JP2005319647A - 異種樹脂成形装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 一対の金型だけで済み、異なる樹脂同士の結合力を高めることができる異種樹脂成形装置を提供する。
【解決手段】 一次成形空間S1内で一次成形樹脂部品13を成形した後、そのままの金型1、2を利用して、拡張した二次成形空間S2内で、二次成形樹脂部品19を成形できるため、一対の金型1、2だけで済み、装置全体の小型化を図ることができる。また、アンカー部16を凹設するスライドコア7が設置されているため、一次成形樹脂部品13と二次成形樹脂部品19との熱溶着面積が拡大し、両者間の熱溶着力が高まる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、異なる種類の樹脂同士を結合して成形する異種樹脂成形装置に関するものである。
色、材質、強度等の異なる二種類の樹脂から成る一体製品を成形する場合は、まず最初に一対の金型内で一次樹脂材料による一次成形樹脂部品を成形し、その後、その一次成形樹脂部品を金型の一方に付着させた状態のまま、他方の金型を別の物に自動的に交換して型締めし、内部の成形空間内に二次樹脂材料を注入して、一次成形樹脂部品と一体化した二次成形樹脂部品を成形している。一次成形樹脂部品と二次成形樹脂部品とは、互いの樹脂成分の熱溶着により一体化される(例えば、特許文献1参照。)。
特開平6−106572号公報
しかしながら、このような従来の技術にあっては、金型の一方を自動的に別の金型に交換する必要があるため、装置全体の大型化を招く。また、一次成形樹脂部品と二次成形樹脂部品とが熱溶着力だけで結合されるため、例えば繊維フィラーを多く含む樹脂材料を用いる場合などは、表面に現れる樹脂の面積がその分減少し、互いの熱溶着力が低下して、一次成形樹脂部品と二次成形樹脂部品との結合力が低下するおそれがある。
本発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、一対の金型だけで済み、異なる樹脂同士の結合力を高めることができる異種樹脂成形装置を提供するものである。
請求項1記載の発明は、一次成形空間と、該一次成形空間よりも拡張した二次成形空間とを形成自在な一対の金型を備え、一次成形空間内で、一次樹脂材料をプレス成形又は射出成形することにより一次成形樹脂製品を成形自在で、一次成形樹脂部品を内部にセットした二次成形空間内で、一次樹脂材料とは異なる二次樹脂材料の射出成形を行うことにより、一次成形樹脂部品と熱溶着及び機械締結された二次成形樹脂部品を成形自在であると共に、金型の少なくとも一方に、一次成形樹脂部品の成形時において一次成形樹脂部品の二次成形樹脂部品と熱溶着される部位へ熱溶着面積を拡大するためのアンカー部を凹設するスライドコアが、設置されていることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、スライドコアが、一次成形樹脂部品と二次成形樹脂部品との間に機械的締結力も生じされるアンダーカット形状のアンカー部を形成可能であることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、一次樹脂材料又は二次樹脂材料の少なくとも一方が、繊維強化フィラー含有であることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、金型のいずれか一方に、一次成形樹脂部品にリベット孔を成形するスライドピンが設置され、金型の他方に、リベット孔を貫通して反対側に出る二次樹脂材料をリベット孔よりも大径のリベット頭部に成形するための空間を形成するリベット形成ピンが設置され、二次成形樹脂部品に一次成形樹脂部品のリベット孔に係合するリベット部を形成自在であることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、一次成形空間内で一次成形樹脂部品を成形した後、そのままの金型を利用して、拡張した二次成形空間内で、二次成形樹脂部品を成形できるため、一対の金型だけで済み、金型を交換する必要がない。そのため、装置全体の小型化を図ることができる。また、金型には一次成形樹脂部品にアンカー部を凹設するスライドコアが設置されているため、アンカー部において一次成形樹脂部品と二次成形樹脂部品との熱溶着面積が拡大し、両者間の熱溶着力が高まる。
請求項2記載の発明によれば、アンカー部がアンダーカット形状のため、熱溶着力に加えて、一次成形樹脂部品と二次成形樹脂部品との間に機械的締結力も生じる。
請求項3記載の発明によれば、一次樹脂材料又は二次樹脂材料の少なくとも一方が繊維強化フィラー含有であっても、アンカー部において一次成形樹脂部品と二次成形樹脂部品との熱溶着面積が拡大するため、両者間に十分な熱溶着力を確保することができる。
請求項4記載の発明によれば、二次成形樹脂部品に一次成形樹脂部品のリベット孔に係合するリベット部を形成することができるため、一次成形樹脂部品と二次成形樹脂部品との間に高い機械的締結力を発生させることができる。
一対の金型だけで済み、異なる樹脂同士の結合力を高めることができる異種樹脂成形装置を提供する、という目的を、一次成形空間と、該一次成形空間よりも拡張した二次成形空間とを形成自在な一対の金型を備え、一次成形空間内で一次樹脂材料をプレス成形又は射出成形することにより一次成形樹脂製品を成形自在で、一次成形樹脂部品を内部にセットした二次成形空間内で、一次樹脂材料とは異なる二次樹脂材料の射出成形を行うことにより、一次成形樹脂部品と熱溶着及び機械締結された二次成形樹脂部品を成形自在であると共に、金型の少なくとも一方に、一次成形樹脂部品の成形時において一次成形樹脂部品の二次成形樹脂部品と熱溶着される部位へ熱溶着面積を拡大するためのアンカー部を凹設するスライドコアが、設置されていることにより、実現した。
以下、本発明の一実施例を図1〜図13に基づいて説明する。
この実施例に係る異種樹脂成形装置は、図1に示すように、上型1と下型2を備えている。上型1と下型2の合わせはインローになっており、上型1を上下動させることにより、小さな一次成形空間S1と、拡張した二次成形空間S2を形成することができる。
上型1には、突出自在なシールブロック3とスライドピン4とがそれぞれ設置されている。下型2には、底面にエンボス溝5が形成されていると共に、スライドピン4に対応する位置に、スライドピン4よりも大径のリベット形成ピン6が設置されている。また、下型2の側面には両側にスライドコア7が設置されている。
図2は、下型2にセットされる一次成形樹脂部品となるブランク8を示している。このブランク8は、炭素繊維フィラーを含む強化樹脂材料(一次樹脂材料)製で、予め所定形状に裁断されている。このブランク8は、概略長方形状で、厚さ方向で貫通する2つの開口9と、4つのリベット孔10を有している。開口9は前記シールブロック3に対応し、リベット孔10は前記スライドピン4に対応する。
このブランク8を、反射板11にて囲んだ空間内において、複数のヒーター12で予め加熱して軟化させておく(図3)。そして、加熱軟化したブランク8を、下型2の底面にセットする(図4)。
次に、上型1を下降して、予めシールブロック3と、スライドピン4を、ブランク8の開口9とリベット孔10に挿入した状態にしておく。そして、上型1を更に下降させて下型2との間に一次成形空間S1を形成する(図5)。一次成形空間S1は、ブランク8よりも厚さが小さく、一次成形空間S1に圧縮することにより、ブランク8はスタンピングプレス成形され、一次成形空間S1に対応した一次成形樹脂部品13に成形される。従って、一次成形樹脂部品13には、エンボス溝5に相当したエンボス14が形成され、両側から上方へ押し出されるフランジ15が形成される。
更に、一次成形樹脂部品13を成形する際に、下型2の側面から押し出されたフランジ15に対してスライドコア7が所定寸法だけ横から突出する。従って、図10及び図11に示すように、フランジ15の途中にはスライドコア7にて押されたアンカー部16が凹設される。スライドコア7は、フランジ15の途中を押してアンカー部16を形成するため、フランジ15の先端15aはアンカー部16側へDだけ突出した状態となり、アンカー部16がアンダーカット形状となる。尚、スライドコア7を予め突出させた状態で、上型1を下降させても略同様のアンカー部16を形成することができる。
一次成形樹脂部品13にアンカー部16を形成した後、一次成形樹脂部品13を下型2に残した状態のまま、上型1を若干上昇させ、一次成形空間S1を二次成形空間S2に拡張する(図6)。一次成形空間S1内で一次成形樹脂部品13を成形した後、そのままの金型を利用して、拡張した二次成形空間S2を形成できるため、一対の下型2と上型1から成る金型だけで済み、金型を交換する必要がない。そのため、装置全体の小型を図ることができる。
上型1を上昇させて、二次成形空間S2を形成した際に、スライドピン4は完全に上型1内に収納する。シールブロック3は先端が開口9内に挿入された状態を維持する。リベット形成ピン6は下げた状態にして、リベット孔10の下方に空間17を形成しておく。
次に、二次成形空間S2内に、短繊維フィラーを含有した二次樹脂材料18を射出する。射出された二次樹脂材料18は、アンカー部16にも流入され、リベット孔10を通過してリベット形成ピン6にて形成された空間17内にも流入される(図7)。
二次成形空間S2内に注入された二次樹脂材料18は固化して二次成形樹脂部品19になる。リベット孔10を通過して空間17内で固化した二次樹脂材料18は、空間17に相当する部分をリベット孔10よりも大径のリベット頭部20としたリベット部21となる(図12)。
但し、リベット部21を固化する際に、冷却固化が遅くなる断面中央付近(リベット孔10相当)に、ボイド(空隙)Bが生じるおそれがある(図13に仮想表示)。そのため、リベット部21が固化する前に、リベット形成ピン6及びスライドピン4を若干突出させて、リベット孔10内の樹脂材料に圧力を加える(図8、図13)。そうすることによりボイドBの発生を抑制することができる。リベット形成ピン6とスライドピン4とは、必ずしも両方とも突出させる必要はなく、どちらか一方でもボイドBの発生を防止することができれば、一方だけでも良い。
二次成形空間S2内で二次成形樹脂部品19が固化した後、上型1を上昇させて型開きし、一次成形樹脂部品13と二次成形樹脂部品19とが互いに結合した製品22を取り出す。
この製品22は、一次成形樹脂部品13にアンカー部16を形成したことにより、一次成形樹脂部品13と二次成形樹脂部品19との熱溶着面積が拡大し、両者間の熱溶着力が高まる。従って、繊維強化フィラー含有の樹脂材料であっても、一次成形樹脂部品13と二次成形樹脂部品19との熱溶着力を高めることができる。
また、熱溶着だけでなく、アンカー部16がアンダーカット形状をしているため、二次成形樹脂部品19の端部はフランジ15の頭部15aと機械的に結合し、機械的締結力も発生する。更に、リベット部21も形成されているため、リベット部21によっても機械的締結力が発生する。しかも、リベット部21は内部にボイドの発生がないため強度が高く、機械的締結力が十分に高められた状態になっている。
以上の実施例では、一次成形空間S1で一次樹脂材料から成るブランク8をスタンピングプレス成形をする例を示したが、一次成形空間S1内に一次樹脂材料を射出成形しても良い。また、二次成形空間S2は、射出成形だけでなく、射出プレス成形を行っても良い。更に、金型は実施例のような縦方向での型開き・型締め構造だけでなく、横方向での型開き・型締め構造にしても良い。
また、ブランク8について炭素繊維フィラーを含む強化樹脂材料(一次樹脂材料)によるとして説明し、短繊維フィラーを含有した二次樹脂材料18として説明したが、炭素繊維フィラー或いは短繊維フィラーに限らず、短繊維のガラスフィラー(GF)、長繊維のガラスフィラー(LGF)、ランダム長繊維のガラスフィラー(RGF、GMTガラスマットサーモプラスチック)、ガラス繊維織物(TGF)、短繊維の炭素繊維(CF)、長繊維の炭素繊維(LCF)、ランダム長繊維の炭素繊維(RCF)、炭素繊維織物(TCF)、ステンレスの短繊維(SF)、ステンレスの長繊維(LSF)、アラミド繊維、アラミド繊維織物を含むものでも良い。更に、タルク、マイカ(雲母)、貝殻粉、植物繊維等を上記繊維と組み合わせても良い。これらの組合わせにより、使用用途に応じた物性値(曲げ弾性率、引っ張り破断点強度、Izod衝撃値など)が得られる。
本発明の一実施例に係る金型の構造を示す断面図。 図1の一次成形樹脂部品のブランクを示す平面図。 図2のブランクの加熱状態を示す断面図。 図1のブランクを下型にセットした状態を示す金型の断面図。 図4の上型を下降させて一次成形空間を形成した状態を示す金型の断面図。 図5の上型を上昇させて二次成形空間を形成した状態を示す金型の断面図。 図6の二次成形空間内に二次樹脂材料を注入した状態を示す金型の断面図。 図7のリベット形成ピン及びスライドピンでリベット孔内の樹脂材料に圧力を加えた状態を示す金型の断面図。 図8の状態から型開きして製品を取り出した状態を示す金型の断面図。 スライドコアを突出させた状態を示す図5の一部拡大断面図。 スライドコアを後退させてアンカー部を形成した状態を示す図6の一部拡大断面図。 図7の二次樹脂材料がリベット孔から空間内に流入した状態を示す拡大断面図。 図12のリベット形成ピン及びスライドピンでリベット孔内の樹脂材料に圧力を加えた状態を示す拡大断面図。
符号の説明
1 上型
2 下型
4 スライドピン
6 リベット形成ピン
7 スライドコア
10 リベット孔
13 一次成形樹脂部品
16 アンカー部
18 二次樹脂材料
19 二次成形樹脂部品
20 リベット頭部
21 リベット部
S1 一次成形樹脂部品
S2 二次成形樹脂部品

Claims (4)

  1. 一次成形空間(S1)と、該一次成形空間(S1)よりも拡張した二次成形空間(S2)とを形成自在な一対の金型(1、2)を備え、
    一次成形空間(S1)内で、一次樹脂材料をプレス成形又は射出成形することにより一次成形樹脂製品(13)を成形自在で、
    一次成形樹脂部品(13)を内部にセットした二次成形空間(S2)内で、一次樹脂材料とは異なる二次樹脂材料(18)の射出成形を行うことにより、一次成形樹脂部品(13)と熱溶着及び機械締結された二次成形樹脂部品(19)を成形自在であると共に、
    金型(1、2)の少なくとも一方に、一次成形樹脂部品(13)の成形時において一次成形樹脂部品(13)の二次成形樹脂部品(19)と熱溶着される部位へ熱溶着面積を拡大するためのアンカー部(16)を凹設するスライドコア(7)が、設置されていることを特徴とする異種樹脂成形装置。
  2. 請求項1記載の異種樹脂成形装置であって、
    スライドコア(7)が、一次成形樹脂部品(13)と二次成形樹脂部品(19)との間に機械的締結力も生じされるアンダーカット形状のアンカー部を形成可能であることを特徴とする異種樹脂成形装置。
  3. 請求項1又は請求項2記載の異種樹脂成形装置であって、
    一次樹脂材料又は二次樹脂材料(18)の少なくとも一方が、繊維強化フィラー含有であることを特徴とする異種樹脂成形装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の異種樹脂成形装置であって、
    金型(1、2)のいずれか一方に、一次成形樹脂部品(13)にリベット孔(10)を成形するスライドピン(4)が設置され、
    金型(1、2)の他方に、リベット孔(10)を貫通して反対側に出る二次樹脂材料(18)をリベット孔(10)よりも大径のリベット頭部(20)に成形するための空間(17)を形成するリベット形成ピン(6)が設置され、
    二次成形樹脂部品(19)に一次成形樹脂部品(13)のリベット孔(10)に係合するリベット部(21)を形成自在であることを特徴とする異種樹脂成形装置。
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