JP2005313295A - 平坦物保持用の定盤 - Google Patents
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Abstract
【目的】平坦性、平滑性とともに、軽量性、熱膨張性、耐食性、機械的強度に
優れた定盤を提供する。
【構成】式:Al2TiO5又はMgxAl2(1-x)Ti(1+x)O5(式中、0<x<1)で表わされるチタン酸アルミニウム又はチタン酸アルミニウムマグネシウムにおける各金属成分比と同様の金属成分比率で含む、Al含有化合物、Ti含有化合物、必要に応じてMg含有化合物を含む混合物(X成分)を、酸化物換算量として100質量部と、組成式:(NayK1-y)AlSi3O8(式中、0≦y≦1)で表わされるアルカリ長石、Mgを含むスピネル型構造の酸化物、又はMgO若しくは焼成によりMgOに転化するMg含有化合物(Y成分という)を1〜10質量部とを含有する原料混合物を1000〜1700℃で焼成したチタン酸アルミニウム又はチタン酸アルミニウムマグネシウム焼結体からなる定盤。
【選択図】なし
優れた定盤を提供する。
【構成】式:Al2TiO5又はMgxAl2(1-x)Ti(1+x)O5(式中、0<x<1)で表わされるチタン酸アルミニウム又はチタン酸アルミニウムマグネシウムにおける各金属成分比と同様の金属成分比率で含む、Al含有化合物、Ti含有化合物、必要に応じてMg含有化合物を含む混合物(X成分)を、酸化物換算量として100質量部と、組成式:(NayK1-y)AlSi3O8(式中、0≦y≦1)で表わされるアルカリ長石、Mgを含むスピネル型構造の酸化物、又はMgO若しくは焼成によりMgOに転化するMg含有化合物(Y成分という)を1〜10質量部とを含有する原料混合物を1000〜1700℃で焼成したチタン酸アルミニウム又はチタン酸アルミニウムマグネシウム焼結体からなる定盤。
【選択図】なし
Description
本発明は、ウェーハ研磨装置におけるウェーハや、プラズマディスプレー及び液晶ディスプレー装置用のガラス板などの保持に使用される定盤に関するものである。
半導体集積回路の製造におけるウェーハの研磨は必須の工程であり、従来から種々の研磨装置により実施されているが、このような研磨装置では、ウェーハを載置、保持するために平坦性、平滑性の高い回転定盤が使用されている。近年におけるウェーハの大直径化やそれを用いて製作されるデバイスの高精度化やコストの競争により、定盤に対しても、高度な平坦度や平滑性などが要求されつつある。
また、プラズマディスプレー及び液晶ディスプレー装置では大型の平坦なガラス板が使用されるが、その研磨や種々の作業工程でこの平坦なガラスを載置、保持するために定盤が使用されている。この場合の定盤に対してもディスプレーの大型化や仕上げ精度の点からして、高度な平坦度や平滑性などが要求されつつある。
また、上記のような用途において使用される定盤は、その表面の厳しい平坦性や平滑性に加えて、研磨剤などに対する耐食性、回転する動力の小さい軽量性、取り扱いに容易な機械的強度などが要求されるが、同時に、作業工程における環境が変化してもこれらの特性を保持するために、熱的寸法安定性、低熱膨張性などが要求される。
従来、定盤の材料として、御影石などの天然石や高純度アルミナなどのセラミックスが使用されている。しかし、これら従来の材料は、特に保持する対象物が大型化した場合には、平坦性や平滑性の大きいものの入手が困難になってきており、また、特性においても、概して、熱膨張性係数がそれほど小さくないために、摩擦や作業条件の温度変化にも微小な寸法誤差を引き起こすなどの点でなお特性的に不十分であり、さらに価額の点でも不満足である。
特許3118319号公報
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、表面の優れた平坦性とともに、軽量性、耐食性、機械的強度、さらには、研磨条件や作業条件の変化してもこれらの特性を安定的に保持する、熱的寸法安定性などが高い定盤を提供することにある。
本発明者は、上記の目的を達成すべく研究を進めたところ、定盤の材料として、特定のチタン酸アルミニウム焼結体又はチタン酸アルミニウムマグネシウム焼結体を使用することにより、上記の目的が達成できることが見出した。
即ち、本発明者は、特定のチタン酸アルミニウム焼結体又はチタン酸アルミニウムマグネシウム焼結体が、耐熱性及び耐食性に優れ、小さい熱膨張係数を有するために寸法安定性にも優れ、かつ機械的強度も大きいために定盤として極めて優れていることを見出し、本発明に到達したものである。
かかる本発明は、次の要旨を有するものである。
(1)組成式:Al2TiO5又はMgxAl2(1-x)Ti(1+x)O5(式中、0<x<1)で表わされるチタン酸アルミニウム又はチタン酸アルミニウムマグネシウムにおける金属成分比と同様の金属成分比で含む、Al含有化合物、Ti含有化合物、必要に応じてMg含有化合物を含む混合物(X成分)を酸化物換算量として100質量部と、組成式:(NayK1-y)AlSi3O8(式中、0≦y≦1)で表わされるアルカリ長石、Mgを含むスピネル型構造の酸化物、又はMgO若しくは焼成によりMgOに転化するMg含有化合物(Y成分という)を酸化物換算量として1〜10質量部とを含有する原料混合物を1000〜1700℃で焼成したチタン酸アルミニウム又はチタン酸アルミニウムマグネシウム焼結体から形成することを特徴とする定盤。
(2)X成分がAl2TiO5で表わされるチタン酸アルミニウムにおける各金属成分比と同様の金属成分比率で含む、Al含有化合物及びTi含有化合物を含む混合物であり、かつY成分が、(NayK1-y)AlSi3O8(式中、0≦y≦1)で表わされるアルカリ長石と、Mgを含むスピネル型構造の酸化物及び/又はMgO若しくは焼成によりMgOに転化するMg含有化合物と、の混合物である上記(1)に記載の定盤。
(3)X成分がMgxAl2(1-x)Ti(1+x)O5(式中、0<x<1)で表わされるチタン酸アルミニウムマグネシウムにおける各金属成分比と同様の金属成分比率で含む、Al含有化合物、Ti含有化合物及びMg含有化合物を含む混合物であり、かつY成分が組成式:(NayK1-y)AlSi3O8(式中、0≦y≦1)で表わされるアルカリ長石である上記(1)に記載の定盤。
(4)原料混合物に成形助剤を加えて混練して盤状体に成形し、該成形物を焼成してなる請求項1〜3のいずれかに記載の定盤。
(5)ウェーハ研磨装置用である請求項1〜4のいずれかに記載の定盤。
(6)プラズマ若しくは液晶ディスプレー用ガラス板保持用である請求項1〜4のいずれかに記載の定盤。
(1)組成式:Al2TiO5又はMgxAl2(1-x)Ti(1+x)O5(式中、0<x<1)で表わされるチタン酸アルミニウム又はチタン酸アルミニウムマグネシウムにおける金属成分比と同様の金属成分比で含む、Al含有化合物、Ti含有化合物、必要に応じてMg含有化合物を含む混合物(X成分)を酸化物換算量として100質量部と、組成式:(NayK1-y)AlSi3O8(式中、0≦y≦1)で表わされるアルカリ長石、Mgを含むスピネル型構造の酸化物、又はMgO若しくは焼成によりMgOに転化するMg含有化合物(Y成分という)を酸化物換算量として1〜10質量部とを含有する原料混合物を1000〜1700℃で焼成したチタン酸アルミニウム又はチタン酸アルミニウムマグネシウム焼結体から形成することを特徴とする定盤。
(2)X成分がAl2TiO5で表わされるチタン酸アルミニウムにおける各金属成分比と同様の金属成分比率で含む、Al含有化合物及びTi含有化合物を含む混合物であり、かつY成分が、(NayK1-y)AlSi3O8(式中、0≦y≦1)で表わされるアルカリ長石と、Mgを含むスピネル型構造の酸化物及び/又はMgO若しくは焼成によりMgOに転化するMg含有化合物と、の混合物である上記(1)に記載の定盤。
(3)X成分がMgxAl2(1-x)Ti(1+x)O5(式中、0<x<1)で表わされるチタン酸アルミニウムマグネシウムにおける各金属成分比と同様の金属成分比率で含む、Al含有化合物、Ti含有化合物及びMg含有化合物を含む混合物であり、かつY成分が組成式:(NayK1-y)AlSi3O8(式中、0≦y≦1)で表わされるアルカリ長石である上記(1)に記載の定盤。
(4)原料混合物に成形助剤を加えて混練して盤状体に成形し、該成形物を焼成してなる請求項1〜3のいずれかに記載の定盤。
(5)ウェーハ研磨装置用である請求項1〜4のいずれかに記載の定盤。
(6)プラズマ若しくは液晶ディスプレー用ガラス板保持用である請求項1〜4のいずれかに記載の定盤。
本発明による定盤は、成形性、耐食性、軽量性や機械的強度に優れ、小さい熱膨張係数を有するために寸法安定性も優れたセラミック材料から形成される。このため、定盤は、表面の優れた平坦性、平滑性を有し、研磨剤などに対する耐食性、回転する動力の小さい軽量性、取り扱いに容易な機械的強度を有し、同時に研磨条件や作業条件が変化してもこれらの特性が保持できるために、仕上げ精度の優れたウェーハや、プラズマディスプレー及び液晶ディスプレー装置用のガラス板などが製造できる。
本発明の定盤は、組成式:Al2TiO5、又はMgxAl2(1-x)Ti(1+x)O5(式中、0<x<1)で表わされるチタン酸アルミニウム又はチタン酸アルミニウムマグネシウムにおける金属成分比と同様の金属成分比で含む、Al含有化合物、Ti含有化合物、必要に応じてMg含有化合物を含む混合物(X成分)を酸化物換算量として100質量部と、組成式:(NayK1-y)AlSi3O8(式中、0≦y≦1)で表わされるアルカリ長石、Mgを含むスピネル型構造の酸化物、又はMgO若しくは焼成によりMgOに転化するMg含有化合物(Y成分という)を酸化物換算量として1〜10質量部とを含有する原料混合物を1000〜1700℃で焼成したチタン酸アルミニウム又はチタン酸アルミニウムマグネシウム焼結体から形成される。
上記におけるX成分を形成する、Al含有化合物、Ti含有化合物、及び必要に応じて含まれる、Mg含有化合物は、焼成により、組成式:Al2TiO5、又はMgxAl2(1-x)Ti(1+x)O5(式中、0<x<1)で表わされるチタン酸アルミニウム、又はチタン酸アルミニウムマグネシウムを形成する成分であれば特に限定なく使用できる。Mg含有化合物、Al含有化合物、及びTi含有化合物としては、それぞれ別個の化合物でなくてもよく、2種以上の金属成分を含む化合物であってもよい。
これらの化合物は、通常、アルミナセラミクス、チタニアセラミクス、マグネシアセラミクス、チタン酸アルミニウムセラミクス、チタン酸マグネシウムセラミクス、スピネルセラミクス、チタン酸アルミニウムマグネシウムセラミクスなどの各種セラミクスの原料として用いられるもののうちから適宜選択して用いればよい。このような化合物の具体例としては、Al2O3、TiO2、MgOなどの酸化物、MgAl2O4、Al2TiO5、MgとTiを含む各スピネル型構造体などの2種類以上の金属成分を含む複合酸化物、Al、Ti及びMgからなる群から選ばれた1種又は2種以上の金属成分を含む化合物(炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩など)などを例示できる。
上記Al含有化合物、Ti含有化合物、及びMg含有化合物、の混合割合はこれらの化合物に含まれる金属成分の比率が、上記した組成式:Al2TiO5、又は、MgxAl2(1-x)Ti(1+x)O5(式中、0<x<1であり、好ましくは0.2≦x≦0.8である)で表わされるチタン酸アルミニウムマグネシウムにおけるMg、Al及びTiの金属成分比と同様の比率、好ましくは実質的に同一の比率となるようにすればよい。このような割合で上記各化合物を混合して用いることによって、原料として用いた混合物における金属成分比と同様の金属成分比を有するチタン酸アルミニウム、又はチタン酸アルミニウムマグネシウムを得ることができる。
上記したX成分に対して、混合されるY成分は、アルカリ長石、Mgを含むスピネル型構造の酸化物、又はMgO若しくは焼成によりMgOに転化するMg含有化合物からなる。Y成分の1つである、アルカリ長石は、組成式:(NayK1-y)AlSi3O8で表わされるものが使用される。式中、yは、0≦y≦1を満足し、0.1≦y≦1が好ましく、特に、0.15≦y≦0.85が好ましい。この範囲のy値を有するアルカリ長石は融点が低く、チタン酸アルミニウムの焼結促進に特に有効である。
別のY成分である、Mgを含むスピネル型構造の酸化物としては、例えば、MgAl2O4、MgTi2O4などを用いることができる。このようなスピネル型構造の酸化物としては、天然鉱物でもよく、またMgOとAl2O3を含む物質、MgOとTiO2を含む物質又は該物質を焼成して得たスピネル型酸化物を用いてもよい。また、異なる種類のスピネル型構造を有する酸化物を2種以上混合して用いてもよい。また、MgO前駆体としては、焼成することによりMgOを形成するものであるならばいずれも使用でき、例えば、MgCO3、Mg(NO3)2、MgSO4、又はその混合物などが挙げられる。
上記X成分とY成分との混合割合は重要であり、X成分に100質量部に対してY成分が1〜10質量部とされる。なお、これは、X成分とY成分のそれぞれは、酸化物としての割合であり、酸化物以外の原料を使用した場合には、酸化物に換算した値とされる。X成分100質量部に対するY成分が、1質量部より小さい場合には、Y成分の添加効果が、焼結体の特性を改善する効果が小さい。逆に、10質量部を越える場合にはチタン酸アルミニウム又はチタン酸アルミニウムマグネシウム結晶へのSiまたはMg元素の固溶限を大きく超えるため、過剰に添加された余剰成分が焼結体に単独の酸化物として存在し、特に熱膨張係数を大きくする結果を招くことになり不適当である。なかでも、X成分100質量部に対するY成分は、3〜7質量部が好適である。
本発明では、上記X成分が、組成式:Al2TiO5で表わされるチタン酸アルミニウムにおける金属成分比と同様の金属成分比率で含む、Al含有化合物、及びTi含有化合物を含む混合物であり、かつ、上記Y成分が、組成式:(NayK1-y)AlSi3O8で表わされるアルカリ長石と、Mgを含むスピネル型構造の酸化物及び/又はMgO若しくはその前駆体と、の混合物である場合、優れた特性のチタン酸アルミニウム焼結体が得られるので好ましい。この場合、Y成分である、上記アルカリ長石と、Mgを含むスピネル型構造の酸化物及び/又はMgO若しくはその前駆体と、の混合物は、前者/後者の比率が好ましくは、2〜6/8〜4、特には3.5〜4.5/6.5〜5.5とするのが好適である。
さらに、本発明では、上記X成分が、MgxAl2(1-x)Ti(1+x)O5(式中、0<x<1)で表わされるチタン酸アルミニウムマグネシウムにおける金属成分比と同様の金属成分比率で含む、Al含有化合物、Ti含有化合物及びMg含有化合物を含む混合物であり、かつ、上記Y成分が、組成式:(NayK1-y)AlSi3O8で表わされるアルカリ長石である場合、特に優れた特性のチタン酸アルミニウムマグネシウム焼結体が得られるので好ましい。
本発明では、上記のX成分及びY成分のほかに、必要に応じて他の焼結助剤を使用することができ、得られる焼結体の性質を改善できる。他の焼結助剤としては、例えば、SiO2、ZrO2、FeO3、CaO、Y2O3などが挙げられる。
上記のX成分及びY成分を含む原料混合物は、充分に混合し、粉砕される。原料混合物の混合、粉砕については、特に限定的でなく既知の方法に従って行われる。例えば、ボールミル、媒体攪拌ミルなどを用いて行えばよい。原料混合物の粉砕の程度は、特に限定的でないが、平均粒子径が好ましくは30μm以下、特に好ましくは8〜15μmが好適である。これは、二次粒子が形成されない範囲であればできるだけ小さい方が好適である。
原料混合物には、好ましくは、成形助剤を配合することができる。成形助剤としては、結合剤、離型剤、消泡剤、及び解こう剤などの既知のものが使用できる。結合剤としては、ポリビニルアルコール、マイクロワックスエマルジョン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどが好ましい。離型剤としては、ステアリン酸エマルジョンなどが、消泡剤としては、n−オクチルアルコール、オクチルフェノキシエタノールなどが、解こう剤としては、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどが好ましい。
成形助剤の使用量については特に限定的ではないが、本発明の場合には、原料として用いるX成分、Y成分(酸化物として換算)の合計量100質量部に対して、いずれも固形物換算でそれぞれ以下の範囲とするのが好適である。すなわち、結合剤を好ましくは0.2〜0.6質量部程度、造孔剤を好ましくは40〜60質量部程度、離型剤を好ましくは0.2〜0.7質量部程度、消泡剤を好ましくは0.5〜1.5質量部程度、及び解こう剤を好ましくは0.5〜1.5質量部程度用いるのが好適である。
上記成形助剤を加えた原料混合物は混合、混練して押出し成形可能に可塑化したものを押出成形により研磨装置の定盤の形状である盤状体に成形する。押出成形の方法については既知の方法が使用できる。成形体は、好ましくは乾燥し、次いで1250〜1700℃、好ましくは1300〜1450℃にて焼成される。焼成雰囲気については特に限定がなく、通常採用されている空気中などの含酸素雰囲気が好ましい。焼成時間は、焼結が充分に進行するまで焼成すればよく、通常は1〜20時間程度が採用される。
上記焼成の際の昇温速度や降温速度についても特に制限はなく、得られる焼結体にクラックなどが入らないような条件を適宜設定すればよい。例えば、原料混合物中に含まれる水分、結合剤などの成形助剤を充分に除去するために急激に昇温することなく、徐々に昇温することが好ましい。また、上記した焼成温度に加熱する前に、必要に応じて、好ましくは500〜1000℃程度の温度範囲において、10〜30時間程度の穏やかな昇温により焼成結を行うことが好ましい。この場合、チタン酸アルミニウム又はチタン酸アルミニウムマグネシウムが形成する際におけるクラック発生の原因となる焼結体内の応力を緩和することができ、焼結体中のクラックの発生を抑制して緻密でかつ均一な焼結体を得ることができる。
このようにして得られる焼結体は、X成分から形成されるチタン酸アルミニウム又はチタン酸アルミニウムマグネシウムを基本成分として、Y成分である、アルカリ長石に含まれるSi成分や、Mgを含むスピネル型構造の酸化物、MgO若しくは焼成によりMgOに転化するMg含有化合物に由来するMg成分がチタン酸アルミニウムの結晶格子中に固溶したものとなる。このような焼結体は、上記したように、高い機械的強度と低熱膨張係数を兼ね備え、しかも結晶構造が安定化されていることにより、優れた熱分解耐性を有する焼結体となる。
上記チタン酸アルミニウム又はチタン酸アルミニウムマグネシウムの焼結体からなる定盤は、円盤状や角盤状の形態をとることができ、厚みが例えば、5〜200mm、好ましくは10〜100mm、熱膨張係数は、例えば、3.0×10-6K-1以下、好ましくは1.0×10-6K-1以下である。この定盤は、0℃〜200℃程度の高温下においてもチタン酸アルミニウム又はチタン酸アルミニウムマグネシウムは、熱膨張係数が小さく、温度変化に安定して使用できる。
図1は、本発明の定盤を使用するウェーハ研磨装置の一例の概略構成図で7ある。図1において、研磨装置1は定盤2を備えている。この定盤2は、図示しないモータによって、軸2aを中心に回転駆動されるように構成されている。この定盤2には研磨布3が張設されている。この場合の研磨布3は特に限定はされないが不織布で形成されている。また、定盤2上には特に限定はされないが複数の研磨ヘッド5が設けられている。これら研磨ヘッド5は自身の軸5aを中心に回転可能に構成されている。また、研磨ヘッド5は図示しない昇降手段(例えばシリンダ装置)によって上下動可能に構成されている。
前記研磨ヘッド5の下方には,ウェーハ吸着盤6が設置可能となっている。このウェーハ保持盤6にはウェーハWが接着されている。図1において符号7はワックスである。このウェーハ保持盤6を研磨ヘッド5の下方に設置する場合には、貼り付けたウェーハWが下側になるように設置される。
また、定盤2の中央部上方にはスラリーノズル4が設置されている。このスラリーノズル4はスラリー供給装置(図示せず)に連結されている。そして、このスラリー供給装置からスラリーノズル4に適宜に研磨スラリーが供給されるようになっている。この場合の研磨スラリーとしては特に制限はされないがコロイダルシリカを含有するアルカリ溶液が供給される。
この研磨装置1では、研磨定盤2を図示しないモータによって回転させると共に、スラリーノズル4から研磨スラリーを供給する。この場合、研磨定盤2が回転すると、ウェーハ吸着盤6ひいては研磨ヘッド5も連れ回りする。これによって、ウェーハWは研磨布3に対して摺擦され、ウェーハWの研磨がなされる。
上記のように、本発明のチタン酸アルミニウム又はチタン酸アルミニウムマグネシウム焼結体の定盤は、耐熱性に優れ、小さい熱膨張係数、耐熱衝撃性を維持しながら、かつ大きい機械的強度を有するので信頼性が高い。
なお、上記では、本発明の定盤をウェーハ研磨装置に使用する例について説明したが、本発明の定盤は、既知の方法にて、プラズマディスプレー及び液晶ディスプレー装置用のガラス板などの保持に良好に使用される。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるべきではないことはもちろんである。
実施例1
易焼結性α型アルミナを56.1質量%(50モル%)、及びアナターゼ型酸化チタンを43.9質量%(50モル%)からなる混合物100質量部に対して、添加剤として(Na0.6K0.4)AlSi3O8で表されるアルカリ長石を4質量部、バインダーとしてポリビニルアルコールを0.25質量部、解こう剤としてジエチルアミンを1質量部、消泡剤としてポリプロピレングリコール0.5質量部を加えてボールミルで3時間混合後、120℃の乾燥機で12時間以上乾燥させて原料粉末を得た。
易焼結性α型アルミナを56.1質量%(50モル%)、及びアナターゼ型酸化チタンを43.9質量%(50モル%)からなる混合物100質量部に対して、添加剤として(Na0.6K0.4)AlSi3O8で表されるアルカリ長石を4質量部、バインダーとしてポリビニルアルコールを0.25質量部、解こう剤としてジエチルアミンを1質量部、消泡剤としてポリプロピレングリコール0.5質量部を加えてボールミルで3時間混合後、120℃の乾燥機で12時間以上乾燥させて原料粉末を得た。
得られた原料粉末を平均粒径10μm以下に粉砕し、CIP成形により、盤状体に成形し、この成形体を乾燥した後、1500℃にて2時間大気中で焼成した。得られた定盤は、直径は750mm、厚さ10mmであった。
実施例2
易焼結性α型アルミナを56.1質量%(50モル%)、及びアナターゼ型酸化チタンを43.9質量%(50モル%)からなる混合物100質量部に対して、(Na0.6K0.4)AlSi3O8で表されるアルカリ長石を4質量部、化学式:MgAl2O4で表わされるスピネル型化合物を6質量部、バインダーとしてポリビニルアルコールを0.25質量部、解こう剤としてジエチルアミンを1質量部、消泡剤としてポリプロピレングリコール0.5質量部を加えてボールミルで3時間混合後、120℃で乾燥機で12時間以上乾燥させて原料粉末を得た。
易焼結性α型アルミナを56.1質量%(50モル%)、及びアナターゼ型酸化チタンを43.9質量%(50モル%)からなる混合物100質量部に対して、(Na0.6K0.4)AlSi3O8で表されるアルカリ長石を4質量部、化学式:MgAl2O4で表わされるスピネル型化合物を6質量部、バインダーとしてポリビニルアルコールを0.25質量部、解こう剤としてジエチルアミンを1質量部、消泡剤としてポリプロピレングリコール0.5質量部を加えてボールミルで3時間混合後、120℃で乾燥機で12時間以上乾燥させて原料粉末を得た。
得られた原料粉末を使用して、実施例1と同様にして粉砕、成形、乾燥、及び焼成を行うことにより同じ寸法の定盤を得た。
実施例3(比較例)
実施例1において、アルカリ長石を使用しないほかは全く同様に実施することにより原料粉末を得た。得られた原料粉末を使用して、実施例1と同様にして粉砕、成形、乾燥、及び焼成を行うことにより同じ寸法の定盤を得た。
実施例1において、アルカリ長石を使用しないほかは全く同様に実施することにより原料粉末を得た。得られた原料粉末を使用して、実施例1と同様にして粉砕、成形、乾燥、及び焼成を行うことにより同じ寸法の定盤を得た。
実施例4
易焼結性α型アルミナを26.7質量%(20モル%)、アナターゼ型酸化チタンを62.8質量%(60モル%)、及び天然鉱物として存在するペリクレース(periclase)型の酸化マグネシウムを10.5質量%(20モル%)からなる混合物100質量部に対して、(Na0.6K0.4)AlSi3O8で表されるアルカリ長石を4質量部、バインダーとしてポリビニルアルコールを0.25質量部、解こう剤としてジエチルアミンを1質量部、消泡剤としてポリプロピレングリコール0.5質量部を加えてボールミルで3時間混合後、120℃の乾燥機で12時間以上乾燥させて原料粉末を得た。
易焼結性α型アルミナを26.7質量%(20モル%)、アナターゼ型酸化チタンを62.8質量%(60モル%)、及び天然鉱物として存在するペリクレース(periclase)型の酸化マグネシウムを10.5質量%(20モル%)からなる混合物100質量部に対して、(Na0.6K0.4)AlSi3O8で表されるアルカリ長石を4質量部、バインダーとしてポリビニルアルコールを0.25質量部、解こう剤としてジエチルアミンを1質量部、消泡剤としてポリプロピレングリコール0.5質量部を加えてボールミルで3時間混合後、120℃の乾燥機で12時間以上乾燥させて原料粉末を得た。
得られた原料粉末を使用して、実施例1と同様にして粉砕、成形、乾燥、及び焼成を行うことにより同じ寸法の定盤を得た。
[特性試験]
上記の実施例1〜4で得られた定盤について、比重、平滑度(μm)、0℃〜200℃における熱膨張係数(×10-6K-1)、及び3点曲げ強度(MPa)を測定し、その結果を表1に示した。なお、平滑度は、JISB0601(表面平均粗さ(Ra)、膨張係数は、JISR1618、及び3点曲げ強度は、JISR1601に準拠する方法でそれぞれ測定した。結果を表1に示す。
[特性試験]
上記の実施例1〜4で得られた定盤について、比重、平滑度(μm)、0℃〜200℃における熱膨張係数(×10-6K-1)、及び3点曲げ強度(MPa)を測定し、その結果を表1に示した。なお、平滑度は、JISB0601(表面平均粗さ(Ra)、膨張係数は、JISR1618、及び3点曲げ強度は、JISR1601に準拠する方法でそれぞれ測定した。結果を表1に示す。
1:研磨装置 2:定盤
3:研磨布 4:スラリーノズル
5:研磨ヘッド 6:ウェーハ吸着盤
3:研磨布 4:スラリーノズル
5:研磨ヘッド 6:ウェーハ吸着盤
Claims (6)
- 組成式:Al2TiO5又はMgxAl2(1-x)Ti(1+x)O5(式中、0<x<1)で表わされるチタン酸アルミニウム又はチタン酸アルミニウムマグネシウムにおける金属成分比と同様の金属成分比で含む、Al含有化合物、Ti含有化合物、必要に応じてMg含有化合物を含む混合物(X成分)を酸化物換算量として100質量部と、組成式:(NayK1-y)AlSi3O8(式中、0≦y≦1)で表わされるアルカリ長石、Mgを含むスピネル型構造の酸化物、又はMgO若しくは焼成によりMgOに転化するMg含有化合物(Y成分という)を酸化物換算量として1〜10質量部とを含有する原料混合物を1000〜1700℃で焼成したチタン酸アルミニウム又はチタン酸アルミニウムマグネシウム焼結体から形成されることを特徴とする定盤。
- X成分がAl2TiO5で表わされるチタン酸アルミニウムにおける各金属成分比と同様の金属成分比率で含む、Al含有化合物及びTi含有化合物を含む混合物であり、かつY成分が、(NayK1-y)AlSi3O8(式中、0≦y≦1)で表わされるアルカリ長石と、Mgを含むスピネル型構造の酸化物及び/又はMgO若しくは焼成によりMgOに転化するMg含有化合物と、の混合物である請求項1に記載の定盤。
- X成分がMgxAl2(1-x)Ti(1+x)O5(式中、0<x<1)で表わされるチタン酸アルミニウムマグネシウムにおける金属成分比と同様の金属成分比で含む、Al含有化合物、Ti含有化合物及びMg含有化合物を含む混合物であり、かつY成分が組成式:(NayK1-y)AlSi3O8(式中、0≦y≦1)で表わされるアルカリ長石である請求項1に記載の定盤。
- 原料混合物に成形助剤を加えて混練して盤状体に成形し、該成形物を焼成してなる請求項1〜3のいずれかに記載の定盤。
- ウェーハ研磨装置用である請求項1〜4のいずれかに記載の定盤。
- プラズマ若しくは液晶ディスプレー用ガラス板保持用である請求項1〜4のいずれかに記載の定盤。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2004136061A JP2005313295A (ja) | 2004-04-30 | 2004-04-30 | 平坦物保持用の定盤 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2004136061A JP2005313295A (ja) | 2004-04-30 | 2004-04-30 | 平坦物保持用の定盤 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006327842A (ja) * | 2005-05-23 | 2006-12-07 | Ohcera Co Ltd | マイクロ波焼成炉用の耐火断熱材 |
JP2009184074A (ja) * | 2008-02-06 | 2009-08-20 | Sd Future Technology Co Ltd | 研磨装置 |
WO2010150757A1 (ja) * | 2009-06-24 | 2010-12-29 | 旭硝子株式会社 | ガラスディスク研磨装置及びガラスディスク研磨方法 |
-
2004
- 2004-04-30 JP JP2004136061A patent/JP2005313295A/ja not_active Withdrawn
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