第1の発明は、略水平または斜めの回転中心軸を有する回転ドラムと、前記回転ドラムを内包する水受け槽と、前記回転ドラムを回転駆動するモータと、前記モータに流れる電流を検知する電流検知手段と、前記モータ及び一連の洗濯動作を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、洗濯動作中の前記モータの電流値により、前記回転ドラム内の洗濯物の状態を判定するもので、例えば、回転ドラム内の衣類が洗濯水に浮いて、機械力が正しく加えられていない状態と判定した時に、洗濯水量を減らすようにすれば、衣類の量、あるいは、布質に応じた最適な洗濯運転をすることができ、衣類の汚れを確実に落とすことができる。
第2の発明は、特に、第1の発明の制御手段は、モータ起動の所定時間経過後より、電流検知手段で検知したモータの電流値により、回転ドラム内の洗濯物の状態を判定するようにしたもので、モータ起動時の所定時間内の大きな起動電流を無視することにより、回転ドラム内での衣類の状態を、より正確に判定することができる。
第3の発明は、特に、第1又は第2の発明の制御手段は、電流検知手段が検知するモータの電流値が所定値以下の場合、回転ドラム内で洗濯物が空回り状態にあると判定するようにしたもので、衣類の状態に応じた洗濯運転を行うことが可能になり、衣類の汚れを確実に落とすことができる。また、モータに流れる電流値を検知することは、モータにかかる負荷状態を直接検知することと同等なので、モータ電流の絶対値の検知により、回転ドラム内の衣類の状態を正確で、かつ、簡単な方法で判定することができる。
第4の発明は、特に、第1又は第2の発明の制御手段は、電流検知手段が検知するモータの電流値の変動幅が所定値以下の場合、回転ドラム内で洗濯物が空回り状態であると判定するようにしたもので、衣類の状態に応じた洗濯運転を行うことが可能になり、衣類の汚れを確実に落とすことができる。また、回転ドラムの回転中のモータ電流値の変動幅が少ないということは、回転ドラム内の衣類が正しく回転していなと推測することができ、これにより回転ドラム内の衣類の回転状態をより正確に判定し、それにふさわしい洗濯を行うことができる。
第5の発明は、特に、第1又は第2の発明の制御手段は、電流検知手段が検知するモータの電流値が所定値以下で、かつ前記電流値の変動幅が所定値以下の場合、回転ドラム内で洗濯物が空回り状態であると判定するもので、より正確に回転ドラム内の衣類の回転状態を判定することができる。
第6の発明は、特に、第3〜5のいずれか1つの発明の水受け槽内の洗濯水を排水する排水手段を備え、制御手段が回転ドラム内で洗濯物が空回りしていると判定した場合、前記排水手段により、水受け槽内の洗濯水を所定量又は所定時間排水するようにしたもので洗濯物の空回り状態を確実に解消することができ、それにより衣類の汚れも確実に落とすことができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
本発明の第1の実施の形態における洗濯機について、図1〜図9を用いて説明する。
図1は、本実施の形態における洗濯機の概略断面図である。
図において、洗濯機機本体9は、水受け槽3と、その水受け槽3内に回転自在に配され回転ドラム1を内蔵している。回転ドラム1は、有底円筒形に形成され外周全面に多数の通水孔2を有している。回転ドラム1の回転中心に略傾斜方向に回転軸(回転中心軸)4を設け、回転ドラム1の軸心方向を正面側から背面側に向けて下向きに傾斜させて配設している。この回転軸4に、水受け槽3の背面に取り付けたモータ5を連結し、回転ドラム1を正転、逆転方向に回転駆動するようにしている。回転ドラム1の内壁面に数個の突起板6を設けている。
水受け槽3の正面側の上向き傾斜面に設けた開口部3aを蓋体7により開閉自在に覆い、この蓋体7を開くことにより衣類出入口8を通して回転ドラム1内に洗濯物を出し入れできるようにしている。蓋体7を上向き傾斜面に設けているため、洗濯物の出し入れは、腰を屈めることなく行うことができる。
水受け槽3は、洗濯機本体9よりばね体(図示せず)で揺動可能に吊り下げられており、水受け槽3の下部に排水経路10の一端を接続し、排水経路10の他端を排水弁(排水手段)11に接続して水受け槽3内の洗濯水を排水するようにしている。給水弁(給水手段)12は給水経路13を通して水受け槽3内に水を給水するためのものである。
なお、本実施の形態では、回転ドラム1の回転中心に略傾斜方向に回転軸4を設け、回転ドラム1の軸心方向を正面側から背面側に向けて下向きに傾斜させて配設しているが、回転ドラム1の回転中心に略水平方向に回転軸4を設け、回転ドラム1の軸心方向を略水平方向に配設してもよい。
次に、各電気部品を制御する制御装置14について、回路図を示す図2を用いて説明する。
図において、制御装置14は、モータ5、排水弁11、給水弁12などの動作を制御し、洗い、すすぎ、脱水の一連の行程を逐次制御するマイクロコンピュータからなる制御手段15を有している。制御手段15は、運転コース等を設定するための入力設定手段16からの情報が入力され、その情報を基に表示手段17で表示して使用者に知らせるとともに、入力設定手段16により運転開始が設定されると、水受け槽3内の水位を検知する水位検知手段18等からのデータを受けて、スイッチング手段駆動回路19を介してスイッチング手段20を制御し、排水弁11、給水弁12などの動作を制御し、洗濯運転を行う。
このとき、制御手段15は、モータ5のロータ(図示せず)の位置を検出する位置検出手段21からの情報に基づいて、インバータ駆動回路22を介してインバータ23を制御することによりモータ5を回転制御するようにしている。モータ5は直流ブラシレスモータで、図示していないが、3相巻線を有するステータと、リング上に2極の永久磁石を配設しているロータとで構成し、ステータは、3相巻線を構成する第1の巻線5a、第2の巻線5b、第3の巻線5cをスロットを設けた鉄心に巻き付けて構成している。
インバータ23は、パワートランジスタ(IGBT)と逆導通ダイオードの並列回路からなるスイッチング素子で構成している。第1のスイッチング素子23aと第2のスイッチング素子23bの直列回路と、第3のスイッチング素子23cと第4のスイッチング素子23dの直列回路と、第5のスイッチング素子23eと第6のスイッチング素子23fの直列回路で構成し、各スイッチング素子の直列回路は並列接続されている。
ここで、各スイッチング素子の直列回路の両端は入力端子で直流電源が接続され、各スイッチング素子の直列回路を構成する2つのスイッチング素子の接続点に、それぞれ出力端子を接続している。出力端子は、3相巻線のU端子、V端子、W端子の夫々に接続され、スイッチング素子の直列回路を構成する2つのスイッチング素子のオン・オフの組合せにより、U端子、V端子、W端子をそれぞれ正電圧、零電圧、解放の3状態にする。
スイッチング素子のオン・オフは、ホールICからなる3つの位置検出手段21a、21b、21cからの情報に基づいて制御手段15により制御される。位置検出手段21a、21b、21cは電気角で120度の間隔でロータが有する永久磁石に対向するように、ステータに配設されている。
ロータが1回転する間に、3つの位置検出手段21a、21b、21cは、それぞれ電気角で120度の間隔でパルスを出力する。制御手段15は、3つの位置検出手段21a、21b、21cのいずれかの信号の状態が変わったときを検知し、位置検出手段21a、21b、21cの信号を基に、スイッチング素子23a〜23fのオン・オフ状態を変えていくことで、U端子、V端子、W端子を正電圧、零電圧、解放の3状態にし、ステータの第1の巻線5a、第2の巻線5b、第3の巻線5cに通電して磁界を作り、ロータを回転させるようにしている。
また、スイッチング素子23a、23c、23eはそれぞれパルス幅変調(PWM)制御され、例えば、繰り返し周波数10kHzでハイ、ローの通電比を制御することで、ロータの回転数を制御するようにしてあり、制御手段15は、3つの位置検出手段21a、21b、21cのいずれかの信号の状態が変わるたびにその周期を検出し、その周期よりロータの回転数を算出して、設定回転数になるようにスイッチング素子23a、23c、23eをPWM制御する。
電流検知手段24は、インバータ23の一方の入力端子に接続した抵抗25と、この抵抗25に接続した電流検知回路26とで構成され、インバータ23の入力電流、すなわちモータ5の電流を検知して、それを電圧信号に変換し、その電圧信号を制御手段15に入力している。また、制御手段15は、入力した電圧信号をA/D変換してデジタルデータとして演算処理し、モータ5を制御するようにしている。
モータ5が直流ブラシレスモータの場合は、トルクは入力電流にほぼ比例するので、抵抗25に接続した電流検知回路26により、インバータ23の入力電流値を検知することで、モータ5のトルクを検知することができる。
布量検知手段27は、回転ドラム1内の洗濯物の量を検知するもので、回転ドラム1を所定回転数(例えば、200r/min)に立ち上げるときの電流検知手段24からの信号により回転ドラム1内の洗濯物の量を検知するようにしている。
商用電源28は、ダイオードブリッジ29、チョークコイル30、平滑用コンデンサ31からなる直流電源変換装置を介して、インバータ23に接続している。ただし、これは一例であり、直流ブラシレスモータ5の構成、インバータ23の構成等は、これに限定されるものではない。
次に、図3を用いて、入力設定手段16、表示手段17の一例について説明する。
入力設定手段16として、図3に示すように、洗い時間を設定する洗い時間設定スイッチ16a、すすぎ回数を設定するすすぎ回数設定スイッチ16b、脱水時間を設定する脱水時間設定スイッチ16c、コース設定スイッチ16d、スタート・一時停止スイッチ16e、電源入りスイッチ16f、電源切りスイッチ16gなどを有し、表示手段17は、洗い時間表示部17a、すすぎ回数表示部17b、脱水時間表示部17c、コース設定表示部17d、洗剤量表示部17e、残り時間表示部17f、数字表示部17gなどを有している。
ここで、制御手段15は、水受け槽内3に水を溜めた状態で、回転ドラム1を回転させ、回転ドラム1内の洗濯物に、機械力を加える洗浄(洗い)行程を行う。洗濯物を、回転力、摩擦力を加えることにより、洗濯物に付着した汚れを落とす。
また、制御手段15は、洗浄工程中、布量検知手段27で検知した洗濯物の量に応じた洗濯水量の水を給水弁12を駆動して水受け槽内3に給水する。
この時の、水受け槽内3の水位は、水位検知手段18により検知する。布量検知手段27で検知した洗濯物の量に基づいて、表1に示すように、水受け槽内3に給水する水位を設定するようにする。
布量が多いと検知した場合は、より多くの洗濯水で洗浄動作を行うほうが、汚れが落ちやすく、また、布量が少ないと検知した場合は、少ない洗濯水で洗浄動作しても、汚れは落ちるのでこのような水位設定にしている。
また、制御手段15は、洗浄工程中に電流検知手段24が検知するモータ電流値により、水受け槽3内の洗濯物の回転状態を検知することができる。モータ5が直流ブラシレスモータの場合、モータ5にかかるトルクはモータ電流値に比例するので、制御手段15に入力されるモータ5の電流値が大きいければ、モータに大きい負荷(トルク)がかかっている状態であり、また、モータ5の電流値が小さければ、モータ5には少ない負荷(トルク)しかかかっていないことになる。
モータ電流値が大きい場合は、水受け槽3内の洗濯物の量が実際に多い(例えば、6kg〜8kg程度の量)か、あるいは、洗濯物の量として多くはない(例えば、2kg〜3kgの量)が洗濯水を吸水しやすい洗濯物(綿製など)を洗濯している等と推測することができる。洗濯水を吸水しやすい洗濯物は、実際の布量に加えて、多くの洗濯水を吸水し重い状態になっているので、これを回転させようとした場合、モータには大きいトルクが必要である。
モータ5の電流値が小さい場合は、水受け槽3内の洗濯物が少ないか(例えば、2kg以下)、あるいは、洗濯物が洗濯水に浮いた状態で洗濯されている等と推測することができる。洗濯物が洗濯水に浮く状態とは、回転ドラム1を回転させても、突起板6と洗濯物が触れなく、回転ドラム1だけが回転して、洗濯物は洗濯水の水面上に浮いている状態のことである。この状態になると、洗濯物に機械力が加わりにくくなり、汚れ落ちが悪くなる場合がある。
このような洗濯物が洗濯水に浮いた状態は、洗濯物の量に対して、最適量以上の洗濯水を水受け槽3内に給水した場合や、化繊等の水を吸水しにくい洗濯物を洗濯しようとした場合等で発生する。しかし、回転ドラム1内の洗濯物の量が多くても、モータ5の電流値が小さくなる例外的な場合もある。回転ドラム1の回転と同期して、洗濯物がそのまま回転する場合等である。回転ドラム1と共に、洗濯物が回転すると、洗濯物の状態が保たれたまま回転するので、モータ5にかかる負荷は少なくなり、モータ5の電流値は小さくなる。この様な状態は、洗濯物の量が多ければ必ず発生するわけではなく、回転ドラム1内への洗濯物の入れ方、また布質によって変化する。
このように、洗浄工程中、モータ5の電流値により、回転ドラム1内での洗濯物の回転状態を推測することができる。また、洗濯運転開始時に、布量検知手段27が検知する洗濯物の量の条件を加味することにより、より正しく回転ドラム1内の洗濯物の回転状態を推測することができる。布量検知手段27(水位は、表1で示したように布量に応じて変えている)の検知とモータ5の電流値により、回転ドラム1内の洗濯物の回転状態を表2に示すように推測することができる。
洗濯物の汚れ落ちが低下するであろう、洗濯物の浮き状態の検知が、洗濯物の回転状態検知では特に重要である。この状態を検知することで、洗濯物の浮き状態を改善する制御を行い、洗濯物の汚れをよりよく落とすことができるからである。前述のように、洗濯物が洗濯水に浮く条件としては大きく2つの条件がある。1つ目は、洗濯物の量に対して、最適量以上の洗濯水を水受け槽3内に給水した場合であり、2つ目は、化繊等水を吸水しにくい繊維からなる濯物を洗濯しようとした場合である。洗濯物の量に対して、モータの電流値が小さいことが、この2つの条件にあてはまる。そこで表2に示す斜線の部分が、洗濯物が洗濯水に浮いている状態であると判定するようにする。
1つ目の条件は、布量検知手段27の検知精度により、発生頻度が大きく影響する。例えば、布が少量(0kg〜2kg程度)にも関わらす、2〜4kg程度と判定し、表1に示したように、洗濯水を100mmまで給水すると、0kg〜2kgの洗濯物の量に対して、水量が多すぎ、洗濯物が洗濯水に浮いてしまう。このように、布量検知手段27の検知精度を考慮にいれて、布量が2〜4kgと検知されても、モータ電流値が小さい場合は、洗濯物が洗濯水に浮いている状態であると判定する。
2つ目の条件は、布量0〜2kg程度の化繊等の衣類で発生する場合が多く、この布量の領域のモータ電流値を検知することで判定できる。すなわち、布量0〜2kg以下で、モータの電流値が所定値以下の場合が浮いていると判定することができる。
また、制御手段15は、洗浄工程中に、電流検知手段24が検知するモータ電流値の変動により、水受け槽3内の洗濯物の回転状態を判定することができる。モータ5が直流ブラシレスモータの場合、モータ5にかかるトルクはモータ電流値に比例するので、制御手段15に入力されるモータ5の電流値が大きいければ、モータ5に大きい負荷(トルク)がかかっている状態であり、また、モータ5の電流値が小さければ、モータ5には少ない負荷(トルク)しかかかっていないことになる。これより、回転中のモータ電流の変化により、洗濯物の回転状態を判定することができる。図4に示すように、振幅値により判定できる。
図4に示すような、モータ電流値の変化が少ない場合は、モータ5にかかる負荷状態の変化が少ないことと同等であるので、回転ドラム1内の衣類が、一定状態で回転しているか、あるいは、前記したような、洗濯水に洗濯物が浮いて、回転ドラム1のみが回転している状態である。回転ドラム1の回転と同期して、モータ電流値に大きな振幅がある場合は、回転ドラム1内の洗濯物が正しく回転して、洗浄動作が行われている状態である。このように、回転ドラム1の回転に同期した、モータ電流値の振幅の大きさを検知することにより、洗濯物の回転状態を検知することができ、特に、洗浄運転で重要な、洗濯水に洗濯物が浮いている状態も検知することができる。洗濯物の量と電流振幅値と回転状態の相関を表3に示す。
また、制御手段15は、洗浄工程中に、前記したモータ電流値の絶対値と、モータ電流の振幅の大きさを両方検知することで、より正確に回転ドラム1内の衣類の状態を判定することができる。更に、洗濯水に洗濯物が浮いた状態は、モータ電流値の絶対値が小さく、しかも、振幅の大きさも小さいという条件を2つ合わせることで、より正確に検知することができる。なぜなら、振幅の大きさが小さい場合でも、モータ電流値の絶対値が所定値以上なら、洗濯物が回転ドラム1に張り付いて回転している場合があり、また、モータ電流値の絶対値が所定値以下でも、振幅の大きさが所定値以上の場合は、少量の洗濯物が回転して洗浄されている状態があるからである。
制御手段15は、電流検知手段24により、洗浄工程中に、回転ドラム1内の洗濯物が洗濯水に浮いている状態を検知した場合は、洗濯水が最適量になるように、排水弁11により、水受け槽3内の洗濯水を所定量排水する。排水する量は、水位検知手段18が検知する水位で制御し、例えば150mmから100mmまで、約50mm排水するか、あるいは、現在の水位に応じて、表4に示すように所定時間だけ排水するかである。
また、排水動作後も、電流検知手段24が検知するモータ5の電流値により、再度洗濯物が洗濯水に浮いていることを検知するように、排水弁11により洗濯水を水受け槽3内から排水するようにする。こうすることで、1回の排水動作で、洗濯物の空回り状態を修正できない場合でも、複数回排水動作を行うことで、確実に空回り状態を修正することができる。2回目以降の排水制御方法も同様に、水位検知手段18が検知する水位で排水弁を制御し、例えば100mmから80mmまで排水するようにする。また、同様に所定時間排水弁11を動作させて、所定時間洗濯水を排水するようにする。所定時間排水する場合は、排水する状態等により排水量が変わるので、水受け槽3の洗濯水が全部なくらならにように、表5に示すように排水する回数に上限を設けておく。
上記構成において図5〜図9を参照しながら動作を説明する。回転ドラム1内に洗濯物を投入し、電源入りスイッチ16fをオンし、コース設定スイッチ16dにより洗濯物の種類に応じて運転コースを選択入力した後、ステップ100で、スタート・一時停止スイッチ16eをオンして動作を開始する。最初に、ステップ101で、制御手段15は回転ドラム1を回転させて、布量検知手段27により回転ドラム1内の洗濯物の量を検知する。
ステップ102で、検知した布量を2kg毎に、ランク0〜4まで設定する。0〜2kgをランク0、2〜4kgをランク1、4〜6kgをランク2、6〜8kgをランク3にする。そして、検知した洗濯物の量に応じて、洗剤量を洗剤量表示部17eと数字表示部17gに表示するとともに、以降の洗濯運転を行う。例えば、洗い行程中に、水受け槽3内に給水する水量(水位で制御)を、表1のように、検知した布量に応じて設定する。
ステップ103から、洗い行程を開始する。ステップ103で、給水弁12をオンして、表1に示す設定水位まで、水受け槽3内に洗濯水を給水する。布量が多い場合は、水位を高く、少ない場合は低い水位を設定する。ステップ104で、モータ5を駆動して回転ドラム1を回転させ、洗い(洗浄)動作を開始する。洗浄動作中は、モータ5を図9に示すようなタイミングチャートで左右駆動し、回転ドラム1を回転させる。
ステップ105で、モータの起動を開始し、ステップ106で起動開始から所定時間(例えば3秒)経過したかを判定する。所定時間経過したら、ステップ106に進み、電流検知手段24によりモータ5の電流を検知する。モータ5の起動時は、モータ5を定常状態で回転させる時よりも、より大きいトルク(起動トルク)が必要なためより多くの電流が流れる。モータ5の回転中、起動からの経過時間と、モータ5に流れる電流値との関係を図4に示す。起動から所定時間(3秒)は、モータに流れる電流にはオーバーシュートがあり、電流が落ち着くまでには所定時間(3秒)必要である。
このオーバーシュートの大きさと時間は、モータ5の起動制御方法により、異なるので、電流が落ち着くまでの所定時間も起動制御の方法で変化する。この所定時間は、制御方法の決定後、実験等から求め設定する。モータ5の回転中に、回転ドラム1内の洗濯物がどのような状態で回転しているかを検知しようとした場合、この起動制御中の電流値を検知しても、必ずしも、回転ドラム1内の洗濯物の回転状態を検知したことにはならないので、起動から所定時間経過するまでは、モータ5の電流値を検知しないようにする。
ステップ107で、モータ5の回転中に流れる平均電流値(Imo_avg)を検出する。モータ5に流れる電流値は、様々条件(検知回路へのノイズ、洗濯物の極小的な回転状態の変化)で、瞬間的に変化する場合がある。また、図4に示すように、回転ドラム1の回転周期に応じて、モータ5に流れる電流値も同期して(1回転すれば、洗濯物は元の状態に戻る)変化するので、所定時間中(例えば2秒、またはモータ1回転当たりの時間等)の平均電流値により回転ドラム1内の洗濯物の回転状態を判断するようにする。
平均電流値(Imo_avg)の検出方法を図6のフローチャートで説明する。ステップ120でモータ5の電流を検知するタイミングであるかを判定する。例えば、0.1秒毎に検知するとしたら、前回の検知から0.1秒経過したかを判定し、0.1秒経過したと判定した場合は、ステップ121に進みモータ5に流れる電流を検知する。0.1秒経過以前は、今回は電流検知しないとしてステップ127に進み、このサブルーチンを終了する。
ステップ121で、電流検知手段24が検知するモータ5の電流値に相当する電圧信号を制御手段16に入力し、制御手段16はこの入力電圧信号よりモータ電流値Imoを求める。ステップ122で、制御手段16は、平均電流値を算出するためのモータ電流値積算Isumに今回検知したモータ電流値Imoを積算する。この時、積算した回数をカウントする積算カウントCtのカウント数を+1する。ステップ123で、平均電流値を算出するタイミングかを判定する。
例えば前記したように2秒間隔で平均電流値を求めるとするならば、前回平均電流値を算出してから2秒経過したかを判定し、2秒経過したならば、ステップ124に進みモータ平均電流値Imo_avgを算出する。2秒経過していなければ、ステップ127に進み、このサブルーチンを終了する。
ステップ124では、モータ電流値積算Isumと積算カウントCtからモータ平均電流値Imo_avgを算出する。算出方法は、Imo_avg=Isum/Ctである。ステップ124でモータ平均電流値Imo_avgの算出後、ステップ125で、次回モータ平均電流値を算出するために、モータ電流値積算Isumと積算カウントCtをクリアする。ステップ126で、モータ平均電流値が算出させて、少量検知を行うタイミングであることを示す、少量検知1タイミングFをセットする。そして、このサブルーチンを終了する。
平均電流値の図6のフローチャート終了後、再び図5のフローチャートに戻りステップ108で少量検知1判定を行う。少量検知1判定のフローチャートは図7に示す。ステップ130で、少量検知終了Fがセットされているかを判定する。少量検知終了Fがセットされている場合は、既に洗濯物の少量状態を検知し、水受け槽内3内の洗濯水を所定回数排水し、洗濯物が洗濯水に浮く状態を修正している時であり、すなわち、再度少量検知を行わないことを示している。
少量検知終了Fがセットされている場合は、ステップ142に進み、このサブルーチンを終了し、少量検知終了Fがセットされていない場合は、ステップ131に進む。ステップ132では、洗濯物の少量状態を検知し、その修正のために排水動作を現在行っているかを判定する。現在排水動作を行っている場合は、少量排水中Fがセットされており、この間少量状態を検知する必要はないので、ステップ142に進みこのサブルーチンを終了する。
排水中でない場合は、ステップ132で、少量検知1タイミングFがセットされているかを判定する。この少量検知1タイミングFは、前記したように、モータ平均電流値Imo_avgが算出されたことを示すフラグであり、フラグがセットされていれば、新たなモータ平均電流値Imo_avgが算出されたので、少量検知1を行うためにステップ133に進む。
ステップ133では、次回の検知のために少量検知1タイミングFをクリアし、ステップ134で、少量検知1の検知総数を示す(モータ平均電流値Imo_avgが算出された全ての回数)検知総数CTを+1する。ステップ135で、今回算出されたモータ平均電流値Imo_avgが所定電流値(例えば、ピーク電流値で1.0A)以下であるかを判定する。洗濯物が洗濯水に対して少なくて洗濯水に浮いている場合は、前記したように、モータ5にかかる負荷(トルク)は少なくなり、モータ5に流れる電流値も少なくなる。そこで、モータ平均電流値Imo_avgが所定電流値以下であることは、洗濯物が洗濯水に浮いていると判定するのと同等である。所定電流値以下と判定した場合は、ステップ136で少量検知CTを+1する。
ステップ137で検知総数CTが所定検知回数(例えば、20回)以上であるかを判定する。洗濯物の回転状態によって、モータ平均電流値の振幅は上下するので、例えば1回(2秒間)だけの電流値をもって洗濯物が洗濯水に浮いているかを判定するのは無理であり、誤検知する恐れがある。そこで、例えば20回(モータ:30r/min速度で、2秒間隔で検知した場合は回転ドラムの20回転に相当)で検知するようにした場合、より正確に回転ドラム1内の洗濯物の回転状態を検知することができる。所定検知回数、検知を行った場合は、ステップ138で洗濯物が洗濯水に浮いているかを判定し、所定検知回数、検知をしていない場合は、このサブルーチンを終了し、引き続き検知を継続する。
ステップ138で少量検知CTが所定値以上(例えば19回)であるか判定する。検知総数に対して、所定回数以上モータ平均電流値が所定値以下の場合、洗濯物が洗濯水に浮いていると判定する。検知誤差等を考慮に入れて、例えば検知総数20回に対して、19回以上モータ平均電流値が所定値以下の場合、洗濯物が洗濯水に浮いていると判定することにする。検知した場合は、ステップ139で、少量Fをセットし、検知しなかった場合は、ステップ139を跳ばし、ステップ140に進む。ステップ140、ステップ141で、次回の少量検知のため、少量検知CTと検知総数CTをクリアする。
少量検知1判定終了後、図5のフローチャートに戻り、ステップ109の排水制御処理を行う。排水制御処理は、図8のフローチャートに示す。少量検知をした場合は、前記したように、水受け槽3内の洗濯水を所定量排水し、洗濯物が洗濯水に浮いている状態を修正する。
ステップ150で、少量検知終了Fがセットさせているかを判定し、少量検知終了Fがセットさせている場合は、排水制御処理を終了させる。ステップ151では、少量排水中Fがセットされているか判定し、少量状態を検知し現在排水中の場合は、引き続き排水動作を行うため、ステップ156に進み、現在排水中でない場合は、ステップ152に進み少量Fがセットされているかを判定する。少量Fがセットされている場合は、排水動作を開始するために、ステップ153以降の処理を行い、少量Fがセットされていない場合は、排水制御サブルーチンを終了する。
ステップ153で、少量Fをクリアし、ステップ154で、現在排水中であることを示す少量排水中Fをセットする。そして、ステップ155で、制御手段15により排水弁11を動作させ、排水動作を開始する。ステップ156では、排水弁11の駆動を継続し、排水動作を行い、ステップ157で、排水時間である第3の所定時間経過したかを判定し、経過した場合は排水動作を終了する。
第3の所定時間は、表5に示すように、布量検知手段27により決定された布量に応じて設定するようにする。例えば、布量が多いと判定されて、高い水位まで給水されている場合は、より多くの洗濯水を排水する必要があるので、30秒間排水するように第3の所定時間を設定し、布量が少ないと判定した場合は、多くの洗濯水を排水しすぎると洗濯水が無くなって洗い動作ができなくなる恐れがあるので、少なめな時間10秒間排水するように第3の所定時間を設定する。
第3の所定時間経過後は、排水動作終了後、ステップ158で少量検知により何回排水制御が行われたかをカウントする排水CTを+1し、ステップ159で、少量排水中Fをクリアする。ステップ160で、排水CTが所定回数以上(表4に示すように布量に応じて設定)であると判定した場合は、ステップ161で、今後少量検知を行わないことを示す少量検知終了Fをセットする。1回の排水制御だけでは、洗濯物が洗濯水に浮いている状態を解消できない場合があるので、何回か排水動作を分けて行うため、このようなことを行う。また、上限の回数を設定するのは、排水しすぎて、洗い動作が行われなくなるのを防ぐためである。これで、排水制御サブルーチンを終了し、再び図5のフローチャートのステップ110に戻る。
再び、図5のフローチャートにより説明する。ステップ110で、モータ5を駆動する時間が経過したかを判定する。前記したように、洗い動作は、図9に示すタイミングチャートでモータを左右駆動して行うので、その1回あたりの駆動動作が経過したかを判定する。駆動時間が終了していない場合は、ステップ107に戻り再び、少量検知を行い、駆動時間が終了した場合は、モータ5を一端オフさせるためにステップ110に進みモータ5をオフする。モータ5のオフ時間が経過したことをステップ112で検知したら、ステップ113で洗い動作(例えば30分間)の終了時間になったかを判定し、終了時間になった場合は、ステップ114に進み次工程(排水しすすぎ等)を行う。終了時間になっていない場合は、再度ステップ105に戻り、モータ5を起動させ洗い動作を継続するとともに、洗濯物が洗濯水に浮いていないかどうかの検知を行う。
このように、洗濯動作中に、電流検知手段24が検知するモータ5の電流値で、回転ドラム1内の洗濯物が少量で、しかも、回転ドラム1内で空回り状態であることを検知するようにし、しかも、その後、水受け槽3内の洗濯水を所定量排水するようにしたので、洗濯物の状態に応じた洗濯運転を行うことが可能になり、衣類の汚れを確実に落とすことができるものである。
(実施の形態2)
本発明の第2の実施の形態における洗濯機について、図10〜図12を用いて説明する。なお、上記第1の実施の形態と同一部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
本実施の形態は、回転ドラム1内の洗濯物の回転状態を、電流検知手段24が検知するモータ5の電流値の振幅で判定するようにしたもので、以下に、図10〜図12を参照しながら動作を説明する。
回転ドラム1内に洗濯物を投入し、電源入りスイッチ16fをオンし、コース設定スイッチ16dにより洗濯物の種類に応じて運転コースを選択入力した後、ステップ200で、スタート・一時停止スイッチ16eをオンして運転を開始する。最初に、ステップ201で、制御手段15は回転ドラム1を回転させて、布量検知手段27により回転ドラム1内の洗濯物の量を検知する。ステップ202で、検知した布量を2kg毎に、0〜2kgをランク0、2〜4kgをランク1、4〜6kgをランク2、6〜8kgをランク3と、4つのランクに分ける。
そして、検知した洗濯物の量に応じて、洗剤量を洗剤量表示部17eと数字表示部17gに表示するとともに、以降の洗濯運転を行う。例えば、洗い行程中に、水受け槽3内に給水する水量(実際は水位で制御する)を、表1のように、検知した布量に応じて設定する。ステップ203から、洗い行程を開始する。
ステップ203で、給水弁12をオンして、表1に示す設定水位まで、水受け槽3内に洗濯水を給水する。布量が多い場合は、水位を高く、少ない場合は低い水位を設定する。ステップ204で、モータ5を駆動して回転ドラム1を回転させ、洗い(洗浄)動作を開始する。洗浄動作中は、モータ5を図9に示すようなタイミングチャートで左右駆動し、回転ドラム1を回転させる。
ステップ205で、モータ5を起動し、ステップ206で起動開始から所定時間(例えば3秒)経過したかを判定する。所定時間経過したら、ステップ207に進み、電流検知手段24によりモータ5の電流を検知する。モータ5の起動時は、モータ5を定常状態で回転させる時よりも、より大きいトルク(起動トルク)が必要なためより多くの電流が流れる。
モータ5回転中、起動からの経過時間と、モータ5に流れる電流値との関係を図4に示す。起動から所定時間(3秒)は、モータに流れる電流にはオーバーシュートがあり、電流が落ち着くまでには所定時間(3秒)必要である。このオーバーシュートの大きさと時間は、モータ5の起動制御方法により異なるので、電流が落ち着くまでの所定時間も起動制御の方法で変化する。この所定時間は、制御方法の決定後、実験等から求め設定する。モータ5の回転中に、回転ドラム1内の洗濯物がどのような状態で回転しているかを検知しようとした場合、この起動制御中の電流値を検知しても、必ずしも、回転ドラム1内の洗濯物の回転状態を検知したことにはならないので、起動から所定時間経過するまでは、モータ5の電流値を検知しないようにする。
ステップ207で、モータ5に流れる電流値の電流振幅(Imo_amp)を検出する。回転ドラム1の回転周期に応じて、モータ5に流れる電流値も同期して(1回転すれば、洗濯物は元の状態に戻る)変化するので、所定時間中(例えば2秒、またはモータ1回転当たりの時間等)のモータ電流値の最大値と最小値の差により回転ドラム1内の洗濯物の回転状態を判断するようにする。
電流振幅(Imo_amp)の検出方法を図11のフローチャートで説明する。
ステップ220でモータ5の電流を検知するタイミングであるかを判定する。例えば、0.1秒毎に検知するとしたら、前回の検知から0.1秒経過したかを判定し、0.1秒経過したと判定した場合は、ステップ221に進み電流を検知する。0.1秒経過以前は、今回は電流検知しないとしてステップ228に進み、このサブルーチンを終了する。
ステップ221で、電流検知手段24が検知するモータ5の電流値に相当する電圧信号を制御手段15に入力し、制御手段15はこの入力電圧信号よりモータ電流値Imoを求める。ステップ222で、制御手段15は、電流値の振幅を算出するためのモータ電流値の最大値Imo_maxを書き換える。今まで検出したモータ電流値の最大値Imo_maxと今回検知したモータ電流値Imoを比較して、最大値Imo_max以上なら、今回検知したモータ電流値Imoを新しいモータ電流値の最大値Imo_maxとする。
ステップ223で、制御手段15は、電流値の振幅を算出するためのモータ電流値の最小値Imo_minを書き換える。今まで検出したモータ電流値の最小値Imo_minと今回検知したモータ電流値Imoを比較して、最小値Imo_min以下なら、今回検知したモータ電流値Imoを新しいモータ電流値の最小値Imo_minとする。
ステップ224で、電流振幅値を算出するタイミングかを判定する。例えば前記したように2秒間隔で電流振幅値を求めるとするならば、前回電流振幅値を算出してから2秒経過したかを判定し、2秒経過したならば、ステップ225に進み電流振幅値Imo_amp(=Imo_max−Imo_min)を算出する。
2秒経過していなければ、ステップ228に進み、このサブルーチンを終了する。2秒間隔で電流振幅値を検知する理由は、回転ドラム1(モータ)を30r/minで回転制御させた場合、2秒が回転ドラム1を1回転させるのに必要な時間であり、2秒間の電流振幅が、回転ドラム1内の洗濯物の回転状態をそのまま表すことになる。
ステップ226で、次回モータ電流の電流振幅を算出するために、モータ電流の最小値Imo_minと最大値Imo_maxをクリアする。そして、ステップ227で、モータ電流の電流振幅値が算出させて、少量検知を行うタイミングであることを示す、少量検知2タイミングFをセットする。そして、このサブルーチンを終了する。
電流振幅値を算出する図11のフローチャート終了後、再び図10のフローチャートに戻りステップ208で少量検知2判定を行う。少量検知2判定のフローチャートは図12に示す。
ステップ230で、少量検知終了Fがセットされているかを判定する。少量検知終了Fがセットされている場合は、既に洗濯物の少量状態を検知し、水受け槽内3内の洗濯水を所定回数排水し、洗濯物が洗濯水に浮く状態を修正している時であり、すなわち、再度少量検知を行わないことを示している。少量検知終了Fがセットされている場合は、ステップ242に進み、このサブルーチンを終了し、少量検知終了Fがセットされていない場合は、ステップ231に進む。ステップ232では、洗濯物の少量状態を検知し、その修正のために排水動作を現在行っているかを判定する。現在排水動作を行っている場合は、少量排水中Fがセットされており、この間少量状態を検知する必要はないでの、ステップ242に進みこのサブルーチンを終了する。排水中でない場合は、ステップ232で、少量検知2タイミングFがセットされているかを判定する。
この少量検知2タイミングFは、前記したように、モータ電流の電流振幅値Imo_ampが算出さたことを示すフラグであり、フラグがセットされていれば、新たな電流振幅値Imo_ampが算出されたので、少量検知2を行うためにステップ233に進む。
ステップ233では、次回の検知のために少量検知2タイミングFをクリアし、ステップ234で、少量検知2の検知総数を示す(電流振幅値Imo_ampが算出された全ての回数)検知総数CTを+1する。ステップ235で、今回算出された電流振幅値Imo_ampが所定電流値(例えば、0.5A)以下であるかを判定する。洗濯物が洗濯水に対して少なくて洗濯水に浮いている場合は、前記したように、モータにかかる負荷(トルク)は少なく、しかも、回転ドラム1(モータ5)が1回転する間の負荷変動も小さくなる。つまり、洗濯物の負荷を受けずに空回り状態であることと、モータ電流の振幅値が所定値以下になることとが同等の状態である。そこで、電流振幅値Imo_ampが所定電流値以下であるかは、洗濯物が洗濯水に浮いていると判定し、ステップ236に進み少量検知CTを+1する。
ステップ237で検知総数CTが所定検知回数(例えば、20回)以上であるかを判定する。検知精度を向上するために、複数回検知して、その検知総数に対して、ある一定回数以上ならば、本当に洗濯物が洗濯水に浮いていると判定するようにする。所定回数検知するまでは、引き続き検知を継続するため、ステップ242に進み、このサブルーチンを終了する。
ステップ238で少量検知CTが所定値以上(例えば19回)であるか判定する。検知総数に対して、所定回数以上電流振幅値が所定値以下の場合、洗濯物が洗濯水に浮いていると判定する。検知した場合は、ステップ239で、少量Fをセットし、検知しなかった場合は、ステップ239を跳ばし、ステップ240に進む。ステップ240、ステップ241で、次回の少量検知のため、少量検知CTと検知総数CTをクリアする。
少量検知2判定終了後、図10のフローチャートに戻り、ステップ209の排水制御処理を行う。排水制御処理は、実施の形態1で示した図8のフローチャートと同じであり、説明は省略する。排水制御を行うことにより、洗濯水を少なくして、洗濯物の空回り状態を修正する。
図8のフローチャートに基づく排水制御終了後、再び図10のフローチャートのステップ210に戻る。ステップ210で、モータ5を駆動する時間が経過したかを判定する。前記したように、洗い動作は、図9に示すタイミングチャートでモータを左右駆動して行うので、その1回あたりの駆動動作が経過したかを判定する。駆動時間が終了していない場合は、ステップ207に戻り再び、少量検知を行い、駆動時間が終了した場合は、モータ5を一端オフさせるためにステップ211に進みモータ5をオフする。
モータ5のオフ時間が経過したことをステップ212で検知したら、ステップ213で洗い動作(例えば30分間)の終了時間になったかを判定し、終了時間になった場合は、ステップ214に進み次工程(排水しすすぎ等)を行う。終了時間になっていない場合は、再度ステップ205に戻り、モータ5を起動させ洗い動作を継続するとともに、洗濯物が洗濯水に浮いていないかどうかの検知を行う。
このように、洗濯動作中に、電流検知手段24が検知するモータ5の電流値の振幅で、回転ドラム1内の洗濯物が少量で、しかも、回転ドラム1内で空回り状態であるとことを判定するようにし、しかも、その後、水受け槽3内の洗濯水を所定量排水するようにしたので、洗濯物の状態に応じた洗濯運転を行うことが可能になり、衣類の汚れを確実に落とすことができるようになる。
(実施の形態3)
本発明の第3の実施の形態における洗濯機について、図13〜図15を用いて説明する。なお、上記実施の形態と同一部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
回転ドラム1内に洗濯物を投入し、電源入りスイッチ16fをオンし、コース設定スイッチ16dにより洗濯物の種類に応じて運転コースを選択入力した後、ステップ300で、スタート・一時停止スイッチ16eをオンして動作を開始する。
最初に、ステップ301で、制御手段15は、回転ドラム1を回転させて、布量検知手段27により回転ドラム1内の洗濯物の量を検知する。ステップ302で、検知した布量を2kg毎に、0〜2kgをランク0、2〜4kgをランク1、4〜6kgをランク2、6〜8kgをランク3と、4つのランクに分ける。そして、検知した洗濯物の量に応じて、洗剤量を洗剤量表示部17eと数字表示部17gに表示するとともに、以降の洗濯運転を行う。
例えば、洗い行程中に、水受け槽3内に給水する水量(水位で制御)を、表1のように、検知した布量に応じて設定する。ステップ303から、洗い行程を開始する。ステップ303で、給水弁12をオンして、表1に示す設定水位まで、水受け槽3内に洗濯水を給水する。布量が多い場合は、水位を高く、少ない場合は低い水位を設定する。ステップ304で、モータ5を駆動して回転ドラム1を回転させ、洗い(洗浄)動作を開始する。洗浄動作中は、モータ5を、図9に示すようなタイミングチャートで左右駆動し、回転ドラム1を回転させる。
ステップ305で、モータ5の起動を開始し、ステップ306で起動開始から所定時間(例えば3秒)経過したかを判定する。所定時間経過したら、ステップ306に進み、電流検知手段24によりモータ5の電流を検知する。モータ5の起動時は、モータ5を定常状態で回転させる時よりも、より大きいトルク(起動トルク)が必要なため、モータ5を定常回転させる時よりもより多くの電流が流れる。
モータ5回転中、及び起動からの経過時間と、モータ5に流れる電流値との関係を図4に示す。起動から所定時間(3秒)は、モータ5に流れる電流にはオーバーシュートがあり、電流が落ち着くまでには所定時間(3秒)必要である。このオーバーシュートの大きさと時間は、モータ5の起動制御方法により、異なるので、電流が落ち着くまでの所定時間も起動制御の方法で変化する。この所定時間は、制御方法の決定後、実験等から求めるようにする。モータ5の回転中に、回転ドラム1内の洗濯物がどのような状態で回転しているかを判定するのに、起動時のモータ5の電流を検知しても、必ずしも、回転ドラム1内の洗濯物の回転状態を検知したことにはならないので、起動から所定時間経過するまでは、モータ5の電流値を検知しないようにする。
ステップ307で、モータ5回転中に流れる、平均電流値(Imo_avg)と電流値の電流振幅(Imo_amp)を検出するようにする。モータ5に流れる電流値は、様々な条件(検知回路へのノイズ、洗濯物の極小的な回転状態の変化)で、瞬間的に変化する場合がある。また、図4に示すように、回転ドラム1の回転周期に応じて、モータ5に流れる電流値も同期して(1回転すれば、洗濯物は元の状態に戻る)変化するので、所定時間中(例えば2秒、またはモータ1回転当たりの時間等)の平均電流値により回転ドラム1内の洗濯物の回転状態を判断するようにする。
また、回転ドラム1の回転周期に応じて、モータ5に流れる電流値も同期して(1回転すれば、洗濯物は元の状態に戻る)変化するので、所定時間中(例えば2秒、またはモータ1回転当たりの時間等)のモータ電流値の最大値と最小値の差により回転ドラム1内の洗濯物の回転状態を判断するようにする。この2つの状態を伴に検知することにより、より正確に回転ドラム1内の洗濯物の回転状態を検知することができる。
平均電流値(Imo_avg)と電流振幅(Imo_amp)の検出方法を、図14のフローチャートで説明する。ステップ320でモータ5の電流を検知するタイミングであるかを判定する。例えば、0.1秒毎に検知するとしたら、前回の検知から0.1秒経過したかを判定し、0.1秒経過したと判定した場合は、ステップ321に進み電流を検知する。0.1秒経過以前は、今回は電流検知しないとしてステップ331に進み、このサブルーチンを終了する。
ステップ321で、電流検知手段24が検知するモータ5の電流値に相当する電圧信号を制御手段15に入力し、制御手段15はこの入力電圧信号よりモータ電流値Imoを求める。ステップ322で、制御手段15は、平均電流値を算出するためのモータ電流値積算Isumに今回検知したモータ電流値Imoを積算する。この時、積算した回数をカウントする積算カウントCtのカウント数を+1する。
ステップ323で、制御手段15は、電流値の振幅を算出するためのモータ電流値の最大値Imo_maxを書き換える。今まで検出したモータ電流値の最大値Imo_maxと今回検知したモータ電流値Imoを比較して、今回検知したモータ電流値Imoが最大値Imo_max以上なら、そのモータ電流値Imoを新しいモータ電流値の最大値Imo_maxとする。
ステップ324で、制御手段15は、電流値の振幅を算出するためのモータ電流値の最小値Imo_minを書き換える。今まで検出したモータ電流値の最小値Imo_minと今回検知したモータ電流値Imoを比較して、今回検知したモータ電流値Imoが最小値Imo_min以下なら、今回検知したモータ電流値Imoを新しいモータ電流値の最小値Imo_minとする。ステップ325で、モータ平均電流値と電流振幅値を算出するタイミングかを判定する。例えば前記した理由により、2秒毎に検知するようにする。前回算出したタイミングから所定時間(2秒)経過したかを判定し、2秒経過したならば、ステップ326に進む。
ステップ326で、モータ電流値積算Isumと積算カウントCtからモータ平均電流値Imo_avgを算出する。算出方法は、Imo_avg=Isum/Ctであり、平均電流値Imo_avgの算出後は、ステップ327で、次回モータ平均電流値を算出するために、モータ電流値積算Isumと積算カウントCtをクリアする。
ステップ328では、電流振幅値Imo_amp(=Imo_max−Imo_min)を算出し、そして、ステップ329で、次回モータ電流の電流振幅を算出するために、モータ電流の最小値Imo_minと最大値Imo_maxをクリアする。ステップ330では、モータ電流の電流平均値と電流振幅値が算出されて、少量検知を行うタイミングであることを示す、少量検知3タイミングFをセットする。そして、このサブルーチンを終了する。
電流平均値と電流振幅値を算出する図14のフローチャート終了後、再び図13のフローチャートに戻りステップ308で少量検知3判定を行う。少量検知3判定のフローチャートは図15に示す。
ステップ340で、少量検知終了Fがセットされているかを判定する。少量検知終了Fがセットされている場合は、既に洗濯物の少量状態を検知し、水受け槽内3内の洗濯水を所定回数排水し、洗濯物が洗濯水に浮く状態を修正している時であり、すなわち、再度少量検知を行わないことを示しているので、ステップ356に進み、このサブルーチンを終了する。
そして、少量検知終了Fがセットされていない場合は、ステップ341進む。ステップ341では、洗濯物の少量状態を検知し、その修正のために排水動作を現在行っているかを判定する。現在排水動作を行っている場合は、少量排水中Fがセットされており、この間少量状態を検知する必要はないでの、ステップ356に進みこのサブルーチンを終了する。
排水中でない場合は、ステップ342で、少量検知3タイミングFがセットされているかを判定する。この少量検知3タイミングFは、前記したように、モータ平均電流値Imo_avgとモータ電流の電流振幅値Imo_ampが算出さたことを示すフラグであり、フラグがセットされていれば、新たなモータ平均電流値Imo_avgと電流振幅値Imo_ampが算出されたので、少量検知3を行うためにステップ343に進む。
ステップ343では、次回の検知のために少量検知3タイミングFをクリアし、ステップ344で、少量検知3の検知総数を示す(平均モータ電流値Imo_avgと電流振幅値Imo_ampが算出された全ての回数)検知総数CTを+1する。
ステップ345で今回算出されたモータ平均電流値Imo_avgが所定電流値(例えば、ピーク電流値で1.0A)以下であるかを判定する。洗濯物が洗濯水に対して少なくて洗濯水に浮いている場合は、前記したように、モータ5にかかる負荷(トルク)は少なくなり、モータ5に流れる電流値も少なくなる。そこで、モータ平均電流値Imo_avgが所定電流値以下の場合は、洗濯物が洗濯水に浮いていると判定するのと同等である。所定電流値以下と判定した場合は、ステップ346で平均電流検知CTを+1する。
更に、ステップ347で、今回算出された電流振幅値Imo_ampが所定電流値(例えば、0.5A)以下であるかを判定する。洗濯物が洗濯水に対して少なくて洗濯水に浮いている場合は、前記したように、モータ5にかかる負荷(トルク)は少なく、しかも、回転ドラム1(モータ5)が1回転する間の負荷変動も小さくなる。つまり、洗濯物の負荷を受けずに空回り状態であることと、モータ電流の振幅値が所定値以下になることとが同等の状態である。そこで、電流振幅値Imo_ampが所定電流値以下の場合、洗濯物が洗濯水に浮いていると判定し、ステップ348に進み振幅検知CTを+1する。
ステップ349で検知総数CTが所定検知回数(例えば、20回)以上であるかを判定する。検知精度を向上させるために、複数回検知して、その検知総数に対して、ある一定回数以上ならば、本当に洗濯物が洗濯水に浮いていると判定するようにする。所定回数検知するまでは、引き続き検知を継続するため、ステップ356に進み、このサブルーチンを終了する。
ステップ350で、平均電流検知CTが所定値以上(例えば19回)であるか判定する。検知総数に対して、所定回数以上モータ平均電流値が所定値以下の場合、洗濯物が洗濯水に浮いていると判定する。検知した場合は、更に電流振幅による判定をステップ351で行う。ステップ351で、振幅電流検知CTが所定値以上(例えば19回)であるか判定する。検知総数に対して、所定回数以上電流振幅値が所定値以下の場合、洗濯物が洗濯水に浮いていると判定する。
以上のように、本実施の形態によれば、モータ電流の平均値と、振幅値の両方が所定値以下の場合に、洗濯物が洗濯水に浮いていると判定するようにしたので、洗濯物が実際は洗濯水に浮いていないにもかかわらず、浮いていると誤検知する恐れは少なくなり、より正確に洗濯物の回転状態を検知できるようになる。
ステップ350と、ステップ351で伴に、洗濯物が洗濯水に浮いていると判定した場合は、ステップ352で少量Fをセットし、判定しなかった場合は、ステップ352を跳ばし、ステップ353に進む。ステップ353、ステップ354、ステップ356で次回の少量検知のため、平均電流値検知CTと振幅検知CTと検知総数CTをクリアする。
少量検知3判定終了後、図13のフローチャートに戻り、ステップ309の排水制御処理を行う。排水制御処理は、実施の形態1で示した図8のフローチャートと同じであり、説明は省略する。排水制御を行うことにより、洗濯水を少なくして、洗濯物の空回り状態を修正する。
図8のフローチャート終了後、再び図13のフローチャートのステップ310に戻り、モータ5を駆動する時間が経過したかを判定する。前記したように、洗い動作は、図9に示すタイミングチャートでモータ5を左右駆動して行うので、その1回あたりの駆動動作が経過したかを判定する。駆動時間が終了していない場合は、ステップ307に戻り再び、少量検知を行い、駆動時間が終了した場合は、モータ5を一端オフさせるためにステップ311に進みモータ5をオフする。
モータ5のオフ時間が経過したことをステップ312で検知したら、ステップ313で洗い動作(例えば30分間)の終了時間になったかを判定し、終了時間になった場合は、ステップ314に進み次工程(排水しすすぎ等)を行う。終了時間になっていない場合は、再度ステップ305に戻り、モータ5を起動させ洗い動作を継続するとともに、洗濯物が洗濯水に浮いていないかどうかの検知を行う。
このように、洗濯動作中に、電流検知手段24が検知するモータ5の電流値と電流値の振幅で、回転ドラム1内の洗濯物が少量で、しかも、回転ドラム1内で空回り状態であるとことを検知するようにし、しかも、その後、水受け槽3内の洗濯水を所定量排水するようにしたので、洗濯物の状態に応じた洗濯運転を行うことが可能になり、衣類の汚れを確実に落とすことができる。
また、制御手段15は、洗濯動作中に、電流検知手段24が検知するモータ5の電流値により、回転ドラム1内での洗濯物の状態を検知することにより、回転ドラム1内の衣類が洗濯水に浮いて、機械力を正しく加えられていない状態を検知することができ、その後、衣類の量、あるいは、布質に応じた最適な洗濯運転をすることで、衣類の汚れを確実に落とすことができる。
また、制御手段15は、モータ5起動の所定時間経過後より、電流検知手段24によりモータ5の電流値を検知し、電流検知手段24が検知するモータ5の電流値により、回転ドラム1内の洗濯物の状態を判定するようにしたことにより、モータ5起動時の、オーバーシュートのある起動電流を無視することができるので、回転ドラム1内での衣類の状態を、より正確に判定することができる。
また、制御手段15は、洗濯動作中に、電流検知手段24が検知するモータ5の電流値が、所定値以下の場合、回転ドラム内の洗濯物が少量で、回転ドラム内で空回り状態であると判定することにより、その後、衣類の状態に応じた洗濯運転を行うことが可能になり、衣類の汚れを確実に落とすことができる。また、モータ5に流れる電流値を検知することは、モータ5にかかる負荷状態を直接検知することと同等であるので、モータ電流の絶対値の検知により、回転ドラム1内の衣類の状態を正確で、かつ、簡単な方法で検知することができる。
また、制御手段15は、洗濯動作中に、電流検知手段24が検知するモータ5の電流値の変動幅が、所定値以下の場合、回転ドラム1内の洗濯物が少量で、回転ドラム1内で空回り状態であると判定するようにしたことにより、その後、衣類の状態に応じた洗濯運転を行うことが可能になり、衣類の汚れを確実に落とすことができる。また、回転ドラム1の回転中の、モータ電流値の変動幅が少ないということは、回転ドラム1内の衣類が正しく回転していなと推測することができ、これにより回転ドラム内の衣類の回転状態を検知することができる。
また、制御手段15は、洗濯動作中に、電流検知手段24が検知するモータ5の電流値が所定値以下で、かつ、電流検知手段24が検知するモータ5の電流値の変動幅が所定値以下の場合、回転ドラム1内の洗濯物が少量で、回転ドラム1内で空回り状態であると判定するようにしたことにより、より正確に回転ドラム1内の衣類の回転状態を判定することができる。
また、制御手段15は、回転ドラム1内の洗濯物が少量で空回りしていると検知した場合、排水弁11により、水受け槽3内の洗濯水を所定量排水するようにしたことにより、洗濯物の空回り状態を解消することができ、衣類の汚れを確実に落とすことができる。