのコイル101を予備圧縮する。次に、コイル101をダイ105の成形用凹部に設置する。図11を参照して、コイル101が設置された成形用凹部に強磁性粒子を充填し、コイル101とともに強磁性粒子を加圧成形する。これにより、コイル101とコア部分107とを含む電機子セグメント106を一体的に形成する。その後、ダイ105から電機子セグメント106を抜き出し、電機子セグメント106に所定の熱処理を実施する。
また別に、まず、電磁鋼板材を用いてモーター部品(特許文献1のコア部分107に相当する部品)を形成し、その後、巻き線機によってモーター部品の周りにコイルを巻いて磁心を作製することが行なわれている。
特表2003−507991号公報
コイル101で短絡が発生することを防止するため、コイル101の作製に用いられる銅線の表面には、エナメルなどの絶縁被膜が形成されている。しかし、特許文献1に開示された電機子セグメントの製造方法では、コイル101も加圧成形工程を経る。このため、コイル101を構成する銅線が加圧成形時の圧力によって塑性変形し、この塑性変形によって絶縁被膜が内側から破壊されるおそれが生じる。また、加圧成形時に、銅線を覆う絶縁被膜と強磁性粒子とが強く接触し、絶縁被膜が外側から傷付けられるおそれもある。
また、コイル101をダイ105の成形用凹部に配置し、その後、強磁性粒子を充填するため、コイル101が障害物となって、コイル101の下方に強磁性粒子が十分に充填されないおそれがある。この場合、均一な密度を得ることができない。また、このような問題は、コイル101を配置する前に、成形用凹部の所定の位置まで強磁性粒子を充填することで解決されるが、この場合、製造工程数の増加を招き、また電機子セグメント106の寸法精度が低下するおそれがある。このような密度のばらつきや寸法精度の低下は、電機子セグメント106の磁気的特性を低下させる要因となる。
また、特許文献1では、電機子セグメント106に熱処理を実施しているが、電機子セグメント106の磁気的特性を十分に向上させるためには、強磁性粒子の再結晶温度(鉄の場合、300℃から400℃)以上の温度で熱処理しなければならない。この熱処理時の温度は、高ければ高いほど有効である。しかし、銅線を覆う絶縁被膜の熱分解温度は、一般的に低く、たとえばエナメルの場合、180℃程度である。このため、熱処理時の温度を十分に高く設定できないという問題が生じる。
また、モーター部品を形成した後、そのモーター部品の周りにコイルを巻いて磁心を作製する場合、巻き線機などの装置を製造ライン上に設置する必要が生じる。また、コイルを巻くモーター部品の表面は、角張っていることがあるため、コイルを巻く作業時に、コイルの絶縁被膜が傷付けられるおそれがある。また、このようなおそれによって、巻かれたコイルに改めて絶縁処理を実施しなければならない。
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、損傷なくコイルが取り付けられるとともに、所望の磁気的特性を発揮する圧粉磁心およびその製造方法を提供することである。
この発明に従った圧粉磁心は、金属磁性粒子と、金属磁性粒子を取り囲む絶縁被膜とを含む複数の軟磁性粒子が接合されて形成されている。圧粉磁心は、先端部を有し、その先端部から挿入されたコイルが位置決めされ、一体的に成形された本体部と、接続手段によって先端部に接続され、本体部に対するコイルの位置を固定するコイル保持部とを備える。接続手段は、コイル保持部の熱収縮による締り嵌めを含む。
このように構成された圧粉磁心によれば、あらかじめ螺旋状に巻かれたコイルが、先端部から挿入され、本体部の所定位置に位置決めされる。その後、接続手段によって先端部にコイル保持部が接続されて、コイルの位置が固定される。このため、コイルを損傷なく圧粉磁心に取り付けることができる。また、コイルを取り付ける前に、本体部に熱処理を実施することが可能である。このため、コイルの耐熱性を考慮することなく、熱処理時の温度を設定することができる。これにより、本体部に所望の温度で熱処理を行ない、本体部の磁気的特性を十分に向上させることができる。
また、接続手段は、コイル保持部の熱収縮による締り嵌めを含むため、先端部とコイル保持部との接続部分に非磁性体などの異物を介在させることなく、両者を接続することができる。このため、先端部とコイル保持部との接続部分が磁力線の通り道となる場合であっても、圧粉磁心の磁気的特性を保持することができる。
また好ましくは、先端部とコイル保持部との間には、樹脂が介在している。このように構成された圧粉磁心によれば、先端部とコイル保持部との接続部分の強度を補強することができる。また、熱硬化性樹脂によれば、たとえば0.3mm程度以下の厚みの熱硬化性樹脂を介在させるだけで十分な強度を得ることができる。このため、圧粉磁心の磁気的特性が低下することを抑制しつつ、上述の効果を得ることができる。
また好ましくは、本体部は、8.0×103(A/m)の磁場を印加した場合の磁束密度が1.4(T:テスラ)以上、透磁率が500以上である。コイル保持部は、8.0×103(A/m)の磁場を印加した場合の磁束密度が1.2(T:テスラ)以上、透磁率が250以上である。このように構成された圧粉磁心によれば、圧粉磁心の磁気的特性に相対的に大きな影響を与える本体部の磁束密度および透磁率を大きく設定し、相対的に小さい影響しか与えないコイル保持部の磁束密度および透磁率を小さく設定している。このため、圧粉磁心は、所望の磁気的特性を発揮することができる。
この発明に従った圧粉磁心の製造方法は、複数の軟磁性粒子を一体的に加圧成形して、先端部を有する本体部を形成する工程を備える。複数の軟磁性粒子は、金属磁性粒子と、金属磁性粒子を取り囲む第1の絶縁被膜とを含む。圧粉磁心の製造方法は、さらに、本体部を第1の絶縁被膜の熱分解温度未満で第1の熱処理をする工程と、第1の熱処理をする工程の後、導線と、導線を取り囲む第2の絶縁被膜とを含むコイルを、先端部から挿入し、本体部に位置決めする工程と、先端部にコイル保持部を接続することによって、本体部に対するコイルの位置を固定する工程とを備える。
このように構成された圧粉磁心の製造方法によれば、コイルを本体部に位置決めする工程の前に、本体部に第1の熱処理をする工程を実施している。このため、第1の熱処理時の温度を第2の絶縁被膜の熱分解温度以上に設定することができる。これにより、本体部に所望の温度で第1の熱処理を行ない、本体部の磁気的特性を十分に向上させることができる。また、第1の熱処理は、第1の絶縁被膜の熱分解温度未満で実施されるため、第1の熱処理によって第1の絶縁被膜が劣化するということがない。このため、金属磁性粒子間における渦電流を抑制し、渦電流に起因する鉄損を低減させることができる。
また、コイルを先端部から挿入し、本体部に位置決めしている。このため、第2の絶縁被膜を傷付けることなく、コイルを圧粉磁心に取り付けることができる。これにより、コイルに電流を流した際に短絡が生じることを防止できる。
また好ましくは、コイルの位置を固定する工程は、締り嵌めによって先端部にコイル保持部を接続する工程を含む。このように構成された圧粉磁心の製造方法によれば、先端部とコイル保持部との接続部分に非磁性体などの異物を介在させなくてもよい。このため、先端部とコイル保持部との接続部分が磁力線の通り道となる場合であっても、圧粉磁心の磁気的特性を保持することができる。
また好ましくは、圧粉磁心の製造方法は、コイルおよびコイル保持部が取り付けられた本体部を、第1および第2の絶縁被膜の熱分解温度のうちいずれか低い方の温度未満で第2の熱処理をする工程をさらに備える。このように構成された圧粉磁心の製造方法によれば、第2の熱処理を実施することによって、圧粉磁心の磁気的特性をさらに向上させることができる。この際、第2の熱処理時の温度は、第1および第2の絶縁被膜の熱分解温度のうちいずれか低い方の温度未満であるため、第2の熱処理によって第1および第2の絶縁被膜が劣化するということがない。
以上説明したように、この発明に従えば、損傷なくコイルが取り付けられるとともに、所望の磁気的特性を発揮する圧粉磁心およびその製造方法を提供することができる。
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1におけるステータコアを用いた電動機を示す正面図である。図1を参照して、電動機1は、リング状のステータコア10と、ステータコア10の内周側に配置された円柱状のロータコア2とを備える。ロータコア2は、中心部に回転軸4を有する。ロータコア2が回転軸4を中心に回転することによって、電動機1から回転運動が出力される。ロータコア2の周縁には、所定の角度ごとに永久磁石3が埋め込まれている。
図1は、この発明の実施の形態1におけるステータコアを用いた電動機を示す正面図である。図1を参照して、電動機1は、リング状のステータコア10と、ステータコア10の内周側に配置された円柱状のロータコア2とを備える。ロータコア2は、中心部に回転軸4を有する。ロータコア2が回転軸4を中心に回転することによって、電動機1から回転運動が出力される。ロータコア2の周縁には、所定の角度ごとに永久磁石3が埋め込まれている。
ステータコア10は、環状に延在するヨーク部11と、ヨーク部11からヨーク部11の内周側に突出する複数のティース部12と、ティース部12の先端に設けられた鍔部18とから構成されている。ステータコア10は、複数の軟磁性粒子が接合されることによって形成されている。ヨーク部11とティース部12とは、一体に成形されており、両方で本体部15を構成している。鍔部18は、単体で成形されたのち、後に説明する接続手段によりティース部12に接続されている。
複数のティース部12は、互いに間隔を隔てて所定の角度ごとに設けられている。ティース部12は、ヨーク部11からヨーク部11の半径方向に帯状に延在している。ヨーク部11と、互いに隣り合う2つのティース部12とに囲まれた空間には、スロット部14が規定されている。スロット部14は、ロータコア2に向い合う内周側で開口している。
ティース部12の周りには、導線が螺旋状に巻かれて形成されたコイル13が位置決めされている。コイル13の一部は、スロット部14の空間を占めている。ティース部12の突出する先端には、ロータコア2の外周面に向い合う鍔部18が接続されている。鍔部18は、ティース部12と比べて、ヨーク部11の周方向の幅が広くなって形成されている。コイル13は、ヨーク部11と鍔部18とに挟まれるように配置されており、これによってティース部12に対する位置が固定されている。
図2は、図1中の2点鎖線IIで囲んだ部分を構成する分割ティースを示す正面図である。図2を参照して、図1中に示すステータコア10は、複数の分割ティース16が周方向に組み合わされて形成されている。分割ティース16は、ステータコア10が、隣り合うティース部12の中心に延びる2等分線によって分割された形状を有し、弧状に延びるヨーク部11と、1つのティース部12と、1つの鍔部18と、1つのコイル13とを備える。なお、複数の分割ティース16を組み合わせる手段は、分割ティース16に成形され、互いに嵌め合わされる凹凸部分であっても良いし、リング部材への焼き嵌めであっても良い。
図3は、図2中のティース部と鍔部との接続部分を示す断面図である。図3を参照して、ティース部12は、ヨーク部11から突出する先端に先端部17を有する。先端部17は、後に説明する本体部15に対して予め行なう熱処理により、十分に熱収縮されている。鍔部18には、孔19が形成されており、その孔19には、先端部17が挿入されている。その状態で、ティース部12と鍔部18とは、鍔部18の熱収縮による締り嵌めによって接続されている。このような接続手段を採用することで、ボルトなどの非磁性体を用いることなく両者を確実に接続することができる。これにより、ティース部12と鍔部18との接続部分でステータコア10の磁気的特性が低下することを防止できる。
なお、先端部17と鍔部18との間に樹脂が介在していてもよい。この場合、ティース部12と鍔部18とをより確実に接続することができる。
図4は、図2中のコイルを示す断面図である。図4を参照して、コイル13は、絶縁被膜22によって覆われた螺旋状に延びる導線21によって形成されている。導線21は、ティース部12の表面から離れる方向に多層に巻かれている。導線21は、たとえば銅から形成されており、その直径は、0.3mmから3mm程度である。絶縁被膜22は、たとえば一般的なエナメル(琺瑯)から形成されており、その厚みは30μm程度である。
図5は、図2中のステータコアの表面を拡大して示した模式図である。図5を参照して、ステータコア10を形成する複数の軟磁性粒子28は、金属磁性粒子26と、金属磁性粒子26の表面を取り囲む絶縁被膜27とを備える。複数の軟磁性粒子28の各々は、軟磁性粒子28が有する凹凸の噛み合わせによって接合されている。
金属磁性粒子26は、たとえば、鉄(Fe)、鉄(Fe)−シリコン(Si)系合金、鉄(Fe)−窒素(N)系合金、鉄(Fe)−ニッケル(Ni)系合金、鉄(Fe)−炭素(C)系合金、鉄(Fe)−ホウ素(B)系合金、鉄(Fe)−コバルト(Co)系合金、鉄(Fe)−リン(P)系合金、鉄(Fe)−ニッケル(Ni)−コバルト(Co)系合金および鉄(Fe)−アルミニウム(Al)−シリコン(Si)系合金などから形成されている。金属磁性粒子26は、金属単体でも合金でもよい。
金属磁性粒子26の平均粒径は、5μm以上300μm以下であることが好ましい。金属磁性粒子26の平均粒径を5μm以上にした場合、金属が酸化されにくいため、ステータコア10の磁気的特性を向上させることができる。また、金属磁性粒子26の平均粒径を300μm以下にした場合、後に説明する加圧成形工程において軟磁性粉末(複数の軟磁性粒子28の集合体)の圧縮性が低下するということがない。これにより、加圧成形工程によって得られた成形体の密度を大きくすることができる。
なお、ここで言う平均粒径とは、ふるい法によって測定した粒径のヒストグラム中、粒径の小さいほうからの質量の和が総質量の50%に達する粒子の粒径、つまり50%粒径Dをいう。
絶縁被膜27は、金属磁性粒子26をリン酸処理することによって形成されている。また好ましくは、絶縁被膜27は、酸化物を含有する。この酸化物を含有する絶縁被膜としては、リンと鉄とを含むリン酸鉄の他、リン酸マンガン、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、酸化シリコン、酸化チタン、酸化アルミニウムまたは酸化ジルコニウムなどの酸化物絶縁体を使用することができる。
絶縁被膜27は、金属磁性粒子26間の絶縁層として機能する。金属磁性粒子26を絶縁被膜27で覆うことによって、軟磁性粉末の電気抵抗率ρを大きくすることができる。これにより、金属磁性粒子26間に渦電流が流れるのを抑制し、渦電流に起因する鉄損を低減させることができる。
絶縁被膜27の厚みは、0.005μm以上20μm以下であることが好ましい。絶縁被膜27の厚みを0.005μm以上とすることによって、渦電流によるエネルギー損失を効果的に抑制することができる。また、絶縁被膜27の厚みを20μm以下とすることによって、軟磁性粉末に占める絶縁被膜27の割合が大きくなりすぎることがない。このため、ステータコア10の磁束密度が著しく低下することを防止できる。
この発明の実施の形態1における圧粉磁心としてのステータコア10は、金属磁性粒子26と、金属磁性粒子26を取り囲む絶縁被膜27とを含む複数の軟磁性粒子28が接合されて形成されている。ステータコア10は、先端部17を有し、その先端部17から挿入されたコイル13が位置決めされ、一体的に成形された本体部15(ヨーク部11およびティース部12)と、接続手段によって先端部17に接続され、本体部15に対するコイル13の位置を固定するコイル保持部としての鍔部18とを備える。接続手段は、鍔部18の熱収縮による締り嵌めを含む。
本体部15は、環状に延在するヨーク部11と、ヨーク部11からヨーク部11の半径方向に突出し、その突出する先端に先端部17が位置し、周りにコイル13が位置決めされるティース部12とを含む。鍔部18は、ロータコア2に向い合う表面を有する。
図6から図8は、図1中に示すステータコアの製造方法の工程を示す正面図である。図6から図8を用いて、図1中に示すステータコアの製造方法について説明を行なう。
図6を参照して、まず、軟磁性粉末を金型に入れ、たとえば、700MPaから1500MPaまでの圧力で加圧成形する。これにより、軟磁性粉末を圧縮し、ヨーク部11およびティース部12からなる本体部15を形成する。加圧成形する雰囲気は、不活性ガス雰囲気または減圧雰囲気とすることが好ましい。この場合、大気中の酸素によって軟磁性粉末が酸化されるのを抑制できる。
次に、本体部15に軟磁性粒子28の絶縁被膜27の熱分解温度未満の温度で熱処理を行なう。絶縁被膜27がたとえばリン酸被膜である場合、熱処理は、400℃以上500℃未満の温度で、1時間以上行なう。このような高温下で熱処理を行なうことによって、成形体の内部に存在する歪および転位を取り除き、本体部15の磁気的特性を大幅に向上させることができる。また、熱処理によって絶縁被膜27が劣化することがない。
図7を参照して、図6に示す工程とは別に、軟磁性粉末を金型に入れ、たとえば、700MPaから1500MPaまでの圧力で加圧成形する。これにより、軟磁性粉末を圧縮し、孔19を有する鍔部18を作製する。この工程にあっても、加圧成形する雰囲気は、不活性ガス雰囲気または減圧雰囲気とすることが好ましい。この際、孔19にティース部12の先端部17を挿入した場合に、両者の間に若干の隙間が形成されるように鍔部19を作製する。また、鍔部18に予め熱処理を実施しても良いが、その場合には、後の熱処理工程で必要となる鍔部18の締め代を残すように熱処理を行なう。
図8を参照して、螺旋状に巻かれたコイル13を準備し、そのコイル13を先端部17からティース部12に挿入する。さらに、先端部17に鍔部18の孔19を挿入する。これにより、ティース部12の所定位置にコイル13を位置決めするとともに、コイル13の位置を固定するための鍔部18を配置する。
次に、分割ティース16に絶縁被膜27および22の熱分解温度のうち低い方の温度未満で熱処理を行なう。たとえば、絶縁被膜27および22がそれぞれ、リン酸被膜およびエナメルから形成されている場合、エナメルの熱分解温度である180℃未満の温度で1時間以上、熱処理を行なう。
この熱処理によって、まず、鍔部18が熱収縮して先端部17に締り嵌めされる。これは、鍔部18が加熱されることによって、鍔部18に含まれる絶縁被膜27が部分的に蒸発したり、絶縁被膜27が流動し、隣り合う軟磁性粒子28間の隙間が小さくなるためである。これにより、コイル13は、鍔部18によってティース部12の周囲に確実に保持される。また、熱処理により、絶縁被膜27および22を劣化させることなく、分割ティース16の内部に存在する内部応力を緩和し、分割ティース16の磁気的特性を向上させることができる。
なお、本発明における圧粉磁心の製造方法では、この分割ティース16に実施する熱処理は、必須の工程ではない。この熱処理を実施しない場合、先端部17に対する鍔部18の接続手段として、単なる締り嵌めやボルトやピンなどの接続手段を用いても良い。
最後に、上述の工程により作製した複数の分割ティース16を周方向に組み合わせて、図1中に示すステータコア10が完成する。このように形成されたステータコア10は、本体部15の位置において、8.0×103(A/m)の磁場を印加した場合の磁束密度が1.4(T:テスラ)以上であり、透磁率が500以上である。また、鍔部18の位置において、8.0×103(A/m)の磁場を印加した場合の磁束密度が1.2(T:テスラ)以上であり、透磁率が250以上である。
この発明の実施の形態1における圧粉磁心としてのステータコア10の製造方法は、複数の軟磁性粒子28を一体的に加圧成形して、先端部17を有する本体部15(ヨーク部11およびティース部12)を形成する工程を備える。複数の軟磁性粒子28は、金属磁性粒子26と、金属磁性粒子26を取り囲む第1の絶縁被膜としての絶縁被膜27とを含む。ステータコア10の製造方法は、さらに、本体部15を絶縁被膜27の熱分解温度未満で第1の熱処理をする工程と、第1の熱処理をする工程の後、導線21と、導線21を取り囲む第2の絶縁被膜としての絶縁被膜22とを含むコイル13を、先端部17から挿入し、本体部15に位置決めする工程と、先端部17にコイル保持部としての鍔部18を接続することによって、本体部15に対するコイル13の位置を固定する工程とを備える。
ステータコア10の製造方法は、コイル13および鍔部18が取り付けられた本体部15を、絶縁被膜27および22の熱分解温度のうちいずれか低い方の温度未満で第2の熱処理をする工程をさらに備える。
このように構成されたステータコア10およびその製造方法によれば、コイル13は、螺旋状に巻かれた状態でティース部12に取り付けられるため、取り付け時に絶縁被膜22が傷付くことがない。これにより、コイル13で短絡が起こることを防止できる。また、コイル13をティース部12に取り付ける工程の後、改めてコイル13の表面に絶縁処理を行なう必要がない。
また、コイル13をティース部12に取り付ける前に本体部15に熱処理を実施しているため、熱処理の温度を高く設定することができる。これにより、ヨーク部11およびティース部12を含む本体部15の磁気的特性を十分に向上させることができる。なお、鍔部18には、本体部15に行なう熱処理が実施されないが、鍔部18がステータコア10の磁気的特性に与える影響は、ヨーク部11およびティース部12の場合と比較して小さい。このため、鍔部18によってステータコア10の磁気的特性が著しく低下するということはない。
(実施の形態2)
図9は、この発明の実施の形態2におけるステータコアを構成する分割ティースを示す正面図である。図9は、実施の形態1における図2に相当する図である。この発明の実施の形態2におけるステータコアは、実施の形態1におけるステータコア10と比較して、基本的には同様の構造を備える。以下、重複する構造については説明を省略する。
図9は、この発明の実施の形態2におけるステータコアを構成する分割ティースを示す正面図である。図9は、実施の形態1における図2に相当する図である。この発明の実施の形態2におけるステータコアは、実施の形態1におけるステータコア10と比較して、基本的には同様の構造を備える。以下、重複する構造については説明を省略する。
図9を参照して、本実施の形態では、ティース部33と鍔部34とは、一体に成形されており、両方で本体部35を構成している。ヨーク部32は、単体で成形されたのち、ティース部33に接続されており、コイル保持部を構成している。ティース部33は、鍔部34から突出する先端に先端部37を有する。ヨーク部32には、孔36が形成されており、その孔36には、先端部37が挿入されている。その状態で、ティース部33とヨーク部32とは、ヨーク部32の熱収縮による締り嵌めによって接続されている。
このように構成されたステータコアによっても、実施の形態1に記載の効果と同様の効果を得ることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 ステータコア、11,32 ヨーク部、12,33 ティース部、13 コイル、15,35 本体部、17,37 先端部、18,34 鍔部、21 導線、22,27 絶縁被膜、26 金属磁性粒子、28 軟磁性粒子。
Claims (6)
- 金属磁性粒子と、前記金属磁性粒子を取り囲む絶縁被膜とを含む複数の軟磁性粒子が接合されて形成された圧粉磁心であって、
先端部を有し、前記先端部から挿入されたコイルが位置決めされ、一体的に成形された本体部と、
接続手段によって前記先端部に接続され、前記本体部に対するコイルの位置を固定するコイル保持部とを備え、
前記接続手段は、前記コイル保持部の熱収縮による締り嵌めを含む、圧粉磁心。 - 前記先端部と前記コイル保持部との間には、樹脂が介在している、請求項1に記載の圧粉磁心。
- 前記本体部は、8.0×103(A/m)の磁場を印加した場合の磁束密度が1.4(T:テスラ)以上、透磁率が500以上であり、前記コイル保持部は、8.0×103(A/m)の磁場を印加した場合の磁束密度が1.2(T:テスラ)以上、透磁率が250以上である、請求項1または2に記載の圧粉磁心。
- 金属磁性粒子と、前記金属磁性粒子を取り囲む第1の絶縁被膜とを含む複数の軟磁性粒子を一体的に加圧成形して、先端部を有する本体部を形成する工程と、
前記本体部を前記第1の絶縁被膜の熱分解温度未満で第1の熱処理をする工程と、
第1の熱処理をする工程の後、導線と、前記導線を取り囲む第2の絶縁被膜とを含むコイルを、前記先端部から挿入し、前記本体部に位置決めする工程と、
前記先端部にコイル保持部を接続することによって、前記本体部に対する前記コイルの位置を固定する工程とを備える、圧粉磁心の製造方法。 - 前記コイルの位置を固定する工程は、締り嵌めによって前記先端部に前記コイル保持部を接続する工程を含む、請求項4に記載の圧粉磁心の製造方法。
- 前記コイルおよび前記コイル保持部が取り付けられた前記本体部を、前記第1および第2の絶縁被膜の熱分解温度のうちいずれか低い方の温度未満で第2の熱処理をする工程をさらに備える、請求項4または5に記載の圧粉磁心の製造方法。
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