JP4202636B2 - 自動車エンジン用潤滑油組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車エンジン用潤滑油組成物、特に二輪自動車用4サイクルガソリンエンジンの潤滑に適した潤滑油組成物に関する。特に、オイル消費量が少なく、高温酸化安定性および動力伝達性能の優れた二輪自動車用4サイクルエンジン油に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、二輪自動車4サイクルガソリンエンジン油としては、四輪自動車4サイクルガソリンエンジン用に開発されたエンジン油を転用することが一般に行われている。しかしながら、二輪自動車では、四輪自動車と異なり、エンジン、クラッチシステムおよびトランスミッションの潤滑油を共用しているために、四輪自動車用4サイクルエンジン油をそのまま二輪自動車4サイクルエンジンに使用すると、動力伝達機構などに支障を来す恐れがある。特に近年、四輪自動車用として強い要望がある省燃費対応4サイクルエンジン油では、低摩擦性によるクラッチ滑りの発生や、低粘度性によるギヤの耐久性不足が懸念されており、実際にそのような事例も報告されている。
【0003】
一方、二輪自動車4サイクルガソリンエンジンでは、その特徴である小型、高出力、高速回転、空冷及び/又は水冷方式の採用により、エンジン油の油温が上昇し易くなっている。そのため、オイル消費量が少なく、かつ高温酸化安定性の優れたエンジン油が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、オイル消費量が少なく、高温酸化安定性および動力伝達性能の優れた二輪自動車用4サイクルエンジン油として特に有用な自動車エンジン用潤滑油組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述の問題について検討を重ねた結果、二輪自動車4サイクルガソリンエンジンを用いたエンジン試験における潤滑油(エンジン油)のオイル消費量と、エンジン油の主要量を占める基油の蒸発損失との間に、密接な関係があることを見い出した。そして、基油として蒸発損失が14重量%以下であってかつ100℃での動粘度が3〜9mm2/sである鉱油系基油を用いることにより、オイル消費量が少なく、高温における酸化安定性に優れ、かつ動力伝達性能にも優れた二輪自動車用4サイクルガソリンエンジン油組成物が得られることを見い出し、本発明に到達したものである。
【0006】
本発明は、潤滑粘度の鉱油系基油を多量含有成分とする二輪自動車用4サイクルエンジンの潤滑用の自動車エンジン用潤滑油組成物であり、該鉱油系基油には、組成物の全重量に基づき、(a)ホウ素含有コハク酸イミド系分散剤がホウ素含有量換算値で0.01〜0.08重量%、(b)カルシウム含有清浄剤がカルシウム含有量換算値で0.05〜0.3重量%、(c)ジアルキルジチオリン酸亜鉛がリン含有量換算値で0.04〜0.12重量%、(d)酸化防止剤が0.01〜5.0重量%及び(e)コハク酸イミドの硫黄含有オキシモリブデン錯体化合物がモリブデン含有量換算値で40〜1000重量ppmとなる量にてそれぞれ、溶解もしくは分散されており、かつ該鉱油系基油は、100℃における動粘度が3〜9mm2/sを示し、かつ蒸発損失が14重量%以下であることを特徴とする自動車エンジン用潤滑油組成物にある。
【0007】
本発明において、蒸発損失は、ASTM D5800試験法に従って得られる測定値である。
【0008】
また、本発明は、上記のエンジン油組成物を用いて二輪自動車用4サイクルエンジンを潤滑にする方法にもある。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の自動車エンジン用潤滑油組成物に用いられる基油は、潤滑粘度の鉱油系基油であり、そして100℃における動粘度が3〜9mm2/sであってかつ蒸発損失が14重量%以下のものである。
【0010】
本発明において基油の蒸発損失は、ASTM D5800試験法に従って得られる測定値であり、好ましくは12重量%以下であり、特に好ましくは10重量%以下である。基油の蒸発損失が15重量%を越えると、そのような基油を用いたエンジン油を二輪自動車に使用したときにオイル消費量および高温での粘度上昇が著しく増加する。
【0011】
また、基油の100℃における動粘度は4〜8mm2/sであることが好ましい。
【0012】
このような鉱油の例としては、パラフィン基原油や中間基原油を、常法に従って、蒸留、精製することによって得られる精製油、例えば溶剤精製油、水添精製油、脱ろう処理油、白土処理油を挙げることができる。特に、高度水素化精製した水素化分解基油(例えば、蒸発損失が10重量%以下、芳香族分が10重量%以下、および粘度指数が120以上である基油)は、本発明に好ましく用いることができる。また、鉱油系スラックワックス(粗ろう)または天然ガスから合成された合成ワックスを原料として、異性化および水素化分解のプロセスで作られる高粘度指数基油も、蒸発損失が小さく好適に用いることができる。さらに、本発明の鉱油系基油はこれらの油を少なくとも10重量%以上含有する混合基油であってもよい。なお、SAE10W30など10WXX油を調製するために従来より使用されている溶剤精製油150ニュートラル油の場合には、通常蒸発損失は15〜20重量%となるので、蒸留の際に蒸留温度範囲をナロウカットにすることが望ましい。
【0013】
本発明の潤滑油組成物には、基本的に前記の各種の添加剤が含有される。
基本成分中の(a)成分のホウ素含有コハク酸イミド系分散剤は、ホウ素含有量換算値で0.01〜0.08重量%含有される。このホウ素含有コハク酸イミド系分散剤は、その他の分散剤に比べて熱酸化安定性および耐摩耗性に優れていて、本発明に適している。ホウ素含有コハク酸イミド系分散剤は、アルケニル又はアルキルコハク酸イミドのホウ酸変性誘導体であることが好ましく、一般に分子量900〜5000のポリオレフィン、特にポリブテンと、無水マレイン酸を塩素化法または熱反応法により反応させて得られたポリブテニルコハク酸無水物を、1分子当たり平均窒素原子数4〜10のポリアルキレンポリアミンと反応させて得られたコハク酸イミドをホウ酸で反応処理することにより、製造することができる。塩素化法は、熱反応法よりも反応率が高いものの、最終生成物中に多量の塩素が残留しやすい(例えば、約2000ppm)。それに対して、熱反応法では最終生成物中の塩素量を極めて低く抑えることができる(例えば、約30ppm以下)ので、ダイオキシンなどとの関連からも、好ましい。
【0014】
また、ポリブテンのうちでも、少なくとも約50%のメチルビニリデン構造を有する高反応性ポリイソブテンは、熱反応法でも反応率を向上させることができるので好ましい。この場合に、未反応のポリブテンの量が減少するので、有効分(コハク酸イミド)濃度の高い分散剤を得ることができる。よって、特に、高反応性ポリイソブテンを用いて熱反応法により製造されたコハク酸イミドのホウ酸変性誘導体が好ましい。
【0015】
本発明の潤滑油組成物には上記のホウ素含有コハク酸イミド系分散剤が必須成分として含有されるが、他のアルケニルベンジルアミン系やアルケニルコハク酸エステル系などの無灰分散剤も適宜組み合わせて用いることができる。
【0016】
(b)成分のカルシウム含有清浄剤は、本発明の潤滑油組成物にカルシウム含有量換算値で0.05〜0.3重量%含有される。カルシウム含有清浄剤は、分枝状アルキル置換フェノールから誘導された、全塩基価が10〜350mgKOH/gの硫化カルシウム(Ca)アルキルフェネートであることが好ましい。四輪自動車4サイクルガソリンエンジン用に開発されたエンジン油が転用されることが多かった従来のエンジン油では、MgスルホネートやCaスルホネートが用いられていたが、これらに比べて上記硫化Caフェネートは、熱酸化安定性および摩擦特性指数向上の点で優れており、本発明の潤滑油組成物の調製に適している。
【0017】
なお、本発明の潤滑油組成物には上記のカルシウム含有清浄剤が必須成分として含有されるが、これ以外の非硫化アルキルサリチル酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、炭素−窒素結合を有する有機酸又はフェノール誘導体のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、マンニッヒ塩基構造を有する非硫化アルキルフェノール誘導体のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、および石油スルホン酸又はアルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩などの金属系清浄剤も適宜組み合わせて用いることができる。
【0018】
(c)成分のジアルキルジチオリン酸亜鉛は、本発明の潤滑油組成物にリン含有量換算値で0.04〜0.12重量%含有される。ただし、排出ガス浄化触媒の触媒被毒を考慮すると、リン含有量が0.04〜0.08重量%の範囲にあることが望ましい。ジアルキルジチオリン酸亜鉛としては、炭素原子数3〜18の第二級アルコールから誘導された第二級アルキル基を含むジアルキルジチオリン酸亜鉛が、摩耗防止の点から好ましい。これに対して、炭素原子数3〜18の第一級アルコールから誘導された第一級アルキル基を含むジアルキルジチオリン酸亜鉛は、耐熱性に優れている。よって、本発明の潤滑油組成物には、第二級アルキル基タイプのジアルキルジチオリン酸亜鉛と第一級アルキル基タイプのジアルキルジチオリン酸亜鉛とを適宜組み合わせて用いることが、摩耗防止および熱酸化安定性の点からより好ましい。
【0019】
(d)成分の酸化防止剤は、本発明の潤滑油組成物に0.01〜5.0重量%含有される。酸化防止剤としては、酸化防止性のフェノール化合物および酸化防止性のアミン化合物が好ましく、具体的にはヒンダードフェノール系酸化防止剤およびジアリールアミン系酸化防止剤が用いられる。
【0020】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の例としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(6−t−ブチル−o−クレゾール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸オクチル、および3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸オクタデシルなどのヒンダードフェノール類を挙げることができる。特に、3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アルキルエステルは、液状であり、溶解性にも優れ、本発明の潤滑油組成物に良好に用いられる。
【0021】
ジアリールアミン酸化防止剤の例としては、炭素原子数4〜9の混合アルキルジフェニルアミン、p,p’−ジオクチルジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、アルキル化−α−ナフチルアミン、およびアルキル化−フェニル−α−ナフチルアミンなどのジアリールアミン類を挙げることができる。
【0022】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤とジアリールアミン系酸化防止剤は、それぞれ単独で使用することができるが、所望により組み合わせて使用してもよい。さらに、これら以外の油溶性酸化防止剤を併用してもよい。
【0023】
本発明の潤滑油組成物には更に、(e)多機能添加剤に属するモリブデン含有化合物が40〜1000重量ppm含有される。モリブデン化合物としては、コハク酸イミドの硫黄含有オキシモリブデン錯体化合物(特公平3−22438号公報記載)が、高温での清浄性向上に寄与することができ、特に好ましい。なお、四輪自動車4サイクルガソリンエンジン用の省燃費対応エンジン油に用いられることの多い、硫化オキシモリブデンジチオカルバメートおよび硫化オキシモリブデンジチオホスフェートは、摩擦係数を低下させて動力伝達性能を低減する傾向があるので好ましくない。
【0024】
また、アルカリ金属ホウ酸塩水和物の添加も、高温清浄性あるいは塩基価付与の点で効果的である。本発明においてアルカリ金属ホウ酸塩水和物は、米国特許第3929650号および第4089790号明細書に記載された方法により合成された化合物に代表される化合物を表す。例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属中性スルホネートをアルカリ金属水酸化物の存在下で炭酸化して過塩基性スルホネートを得、これにホウ酸を反応させて得られるアルカリ金属ホウ酸塩の微粒子分散体(炭酸化反応において、コハク酸イミドのような無灰分散剤を共存させることが望ましい)を挙げることができる。ここで、アルカリ金属としてはカリウム、ナトリウムなどが望ましい。具体例としては、中性カルシウムスルホネートおよびコハク酸イミド系に分散させた、組成式:KB3O5・H2Oで表される粒径約0.3μm以下の微粒子分散体を挙げることができる。耐水性の点からは、カリウムをナトリウムで置換したものも好ましく用いられる。
【0025】
また、本発明の潤滑油組成物には、粘度指数向上剤が20重量%以下(特に1〜20重量%の範囲)の量で含有されていてもよい。粘度指数向上剤の例としては、ポリアルキルメタクリレート、エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、およびポリイソプレンなどの高分子化合物を挙げることができる。また、これらの高分子化合物に分散性能を付与した分散型粘度指数向上剤もしくは多機能型粘度指数向上剤を用いることもできる。これらの粘度指数向上剤は単独で用いることができるが、任意の粘度指数向上剤を二種以上組み合わせて使用してもよい。
【0026】
さらに、本発明の潤滑油組成物には各種の補助的な添加剤が含有されていてもよい。そのような補助的添加剤の例としては、酸化防止剤または摩耗防止剤として機能する亜鉛ジチオカルバメート、メチレンビス(ジブチルジチオカルバメート)、油溶性銅化合物、硫黄系化合物(例、硫化オレフィン、硫化エステル、ポリスルフィド)、リン酸エステル、亜リン酸エステル、有機アミド化合物(例、オレイルアミド)を挙げることができる。また、金属不活性化剤として機能するベンゾトリアゾール系化合物やチアジアゾール系化合物などを添加することもできる。防錆剤または抗乳化剤として機能するポリオキシエチエレンアルキルフェニルエーテル、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体などのポリオキシアルキレン非イオン性界面活性剤を添加することもできる。摩擦調整剤として機能する各種アミン、アミド、アミン塩、およびそれらの誘導体、あるいは多価アルコールの脂肪酸エステル、あるいはそれらの誘導体を添加することもできる。さらに、消泡剤や流動点降下剤として機能する各種の化合物を添加することもできる。これらの補助的添加剤は、潤滑油組成物に対してそれぞれ3重量%以下(特に0.001〜3重量%の範囲)の量で使用することが望ましい。
【0027】
前記鉱油系基油に上述した各種の添加剤成分を溶解もしくは分散することにより得られる本発明の潤滑油組成物は、SAE粘度グレードが、5W30、5W40、10W30、10W40または10W50であることが好ましい。また、本発明の潤滑油組成物は、組成物の全重量に基づき、硫酸灰分量が0.2〜1.2重量%、リン含有量が0.04〜0.12重量%、塩素含有量が40重量ppm以下、そして高温高せん断粘度(ASTM D4683試験法による)が2.9mPa・s以上であることが望ましい。そして、このような本発明の潤滑油組成物は、JASO T903−98に基づきMAに分類されるものである。
【0028】
上記本発明の潤滑油組成物を二輪自動車用4サイクルガソリンエンジンに使用することにより、当該エンジンを好適に潤滑にすることができる。
【0029】
【実施例】
(1)エンジン油組成物の製造
下記の基油と添加剤成分とを用いて、本発明に従う潤滑油組成物、および比較のための潤滑油組成物を製造した。これらの潤滑油組成物は、粘度指数向上剤の添加により、SAE粘度グレードが10W30を示すように調製した。
【0030】
(2)基油
基油1:100℃の動粘度5.23mm2/s、蒸発損失(ASTM D5800)12.5重量%、粘度指数102の溶剤精製鉱油150ニュートラル油(蒸留温度範囲:ナロウカット型)
基油2:100℃の動粘度6.40mm2/s、蒸発損失5.6重量%、粘度指数132の水素化分解鉱油
基油3:溶剤精製鉱油100ニュートラル油(100℃の動粘度:4.00mm2/s、蒸発損失28.1重量%、粘度指数98)と、250ニュートラル油(100℃の動粘度:6.59mm2/s、蒸発損失7.0重量%、粘度指数96)との重量比率70:30の混合油、100℃の動粘度5.40mm2/s、蒸発損失21.7重量%、粘度指数98
基油4:100℃の動粘度5.30mm2/s、蒸発損失18.4重量%、粘度指数106の溶剤精製鉱油150ニュートラル油
【0031】
(3)添加剤成分
ホウ酸変性コハク酸イミド分散剤:数平均分子量約1300の高反応性ポリイソブテン(50%以上のメチルビニリデン構造を有する)と無水マレイン酸とを熱反応させて得られたポリイソブテニルコハク酸無水物を、平均窒素原子数6.5(1分子当たり)のポリアルキレンポリアミンと反応させて得られたビスタイプコハク酸イミドをホウ酸で反応処理したもの(窒素含量2.0重量%、ホウ素含量0.7重量%、塩素含量5ppm未満)
【0032】
硫化カルシウムフェネート清浄剤:プロピレンテトラマーでアルキル化したフェノールから誘導された硫化Caアルキルフェネート(Ca:9.3重量%、S:3.4重量%、TBN255mgKOH/g)
カルシウムスルホネート清浄剤:(Ca:15.5重量%、S:2.0重量%、TBN:325mgKOH/g、シェブロンオロナイト(株)製のOLOA247Z)
【0033】
ジチオリン酸亜鉛1:炭素原子数3〜8の第二級アルコールから誘導されたジアルキルジチオリン酸亜鉛(P:7.2重量%、Zn:7.85重量%、S:14.4重量%)
ジチオリン酸亜鉛2:炭素原子数8の第一級アルコールから誘導されたジアルキルジチオリン酸亜鉛(P:7.3重量%、Zn:8.4重量%、S:14.0重量%)
【0034】
フェノール化合物酸化防止剤1:4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)
フェノール化合物酸化防止剤2:3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸オクチル
アミン化合物酸化防止剤:ジアルキルジフェニルアミン(窒素含量4.6重量%、TBN180mgKOH/g、アルキル基:C4とC8の混合物)
【0035】
モリブデン化合物1:硫黄含有オキシモリブデン−コハク酸イミド錯体化合物(Mo:5.4重量%、S:3.7重量%、TBN:45mgKOH/g)
モリブデン化合物2:硫化オキシモリブデンジチオカルバメート(Mo:4.5重量%、S:4.7重量%、アルキル基:C8とC13の第一級アルキルの混合物)
アルカリ金属ホウ酸塩水和物:ホウ酸カリウム水和物の微粒子分散物(K:8.3重量%、B:6.8重量%、TBN:125mgKOH/g、シェブロンオロナイト(株)製OLOA9750)
粘度指数向上剤:非分散型のエチレン−プロピレン共重合体
その他の添加剤:流動点降下剤、消泡剤
【0036】
(4)エンジン油組成物の性能評価
1)高温酸化エンジン試験
空冷、単気筒、排気量100ccの二輪自動車用4サイクルガソリンエンジンを用いて、高温酸化安定性について試験を行い、評価した。エンジン油張込み量1400ml、油温150℃、エンジン回転数8000rpm、および全負荷運転で24時間作動させた後、試験油の粘度上昇率(%)およびオイル消費量(g/時間)を求めた。
【0037】
2)摩擦特性評価試験
JASO T904−98二輪自動車4サイクルガソリンエンジン油のクラッチ摩擦特性評価試験方法に準拠して、SAE No.2摩擦試験を行い、動摩擦特性指数(DFI)、静摩擦特性指数(SFI)および制動時間指数(STI)からなる摩擦特性指数を求めた。そして、JASO T903−98二輪自動車4サイクルガソリンエンジン油の性能MAとして規定された基準値(DFI1.45以上、SFI1.15以上、STI1.55以上)に基づいて、動力伝達性能を評価した。
【0038】
[実施例1〜3]
基油に添加剤成分を表1に示す配合にて添加して、本発明のエンジン油組成物を製造した。
【0039】
[比較例1〜3]
基油に添加剤成分を表1に示す配合にて添加して、比較のためのエンジン油組成物を製造した。
各々の潤滑油組成物の配合、分析値および評価試験結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
表1から、蒸発損失が高い基油を用いると、エンジン試験におけるオイル消費量が多くなり、また粘度上昇も大きくなることが分る。すなわち、蒸留温度範囲の広い基油3(100ニュートラル油と250ニュートラル油の混合)を使用した場合には(比較例1、3)、蒸発損失が高く、また著しく粘度が上昇し、オイル消費量も増加した。また、基油4(150ニュートラル油)であっても(比較例2)、蒸発損失が高いために、粘度上昇が大きくオイル消費量が多かった。一方、ナロウカット型の基油1を使用した場合(実施例1、3)には、蒸発損失が低く、粘度上昇およびオイル消費量が抑えられた。特に、粘度指数が高く蒸発損失が10重量%未満と低い水素化分解基油2を使用した場合(実施例2)には、粘度上昇もオイル消費量も少なかった。
【0043】
さらに、添加剤成分のモリブデン化合物のうちでも、四輪自動車の省燃費型ガソリンエンジン油などに多機能添加剤として用いられる硫化オキシモリブデンジチオカルバメート(モリブデン化合物2)は、摩擦特性評価試験において摩擦特性指数を低下させ、これにより動力伝達性能を低減する傾向にあることが分かった。それに対して、硫黄含有オキシモリブデン−コハク酸イミド錯体化合物(モリブデン化合物1)は、摩擦特性指数を低下させることがなく、二輪自動車用4サイクルエンジン油に好適に使用できることが分かった。
【0044】
【発明の効果】
本発明の自動車エンジン用潤滑油組成物は、高温での粘度上昇およびオイル消費量が少なく、優れた高温酸化安定性を示すため、特に二輪自動車用4サイクルエンジン油として好適に使用される。また、JASO T903−98に基づきMAに分類されるような、摩擦特性指数が充分に高く、優れた動力伝達性能を示す潤滑油である。
Claims (8)
- 潤滑粘度の鉱油系基油を多量含有成分とする自動車エンジン用潤滑油組成物であり、該鉱油系基油には、組成物の全重量に基づき、(a)ホウ素含有コハク酸イミド系分散剤がホウ素含有量換算値で0.01〜0.08重量%、(b)カルシウム含有清浄剤がカルシウム含有量換算値で0.05〜0.3重量%、(c)ジアルキルジチオリン酸亜鉛がリン含有量換算値で0.04〜0.12重量%、(d)酸化防止剤が0.01〜5.0重量%及び(e)コハク酸イミドの硫黄含有オキシモリブデン錯体化合物がモリブデン含有量換算値で40〜1000重量ppmとなる量にてそれぞれ、溶解もしくは分散されており、かつ該鉱油系基油は、100℃における動粘度が3〜9mm2/sを示し、かつ蒸発損失(ASTM D5800)が14重量%以下であることを特徴とする二輪自動車用4サイクルエンジンの潤滑用の自動車エンジン用潤滑油組成物。
- 鉱油系基油が、蒸発損失が10重量%以下、芳香族分が10重量%以下、および粘度指数が120以上である鉱油を10重量%以上含有する請求項1に記載の自動車エンジン用潤滑油組成物。
- 鉱油系基油が、蒸発損失が10重量%以下、芳香族分が10重量%以下、および粘度指数が120以上である鉱油からなる請求項2に記載の自動車エンジン用潤滑油組成物。
- 硫酸灰分量が0.2〜1.2重量%、リン含有量が0.04〜0.12重量%、塩素含有量が40重量ppm以下であり、そして高温高せん断粘度(ASTM D4683)が2.9mPa・s以上である請求項1に記載の自動車エンジン用潤滑油組成物。
- SAE粘度グレードが5W30、5W40、10W30、10W40または10W50である請求項1に記載の自動車エンジン用潤滑油組成物。
- ホウ素含有コハク酸イミド系分散剤が、少なくとも約50%のメチルビニリデン構造を有する高反応性ポリイソブテンと無水マレイン酸を熱反応させて得られたポリイソブテニルコハク酸無水物を、ポリアルキレンポリアミンと反応させて得られた、塩素含有量が30重量ppm以下のコハク酸イミドのホウ酸変性誘導体である請求項1に記載の自動車エンジン用潤滑油組成物。
- カルシウム含有清浄剤が、分枝状アルキル置換フェノールから誘導された、全塩基価が10〜350mgKOH/gの硫化カルシウムアルキルフェネートである請求項1に記載の自動車エンジン用潤滑油組成物。
- 請求項1乃至7のうちのいずれかの項に記載のエンジン油組成物を用いて二輪自動車用4サイクルエンジンを潤滑する方法。
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