JP2005308053A - 低速案内装置及びその潤滑方法。 - Google Patents

低速案内装置及びその潤滑方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】 軌道軸とスライド部材とが例えば面圧1,200MPa以上の高面圧下に相対速度1.0m/分以下の低速度で相対移動する高圧低速の使用条件を含む場合であっても、潤滑面での異常摩耗の発生を効果的に防止し、長期に亘って摺動安定性を維持できる低速案内装置及びその潤滑方法を提供する。
【解決手段】 転動体の転走面を有する軌道軸と、上記転走面に相対する転動体の転走面を有するスライド部材と、これら軌道軸とスライド部材との間に供給されて上記軌道軸及びスライド部材の転走面と転動体との間の潤滑性を維持する潤滑剤とを備え、上記軌道軸とスライド部材とが高面圧下に相対速度1.0m/分以下で相対移動する高圧低速の使用条件を含む案内装置であって、上記潤滑剤として、少なくとも鉱油系及び/又は合成系の潤滑基油と、増ちょう剤と、固体潤滑剤とを含み、その混和ちょう度(JIS K2220.7; 25℃)が250以上である潤滑グリースを用いる低速案内装置及び潤滑方法である。
【選択図】 図1

Description

この発明は、例えば直線案内装置、曲線案内装置、ボールねじ、ボールスプライン等、ボール又はローラ等の転動体を介して軌道軸(軌道レールやねじ軸等)とスライド部材(摺動台やナット部材等)とが相対的に移動自在に係合する案内装置に係り、特に軌道軸とスライド部材とが所定の面圧以上及び相対速度以下の高圧低速の使用条件を含む低速案内装置及びその潤滑方法に関する。
直線案内装置、曲線案内装置、ボールねじ、ボールスプライン等のように、軌道軸とスライド部材とがボール又はローラ等の転動体を介して荷重を負荷しながら相対的に移動自在に係合する案内装置は、転がり運動に基づくために摺動抵抗が低いという利点があり、工作機械や搬送装置を始めとして、半導体製造装置、医療装置等の多くの用途に多用されている。
そして、このような案内装置においては、軌道軸とスライド部材との間の摺動抵抗を軽減し、転動体それ自体の摩耗やこれが転走する軌道レールやねじ軸等の軌道軸側の転走面や摺動台やナット部材等のスライド部材側の負荷転走面の摩耗を抑制し、軌道軸とスライド部材との間の高精度の運動を長期に亘って維持する必要から、係る転動体の表面や上記軌道軸側の転走面及びスライド部材側の負荷転走面をその使用条件に応じて適切に潤滑することが必要であり、従来においても多くの提案が行われている。
例えば、特開平10-184,683号公報においては、スライド部材に潤滑油塗布体、潤滑油吸蔵体及び油量制御手段を備えた潤滑油供給部材を装着し、潤滑油吸蔵体に収容された潤滑油を油量制御手段で制御しながら潤滑油塗布体により軌道軸の表面に潤滑油を塗布することが提案されている。
また、特開2001-139,975号公報においては、特に半導体製造装置、液晶製造装置、電子計算機等のクリーンな環境下での使用が要求される装置に組み込まれるリニアガイド、ボールねじ、転がり軸受等の軸受装置で用いるのに適した潤滑剤として、鉱油系及び/又は合成系潤滑基油に、組成物全量を基準として、(A)増ちょう剤としてステアリン酸リチウム石けん10〜35質量%と、(B)酸化パラフィン及びジフェニルハイドロゲンホスファイトよりなる群から選ばれた1種又は2種以上の化合物0.5〜15.0質量%とが含まれており、混和ちょう度(JIS K2220.7)が270〜350であるグリース組成物が提案されている。
更に、特開2001-304,371号公報においては、射出成形機や電動プレス機の駆動装置に用いるボールねじに適した潤滑剤として、100℃での粘度が3.0〜7.5mm2/sの基油にウレア系増ちょう剤や有機モリブデン化合物からなる極圧剤を配合した明度1以上の潤滑グリースが提案されている。
しかるに、近年、例えば金型加工の分野においては、その納期短縮や金型費低減等の観点から、放電加工に代えて、エンドミルにより複雑な形状の加工や深穴の加工等が行われるようになり、そして、係る加工には、軌道軸とスライド部材との間に比較的大きな面圧、通常は1,200MPa以上、場合によっては1,800MPa以上の面圧の作用下に、比較的遅い相対速度、通常は1.0m/分以下、時には0.3m/分以下、場合によっては0.2m/分以下で相対移動する高圧低速の使用条件で使用できることが要求される。
しかしながら、このような高圧低速の使用条件下で案内装置を用いた場合、上記いずれの手段を用いても、潤滑性能が要求される転動体の表面や軌道軸側の転走面及びスライド部材側の負荷転走面(以下、これらを「潤滑面」ということがある)に油膜が形成され難く、この潤滑面に短期間で異常摩耗が発生し、案内装置の摺動安定性が損なわれて寿命が短くなるという問題がある。
そこで、このような問題を解決する手段として、例えば、潤滑面に供給される潤滑剤の粘度を高くすること、潤滑剤中に油膜補強のための油膜補強剤を添加すること、等の方法が採られているが、いずれの場合も摺動抵抗が増大して転がり運動を利用するこの種の案内装置の特性を損なうことになり、しかも、必ずしも潤滑面での異常摩耗の発生を効果的に防止できず、案内装置の寿命の問題を満足できる程度には解決できないという問題がある。
特開平10-184,683号公報 特開2001-139,975号公報 特開2001-304,371号公報
そこで、本発明者らは、軌道軸とスライド部材とが例えば面圧1,200MPa以上の高面圧下に相対速度1.0m/分以下で相対移動する高圧低速の使用条件を含む低速案内装置について、転がり運動の特長である摺動抵抗を損なうことなく、潤滑面での異常摩耗の発生を効果的に防止し、長期に亘って摺動安定性を維持できる潤滑方法について鋭意検討した結果、潤滑剤として少なくとも鉱油系及び/又は合成系の潤滑基油、増ちょう剤、及び固体潤滑剤を含み、混和ちょう度(JIS K2220.7; 25℃)が250以上である潤滑グリースを用いることにより達成できることを見い出し、本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、軌道軸とスライド部材とが高面圧下に相対速度1.0m/分以下で相対移動する高圧低速の使用条件を含む場合であっても、潤滑面での異常摩耗の発生を効果的に防止し、長期に亘って摺動安定性を維持できる低速案内装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、軌道軸とスライド部材とが高面圧下に相対速度1.0m/分以下で相対移動する高圧低速の使用条件を含む低速案内装置において、潤滑面での異常摩耗の発生を効果的に防止し、長期に亘って摺動安定性を維持できる潤滑方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、転動体の転走面を有する軌道軸と、上記転走面に相対する転動体の転走面を有し、上記転動体を介して上記軌道軸に係合すると共にこの軌道軸に沿って相対的に移動するスライド部材と、これら軌道軸とスライド部材との間に供給されて上記軌道軸及びスライド部材の転走面と転動体との間の潤滑性を維持する潤滑剤とを備えた案内装置であり、上記軌道軸とスライド部材とが高面圧下に相対速度1.0m/分以下で相対移動する高圧低速の使用条件を含むと共に、上記潤滑剤が少なくとも鉱油系及び/又は合成系の潤滑基油と、増ちょう剤と、固体潤滑剤とを含む潤滑グリースであって、その混和ちょう度(JIS K2220.7; 25℃)が250以上である、低速案内装置である。
また、本発明は、転動体の転走面を有する軌道軸と、上記転走面に相対する転動体の転走面を有し、上記転動体を介して上記軌道軸に係合すると共にこの軌道軸に沿って相対的に移動するスライド部材と、これら軌道軸とスライド部材との間に供給されて上記軌道軸及びスライド部材の転走面と転動体との間の潤滑性を維持する潤滑剤とを備え、上記スライド部材と軌道軸とが高面圧下に相対速度1.0m/分以下で相対移動する低速使用条件を含む低速案内装置の潤滑方法であり、上記潤滑剤として、少なくとも鉱油系及び/又は合成系の潤滑基油と、増ちょう剤と、固体潤滑剤とを含み、混和ちょう度(JIS K2220.7; 25℃)が250以上である潤滑グリースを用いる、低速案内装置の潤滑方法である。
本発明において、潤滑剤として用いられる潤滑グリースは、少なくとも鉱油系及び/又は合成系の潤滑基油と、増ちょう剤と、固体潤滑剤とを含み、混和ちょう度(JIS K2220.7; 25℃)が250以上、好ましくは280以上385以下、より好ましくは300以上340以下である。この混和ちょう度が250より低いと、直動案内装置の駆動抵抗が大きくなり、また、385より高くなると、転動面でのグリース保持が困難になる場合がある。
ここで、本発明で用いる潤滑グリースの潤滑基油としては、従来より案内装置やその他の軸受等に用いるグリースにおいて通常使用されている鉱油系や合成系の潤滑油を用いることができる。
具体的には、上記鉱油系の潤滑基油としては、例えば、石油精製業の潤滑油製造プロセスで通常行われている方法により得られるものであり、例えば原油を常圧蒸留又は減圧蒸留して得られた潤滑油留分に、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の処理のいずれか1つ以上の処理を施して精製したものが挙げられる。
また、上記合成系の潤滑基油としては、例えば、ポリブテン、1-オクテンオリゴマー、1-デセンオリゴマー等のポリα-オレフィン又はこれらの水素化物等の合成炭化水素油や、ジトリデシルグルタレート、ジ2-エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ3-エチルヘキシルセパケート等のジエステル類、トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール2-エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等のポリオールエステル類等のエステル系合成油や、ポリオキシアルキレングリコール等のポリグリコール系合成油や、ポリフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル等のフェニルエーテル合成油や、シリコーン油等のシリコーン系合成油や、アルキルナフタレン、アルキルベンゼン等の芳香族系合成油や、フッ素系合成油、又はこれらの混合物からなる混合油等が挙げられる。これらの鉱油系や合成系の潤滑基油は、その1種のみを単独で用いることができるほか、2種以上の混合物としても用いることができる。
また、本発明の潤滑グリースを構成する増ちょう剤については、従来より案内装置やその他の軸受等に用いるグリースにおいて通常使用されているものを用いることができ、例えば、牛脂系カルシウム石けん、ひまし油系カルシウム石けん、アルミニウム石けん、ナトリウム石けん、牛脂系リチウム石けん、ひまし油系リチウム石けん等の金属石けん系のものや、カルシウムコンプレックス、アルミニウムコンプレックス、リチウムコンプレックス等の複合型石けん系のものや、芳香族ジウレア、脂肪族ジウレア、脂環式ジウレア、トリウレア、ポリウレア等のウレア系のものや、ナトリウムテレフタラメート、PTFE等の有機系のものや、有機化ベントナイト、シリカゲル等の無機系のもの等を挙げることができ、好ましくはリチウム石けんであり、これらはその1種のみを単独で用いることができるほか、2種以上の混合物としても用いることができる。
更に、本発明の潤滑グリースを構成する固体潤滑剤については、従来より案内装置やその他の軸受等に用いるグリースにおいて通常使用されているものを用いることができ、例えば、グラファイト、二硫化モリブデン、有機モリブデン、塩化コバルト、酸化アンチモン、セレン化ニオブ、二硫化タングステン、マイカ、窒化ホウ素、硫酸銀、塩化カドミウム、ヨウ化カドミウム、ホウ砂、塩基性白鉛、炭酸鉛、ヨウ化鉛、アスベスト、タルク、酸化亜鉛、カーボン、バビット、青銅、黄銅、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、トリウム、銅、銀、金、水銀、鉛、錫、インジウム又は第VIII族貴金属、又はそれらの混合物を含む無機固体潤滑剤や、例えば、フルオロアルキレンホモポリマー若しくはコポリマー、低級アルキレンポリオレフィンホモポリマー若しくはコポリマー、パラフィン系炭化水素ワックス、フェナントレン、銅フタロシアニン、又はそれらの混合物を含む有機固体潤滑剤を挙げることができ、好ましくは二硫化モリブデン、有機モリブデン、二硫化タングステン及びグラファイトであり、これら固体潤滑剤はその1種のみを単独で用いることができるほか、2種以上の混合物としても用いることができる。
そして、本発明において、潤滑グリース中に配合される増ちょう剤の配合割合は、その種類によっても異なるが、通常10重量%以上30重量%以下、好ましくは10重量%以上20重量%以下の範囲であり、また、潤滑グリース中に配合される固体潤滑剤の配合割合は、その種類によっても異なるが、通常0.05重量%以上10重量%以下、好ましくは1重量%以上5重量%以下の範囲である。増ちょう剤の配合割合が10重量%より少ないとグリース保持が困難になり、反対に、30重量%より多くなると転がり抵抗が増大して好ましくない。また、固体潤滑剤の配合割合が0.5重量%より少ないと異常摩耗の問題を解消できない場合があり、反対に、10重量%より多くなると抵抗変動が大きくなるという問題が生じる。
本発明の潤滑剤を構成する潤滑グリース中には、従来この種のグリースに配合される種々の第三成分、例えば、脂肪酸グリセロール等の如き混和ちょう度調整剤、アミノ酸化合物やフェノール等の如き酸化防止剤、スルホネート等の如き錆止め剤、燐酸エステル等の如き極圧添加剤、脂肪酸エステル等の如き油性向上剤、燐酸エステル等の如き摩耗低減剤等を必要により必要な範囲で添加してもよい。
本発明で用いる好適な潤滑グリースの具体例としては、例えば、鉱油系潤滑油に特殊ポリマーを配合した潤滑基油に増ちょう剤としてリチウム石けん10重量%以下が、また、固体潤滑剤として二硫化モリブデン1〜10重量%がそれぞれ配合されたグリース(試料1)や、鉱油系潤滑基油に増ちょう剤としてリチウム石けん10重量%以下が、また、固体潤滑剤として二硫化モリブデン1〜10重量%がそれぞれ配合されたグリース(試料2)や、鉱油系潤滑基油に増ちょう剤としてリチウム石けん3重量%が、また、固体潤滑剤としてグラファイト8重量%がそれぞれ配合されたグリース(試料3)、鉱油系潤滑基油に増ちょう剤としてリチウム石けん8〜13重量%と固体潤滑剤として有機モリブデン1〜6重量%とがそれぞれ配合されたグリース(試料4)等を例示することができる。
本発明の潤滑グリースによる潤滑は、軌道軸とスライド部材との間に比較的大きな高面圧、通常は1,200MPa以上、場合によっては1,800MPa以上の高面圧の作用下に、比較的遅い相対速度、通常は0.4m/分以下、時には0.3m/分以下、場合によっては0.2m/分以下の相対速度で相対移動する高圧低速の使用条件での適用に適しており、このような高圧低速の使用条件で用いられる低速案内装置、例えば直線案内装置、曲線案内装置、ボールねじ、ボールスプライン等、ボール又はローラ等においてその転動体の表面や軌道軸側の転走面及びスライド部材側の負荷転走面(潤滑面)の潤滑に好適に適用される。
また、上記案内装置に本発明の潤滑グリースを封入する方法及び手段については、特に制限されるものではなく、従来の方法と同様の方法により行うことができる。
本発明の低速案内装置は、その軌道軸とスライド部材とが高面圧下に相対速度1.0m/分以下で相対移動する高圧低速の使用条件を含む場合であっても、潤滑面での異常摩耗の発生を効果的に防止し、長期に亘って摺動安定性を維持することができる。
また、本発明の潤滑方法によれば、軌道軸とスライド部材とが高面圧下に相対速度1.0m/分以下で相対移動する高圧低速の使用条件を含む場合であっても、案内装置における潤滑面での異常摩耗の発生を効果的に防止し、長期に亘って摺動安定性を維持することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。
図1に本発明の潤滑方法が適用された低速案内装置の直線摺動用ボールベアリング(直線案内装置)Bが示されている。この直線摺動用ボールベアリングBは、軌道レール(軌道軸)1と、この軌道レール1に沿って摺動する摺動台(スライド部材)2と、これら軌道レール1と摺動台2との間で荷重を負荷しながら転走するボール3とで構成されており、上記軌道レール1にはその左右両肩部にそれぞれ対の転走溝(潤滑面)1a,1bが形成され、また、上記摺動台2にはその左右両隅部に上記軌道レール1の転走溝1a,1bと相俟ってボール3の負荷ボール転走路を形成する左右対の負荷転走溝(潤滑面)2a,2bが形成されていると共にボール3の無負荷ボール転走路を形成する無負荷ボール転走孔4a,4bが形成されており、更に、上記摺動台2の前後両端部には上記負荷ボール転走路と無負荷ボール転走路との間を連通連結してボール3の無限軌道を構成する図示外のボール方向転換路を有するエンドプレート5が設けられている。
そして、上記各エンドプレート5の外側面にはそれぞれ先端が軌道レール1に摺接するエンドシール6が設けられており、また、上記摺動台2には先端が軌道レール1の上面に当接するインナーシール7と先端が軌道レール1の側面に当接するサイドシール8とが設けられており、これらエンドシール6、インナーシール7及びサイドシール8により軌道レール1の左右両肩部とこれに対応する摺動台2の左右両隅部との間に潤滑グリースを封入する密閉空間が形成されており、更に、いずれか一方のエンドプレート5にはこのエンドプレート5に形成されたボール方向転換路から上記各密閉空間内に潤滑グリースを分配して充填するグリースニップル9及び図示外のグリース分配路が設けられている。
この直線摺動用ボールベアリングBへの潤滑グリースの封入は、例えば、グリースガンに潤滑グリースを装填し、直線摺動用ボールベアリングBのグリースニップル9から軌道レール1の左右両肩部と摺動台2の左右両隅部との間に形成された密閉空間内に充填することにより行われる。
〔実施例1〜4及び比較例1〜3〕
案内装置として図1に示す直線摺動用ボールベアリング(THK社製NRS55B2SSCSE+780LP)Bを用い、また、潤滑剤として表1に示す組成、物性及び性状を有する固体潤滑剤配合有り潤滑グリースの試料1、試料2、試料3、及び試料4と、固体潤滑剤配合無し潤滑グリースの試料5、試料6、及び試料7を用い、上記直線摺動用ボールベアリングBにそのグリースニップル9から上記潤滑グリース11.9cm3/台を充填して実施例1〜4及び比較例1〜3の低速案内装置を構成した。
〔低速荷重耐久試験〕
上記各実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた2台の直線摺動用ボールベアリングB(1本の軌道レール1に2つの摺動台2を組み込んで構成したもの)を、図2に示すように、縦幅230mm×横幅310mm×厚さ50mmの大きさの金属製プレート10に互いに約20mmの間隔dを置いて連結し、各実施例1〜4及び比較例1〜3の試験品Mを構成した。
得られた各実施例1〜4及び比較例1〜3の試験品Mを、図3及び図4に示すように、5連式荷重耐久試験機(大東製機社製QA6029)にセットし、ラジアル荷重11.2kN(面圧1,800MPa)、最高速度0.1m/min、ストローク200mm、潤滑グリース初期封入(封入量:11.9cm3/1摺動台)のみ、及び環境温度20〜25℃の条件で走行させ、480時間走行後における各摺動台2の負荷転走溝2aの摩耗量を測定すると共に低速荷重耐久試験の評価を行った。
上記の摩耗量の測定は、先ず、輪郭形状測定機(東京精密社製エンターレコーダ1600C、測定精度:倍率±0.25%)を用いて負荷転走溝2aにおける未走行部(a)と走行部(b)の断面形状を測定し、また、極微小な摩耗を測定するには表面粗さ形状測定器(東京精密社製サーフコム570A、測定精度:倍率±4%)を用いて負荷転走溝2aにおける未走行部(a)と走行部(b)の粗さを測定し、これら未走行部(a)と走行部(b)の形状、粗さの差を摩耗量として求めた。
また、低速荷重耐久試験の評価は、走行開始48時間後、72時間後、480時間後にそれぞれ各摺動台2の負荷転走溝2aの摩耗量を測定し、摩耗量が2μmを超えるまでの時間を観測して評価した。
結果を表1に示すと共に、各実施例1〜4及び比較例1で得られた摩耗量測定図をそれぞれ図5〜図9に示す。なお、図中の(a)は未走行部の測定結果であり、(b)は走行部の測定結果である。
〔転がり抵抗減少率測定〕
上記の低速荷重耐久試験を行う前(試験前)と行った後(試験後)の各実施例1〜4及び比較例1〜3の試験品Mの各直線摺動用ボールベアリングB単体(1本の軌道レール1に1つの摺動台2が組み込まれて構成されたもの)2台(B1及びB2)について、ロードセルを用い、速度10mm/sec.及びストローク350mmの条件で転がり抵抗を測定し、試験前の各直線摺動用ボールベアリングB単体の転がり抵抗の値xに対する試験後の各直線摺動用ボールベアリングB単体の転がり抵抗の値yの減少率(転がり抵抗減少率:[(x-y)/x]×100)を求めた。この転がり抵抗減少率については、その値が大きいほど摩耗が大きいことを意味している。
なお、転がり抵抗の測定に際しては、各直線摺動用ボールベアリングB単体からシール類(エンドシール、サイドシール、インナーシール等)を外し、脱脂洗浄して行った。
Figure 2005308053
表1及び図5〜図9に示す結果から明らかなように、固体潤滑剤を用いない比較例1〜3の潤滑グリースを用いた低速案内装置(直線転がり案内)においては、低速荷重耐久試験においていずれも短時間で異常摩耗が発生するのに対し、本発明の実施例1〜4の潤滑グリースを用いた低速案内装置(直線転がり案内)においては、低速荷重耐久試験においていずれも480時間を超えても摩耗量が少なく、潤滑面での異常摩耗が認められず、長期に亘って摺動安定性を維持できることが判明した。
本発明の低速案内装置によれば、軌道軸とスライド部材とが例えば面圧1,200MPa以上という高面圧下に相対速度1.0m/分以下で相対移動する高圧低速の使用条件を含む場合でも、潤滑面での異常摩耗の発生を効果的に防止し、長期に亘って摺動安定性を維持できる。
また、本発明の潤滑方法によれば、軌道軸とスライド部材とが例えば面圧1,200MPa以上という高面圧下に相対速度1.0m/分以下で相対移動する高圧低速の使用条件を含む低速案内装置に用いた場合でも、潤滑面での異常摩耗の発生を効果的に防止し、長期に亘って摺動安定性を維持することができる。
図1は、本発明の潤滑方法が適用された低速案内装置の直線摺動用ボールベアリング(直線案内装置)を示す部分切欠き斜視説明図である。
図2は、本発明の実施例において、低速荷重耐久試験用に作成した試験品を示す説明図である。
図3は、本発明の実施例において、低速荷重耐久試験に用いた5連式荷重耐久試験機の側面説明図である。
図4は、図3の正面説明図である。
図5は、実施例1の低速案内装置(直線摺動用ボールベアリング)について行われた低速荷重耐久試験の摩耗量測定結果を示すグラフ図である。
図6は、実施例2の低速案内装置(直線摺動用ボールベアリング)について行われた低速荷重耐久試験の摩耗量測定結果を示すグラフ図である。
図7は、実施例3の低速案内装置(直線摺動用ボールベアリング)について行われた低速荷重耐久試験の摩耗量測定結果を示すグラフ図である。
図8は、実施例4の低速案内装置(直線摺動用ボールベアリング)について行われた低速荷重耐久試験の摩耗量測定結果を示すグラフ図である。
図9は、比較例1の低速案内装置(直線摺動用ボールベアリング)について行われた低速荷重耐久試験の摩耗量測定結果を示すグラフ図である。
符号の説明
B…直線摺動用ボールベアリング(直線案内装置)、1…軌道レール(軌道軸)、1a,1b…転走溝(潤滑面)、2…摺動台(スライド部材)、2a,2b…負荷転走溝(潤滑面)、3…ボール、4a,4b…無負荷ボール転走孔、5…エンドプレート、6…エンドシール、7…インナーシール、8…サイドシール、9…グリースニップル。

Claims (6)

  1. 転動体の転走面を有する軌道軸と、上記転走面に相対する転動体の転走面を有し、上記転動体を介して上記軌道軸に係合すると共にこの軌道軸に沿って相対的に移動するスライド部材と、これら軌道軸とスライド部材との間に供給されて上記軌道軸及びスライド部材の転走面と転動体との間の潤滑性を維持する潤滑剤とを備えた案内装置であり、上記軌道軸とスライド部材とが高面圧下に相対速度1.0m/分以下で相対移動する高圧低速の使用条件を含むと共に、上記潤滑剤が少なくとも鉱油系及び/又は合成系の潤滑基油と、増ちょう剤と、固体潤滑剤とを含む潤滑グリースであって、その混和ちょう度(JIS K2220.7; 25℃)が250以上であることを特徴とする低速案内装置。
  2. 固体潤滑剤が二硫化モリブデン、有機モリブデン、二硫化タングステン及びグラファイトから選ばれた1種又は2種以上の混合物である請求項1に記載の低速案内装置。
  3. 固体潤滑剤の添加量が0.05〜10重量%の範囲である請求項1又は2に記載の低速案内装置。
  4. 転動体の転走面を有する軌道軸と、上記転走面に相対する転動体の転走面を有し、上記転動体を介して上記軌道軸に係合すると共にこの軌道軸に沿って相対的に移動するスライド部材と、これら軌道軸とスライド部材との間に供給されて上記軌道軸及びスライド部材の転走面と転動体との間の潤滑性を維持する潤滑剤とを備え、上記スライド部材と軌道軸とが高面圧下に相対速度1.0m/分以下で相対移動する低速使用条件を含む低速案内装置の潤滑方法であり、上記潤滑剤として、少なくとも鉱油系及び/又は合成系の潤滑基油と、増ちょう剤と、固体潤滑剤とを含み、混和ちょう度(JIS K2220.7; 25℃)が250以上である潤滑グリースを用いることを特徴とする低速案内装置の潤滑方法。
  5. 固体潤滑剤が二硫化モリブデン、有機モリブデン、二硫化タングステン及びグラファイトから選ばれた1種又は2種以上の混合物である請求項4に記載の低速案内装置の潤滑方法。
  6. 固体潤滑剤の添加量が0.05〜10重量%の範囲である請求項4又は5に記載の低速案内装置の潤滑方法。
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