JP2011200545A - ランドリー機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】多様な回転負荷に対応してモータの出力特性を変化させることができると共に、より大きなトルクを得ることができるランドリー機器を提供する。
【解決手段】脱水兼用洗濯機は、モータの回転を減速して回転対象負荷に伝達する第1出力状態と、当該モータの回転を減速することなく回転対象負荷に直接伝達する第2出力状態とに切り換え可能な伝達機構を備える。また、モータは、ステータコイルに励磁電流を発生させることで、ロータに有する永久磁石の着磁量を変化させる。
【選択図】図6

Description

本発明は、回転槽などの回転対象負荷を回転するためのモータを具備したランドリー機器に関する。
従来より、洗濯機等のランドリー機器にあっては、回転槽などの回転対象負荷を回転するためのモータを備えて構成されている。
具体的には、例えば洗濯機では、周知のように外槽内に洗い槽兼脱水槽としての回転槽を回転可能に設けると共に、この回転槽の内底部に撹拌体を回転可能に設けており、撹拌体及び回転槽は、一つのモータにより回転駆動される。そして、衣類等の洗濯物を洗う場合には、回転槽を停止させた状態で、モータの回転を撹拌体に伝達してこれを比較的低速で正逆回転させる。また、脱水の場合には、回転槽の停止状態を解除し、モータの回転を減速せずに回転槽及び撹拌体に伝達して両者を一体的に回転させる。
この種の洗濯機では、撹拌体や回転槽に対するモータの回転の伝達ないし切り換えのために、減速機構やクラッチ機構が設けられる。例えば、特許文献1の洗濯機では、モータの回転を、撹拌体に対して減速機構により減速して伝達し、回転槽に対してはクラッチ機構により伝達し或は非伝達となる。
特開2001−198390号公報
上記した従来の洗濯機では、減速機構による減速の有無により、洗い工程での低速度・高トルクと、脱水工程での高速度・低トルクが得られる。これは、洗い工程において、撹拌体により洗濯物を多量の水と共に撹拌させるためモータにかかる負荷が大きくなり、脱水工程において、洗い時の大量の水が排水されているためモータにかかる負荷が小さくなる実情に沿うものである。
しかしながら、洗濯機における洗濯物の量、つまりモータにかかる負荷の大きさは一様ではなく、その負荷によっては、洗いや脱水など個々の工程で、より大きなトルク或は高速度での運転が適正とされる場合も生じうる。即ち、洗濯機のモータは、個々の工程でも相反する出力特性が要求されるため、上記減速機構による減速の有無のみで、多様な負荷に応じた適正な回転速度或はトルクを確保することは困難であり、例えば脱水工程時に回転速度をより高めても、モータ電流の増加を招いて効率を低下させることになる。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、多様な回転負荷に対応してモータの出力特性を変化させることができると共に、より大きなトルクを得ることができるランドリー機器を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明のランドリー機器は、回転槽などの回転対象負荷を回転するためのモータを具備したランドリー機器において、前記モータの回転を減速して前記回転対象負荷に伝達する第1出力状態と、前記モータの回転を減速することなく前記回転対象負荷に直接伝達する第2出力状態とに切り換え可能に構成され、前記第1出力状態または前記第2出力状態で前記モータの回転を前記回転対象負荷に伝達する伝達手段を備え、前記モータは、ステータコイルを有するステータと、ロータコアを有するロータと、前記ロータコアに挿入され、着磁量を容易に変更可能なレベルの保磁力を有する永久磁石とを備え、前記ステータコイルに励磁電流を発生させることで、前記永久磁石の着磁量を変化させる構成としたことを特徴とする。
上記構成によれば、ステータコイルに励磁電流を発生させて永久磁石の着磁量を変化させることで、回転槽等における負荷に応じて、モータの出力特性が最適となるように永久磁石の磁束を増減させることができる。また、伝達手段によって第1出力状態では高トルクが得られる一方、第2出力状態では高速度で回転対象負荷を直接的に回転させることができる。従って、夫々の出力状態で永久磁石の磁束を増減させることで、より大きなトルク或は高い回転速度を得ることができると共に、モータの運転効率を向上させることができる。
本発明の第1実施形態を示す伝達機構及びモータの縦断面図 脱水兼用洗濯機の概略的な縦断面図 クラッチ機構の拡大断面図であって、(a)は通常の洗濯の場合、(b)は槽回転方式で洗濯する場合、(c)は脱水の場合について夫々の状態を示す図 (a)はモータの全体構成を概略的に示す平面図、(b)はロータの一部を拡大して示す斜視図 電気的構成を示すブロック図 各工程における、減速装置による減速の有無と、ロータの永久磁石の磁力との対応関係を説明するための図 (a)はアルニコ磁石の増磁処理、(b)は同減磁処理を示すフローチャート 洗い工程及び脱水工程における回転対象負荷の回転数とトルクとの関係を説明するための模式図 洗い工程及び脱水工程における回転対象負荷の回転数とモータ効率との関係を説明するための模式図 減速装置により減速され、或は減速無しで行われる脱水工程、並びに洗い工程における、回転数とモータ効率との関係を説明するための模式図 洗濯物の重量センシングの制御内容と洗濯運転の流れを示すフローチャート 洗濯物の重量とモータの出力トルクとの関係を示すものであって、(a)は増磁した状態、(b)は減磁した状態を示す図 本発明の第2実施形態を示すもので、脱水兼用洗濯機における下部を模式的に示す縦断面図
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について図1〜図12を参照しながら説明する。
図2に示すように、脱水兼用洗濯機の本体1は、外箱2の上部にトップカバー2aを配設し、当該本体1内に、複数本の吊棒4に弾性吊持機構4aを介して揺動自在に支持された水受槽3を備えている。この水受槽3内には、洗濯槽と脱水槽とを兼用する回転槽5が配設されており、この回転槽5の内底部に撹拌体6が配設されている。尚、図示はしないが、トップカバー2aには、洗濯物出入口が形成されると共に、その洗濯物出入口を開閉する蓋が開閉可能に設けられている。また、トップカバー2aには、洗濯コースを選択したり、洗濯運転を開始させるスイッチを含む各種の操作スイッチや表示器を設けたパネル(後述の操作パネル部69)、設定された洗濯コースに応じた内容で洗い、すすぎ、脱水を制御する制御装置7(図5参照)、回転槽5内に洗濯水を供給する給水弁8(図5参照)などが設けられている。
前記水受槽3の内底部には中心部から後部側へと延びる排水通路9が形成されている。この排水通路9の中心側の端部は回転槽5内に連通するように構成され、後部側の端部は排水口10とされている。この排水口10は排水弁11によって開閉されるようになっており、排水弁11には排水ホース12が接続されている。また、排水弁11は電動式で、その開放動作により、回転槽5内の水が排水通路9および排水ホース12を通じて外部に排出される。前記回転槽5は脱水孔5aを上部のみに形成し、高速回転される脱水時に洗濯物から振り切られる水をこの脱水孔5aから水受槽3内に排出する。また、水受槽3の底部には、回転槽5から排出された水を排出するための溢水排出口13が形成され、この溢水排出口13は図示しないホースを介して排水ホース12に連結されている。そして、脱水運転時に脱水孔5aから水受槽3内に放出された水は、溢水排出口13から排水ホース12を通って外部に排出される。
水受槽3の下方には、永久磁石モータたる洗濯機モータ15と、そのモータ15の回転を回転槽5および撹拌体6に伝達するための伝達機構(伝達手段)14が設けられている。図1に示すように、この伝達機構14は、洗濯機モータ15の回転を減速する減速装置16、洗濯機モータ15の回転伝達先を切り換えるクラッチ手段としてのクラッチ機構17、ブレーキ機構18等を備えており、これら減速装置16やクラッチ機構17等をケーシング19で覆う構成としている。
前記減速装置16は、ギヤケース20と、このギヤケース20内に設けられた減速機構としての遊星歯車機構21とからなる。遊星歯車機構21は、ギヤケース20の内周部に取り付けられた内歯車22、この内歯車22に噛合する遊星歯車23、この遊星歯車23を回転可能に支持する上下のブラケット24,25、遊星歯車23に噛合する太陽歯車26を有する。前記ギヤケース20は、円筒のドラム部27aを有する上ケース27と、この上ケース27の下面を閉鎖する形態の下ケース28とからなる。上ケース27の上端側中央部には、短尺な上向きの上筒軸27bが一体形成されると共に、下ケース28の下端側中央部には、比較的長尺な下向きの筒軸28aが一体形成されている。下ケース28の筒軸28aは、ケーシング19の下面部に設けられたボールベアリング29に回転可能に支持されている。そして、筒軸28a内には遊星歯車機構21の入力軸としての回転軸30が回転可能に挿通支持されている。この回転軸30は、ギヤケース20内に突出すると共に、その上端部に、前記太陽歯車26が一体に形成されている。
前記洗濯機モータ15(以下、単にモータ15と称する)は、アウターロータ形の3相のブラシレスDCモータにあって、ステータ31と、これの外周に設けたロータ32とから構成される。詳しくは後述するように、ステータ31は、ステータコア33とステータコイル34(34u,34v,34w)とを有し、ロータ32は、ロータコア36と当該ロータコア36に挿入される永久磁石35(35a,35b)を有する。そして、ステータコア33はケーシング19に固定され、ロータ32は、ステータコア33を外側から包囲するようにして前記回転軸30の下端部に取り付けられている。
前記ケーシング19の上面部にはボールベアリング38が設けられ、このボールベアリング38に槽軸39が回転可能に支持されている。この槽軸39は互いに嵌着された上槽軸39aと下槽軸39bとからなり、上槽軸39aの上端部は回転槽5の底部に連結され、下槽軸39bの下端部はギヤケース20の上筒軸27bの上方に離間して位置する。
本実施形態の撹拌軸は、撹拌体6側の撹拌主軸40と減速装置16側の伝動軸41とに2分割されている。撹拌主軸40は槽軸39の内部に回転可能に支持され、撹拌主軸40の上端部は、当該槽軸39から上方に突出すると共に前記撹拌体6と連結固定されている。一方、伝動軸41は、上筒軸27bに回転可能に支持されており、下端部が上ブラケット24にセレーション係合42により連結され、上端部が撹拌主軸40の下端部にセレーション係合43(図3(a)参照)により連結されている。従って、遊星歯車機構21の遊星歯車23の公転運動は、上ブラケット24から伝動軸41に伝わり、撹拌主軸40と伝動軸41とを一体回転させる。
前記ブレーキ機構18は、例えば、上ケース27のドラム部27aをブレーキドラムとしてその外周に巻装されたブレーキバンド44を有するバンドブレーキ機構により構成されている。ブレーキバンド44は、その一端部がケーシング19に対してピン45により固定され、他端部は、ケーシング19に枢支された電動式のレバー46に連結されている。レバー46は、図示しない駆動部への通電により所定方向に回動してブレーキバンド44を引っ張ってブレーキを掛け、断電されるとそのブレーキを解くようになっている。
尚、ブレーキ機構18はバンドブレーキ機構の特性として、ギヤケース20の一方向の回転に対しては効果的であるが、その逆方向の回転に対しては有効な制動力を発揮し難い。このため、ギヤケース20の逆方向の回転を止めるべく、一方向クラッチとしてクラッチスプリング47を設けている。即ち、クラッチスプリング47は、ケーシング19の内底部にて下筒軸28aの外周に巻装されたコイルスプリングであって、これを収容するケース48にその一端が係止され、ギヤケース20の前記逆方向への回転の際に下筒軸28aに巻き締まってその回転を拘束する。
前記クラッチ機構17は、槽軸39とギヤケース20との間、槽軸39と撹拌主軸40との間、撹拌主軸40と槽軸39とギヤケース20との間を選択的に連結するもので、リング状部材からなるクラッチ部材としてのカラー49と、このカラー49をクラッチ動作させるための駆動機構50とを備える。
図3(a)に示すように、カラー49の内周部には、上下両側に位置して係合部としてのスプライン51及び52が形成されている。このスプライン51及び52には、上ケース27の上筒軸27bの外周部及び槽軸39の下槽軸39bの外周部に形成された被係合部としてのスプライン53及び54が係合する。また、撹拌主軸40の下端部には上筒軸27bと下槽軸39bとの間に位置して径大部40aが形成されており、この径大部40aの外周部に、被係合部としてのスプライン55が形成されている。そして、カラー49は、軸受手段たるボールベアリング56のインナーレース57内側に嵌着されて下槽軸39b、上筒軸27b及び前記径大部40aの外周部を包囲するようにして上下動可能に配設され、その上下動によりスプライン51、52が、上筒軸27b、下槽軸39b及び撹拌主軸40のスプライン53ないし55に係脱可能に噛合する。
上記ボールベアリング56のアウターレース58外側にはスリーブ59が嵌着されている。このスリーブ59の外周部にはラック60の歯が上下方向に並んで形成されている。一方、ケーシング19には取付板61が固定されており、この取付板61に駆動機構50の駆動源としてのステッピングモータ62が取付けられている。そして、このステッピングモータ62の回転軸62aに、前記ラック60に噛合するピニオン63が取着されている。ステッピングモータ62は、前記制御装置7から与えられるパルス電流のパルス数によって回転数が制御され(図5参照)、その回転がピニオン63とラック60によってボールベアリング56の上下運動に変換されて、カラー49を上下に移動させる。
上記構成により、伝達機構14は、モータ15の回転を減速して回転槽5や撹拌体6等の回転対象負に伝達する第1出力状態(図3(a)(b)参照)と、モータ15の回転を減速することなく回転対象負荷に直接伝達する状態は第2出力状態((図3(c)参照))とに切り換わる。ここで、洗濯運転における第1及び第2出力状態について、図3を参照しながら説明する。尚、本実施形態の脱水兼用洗濯機は、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程からなる洗濯運転において、ソフト洗いが可能に構成されており、ここでは、通常の洗濯及びソフト洗いにおける洗い工程、並びに脱水工程について、伝達機構14の作用を中心に説明する。
先ず、通常の洗濯における洗い工程では、ブレーキ機構18はギヤケース20を制動した状態に維持し、遊星歯車機構21の内歯車22を回転できないように拘束する。また、クラッチ機構17のカラー49は図3(a)に示す位置に移動されており、その上下のスプライン51及び52を夫々下槽軸39bのスプライン54及び上筒軸27bのスプライン53に係合させている。従って、カラー49はギヤケース20の上筒軸27bと槽軸39との間を連結し、撹拌主軸40を上筒軸27bと槽軸39から切り離した状態にある。そして、通常の洗濯の場合には、モータ15のロータ32が間欠的に正逆回転され、このロータ32の回転が、回転軸30の太陽歯車26を介して遊星歯車23に伝達される。このとき、内歯車22は回転できない状態にあるため、遊星歯車23が自転しながら公転運動し、その公転運動が上ブラケット24から伝動軸41を介して撹拌主軸40に伝達される。こうして、モータ15の回転軸30が正逆回転すると、その回転が遊星歯車機構21により減速されて撹拌主軸40に伝達されることで(第1出力状態)、撹拌体6が間欠的に正逆回転して回転槽5内に反転渦巻き水流を生成し、通常の洗濯が行われる。
ソフト洗いの場合には、上記の通常の洗濯の場合と同様、ブレーキ機構18により内歯車22を回転できないように拘束する。一方、カラー49は、図3(b)に示す位置に移動され、その上下のスプライン51及び52を夫々下槽軸39bのスプライン54及び撹拌主軸40のスプライン55に係合させて、槽軸39と撹拌主軸40との間を連結した状態にある。ソフト洗いの場合も、通常の洗濯の場合と同様にモータ15が間欠的に正逆回転され、その回転は遊星歯車機構21により減速されて伝動軸41を介して撹拌主軸40に伝達され、更に、撹拌主軸40からカラー49を介して槽軸39にも伝達される。従って、モータ15の回転軸30が正逆回転すると、その回転が減速装置16により減速されて槽軸39及び撹拌主軸40に伝わり、回転槽5と撹拌体6が一体となって間欠的に正逆回転する(第1出力状態)。このソフト洗いの場合、撹拌体6が回転槽5と一体的に回転するので、洗濯物が撹拌体6に擦られて布傷みを生ずるといった不具合が生じることはなく、回転槽5内の洗濯水が遠心力によって洗濯物の中を水が通ることにより洗濯物が洗濯される。
一方、脱水工程では、ブレーキ機構18はギヤケース20の制動を解除した状態にされる。また、クラッチ機構17のカラー49は、図3(c)に示す位置に移動され、上側のスプライン51を下槽軸39bのスプライン54に係合させ、下側のスプライン52を撹拌主軸40のスプライン55と上筒軸27bのスプライン53に係合させることで、槽軸39と撹拌主軸40とギヤケース20の間を連結した状態にある。そして、脱水の場合には、モータ15のロータ32は正方向に回転される。このとき、槽軸39と撹拌主軸40とギヤケース20(内歯車22)はカラー49によって連結されているので、内歯車22と遊星歯車23と太陽歯車26とが一体に連結された状態で回転する状態となる(第2出力状態)。このため、ロータ32の回転は減速されることなく回転軸30からギヤケース20等を介してそのまま撹拌主軸40及び槽軸39に伝達され、回転槽5が撹拌体6と一体的に高速回転し、洗濯物の脱水が行われる。
続いて、前記モータ15について、図4も参照しながら詳述する。
モータ15のステータ31において、ステータコア33は、環状のヨーク部33aと、当該ヨーク部33aの外周部から放射状に突出する多数のティース部33bとを有し、各ティース部33bに、前記ステータコイル34u,34v,34wが巻装されている。
ロータ32は、フレーム32aとロータコア36と複数の永久磁石35a,35bとをモールド樹脂により一体化した構成となっている。フレーム32aは、磁性体である例えば鉄板をプレス加工することで扁平な有底円筒状に形成されている。ロータコア36は、フレーム32aの周側壁の内周部に配置されており、その内周面は、内方に向けて円弧状に突出する複数の凸部36aを有した凹凸状に形成されている。これら複数の凸部36aの内部には、軸方向に貫通し、短辺の長さが異なる矩形状の挿入穴36b,36cが形成されており、それらが1つずつ交互に、環状に配置されている。各挿入穴36b,36cには、永久磁石35a,35bとして、ネオジム磁石35a(第1永久磁石)と、着磁量を容易に変更可能なレベルの保磁力を有するアルニコ磁石35b(第2永久磁石)とが挿入されている。この場合、ネオジム磁石35aの保磁力は約900kA/m、アルニコ磁石35bの保磁力は約100kA/mであり、保磁力が9倍程度異なっている。
また、これら2種類の永久磁石35a,35bは、それぞれ1種類で1磁極を形成しており、その磁化方向がモータ15の径方向に沿うように、例えば各24個ずつ、合計で48個配置されている。このように2種類の永久磁石35a,35bを交互に、且つ、その磁化方向が径方向に沿うように配置することで、隣同士に配置された永久磁石35a,35bが互いに反対方向に磁極を有する状態(一方のN極が内側、他方のN極が外側となる状態)となり、これらネオジム磁石35aとアルニコ磁石35bとの間に例えば矢印Bで示す方向に磁気経路(磁束)が生ずる。即ち、保磁力が大きいネオジム磁石35aと保磁力が小さいアルニコ磁石35bの双方を通過する磁気経路が形成される。
上記モータ15において、各ティース部33bに巻回される複数のU相のステータコイル34u、複数のV相のステータコイル34v、複数のW相のステータコイル34wは直列に接続された上で、これらの直列回路はスター結線されている。そして、モータ15は、前記制御装置7により図5に示す駆動回路71(インバータ制御回路)を介して制御されるようになっている。
図5は、本発明の要旨に関係した電気的概略構成を示すブロック図である。制御装置7は、制御手段としてマイクロコンピュータを主体に構成され、CPU、ROM、RAM(何れも図示せず)等を有し、脱水兼用洗濯機の動作全般を制御する。この制御装置7には、前記操作パネル部69や回転位置センサ70(u,v,w)が接続されると共に、モータ15、給水弁8、排水口10、ステッピングモータ62、を夫々駆動する駆動回路71,72,73,74が接続されている。
回転位置センサ70(u,v,w)は、モータ15の起動時に使用するための例えばホールICからなり、ロータ32側に配置された位置検出手段である。制御装置7は、この回転位置センサ70の検出信号に基づき洗濯運転の制御を行なう機能を有し、モータ15の起動時には、ロータ位置の推定が可能となる回転速度(例えば、約30rpm)まで回転位置センサ70を使用してベクトル制御を行い、上記回転速度(回転数)に達した以降は、回転位置センサ70を使用しないセンサレスベクトル制御に切り替える。
そして、本実施形態では、制御装置7は、ステータコイル34u,34v,34wに励磁電流を発生させてアルニコ磁石35bの着磁量を変化させる着磁量制御手段として構成されており、モータ15を、脱水兼用洗濯機の各工程について要求される特性に適合するように永久磁石35a,35b全体の磁束をダイナミックに変化させる。
具体的には、図6に例示するように、制御装置7は、洗いや、すすぎ工程において、前記減速装置16により減速させた第1出力状態で、要求されるトルクや回転数等の出力特性に適合するよう永久磁石35a,35b全体の着磁量を増加或は減少させる。また、本実施形態の脱水兼用洗濯機は、モータ15の回転が直接的に回転対象負荷に伝達される脱水工程と、減速装置16を介して回転対象負荷に伝達される脱水工程との選択的な実行が可能に構成され、制御装置7は、脱水工程において、第1出力状態或は第2出力状態に切り換えると共に、上記と同様に永久磁石35a,35b全体の着磁量を増加或は減少させる。
ここで、前記アルニコ磁石35bを増磁或は減磁させる場合の処理の流れについて、図7(a)及び(b)のフローチャートを参照しながら説明する。
図7(a)に示すように、アルニコ磁石35bを減磁した状態から増磁させる場合、制御装置7は、回転槽5(モータ15)が回転している時、その回転を停止させるためブレーキ動作を開始する(ステップS1)。モータ15の回転が停止すると(ステップS2:YES)、制御装置7は、アルニコ磁石35bを増磁させるようにd軸電流(ロータ32の磁束に対応した電流成分)を出力する(ステップS3)。この場合、d軸電流を与えることでロータ32の回転位置が固定される。次いで、その状態からロータ32を1電気角度分(1/24機械角分)移動させるように通電相を変化させて(ステップS4)、再度、d軸電流を出力して(ステップS5)処理を終了する。
ここで、図4(a)に示すように、アルニコ磁石35bは時計回りにU,V,W,…の順に並んでおり、例えば最上部のU相を基準にロータ32を位置決めすると、ステータ31のティース部33bが相対するアルニコ磁石35bは、U,W,V,U,W,V,…の1つ置き順となる。従って、ステップS3ではアルニコ磁石35bが1つ置きに増磁され、それらの間に位置するアルニコ磁石35bの増磁は不完全な状態となるが、ステップS4でロータ32を1電気角度分移動させることにより、残りのアルニコ磁石35bひいては全てのアルニコ磁石35bが良好に増磁されることとなる。また、ステップS3においてd軸電流を発生させて最初の増磁を行う場合、それ以前に、回転位置センサ70u,70v,70wにより停止状態にあるロータ32の位置が把握され、その停止位置に応じて通電相が決定されるようになっている。
一方、図7(b)に示す減磁処理は、アルニコ磁石35bを増磁した状態から減磁させる処理であり、ステップS3,S5に対応するステップS8,S10が「減磁電流出力」となっている点で増磁処理と異なる。この点、ステップS3,S5の増磁処理は、例えばd軸電流を0.3秒間で0Aから(+)方向に8Aまで上昇させて、その状態を0.01秒間維持した後、0.1秒間で8Aから0Aに戻すことにより行われる。これに対し、ステップS8,S10の減磁処理は、例えば同じタイミングでd軸電流を(−)方向に8A或は12Aまで上昇させることにより行われる。このような増磁処理や減磁処理を行うことで、アルニコ磁石35bの磁力が、図6の大、中、小で示す3通りの大きさに設定されると共に、当該処理の際に、d軸電流の増減に適度な傾きが付与されて騒音の発生を抑制できる。尚、増磁及び減磁について、何れの処理もモータ15のトルクに対応した電流成分であるq軸電流は「0」とする。また、増磁処理及び減磁処理は、ロータ32の界磁磁力の増減を行う処理であればよく、3段階の磁力の設定つき前述した電流値やタイミングを適宜変更してしもよい。
本実施形態の脱水兼用洗濯機では、上記のように永久磁石35a,35bの磁力を通常よりも大きく或は小さくする制御と、減速装置16による減速の有無の切り換えとが相俟って、従来よりも高トルク或は高速度での洗濯運転が可能とされると共に、多様な負荷に応じた適正な洗濯運転が実行されるようになっている。この洗濯運転の各工程におけるモータ15のトルクや効率について、図8、図9も参照しながら説明する。
図8は、前記通常の洗濯における洗い工程或はすすぎ工程(図6の(1)に対応する。以下、洗い工程(1)と略す)と、脱水工程(図6の(2)に対応する。以下、脱水工程(2)と略す)との双方における、回転対象負荷の回転数とトルクとの関係を模式的に示している。同図の左側に実線で示すように、洗い工程(1)では、モータ15の回転が減速装置16を介して回転対象負荷に伝達されるため、低速度で且つ高トルクが得られる。この場合、破線で示すように増磁処理により永久磁石35a,35b全体の磁束を増加させることで、実線で示した通常の洗いの場合よりも、更にトルクが大きくなると共に速度が抑えられる。一方、洗い工程(1)において、減磁処理により永久磁石35a,35b全体の磁束を減少させることで、通常の場合よりも速度が高まり且つトルクが抑えられる。
図8の右側に実線で示すように、脱水工程(2)において、モータ15の回転が減速されることなく直接的に回転対象負荷に伝達されるため、高速度・低トルクが得られる。この場合、減磁処理により永久磁石35a,35b全体の磁束を減少させることで、実線で示した通常の脱水の速度よりも更に速度が高まり且つトルクが小さくなる一方、増磁処理により永久磁石35a,35b全体の磁束を増加させることで、通常の場合よりもトルクが大きくなると共に速度が抑えられる。また、総合的に観察すると、洗い工程(1)と脱水工程(2)とで減速装置16による減速の有無を切り換えることで、回転対象負荷側に伝達されるトルクと回転数が大きく変化することが解る。また、その第1或は第2出力状態で、増磁処理や減磁処理が行われることで、より高トルク或は高速度回転が得られると共に、多様な負荷(各工程における重負荷或は軽負荷)に応じた特性を得ることができることが解る。
次いで、図9(a)は、洗い工程(1)と脱水工程(2)との双方における、回転対象負荷の回転数とモータ効率との関係を模式的に示している。同図に示すように、洗い工程(1)の場合と脱水工程(2)の場合とで夫々モータ効率が高くなる回転数が大きく相違すると共に、永久磁石35a,35bの磁力について3通りの場合(増磁、通常、減磁)で夫々効率最大となる回転数が異なる。また、洗い工程(1)時の水が排水された脱水工程(2)では、回転対象負荷を高速で回転させることができ、モータ効率も高まる。
図9(b)は、脱水工程(2)に代えて行われる脱水工程(図6の(3)に対応する。以下、脱水工程(3)と略す)が示されている点で図9(a)と異なる。この脱水工程(3)では、減速装置16を介してモータ15の回転が伝達されるため、効率最大となる回転数領域が相対的に小さくなる。この結果、図9(a)と(b)との対比から明らかなように、本実施形態の洗濯機では、低速領域(図の左側)から高速領域(右側)にわたって、モータ15にて効率最大となる回転数を異ならせて運転効率を向上させることができることが解る。ここで、図10は、回転数が低い左側の領域から順に、洗い工程(1)と脱水工程(3)と脱水工程(2)についてのモータ効率を模式的に示している。即ち、これら実線で示す3つの曲線は永久磁石35a,35bの通常の磁力におけるモータ効率であって、脱水工程(2)では、脱水効率を向上させるべく回転対象負荷を高速で回転させることができる。他方、脱水工程(3)にあっては、減速装置16によるトルクの増加作用によって、脱水時のトルクを飛躍的に高めることができ、洗濯物の量が多いとき等に有用なものとなる。また、脱水工程(3)では、減速装置16によって、脱水工程(2)に比し回転数が低くなり且つモータ効率も低下するが、前記増磁処理を行うことで、モータ効率が向上する(矢印C参照)。つまり、制御装置7は、第1出力状態で行われる脱水工程(3)にて増磁処理を実行することで、脱水時のトルクを極力高めつつ、モータ効率をも向上させることができる。
また、本実施形態の制御装置7は、アルニコ磁石35bの着磁量を変化させることを利用して、上記洗濯運転の開始時に回転槽5内の洗濯物の重量検知を行う重量検知手段として構成されている。この重量センシングと洗濯運転について図11を参照しながら説明する。
先ず、洗濯運転を開始すべく、ユーザにより操作パネル部69のスタートスイッチ(図示せず)が操作されると、制御装置7は、アルニコ磁石35bの着磁量を増磁して、第1段階の重量センシングを開始する(ステップA1)。
ここで、制御装置7は、モータ15の回転数を制御パラメータとし、このモータ15の回転数が目標回転数(設定値)に上昇するまでの間に得られるモータ15の出力トルク(q軸電流値)の積算値に基づいて、洗濯物の重量を検知する。即ち、制御装置7は、速度制御により、モータ15の回転数が所定時間(例えば、3分の加速期間)で目標回転数に達するように加速させる。このとき、モータ15の出力トルクは、回転数の上昇に比例するように上昇するが、回転槽5内の洗濯物の重量に応じて出力トルクの上昇態様は異なり、ベクトル制御において得られるq軸電流値にほぼ比例する。そこで、制御装置7は、上記の加速期間において、q軸電流値(出力トルクに相当する)を一定時間毎にサンプリングして積分(積算)し続けることで、洗濯物の重量を推定する。
制御装置7は、この重量センシングの後、検知された重量が所定のしきい値T1(例えば、3kg)よりも大きいか否かを判断する(ステップA2)。検知重量がしきい値T1よりも大きい場合、検知重量に基づいて、水受槽3内に給水する水量や各工程の実行時間などを設定し、洗い工程(ステップA3)、すすぎ工程(ステップA4)、脱水工程(ステップA5)を順に実行する。また、制御装置7は、各工程において、前述のように検知重量等の回転負荷に対応して、モータ15の出力特性を変化させると共に減速装置16(伝達機構14)による減速の有無の切り換えを行い、当該負荷に応じた適正なトルクと回転速度で回転対象負荷を回転させる。
ここで、ステップA1において、正確な重量検知が可能な範囲について図12を参照しながら説明する。
図12(a)は、アルニコ磁石35bの着磁量を増磁した状態における洗濯物の重量とモータ15の出力トルクとの関係を示している。この場合、回転槽5内の洗濯物の重量が重ければ、洗濯物の重量が回転槽5(モータ15)に伝達され易くなることから、洗濯物量に対するモータ15の出力トルク(q軸電流値)の変化量も大きくなる。従って、洗濯物の重量が重ければ、アルニコ磁石35bの着磁量を増磁した状態で洗濯物の重量を正確に検知することができ、信頼性の高い重量検知結果を得ることができる。
しかし、回転槽5内に投入されている洗濯物の重量が軽ければ、洗濯物の重量が回転槽5(モータ15)に伝達され難くなることから、洗濯物量に対するモータ15の出力トルクの変化量が急激に小さくなる。従って、アルニコ磁石35bの着磁量を増磁した状態では、重量検知結果が不正確で信頼性の低いものとなってしまう。このように、ステップA1(増磁状態)の重量センシングにおいて、洗濯物が重く重負荷となる場合には、正確で信頼性の高い重量検知を行うことができる一方、洗濯物の重量が軽く軽負荷となる場合には、正確で信頼性の高い重量検知が困難となる。
そこで、上記ステップA2において、検知重量がしきい値T1以下である場合(NO)、制御装置7は、アルニコ磁石35bの着磁量を減磁して、第2段階の重量センシングを行う(ステップA6)。図12(b)に示すように、アルニコ磁石35bの着磁量を減磁すると、アルニコ磁石35bの着磁量を増磁したときに比べ、洗濯物量に対するモータ15の出力トルクの変化が緩やかなものとなる。これにより、軽負荷の場合であっても、洗濯物量に対するモータ15の出力トルクの変化量が急激に小さくなることがなく、正確で信頼性の高い検知重量を得ることができる。そして、制御装置7は、その軽負荷に対応した前述の態様で、洗い工程(ステップA3)、すすぎ工程(ステップA4)、脱水工程(ステップA5)を順に実行する。
以上に説明したように本実施形態の脱水兼用洗濯機は、モータ15の回転を減速して回転対象負荷に伝達する第1出力状態と、モータ15の回転を減速することなく回転対象負荷に直接伝達する第2出力状態とに切り換え可能に構成された伝達機構14を備え、モータ15は、ステータコイル34に励磁電流を発生させることで、永久磁石35bの着磁量を変化させる構成とした。これによれば、回転槽5等の負荷に応じて、モータ15の出力特性が最適となるように永久磁石35bの磁束を増減させることができる。また、伝達機構14によって第1出力状態では高トルクが得られる一方、第2出力状態では回転対象負荷を直接的に高速度で回転させることができる。従って、夫々の出力状態で永久磁石35bの磁束を増減させることで、より大きなトルク或は高い回転速度を得ることができると共に、モータの運転効率を向上させることができる。
前記脱水兼用洗濯機は、洗い工程(1)において、伝達機構14の第1出力状態で、回転対象負荷の負荷に応じて永久磁石35bの着磁量を増加あるいは減少させ、脱水工程(2)(3)において、伝達機構14の第2出力状態で、回転対象負荷の負荷に応じて永久磁石35bの着磁量を増加あるいは減少させる構成とした。これによれば、洗い時の増磁により、伝達機構14におけるトルクの増加作用と相俟って、重負荷に対応した更なる高トルクを得ることができるだけでなく、洗い時の減磁により、モータ15を軽負荷に対応した特性に変化させることができる。また、脱水時に伝達機構14で減速されない脱水工程(2)では、減磁により更なる高速度で回転させて脱水効率を高めることができる一方、増磁により重負荷に対応するようにトルクを増加させることができ、モータ15の運転効率を向上させることができる。
前記脱水兼用洗濯機は、前記第2出力状態での脱水工程(2)と、この脱水工程に代えて実行される前記第1出力状態での脱水工程(3)との実行が可能に構成した。これによれば、脱水工程(3)にて脱水工程(2)よりも高トルク低速度で回転させることができ、特に重負荷の場合に好適なものとすることができる。
<第2実施形態>
図13は、本発明の第2実施形態を示すものであり、既述の部分と同一部分には同一符号を付す等して説明を省略し、以下異なる点につき説明する。
図13の模式図で省略されているが、第2実施形態の伝達機構は、周知のクラッチ機構と減速機構を備えた構成とされる。そして、本第2実施形態の洗濯機では、回転槽5を停止させた状態で、モータ15の回転を回転軸30´(図13参照)を介し撹拌体6に伝達してこれを比較的低速で正逆回転させる洗い工程(前記通常の洗濯を行う洗い工程(1))と、回転槽5の停止状態を解除し、モータ15の回転を回転槽5及び撹拌体6に伝達して両者を比較的高速で一体的に回転させる脱水工程(2)或は(3)との実行が可能に構成されている。この場合、ロータ32は回転軸30´の下端部に直接に取付け固定されており、当該回転軸30´は、一対の軸受手段29´、38´により回転可能で且つ軸方向への移動可能に支持されている。尚、軸受手段としては、すべり軸受け等、各種の軸受けを採用することができ、第1実施形態の筒軸28aのような筒体であってもよい。
また、前記ケーシング19内には、ステータ31に対して、ロータ32を、軸方向へ相対的に移動させる移動機構(移動手段)80が設けられている。移動機構80は、回転軸30´の周りに位置してケーシング19に取付け固定された一対のソレノイド81,82と、回転軸30´に取付け固定された永久磁石83とを備えている。この移動機構80は、前記制御装置7によるスイッチ回路84(SW1,SW2)の切り換えにより制御され、ソレノイド81,82が各別に通電されることで、永久磁石83を回転軸30´ごと移動させる。
上記構成において、SW2のオン(SW1のオフ)により、ソレノイド82が通電されて作動状態になると、永久磁石83が図13中、上側へ回転軸30´及びロータ32と共に移動されることで、当該ロータ32は、ステータ31の磁気的中心に対して、径方向に対向した位置から軸方向へ相対的にずれる(同図の破線参照)。この状態において、SW1がオン(SW2のオフ)に切り換わると、ソレノイド81が通電されて作動状態になり、永久磁石83と回転軸30´とロータ32が一体的に下側へ移動されることで、当該ロータ32は、ステータ31に対して径方向に対向した位置に復帰する。
従って、洗濯運転(各工程(1)〜(3))に際して、移動機構80によりロータ32とステータ31との間の位置関係をずらすことで、通常の場合よりもステータ31に作用する磁束量が少なく(相対的な磁力を弱く)なるため、回転対象負荷を、より低トルク高速度で回転させ易くすることができる。また、この場合、ソレノイド81,82を用いた比較的簡単な構成でロータ32を往復移動させることができると共に、電流の進み角を少なくでき、省エネルギー効果を得ることができる。
尚、本発明は上記した脱水兼用洗濯機(縦形洗濯機)に限定されるものではなく、ドラム式洗濯機や衣類乾燥機等、ランドリー機器全般に適用できるものである。
前記伝達手段としては、前記第1出力状態または前記第2出力状態でモータの回転を回転対象負荷に伝達するものであればよく、各種の減速機構やクラッチ機構を採用することができる。前記移動手段は、移動機構80に限定されるものではなく、ロータ32をステータ31に対して軸方向へ移動させるものであればよい。着磁量を変更可能な永久磁石の数は、上記の数に限定されるものではなく、例えば、全ての永久磁石をアルニコ磁石35bで構成してもよい。
図面中、5は回転槽、14は伝達手段、15はモータ、31はステータ、32はロータ、34はステータコイル、36はロータコア、35a,35bは永久磁石、80は移動手段を示す。

Claims (4)

  1. 回転槽などの回転対象負荷を回転するためのモータを具備したランドリー機器において、
    前記モータの回転を減速して前記回転対象負荷に伝達する第1出力状態と、前記モータの回転を減速することなく前記回転対象負荷に直接伝達する第2出力状態とに切り換え可能に構成され、前記第1出力状態または前記第2出力状態で前記モータの回転を前記回転対象負荷に伝達する伝達手段を備え、
    前記モータは、ステータコイルを有するステータと、ロータコアを有するロータと、前記ロータコアに挿入され、着磁量を容易に変更可能なレベルの保磁力を有する永久磁石とを備え、前記ステータコイルに励磁電流を発生させることで、前記永久磁石の着磁量を変化させる構成としたことを特徴とするランドリー機器。
  2. 前記ランドリー機器が、前記モータを低速領域で回転させる洗い工程と、前記モータを高速領域で回転させる脱水工程とを実行するように構成されている場合、
    前記洗い工程において、前記伝達手段の前記第1出力状態で、前記回転対象負荷の負荷に応じて前記永久磁石の着磁量を増加あるいは減少させ、
    前記脱水工程において、前記伝達手段の前記第2出力状態で、前記回転対象負荷の負荷に応じて前記永久磁石の着磁量を増加あるいは減少させることを特徴とする請求項1記載のランドリー機器。
  3. 前記伝達手段の前記第2出力状態での脱水工程と、この脱水工程に代えて実行される前記伝達手段の前記第1出力状態での脱水工程との実行が可能とされていることを特徴とする請求項2記載のランドリー機器。
  4. 前記ステータの磁気的中心に対して、前記ロータを、径方向に対向させた位置と軸方向へ相対的にずらした位置との間で移動させる移動手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のランドリー機器。
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