JP2003049845A - 転動装置 - Google Patents

転動装置

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JP2003049845A
JP2003049845A JP2001239724A JP2001239724A JP2003049845A JP 2003049845 A JP2003049845 A JP 2003049845A JP 2001239724 A JP2001239724 A JP 2001239724A JP 2001239724 A JP2001239724 A JP 2001239724A JP 2003049845 A JP2003049845 A JP 2003049845A
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rolling
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inner ring
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Toyohisa Yamamoto
豊寿 山本
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NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 腐食環境下又はドライ環境下において低速且
つ高荷重条件下で作動されても長寿命な樹脂組成物製の
転動装置を提供する。 【解決手段】 玉軸受1は、内輪2と、外輪3と、内輪
2と外輪3との間に転動自在に配設された複数の玉4
と、を備えるとともに、内輪2及び外輪3が樹脂組成物
で構成されている。そして、両軌道面2a,3aの横断
面形状は円弧状で、該円弧の曲率半径は、玉4の直径の
50%超過52%未満とされている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、少なくとも一部の
部品(転動部材)が樹脂組成物で構成された転動装置及
びラジアル形転がり軸受に係り、特に、転動部材が樹脂
組成物で構成された割には高い荷重が負荷され且つ低速
で作動され、さらに、半導体,液晶パネル,ハードディ
スク等の製造行程において用いられる各種洗浄装置や、
食品用機械に用いられる搬送装置などに組み込まれる転
動装置及びラジアル形転がり軸受のように、水又は各種
洗浄溶液(酸,アルカリ)と接触するような腐食環境
下、あるいは、ドライ環境下(無潤滑下又は少量の潤滑
剤による潤滑下)において好適に使用される転動装置及
びラジアル形転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】転がり軸受,リニアガイド装置,ボール
ねじ,直動ベアリング等の転動装置には、その転動部材
の少なくとも一部が樹脂組成物で構成されたものがあ
る。例えば、特開平5−202943号公報には、内外
の軌道輪のうち一方が嵌着対象に緩く嵌着され、内外の
軌道輪の両方又は緩く嵌着されている方の軌道輪が、ポ
リエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)で構成され
た玉軸受が開示されている。
【0003】また、特開平9−303403号公報に
は、固体潤滑剤で表面処理された転動体を備える樹脂組
成物製の転がり軸受が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記両
公報に記載の転がり軸受は、軌道面の横断面形状を規定
していないため、すなわち、円弧の曲率半径を規定して
いないため、低速且つ高荷重条件下では、軌道輪と転動
体との接触点において樹脂組成物製の軌道輪が容易に変
形するおそれがある。
【0005】そうすると、摩耗粉が大量に発生して外部
環境を汚染したり、発生した摩耗粉を噛み込むことによ
り、あるいは、軌道面の表面形状が著しく変形すること
により回転不能となる場合がある。また、特開平9−3
03403号公報のように転動体が固体潤滑剤で表面処
理されている場合には、ごく初期においては固体潤滑剤
の被膜により樹脂組成物製の軌道輪の摩耗が抑制される
ものの、二硫化モリブデンに代表される固体潤滑剤の被
膜は転がり軸受の作動とともに摩耗し消失するので、転
がり軸受を長期間にわたって作動させることは困難であ
るという問題点を有している。
【0006】そこで、本発明は、上記のような従来技術
が有する問題点を解決し、腐食環境下又はドライ環境下
において好適に使用可能で、低速且つ高荷重条件下で作
動されても長寿命な樹脂組成物製の転動装置及びラジア
ル形転がり軸受を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発
明の転動装置は、回転運動可能又は直線運動可能な可動
子と、該可動子を回転運動可能又は直線運動可能に支持
する支持体と、前記可動子と前記支持体との間に転動自
在に配設された複数の転動体と、を備えるとともに、前
記可動子及び前記支持体の少なくとも一方が樹脂組成物
で構成され、前記可動子の前記支持体に対する相対速度
が1m/s以下という低速で作動される転動装置におい
て、前記可動子及び前記支持体のうち前記樹脂組成物で
構成された方の軌道面の横断面形状を、前記転動体の直
径の50%超過52%未満の曲率半径を有する円弧状と
したことを特徴とする。
【0008】前記可動子や前記支持体のような転動装置
を構成する転動部材が樹脂組成物で構成されている場合
には、金属で構成されている場合と比較して耐荷重性が
低くなるため、低速且つ高荷重条件下では短寿命となっ
てしまう。しかしながら、前記曲率半径を、通常の転動
装置における基準値である転動体の直径の52%(JI
S B1518)よりも小さくすれば、動定格荷重が大
きくなり耐荷重性が向上するので、転動装置が長寿命と
なる。つまり、転動体と可動子の接触点における面圧
や、転動体と支持体の接触点における面圧が効果的に低
減されて、樹脂組成物で構成された転動部材の該接触点
における変形量が低減されるため、より高荷重下で作動
することができる。
【0009】前記曲率半径が転動体の直径の50%以下
であると、転動体の乗り上げが生じて、転動体が軌道か
ら離脱してしまう。一方、前記曲率半径が転動体の直径
の52%以上であると、転動体と可動子の接触点におけ
る面圧や転動体と支持体の接触点における面圧が高くな
って、軌道面が著しく摩耗するため、短期間のうちに作
動不能となるおそれがある。
【0010】また、本発明のラジアル形転がり軸受は、
内輪と、外輪と、前記内輪と前記外輪との間に転動自在
に配設された複数の転動体と、を備えるとともに、前記
内輪及び前記外輪のうち少なくとも前記内輪が樹脂組成
物で構成され、前記内輪の前記外輪に対する相対速度が
1m/s以下という低速で作動されるラジアル形転がり
軸受において、前記内輪の軌道面の横断面形状を、前記
転動体の直径の50%超過52%未満の曲率半径を有す
る円弧状としたことを特徴とする。
【0011】内輪や外輪のような転がり軸受を構成する
転動部材が樹脂組成物で構成されている場合には、金属
で構成されている場合と比較して耐荷重性が低くなるた
め、低速且つ高荷重条件下では短寿命となってしまう。
また、内輪及び外輪において前記曲率半径が同一である
場合は、転動体と外輪の接触点における面圧よりも転動
体と内輪の接触点における面圧の方が高くなる傾向があ
る。
【0012】よって、内輪及び外輪のうち少なくとも内
輪の軌道面の曲率半径を転動体の直径の50%超過52
%未満として、前記面圧を低減することが好ましい。そ
うすれば、動定格荷重が大きくなり耐荷重性が向上する
ので、ラジアル形転がり軸受が長寿命となる。なお、曲
率半径の数値限定理由は、前述の転動装置の場合と同様
である。
【0013】そして、転動体と外輪の接触点における面
圧と、転動体と内輪の接触点における面圧とは、できる
だけ等しいことが好ましいから、内輪の軌道面の曲率半
径は、前記両面圧が等しくなるように設定することがよ
り好ましい。また、内輪及び外輪の両方が樹脂組成物で
構成されている場合には、該両輪の軌道面の曲率半径を
転動体の直径の50%超過52%未満とし、且つ、内輪
の軌道面の曲率半径を外輪の軌道面の曲率半径よりも小
さくすることが好ましい。さらに、この場合にも、転動
体と外輪の接触点における面圧と、転動体と内輪の接触
点における面圧とは、できるだけ等しいことが好ましい
から、両輪の軌道面の曲率半径は、前記両面圧が等しく
なるように設定することがより好ましい。
【0014】上記のような本発明の転動装置及びラジア
ル形転がり軸受においては、前記各転動体における直径
のばらつきを5.0μm以下とすることが好ましい。そ
うすれば、各転動体のうちの最大直径の転動体と転動部
材との接触点における面圧の増加及び振動を効果的に抑
制することができるから、より高荷重下で安定して作動
することができる。なお、直径のばらつきとは、複数の
転動体のうちの最大直径のものと最小直径のものとの間
の直径の差を意味する。
【0015】前記直径のばらつきが5.0μmを超える
と、最大直径の転動体と転動部材との接触点における面
圧が著しく大きくなるので、軌道面が著しく摩耗して短
期間のうちに作動不能となったり、作動時の振動が異常
に大きくなって滑らかに作動することができなくなった
りするおそれがある。このような問題がより生じにくく
するためには、前記直径のばらつきは2.0μm以下と
することがより好ましい。
【0016】また、本発明の転動装置及びラジアル形転
がり軸受においては、前記樹脂組成物は、平均粒径が
0.1〜60μmの固体潤滑剤を含有し、その含有量は
前記樹脂組成物全体の30質量%以下であることが好ま
しい。さらに、本発明の転動装置及びラジアル形転がり
軸受においては、前記樹脂組成物は、平均繊維径が0.
2〜30μm且つアスペクト比が3〜200の繊維状充
填材を含有し、その含有量は前記樹脂組成物全体の30
質量%以下であることが好ましい。
【0017】さらに、本発明の転動装置及びラジアル形
転がり軸受においては、前記樹脂組成物は、平均粒径が
0.1〜60μmの固体潤滑剤と、平均繊維径が0.2
〜30μm且つアスペクト比が3〜200の繊維状充填
材と、を含有し、それぞれの含有量は前記樹脂組成物全
体の30質量%以下であり、且つ両者の合計の含有量は
前記樹脂組成物全体の50質量%以下であることが好ま
しい。
【0018】このような本発明の転動装置及びラジアル
形転がり軸受は、前述のように低速で作動されるため、
転動体と転動部材の接触点におけるすべり摩擦のすべり
速度が低く、また、すべり摩擦に起因する発熱量が低
い。よって、転動部材が樹脂組成物で構成されていて
も、前記摩擦により軌道面が著しく摩耗したり、前記発
熱により樹脂組成物が溶融したりすることがなく、長期
にわたって安定して作動することができる。
【0019】また、本発明の転動装置及びラジアル形転
がり軸受は少なくとも一部の転動部材が樹脂組成物で構
成されているので、耐食性が優れている。よって、半導
体,液晶パネル,ハードディスク等の製造行程において
用いられる各種洗浄装置,コータ,デベロッパー,スピ
ンドライヤー,遠心分離機,食品用機械等のように、水
又は各種洗浄溶液と接触するような腐食環境下において
好適に使用することができる。
【0020】さらに、少なくとも一部の転動部材が樹脂
組成物で構成されているので、ドライ環境下においても
好適に使用することができる。よって、潤滑剤が漏出し
て外部環境を汚染することが非常に少ない。なお、本発
明の転動装置としては、転がり軸受,リニアガイド装
置,ボールねじ,直動ベアリング等があげられる。転動
装置が転がり軸受の場合は、回転輪が本発明の構成要件
たる可動子に相当し、固定輪が本発明の構成要件たる支
持体に相当する。また、転動装置がリニアガイド装置の
場合は、スライダが可動子に相当し、案内レールが支持
体に相当する。また、転動装置がボールねじの場合は、
ナットが可動子に相当し、ねじ軸が支持体に相当する。
そして、転動装置が直動ベアリングの場合は、外筒が可
動子に相当し、軸が支持体に相当する。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明に係る転動装置及びラジア
ル形転がり軸受の実施の形態を、図面を参照しながら説
明する。図1は、本発明の一実施形態である深みぞ玉軸
受の構造を示す部分縦断面図である。この玉軸受1は、
外面に軌道面2aを有する内輪2と、内輪2の軌道面2
aに対向する軌道面3aを有する外輪3と、両軌道面2
a,3a間に転動自在に配設された複数の玉4と、複数
の玉4を転動自在に保持する樹脂製の冠形保持器5と、
を備えている。なお、内輪2が本発明の構成要件たる可
動子に相当し、外輪3が本発明の構成要件たる支持体に
相当する。
【0022】そして、両軌道面2a,3aの横断面形状
は円弧状で、該円弧の曲率半径は、表1に示すように、
玉4の直径の50%超過52%未満とされている。ま
た、内輪2及び外輪3は表1に示す樹脂材料で構成され
ており、その詳細は下記の通りである。さらに、玉4は
表1に示す材料で構成されており、玉軸受1が備える複
数の玉4における直径のばらつきも併せて示している。
【0023】ポリエチレン樹脂(PE):旭化成株式
会社製サンテック−HDJ310 ポリアセタール樹脂(POM):ポリプラスチックス
社製ジュラコンM140 ポリビニリデンフルオライド樹脂(PVDF):呉羽
化学工業社製クレハKFポリマーT−#850 ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS):フィリ
ップスペトローリアム社製ライトンR−6 PEEK:ビクトレックス社製ビクトレックスPEE
K150G
【0024】
【表1】
【0025】次に、水と接触するような腐食環境下にお
ける軸受の耐荷重性及び耐久性を評価した。軸受には、
上記の玉軸受1と同様の構成のもの(型番6001、内
径12mm,外径28mm,幅8mm、保持器はフッ素
樹脂製の冠形保持器)を用い、図2に示す日本精工株式
会社製の軸受回転試験機を用いて、水中において回転試
験(内輪回転)を行った。
【0026】耐荷重性を評価する試験においては、回転
試験の条件は、温度(常温)と回転速度(100min
-1)とを一定とし、ラジアル荷重は49Nから回転30
分毎に19.6Nずつ増加していった。そして、振動計
で検出した振動値が急激に増加した時点におけるラジア
ル荷重を限界荷重として、この限界荷重によって耐荷重
性を評価した。
【0027】その結果を表1に併せて示す。なお、各実
施例及び比較例の軸受の限界荷重は、比較例1の限界荷
重を1とした場合の相対値で示している。また、耐久性
を評価する試験においては、回転試験の条件は、温度は
常温、回転速度は100min-1、ラジアル荷重は19
6Nとした。そして、振動値を基準として耐久性を評価
し、振動値が初期値の3倍に上昇した時点を軸受の寿命
とした。
【0028】その結果を表1に併せて示す。なお、各実
施例及び比較例の軸受の耐久性(振動寿命)は、比較例
1の耐久性(振動寿命)を1とした場合の相対値で示し
ている。表1から分かるように、実施例1〜5の軸受
は、軌道面の曲率半径が転動体の直径の50%超過52
%未満であるので、限界荷重が大きく、且つ耐久性が優
れている。これに対して、比較例1,2の軸受は、軌道
面の曲率半径が転動体の直径の52%以上であるので、
限界荷重,耐久性がともに劣っていた。
【0029】次に、上記とほぼ同様の軸受において外輪
の軌道面の曲率半径を種々変更したものを用意して、上
記と同様の回転試験により耐荷重性及び耐久性を評価
し、軌道面の曲率半径と耐荷重性及び耐久性との相関性
を調査した。その結果を、図3のグラフにまとめて示
す。図3のグラフの横軸は、外輪の軌道面の曲率半径と
転動体の直径との比([軌道面の曲率半径]/[転動体
の直径]×100)を示している。また、左側の縦軸は
限界荷重(耐荷重性)、右側の縦軸は振動寿命(耐久
性)を示している。
【0030】曲線11及び12は、内輪及び外輪がPE
EKで構成されている軸受のデータを示していて、曲線
11が限界荷重、曲線12が振動寿命をそれぞれ示して
いる。また、曲線13及び14は、内輪及び外輪がPP
Sで構成されている軸受のデータを示していて、曲線1
3が限界荷重、曲線14が振動寿命を示している。な
お、いずれの軸受も、保持器にはポリプロピレン樹脂製
の冠型保持器を用い、転動体には直径のばらつきが0.
5μmである硼珪酸ガラス製の玉を用いた。また、この
グラフにおける限界荷重及び振動寿命のデータは、前述
の比較例1の限界荷重及び振動寿命を1とした場合の相
対値で示している。
【0031】図3のグラフから、いずれの軸受において
も、外輪の軌道面の曲率半径と転動体の直径との比が5
0%超過52%未満であると、耐荷重性及び耐久性が優
れていることが分かる。さらに、上記とほぼ同様の軸受
において転動体の直径のばらつきを種々変更したものを
用意して、上記と同様の回転試験により耐荷重性及び耐
久性を評価し、転動体の直径のばらつきと耐荷重性及び
耐久性との相関性を調査した。その結果を、図4のグラ
フにまとめて示す。
【0032】図4のグラフの横軸は、転動体の直径のば
らつきを示している。また、左側の縦軸は限界荷重(耐
荷重性)、右側の縦軸は振動寿命(耐久性)をそれぞれ
示している。曲線21及び22は、内輪及び外輪がPE
で構成されている軸受のデータを示していて、曲線21
が限界荷重、曲線22が振動寿命を示している。また、
曲線23及び24は、内輪及び外輪がPOMで構成され
ている軸受のデータを示していて、曲線23が限界荷
重、曲線24が振動寿命を示している。
【0033】なお、いずれの軸受も、軌道面の曲率半径
と転動体の直径との比は51%であり、保持器にはフッ
素樹脂製の冠型保持器を用い、転動体にはSUS440
C製の玉を用いた。また、このグラフにおける限界荷重
及び振動寿命のデータは、前述の比較例1の限界荷重及
び振動寿命を1とした場合の相対値で示している。図4
のグラフから、いずれの軸受においても、転動体の直径
のばらつきが5.0μm以下であると、耐荷重性及び耐
久性が優れていることが分かる。
【0034】以上説明したように、表1及び図3,4の
グラフから、本実施形態の玉軸受は耐荷重性に優れてい
て、腐食環境下において低速且つ高荷重条件下で作動さ
れても長寿命であることが分かる。なお、本実施形態は
本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形
態に限定されるものではない。例えば、本実施形態にお
いては、深みぞ玉軸受を例示して説明したが、本発明の
転動装置は様々な転がり軸受に対して適用することがで
きる。例えば、アンギュラ玉軸受等のラジアル形の転が
り軸受や、スラスト玉軸受等のスラスト形の転がり軸受
である。
【0035】また、本実施形態においては、転動装置と
して転がり軸受を例示して説明したが、本発明の転動装
置は、他の様々な種類の転動装置に対して適用すること
ができる。例えば、リニアガイド装置,ボールねじ,直
動ベアリング等の他の転動装置にも好適に適用可能であ
る。さらに、内外輪(可動子,支持体)を構成する樹脂
組成物の種類は特に限定されるものではないが、ポリエ
チレン樹脂(PE),ポリプロピレン樹脂(PP),ポ
リアセタール樹脂(POM),ポリフェニレンサルファ
イド樹脂(PPS)に代表されるポリアリーレンサルフ
ァイド樹脂,ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEE
K)に代表されるエーテルケトン系樹脂,ポリエーテル
ニトリル樹脂(PEN),芳香族ポリイミド樹脂(P
I),熱可塑性ポリイミド樹脂(TPI),ポリアミド
イミド樹脂(PAI),ポリアミド樹脂(PA),芳香
族ポリエステル樹脂,及び各種含フッ素樹脂等を含有す
る樹脂組成物が例示できる。
【0036】含フッ素樹脂としては、テトラフルオロエ
チレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体
(PFA),テトラフルオロエチレン・エチレン共重合
体(ETFE),PVDF,テトラフルオロエチレン・
ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP),ポリク
ロロトリフルオロエチレン(PCTFE),クロロトリ
フルオロエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)等
が例示できる。
【0037】さらに、前記樹脂組成物には、テトラフル
オロエチレン(PTFE)粉末,黒鉛,六方晶窒化ホウ
素(hBN),フッ素雲母,メラミンシアヌレート(M
CA),層状の結晶構造を有するアミノ酸化合物(N−
ラウロ−L−リジン等),フッ化黒鉛,フッ化ピッチ,
二硫化モリブデン(MoS2 )等の固体潤滑剤を適量添
加してもよい。
【0038】そうすれば、樹脂組成物の潤滑性がより向
上し、内外輪と転動体との接触点に発生する摩擦力が低
下するため、発熱がより抑制されて、より高荷重下で作
動することができる。固体潤滑剤の添加量は特に限定さ
れるものではないが、樹脂組成物全体の30質量%以下
であることが好ましい。30質量%を超えて添加して
も、潤滑性のさらなる向上が期待できないばかりでな
く、樹脂組成物の機械的強度が低下して内外輪の摩耗が
増加し、軸受の寿命が短くなるおそれがある。
【0039】また、固体潤滑剤の平均粒径は、0.1〜
60μmであることが好ましい。平均粒径が0.1μm
未満の小さい粒子では、母材である樹脂と混合した際に
凝集が起こりやすく、粒子の分散が不均一となるおそれ
がある。一方、平均粒径が60μmを超える大きい粒子
では、樹脂組成物の成形体である内外輪の表面の平滑性
が低下するとともに強度が低下するために、軸受の寿命
が短くなるおそれがある。
【0040】さらに、前記樹脂組成物には、機械的強
度,寸法安定性,耐熱性等を向上させるために、繊維状
充填材を配合することができる。繊維状充填材の種類は
特に限定されるものではないが、ホウ酸アルミニウムウ
ィスカー,チタン酸カリウムウィスカー,カーボンウィ
スカー,アラミド繊維,芳香族ポリイミド繊維,液晶性
ポリエステル繊維,グラファイトウィスカー,ガラス繊
維,炭素繊維,ボロン繊維,炭化ケイ素ウィスカー,窒
化ケイ素ウィスカー,アルミナウィスカー,窒化アルミ
ニウムウィスカー,ウォラストナイト等が例示できる。
【0041】この繊維状充填材には、母材である樹脂と
の密着性を向上させることや、均一に分散させること等
を目的として、シラン系,チタネート系等のカップリン
グ剤で表面処理を施してもよい。また、この繊維状充填
材のアスペクト比は、3〜200であることが好まし
い。アスペクト比が3未満であると樹脂の補強効果が不
十分となり、200超過であると、樹脂と混合した際に
均一に分散させることが困難となる。
【0042】さらに、この繊維状充填材の繊維径は特に
限定されるものではないが、平均繊維径は0.2〜30
μmとすることが好ましい。平均繊維径が0.2μm未
満であると、樹脂と混合した際に繊維間の凝集が起こ
り、繊維の分散が不均一になる場合がある。一方、平均
繊維径が30μmを超えると、樹脂組成物の表面の平滑
性が阻害されたり、摺接した相手面を傷つけたりする場
合がある。このような不都合がより生じにくくするため
には、平均繊維径は0.3〜5μmとすることがより好
ましい。
【0043】さらにまた、繊維状充填材の添加量は特に
限定されるものではないが、樹脂組成物全体の30質量
%以下であることが好ましい。30質量%を超えて添加
しても、機械的強度のさらなる向上が期待できないばか
りでなく、樹脂組成物の溶融流動性が著しく低下する。
さらに、固体潤滑剤と繊維状充填材との両方を添加する
場合は、両者の合計の添加量は、樹脂組成物全体の50
質量%以下であることが好ましい。固体潤滑剤及び繊維
状充填材のそれぞれの添加量が30質量%以下であって
も、前記両者の合計が50質量%を超えると、溶融成形
時の流動性と樹脂組成物の機械的強度とが著しく低下す
るおそれがある。
【0044】さらに、本発明の目的を損わない範囲内で
あれば、前記樹脂組成物には各種添加剤を配合してもよ
い。例えば、酸化防止剤,熱安定剤,紫外線吸収剤,光
保護剤,難燃剤,帯電防止剤,流動性改良剤,非粘着性
付与剤,結晶化促進剤,増核剤,顔料,染料等を例示す
ることができる。なお、内輪及び外輪の一方を前記樹脂
組成物で構成し、他方を前記樹脂組成物以外の材料で構
成してもよい。その場合、前記他方の軌道輪を構成する
材料は、特に限定されるものではないが、SUS440
C,SUS304,SUS630に代表されるステンレ
ス鋼系金属材料、窒化ケイ素(Si3 4 ), 炭化ケイ
素(SiC)、サイアロン(Sialon),部分安定
化ジルコニア(ZrO2 ),アルミナ(Al2 3 )に
代表されるセラミック材料、ソーダライムガラス,硼珪
酸ガラス,パイレックス(登録商標)ガラス等のガラ
ス、SUJ2等の軸受鋼等があげられ、これらは単独又
は2種以上組み合わせて用いることができる。ただし、
これらの中では、耐食性に優れるステンレス鋼系金属材
料,セラミック材料,及びガラスが好ましい。
【0045】また、転動体のような前記樹脂組成物で構
成されない部材も、上記の材料で構成することができ
る。このとき、転動体の外表面又は全体をセラミック材
料で構成した場合は、金属材料で構成した場合と比較し
て格段に凝着しにくいので、軸受がさらに長寿命とな
る。
【0046】
【発明の効果】以上のように、本発明の樹脂組成物製の
転動装置及びラジアル形転がり軸受は、腐食環境下又は
ドライ環境下において低速且つ高荷重条件下で作動され
ても長寿命である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である玉軸受の構造を示す
部分縦断面図である。
【図2】軸受の耐荷重性及び耐久性を評価する軸受回転
試験機の構造を示す概略図である。
【図3】軌道面の曲率半径及び転動体の直径の比と、玉
軸受の耐荷重性及び耐久性と、の相関を示すグラフであ
る。
【図4】転動体の直径のばらつきと、玉軸受の耐荷重性
及び耐久性と、の相関を示すグラフである。
【符号の説明】
1 玉軸受 2 内輪 2a 軌道面 3 外輪 3a 軌道面 4 玉

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転運動可能又は直線運動可能な可動子
    と、該可動子を回転運動可能又は直線運動可能に支持す
    る支持体と、前記可動子と前記支持体との間に転動自在
    に配設された複数の転動体と、を備えるとともに、前記
    可動子及び前記支持体の少なくとも一方が樹脂組成物で
    構成され、前記可動子の前記支持体に対する相対速度が
    1m/s以下という低速で作動される転動装置におい
    て、 前記可動子及び前記支持体のうち前記樹脂組成物で構成
    された方の軌道面の横断面形状を、前記転動体の直径の
    50%超過52%未満の曲率半径を有する円弧状とした
    ことを特徴とする転動装置。
  2. 【請求項2】 前記各転動体における直径のばらつきが
    5.0μm以下であることを特徴とする請求項1に記載
    の転動装置。
  3. 【請求項3】 前記樹脂組成物は、平均粒径が0.1〜
    60μmの固体潤滑剤を含有し、その含有量は前記樹脂
    組成物全体の30質量%以下であることを特徴とする請
    求項1又は請求項2に記載の転動装置。
  4. 【請求項4】 前記樹脂組成物は、平均繊維径が0.2
    〜30μm且つアスペクト比が3〜200の繊維状充填
    材を含有し、その含有量は前記樹脂組成物全体の30質
    量%以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2
    に記載の転動装置。
  5. 【請求項5】 前記樹脂組成物は、平均粒径が0.1〜
    60μmの固体潤滑剤と、平均繊維径が0.2〜30μ
    m且つアスペクト比が3〜200の繊維状充填材と、を
    含有し、それぞれの含有量は前記樹脂組成物全体の30
    質量%以下であり、且つ両者の合計の含有量は前記樹脂
    組成物全体の50質量%以下であることを特徴とする請
    求項1又は請求項2に記載の転動装置。
  6. 【請求項6】 内輪と、外輪と、前記内輪と前記外輪と
    の間に転動自在に配設された複数の転動体と、を備える
    とともに、前記内輪及び前記外輪のうち少なくとも前記
    内輪が樹脂組成物で構成され、前記内輪の前記外輪に対
    する相対速度が1m/s以下という低速で作動されるラ
    ジアル形転がり軸受において、 前記内輪の軌道面の横断面形状を、前記転動体の直径の
    50%超過52%未満の曲率半径を有する円弧状とした
    ことを特徴とするラジアル形転がり軸受。
  7. 【請求項7】 前記各転動体における直径のばらつきが
    5.0μm以下であることを特徴とする請求項6に記載
    のラジアル形転がり軸受。
  8. 【請求項8】 前記樹脂組成物は、平均粒径が0.1〜
    60μmの固体潤滑剤を含有し、その含有量は前記樹脂
    組成物全体の30質量%以下であることを特徴とする請
    求項6又は請求項7に記載のラジアル形転がり軸受。
  9. 【請求項9】 前記樹脂組成物は、平均繊維径が0.2
    〜30μm且つアスペクト比が3〜200の繊維状充填
    材を含有し、その含有量は前記樹脂組成物全体の30質
    量%以下であることを特徴とする請求項6又は請求項7
    に記載のラジアル形転がり軸受。
  10. 【請求項10】 前記樹脂組成物は、平均粒径が0.1
    〜60μmの固体潤滑剤と、平均繊維径が0.2〜30
    μm且つアスペクト比が3〜200の繊維状充填材と、
    を含有し、それぞれの含有量は前記樹脂組成物全体の3
    0質量%以下であり、且つ両者の合計の含有量は前記樹
    脂組成物全体の50質量%以下であることを特徴とする
    請求項6又は請求項7に記載のラジアル形転がり軸受。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005308053A (ja) * 2004-04-20 2005-11-04 Thk Co Ltd 低速案内装置及びその潤滑方法。
JP2011226624A (ja) * 2010-04-23 2011-11-10 Nsk Ltd 搬送ローラ用転がり軸受
JP2011226623A (ja) * 2010-04-23 2011-11-10 Nsk Ltd 搬送ローラ用転がり軸受

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