JP2005054008A - グリース組成物及び転動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高温,高速条件下においても適度な流動性と適度なせん断安定性とを有するとともに、経時硬化が生じにくいグリース組成物を提供する。また、高温,高速条件で使用されても長寿命な転動装置を提供する。
【解決手段】 基油と、増ちょう剤であるジウレア化合物と、平均一次粒径が1nm以上1000nm以下の炭素粉と、を含有するグリース組成物Gを転がり軸受1の空隙部内に充填した。炭素粉はカーボンブラック,カーボンナノチューブ,及びフラーレンのうちの少なくとも1種からなり、その含有量はグリース組成物G全体の1質量%以上10質量%以下である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、チキソトロピー性が優れているグリース組成物、及び、長寿命な転動装置に関する。
転がり軸受等の転動装置の潤滑には、グリース潤滑が広く採用されている。これは、油潤滑の場合のような複雑な密封装置を必要としないため、機械の小型簡素化が可能となるという利点を有していること、及び、グリースが半固体状の塑性物質であり、外力が加わらなければ流動しないという、転がり軸受等において漏れを抑えて内部に保持する上で非常に都合のいい性質を有していることが主な理由である。特に、自動車のエンジン補機や電装品には、シール又はシールド板を備えグリースを封入した転がり軸受が多用されている。
しかしながら、転がり軸受の周速が速い場合や負荷荷重が大きい場合等においては、グリースの流動性が不十分であると、潤滑不足に陥るおそれがある。また、グリースの流動性が高すぎると、グリースの漏洩が促進されて、潤滑不良が生じたり転がり軸受の周辺環境を汚染したりするおそれがある。さらに、グリースの流動性は、一般には温度の影響を受ける。
自動車のエンジン補機や電装品に使用される転がり軸受は、一般に転がり軸受の周速が速い場合や負荷荷重が大きい場合がほとんどであり、且つ使用温度も高温である場合が多いので、このようなエンジン補機や電装品に使用される転がり軸受に封入されるグリースについては、流動性の観点からも種々の改良が試みられている。
例えば、特許文献1に記載のグリース組成物は、増ちょう剤としてジウレア化合物を用いたものであり、分子構造の異なる複数のジウレア化合物を含有させることによって、適度な流動性と適度なせん断安定性とを得ている。
特許第3150787号公報 特開2002−195277号公報 特開2002−250351号公報
しかしながら、特許文献1に記載のグリース組成物は耐熱性の低い脂肪族ジウレア化合物を使用しているため、高速条件で使用される転がり軸受には適しているものの、自動車のオルタネータや中間プーリ等のように高温且つ高速条件で使用される転がり軸受には適用が困難である。また、ジウレア化合物のもう一つの難点である経時硬化性については、改善には至っていない。
このように、耐熱性及びせん断安定性に優れるジウレア化合物を含有するグリース組成物については、流動性の改良や経時硬化の抑制が試みられているが、十分な改良がなされているとは言えない。
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、高温,高速条件下においても適度な流動性と適度なせん断安定性とを有するとともに、経時硬化が生じにくいグリース組成物を提供することを課題とする。また、高温,高速条件で使用されても長寿命な転動装置を提供することを併せて課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1のグリース組成物は、カーボンブラック,カーボンナノチューブ,及びフラーレンのうちのいずれか1種からなり、且つ、平均一次粒径が1nm以上1000nm以下の炭素粉を、1質量%以上10質量%以下含有することを特徴とする。
このような構成のグリース組成物はチキソトロピー性が優れているので、せん断応力が作用するとすみやかに軟化流動し、せん断応力が除かれるとすみやかに固形化する。よって、優れた流動性を有するとともに漏洩しにくいので、転動装置等に長期間にわたって潤滑性を付与することができる。
炭素粉(カーボンブラック,カーボンナノチューブ,フラーレン)の平均一次粒径は、1nm以上1000nm以下である必要がある。平均一次粒径が上記範囲を外れると、グリース組成物のチキソトロピー性が不十分となる。このような不都合が生じにくくするためには、炭素粉の平均一次粒径は10nm以上300nm以下であることが好ましい。なお、カーボンナノチューブの場合は、長手方向の長さを粒径とする。
また、炭素粉の含有量は、1質量%以上10質量%以下である必要がある。1質量%未満では、グリース組成物のチキソトロピー性が不十分となり、10質量%を超えると、炭素分が凝集しやすくなり、グリース組成物の経時硬化の原因になることがある。また、炭素粉もある程度の増ちょう作用を有しているので、10質量%を超えてグリース組成物に添加すると初期ちょう度が低くなりすぎて、転動装置のトルクが大きくなりすぎる場合がある。このような不都合が生じにくくするためには、炭素粉の含有量は2質量%以上8質量%以下であることが好ましく、3質量%以上7質量%以下であることがより好ましく、4質量%以上6質量%以下であることが最も好ましい。
また、本発明に係る請求項2のグリース組成物は、カーボンブラック,カーボンナノチューブ,及びフラーレンのうちの少なくとも2種からなり、且つ、平均一次粒径が1nm以上1000nm以下の炭素粉を、1質量%以上10質量%以下含有することを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項3のグリース組成物は、請求項1又は請求項2に記載のグリース組成物において、前記カーボンブラック,前記カーボンナノチューブ,及び前記フラーレンは、それぞれ平均一次粒径が異なるものの2種以上で構成されることを特徴とする。
請求項2のグリース組成物は、形状の異なる2種以上の粉末(カーボンブラック,カーボンナノチューブ,及びフラーレンのうちの2種以上)からなる炭素粉を含有しているので、優れたチキソトロピー性を有するとともに経時硬化が生じにくい。また、請求項3のグリース組成物は、平均一次粒径が異なる2種以上のカーボンブラック,平均一次粒径が異なる2種以上のカーボンナノチューブ,及び平均一次粒径が異なる2種以上のフラーレンのうちの少なくとも1つからなる炭素粉を含有しているので(すなわち、広い粒径分布を有する炭素粉を含有しているので)、優れたチキソトロピー性を有するとともに経時硬化が生じにくい。
特に、カーボンナノチューブとフラーレンとを併用することが好ましく、このように形状が大きく異なるものを併用することによって、優れたチキソトロピー性と経時硬化抑制効果を得ることができる。この他、平均一次粒径の異なる2種以上のカーボンブラックの併用、カーボンナノチューブとカーボンブラックの併用、フラーレンとカーボンナノチューブの併用も、上記と同様の効果を得ることができる。さらに、平均一次粒径の異なる2種以上のカーボンナノチューブの併用や、平均一次粒径の異なる2種以上のフラーレンの併用も、上記と同様の効果が期待できる。
このように平均一次粒径の異なる2種の粉末を併用する場合には、大きい粉末と小さい粉末の平均一次粒径の比を、1:1.5以上1:1000以下とすることが好ましい。平均一次粒径の比が1:1.5未満であると、経時硬化抑制効果が不十分となり、1:1000超過であると、平均一次粒径が小さい粉末を用いた意味が乏しく、平均一次粒径が大きい粉末のみを用いた場合とほぼ同じ効果となる。このような不都合が生じにくくするためには、平均一次粒径の比を1:10以上1:50以下とすることがより好ましい。なお、3種以上の粉末を併用する場合には、最大の粉末と次に大きい粉末との平均一次粒径の比を、上記範囲内とすることが好ましい。
また、2種の粉末を併用する場合には、その配合質量比を1:9以上9:1以下とすることが好ましく、4:6以上6:4以下とすることがより好ましい。なお、3種以上の粉末を併用する場合には、最も配合量の多い粉末と次に配合量の多い粉末との配合質量比を、上記範囲内とすることが好ましい。
さらに、本発明に係る請求項4のグリース組成物は、請求項1〜3のいずれかに記載のグリース組成物において、増ちょう剤としてウレア化合物を含有することを特徴とする。
請求項4のグリース組成物は、増ちょう剤としてウレア化合物を用いたので、せん断安定性,耐熱性,及び流動性が優れている。なお、ウレア化合物の中でも、特にジウレア化合物が好ましい。
さらに、本発明に係る請求項5の転動装置は、外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配置された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配設された複数の転動体と、を備える転動装置において、前記内方部材と前記外方部材との間に形成され前記転動体が配設された空隙部内に、請求項1〜4のいずれかに記載のグリース組成物を充填したことを特徴とする。
このような構成の転動装置は、優れた流動性及びせん断安定性を有するとともに経時硬化が生じにくいグリース組成物が充填されているので、長寿命である。
なお、本発明は種々の転動装置に適用することができる。例えば、転がり軸受,ボールねじ,リニアガイド装置,直動ベアリング等である。
また、本発明における前記内方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には内輪、同じくボールねじの場合にはねじ軸、同じくリニアガイド装置の場合には案内レール、同じく直動ベアリングの場合には軸をそれぞれ意味する。また、前記外方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には外輪、同じくボールねじの場合にはナット、同じくリニアガイド装置の場合にはスライダ、同じく直動ベアリングの場合には外筒をそれぞれ意味する。
本発明のグリース組成物は、カーボンブラック,カーボンナノチューブ,及びフラーレンのうちの少なくとも1種からなり、平均一次粒径が1nm以上1000nm以下の炭素粉を、1質量%以上10質量%以下含有しているので、チキソトロピー性が優れている。よって、高温,高速条件下においても、適度な流動性と適度なせん断安定性とを有している。
また、本発明の転動装置は、チキソトロピー性が優れているグリース組成物が充填されているので、高温,高速条件で使用されても長寿命である。
本発明に係るグリース組成物及び転動装置の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る転動装置の一実施形態である転がり軸受の構造を示す部分縦断面図である。この転がり軸受1は、日本精工株式会社製の深溝玉軸受(内径25mm,外径62mm,幅17mm)であり、内輪10と、外輪11と、内輪10と外輪11との間に転動自在に配設された複数の玉12と、内輪10と外輪11との間に複数の玉12を保持する保持器13と、外輪11に取り付けられて内輪10と外輪11との間に介在された接触形のシール14,14と、で構成されている。
また、内輪10と外輪11とシール14,14とで囲まれた空隙部内には、グリース組成物Gが充填され、シール14により転がり軸受1内に密封されている。そして、このようなグリース組成物Gにより、内輪10及び外輪11の軌道面と玉12との接触部分が潤滑されている。
このグリース組成物Gは、基油,増ちょう剤,炭素粉,及び添加剤を含有している。
基油の種類は特に限定されるものではないが、例えば、鉱油系潤滑油,合成油系潤滑油,及び天然油系潤滑油等が好ましい。
鉱油系潤滑油としては、パラフィン系鉱物油,ナフテン系鉱物油,及びそれらの混合油等があげられ、これらは減圧蒸留,油剤脱れき,溶剤抽出,水素化分解,溶剤脱ろう,硫酸洗浄,白土精製,水素化精製等のうち少なくとも1つにより精製して用いてもよい。
また、合成油系潤滑油としては、合成炭化水素油(脂肪族系,芳香族系),エステル油,エーテル油,シリコン油,フッ素油等があげられる。
脂肪族系の合成炭化水素油としては、ノルマルパラフィン,イソパラフィン,ポリブテン,ポリイソブチレン,1−デセンオリゴマー,1−デセンとエチレンとのコオリゴマー等のポリα−オレフィン又はその水素化物などがあげられ、芳香族系の合成炭化水素油としては、モノアルキルベンゼン,ジアルキルベンゼン等のアルキルベンゼン、モノアルキルナフタレン,ジアルキルナフタレン,ポリアルキルナフタレン等のアルキルナフタレンなどがあげられる。
エステル油としては、ジブチルセバケート,ジ(2−エチルヘキシル)セバケート,ジオクチルアジペート,ジイソデシルアジペート,ジトリデシルアジペート,ジトリデシルグルタレート,メチルアセチルシノレート等のジエステル油、トリオクチルトリメリテート,トリデシルトリメリテート,テトラオクチルピロメリテート等の芳香族エステル油、トリメチロールプロパンカプリレート,トリメチロールプロパンペラルゴネート,ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート,ペンタエリスリトールペラルゴネート等のポリオールエステル油、一塩基酸及び二塩基酸の混合脂肪酸と多価アルコールとのオリゴエステルであるコンプレックスエステル油などがあげられる。
エーテル油としては、ポリエチレングリコール,ポリプロピレングリコール,ポリエチレングリコールモノエーテル,ポリプロピレングリコールモノエーテル等のポリグリコール、モノアルキルトリフェニルエーテル,アルキルジフェニルエーテル,ジアルキルジフェニルエーテル,テトラフェニルエーテル,ペンタフェニルエーテル,モノアルキルテトラフェニルエーテル,ジアルキルテトラフェニルエーテル等のフェニルエーテル油などがあげられる。
上記以外の合成油系潤滑油としては、トリクレジルフォスフェート,シリコーン油,パーフルオロアルキルエーテル油などがあげられる。
また、天然油系潤滑油としては、牛脂,豚脂,大豆油,菜種油,米ぬか油,ヤシ油,パーム油,パーム核油等の油脂系油又はその水素化物などがあげられる。
これらの基油は、単独で使用してもよいし、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
なお、自動車のエンジン補機や電装品に組み込まれる転がり軸受の潤滑に使用する場合には、耐熱性及び低温流動性に優れるエーテル油,エステル油,合成炭化水素油が好ましく、これらの中でもアルキルジフェニルエーテル,芳香族エステル油,ポリα−オレフィンが最も好ましい。
また、基油の動粘度は、自動車のエンジン補機や電装品に組み込まれる転がり軸受の潤滑に使用する場合には、40℃において20〜500mm2 /sであることが好ましい。20mm2 /s未満であると耐熱性が不十分となり、500mm2 /s超過であると低温時の流動性が不十分となる場合や、基油の撹拌抵抗による発熱が大きくなる場合がある。このような不都合がより生じにくくするためには、基油の40℃における動粘度は、30〜200mm2 /sであることがより好ましく、40〜150mm2 /sであることがさらに好ましく、50〜100mm2 /sであることが最も好ましい。
さらに、増ちょう剤の種類は特に限定されるものではないが、例えば、ジウレア化合物等のウレア化合物が特に好ましい。なお、ジウレア化合物とは、分子中に2個のウレア結合を有する化合物であり、例えば、ジイソシアネート1モルとモノアミン2モルとを反応させることにより得られる。リチウム石けん等の金属石けん系増ちょう剤を用いると、耐熱性が不十分となる場合があり、固体系増ちょう剤は、音響性能に悪影響がある場合が多い。
さらに、炭素粉は、カーボンブラック,カーボンナノチューブ,及びフラーレンのうちの少なくとも1種からなり、その平均一次粒径は1nm以上1000nm以下である。炭素粉の含有量は、グリース組成物Gの1質量%以上10質量%以下である。
さらに、添加剤の種類は特に限定されるものではなく、グリース組成物に一般的に使用される添加剤を、単独又は2種以上混合して用いることができる。固体系のものであっても、チキソトロピー性に影響を及ぼさない範囲であれば特に問題なく使用できる。
さらに、グリース組成物Gの混和ちょう度は、150〜350であることが好ましい。混和ちょう度が初期から350を超えていると、転がり軸受等の転動装置から漏洩するおそれが大きく、150未満であると、転がり軸受等の転動装置に封入することが困難となる。ただし、自動車のエンジン補機や電装品に組み込まれる転がり軸受の潤滑に使用する場合には、200〜320であることが好ましく、220〜300であることがより好ましい。
このようなグリース組成物Gは、チキソトロピー性が優れている。よって、高温,高速条件下においても適度な流動性と適度なせん断安定性とを有するとともに、経時硬化が生じにくい。また、転がり軸受1は、チキソトロピー性が優れているグリース組成物Gが充填されているので、高温,高速条件で使用されても長寿命である。
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
例えば、本実施形態においては転動装置の例として深溝玉軸受をあげて説明したが、本発明は、他の種類の様々な転がり軸受に対して適用することができる。例えば、アンギュラ玉軸受,自動調心玉軸受,円筒ころ軸受,円すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受,スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。
さらに、本発明は、転がり軸受に限らず、他の種類の様々な転動装置に対して適用することができる。例えば、ボールねじ,リニアガイド装置,直動ベアリング等である。
〔実施例〕
以下に、さらに具体的な実施例を示して、本発明を説明する。
表1〜3に示すような組成の異なるグリース組成物(実施例1〜9及び比較例1〜4)を調整し、そのチキソトロピー性及び経時硬化性を評価した。また、これらのグリース組成物を前述の転がり軸受1とほぼ同様の構成の転がり軸受に充填し、その耐久性(焼付き寿命)及びグリース組成物の漏洩量を評価した。
なお、各グリース組成物に用いた増ちょう剤は、ジウレア化合物である。また、基油の40℃における動粘度は、いずれも60mm2 /sである。さらに、カーボンナノチューブ及びフラーレンはいずれもMTR社製であり、カーボンナノチューブは直径0.7〜2nm、全長10〜1000nmで、フラーレンは直径1nmのC60である。さらに、カーボンブラックA及びカーボンブラックBはいずれもアクゾ社製であり、その平均一次粒径はそれぞれ40nm及び1000nmである。なお、本発明における平均一次粒径とは、カーボンナノチューブの場合は最大長さの平均値を意味し、フラーレン及びカーボンブラックの場合は最大径の平均値を意味する。
また、各グリース組成物に用いた酸化防止剤はジオクチルジフェニルアミン(東京化成株式会社製の試薬)、防錆剤はバリウムスルホネート(KING社製のNasul BSN)、腐食防止剤はベンゾトリアゾール(東京化成株式会社製の試薬)、極圧剤はジチオリン酸亜鉛(ルブリゾール社製のルブリゾール1095)である。
表1〜3の増ちょう剤,基油,炭素粉,及び添加剤の欄に記載された数値の単位は、いずれも質量%である。
Figure 2005054008
Figure 2005054008
Figure 2005054008
〔グリース組成物のチキソトロピー性の評価方法について〕
まず、チキソトロピー性の評価方法について説明する。粘弾性物質のレオロジー特性を測定できるレオメータを用いて、グリース組成物に作用するせん断応力σとそのときのせん断速度γとの関係を測定した。すなわち、図2に示すような試験装置のプレートとステージとの間(ギャップは50μmである)にグリース組成物を介在させ、プレートを所定の速度に回転させて、そのときに必要とする応力を測定した。なお、試験モードは速度掃引とし、せん断速度γ(単位は1/s)を0から5000まで増速し、そこから連続的に減速させて元のせん断速度γ0まで戻すという条件の測定を連続して2回行った。
実施例1のグリース組成物の測定結果を図3に、比較例1のグリース組成物の測定結果を図4に、それぞれ示す。
比較例1のグリース組成物は、一般的なウレア系グリースのせん断特性(チキソループ)を示しており、極低速の動き出しから高速になり低速に戻るというプロセスにおいて、せん断速度γとせん断応力σとがほぼ線形の関係を示した。この結果から、比較例1のグリース組成物はチキソトロピー性が乏しいことが分かる。
一方、実施例1のグリース組成物(カーボンナノチューブ及びフラーレンを含有するグリース組成物)は、1回目の測定において立ち上がりの勾配が大きいことから、転がり軸受等から漏洩しにくく内部に保持されやすい性質を有していることが分かる。また、2回目の測定において、比較例1のグリース組成物の場合よりも小さな傾きで推移していることから、流動時は比較例1よりも小さい力で流動していて、流動性が優れていることが分かる。
表1〜3には、このような測定で得られた結果から算出したチキソ比を記載した。すなわち、1回目の測定における最高せん断速度(γ=5.0)でのせん断応力σmax1と、2回目の測定における最高せん断速度(γ=5.0)でのせん断応力σmax2との比σmax1/σmax2を算出し、この比σmax1/σmax2をチキソ比とした。この定義によれば、チキソ比が大きいほどチキソトロピー性が優れていると言える。
〔グリース組成物の経時硬化性の評価方法について〕
グリース組成物を容器の中に入れ、室温で1ヶ月間放置した後、そのグリース組成物の混和ちょう度を測定した。結果を表1〜3に示す。なお、実施例1,9及び比較例1のグリース組成物については、放置前後の混和ちょう度を比較したグラフを図5に示した。
図5から分かるように、カーボンナノチューブ及びフラーレンを含有する実施例1のグリース組成物は、混和ちょう度変化がほとんどなく、実施例9及び比較例1と比べて経時硬化が小さかった。このことから、形状の異なる2種の粉末からなる炭素粉を用いると、炭素粉の凝集が生じにくいので、経時硬化が生じにくいことが分かる。
〔軸受の耐久性(焼付き寿命)の評価方法について〕
実施例1〜9及び比較例1〜4のグリース組成物を充填した前述の転がり軸受を、下記の条件で回転させた。
回転速度 :10000rpm
アキシアル荷重:98N
ラジアル荷重 :98N
軸受設定温度 :160℃
そして、軸受温度が上記設定温度から10℃上昇した時点を、焼付き寿命とみなした。結果を表1〜3に示す。なお、表1〜3に示した焼付き寿命は、実施例1の焼付き寿命を1とした場合の相対値で示してある。
〔軸受からのグリース組成物の漏洩量の評価方法について〕
前述の耐久性の評価方法と同様にして回転試験を行い、回転100時間後,250時間後,500時間後でそれぞれ回転を停止させた。そして、軸受の質量を測定して、グリース組成物の漏洩量を求めた。結果を表1〜3に示す。なお、表1〜3には、軸受に充填したグリース組成物の量に対する漏洩したグリース組成物の量の比率(単位は質量%)が記載してある。
表1〜3に示した各評価結果から分かるように、優れたチキソトロピー性を有する各実施例のグリース組成物は、優れた耐久性を転がり軸受に付与し、また、転がり軸受からの漏洩量も少なかった。さらに、形状の異なる2種の粉末からなる炭素粉が含有されたグリース組成物は、経時硬化が小さかった。
本発明のグリース組成物は、転がり軸受,リニアガイド装置,ボールねじ等の転動装置の潤滑剤として好適である。また、本発明の転動装置は、オルタネータ,中間プーリ,電磁クラッチ,ウォータポンプ等のような自動車のエンジン補機や電装品に適用可能である。
本発明に係る転動装置の一実施形態である転がり軸受の構造を示す部分縦断面図である。 グリース組成物のチキソトロピー性の評価方法を説明する図である。 実施例1のグリース組成物のチキソトロピー性の評価結果を示すグラフである。 比較例1のグリース組成物のチキソトロピー性の評価結果を示すグラフである。 グリース組成物の経時硬化性の評価結果を示すグラフである。
符号の説明
1 転がり軸受
10 内輪
11 外輪
12 玉
G グリース組成物

Claims (5)

  1. カーボンブラック,カーボンナノチューブ,及びフラーレンのうちのいずれか1種からなり、且つ、平均一次粒径が1nm以上1000nm以下の炭素粉を、1質量%以上10質量%以下含有することを特徴とするグリース組成物。
  2. カーボンブラック,カーボンナノチューブ,及びフラーレンのうちの少なくとも2種からなり、且つ、平均一次粒径が1nm以上1000nm以下の炭素粉を、1質量%以上10質量%以下含有することを特徴とするグリース組成物。
  3. 前記カーボンブラック,前記カーボンナノチューブ,及び前記フラーレンは、それぞれ平均一次粒径が異なるものの2種以上で構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のグリース組成物。
  4. 増ちょう剤としてウレア化合物を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のグリース組成物。
  5. 外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配置された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配設された複数の転動体と、を備える転動装置において、前記内方部材と前記外方部材との間に形成され前記転動体が配設された空隙部内に、請求項1〜4のいずれかに記載のグリース組成物を充填したことを特徴とする転動装置。
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