JP4614808B2 - 転がり軸受 - Google Patents

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Description

この発明は、工作機械主軸等に用いられるグリース溜り付きの円筒ころ軸受等の転がり軸受に関する。
工作機械の主軸軸受の潤滑方法として、メンテナンスフリーで使用可能なグリース潤滑と、搬送エアに潤滑オイルを混合してオイルをノズルより軸受内に噴射するエアオイル潤滑とがある。近年の工作機械は、加工能率を上げるために、ますます高速化が求められており、高速域での潤滑にはエアオイル潤滑が多く用いられてきている。しかし、エアオイル潤滑は、付帯設備としてのエアオイル供給装置や、軸受へエアオイルを噴射する構造が必要であることと、多量のエアを必要とすることから、コスト、省エネ、省資源の観点から問題がある。また、エアの風切り音による騒音やオイル飛散によって、作業環境を悪化させる問題もある。これらの問題点を回避するため、最近ではグリース潤滑による高速化が求められるようになってきている。
グリース潤滑は、軸受組立時に封入された初期封入グリースのみで潤滑するが、これを工作機械主軸に適用する場合、攪拌抵抗による軸受の温度上昇を低く抑える必要上から、初期封入グリース量を封入空間の容積の10〜20%と少なくしている。また、軸受内のグリースは回転時に遠心力により外輪内径の軌道面両側に排除されて、軌道面に残存するグリースも極僅かとなる。その結果、dn値が80万(軸受内径mm×回転数rpm )を超える高速回転領域での運転では、油切れが起き易く早期焼付きに至るケースもあり、グリース寿命を保証するのが困難となる。
グリース潤滑を延長させる手段として、新しい提案も紹介されている。一つには、外輪軌道面部にグリース溜りを設けて高速寿命を狙った提案(特許文献1)がある。またスピンドル外部に設けたグリース補給装置により、適宜軸受部に給脂して潤滑する提案(特許文献2)がある。
特開平11−108068号公報 特開平2000−113998号公報
しかし、上記各提案例の技術は、エアオイル潤滑と同等の使用回転数等の高速回転領域での運転では満足できる潤滑性能が得られず、またメンテナンスフリーを考えると満足できるものではない。
このような課題を解消するものとして、本出願人は、グリース溜り形成部品と、そのグリース溜りから外輪の軌道面付近まで連通する隙間を形成した隙間形成部品とを有するものを提案した(特願2003−424619号)。しかし、使用するグリースによっては攪拌抵抗による温度上昇の抑制や、油膜形成能力、潤滑性に劣る場合があった。
この発明の目的は、上記課題を解消して、優れた潤滑性が得られ、高速化と長寿命化、メンテナンスフリーを達成できる転がり軸受を提供することである。
この発明の転がり軸受は、内輪、外輪、およびこれら内外輪の軌道面間に介在し保持器により保持された複数の転動体を有する転がり軸受において、軌道輪である内輪および外輪のうち、回転しない固定側軌道輪に接して設けられて内部にグリース溜りを形成したグリース溜り形成部品と、前記固定側軌道輪に設けられ前記グリース溜りに連通する隙間を固定側軌道輪の軌道面側の周面に沿って形成する隙間形成部品とを備え、この隙間形成部品は、先端部が保持器の側面よりも軸受内側に位置し、かつ、前記先端部と転動体端面もしくは固定側軌道面との間に、前記グリース溜り外の潤滑グリースが堆積できる隙間を形成し、軸受内部および前記グリース溜り内のグリースのちょう度を230〜290としたものである。
この構成の転がり軸受は、軸受組立時に、グリース溜り形成部品で形成されるグリース溜り、および隙間形成部品で形成される隙間にグリースを充填すると共に、軸受内部に初期潤滑用としてのグリースを封入して使用される。軸受を運転すると、軸受内部のグリースが遠心力で飛散し、その一部が隙間形成部品の先端部と転動体の間の隙間に堆積する。このようにグリースが堆積することで、グリース溜りと固定側軌道輪の軌道面とはグリースで繋がる。グリース中の基油は毛細管現象により浸透移動するから、固定側軌道輪の軌道面の転動体接触部で基油が潤滑油として消費されると、グリース溜りと固定側軌道輪の軌道面を繋ぐグリースを通路として、グリースの基油が潤滑油として転動体接触部に連続的に補給される。このように、毛細管現象を利用した潤滑油供給であるため、消費された分の基油が連続的に補給され、これにより高速運転においても良好な潤滑性能が得られ、高速化が図れる。
隙間形成部品の先端部は、保持器よりも軸受内側に延びているので、グリースからなる基油通路を転動体により近づけることができ、潤滑油となる基油の補給を円滑に行うことができる。
また、軸受内部およびグリース溜り内のグリースのちょう度を240〜290としているので、高速運転時の温度上昇の問題がなく、油膜形成能力にも優れ、良好な潤滑性能が得られて、メンテナンスフリーでの軸受の高速運転、長寿命化が可能となる。グリースのちょう度が240よりも低いと、グリースが硬いことにより、攪拌抵抗が大きくなり高速回転では温度上昇が大きくなる要因となる。また、軸受内の転動体と軌道輪の間の接触面では、油膜形成能力を不足し、潤滑性能が劣る。グリースのちょう度が290を超えると、グリースが軟らか過ぎて高速領域では粘度が保てなくなり、潤滑性が劣る。
前記転がり軸受が円筒ころ軸受であり、固定側軌道輪は、軌道面の側方の周面部分が、軌道面の側縁に続き、転動体から径方向に離れる方向に傾斜するテーパ面と、このテーパ面から固定側軌道輪の幅面に向けて幅方向に延びる平坦面とでなり、前記隙間形成部品の先端部は、前記テーパ面に対向してこのテーパ面との間に前記潤滑グリースが堆積できる隙間を形成しても良い。
記グリースは、増ちょう剤がウレア系であり、基油がポリα−オレフィン油とエステル油との混合油であっても良い。ポリα−オレフィンは、PAOと略称される。グリースの組成をこのようにした場合、低温から高温まで広い温度範囲で良好な潤滑性を発揮して、低温での始動直後に冷時異音の発生を防止でき、しかも長時間にわたって高温耐久性に優れた性質を維持でき、軸受寿命の延長に貢献できる。
この発明において、前記転がり軸受は工作機械の主軸の支持に用られるものであっても良い。
工作機械主軸は、加工効率向上のための高速回転と、加工精度確保のための軸受発熱防止と、稼働停止時間短縮による生産席向上等のために、メンテナンスフリーが強く望まれる。そのため、この発明の転がり軸受を用いることで、封入グリースを使用して高速化と長寿命化、メンテナンスフリーを達成できるという利点が効果的に発揮される。
この発明の転がり軸受は、内輪、外輪、およびこれら内外輪の軌道面間に介在し保持器により保持された複数の転動体を有する転がり軸受において、軌道輪である内輪および外輪のうち、回転しない固定側軌道輪に接して設けられて内部にグリース溜りを形成したグリース溜り形成部品と、前記固定側軌道輪に設けられ前記グリース溜りに連通する隙間を固定側軌道輪の軌道面側の周面に沿って形成する隙間形成部品とを備え、この隙間形成部品は、先端部が保持器の側面よりも軸受内側に位置し、かつ、前記先端部と転動体端面もしくは固定側軌道面との間に、前記グリース溜り外の潤滑グリースが堆積できる隙間を形成し、軸受内部および前記グリース溜り内のグリースのちょう度を240〜290としたため、グリースによる潤滑でありながら、高速運転下においても優れた潤滑性が得られ、高速化と長寿命化、メンテナンスフリーを達成することができる。
この発明の第1の実施形態を図1ないし図3と共に説明する。図1において、この転がり軸受は、内輪1、外輪2、および内外輪1,2の軌道面1a,2a間に介在した複数の転動体3を有し、グリース溜り形成部品6と、隙間形成部品7とを備える。この転がり軸受は円筒ころ軸受であり、転動体3は円筒ころからなる。グリース溜り形成部品6および隙間形成部品7は軸受の軸方向の両側に設けられる。上記複数の転動体3は、保持器4に保持されている。
固定側軌道輪となる外輪2には、その軌道面2aの両側から両外輪幅面側の途中まで続いて拡径変化するテーパ面2bがそれぞれ設けられ、さらに各テーパ面2bの外径端から両外輪幅面に向けて軸方向に延びる平坦内径面2cがそれぞれ設けられている。
グリース溜り形成部品6は、内部にグリース溜り9を形成したリング状の部品であり、それぞれ外輪2の両側の幅面に接して設けられる。この例では、グリース溜り形成部品6は、外輪2の幅面に接して設けられる外輪位置決め間座10と、この外輪位置決め間座10の内径面に嵌合される外向き溝形のグリース溜り形成部品本体11とからなる。外輪位置決め間座10とグリース溜り形成部品本体11とで挟まれる内部空間がグリース溜り9とされる。外輪位置決め間座10は、内径面における外輪2と反対側端に、グリース溜り形成部品本体11の側壁部11aが当接する段差面10aを有している。グリース溜り形成部品本体11は、グリース溜り9にグリースを封入した後に上記側壁部11aを外輪位置決め間座10の段差面10aに当接させることにより、外輪位置決め間座10に対して軸方向に位置決めされる。グリース溜り形成部品本体11と外輪位置決め間座10との接触部には図示しない密封部品が設けられ、これによりグリース漏れ防止が図られている。このように配置された2つのグリース溜り形成部品6は、軸受両端のシールを兼ねる。
隙間形成部品7は、前記グリース溜り9に連通する隙間14を、外輪2の軌道面2aの形成された周面に沿って形成するリング状のものである。この隙間形成部品7は、グリース溜り形成部品本体11に一体に形成されている。すなわち、グリース溜り形成部品本体11の軸受隣接側の側壁部11bにおける外径端部から一体に延びている。具体的には、図2に拡大して示すように、上記隙間形成部品7は、その先端部7aが転動体3に接触しない程度まで保持器4よりも軸受内側に延びて、外輪2の平坦内径面2cとの間に隙間14(隙間幅は0.2mm以上が好ましい)を形成すると共に、先端部7aと転動体3との間に所定の隙間15を確保するようにされている。これにより、上記隙間14の一端は、転動体3に近接した外輪テーパ面2bの部分に開口する。
軸受内部および前記グリース溜り9に封入するグリースには、ちょう度240〜290のものが使用される。この範囲のちょう度を持つグリースとして、NTN株式会社製のMP−1グリースがあり、これはちょう度243に相当する。グリースの増ちょう剤としてはウレア系(特に脂肪族または芳香族)が好適である。グリースの基油としてはPAO(ポリα−オレフィン)油等の合成炭化水素油とエステル油との混合油が好ましい。エステル油としては、エステル系合成油が使用できる。
この場合のエステル系合成油は、油の鎖状分子を構成する炭素原子列の一側にエステル基を所定数以上櫛歯状に配置したものであり、全てのエステル基が金属面への吸着に関与できる。これにより、上記エステル系合成油は、通常のエステル系合成油に比べて金属面への馴染み性に優れ、金属表面へ均一な油膜を速やかに形成することができる。
これに対比すると、通常のグリースの基油として用いられる下記の化1の式で示されるようなペンタエリスリトールエステルでは、1個の炭素原子を取り囲むようにエステル基を配置しており、これでは金属表面に吸着する際に1つのエステル基が使われると、他の3つのエステル基は吸着に関与できない。
Figure 0004614808
(式中、R1 〜R4 はいずれもアルキル基)
上記基油の組成の1つである合成炭化水素油としては、ポリα−オレフィン油、ポリブテン、オレフィンコポリマーであって、粘度(40℃)が20〜100mm2 /sであり、かつ安全に使用するためには、引火点220℃以上のものを採用することが好ましい。
これらは、α−オレフィンを低重合してオリゴマーとし、その末端二重結合に水素を添加した構造であり、下記の化学2の式に示すものが例示できる。また、ポリブテンもポリα−オレフィンの一種であり、このものはイソブチレンを主体とする出発原料から塩化アルミニウムを触媒として重合して製造できる。ポリブテンは、そのまま用いても水素添加して用いてもよい。
Figure 0004614808
(式中、Rはアルキル基、n=1〜6を表す。)
上記エステル系合成油は、下記の化3に示すように、油の鎖状分子を構成する8個以上の炭素原子の一側に、エステル基を8個以上櫛歯状に配置したものであり、二塩基酸のエステルをコポリマーとしたものである。
Figure 0004614808
(式中、R1 〜R4 はいずれもアルキル基であり、x≧2、y≧2、x,yは整数を表す。)
また、このようなエステル系合成油の適当な分子量の範囲は、1000〜3000であり、その粘度は40℃にて10〜245mm2 /sのものを採用して好ましい結果を得ている。また、自動車用プーリの玉軸受封入用グリースに採用する場合には、引火点は220℃以上のものを採用することが、安全性が高く好ましい。
以上述べた基油の組成は、合成炭化水素油と所定のエステル系合成油とを0.65〜0.75:0.35〜0.25の重量比で配合する。なぜなら、基油中の合成炭化水素油が上記範囲未満では、グリースの低温下での所期性能が劣るようになって好ましくなく、上記範囲を超えると耐熱性が充分でなくなって好ましくないからである。
上記ウレア系増ちょう剤は、下記の化4の式に示すような周知のウレア化合物であってよい。このものは、アミンとジイソシアナートとを材料として、これらを基油中で重付加反応させ析出させて得られる線状のポリ尿素化合物であり、R2 を形成するジイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートなどが挙げられる。また、式中R1 とR3 を形成するアミンとしては、トルイジン、シクロヘキシルアミン、ステアリルアミンなど脂環族系アミン、芳香族系アミン、脂肪族系アミンのいずれの組合せであってもよい。なお、脂肪族系アミンを用いて特に良好な結果を得ている。
Figure 0004614808
(式中、R1 とR3 はトルイジン、シクロヘキシルアミン、ステアリルアミンなどのアミンからなる1価の基、R2 は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等のジイソシアネートからなる2価の基を表す。)
このようなウレア系増ちょう剤のグリースにおける配合割合は、5〜20重量%であることが好ましい。なぜなら、5重量%未満の少量では、粘性の乏しい液状となって漏洩し易くなり、軸受に密封することは困難になる。また、20重量%を超える多量では、固化してちょう度が200以下となり、軸受封入用のグリースとしての実用性が低くなる。
なお、この発明の効果を害しない範囲ならば、必要に応じて酸化防止剤、防錆剤、極圧剤、油性剤などを添加することができる。
ここで、代表的な極圧剤としてはジチオリン酸亜鉛(ZnDPT)を例示できる。ZnDTPは、金属表面と反応して強固な被膜を形成し、軌道輪および転動体の摩耗を抑制する効果がある。また、金属表面に均一な油膜が形成されるので、このような極圧剤を使用すると、低温での使用時に油膜切れによる異常音がより発生し難くなる。このような好ましい結果を得るためには、ZnDPTの添加量を0.1〜10重量%とすることが好ましい。
上記構成の作用を説明する。軸受組立時に、グリース溜り9および隙間14にグリースを充填しておく。また、軸受内部には、初期潤滑用としてのグリースを封入しておく。軸受を運転すると、軸受内部のグリースが遠心力で飛散し、その一部Gが図2のように隙間形成部品7の先端部7aと転動体3の間の隙間15に堆積する。このようにグリースが堆積することで、グリース溜り7と外輪軌道面2aとはグリースで繋がる。グリース中の基油は毛細管現象により浸透移動するから、外輪軌道面2aの転動体接触部で基油が潤滑油として消費されると、グリース溜り7、隙間14,15、外輪軌道面2aを繋ぐグリースを通路として、グリースの基油が潤滑油として転動体接触部に連続的に補給される。
このように、この転がり軸受では、グリース溜り7、隙間14,15、外輪軌道面2aを繋ぐグリースを通路として、グリースの基油が潤滑油として転動体接触部に連続的に補給されるため、高速運転においても潤滑油の供給を確実に行うことができる。
また、隙間形成部品7の先端部7aは、保持器4よりも軸受内側に延びているので、グリースからなる基油通路を転動体3により近づけることができ、潤滑油となる基油の補給を円滑に行うことができる。
また、軸受内部およびグリース溜り9内のグリースのちょう度を240〜290としているので、メンテナンスフリーでの軸受の高速運転、長寿命化が可能となる。
図3および表1は、本発明者がグリースちょう度と寿命比の関係について行った試験結果を示す。
Figure 0004614808
表1は、組成の異なるグリースの各サンプルA〜Dについて、ちょう度と寿命比を求めたものである。図3は、表1におけるサンプルBのグリースについてちょう度の異なるものを複数用意して、ちょう度と寿命比との関係をグラフ化したものである。
この試験結果によると、グリースの組成が異なる場合、グリースBが最も長寿命であった。すなわち、増ちょう剤として脂肪属ウレアと芳香属ウレアとを用い、基油としてPAOとポリオールエステルを用いたグリースが最も長寿命であった。
また、図3からわかるように、上記グリースBにおいて、グリースのちょう度を240〜290とした場合に、寿命比が高くなることを確認できる。
グリースちょう度が240より低いと、グリースが硬いので攪拌抵抗が大きくなり、工作機械用スピンドル装置の軸受のような高速運転用として使用した場合、温度上昇が大きくなる要因となり、軸受内の転動体と内外輪の間の接触面で油膜形成能力が劣化し、潤滑性能が低下することになる。グリースちょう度が290よりも高いと、グリースが柔らかいので高速域で粘度が保てなくなり、潤滑性能が低下することになる。
図4は、上記実施形態の転がり軸受を用いた工作機械用スピンドル装置の例を示す。この工作機械用スピンドル装置は、上記転がり軸受の2個を用いている。2個の転がり軸受23,24は、ハウジング22内で主軸21の両端を回転自在に支持する。各転がり軸受23,24の内輪1は、内輪位置決め間座26および内輪間座27により位置決めされ、内輪固定ナット29により主軸21に締め付け固定されている。外輪2は、外輪位置決め間座10、外輪間座30および外輪押え蓋31,32によりハウジング22内に位置決め固定されている。ハウジング22は、ハウジング内筒22Aとハウジング外筒22Bとを嵌合させたものであり、その嵌合部に、冷却のための通油溝33が設けられている。
主軸21は、その前側の端部21aに工具またはワーク(図示せず)を着脱自在に取付けるチャック(図示せず)が設けられ、後ろ側の端部21bは、モータ等の駆動源が回転伝達機構(図示せず)を介して連結される。モータは、ハウジング22に内蔵しても良い。このスピンドル装置は、例えばマシニングセンタ、旋盤、フライス盤、研削盤等の各種の工作機械に適用できる。
この構成のスピンドル装置によると、この実施形態の転がり軸受23,24における潤滑油の安定供給、高速化、長寿命化、メンテナンスフリー化の作用が、効果的に発揮される。
図5は、この発明の他の実施形態を示す。この実施形態は図1に示す第1の実施形態におけるグリース溜り形成部品6および隙間形成部品7を軸受の軸方向の片側にのみ設けている。なお、ここでは、外輪2の内周は、軌道面2aの両側から両幅面に続けて拡径変化するテーパ面2dを有し、このテーパ面2dに沿って隙間14を形成するように隙間形成部品7が、軸受内側に伸びている。その他の構成は図1の実施形態の場合と同様である。
なお、上記各実施形態では、グリース溜り形成部品6および隙間形成部品7を外輪2側に設けた場合につき説明したが、内輪1が固定側輪となる場合は、内輪1にグリース溜り形成部品6および隙間形成部品7を設けるようにする。
この発明の第1の実施形態にかかる転がり軸受の部分断面図である。 同転がり軸受の一部の拡大断面図である。 グリースのちょう度と寿命比の関係の試験結果を示すグラフである。 前記転がり軸受を用いた工作機械用スピンドル装置の断面図である。 この発明の他の実施形態にかかる転がり軸受の部分断面図である。
符号の説明
1…内輪
2…外輪
1a,2a…軌道面
3…転動体
4…保持器
6…グリース溜り形成部品
7…隙間形成部品
7a…先端部
9…グリース溜り
14,15…隙間

Claims (4)

  1. 内輪、外輪、およびこれら内外輪の軌道面間に介在し保持器により保持された複数の転動体を有する転がり軸受において、
    軌道輪である内輪および外輪のうち、回転しない固定側軌道輪に接して設けられて内部にグリース溜りを形成したグリース溜り形成部品と、前記固定側軌道輪に設けられ前記グリース溜りに連通する隙間を固定側軌道輪の軌道面側の周面に沿って形成する隙間形成部品とを備え、
    この隙間形成部品は、先端部が保持器の側面よりも軸受内側に位置し、かつ、前記先端部と転動体端面もしくは固定側軌道面との間に、前記グリース溜り外の潤滑グリースが堆積できる隙間を形成し、軸受内部および前記グリース溜り内のグリースのちょう度が240〜290であることを特徴とする転がり軸受。
  2. 請求項1において、前記転がり軸受が円筒ころ軸受であり、固定側軌道輪は、軌道面の側方の周面部分が、軌道面の側縁に続き、転動体から径方向に離れる方向に傾斜するテーパ面と、このテーパ面から固定側軌道輪の幅面に向けて幅方向に延びる平坦面とでなり、前記隙間形成部品の先端部は、前記テーパ面に対向してこのテーパ面との間に前記潤滑グリースが堆積できる隙間を形成する転がり軸受。
  3. 請求項1または請求項2において、前記グリースの増ちょう剤がウレア系であり、基油がポリα−オレフィン油とエステル油との混合油である転がり軸受。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記転がり軸受が工作機械の主軸の支持に用られるものである転がり軸受。
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