JP2005306919A - 硬化型組成物及び該組成物を用いた塗装方法 - Google Patents

硬化型組成物及び該組成物を用いた塗装方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
硬化するための乾燥時間が短く、耐水性、耐久性に優れる塗膜を形成することが可能な、地球環境へ配慮した生分解性を有する材料を含有する硬化型組成物及びそれを用いた塗装方法を提供する。
【解決手段】
(A)キシロース及びアラビノースを構成単位とする多糖類及び(B)成分(A)中に含まれる水酸基と反応する官能基を有する硬化剤を含有する硬化型組成物及び該組成物を塗装することを特徴とする塗装方法。多糖類(A)は、トウモロコシの種皮により得られるものであることが望ましく、硬化剤(B)は、1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物又は該化合物のイソシアネート基をブロック化したブロックイソシアネート化合物であることが望ましい。
【選択図】 なし。

Description

本発明は、生分解性を有する材料を含有しつつ、乾燥性、耐水性等に優れる塗膜を形成することが可能な硬化型組成物及び該組成物を塗装する塗装方法に関するものである。
地球の環境汚染が顕在化し、環境への負荷低減を考慮した循環型社会の構築が進む中、塗料業界においても、地球環境に優しい製品の開発が求められている。このような状況において、室内環境の悪化の原因となるトルエン、キシレンなどの揮発性有機化合物(VOC)などを多量に含んでいないことは勿論、廃棄後の土壌汚染等の観点からも、生分解作用により分解することのできる塗料の開発が望まれている。地球環境に配慮した塗料として、特許文献1には、水溶性接着剤からなる塗膜形成要素と天然素材の粉砕物からなる顔料とを加水混合してなる塗料が提案されている。該塗料によれば、植物や海産物などの天然素材が持つ固有の色合いを生かした塗膜を形成することができるが、その耐水性は必ずしも満足できるものではなかった。
ところで、生分解性を有する材料として多糖類は、単糖類をポリグルコシル化した高分子化合物の総称であり、自然界からの原料により抽出された天然多糖類、人為的に単糖類をポリグリコシル化した合成多糖類、天然または合成多糖類を部分的に分解、置換等をさせた多糖類誘導体として広く存在している。該多糖類は、その重合度や構成単糖類の組み合わせなどから、その性質は多岐に渡り、例えば水に対しては可溶なもの、不溶のもの、解けた場合コロイド状になるものなど多種多様であるが、一般に多糖類は分子中に水酸基を多く含有することから、その形成塗膜の耐水性が不十分である傾向がある。
特開平10−158549号公報
本発明の目的は、乾燥して硬化する時間が短く、耐水性、耐久性に優れる塗膜を形成することが可能な、生分解性を有する材料を含有する硬化型組成物及びそれを用いた塗装方法を提供することである。
本発明者らは、特定の多糖類に特定の硬化剤を含有する硬化型組成物が、硬化性、成膜性及び耐水性等に優れ、生分解性を有する塗膜を形成することができることを見出し、本発明に到達した。即ち本発明は、
1. (A)キシロース及びアラビノースを構成単位とする多糖類及び(B)成分(A)中に含まれる水酸基と反応する官能基を有する硬化剤を含有する硬化型組成物、
2. 多糖類(A)が、トウモロコシの種皮により得られるものであることを特徴とする1項に記載の硬化型組成物、
3. 硬化剤(B)が、1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物又は該化合物のイソシアネート基をブロック化したブロックイソシアネート化合物であることを特徴とする1項または2項に記載の硬化型組成物。
4. さらに可塑剤(C)を含有することを特徴とする1項ないし3項のいずれか1項に記載の硬化型組成物、
5. さらにシリコン系撥水剤(D)を含有することを特徴とする1項ないし4項のいずれか1項に記載の硬化型組成物、
6. 被塗面に、1項ないし5項のいずれか1項に記載の硬化型組成物を塗装することを特徴とする塗装方法、
7. 被塗面に、1項ないし5項のいずれかに記載の硬化型組成物を塗装した後、該塗面上にシリコン系撥水剤(D)を塗装することを特徴とする塗装方法、
に関する。
本発明の硬化型組成物によれば、塗装作業性が良好であり、硬化性、成膜性及び耐水性等に優れる塗膜を形成することができる。また、該塗膜は多糖類を包含していることから、生分解性を発揮させることもできるものである。また、本発明の硬化型組成物による塗膜上にシリコン系撥水剤を塗布することもでき、被塗物の美観を長期にわたって維持することができる。
多糖類(A)
本発明において、多糖類(A)は、バインダー成分として用いられるものであり、キシロース及びアラビノースを構成単位とすることを特徴とする。
本明細書において、キシロース及びアラビノースは、共にC10で表される炭素数5の単糖類であり、キシロースとしては、下記式(1)で表す化合物が挙げられ、アラビノースとしては、下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2005306919
Figure 2005306919
上記キシロース及びアラビノースを構成単位とする多糖類(A)としては、例えば植物性原料、特に種皮から精製することができるものが挙げられる。上記種皮としては、制限はなく、小麦、米、栗、エンパク、キビ粉、そば、トウモロコシ、青麦、ライ麦等の穀類の種皮から適宜使用できる。
上記種皮の処理精製方法として具体的には、例えば、種皮からデンプン及びタンパク質を除去し、残部をアルカリ抽出する方法等を挙げることができる。
該種皮からデンプン及びタンパク質を除去する方法としては、酵素処理、化学的処理、物理的処理等が挙げられ、あるいはこれらを適宜組み合わせてもよい。
上記手法にて処理された種皮は、例えば水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を添加して混合することによってアルカリ抽出され、次いで中和、精製することが望ましい。
本発明においては、多糖類(A)が、トウモロコシの種皮から得られるものであることが本発明の硬化型組成物の成膜性の点から好適である。
本発明において、上記多糖類(A)としては、キシロース及びアラビノースを構成単位としていれば、重合度又はキシロース及びアラビノースの配列順序等には制限はなく、またグルコースなど前記単糖類以外の他の単糖類を構成単位として包含したものであってもよい。さらには該多糖類(A)は、分子中の水酸基をアセチル化、エステル化及びエーテル化等の変性をした誘導体であってもよい。
上記多糖類(A)の常温常圧における形態としては、液状、固体状又は粉末状のいずれであってもよいが、水に対して、溶解、分散又はコロイド状になることができ、乾燥後に成膜することができるものであることが望ましい。
本発明において、上記多糖類(A)は、塗装に適した粘度を維持し塗膜耐久性を確保する目的から、硬化型組成物中に10〜70重量%、さらに好ましくは25〜50重量%含有することが望ましい。
硬化剤(B)
本発明の硬化型組成物に含有される硬化剤(B)は、成分(A)中に含まれる水酸基と反応する官能基を有する硬化剤である。該硬化剤(B)としては、例えば、1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を含有する化合物、該化合物のイソシアネート基をブロック化したブロックイソシアネート化合物及びアミノ樹脂等が挙げられる。
1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物としては、例えばテトラメチレンジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネ−トなどの脂肪族ジイソシアネ−ト;4、4´メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネ−ト)、イソホロンジイソシアネ−トなどの脂環族ジイソシアネ−ト;キシリレンジイソシアネ−ト、トリレンジイソシアネ−ト、ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、ポリフェニルメタンジイソシアネ−ト(ポリメリックMDI)などの芳香族ジイソシアネ−ト;「LTI」(商品名、協和発酵工業(株)製、天然アミノ酸を主原料とした3官能の脂肪族イソシアネート)等の化合物等が挙げられる。また、これら例示の化合物のイソシアヌレ−ト体やビュウレット体も使用でき、これらは1種又は2種以上混合して使用できる。
また、上記1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物は、上記例示の化合物をアルコキシポリアルキレングリコ−ル等で変性したものであってもよい。
該アルコキシポリアルキレングリコ−ルとしては、一般式
1O−(R2O)n−H
(ここでR1はアルキル基、R2はアルキレン基、nは2〜100)で示されるものであり、例えばメトキシポリメチレンエ−テルグリコ−ル、メトキシポリエチレンエ−テルグリコ−ル、エトキシポリエチレンエ−テルグリコ−ル、エトキシポリブチレンエ−テルグリコ−ルなどが挙げられ、数平均分子量が100〜4,000、好ましくは400〜2,000の範囲を有するものが使用できる。本明細書において、数平均分子量は、溶媒としてテロラヒドロフランを使用し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した数平均分子量をポリスチレンの数平均分子量を基準にして換算したときの値とする。
上記アルコキシポリアルキレングリコ−ル等で変性した1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物は、必要に応じて片末端に活性水素基をもう片末端にアルコキシシリル基を有するシランカップリング剤を反応させたものであってもよい。該シランカップリング剤としては、例えばN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
また、上記1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物のイソシアネート基をブロック剤にてブロック化したブロックイソシアネート化合物において、すべてのイソシアネート基がブロック化されていることが望ましく、該ブロック剤としては、オキシム、フェノール、アルコール、ラクタム、マロン酸エステル、メルカプタン等が挙げられ、これらの中から単独でもしくは2種以上を併用して使用できる。
他方、アミノ樹脂としては、例えば、メラミン、ベンゾグアナミン、尿素、ジシアンジアミドなどとホルムアルデヒドとの縮合または共縮合によって得られるものが挙げられる。
本発明においては、成膜性及び乾燥性の点から、硬化剤(B)が、1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物又は該化合物のイソシアネート基をブロック化したブロックイソシアネート化合物であることが望ましい。
上記硬化剤(B)の配合量は、多糖類(A)の重量に対して、5〜70重量%、好ましくは10〜50重量%が好適であり、その混合の時期は、硬化剤の種類に応じて適宜調整することが望ましい。
硬化型組成物
本発明の硬化型組成物は、上記多糖類(A)及び硬化剤(B)を含有するものであるが、硬化型組成物の成膜性を向上させ、良好な仕上がり性を得るために、可塑剤(C)を含有することが望ましい。
該可塑剤(C)としては、安全性の高いものが望ましく、具体的には、例えば、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸誘導体;ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジプロピオネート等のエーテルエステル誘導体、アジピン酸と1、4−ブタンジオールとの縮合体等のアジピン酸誘導体;ポリカプロラクトン、ポリプロピオラクトン等のポリラクトン類等;糖アルコール類;該糖アルコール類の誘導体等を挙げることができ、これらは単独でもしくは2種以上選択して使用できる。上記した中でも糖アルコール類及び該糖アルコール類の誘導体が成膜性、多糖類(A)との相溶性の点から望ましい。
かかる糖アルコール類としては、例えば、グリセリン、キシリトール、ケブラシトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール等の単糖を還元させた化合物;イノシトール、シクリトール、クエルシトール、ボルネシトール、ピニトール、コンズリトール等の環式糖アルコールを挙げることができ、これらは単独でもしくは2種以上選択して使用できる。
また、上記糖アルコール類の誘導体としては、これら例示の糖アルコール類をアセチル化、エステル化及びエーテル化等の変性をした化合物を挙げることができる。該誘導体として例えば、グリセリントリアセテート、グリセリントリプロピオネート、グリセリントリブチレート等を挙げることができる。
上記可塑剤(C)は、成膜性や形成塗膜の仕上がり性、塗膜形成後の可塑剤のブリードアウトを抑制させる点から、多糖類(A)及び可塑剤(C)の合計重量に対して、可塑剤(C)が0.1〜30重量%、好ましくは5〜15重量%の範囲内となるように配合されることが望ましい。
また、本発明の硬化型組成物においては、形成塗膜の耐水性をさらに向上せしめる目的から、シリコン系撥水剤(D)を含有することが望ましい。
シリコン系撥水剤(D)としては、例えばポリジメチルシロキサン等のポリジアルキルシロキサンや、その末端OH基変性、アミノ基変性などのシリコーン化合物;ヘキシルトリメトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン;ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシランなど含フッ素シリコン化合物などを有効成分とし、有機溶媒や水性媒体に溶解又は分散したものなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記シリコン系撥水剤(D)は、形成塗膜の耐水性、基材に対するヌレ性や仕上がり性の点から本発明の多糖類(A)及び硬化剤(B)の合計重量に対して0.5〜20重量%、好ましくは5〜15重量%含有することができる。
本発明の硬化型組成物においては、塗膜外観を阻害しない範囲で天然ワックス、合成ワックス等のワックス類を含有させることができる。天然ワックスとしては、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木ろう等の植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス等が挙げられる。また合成ワックスとしては、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素類;モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体等の変性ワックス;硬化ひまし油、硬化ひまし油誘導体等の水素化ワックス;12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド等が挙げられる。
該シリコン系撥水剤(D)又はワックス類としては、仕上がり性、貯蔵安定性、環境負荷低減の観点から、水性媒体を溶媒とする水性タイプまたは乳化タイプが好ましい。水性媒体とは、主として水を指すが、水に可溶性の有機溶剤(例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコールなどのアルコール類やエチレングリコールモノブチルエーテルなどのエーテル類等)を併用したものであってもよい。
本発明の硬化型組成物は、硬化剤(B)の種類に応じて、組成物の形態を1液型または2液型に適宜選択できる。また、多糖類(A)、硬化剤(B)の種類に応じて水系、有機溶剤系、粉体系等を選択できるが、多糖類(A)が水に溶解する場合には水系とすることが望ましい。
本発明の硬化型組成物は、塗料、インク、成型物等に適用できるが、塗料に適用する場合にはクリヤー塗料もしくはエナメル塗料にすることができる。
エナメル塗料として適用する場合においては、通常塗料に用いられる無機系着色顔料、有機系着色顔料、体質顔料などを配合することができる。
顔料の配合量は、塗膜の隠蔽性及び耐久性の点から、多糖類(A)の重量に対して、1〜500重量%、好ましくは2〜200重量%が好適である。
また、本発明の硬化型組成物においては、バインダー成分として、例えばグルテン、カゼイン、コラーゲン、ゼラチン、ケラチン、セリシン等のポリペプチド等のタンパク質類;ポリ乳酸;漆、カシュー樹脂、シェラック、ロジン等の天然樹脂;酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテルなどの水性合成樹脂、アラビアガム、グアーガム、キサンタンガム等の植物ガム類等の上記多糖類(A)以外の多糖類等を必要に応じて適宜含有させることもできる。
さらに本発明の硬化型組成物は、アミン化合物、アミド化合物、イミド化合物、尿素化合物、ヒドラジド化合物、アゾール化合物、アジン化合物、層状リン酸化合物等のアルデヒド除去剤;ケナフなどの天然繊維、防腐剤、防カビ剤、防藻剤、抗菌剤、湿潤剤、消泡剤、増粘剤、レベリング剤、顔料分散剤、沈降防止剤、たれ防止剤、艶消し剤、染料、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、界面活性剤、造膜助剤、香料等の添加剤を必要に応じて単独あるいは併用して配合することもできる。
本発明方法は、被塗面に上記の通り得られる硬化型組成物を塗装することを特徴とする塗装方法である。
被塗面としては、例えば、石膏ボード、合板、コンクリート、モルタル、磁器タイル、繊維混入セメント板、セメント珪酸カルシウム板、スラグセメントパーライト板、石綿セメント板、ALC板、サイディング板、押出成形板、鋼板、プラスチック板等の基材面;該基材面に例えば、シーラー、サーフェーサー、フィラー等により処理された塗布面等が挙げられる。また、該基材面に塗膜が形成されたものや壁紙が貼り付けられたものでもよい。
本発明の硬化型組成物の塗布方法としては、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、静電塗装、ハケ塗装、ローラー塗装、リシンガン、万能ガン、浸漬、ロールコーター、カーテンフローコーター、ローラーカーテンコーター、ダイコーター等特に制限はなく、塗膜を硬化させるための乾燥条件としては、常温乾燥、強制乾燥、加熱乾燥のいずれであってもよい。本明細書では40℃未満の乾燥条件を常温乾燥とし、40℃以上で且つ80℃未満の乾燥条件を強制乾燥とし、80℃以上の乾燥条件を加熱乾燥とする。また、1回当たりの塗布量としては、例えば、50〜500g/mの範囲内であることができる。
また、上記被塗面に上記硬化型組成物を塗装した後、該塗面上に上記シリコン系撥水剤(D)を塗布することもできる。
シリコン系撥水剤(D)としては、上記で列記したものと同様のものが使用でき、1回当たりの塗布量としては50〜200g/m、好ましくは70〜150g/mの範囲が適当である。また、塗膜外観を損なわない範囲で複数回塗り重ねてもよい。
シリコン系撥水剤(D)の塗布方法としては、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、静電塗装、ハケ塗装、ローラー塗装、リシンガン、万能ガン、浸漬、ロールコーター、カーテンフローコーター、ローラーカーテンコーター、ダイコーター等特に制限はなく、乾燥方法としては、常温乾燥することもできるが、強制乾燥、加熱乾燥することもできる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1〜6及び比較例1〜2
表1のベース塗料に示す各成分を配合し、攪拌混合して各ベース塗料を作成した後、表1に従い各硬化剤を各ベース塗料に配合して、水性塗料組成物(A−1)〜(A−8)を得た。尚、表1中における(注1)〜(注8)は下記の通りである。
Figure 2005306919
(注1)「日食セルエース」:商品名、日本食品化工製、トウモロコシ種皮により得られるキシロース及びアラビノースを構成単位とする多糖類、粉末状
(注2)「チタンCR−97」:商品名、石原産業社製、チタン白
(注3)「BYK190」:商品名、ビックケミ社製、顔料分散剤
(注4)「ラクチトール」:日研化学社製、糖アルコール
(注5)「スラオフ72N」:商品名、武田薬品社製、防腐剤
(注6)「水性エクセラ」:商品名、関西ペイント社製、シリコン系撥水剤
(注7)硬化剤A:
攪拌機、温度計、還流管、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、数平均分子量550のメトキシポリエチレンエーテルグリコール41部と「タケネートD170HN」(商品名、武田薬品工業社製、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体)504部を入れ、窒素置換後70℃で6時間反応させて水分散可能なポリイソシアネートを得た。イソシアネート含量は22.9%、粘度1300cpsであった。
(注8)硬化剤B:
攪拌機、温度計、還流管、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、「LTI」(商品名、協和発酵工業(株)製、天然アミノ酸を主原料とした3官能の脂肪族イソシアネート)540部、メチルエチルケトオキシム440部を入れ、窒素置換後NCO価が3以下になるまで80℃で反応させ、ブロックポリイソシアネート化合物を得た。
評価試験
上記実施例及び比較例で得られた各水性塗料組成物を用いて、常温乾燥、強制乾燥及び加熱乾燥の各乾燥条件にて試験塗板を作成し、各種評価試験を行った。また、該水性塗料組成物塗装後、該塗面上にシリコン系撥水剤を塗装する方法についても試験塗板を作成し、各種評価試験を行った。
常温乾燥
実施例7
(*1)指触乾燥性
水性塗料組成物(A−1)を、150ミクロンのアプリケーターでガラス板に塗装し、20℃・60%RHの雰囲気で6時間乾燥させた後、塗膜の指触乾燥性を調べ、下記基準で評価した。
◎:全く指紋がつかない、○:指紋がつくがしばらくすると元に戻る、△:指紋がついて元に戻らない、×:塗膜が指に付着する。
(*2)塗膜外観
スレート板(70×150×5mm)上に「EPシーラー透明」(関西ペイント社製、アクリルエマルション系シーラー)を塗布量150g/mになるように刷毛塗りし、20℃・60%RHで1日乾燥させたものを試験素材とした。次に、該試験素材に水性塗料組成物(A−1)を塗布量100g/mになるように各試験素材に刷毛塗りし、4時間放置後、さらに同じ水性塗料組成物を塗布量100g/mになるように刷毛で塗り重ねて、20℃・60%RHで7日乾燥させて各試験塗板を得た。得られた試験塗板の塗膜表面の状態を下記基準にて目視で観察した。
◎:非常に良好、○:良好、△:やや不良、×:ワレやチヂミなどの欠陥あり
(*3)耐水性:上記塗膜外観の試験で使用したものと同様の試験塗板を水(20℃)に1日間浸漬した後の塗膜の状態を目視で観察した。
◎:良好、○:わずかに艶引けするが実用レベル、△:艶引け、白化、フクレが認められる、×:著しくフクレが認められる、又は塗膜が軟化する
(*4)生分解性:
水性塗料組成物(A−1)を150ミクロンのアプリケーターでポリプロピレン製の板に塗装し、20℃・60%RHの雰囲気で7日放置後、該板から塗膜を剥離し、試験片を得た。得られた試験片を2枚のポリプロピレン製の網に挟み、神奈川県平塚市の関西ペイント株式会社内の敷地深さ50cmの土中に埋没し、6ヶ月後に目視で評価を行った。
◎:試験片が完全に消失している、○:試験片の60%以上が消失している。×:試験片が完全に残っている。
実施例8〜11及び比較例3〜4
上記実施例7において、水性塗料組成物(A−1)に換えて下記表2に記載の水性塗料組成物を使用する以外は上記実施例7と同様にして各試験塗板及び試験片を作成し、上記評価試験に夫々供した。結果を表2に示した。
強制乾燥
実施例12
上記実施例7において、水性塗料組成物(A−1)の乾燥条件を60℃2時間とする以外は、上記実施例7と同様の方法にて試験塗板及び試験片を作成し、各評価試験を行った。結果を表2に併記した。
加熱乾燥
実施例13
上記実施例7において、水性塗料組成物(A−1)に換えて水性塗料組成物(A−6)を用い、該水性塗料組成物(A−6)の乾燥条件を150℃、30分とする以外は、上記実施例7と同様の方法にて試験塗板及び試験片を作成し、各評価試験を行った。結果を表2に併記した。
水性塗料組成物塗装後、該塗面上にシリコン系撥水剤を塗装する方法
実施例14
水性塗料組成物(A−1)を150ミクロンのアプリケーターでガラス板に塗装し、20℃・60%RHの雰囲気で6時間放置させた。その後、「水性エクセラ」(関西ペイント社製、シリコン系撥水剤)を150ミクロンのアプリケーターで塗り重ね、20℃・60%RHで1日乾燥させた後、上記評価基準で塗膜の指触乾燥性を調べた。結果を表2に併記した。
また、スレート板(70×150×5mm)上に「EPシーラー透明」(関西ペイント社製、アクリルエマルション系シーラー)を塗布量150g/mになるように刷毛塗りし、20℃・60%RHで1日乾燥させた。次に、水性塗料組成物(A−1)を塗布量100g/mになるように刷毛塗りし、4時間放置後、さらに同じ水性塗料組成物を塗布量100g/mになるように刷毛で塗り重ねて、20℃・60%RHで1日乾燥させた。さらに、「水性エクセラ」(関西ペイント社製、シリコン系撥水剤)を塗布量100g/mになるように刷毛塗りし、20℃・60%RHで7日乾燥させた後、上記評価基準で塗膜外観を評価し、結果を表2に併記した。
また、水性塗料組成物(A−1)を150ミクロンのアプリケーターでポリプロピレン製の板に塗装し、20℃・60%RHで1日乾燥させた。さらに、「水性エクセラ」(関西ペイント社製、シリコン系撥水剤)を150ミクロンのアプリケーターで塗り重ね、20℃・60%RHの雰囲気で7日放置後、該板から塗膜を剥離し、試験片を得、生分解性試験を上記方法基準にて行い、結果を表2に併記した。
Figure 2005306919

Claims (7)

  1. (A)キシロース及びアラビノースを構成単位とする多糖類及び(B)成分(A)中に含まれる水酸基と反応する官能基を有する硬化剤を含有する硬化型組成物。
  2. 多糖類(A)が、トウモロコシの種皮により得られるものであることを特徴とする請求項1に記載の硬化型組成物。
  3. 硬化剤(B)が、1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物又は該化合物のイソシアネート基をブロック化したブロックイソシアネート化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の硬化型組成物。
  4. さらに可塑剤(C)を含有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の硬化型組成物。
  5. さらにシリコン系撥水剤(D)を含有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の硬化型組成物。
  6. 被塗面に、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の硬化型組成物を塗装することを特徴とする塗装方法。
  7. 被塗面に、請求項1ないし5のいずれかに記載の硬化型組成物を塗装した後、該塗面上にシリコン系撥水剤(D)を塗装することを特徴とする塗装方法。
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