JP2005321657A - 顕微鏡の光学系、顕微鏡、及びバーチャルスライド作成システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の顕微鏡の光学系は、顕微鏡における対物レンズと、観察像との間の光学系内に設置され、反射により光路の方向を変更する反射用ミラーを有する。この反射用ミラーは、その反射面の延在方向が変わるように回転可能である。従って、反射用ミラーを回転させることで、観察視野は移動する。即ち、顕微鏡の対物レンズと標本との位置関係を変化させることなく、観察視野を移動できる。
【選択図】 図1
Description
そこで、特許文献1では、広範囲を観察するために対物レンズの倍率を32倍以下にし、高解像度で細部を観察するために対物レンズの開口数を0.85以上にしている。そして、この対物レンズと、倍率変換光学系とを組み合せている。これにより、対物レンズを交換しなくても、倍率変換光学系を低倍率に設定することで広視野を観察し、倍率変換光学系を高倍率に設定することで細部を高解像度で観察するようにしている。
実際の実験系では、対物レンズの先端とマニピュレータとの間隔は非常に小さく(1mm以下)、それらが接触しないように観察することは困難であった。また、液浸型対物レンズを用いた観察では、視野の移動により、接触関係にある対物レンズと水溶液との界面が変化することがある。この場合、標本が振動に対して弱いものであれば、標本自体、或いは、マニピュレータの先端に設置された電極針と標本との接触状態が変化するおそれがある。
本発明の目的は、対物レンズの切り替えや移動を伴うことなく、且つ、標本の位置や状態を変えることなく、顕微鏡の観察視野を移動可能にする技術を提供することである。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の顕微鏡の光学系において、『標本に対する観察視野の位置と、反射用ミラーの回転量との対応関係を示す情報を有すると共に、情報に基づいて反射用ミラーを回転させる制御部を備えている』ことを特徴とする。
請求項5のバーチャルスライド作成システムは、請求項4の顕微鏡と、画像データ生成部と、画像合成部とを備えていることを特徴とする。画像データ生成部は、顕微鏡において反射用ミラーを回転させる動作と、観察像を撮像して画像データを生成する動作とを繰り返し行う。画像合成部は、生成された複数の画像データを合成して、標本のバーチャルスライドを作成する。
請求項8のバーチャルスライド作成システムは、請求項7の顕微鏡と、画像データ生成部と、画像合成部とを備えていることを特徴とする。画像データ生成部は、顕微鏡において、レンズを光軸に対して垂直な方向に移動させる動作と、観察像を撮像して画像データを生成する動作とを繰り返し行う。画像合成部は、生成された複数の画像データを合成して、標本のバーチャルスライドを作成する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態における顕微鏡システムの概略構成図である。本実施形態は、請求項1〜請求項4に対応する。図に示すように、顕微鏡システム10は、顕微鏡12と、ミラー傾きコントローラ16と、コンピュータ18と、観察モニタ20とを有している。コンピュータ18は、顕微鏡12の観察カメラ24からの画像信号をケーブル26を介して取得して、観察モニタ20に標本の拡大画像を表示する。
回転ミラー28は、ハーフミラーまたはダイクロイックミラー(Dichroic Mirror)である。従って、回転ミラー28を透過する光束は、接眼部32内の接眼レンズ等の光学系(公知なので図示せず)により、観察像として結像される。なお、接眼部32がない構成であれば、回転ミラー28は全反射ミラーでもよい。蛍光励起用光源38は、不図示のレンズやミラーを介して、ステージ44上の標本50を上方から照明する(落射照明)。透過用光源46は、不図示のレンズやミラーを介して、ステージ44上の標本50を下方から照明する。
0.23<d0/F<0.35 ・・・(1)
1<f1/F<2 ・・・(2)
0.7<r3g/F<1.0 ・・・(3)
1.6<n3g<1.75 ・・・(4)
(1)〜(4)式において、d0は、標本面から、対物レンズ40中の最も標本50側のレンズ面までの光軸上の距離である。Fは、対物レンズ40全系の焦点距離である。f1は、第1レンズ群の焦点距離である。r3gは、第3レンズ群における第1接合メニスカスレンズの凹面の曲率半径である。n3gは、第3レンズ群における第1接合メニスカスレンズを構成するレンズの内、像側のレンズのd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率である。
図4は、対物レンズ40を透過した光束が変倍光学系36を介して観察カメラ24内で結像するまでの光路の説明図である。以下、図4を用いて、顕微鏡システム10における観察視野の移動方法の原理を説明する。
ここで、観察視野の移動において必要な情報となる回転ミラー28の回転量(回転角度)を具体的に説明するため、各部の光学的数値を一例として挙げる。観察モニタ20に表示される画像の水平方向(図5では左右方向)と垂直方向(図5では上下方向)とのアスペクト比、即ち、撮像素子69のアスペクト比は、4:3である。また、撮像素子69は、対角が2/3インチのものである。
ここで、説明の簡単化のため、回転ミラー28をX軸に沿って回転させると視野は上下方向のみに移動するように、且つ、回転ミラー28をY軸に沿って回転させると視野は左右方向のみに移動するように、撮像素子69等は配置されているとする。また、回転ミラー28を回転させずに変倍光学系36を高倍率に切り替える場合、低倍率での観察像の中心に位置する座標(0,0)の視野ブロックが観察像になるとする。座標(0,0)の視野ブロックを、基準ブロックとする。この基準ブロックを高倍率で観察したときの観察像は、この例では、図5の右側に示すようになる。
座標(0,0):〔θx(0,0)、θy(0,0)〕
座標(0,1):〔θx(0,1)、θy(0,1)〕
座標(1,1):〔θx(1,1)、θy(1,1)〕
本実施形態のように低倍率での観察時において回転ミラー28を基準状態にする場合、θx(0,0)も、θy(0,0)も0度である。その場合、θx(0,1)は0度であり、θy(0,1)は0.321度であり、θx(1,0)は0.297度であり、θy(1,0)は0度である。従って、例えばキーボード入力により視野ブロックが選択されると、コンピュータ18は、テーブルデータに従って、選択された視野ブロックに移動するために必要となる回転ミラー28の回転角度を求める。この求めた回転角度だけ回転ミラー28を回転させるように、コンピュータ18は、ミラー傾きコントローラ16に指令する。ミラー傾きコントローラ16は、回転制御機構70を制御し、回転ミラー28を回転させる。その後、変倍光学系36は、コンピュータ18の指令に従って、公知の機構により自動的に高倍率に切り替わる。
観察視野の移動時に動くのは、回転ミラー28のみである。このため、振動などの影響を標本50に与えるおそれがないので、標本50の状態が変化するおそれもない。また、回転ミラー28を傾けるだけなので、高速に観察視野を移動できる。さらに、回転ミラー28の回転角度の制御を定量的に行えば、同じ視野ブロックが選択された場合の回転ミラー28の配置状態を、観察視野の移動回数に拘わらずに同じにできる。
回転ミラー28の回転をせずに倍率を変更した場合、低倍率での観察視野の中心と、高倍率での観察視野の中心とは一致する。これを利用して、予め観察したい複数の位置についてそれぞれ、低倍率の視野中心として座標を登録しておき、高倍率に切り替えて座標を指定することにより、効率的な観察することも可能となる。
説明の簡単化のため、回転ミラー28の回転軸の交点の位置は固定とする例を述べたが、回転ミラー28の回転軸の交点が動く形態でも実施可能である。
対物レンズ(40)側のミラー(回転ミラー28)を回転させ、観察像側のミラー(全反射ミラー58)を固定する例を述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。対物レンズ側のミラーを固定にして、観察像側のミラーを回転させることで観察視野を移動するようにしてもよい。
図6は、本発明の第2の実施形態における顕微鏡システムの概略構成図である。本実施形態は、請求項1〜請求項4に対応する。図に示すように、本実施形態の顕微鏡システム80は、第1の実施形態の顕微鏡システム10の構成要素に加えて、マニピュレータコントローラ84と、マイクロマニピュレータ86とを有している。第2の実施形態と第1の実施形態との違いは、観察視野の移動と、マイクロマニピュレータ86の移動とを連動させることである。ここでの連動とは、例えば、観察視野が右に移動したら、マイクロマニピュレータ86の電極針も右に移動させることである。
図7は、本発明の第3の実施形態における顕微鏡システムの概略構成図である。本実施形態は、請求項6及び請求項7に対応する。図に示すように、顕微鏡システム100は、観察モニタ20と、コンピュータ18と、ケーブル26、108と、マニピュレータコントローラ84と、マイクロマニピュレータ86と、本実施形態の顕微鏡110とを有している。
第3の実施形態と第2の実施形態との違いは、観察視野を移動させるための顕微鏡110内の機構であり、第3の実施形態では、移動型光学系120の移動により観察視野を移動させる。なお、第3の実施形態では、対物レンズ40の光軸上に位置する固定ミラー114の傾きや位置は変えない。固定ミラー114は、ハーフミラーまたはダイクロイックミラーである。
標本50からの光束は、対物レンズ40を透過後、固定ミラー114で反射して光路を直角に変えて、変倍レンズ130(132)を透過後、中間像を形成する。この後光束は、変倍レンズ138(140)を透過して、全反射ミラー58により直角に光路を変えて、結像レンズ68を透過する。これにより、撮像素子69の受光面上に観察像が結像される。
観察視野の移動指示は、第1の実施形態と同様に、例えばコンピュータ18に対するキーボード入力により視野ブロックが選択されることで行われる。『各視野ブロックに観察視野を移動させるときの、上記2方向における移動型光学系120の移動量をそれぞれ規定するテーブルデータ』を、コンピュータ18は記憶している。
図11は、本発明の第4の実施形態における顕微鏡システム160(請求項記載のバーチャルスライド作成システムに対応)の概略構成図である。本実施形態は、請求項5に対応する。図に示すように、顕微鏡システム160は、観察モニタ20と、コンピュータ18と、ケーブル26、170と、ミラー傾きコントローラ16と、本実施形態の顕微鏡174とを有している。
本実施形態では、コンピュータ18は、変倍光学系36が高倍率に設定された状態において、大型ステージ180を移動することなく、回転ミラー28を段階的に回転させる。これにより、コンピュータ18は、像が示す標本領域(スライド標本190におけるどの部分が撮像素子69上に結像されるか)を、段階的に移動させる。これは、第1の実施形態における観察視野の移動と同様であるが、ここでは、観察ではなく、バーチャルスライドの作成が目的である。
そして、コンピュータ18は、このように回転ミラー28を回転させる動作(像が示す標本領域の移動)と、観察カメラ24に像の画像データを生成させる動作と、この画像データを取得して記憶する動作とを繰り返す。コンピュータ18は、このようにして順次生成される画像データを繋ぎ合わせて、1つのスライド標本190全体の画像データ(バーチャルスライド)を作成する。コンピュータは、生成したバーチャルスライドをハードディスク等に記録する。
なお、第1〜第4の実施形態では、レンズを切り替えることにより変倍光学系36の倍率を変更する例を述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。変倍光学系36を光学ズーム可能なレンズ群により構成し、レンズを切り替えることなく変倍光学系36の倍率を変更してもよい。
第1〜第4の実施形態で挙げた全ての数値は、対物レンズ40に関するものを除き、全て参考のための一例である。
12 顕微鏡
16 ミラー傾きコントローラ
18 コンピュータ
20 観察モニタ
24 観察カメラ
26 ケーブル
28 回転ミラー
32 接眼部
36 変倍光学系
38 蛍光励起用光源
40 対物レンズ
44 ステージ
46 透過用光源
50 標本
54 低倍光学系
56 高倍光学系
58 全反射ミラー
60、62、64、66 変倍レンズ
68 結像レンズ
69 撮像素子
70 回転制御機構
80 顕微鏡システム
84 マニピュレータコントローラ
86 マイクロマニピュレータ
100 顕微鏡システム
108 ケーブル
110 顕微鏡
114 固定ミラー
116 不動型光学系
120 移動型光学系
130、132 変倍レンズ
136 リレー光学系
138、140 変倍レンズ
148 移動機構
160 顕微鏡システム
170 ケーブル
174 顕微鏡
180 大型ステージ
184 ステージ移動機構
190 スライド標本
Claims (8)
- 標本から観察像までの光路において、最も前記標本側に位置する第1対物レンズと、
前記標本に共役な中間像を、前記第1対物レンズと共に形成する第2対物レンズと
を備えた顕微鏡における、光学系であって、
前記第1対物レンズと前記第2対物レンズとの間の光学系内に配置され、反射により光路の方向を変更する反射用ミラーを有し、
前記反射用ミラーの反射面の延在方向が変わるように、前記反射用ミラーは回転可能である
ことを特徴とする顕微鏡の光学系。 - 請求項1記載の顕微鏡の光学系において、
前記反射用ミラーと、前記観察像側の結像レンズとの間に、前記観察像の倍率を切り替え可能な変倍光学系を有する
ことを特徴とする顕微鏡の光学系。 - 請求項1または請求項2記載の顕微鏡の光学系において、
標本に対する観察視野の位置と、前記反射用ミラーの回転量との対応関係を示す情報を有すると共に、前記情報に基づいて前記反射用ミラーを回転させる制御部を備えている
ことを特徴とする顕微鏡の光学系。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の顕微鏡の光学系を備えている
ことを特徴とする顕微鏡。 - 請求項4記載の顕微鏡と、
前記顕微鏡において前記反射用ミラーを回転させる動作と、前記観察像を撮像して画像データを生成する動作とを繰り返し行う画像データ生成部と、
生成された複数の前記画像データを合成して、標本のバーチャルスライドを作成する画像合成部と
を備えていることを特徴とするバーチャルスライド作成システム。 - 標本から観察像までの光路において、最も前記標本側に位置する第1対物レンズと、
前記標本に共役な中間像を、前記第1対物レンズと共に形成する第2対物レンズと
を備えた顕微鏡における、光学系であって、
前記光路において、前記中間像より後ろに位置し、光軸に対して垂直な方向に移動可能なレンズを備えている
ことを特徴とする顕微鏡の光学系。 - 請求項6記載の顕微鏡の光学系を備えていることを特徴とする顕微鏡。
- 請求項7記載の顕微鏡と、
前記顕微鏡において、前記レンズを光軸に対して垂直な方向に移動させる動作と、前記観察像を撮像して画像データを生成する動作とを繰り返し行う画像データ生成部と、
生成された複数の前記画像データを合成して、標本のバーチャルスライドを作成する画像合成部と
を備えていることを特徴とするバーチャルスライド作成システム。
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