JP2005320585A - 濡れ性が制御された膜及びその形成方法並びに濡れ性制御膜被覆物品 - Google Patents
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Abstract
【課題】流体の流れ、流体の付着分布、流体の付着量等の流体制御のうち少なくとも一つを簡単に行える表面を備え、そのような流体制御が要求される或いは望ましい物品に形成可能である膜及び該膜の形成方法並びにかかる膜で被覆されることで所望の流体制御を行える物品を提供する。
【解決手段】濡れ性が異なる少なくとも2種類の面領域(f11〜f16、f21〜f25)を含む表面を有する濡れ性が制御された炭素膜(F1、F2)。該炭素膜で被覆された物品(板状体P、摺動部品SL)。該炭素膜の形成方法であって、該炭素膜を形成する物品を準備する工程と、該物品の少なくとも一部に表面濡れ性が異なる少なくとも2種類の炭素膜部分を形成することで濡れ性が異なる少なくとも2種類の面領域を含む表面を有する炭素膜を形成する工程とを含む濡れ性が制御された炭素膜の形成方法。
【選択図】 図4
Description
かかる物品表面の濡れ性は従来次のような手法で制御されてきた。
同じ一つの面の中で疎水性や撥水性と親和性や親水性の双方を制御することができれば、換言すると、一つの面において該面各部の濡れ性が異なるように制御することができれば、そのように各部の濡れ性が制御された面は様々に応用できる。
また、機械部品等で他の物品と摺動する面を有するものの場合、該摺動面のうち一部には他の部分より潤滑剤(例えば潤滑オイル)を多量に存在させることが好ましい場合もあり得るが、その場合、該摺動面の各部の濡れ性を制御することでそれが可能になる。
また本発明は、かかる膜で被覆されることで所望の流体制御を行える物品を提供することを課題とする。
ここで「流体」とは気体も含む概念であるが、中でも特に液体に注目している。
先ず、炭素膜は物品の表面にプラズマCVD法等の膜形成技術を利用して容易に形成することができる。しかも、炭素膜はその表面の濡れ性を容易に制御することができる。
また本発明は、かかる濡れ性が制御された炭素膜で少なくとも一部が被覆された濡れ性制御膜被覆物品(濡れ性が制御された膜で被覆された物品)を提供する。
該炭素膜を形成する物品を準備する工程と、
該物品の少なくとも一部に表面濡れ性が異なる少なくとも2種類の炭素膜部分を形成することで濡れ性が異なる少なくとも2種類の面領域を含む表面を有する炭素膜を形成する工程と
を含む濡れ性が制御された炭素膜の形成方法を提供する。
ここで、表面濡れ性が異なる少なくとも2種類の炭素膜部分の形成は隣り合う炭素膜部分が連続するように形成することができる。
該炭素膜を形成する物品を準備する工程と、
該物品の少なくとも一部に表面に酸素結合、フッ素結合の無いベース炭素膜を形成する工程と、
該ベース炭素膜表面の複数の面領域のそれぞれに濡れ性制御処理を施こす工程とを含み、
該ベース炭素膜表面の複数面領域のそれぞれに対する濡れ性制御処理は、
(1) 該面領域をそのままの状態に維持する処理、
(2) 該面領域を酸素ガスプラズマに暴露する処理、
(3) 該面領域を不活性ガスプラズマに曝す処理、
(4) 該面領域に炭化水素化合物ガス及びフッ素含有ガスを含むガスのプラズマのもとでフッ素含有炭素膜部分を形成する処理、
(5) 該面領域に炭化水素化合物ガス及びフッ素含有ガスを含むガスのプラズマのもとでフッ素含有炭素膜部分を形成し、該膜フッ素含有炭素膜部分をさらにフッ素含有ガスプラズマに暴露する処理
(6) 該面領域をフッ素含有ガスのプラズマに暴露する処理
から選ばれた処理である炭素膜の形成方法も提供する。
ここで、「酸素結合、フッ素結合の無いベース炭素膜」とは、酸素結合、フッ素結合が全く無い炭素膜のほか、たとえ酸素結合及び(又は)フッ素結合があったとしても、濡れ性制御の観点からすればそれは無視できる程度のものにすぎない炭素膜も含まれる。要するに「実質上酸素結合、フッ素結合が無いベース炭素膜」と言える場合である。
また、「物品」は、各種機器類それ自体、各種機器類の部品、試料用の試験片等のいずれであってもよい。
また本発明によると、かかる膜で被覆されることで所望の流体制御を行える濡れ性制御膜被覆物品を提供することができる。
本発明の実施形態に係る濡れ性が制御された膜は、濡れ性が異なる少なくとも2種類の面領域を含む表面を有する濡れ性が制御された炭素膜である。
また本発明の実施形態に係る濡れ性制御膜被覆物品は、かかる濡れ性が制御された炭素膜で少なくとも一部が被覆された物品である。
(1) 酸素結合、フッ素結合の無い炭素面領域、
(2) 結合酸素により濡れ性が制御された酸素結合炭素面領域、
(3) 酸素結合、フッ素結合の無い炭素面領域を不活性ガスプラズマに暴露することで濡れ性が制御された炭素面領域、
(4) 結合フッ素により濡れ性が制御されたフッ素結合炭素面領域
のいずれかを挙げることができる。
炭素膜表面の濡れ性は、該炭素膜の用途等に応じて、様々に変化させることができるが、全体にわたって濡れ性が次第に増加又は減少するように変化していてもよい。
また、「酸素結合、フッ素結合の無い」とは、酸素結合、フッ素結合が全く無い場合のほか、たとえ酸素結合及び(又は)フッ素結合があったとしても、濡れ性制御の観点からすれば無視できる程度のものにすぎない場合も含まれる。要するに実質上酸素結合、フッ素結合が無いと言える場合である。
また、樹脂としては熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれでも採用でき、熱硬化性樹脂としては、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、尿素樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等を例示できる。
本発明の1実施形態に係る濡れ性が制御された膜の形成方法は、濡れ性が異なる少なくとも2種類の面領域を含む表面を有する炭素膜の形成方法であり、
該炭素膜を形成する物品を準備する工程と、
該物品の少なくとも一部に表面濡れ性が異なる少なくとも2種類の炭素膜部分を形成することで濡れ性が異なる少なくとも2種類の面領域を含む表面を有する炭素膜を形成する工程と
を含む濡れ性が制御された炭素膜の形成方法である。
また、表面濡れ性が異なる少なくとも2種類の炭素膜部分の形成は隣り合う炭素膜部分が連続するように形成することができる。
いずれにしても、前記の表面濡れ性が異なる少なくとも2種類の炭素膜部分のそれぞれの代表例として、炭素のほか、フッ素、水素、酸素のうち少なくとも1種の元素を含むものを挙げることができる。
(1) 表面に酸素結合、フッ素結合の無い炭素膜部分の形成、
(2) 表面濡れ性が結合酸素により制御された酸素結合炭素膜部分の形成、
(3) 表面に酸素結合、フッ素結合の無い炭素膜部分を形成し、該炭素膜部分表面を不活性ガスプラズマに暴露することによる表面濡れ性が制御された炭素膜部分の形成、
(4) 表面濡れ性が結合フッ素により制御されたフッ素結合炭素膜部分の形成
のいずれかにより行う場合を例示できる。
この場合も濡れ性が異なる炭素膜部分のうち少なくとも一つは水素を含有していてもよい。また、「酸素結合、フッ素結合の無い」とは、酸素結合、フッ素結合が全く無い場合のほか、たとえ酸素結合及び(又は)フッ素結合があったとしても、濡れ性制御の観点からすれば無視できる程度のものにすぎない場合も含まれる。要するに実質上酸素結合、フッ素結合が無いと言える場合である。
前記(2) の「表面濡れ性が結合酸素により制御された酸素結合炭素膜部分」は、例えば、炭化水素化合物ガスプラズマのもとで(代表的にはプラズマCVD法により)表面に酸素結合、フッ素結合の無い炭素膜部分を形成し、該炭素膜部分表面を酸素ガスプラズマに暴露することで形成することができ、また、炭化水素化合物ガス及び酸素ガスを含むガスのプラズマのもとで形成することもできる。
また、該表面に酸素結合、フッ素結合の無い炭素膜部分については炭化水素化合物ガスプラズマのもとで(代表的にはプラズマCVD法により)形成する場合を例示できる。
a)炭化水素化合物ガスプラズマのもとで(代表的にはプラズマCVD法により)表面に酸素結合、フッ素結合の無い炭素膜部分を形成し、該炭素膜部分表面をフッ素含有ガスプラズマに暴露する。
b)炭化水素化合物ガス及びフッ素含有ガスを含むガスのプラズマのもとで(代表的にはプラズマCVD法により)形成する。
c)炭化水素化合物ガス及びフッ素含有ガスを含むガスのプラズマのもとで(代表的にはプラズマCVD法により)フッ素結合炭素膜部分を形成し、該フッ素結合炭素膜部分の表面をさらにフッ素含有ガスプラズマに暴露する。
該炭素膜を形成する物品を準備する工程と、
該物品の少なくとも一部に表面に酸素結合、フッ素結合の無いベース炭素膜を形成する工程と、
該ベース炭素膜表面の複数の面領域のそれぞれに濡れ性制御処理を施こす工程とを含み、
該ベース炭素膜表面の複数面領域のそれぞれに対する濡れ性制御処理は、
(1) 該面領域をそのままの状態に維持する処理、
(2) 該面領域を酸素ガスプラズマに暴露する処理、
(3) 該面領域を不活性ガスプラズマに曝す処理、
(4) 該面領域に炭化水素化合物ガス及びフッ素含有ガスを含むガスのプラズマのもとで(代表的にはプラズマCVD法により)フッ素含有炭素膜部分を形成する処理、
(5) 該面領域に炭化水素化合物ガス及びフッ素含有ガスを含むガスのプラズマのもとで(代表的にはプラズマCVD法により)フッ素含有炭素膜部分を形成し、該膜フッ素含有炭素膜部分をさらにフッ素含有ガスプラズマに暴露する処理
(6) 該面領域をフッ素含有ガスのプラズマに暴露する処理
から選ばれた処理である炭素膜の形成方法。
ここでも、「酸素結合、フッ素結合の無いベース炭素膜」とは、酸素結合、フッ素結合が全く無い炭素膜のほか、たとえ酸素結合及び(又は)フッ素結合があったとしても、濡れ性制御の観点からすればそれを無視できる程度のものにすぎない炭素膜も含まれる。要するに「実質上酸素結合、フッ素結合が無いベース炭素膜」と言えるものである。
該ベース炭素膜及び前記(4) 、(5) のフッ素含有炭素膜部分の代表例としてダイヤモンド状炭素膜を挙げることができる。
前記(2) の「面領域を酸素ガスプラズマに曝す処理」、(3) の「面領域を不活性ガスプラズマに曝す処理」、(5) や(6) におけるフッ素含有ガスプラズマに曝す処理についても、例えば同様にマスクを用い、該マスクを移動させつつ導入する酸素ガス、不活性ガス、又はフッ素含有ガスの量を連続的に変化させて、濡れ性が連続的に変化した炭素膜部分を形成できる。
成膜用ガスのプラズマ化のために供給する電力をこのような変調を施した高周波電力とすることにより、高密度のプラズマが得られ、これにより反応率が向上し、低温で成膜できる。また、このような変調を施すことにより、物品への膜密着性を向上させることができるとともに成膜速度を向上させることができる。
基本高周波電力としては、それには限定されないが、13.56MHz以上のものを挙げることができる。これより小さくなってくるとプラズマ密度が不足しがちになるからである。また、基本高周波電力の周波数は高周波電源コスト等からして例えば500MHz程度までとすればよい。
また、いずれにしても、変調のデューティ(オン時間/オン時間+オフ時間)は5%〜90%程度とすればよい。これは、5%より小さくなってくると成膜速度が低下するからであり、90%より大きくなってくると電力供給時間が長くなりすぎ変調高周波電力によるプラズマ密度向上効果が少なくなるからである。
炭素膜を形成する物品の部分を予めこのように前処理することで、被成膜面が清浄化され、又はさらに被成膜面の表面粗度が向上する。これらは、炭素膜の密着性向上に寄与し、高密着性炭素膜を得ることができる。
プラズマによる前処理は同種類のプラズマを用いて或いは異なる種類のプラズマを用いて複数回行っても構わない。例えば、被成膜面を酸素ガスプラズマに曝した後、フッ素含有ガスプラズマ又は水素ガスプラズマに曝し、その上に炭素膜を形成するときには、被成膜面がクリーニングされた後、該面がフッ素終端又は水素終端されて、その後形成する炭素膜と該被成膜面との密着性は非常に良好なものとなる。
図1は表面濡れ性が制御された炭素膜の形成に用いることができる装置の1例の概略構成を示す図である。
図1の装置はプラズマCVD装置であり、圧力調整弁11を介して排気ポンプ12が接続された真空チャンバ1(成膜室の1例)を有し、チャンバ1内には電極2及びこれに対向する位置に電極3が設置されている。電極3は接地され、電極2にはマッチングボックス22を介して高周波電源23が接続されている。また、電極2にはその上に支持される被成膜物品Sを成膜温度に加熱するためのヒータ21が付設されている。また、チャンバ1にはガス供給部4が付設されて、チャンバ1内部に成膜用ガス等を導入できるようになっている。ガス供給部4には、マスフローコントローラ411、412・・・及び弁421、422・・・を介して接続された1又は2以上のガス源431、432・・・が含まれている。
酸素結合、フッ素結合の無い炭素膜を形成するときは、炭化水素化合物ガスを、炭素膜形成と同時にこれに酸素結合させるときは、炭素化合物ガス及び酸素ガスを、フッ素含有(フッ素結合)炭素膜を形成するときは炭素化合物ガス及びフッ素含有ガスを、フッ素・水素含有炭素膜を形成するときも炭化水素化合物ガス及びフッ素含有ガス(例えばフッ化炭素化合物ガス)を導入する。
また、窒素含有炭素膜を形成するときは窒素含有ガスも導入し、金属単体や金属酸化物等の金属化合物を含有する炭素膜を形成するときはそれら物質を形成するためのガスも導入する。
物品Sの被成膜面の限られた領域や、先に形成した膜における限られた領域に膜形成する場合には、該領域に対応する透孔を形成したマスクを該被成膜面や先に形成した膜にあてがって、或いはさらに該マスクを移動させつつ膜形成すればよい。
図2に示す成膜装置もプラズマCVD装置である。この装置は、図1に示す装置において、高周波電源23に任意波形発生装置24を接続したものである。その他の点は図1に示す装置と同様であり、図1に示す装置と同じ部品には同じ参照符号を付してある。
該パルス変調高周波電力は、13.56MHz以上の所定周波数の基本高周波電力に該所定周波数の10万分の1以上10分の1以下の範囲の変調周波数で変調を施した状態のものとする。また、デューティ比(オン時間/オン時間+オフ時間)は10%〜90%とする。その他の動作は、図1の装置を用いた成膜と同様である。
図3に示すプラズマCVD装置は、シリンダ形のプラズマ生成室10及び同じくシリンダ形のプラズマ処理室20を備えている。これらで真空チャンバR(成膜室の例)が形成されている。両室10、20は中心軸線を同じくして上下に連設してある。
プラズマ生成室10はその外周壁に沿ってアンテナの形態のRFコイル110が配置してあり、このアンテナ110にはマッチングボックス130を介して13.56MHzの高周波電源(RF電源)140を接続してある。
また、プラズマ生成室10にはガス導入管150が接続してあり、これに図示を省略したガス供給部が接続されている。また、プラズマ生成室10とプラズマ処理室20との境目よりやや下がった位置にガス導入管30が挿入設置されており、この導入管に無端リング形状のガス噴出管300が接続されている一方、該ガス導入管30には室外においてもう一つの図示を省略したガス供給部が接続されている。ガス噴出管300は物品Sに臨む位置に配置され、ホルダ200の方へ向けられた多数のガス噴出孔を等間隔で有している。なお、かかるガス噴出管300は必ずしも要しない。
ホルダ200にはマッチングボックス410を介して高周波電源(RF電源)420が接続され、さらに、直流電源430又は440が接続される。切替えスイッチSWは必要に応じホルダ200に電源430又は440を切り替え接続できる。成膜の場合、ホルダ200に設置される物品S及び成膜種が導電性のときには、直流電源430又は440により入射プラズマをコントロールし、高速成膜が可能である。物品S及び成膜種が絶縁性のときは、高周波電源420を印加することで高速成膜が可能である。
高周波電源140と420はフエイズシフター500を介して接続されている。
次に、表面濡れ性が制御された炭素膜及び該炭素膜で被覆された物品の例について説明するが、その前に、前処理の効果等を確認する実験を行ったので、これらを説明する。
前処理効果を確認する実験は、図1の装置を用いて、被成膜物品表面に前処理を施さないでDLC膜を形成し(実験例X−1)、また、被成膜物品表面に前処理を施し、そのあと該処理面にDLC膜を形成し(実験例X−2〜X−5)、これらのDLC膜についてその密着性等を評価することで行った。被成膜物品はすべて材質をEPDM(エチレン・プロピレン ゴム)とし、サイズを直径20cm×厚さ10mmとした。装置の電極サイズは40cm×40cm(正方形)とした。
・成膜条件
成膜用原料ガス メタン(CH4 )ガス 100sccm
高周波電力 周波数13.56MHz、300W
成膜圧力 0.1Torr(13.3Pa)
成膜温度 室温
成膜速度 500Å/分
成膜時間 20分
DLC膜形成に先立ち、物品に次の条件で水素ガスプラズマによる前処理を施し、そのあと前処理ガスを排気したのち、DLC膜を形成した。成膜条件は実験例X−1と同様とした。
・前処理条件
前処理用ガス 水素(H2 )、100sccm
高周波電力 13.56MHz、300W
処理圧力 0.1Torr(13.3Pa)
処理時間 5分
DLC膜形成に先立ち、物品に次の条件でフッ素化合物ガスプラズマによる前処理を施し、そのあと前処理ガスを排気したのち、DLC膜を形成した。成膜条件は実験例X−1と同様とした。
・前処理条件
前処理用ガス 6フッ化硫黄(SF6 )、100sccm
高周波電力 13.56MHz、300W
処理圧力 0.1Torr(13.3Pa)
処理時間 5分
DLC膜形成に先立ち、物品に次の条件で酸素ガスプラズマによる第1の前処理を施し、さらに水素ガスプラズマによる第2の前処理を施し、そのあと前処理ガスを排気したのち、DLC膜を形成した。成膜条件は実験例X−1と同様とした。
・第1前処理条件
前処理用ガス 酸素(O2 )、100sccm
高周波電力 13.56MHz、300W
処理圧力 0.1Torr(13.3Pa)
処理時間 5分
・第2前処理条件
前処理用ガス 水素(H2 )、100sccm
高周波電力 13.56MHz、300W
処理圧力 0.1Torr(13.3Pa)
処理時間 5分
DLC膜形成に先立ち、物品に次の条件で酸素ガスプラズマによる第1の前処理を施し、さらにフッ素化合物ガスプラズマによる第2の前処理を施し、そのあと前処理ガスを排気したのち、DLC膜を形成した。成膜条件は実験例X−1と同様とした。
・第1前処理条件
前処理用ガス 酸素(O2 )、100sccm
高周波電力 13.56MHz、300W
処理圧力 0.1Torr(13.3Pa)
処理時間 5分
・第2前処理条件
前処理用ガス 6フッ化硫黄(SF6 )、100sccm
高周波電力 13.56MHz、300W
処理圧力 0.1Torr(13.3Pa)
処理時間 5分
膜密着性
実験例X−1 2kg/mm2
実験例X−2 4kg/mm2
実験例X−3 4kg/mm2
実験例X−4 5kg/mm2
実験例X−5 5kg/mm2
このように、DLC膜形成に先立ち物品表面にプラズマによる前処理を施すことで膜密着性が向上することが分かる。
摩耗深さ
実験例X−1 3μm
実験例X−2 1μm
実験例X−3 1μm
実験例X−4 1μm
実験例X−5 1μm
未処理物品 9μm
次に、炭化水素化合物ガスとフッ化炭素化合物ガスによるフッ素及び水素含有のDLC膜を形成する場合に、両ガスの混合割合〔フッ化炭素化合物ガス/(炭化水素化合物ガス+フッ化炭素化合物ガス)〕が成膜速度、C−F結合、C−H結合、膜硬度、濡れ性等に及ぼす影響について調べた実験例1−1〜1−5及び比較実験例1について説明する。成膜物品はすべて材質をシリコーンゴムとし、サイズを直径20cm×厚さ10mmとした。装置の電極サイズは40cm×40cm(正方形)とした。
フッ素及び水素含有炭素膜の形成(前処理を行ったのち成膜)
・前処理:
前処理用ガス 水素(H2 )ガス 100sccm
高周波電力 周波数13.56MHz、300W
前処理圧力 0.1Torr(13.3Pa)
処理時間 5分
・成膜:前処理用ガスを排気したのち成膜した。
成膜用ガス メタン(CH4 )ガス
6フッ化2炭素(C2 F6 )ガス
高周波電力 周波数13.56MHz、300W
成膜圧力 0.1Torr(13.3Pa)
成膜温度 室温
成膜時間 20分
ガス導入量は、フッ素の添加割合を変化させるため、6フッ化2炭素ガスについては25sccmの一定とし、メタンガスについては図5及び後掲の表1に示すように変化させた。両者の混合割合(導入流量比)を(C2 F6 )/(CH4 +C2 F6 )とした。流量比は実験例1−1では0.2、実験例1−2では0.33、実験例1−3では0.5、実験例1−4では0.71、実験例1−5では0.83である。
・前処理:実験例1−1〜1−5と同じ前処理を行った。
・成膜:前処理用ガスを排気したのち成膜した。
成膜用ガス メタン(CH4 )ガス 100sccm
高周波電力 周波数13.56MHz、300W
成膜圧力 0.1Torr(13.3Pa)
成膜温度 室温
成膜時間 20分
これらの結果から摩擦係数を向上させる場合と撥水性を向上させる場合には流量比を制御すればよいことが分かる。
図4は表面濡れ性が制御された炭素膜で被覆された物品、炭素膜表面の濡れ性制御態様、かかる炭素膜の形成方法を例示している。
面領域f11:炭化水素化合物ガスのプラズマのもとで酸素、フッ素結合が実質上無い炭 素膜部分を形成し、該炭素膜部分を酸素ガスプラズマに暴露する。これに より最も濡れ性(親和性乃至親水性)が大きい酸素結合炭素膜部分を形成 する。
面領域f12:炭化水素化合物ガスのプラズマのもとで酸素、フッ素結合が実質上無い炭 素膜部分を形成し、該炭素膜部分を不活性ガス(例えばアルゴンガス)プ ラズマに暴露し、これにより次に濡れ性が大きい炭素膜部分を形成する。面領域f13:炭化水素化合物ガスのプラズマのもとで酸素、フッ素結合が実質上無い炭 素膜部分を形成し、これにより炭素膜部分自体の濡れ性の面領域を得る。面領域f14、f15:
炭化水素化合物ガスとフッ素含有ガスとを含むガスのプラズマのもとで各 面領域に対応させてフッ素結合炭素膜部分を形成し、且つ、両ガスの導入 流量比〔フッ素含有ガス/(炭化水素化合物ガスとフッ素含有ガス)〕を 順次増加させることで、フッ素結合割合が順次多くなった、従って濡れ性 が順次低下した(疎水性乃至撥水性が順次増加した)炭素膜部分を形成す る。
面領域f16:炭化水素化合物ガスとフッ素含有ガスとを含むガスのプラズマのもとでフ ッ素結合炭素膜部分を形成し、該炭素膜部分をフッ素含有ガスのプラズマ に暴露し、これにより最も濡れ性が小さい(疎水性乃至撥水性が最も大き い)炭素膜部分を形成する。
なお、必要に応じ、炭素膜部分の形成に先立って、板状体Pの被成膜面に前記の前処理を施してもよく、また、炭素膜部分のうち少なくとも一つには、既述のように、窒素或いは金属単体、金属酸化物等の金属化合物から選ばれた少なくとも1種の物質を添加してもよい。
面領域f23:炭化水素化合物ガスのプラズマのもとで酸素、フッ素結合が実質上無い炭 素膜部分を形成し、該炭素膜部分を酸素ガスプラズマに暴露する。これに より最も濡れ性(親和性乃至親水性)が大きい酸素結合炭素膜部分を形成 する。
面領域f22、f24:
炭化水素化合物ガスのプラズマのもとで酸素、フッ素結合が実質上無い炭 素膜部分を形成し、これにより炭素膜部分自体の濡れ性の面領域を得る。面領域f21、f25:
炭化水素化合物ガスとフッ素含有ガスとを含むガスのプラズマのもとでフ ッ素結合炭素膜部分を形成し、これにより濡れ性が小さい(疎水性乃至撥 水性が大きい)炭素膜部分を形成する。
なお、この場合も、必要に応じ、炭素膜部分の形成に先立って、部品SLの被成膜面に前記の前処理をほどこしてもよく、また、炭素膜部分のうち少なくとも一つには、既述のように、窒素或いは金属単体、金属酸化物等の金属化合物から選ばれた少なくとも1種の物質を添加してもよい。
(1) 該面領域をそのままの状態に維持する処理、
(2) 該面領域を酸素ガスプラズマに暴露する処理、
(3) 該面領域を不活性ガスプラズマに曝す処理、
(4) 該面領域に炭化水素化合物ガス及びフッ素含有ガスを含むガスのプラズマのもとでフ ッ素含有炭素膜部分を形成する処理、
(5) 該面領域に炭化水素化合物ガス及びフッ素含有ガスを含むガスのプラズマのもとでフ ッ素含有炭素膜部分を形成し、該膜フッ素含有炭素膜部分をさらにフッ素含有ガスプ ラズマに暴露する処理
(6) 該面領域をフッ素含有ガスのプラズマに暴露する処理
濡れ性が連続的に変化している炭素膜或いは炭素膜部分は濡れ性が異なる面領域が無限に存在しているに等しいと言える。
採用した板状体の材質、サイズ、成膜条件、成膜手順等は次のとおりである。
板状体:4インチシリコンウエハ
高周波電極2:40cm×40cmの四角形電極
先ず、前記実験例X−2における前処理条件と同条件でシリコンウエハの被成膜面に前理を施した(なお、前記実験例X−3〜X−5のいずれかにおける前処理条件で前処理を施してもよい)。
次に、前記実験例X−1と同じ成膜条件でシリコンウエハの被成膜面に全面的にDLC膜を形成した。
さらに、同マスクを5mmずらして露出させた第2のDLC膜部分を、実験例X−5における酸素プラズマによる前処理条件において酸素プラズマに代えてアルゴンガスプラズマを採用した点を除けば同条件で、該アルゴンガスプラズマに暴露して面領域f12を得た。
次いで、同マスクを5mmずらして露出させた第3のDLC膜部分はそのままの状態とし(面領域f13)、さらに同マスクを5mmずらして露出させた第4のDLC膜部分の上に、前記実験例1−3の成膜条件〔流量比(C2 F6 )/(CH4 +C2 F6 )=0.5〕でフッ素含有炭素膜を形成し、さらにマスクを5mmずらして露出させた第5のDLC膜部分上に前記実験例1−5の成膜条件〔流量比(C2 F6 )/(CH4 +C2 F6 )=0.83〕でフッ素含有炭素膜を形成して、面領域f14、f15を得た。
さらにマスクを5mmずらして露出させた第6のDLC膜部分上に前記実験例1−5の成膜条件でフッ素含有炭素膜を形成し、該炭素膜を、実験例X−3における前処理条件において6フッ化硫黄(SF6 )ガスプラズマに代えて6フッ化2炭素(C2 F6 )ガスプラズマを採用した点を除けば同条件で、該6フッ化2炭素ガスプラズマに暴露して面領域f16を得た。
面領域 f11 f12 f13 f14 f15 f16 処理 O2 暴露 Ar暴露 未処理 フッ素含有 フッ素含有 フッ素含有+
フッ素暴露
接触角 45° 60° 80° 90° 100° 107°
フッ素含有炭素膜の形成(前処理を行ったのち成膜)
・前処理:
前処理用ガス 水素(H2 )ガス 100sccm
高周波電力 周波数13.56MHz、300W
前処理圧力 0.1Torr(13.3Pa)
処理時間 5分
・成膜:前処理用ガスを排気したのち成膜した。
成膜用ガス メタン(CH4 )ガス
6フッ化2炭素(C2 F6 )ガス
ガス導入量は、フッ素の添加割合を段階的に変化させるため、6フッ化2炭素ガスについては25sccmの一定とし、メタンガスについては下記表2に示すように変化させた。
高周波電力 周波数13.56MHz、300W
成膜圧力 0.1Torr(13.3Pa)
成膜温度 室温
成膜時間 20分
図12より、すベての流量比に対して変調周波数が50HzのときにF1S/C1Sの値が最大値をとることが分かる。
図1に示す装置を用い、前記実験例1−1、1−5において、成膜段階で成膜用ガスとして、メタン(CH4 )ガス及び6フッ化2炭素(C2 F6 )ガスに加え、窒素ガスを50sccmを採用して炭素膜を形成する実験(実験例3−2、3−3)を行った。得られた炭素膜について膜硬度を評価した。結果を下記表4に示す。なお、表4には参考のため前記比較実験例1と、比較実験例1においてメタン(CH4 )ガスに加え、窒素ガスを50sccmを採用して形成した炭素膜(実験例3−1)についても示してある。
成膜物品はすべて材質をシリコーンゴムとし、サイズを直径20cm×厚さ10mmとした。装置の電極サイズは40cm×40cm(正方形)とした。
前処理 前処理用の水素ガスを成膜室Rへ導入するようにし、実験例1−1〜1−5における前処理と同様の条件で前処理した。
成膜 前処理ガスを排気したのち成膜処理した。
成膜用ガス ・メタン(CH4 )ガス100sccmをプラズマ処理室20へ導入 ・TEOS 10sccm及び酸素ガス 90sccmをプラズマ生 成室10へ導入
高周波電力 ・プラズマ処理室20については、
周波数13.56MHz、300W
・プラズマ生成室10については、
周波数13.56MHz、500W
成膜圧力 0.01Torr(1.33Pa)
成膜温度 室温
成膜時間 20分
前処理 参考実験例4−1と同様に前処理した。
成膜 前処理ガスを排気したのち成膜処理した。
成膜用ガス ・メタン(CH4 )ガス及び6フッ化2炭素(C2 F6 )ガス(25 sccm)をプラズマ処理室へ導入
流量比〔(C2 F6 )/(CH4 +C2 F6 )〕は0.2 ・TEOS 10sccm及び酸素ガス 90sccmをプラズマ生 成室へ導入
高周波電力 ・プラズマ処理室20については、
周波数13.56MHz、300W
・プラズマ生成室10については、
周波数13.56MHz、500W
成膜圧力 0.01Torr(1.33Pa)
成膜温度 室温
成膜時間 20分
前処理 実験例4−2と同様に前処理した。
成膜 流量比〔(C2 F6 )/(CH4 +C2 F6 )〕を0.83にする以外は実験 例4−2と同じ条件で成膜した。
なお、表5において比較実験例1、実験例1−1、1−5は既述の実験例であり、比較のため示したものである。
12 排気ポンプ
1 真空チャンバ
2、3 電極
22 マッチングボックス
23 高周波電源
24 任意波形発生装置
S1 被成膜面
4 ガス供給部
411、412 マスフローコントローラ
421、422 弁
431、432 ガス源
5 炭素膜
R 成膜室
10 プラズマ生成室
20 プラズマ処理室
110 RFコイル
130 マッチングボックス
140 高周波電源
200 被成膜物品支持ホルダ
201 水冷用パイプ
H ヒータ
100 排気装置
150、30 ガス導入管
300 ガス噴出管
410 マッチングボックス
420 高周波電源
430、440 直流電源
SW 切替えスイッチ
500 フエイズシフター
Claims (20)
- 濡れ性が異なる少なくとも2種類の面領域を含む表面を有することを特徴とする濡れ性が制御された炭素膜。
- 前記炭素膜表面の、濡れ性が異なる少なくとも2種類の面領域のそれぞれは、炭素のほか、フッ素、水素、酸素のうち少なくとも1種の元素を含んでいる請求項1記載の炭素膜
- 前記濡れ性が異なる少なくとも2種類の面領域のそれぞれは、
(1) 酸素結合、フッ素結合の無い炭素面領域、
(2) 結合酸素により濡れ性が制御された酸素結合炭素面領域、
(3) 酸素結合、フッ素結合の無い炭素面領域を不活性ガスプラズマに暴露することで濡れ性が制御された炭素面領域、
(4) 結合フッ素により濡れ性が制御されたフッ素結合炭素面領域
のいずれかである請求項1記載の炭素膜。 - 前記濡れ性が異なる少なくとも2種類の面領域のうち少なくとも一つは水素を含有している請求項3記載の炭素膜。
- 炭素膜表面の全体にわたって濡れ性が次第に増加又は減少するように変化している請求項1から4のいずれかに記載の炭素膜。
- 請求項1から5のいずれかに記載の炭素膜で少なくとも一部が被覆された濡れ性制御膜被覆物品。
- 前記物品の少なくとも前記炭素膜で被覆された部分は有機高分子材料から形成されている請求項6記載の物品。
- 前記物品の少なくとも前記炭素膜で被覆された部分は金属、セラミックから選ばれた少なくとも1種の材料から形成されている請求項6記載の物品。
- 流体通路を有し、該流体通路の流体に接触する面の少なくとも一部が前記炭素膜で被覆されている請求項6、7又は8記載の物品。
- 他の物品と摺動する面を有し、該摺動面の少なくとも一部が前記炭素膜で被覆されている請求項6、7又は8記載の物品。
- 濡れ性が異なる少なくとも2種類の面領域を含む表面を有する濡れ性が制御された炭素膜の形成方法であり、
該炭素膜を形成する物品を準備する工程と、
該物品の少なくとも一部に表面濡れ性が異なる少なくとも2種類の炭素膜部分を形成することで濡れ性が異なる少なくとも2種類の面領域を含む表面を有する炭素膜を形成する工程と
を含むことを特徴とする濡れ性が制御された炭素膜の形成方法。 - 前記表面濡れ性が異なる少なくとも2種類の炭素膜部分のそれぞれは、炭素のほか、フッ素、水素、酸素のうち少なくとも1種の元素を含む請求項11記載の炭素膜の形成方法。
- 前記表面濡れ性が異なる少なくとも2種類の炭素膜部分それぞれの形成は、前記物品の該炭素膜部分形成対象領域に対応する透孔が形成されたマスクを該物品に対し配置して行う請求項11又は12記載の炭素膜の形成方法。
- 前記表面濡れ性が異なる少なくとも2種類の炭素膜部分それぞれの形成は、
(1) 表面に酸素結合、フッ素結合の無い炭素膜部分の形成、
(2) 表面濡れ性が結合酸素により制御された酸素結合炭素膜部分の形成、
(3) 表面に酸素結合、フッ素結合の無い炭素膜部分を形成し、該炭素膜部分表面を不活性ガスプラズマに暴露することによる表面濡れ性が制御された炭素膜部分の形成、
(4) 表面濡れ性が結合フッ素により制御されたフッ素結合炭素膜部分の形成
のいずれかにより行う請求項11記載の炭素膜の形成方法。 - 前記濡れ性が異なる炭素膜部分のうち少なくとも一つは水素を含有する請求項14記載の炭素膜の形成方法。
- 前記表面濡れ性が異なる少なくとも2種類の炭素膜部分それぞれの形成は、前記物品の該炭素膜部分形成対象領域に対応する透孔が形成されたマスクを該物品に対し配置して行う請求項14又は15記載の炭素膜の形成方法。
- 濡れ性が異なる少なくとも2種類の面領域を含む表面を有する濡れ性が制御された炭素膜の形成方法であり、
該炭素膜を形成する物品を準備する工程と、
該物品の少なくとも一部に表面に酸素結合、フッ素結合の無いベース炭素膜を形成する工程と、
該ベース炭素膜表面の複数の面領域のそれぞれに濡れ性制御処理を施こす工程とを含み、
該ベース炭素膜表面の複数面領域のそれぞれに対する濡れ性制御処理は、
(1) 該面領域をそのままの状態に維持する処理、
(2) 該面領域を酸素ガスプラズマに暴露する処理、
(3) 該面領域を不活性ガスプラズマに曝す処理、
(4) 該面領域に炭化水素化合物ガス及びフッ素含有ガスを含むガスのプラズマのもとでフッ素含有炭素膜部分を形成する処理、
(5) 該面領域に炭化水素化合物ガス及びフッ素含有ガスを含むガスのプラズマのもとでフッ素含有炭素膜部分を形成し、該膜フッ素含有炭素膜部分をさらにフッ素含有ガスプラズマに暴露する処理
(6) 該面領域をフッ素含有ガスのプラズマに暴露する処理
から選ばれた処理であることを特徴とする濡れ性が制御された炭素膜の形成方法。 - 前記ベース炭素膜表面の複数の面領域のそれぞれに対する濡れ性制御処理は濡れ性制御処理対象面領域に対応する透孔が形成されたマスクを該ベース炭素膜表面に対し配置して行う請求項17記載の炭素膜の形成方法。
- 前記物品は流体通路を有し、該流体通路の流体に接触する面の少なくとも一部に前記炭素膜を形成する請求項11から18のいずれかに記載の炭素膜の形成方法。
- 前記物品は他の物品と摺動する面を有し、該摺動面の少なくとも一部に前記炭素膜を形成する請求項11から18のいずれかに記載の炭素膜の形成方法。
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