JP2011139812A - ドラム式洗濯機 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転ドラムと水受け槽の異常振動を抑え、安全に動作することができるドラム式洗濯機を実現すること。
【解決手段】洗濯物のバランス状態が悪いと判定した場合、回転ドラム1を停止させ、第1の所定水位または第1の所定水位より高い第2の所定水位まで給水した後、再度布バランス行程を行うようにすることで、傾斜した水受け槽3に水が溜まり、回転ドラム1の奥の部分にある洗濯物に均一に吸水し回転することにより、洗濯物の張り付き状態がドーナツ状になるため、水受け槽3の重心を後ろに移動させ製品の重心に近づけることで、洗濯物のバランス状態の悪さを解消でき、予備洗濯立ち上げ時の製品の安全性も向上させることができる。
【選択図】図4

Description

本発明は水平方向または傾斜方向に回転中心軸を有する回転ドラム内で、洗濯、すすぎ、脱水をするドラム式洗濯機に関するものである。
従来、この種のドラム式洗濯機は、洗濯物を収納し水平軸を中心に回転可能な回転ドラムを水受け槽内に内包し、この回転ドラム内に洗濯物を投入し、洗剤を投入して運転を開始すると、水受け槽内に所定水位まで給水した後、回転ドラムを駆動する。回転ドラムの回転により回転ドラム内に収容された洗濯物は、回転ドラムの内周面に設けた撹拌突起に引っ掛けられて回転方向に持ち上げられ、適当な高さから落下するので、洗濯物には叩き洗いの作用が加えられて洗濯がなされる。
この洗濯行程の後、洗濯水を排水し、新たに給水してすすぎ行程を実行し、すすぎ行程が終了すると回転ドラムを高速回転させる脱水行程を実行する。これらの各行程は所定の制御手順に基づいて実行される。
上記構成は、水平軸を中心に回転可能な回転ドラムを有するドラム式洗濯機の一般的な構成であって、上記構成に加えて予備洗濯行程での振動や騒音の発生を抑制するために、洗濯物のバランス状態を判定し、バランス状態が悪いと判定した場合、回転ドラム内の洗濯物のアンバランス状態を修正するドラム式洗濯機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−201985号公報
しかしながら、このような従来の構成では、振動や騒音を抑えるための洗濯物のバランス状態判定値を低く抑えたために、洗濯物の種類や洗濯物の量によっては、アンバランス状態が解消されずに、アンバランスの修正を繰り返し、洗濯時間が長くなる。または異常報知となり予備洗濯が終了しないという問題を有していた。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、洗濯物のバランス状態の悪さを解消し、予備洗濯立ち上げ時の製品の安全性も向上したドラム式洗濯機を提供することを目的としている。
本発明は上記目的を達成するために、ドラム式洗濯機は、洗濯物を収納し傾斜方向に回転中心軸を有する回転ドラムと、洗濯機本体に弾性的に支持し前記回転ドラムを内包する水受け槽と、前記水受け槽内に給水する給水手段と、前記水受け槽内の水を排水する排水手段と、前記回転ドラムを駆動するモータと、前記給水手段、排水手段およびモータ等を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、第1の所定水位まで給水する給水行程と、洗濯物を前記回転ドラム内に張り付かせる布バランス行程と、前記第1の所定水位の状態で第1の所定回転数に前記回転ドラムを回転させて布バランス状態を判定する布バランス判定行程と、第1の所定回転数より高い第2の所定回転数に立ち上げて所定時間維持する予備洗濯行程を順次実行可能とし、前記布バランス判定行程において、バランス状態が悪
いと判定したときに前記回転ドラムを停止させ、前記第1の所定水位または前記第1の所定水位より高い第2の所定水位まで給水した後、再度、前記布バランス行程を行うようにしたドラム式洗濯機である。
これにより、傾斜した水受け槽に水が溜まり、回転ドラムの奥の部分にある洗濯物に均一に吸水し回転することにより、遠心力で回転ドラムの内周壁に比較的均一に張り付き、ドーナツ状になるため、洗濯物のアンバランスを補正でき、且つ、回転ドラムを背面側に向けて下向きに傾斜させて配設したことにより、吸水して重くなった洗濯物を回転ドラムの内周壁の後方部分に集中して張り付けることができ、水受け槽の重心を後ろに移動させ製品の重心に近づけることにより、回転ドラムと水受け槽の異常振動を抑えて予備洗濯行程を立ち上げることもでき、製品の安全性も向上することができる。
本発明のドラム式洗濯機は、吸水して重くなった洗濯物を回転ドラムの内周壁の後方部分に集中して張り付けることができ、水受け槽の重心を後ろに移動することにより製品の重心に近づくため回転ドラムと水受け槽の異常振動を抑えて脱水を立ち上げることができ、製品の安全性も向上することができる。
本発明の実施の形態1のドラム式洗濯機の一部ブロック化した回路図 同ドラム式洗濯機の縦断面図 同ドラム式洗濯機の入力設定手段および表示手段の拡大正面図 同ドラム式洗濯機の洗濯行程の一部を示す動作フローチャート
第1の発明は、洗濯物を収納し傾斜方向に回転中心軸を有する回転ドラムと、洗濯機本体に弾性的に支持し前記回転ドラムを内包する水受け槽と、前記水受け槽内に給水する給水手段と、前記水受け槽内の水を排水する排水手段と、前記回転ドラムを駆動するモータと、前記給水手段、排水手段およびモータ等を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、第1の所定水位まで給水する給水行程と、洗濯物を前記回転ドラム内に張り付かせる布バランス行程と、前記第1の所定水位の状態で第1の所定回転数に前記回転ドラムを回転させて布バランス状態を判定する布バランス判定行程と、第1の所定回転数より高い第2の所定回転数に立ち上げて所定時間維持する予備洗濯行程を順次実行可能とし、前記布バランス判定行程において、バランス状態が悪いと判定したときに前記回転ドラムを停止させ、前記第1の所定水位または前記第1の所定水位より高い第2の所定水位まで給水した後、再度、前記布バランス行程を行うようにしたことにより、傾斜した水受け槽に水が溜まり、回転ドラムの奥の部分にある洗濯物に均一に吸水し回転することにより、遠心力で回転ドラムの内周壁に比較的均一に張り付き、ドーナツ状になるため、洗濯物のアンバランスを補正でき、且つ、回転ドラムを背面側に向けて下向きに傾斜させて配設したことにより、吸水して重くなった洗濯物を回転ドラムの内周壁の後方部分に集中して張り付けることができ、水受け槽の重心を後ろに移動することにより製品の重心に近づくため回転ドラムと水受け槽の異常振動を抑えて脱水を立ち上げることができ、製品の安全性も向上することができる。
第2の発明は、上記第1の発明において、制御手段は、布バランス判定行程において、バランス状態が悪いと判定した場合に、予備洗濯行程における第2の所定回転数を布バランス行程の実行回数に応じて変更するようにしたことにより、予備洗濯行程における過度な泡立ちを抑え、回転ドラムと水受け槽の異常振動を抑えることができる。
第3の発明は、上記第2の発明において、制御手段は、第2の所定回転数を布バランス
行程の実行回数が多くなるほど低くなるよう制御することにより、洗濯物に洗濯液をできるだけ残して、予備洗濯行程での適度な泡立ちを確保し、予備洗濯の効果を布バランス行程の実行回数Nの影響を軽減して維持することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、従来例と同じ構成のものは同一符号を付して説明を省略する。また、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機の一部ブロック化した回路図、図2は同ドラム式洗濯機の縦断面図である。
図2に示すように、回転ドラム1は、有底円筒形に形成し、外周部に多数の通水孔2を全面に設け、水受け槽3内に回転自在に配設している。回転ドラム1の回転中心に傾斜方向に回転軸(回転中心軸)4を設け、回転ドラム1の軸心方向を正面側から背面側に向けて下向きに傾斜させて配設している。この回転軸4に、水受け槽3の背面に取り付けたモータ5を連結し、回転ドラム1を正転、逆転方向に回転駆動する。回転ドラム1の内壁面に数個の突起板6を設けている。
水受け槽3の正面側の上向き傾斜面に設けた開口部を蓋体7により開閉自在に覆い、この蓋体7を開くことにより衣類出入口8を通して回転ドラム1内に洗濯物を出し入れできるようにしている。蓋体7を上向き傾斜面に設けているため、洗濯物を出し入れする際、腰を屈めることなく行うことができる。
水受け槽3は洗濯機本体9よりばね体で揺動可能に吊り下げており、水受け槽3の下部に排水経路10の一端を接続し、排水経路10の他端を排水弁11に接続して水受け槽3内の洗濯水を排水するようにしている。給水弁12は給水経路13を通して水受け槽3内に水を給水するものである。
水受け槽3の最下部には回転ドラム1の回転方向と直交する方向に排水溝14を形成しており、この排水溝14の側壁(壁部)14aは、図2に示すように、水流方向に交差する方向に形成している。
なお、本実施の形態では、回転ドラム1の回転中心に傾斜方向に回転軸4を設け、回転ドラム1の軸心方向を正面側から背面側に向けて下向きに傾斜させて配設しているが、回転ドラム1の回転中心に略水平方向に回転軸4を設け、回転ドラム1の軸心方向を略水平方向に配設しても良い。
制御装置15は、図1に示すように構成しており、モータ5、排水弁11、給水弁12などの動作を制御し、洗濯、すすぎ、脱水の一連の行程を逐次制御するマイクロコンピュータからなる制御手段16を有している。制御手段16は、運転コース等を設定するための入力設定手段17からの情報を入力して、その情報を基に表示手段18で表示して使用者に知らせるとともに、入力設定手段17により運転開始が設定されると、水受け槽3内の水位を検知する水位検知手段19等からのデータを入力して負荷駆動手段20を介して、排水弁11、給水弁12などの動作を制御し、洗濯運転を行う。
このとき、制御手段16は、モータ5のロータの位置を検出する位置検出手段21からの情報に基づいて、駆動回路22を介してインバータ23を制御することによりモータ5を回転制御するようにしている。モータ5は直流ブラシレスモータで、図示していないが、3相巻線を有するステータと、リング上に2極の永久磁石を配設しているロータとで構
成し、ステータは3相巻線を構成する第1の巻線5a、第2の巻線5b、第3の巻線5cをスロットを設けた鉄心に巻き付けて構成している。
インバータ23は、パワートランジスタ(IGBT)と逆導通ダイオードの並列回路からなるスイッチング素子で構成している。第1のスイッチング素子23aと第2のスイッチング素子23bの直列回路と、第3のスイッチング素子23cと第4のスイッチング素子23dの直列回路と、第5のスイッチング素子23eと第6のスイッチング素子23fの直列回路で構成し、各スイッチング素子の直列回路は並列接続している。
ここで、スイッチング素子の直列回路の両端は入力端子で、直流電源を接続し、スイッチング素子の直列回路を構成する2つのスイッチング素子の接続点に、それぞれ出力端子を接続している。出力端子は、3相巻線のU端子、V端子、W端子に接続し、スイッチング素子の直列回路を構成する2つのスイッチング素子をオン・オフの組合せにより、U端子、V端子、W端子をそれぞれ正電圧、零電圧、解放の3状態にする。
スイッチング素子のオン・オフは、ホールICからなる3つの位置検出手段21a、21b、21cからの情報に基づいて制御手段16により制御される。位置検出手段21a、21b、21cは電気角で120度の間隔でロータが有する永久磁石に対向するように、ステータに配設されている。
ロータが1回転する間に、3つの位置検出手段21a、21b、21cは、それぞれ電気角で120度の間隔でパルスを出力する。制御手段16は、3つの位置検出手段21a、21b、21cのいずれかの信号の状態が変わったときを検知し、位置検出手段21a、21b、21cの信号を基に、スイッチング素子23a〜23fのオン・オフ状態を変えていくことで、U端子、V端子、W端子を正電圧、零電圧、解放の3状態にし、ステータの第1の巻線5a、第2の巻線5b、第3の巻線5cに通電して磁界を作り、ロータを回転させるよう構成している。
また、スイッチング素子23a、23c、23eはそれぞれパルス幅変調(PWM)制御され、例えば、繰り返し周波数10kHzでハイ、ローの通電比を制御することで、ロータの回転数を制御するようにしてあり、制御手段16は、3つの位置検出手段21a、21b、21cのいずれかの信号の状態が変わるたびにその周期を検出し、その周期よりロータの回転数を算出して、設定回転数になるようにスイッチング素子23a、23c、23eをPWM制御する。
トルク検出手段24は、インバータ23の一方の入力端子に接続した抵抗25と、この抵抗25に接続した電流検知回路26とで構成し、インバータ23の入力電流値を検知して電圧信号に変換し、その電圧信号を制御手段16に入力している。また、制御手段16は入力した電圧信号をA/D変換してデジタルデータとして演算処理している。モータ5が直流ブラシレスモータの場合は、トルクは入力電流にほぼ比例するので、抵抗25に接続した電流検知回路26により、インバータ23の入力電流値を検知することで、モータ5のトルクを検知することができる。
布量検知手段27は、回転ドラム1内の洗濯物の量を検知するもので、回転ドラム1を所定回転数(例えば、200r/min)に立ち上げるときのトルク検出手段24からの信号により回転ドラム1内の洗濯物の量を検知するようにしている。
商用電源28は、ダイオードブリッジ29、チョークコイル30、平滑用コンデンサ31からなる直流電源変換装置を介して、インバータ23に接続している。ただし、これは一例であり、直流ブラシレスとしたモータ5の構成、インバータ23の構成等は、これに
限定されるものではない。
入力設定手段17は、図3に示すように、洗い時間を設定する洗い時間設定スイッチ17a、すすぎ回数を設定するすすぎ回数設定スイッチ17b、脱水時間を設定する脱水時間設定スイッチ17c、コース設定スイッチ17d、スタート・一時停止スイッチ17e、電源入りスイッチ17f、電源切りスイッチ17gなどを有し、表示手段18は、洗い時間表示部18a、すすぎ回数表示部18b、脱水時間表示部18c、コース設定表示部18d、洗剤量表示部18e、残り時間表示部18f、数字表示部18gなどを有している。
上記構成において図4を参照しながら動作を説明する。回転ドラム1内に洗濯物を投入し、電源入りスイッチ17fをオンし、コース設定スイッチ17dにより洗濯物の種類に応じて運転コースを選択入力した後、スタート・一時停止スイッチ17eをオンして動作を開始すると、最初に、制御手段16は、回転ドラム1を回転させて、布量検知手段27により回転ドラム1内の洗濯物の量を検知する。そして、検知した洗濯物の量に応じて、洗剤量を洗剤量表示部18eと数字表示部18gに表示する。使用者は表示された洗剤量の洗剤を給水経路13に設けた洗剤投入口(図示せず)に投入する。その後、制御手段16は、終了までの残時間を残り時間表示部18fと数字表示部18gに表示する。
ついで、図4のステップ100にて洗濯行程を開始し、ステップ101にてデータの初期化(N=1)を行った後、ステップ102にてモータ5を駆動して回転ドラム1を第6の所定回転数(例えば、35r/min)で反転方向に回転させながら、ステップ103にて給水弁12をオンして給水行程を開始し、給水経路13を通して洗剤投入口より投入した洗剤を溶かしながら水受け槽3内に給水する。
このとき、同時に、回転ドラム1は第6の所定回転数で回転しているので、回転ドラム1内の洗濯物は、回転ドラム1の内壁面に設けた突起板6により、回転方向に持ち上げられ、回転に伴う慣性や遠心力よりも自重が勝る高さ位置に移動したとき回転ドラム1の下方内周面上に落下する。一方、水受け槽3内に給水された水は、回転ドラム1の外周部に設けた多数の通水孔2から回転ドラム1内にも侵入する。したがって、第6の所定回転数で回転する回転ドラム1によって持ち上げられて落下する挙動が繰り返される洗濯物は落下した際に水に満遍なく濡れた状態となる。
ついで、ステップ104にて水位検知手段19により検知した水位が第1の所定水位(例えば、水頭100mm)になるとステップ105に進み、給水弁12をオフして給水を止めるとともに、回転ドラム1を停止する。なお、このときの第1の所定水位は、布量検知手段27により検知した洗濯物の量に対応した水位より低い水位とする。
その後、ステップ106にて布バランス行程に入り、回転ドラム1を正転させて静止状態から第1の所定回転数(例えば、90r/min)に徐々に立ち上げる。すなわち、回転ドラム1を静止状態から第1の所定回転数(例えば、90r/min)まで徐々に加速することにより、洗濯物に作用する重力よりも遠心力が大きくなるようにして、洗濯物を回転ドラム1内に張り付かせる。例えば、最初の5秒間は回転ドラム1の回転数を35r/min一定に制御した後、毎秒3r/minずつ加速して回転ドラム1の回転数を90r/minに制御する。
ついで、布バランス判定行程であるステップ107で、第1の所定回転数(例えば、90r/min)で回転ドラム1内の洗濯物のバランス状態を判定する。すなわち、回転ドラム1の回転数を90r/min一定に保てる程度にモータ5に印加する電圧を固定した状態で回転数の変動を測定し、回転数の変動が大きいときは洗濯物の張り付き状態が悪く
、バランス状態が悪いと判定され、ステップ108を通り、ステップ109にて回転ドラム1を停止する。
ここで、ステップ110にて水位検知手段19により検知した水位が第1の所定水位(例えば、水頭100mm)になるか否かを検知し、第1の所定水位に達しないと、ステップ111にて、再び給水弁12をオンして第1の所定水位に達するまで追加給水した後、ステップ112に進み、給水弁12をオフして給水を止め、ステップ113にて布バランス行程の実行回数Nに1を加えてステップ106に戻り、再び布バランス行程からやり直すようにし、ステップ106からステップ113の動作を繰り返す。
なお、ステップ110において検知する水位を第1の所定水位より高い第2の所定水位(例えば、水頭120mm)に設定すれば、水が洗濯物に吸収されることで水位が低下することにも対応できるとともに、洗濯物に水をむらなく充分に吸水させることで洗濯物間での重量のアンバランスを軽減することができ、再度行う布バランス行程をより確実に行わせることができる。
ここで、洗濯物が張り付いていないか、もしくは洗濯物の張り付きが悪いと判定した回数、すなわち布バランス行程の実行回数が所定回数(例えば、4回)に達すると、すなわち、ステップ108にてN=4になると、ステップ123に進み、回転ドラム1を停止させ、本洗濯等の次行程へ移る。なお、この場合に、表示手段18あるいはブザー等により、洗濯物のバランス状態が適正でないことを使用者に報知するようにしてもよい。
ステップ107にて、洗濯物の張り付きが良いと判定すると、ステップ114〜ステップ122の予備洗濯行程に入る。
予備洗濯行程では、水受け槽3内に、洗濯動作を実施する水位より低い所定水位まで給水し、回転ドラム1を第2の所定回転数(例えば、150r/min)で回転させるので、水受け槽3内に給水された洗剤を含む洗濯液は回転ドラム1の回転方向に水流が発生する。水受け槽3内の水は少ない給水量中に洗剤を含むため高濃度の洗濯液となった状態となる。
高濃度の洗濯液は水受け槽3内に充満して上昇し、開放されている正面側の開口部から回転ドラム1内に次々と入り洗濯物に付着する。第2の所定回転数で回転する回転ドラム1の内周面には洗濯物が張りついた状態にあり、回転ドラム1の中央に空いた空間に高濃度の洗濯液が入りやすく、洗濯物に付着する。洗濯物は先の第6の所定回転数(例えば、35r/min)で回転ドラム1が回転駆動されたことによって満遍なく水に濡れた状態にあり、これに高濃度の洗濯液が付着すると洗濯物の内部に洗剤成分が浸透しやすくなる。
高濃度の洗濯液を汚れた洗濯物の表面あるいは内部に浸透させると、親油基が油汚れおよび油に付着した粒子汚れに結合して持ち去ることになる。このように泡立てた高濃度の洗濯液を回転ドラム1内の洗濯物に付着浸透させることにより、汚れに洗剤成分が作用しやすくなり、高濃度の洗濯液が染み込みやすくなって洗いむらが抑制され、洗浄力が向上すると同時に洗濯時間を短縮することができる。
ここで、布バランス行程の実行回数Nが多くなるほど第2の所定回転数を低くすることにより、洗濯物に洗濯液をできるだけ残して、予備洗濯行程での適度な泡立ちを確保し、予備洗濯の効果を布バランス行程の実行回数Nの影響を軽減して維持することができる。すなわち、布バランス行程を実行するつど、ステップ111において追加給水を行うことにより洗濯液の濃度が順次薄くなっていくことに対応して、第2の所定回転数を低くする
ことにより、過度な泡立ちを抑えるとともに、遠心力により洗剤液が洗濯物から抜けて洗濯物の泡立ちが悪くなるのを防止して予備洗濯行程における適度な泡立ちを確保することができる。
具体的には、ステップ114にて、N=1の判定をし、N=1のとき、ステップ117にて回転ドラム1の回転数を第2の所定回転数(例えば、150r/min)に立ち上げ、そうでないときは、ステップ115にて、N=2の判定をし、N=2のとき、ステップ118にて回転ドラム1の第2の所定回転数を第3の所定回転数(例えば、140r/min)にして低く立ち上げ、そうでないときは、ステップ116にて、N=3の判定をし、N=3のとき、ステップ119にて回転ドラム1の第2の所定回転数を第4の所定回転数(例えば、130r/min)にしてさらに低く立ち上げ、そうでないときは、ステップ120にて回転ドラム1の第2の所定回転数を第5の所定回転数(例えば、120r/min)にしてさらに低く立ち上げ、ステップ121にてタイマーをクリアし、ステップ122にて所定時間(例えば、1分)維持する。
ステップ122にて所定時間(例えば、1分)が経過するとステップ123に進み、回転ドラム1を停止して布バランス行程および予備洗濯行程を終了し、ステップ124にて本洗濯等の次行程に進む。
以上のように本実施例によれば、洗濯物のバランス状態が悪いと判定したときに、回転ドラム1を停止させ、第1の所定水位または第1の所定水位より高い第2の所定水位まで給水した後、再度布バランス行程を行うことにより、傾斜した水受け槽3に水が溜まり、回転ドラム1の奥の部分にある洗濯物に均一に吸水し回転することにより、遠心力で回転ドラム1の内周壁に比較的均一に張り付き、ドーナツ状になるため、洗濯物のアンバランスを補正でき、且つ、回転ドラム1を背面側に向けて下向きに傾斜させて配設したことにより、吸水して重くなった洗濯物を回転ドラム1の内周壁の後方部分に集中して張り付けることができ、水受け槽3の重心を後ろに移動することにより製品の重心に近づくため回転ドラム1と水受け槽3の異常振動を抑えて脱水を立ち上げることができ、製品の安全性も向上することができる。
また制御手段16の布バランス判定行程にて、バランス状態が悪いと判定された場合に、制御手段16は、予備洗濯行程における第2の所定回転数を布バランス判定行程の実行回数に応じて変更することにより、予備洗濯行程における過度な泡立ちを抑え、回転ドラム1と水受け槽3の異常振動を抑えることができる。
なお、上記のように、吸水して重くなった洗濯物を回転ドラム1の内周壁の後方部分に集中して張り付けることで水受け槽3の重心を後ろに移動して回転ドラム1と水受け槽3の異常振動を抑えることができるため、本実施の形態では、回転ドラム1の回転軸4を正面側から背面側に向けて下向きに傾斜させて配設しているが、回転ドラム1の回転軸4を略水平方向に配設しても、第1の所定水位または第1の所定水位より高い第2の所定水位まで給水した後、再度布バランス行程を行うことにより、傾斜した水受け槽3に水が溜まり、回転ドラム1の奥の部分にある洗濯物に均一に吸水し回転することにより、遠心力で回転ドラム1の内周壁に比較的均一に張り付き、ドーナツ状になるため、洗濯物のアンバランスを補正できるという効果は得ることができる。
以上のように、本発明にかかるドラム式洗濯機は、バランス状態が悪いと判定したときに、所定水位まで給水した後、再度、布バランス行程を実行することにより、傾斜した水受け槽に水が溜まり、回転ドラムの奥の部分にある洗濯物に均一に吸水し回転することにより、洗濯物のバランス状態を補正でき、且つ、水受け槽の重心を後ろに移動させ製品の
重心に近づけることにより、回転ドラムと水受け槽の異常振動を抑えることもでき、安全に動作することができるので、洗濯物の布バランス行程を行う洗濯機等に有用である。
1 回転ドラム
3 水受け槽
4 回転軸(回転中心軸)
5 モータ
9 洗濯機本体
11 排水弁(排水手段)
12 給水弁(給水手段)
16 制御手段
19 水位検知手段
23 インバータ
23a〜23f スイッチング素子

Claims (3)

  1. 洗濯物を収納し傾斜方向に回転中心軸を有する回転ドラムと、洗濯機本体に弾性的に支持し前記回転ドラムを内包する水受け槽と、前記水受け槽内に給水する給水手段と、前記水受け槽内の水を排水する排水手段と、前記回転ドラムを駆動するモータと、前記給水手段、排水手段およびモータ等を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、第1の所定水位まで給水する給水行程と、洗濯物を前記回転ドラム内に張り付かせる布バランス行程と、前記第1の所定水位の状態で第1の所定回転数に前記回転ドラムを回転させて布バランス状態を判定する布バランス判定行程と、第1の所定回転数より高い第2の所定回転数に立ち上げて所定時間維持する予備洗濯行程を順次実行可能とし、前記布バランス判定行程において、バランス状態が悪いと判定したときに前記回転ドラムを停止させ、前記第1の所定水位または前記第1の所定水位より高い第2の所定水位まで給水した後、再度、前記布バランス行程を行うようにしたドラム式洗濯機。
  2. 制御手段は、布バランス判定行程において、バランス状態が悪いと判定した場合に、予備洗濯行程における第2の所定回転数を布バランス行程の実行回数に応じて変更するようにした請求項1記載のドラム式洗濯機。
  3. 制御手段は、第2の所定回転数を布バランス行程の実行回数が多くなるほど低くなるよう制御する請求項2記載のドラム式洗濯機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013070920A (ja) * 2011-09-29 2013-04-22 Panasonic Corp ドラム式洗濯機
WO2013141589A1 (en) * 2012-03-20 2013-09-26 Samsung Electronics Co., Ltd. Washing machine and control method thereof

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