JP2007314621A - フラーレン含有潤滑油組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】酸化寿命が格段に優れている潤滑油組成物を提供する。
【解決手段】基油に、フェノール系酸化防止剤などの連鎖停止型酸化防止剤0.005〜10質量%及びC60、C70、及びC76以上の高次フラーレンを含むフラーレン類混合物などのフラーレン類0.005〜10質量%が配合されていることを特徴とする潤滑油組成物である。
【選択図】 なし
【解決手段】基油に、フェノール系酸化防止剤などの連鎖停止型酸化防止剤0.005〜10質量%及びC60、C70、及びC76以上の高次フラーレンを含むフラーレン類混合物などのフラーレン類0.005〜10質量%が配合されていることを特徴とする潤滑油組成物である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、フラーレン類を含有する潤滑油組成物に関するものである。特に、フラーレン類を含有し、優れた酸化防止性能を有する潤滑油組成物に関するものである。
球状炭素化合物であるフラーレンの大量合成法が1990年に確立されたのを機に、新材料としてのフラーレンの様々な物理的・化学的特徴を利用した用途が検討されている。中でも、フラーレンのラジカルとの反応性を利用した研究が数多く成されている。
フラーレンは炭素原子のみで構成される5員環と6員環からなり、中空構造を有する球状分子である。フラーレンの代表例は12個の5員環と20個の6員環からなる、バックミンスターフラーレンと呼ばれるC60のサッカーボール状分子であるが、C60以外にも、C70、C76、C78、C80、C82、C84、C86、C88、C90、C92、C94、C96等が知られている。これらを総称してフラーレン類という。
これらフラーレン類の化学的特徴の一つとして、ラジカルとの反応性が知られており、生体内での抗酸化作用に関する研究や、ポリマーに酸化防止剤として配合する研究が成されている。例えば、ポリスチレンゴム、シリコンゴムに添加した場合の熱分解温度上昇作用を明らかにした研究(非特許文献1参照)、フラーレン誘導体による、紫外線/過酸化資質に由来の活性酸素の消去作用に関する研究(非特許文献2参照)等が報告されている。
また、潤滑油分野においてフラーレン類の酸化防止作用を研究した例としては、フラーレン類でグラフト化した炭化水素を含む潤滑油(特許文献1参照)、フラーレン類を配合した転がり軸受用潤滑油 (特許文献2参照)等が提案されている。
また、潤滑油分野においてフラーレン類の酸化防止作用を研究した例としては、フラーレン類でグラフト化した炭化水素を含む潤滑油(特許文献1参照)、フラーレン類を配合した転がり軸受用潤滑油 (特許文献2参照)等が提案されている。
Eldar B.Zeinalov 他、Polymer Degradation and Stability Vol.71 No.2197-202 (2001)
前田 健太郎他、Fragrance journal Vol.31 No.8 40-48
特表平11−515053号公報
特開2005−298735号公報
近年、潤滑油分野における環境対応の一環として、各種潤滑油の長寿命化が図られており、酸化安定性の更なる向上のため、酸化防止剤の配合技術が重要になっている。潤滑油に配合される酸化防止剤としては、フェノール系化合物やアミン系化合物などの連鎖停止型酸化防止剤や、ZnDTPや硫化オレフィンなどの過酸化物分解型酸化防止剤などが従来から用いられているが、更なる酸化安定性の向上を目的とした場合、より効果の高い酸化防止剤が必要になってきている。本発明は、フラーレン類を用いて酸化寿命を格段に延長させた潤滑油組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、基油に、フラーレン類および連鎖停止型酸化防止剤をそれぞれ特定量配合させることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、基油に、連鎖停止型酸化防止剤0.005〜10質量%及びフラーレン類0.005〜10質量%が配合されていることを特徴とする潤滑油組成物を提供するものである。
すなわち、本発明は、基油に、連鎖停止型酸化防止剤0.005〜10質量%及びフラーレン類0.005〜10質量%が配合されていることを特徴とする潤滑油組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記潤滑油組成物において、連鎖停止型酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤である潤滑油組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記潤滑油組成物において、フラーレン類が、C60、C70、及びC76以上の高次フラーレンを含むフラーレン混合物である潤滑油組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記潤滑油組成物において、フラーレン類が、C60、C70、及びC76以上の高次フラーレンを含むフラーレン混合物である潤滑油組成物を提供するものである。
本発明の潤滑油組成物は、従来から潤滑油の酸化防止剤として用いられている連鎖停止型酸化防止剤と、近年、酸化防止作用が見出されたフラーレン類を共に配合することにより、それぞれ単独で用いられる場合よりも格段に優れる酸化寿命を得ることができる。
本発明におけるフラーレン類としては、C60、C70、C76、C78、C80、C82、C84、C86、C88、C90、C92、C94、C96等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上の混合物として用いてもよいが、混合物を使用することがより好ましい。フラーレン類混合物としては、C60、C70、及びC76以上の高次フラーレンを含むフラーレン類混合物が好ましい。
このフラーレン類混合物において、C60の含有割合は30〜85質量%が好ましく、40〜75質量%が特に好ましい。また、C70の含有割合は10〜50質量%が好ましく、15〜40質量%が特に好ましい。さらに、C76以上の高次フラーレンの含有割合は5〜35質量%が好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。
フラーレン類は、潤滑油組成物全体量に対して0.005〜10質量%配合されるが、0.01〜10質量%配合することが好ましく、0.05〜5質量%配合することが特に好ましい。フラーレン類の配合量が少な過ぎると酸化防止作用が発現されず、フラーレン類の配合量が多過ぎると溶解せずに沈積する量が多くなり好ましくない。
フラーレン類は、潤滑油組成物全体量に対して0.005〜10質量%配合されるが、0.01〜10質量%配合することが好ましく、0.05〜5質量%配合することが特に好ましい。フラーレン類の配合量が少な過ぎると酸化防止作用が発現されず、フラーレン類の配合量が多過ぎると溶解せずに沈積する量が多くなり好ましくない。
本発明における連鎖停止型酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール等のアルキルフェノール類、4,4‘−メチレンビス―(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4‘−チオビス―(6−t−ブチル−o−クレゾール)等のビスフェノール類、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト等のヒンダードフェノール類などのフェノール系化合物、あるいは、フェニル−α−ナフチルアミン等のナフチルアミン類、p,p’−ジアルキルジフェニルアミン等のジフェニルアミン類、フェノチアジンなどの芳香族アミン系化合物を使用することができ、これらは複数を組み合わせても良く、単独で用いても良い。
これらのうち、フェノール系化合物が特に好ましく、ヒンダードフェノール類がさらに好ましく、これらは複数を組み合わせても良く、単独で用いても良い。
連鎖停止型酸化防止剤は、潤滑油組成物全体量に対して0.005〜10質量%配合するが、0.01〜5質量%が好ましい。連鎖停止型酸化防止剤の配合量が多過ぎると添加量の割には酸化防止効果が伸びないばかりか基油の割合が少なくなり潤滑油としての機能に乏しくなるため好ましくない。
連鎖停止型酸化防止剤は、潤滑油組成物全体量に対して0.005〜10質量%配合するが、0.01〜5質量%が好ましい。連鎖停止型酸化防止剤の配合量が多過ぎると添加量の割には酸化防止効果が伸びないばかりか基油の割合が少なくなり潤滑油としての機能に乏しくなるため好ましくない。
本発明の潤滑油組成物においては、フラーレン類と連鎖停止型酸化防止剤の配合割合は、質量比で1:50〜20:1が好ましく、1:10〜10:1がより好ましく、1:5〜5:1がさらに好ましく、1:3〜3:1が特に好ましい。
本発明に用いる基油は、鉱油系潤滑油、合成系潤滑油又は両者の混合物からなる基油が用いられる。鉱油系潤滑油は、例えば、鉱油系潤滑油留分を溶剤精製、水素化精製などの精製手法を適宜組み合わせて精製したものが用いられる。合成潤滑油は、例えば、炭素数3〜12のα-オレフィンの重合体であるポリ−α−オレフィン類、ポリブテン類、ジエステル類、ポリオールエステル類、ジフェニルエーテル類、ポリフェニルエーテル類、ポリアルキレングリコール類、アルキルベンゼン類、アルキルナフタレン類等が用いられる。これら鉱油系潤滑油、合成系潤滑油はそれぞれ1種単独で、あるいは2種以上を混合して使用することができる。
本発明の潤滑油組成物は、基油に連鎖停止型酸化防止剤、及びフラーレン類を添加し、混合することにより調製することができる。
本発明の潤滑油組成物には、必要に応じて他の各種添加剤を1種以上適宜配合することができる。各種添加剤としては、清浄剤、分散剤、防錆剤、流動点降下剤、粘度指数向上剤、消泡剤、摩耗防止剤、摩擦調整剤、金属不活性化剤、界面活性剤などが挙げられる。具体的には、清浄剤として、スルホネート、フェネート、サリシレートなどが挙げられる。分散剤としては、アルケニルコハク酸イミド、アルケニルコハク酸イミドのホウ素化合物誘導体、流動点降下剤として、ポリメタクリレート、粘度指数向上剤として、ポリメタクリレート、オレフィンコポリマーなどが挙げられる。
本発明の潤滑油組成物には、必要に応じて他の各種添加剤を1種以上適宜配合することができる。各種添加剤としては、清浄剤、分散剤、防錆剤、流動点降下剤、粘度指数向上剤、消泡剤、摩耗防止剤、摩擦調整剤、金属不活性化剤、界面活性剤などが挙げられる。具体的には、清浄剤として、スルホネート、フェネート、サリシレートなどが挙げられる。分散剤としては、アルケニルコハク酸イミド、アルケニルコハク酸イミドのホウ素化合物誘導体、流動点降下剤として、ポリメタクリレート、粘度指数向上剤として、ポリメタクリレート、オレフィンコポリマーなどが挙げられる。
消泡剤としては、シリコン化合物、エステル系消泡剤などが挙げられる。摩耗防止剤としては、Zn−DTPなどが挙げられる。摩擦調整剤としては、脂肪酸、有機モリブデン化合物などが挙げられる。金属不活性化剤としては、ベンゾトリアゾール、アルケニルコハク酸エステルなどが挙げられる。界面活性剤としては、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレートなどが挙げられる。なお、本発明の効果を損なわない範囲であれば、さらに過酸化物分解型酸化防止剤を配合することもできる。過酸化物分解型酸化防止剤としては、ZnDTPや硫化オレフィンなどが挙げられる。
以下、実施例および比較例によりさらに具体的に本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜2、比較例1〜4)
下記(1)〜(3)に示す基油と添加剤を表1に示す割合で配合して潤滑油組成物を調整した。
(1)基油:ポリ-α-オレフィン油(100℃の動粘度が約6mm2/sのグレードのもの)
(2)連鎖停止型酸化防止剤:イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト
(3)フラーレン類:C60を約60質量%、C70を約25質量%、およびC76以上の高次フラーレンを約15質量%含むフラーレン混合物
下記(1)〜(3)に示す基油と添加剤を表1に示す割合で配合して潤滑油組成物を調整した。
(1)基油:ポリ-α-オレフィン油(100℃の動粘度が約6mm2/sのグレードのもの)
(2)連鎖停止型酸化防止剤:イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト
(3)フラーレン類:C60を約60質量%、C70を約25質量%、およびC76以上の高次フラーレンを約15質量%含むフラーレン混合物
調製した潤滑油組成物について下記の通り評価試験を行った。
JIS K2514に規定される潤滑油の酸化安定度試験方法のうち、回転ボンベ式酸化安定度試験方法(略称RBOT)に準拠して評価した。この試験は最高圧力から1.8kgf/cm2の圧力降下が観測されるまでの時間を[分]単位で計測するもので、時間が長いほど酸化安定性に優れ、潤滑油としての寿命が長いことを示す。
表1に、上記評価試験の結果を示す。なお表1では圧力降下までの時間をRBOT寿命と称した。
JIS K2514に規定される潤滑油の酸化安定度試験方法のうち、回転ボンベ式酸化安定度試験方法(略称RBOT)に準拠して評価した。この試験は最高圧力から1.8kgf/cm2の圧力降下が観測されるまでの時間を[分]単位で計測するもので、時間が長いほど酸化安定性に優れ、潤滑油としての寿命が長いことを示す。
表1に、上記評価試験の結果を示す。なお表1では圧力降下までの時間をRBOT寿命と称した。
表1において、比較例1はポリ-α-オレフィン油(以下、PAOという。)単品であり、比較例2は、PAOにフラーレン類のみを配合したものであり、比較例3、4はPAOに連鎖停止型酸化防止剤を配合したものである。表1より明らかな通り、フラーレン類の酸化防止作用は連鎖停止型酸化防止剤の酸化防止作用に著しく劣っている。一方、実施例1及び実施例2は、フラーレン類と連鎖停止型酸化防止剤を共に配合したものであるが、これらの実施例のRBOT寿命は、フラーレン類単独の比較例2のRBOT寿命に比べて約6倍延長されており、また、連鎖停止型酸化防止剤単独の比較例3及び比較例4のRBOT寿命に比べて約2〜3倍延長されており、本発明の潤滑油組成物は、大幅に延長されたRBOT寿命を有していることがわかる。これらの効果は、本発明により初めて実現できるものである。
本発明の潤滑油組成物は、内燃機関用潤滑油、ATF、CVTF、PSF、ショックアブソーバー油、駆動系ギヤ油等の駆動系潤滑油、油圧作動油、タービン油、コンプレッサー油、軸受油、工業用ギヤ油等の工業用潤滑油、金属加工油、冷凍機油、グリース等の種々の潤滑油として好適に用いられる。
Claims (3)
- 基油に、連鎖停止型酸化防止剤0.005〜10質量%及びフラーレン類0.005〜10質量%が配合されていることを特徴とする潤滑油組成物。
- 連鎖停止型酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤である請求項1に記載の潤滑油組成物。
- フラーレン類が、C60、C70、及びC76以上の高次フラーレンを含むフラーレン類混合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の潤滑油組成物。
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