JP2005307612A - 多層建物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】建物の桁行方向に連続配置した住戸2によって形成される住戸ゾーンを平面視ほぼU字形となし、住戸2に沿ってその内側に共用廊下3を配置し、U字形の開口部5を挟んで対向する共用廊下3,3同士を結ぶ渡り廊下10を設ける。渡り廊下10のほぼ中央部と、これと対向する側に位置する共用廊下3とを繋ぐ細長い帯状のコア部20を設け、該コア部20にエレベータ30を設置し、コア部の両側に、分割された吹抜け4a,4bを設けて、該吹抜けに面する住戸へ、渡り廊下10を通しての採光が得られるようにした。
【選択図】 図1
Description
このような不都合を改善する建物として、特許文献1には、「建築物に上下方向に吹き抜けを設け、この吹き抜けを建物外周部に向けて開放されている開口部と連設し、上記吹き抜けに面してこれを囲むように住戸とすべての住戸に通じる廊下とをそれぞれ設けてあり、この廊下の両端に避難階段を接続してあり、上記開口部を挾む対向間に梁を渡してあることを特徴とする高層集合住宅用建物。」が記載されている(請求項1)。
特許文献1に記載の建物によれば、通風、採光の向上が図られるものの、廊下の両端に避難階段と共にエレベータを集中的に配置した形態であるため、大型の住棟の場合、廊下の中間部に位置する住戸からエレベータまでの距離が長くなり、不便となり、かつ住戸間の不平等が大きくなる。また、住戸にエレベータ又は階段が接した態様であるため、かかる一部の住戸に及ぼす騒音に対する配慮が必要となる。
前記U字形の開口部を挟んで対向する共用廊下同士を結ぶ渡り廊下を設けるとともに、
該渡り廊下のほぼ中央部と、これと対向する側に位置する共用廊下とを繋ぐ細長い帯状のコア部を設け、該コア部にエレベータを設置し、
該コア部の両側に、分割された吹抜けを設けて、該吹抜けに面する住戸へ、前記渡り廊下を通しての採光が得られるようにした、多層建物である。
(3) 請求項3に係る発明は、前記コア部は、前記渡り廊下と、これと対向する側に位置する共用廊下とを連絡する通路を備え、該通路と渡り廊下と共用廊下とによって平面視ほぼ日の字形の水平方向移動路が形成されているものである。
コア部の長手方向において、その中間部に配置されたエレベータを挟んで少なくともその両側、コア部の端部付近にそれぞれ階段が配置され、U字形の開口部側に位置する階段へ前記渡り廊下を介して至る避難経路と、U字形の開口部に対向する共用廊下の側に位置する階段へ該共用廊下を介して至る避難経路とが形成されているものである。
(5) 請求項4に係る発明は、前記コア部に設置されたエレベータは、前記渡り廊下の側からこれと対向する側に位置する共用廊下の側に向けて、屋根部の高さが漸次低くなる複数のバンクに分割されているものである。
(3) 請求項3に係る発明によれば、コア部は、渡り廊下と、これと対向する側に位置する共用廊下とを連絡する通路を備え、該通路と渡り廊下と共用廊下とによって平面視ほぼ日の字形の水平方向移動路が形成されているため、同一階でコア部を通過する移動が確保されるとともに移動ルートの選択肢が増え、便利である。
(4) 請求項4に係る発明によれば、コア部に、エレベータとともに階段が集中的に配置され、しかも、コア部の長手方向において、その中間部に配置されたエレベータを挟んで少なくともその両側、コア部の端部付近にそれぞれ階段が配置され、U字形の開口部側に位置する階段へ前記渡り廊下を介して至る避難経路と、U字形の開口部に対向する共用廊下の側に位置する階段へ該共用廊下を介して至る避難経路とが形成されているため、非常時における2つの短距離な避難経路が確保され、防災面での安全性が向上する。コア部の通路を介して2つの階段を選択的に使用することも可能となる。
(5) 請求項5に係る発明によれば、コア部に設置されたエレベータは、渡り廊下の側からこれと対向する側に位置する共用廊下の側に向けて、屋根部の高さが漸次低くなる複数のバンクに分割されているため、渡り廊下の側と対向する側に位置する共用廊下の側にある、本来は採光の得にくい住戸に対する採光や通風を改善することができる。
図1に示す集合住宅として構成された建物1は、建物本体部100と渡り廊下10とコア部20とを備えている。
図1(a)に示すように、建物本体部100は、建物本体中央部110と建物本体中央部110の両端部から屈曲形成された2つの建物本体突出部120とを備え、建物本体部100の基準階の床平面形は略U字形に屈曲形成されている。
建物本体部100には、内周側には共用廊下3が平面視略U字形に配置され、共用廊下3に沿って複数の住戸が連続して配置された住戸ゾーン2aを形成している。
渡り廊下10は、対向する2つの建物本体突出部120の共用廊下3同士を結ぶ細長い廊下として配置されていて、渡り廊下10と建物本体中央部110の共用廊下3とはコア部20の長さ分だけ(図1(a)のCLで示す)離隔して並行している。コア部20は、細長い帯状の床平面形(図1(a)の幅CB*長さCLで示す)を形成しており、渡り廊下10と建物本体中央部110の共用廊下3のほぼ中央部同士を交差して結んでいる。渡り廊下3とコア部20とは連結して平面視略T字形を形成している。
平面視略U字形の建物本体部100は、その内側には大きな空間(図1(a)の建物本体中央部110の長さB*建物本体突出部120の突出部長さLで示す)を形成しているが、平面視略T字形の渡り廊下10とコア部20が配置されているので、コア部20の両側に2つの分割された吹抜け4a,4bが形成されている。渡り廊下10の両側は、住戸が配置されていない外部空間であるので、渡り廊下10を介して2つの分割された吹抜け4a,4bに対する水平方向の採光や通風が得られる。
2つの階段40,40は、建物本体部100の住戸から階段までの避難経路が短くなるように、それぞれコア部20に位置し、かつ渡り廊下10と共用廊下3に近いコア部20の両端部近傍に離隔して配置されている。
したがって、住戸から2つの階段40,40までの避難経路は、最長の避難距離をもつ住戸にあって、共用廊下3及び渡り廊下10を介して渡り廊下側の階段に到達する第1の避難経路(図1(b)のR1で示す太い破線)と、共用廊下3を介して共用廊下側の階段に到達する第2の避難経路(図1(b)のR2で示す太い破線)という2つの比較的短い避難経路が確保される。すなわち、特許文献1に示される従来のように建物本体突出部120の両端部にコア部が設けられている場合に比べ、最長の避難距離は短くなり、各住戸からの避難距離が平均化される(ばらつきが小さくなる)。このため、建物本体部100の平面形が大規模化し、共用廊下3の総長さが長い場合(例えば100mを超える場合)であっても、階段の数を3以上にする必要性が無く、例えば、法規上、各階の住戸から階段までの避難経路を所定の長さ(通常は50m)以下とすることが要求されていることにも簡単に対応することができる。
そして、コア部の両側に2つの分割された吹抜け4a,4bを有し、渡り廊下10を介して吹抜け4a,4bに対する水平方向の採光・通風が得られる。さらに、渡り廊下3を北側に位置する場合には、平面視略U字形の建物本体部100の有する、北側のみに面する住戸(無日照住戸)を配置しない特徴を活かすことができる。
また、コア部20は、平面視両端部近傍に配置された2つの階段の間に通路20aに沿って複数のエレベータを介在的に配置しているので、細長い帯状の床平面形を形成している態様であるが、渡り廊下10とコア部20とは平面視略T字形の床構造体を形成しているので、コア部20の床平面内の地震時の水平変形、ねじれ変形を抑えることができる。
かかる構成により、U字形の開口部5側に位置する住戸及びU字形の底部側に位置する住戸、いずれの側の住戸からも、帯状のコア部20に設置されたエレベータ30へと通じる短距離の動線が形成され、エレベータ30までの各住戸2からの動線距離を平均化して住戸間の不平等を緩和することができる。また、エレベータ30に接する住戸がないので、住戸2に対してエレベータ30の騒音を及びにくくすることができる。コア部20には、常時使用されるエレベータ以外の非常用のエレベータ、ゴミ置場その他の共用設備ないし共用スペースを設けることができる。
また、コア部20には階段40が設けられている。階段40は、エレベータを挟んでその両側、コア部の端部付近にそれぞれ配置され、U字形の開口部側に位置する階段へ前記渡り廊下を介して至る避難経路と、U字形の開口部に対向する共用廊下の側に位置する階段へ該共用廊下を介して至る避難経路とが形成されている。非常時における2つの短距離な避難経路が確保され、防災面での安全性が向上する。コア部の通路を介して2つの階段を選択的に使用することも可能となる。
渡り廊下10及びコア部20の構造は、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造等、建物本体の構造に適宜対応させて選択することができる。渡り廊下10及びコア部20によって形成される平面視T字形をなす構造体を、U字形をなす建物1の本体部と一体化した構造躯体として構成し得るため、各住戸への採光や通風を良好に維持しながら、建物1の剛性を高めることが可能である。
なお、図3、図4に、破線で示すように、U字形をなす建物の各端部(又は一方端部)位置を適宜延長してそこに住戸を設けることもできる。これは、地域特性によって方位による商品価値が異なる場合において、商品の価値の高い方位により多くの住戸、それも両面採光可能な住戸を配置することができる点で、有益である。
コア部20に設置されたエレベータ30は、渡り廊下10の側からこれと対向する側に位置する共用廊下3の側に向けて、屋根部の高さが漸次低くなる複数のバンクA,B,Cに分割されているものである。バンクAは高層階の昇降、バンクBは中層階の昇降、バンクCは低層階の昇降に使用される。各バンクA,B,Cを構成するエレベータ30は、コア部20の中央通路20aの両側に配置されている。コア部20の中央通路20a及びバンクAは最上階まで設けられているが、バンクBは中層階まで,バンクCは低層階まで設けられ、バンクの屋根部の高さも各バンクの最上階に対応した高さで終止している。なお、バンクの数は建物の階数等に応じて適宜変更し得る。また、バンクのコア部20の長手方向における位置は適宜調整することができる。
上記構成により、本来は採光のもっとも届きにくい位置、つまり渡り廊下10と対向する側に位置する共用廊下3の側にある住戸(図示の例では中層階、及び高層階の一部の住戸)に対し、天方向からの採光がもたらされることとなり、同住戸における採光や通風を改善することができる。
2 住戸
3 共用廊下
4a,4b 吹抜け
5 開口部
6 バルコニー
10 渡り廊下
20 コア部
20a コア部通路
30 エレベータ
40 階段
A,B,C バンク
Claims (5)
- 建物の桁行方向に連続配置した住戸によって形成される住戸ゾーンを平面視ほぼU字形となし、住戸に沿ってその内側に共用廊下を配置し、共用廊下の内側に吹抜けを設けた多層建物において、
前記U字形の開口部を挟んで対向する共用廊下同士を結ぶ渡り廊下を設けるとともに、
該渡り廊下のほぼ中央部と、これと対向する側に位置する共用廊下とを繋ぐ細長い帯状のコア部を設け、該コア部にエレベータを設置し、
該コア部の両側に、分割された吹抜けを設けて、該吹抜けに面する住戸へ、前記渡り廊下を通しての採光が得られるようにした、
多層建物。 - 前記渡り廊下は、側面が開放しており、前記分割された吹抜けに面する住戸へ、該渡り廊下を通しての採光及び通風が得られるようにした、請求項1に記載の多層建物。
- 前記コア部は、前記渡り廊下と、これと対向する側に位置する共用廊下とを連絡する通路を備え、該通路と渡り廊下と共用廊下とによって平面視ほぼ日の字形の水平方向移動路が形成されている、請求項1又は2に記載の多層建物。
- 前記帯状のコア部に、エレベータとともに階段が設けられており、かつ
コア部の長手方向において、その中間部に配置されたエレベータを挟んで少なくともその両側、コア部の端部付近にそれぞれ階段が配置され、U字形の開口部側に位置する階段へ前記渡り廊下を介して至る避難経路と、U字形の開口部に対向する共用廊下の側に位置する階段へ該共用廊下を介して至る避難経路とが形成されている、請求項1〜3のいずれかに記載の多層建物。 - 前記コア部に設置されたエレベータは、前記渡り廊下の側からこれと対向する側に位置する共用廊下の側に向けて、屋根部の高さが漸次低くなる複数のバンクに分割されている、請求項1〜4のいずれかに記載の多層建物。
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