JP2005306766A - 新規糖鎖担持カルボシランデンドリマーおよびその製造方法、並びにデング熱ウイルス感染阻害剤、抗ウイルス剤及び抗hiv剤のスクリーニング用標的物質 - Google Patents

新規糖鎖担持カルボシランデンドリマーおよびその製造方法、並びにデング熱ウイルス感染阻害剤、抗ウイルス剤及び抗hiv剤のスクリーニング用標的物質 Download PDF

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Abstract

【課題】 新規な糖鎖担持カルボシランデンドリマーおよびその製造方法、並びに前記糖鎖担持カルボシランデンドリマーを有効成分とするデング熱ウイルス感染阻害剤、抗ウイルス剤及び抗ウイルス剤のスクリーニング用標的物質を提供すること。
【解決手段】 下記一般式(1);(RSi{−R−Si(R
[R−Si(R(R−S−R−A )3−k3−l 、下記一般式
(2);(RSi[−R−Si(R(R−S−R−A)3−l]、又は下記一般式(3);(RSi(R−S−R−A)で表わされる糖鎖担持カルボシランデンドリマーおよびその製造方法、並びにデング熱ウイルス感染阻害剤、抗ウイルス剤及び抗HIV剤のスクリーニング用標的物質。
【選択図】 図3


Description

本発明は、デング熱ウイルス感染阻害剤、抗ウイルス剤又は抗HIV剤のスクリーニング用標的物質に用いることができる新規な糖鎖担持カルボシランデンドリマーおよびその製造方法、並びに前記糖鎖担持カルボシランデンドリマーを有効成分とするデング熱ウイルス感染阻害剤、抗ウイルス剤及び抗HIV剤のスクリーニング用標的物質に関するものである。
デング熱(dengue fever)は、デングウイルス(以下dengue virusとも述べる)の急性感染症で、その臨床的特徴から、予後良好な古典的デング熱(classical dengue fever:以下CDFとも述べる)、出血傾向を示すデング出血熱(dengue hemorrhagic syndrome::以下DHFとも述べる)、最も重篤でショックを特徴とするデングショック症候群(dengue shock syndrome: 以下DSSとも述べる)に分類される。
CDFは、3〜9日の潜伏期間の後、40℃前後の発熱、頭痛、腰背部痛、顔面紅潮、結膜充血などを突然発症し、全身の激しい関節痛と筋肉痛を伴う疾患である。また、やや遅れて、消化器症状や上記道炎症も出現する。しかし、これらの症状は、自己限定的であり、自然経過で治癒・回復する。一方、DHF及びDSSもCDFとほぼ同様に発症するが、2〜6日で出血傾向もしくはショック様症状が著明となり、虚脱感や全身衰弱が激しく、状態が急速に悪化する点で異なる。
デング熱は、世界各地の熱帯地方に広く分布しており、感染力が極めて強く、流行時には人口の約80%が感染することが知られている。地球上の患者は、2000万人/年(WHO)にもおよび、流行地域も患者数も年毎に拡大の一途をたどっている。また、かつてはみられなかったDHF及びDSSが、近年各地で多発しており、出血熱の致死率が40%以上と高いことからも、この症状は、再興感染症として位置付けられ、その対策は公衆衛生上極めて重要な問題となっている。
しかし、感染における標的組織、感染初期過程の宿主・ウイルス相互作用に関する分子、遺伝子の情報は極めて少なく、デング熱、デング出血熱に有効な薬は今だ知られていないのが実情である。デング熱ワクチンについても、弱毒性ワクチンを始め、不活性ワクチン、サブユニットワクチン、組み換えワクチン、DNAワクチンなどの開発は進められているものの、有効性や副反応の問題により実用化には達していない。
そこで、新規なデング熱ウイルス感染阻害剤が求められている。
また、インフルエンザウィルス等のウィルスは、表面に種々のタンパク質を有し、これらのタンパク質が生体内の糖鎖等を認識し、接着することにより感染する。
このようなインフルエンザウィルス等のウィルスに対する抗ウイルス剤としては、再公表特許(国際公開番号WO02/002588)において、糖鎖担持カルボシランデンドリマーが開示されているものの、このようなインフルエンザウィルス等のウィルスに対する抗ウイルス剤は、いまだ少ないのが実情である。
そこで、新規なインフルエンザウィルス等のウィルスに対する抗ウイルス剤が求められている。
一方、マンノースは生体内において種々の生命活動を司っている糖タンパク質の構成部分であり、高度に集積化されている。特に、HIV表面に存在するgp120分子は、N−結合型糖鎖が結合している糖タンパク質であり、とりわけ、高マンノース型糖鎖が多く存在している。従って、マンノースを集積化することができれば、gp120分子を模倣して、抗HIV剤をスクリーニングする標的物質となりうる。
再公表特許(国際公開番号WO02/002588)
そこで、本発明は、デング熱ウイルス感染阻害剤、抗ウイルス剤又は抗ウイルス剤のスクリーニング用標的物質に用いることができる新規な糖鎖担持カルボシランデンドリマーおよびその製造方法、並びに前記糖鎖担持カルボシランデンドリマーを有効成分とするデング熱ウイルス感染阻害剤、抗ウイルス剤及び抗ウイルス剤のスクリーニング用標的物質を提供することを目的とするものである。
かかる実情において、本発明者らは、鋭意検討を行った結果、特定構造の糖鎖を担持してなるカルボシランデンドリマーが、デング熱ウイルス感染阻害剤、抗ウイルス剤又は抗ウイルス剤のスクリーニング用標的物質に用いうることを発見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明(1)は、下記一般式(1);
(RSi{−R−Si(R[R−Si(R(R−S−R−A )3−k3−l (1)
(式中、R、R、及びRは、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、ビニル基、及びアリル基のいずれかであり、同一でも異なっていてもよく、R、R、R、及びRは、炭素数1〜6のアルキレン基、フェニレン基、及びアルケニレン基のいずれかであり、同一でも異なっていてもよく、Aは、下記化学式
Figure 2005306766
で表わされるパラグロボシド誘導基、αマンノピラノシル基、又はマンノース糖鎖2〜8つを含有するマンノースのみから形成されるオリゴ糖の末端の1位の水酸基から水素原子を取り去った基であり、mは0〜3の整数であり、nは1〜4の整数であり、m+n=4であり、さらにk及びlは0〜2のいずれかであり、k及びlは互いに同一であっても異なっていてもよい。)で表わされる糖鎖担持カルボシランデンドリマーを提供するものである。
また、本発明(2)は、下記一般式(2);
(RSi[−R−Si(R(R−S−R−A)3−l (2)
(式中、R、R、R、R、R、A、m、n、及びlは前記と同義。)で表わされる糖鎖担持カルボシランデンドリマーを提供するものである。
また、本発明(3)は、下記一般式(3);
(RSi(R−S−R−A) (3)
(式中、R、R、R、A、m、及びnは前記と同義。)で表わされる糖鎖担持カルボシランデンドリマーを提供するものである。
また、本発明(4)は、式中Aが前記パラグロボシド誘導基であることを特徴とする前記発明(1)〜(3)のいずれかに記載の糖鎖担持カルボシランデンドリマーを提供するものである。
また、本発明(5)は、式中Aが前記αマンノピラノシル基、又はマンノース糖鎖2〜8つを含有するマンノースのみから形成されるオリゴ糖の末端の1位の水酸基から水素原子を取り去った基であることを特徴とする前記発明(1)〜(3)のいずれかに記載の糖鎖担持カルボシランデンドリマーを提供するものである。
また、本発明(6)は、式中Aが前記αマンノピラノシル基、又は下記化学式(2)
Figure 2005306766
で表わされる基であることを特徴とする前記発明(1)〜(3)のいずれかに記載の糖鎖担持カルボシランデンドリマーを提供するものである。
また、本発明(7)は、下記一般式(4):
(RSi{−R−Si(R[R−Si(R(R−X )3−k3−l (4)
(ただし、R、R、R、R、R、R、m、n、k、及びlは前記の通りのものを示し、Xはハロゲン原子を示す)で表わされるハロゲン化合物を、下記一般式(5);A−R−S−Y (5)
(ただし、Rは前記の通りであり、Aは前記の通りの糖鎖又は該糖鎖の有する水酸基の内1部又は全部の水酸基の水素原子が、アセチル基、ベンジル基、及びベンゾイル基のいずれかの基に置換されている糖鎖であり、Yは、反応離脱性の保護基を示す。)で表わされるスルフィド化合物と反応させることを特徴とする前記発明(1)に記載の糖鎖担持カルボシランデンドリマーの製造方法の製造方法を提供するものである。
また、本発明(8)は、下記一般式(6):
(RSi{−R−Si(R(R−X )3−l (6)
(ただし、R、R、R、R、m、n、及びlは前記の通りのものを示し、Xはハロゲン原子を示す)で表わされるハロゲン化合物を、前記一般式(5)で表わされるスルフィド化合物と反応させることを特徴とする前記発明(2)に記載の糖鎖担持カルボシランデンドリマーの製造方法を提供するものである。
また、本発明(9)は、下記一般式(7):
(RSi(R−X ) (7)
(ただし、R、R、m、及びnは前記の通りのものを示し、Xはハロゲン原子を示す)で表わされるハロゲン化合物を、前記一般式(5)で表わされるスルフィド化合物と反応させることを特徴とする前記発明(3)に記載の糖鎖担持カルボシランデンドリマーの製造方法を提供するものである。
また、本発明(10)は、前記発明(4)に記載の糖鎖担持カルボシランデンドリマーを有効成分として含有することを特徴とするデング熱ウイルス感染阻害剤を提供するものである。
また、本発明(11)は、前記発明(4)に記載の糖鎖担持カルボシランデンドリマーを有効成分として含有することを特徴とする抗ウイルス剤を提供するものである。
また、本発明(12)は、前記発明(5)に記載の糖鎖担持カルボシランデンドリマーを有効成分として含有することを特徴とする抗HIV剤のスクリーニングに用いられる標的物質を提供するものである。
本発明により、デング熱ウイルス感染阻害剤、抗ウイルス剤又は抗ウイルス剤のスクリーニング用標的物質に用いることができる新規な糖鎖担持カルボシランデンドリマーおよびその製造方法、並びに前記糖鎖担持カルボシランデンドリマーを有効成分とするデング熱ウイルス感染阻害剤、抗ウイルス剤及び抗ウイルス剤のスクリーニング用標的物質を提供することができる。
本発明の前記一般式(1)で表わされる糖鎖担持カルボシランデンドリマーとしては、下記化学式のDumbbell(2)18型の糖鎖担持カルボシランデンドリマーを挙げることができる。下記化学式は、一般式(1)中、Rがメチル基、m=2、n=2、k=0及びl=0であり、下記化学式中で丸3つで示される末端部分は糖鎖を示す。
Figure 2005306766
また、本発明の前記一般式(2)で表わされる糖鎖担持カルボシランデンドリマーとしては、下記化学式のDumbbell(1)6型の糖鎖担持カルボシランデンドリマーを挙げることができる。下記化学式中で楕円形で表わされる末端部分は糖鎖である。
Figure 2005306766
また、本発明の前記一般式(3)で表わされる糖鎖担持カルボシランデンドリマーとしては、下記化学式のBall(0)4型、Fan(0)3型をの糖鎖担持カルボシランデンドリマーを挙げることができる。下記化学式中で楕円形で表わされる末端部分は糖鎖である。
Figure 2005306766
本発明の糖鎖担持カルボシランデンドリマーのうち、Dumbbell(2)18型、Dumbbell(1)6型の糖鎖担持カルボシランデンドリマーが、デング熱ウイルス感染阻害剤としての活性が良好であるため好ましい。
本発明の糖鎖担持カルボシランデンドリマーは、以下の方法により製造される。
<ハロゲン化物の製造>
前記一般式(4)、(6)及び(7)で表わされるハロゲン化合物の製造は、Terunumaらの方法(Bull.Chem.Soc.Jpn., 72(1999), p2129-2134)により行うことができる。
<糖鎖の製造>
パラグロボシド誘導基を含有する糖鎖担持カルボシランデンドリマーを調製するのに用いる糖鎖は、例えば、ラクトースから誘導された糖鎖受容体と、ラクトースから誘導された糖鎖供与体とのグリコシデーションを行い、保護基の変換を経て、チオアセチル化を行い調製することができる。
αマンノピラノシル基、又はマンノース糖鎖2〜8つを含有するマンノースのみから形成されるオリゴ糖の末端の1位の水酸基から水素原子を取り去った基を含有する糖鎖担持カルボシランデンドリマーを調製するのに用いるスルフィド化合物は、Zhangら(Tetrahedron: Asymmetry, 13, (2002), p243-252)に記載される方法に準じて調製することができる。
<糖鎖の導入及び糖鎖担持カルボシランデンドリマーの調製>
前記スルフィド化合物とハロゲン化合物とを反応させた後に、脱保護することにより、糖鎖担持カルボシランデンドリマーを調製することができる。
本発明の糖鎖担持カルボシランデンドリマーは、糖鎖がパラグロボシド誘導基である場合において、デング熱ウィルス感染阻害剤として有用である。また、カルボシランデンドリマー骨格を有するため、インフルエンザウィルス等の抗ウイルス剤として利用することができる。加えて、糖鎖がマンノースからなる場合には、抗HIV剤をスクリーニングする標的物質となりうる。
本願の発明のデング熱感染阻害剤、インフルエンザウィルス等の抗ウイルス剤においては、錠剤、粒・散剤、シロップ剤等の形態での経口投与、注射剤等の形態での非経口投与、座薬等の形態での直腸投与など患者の症状や状態に応じた投与方法を選択することができる。
本願のデング熱ウィルス感染阻害剤及びインフルエンザウィルス等の抗ウイルス剤を経口投与する場合には、錠剤、トローチ、カプセル、霊薬、粉末、顆粒、懸濁液、乳液及びシロップ等の形態とすることができる。また、被覆粒子、多層錠剤あるいは微小顆粒等として、緩慢放出または遅延放出される形態としてもよい。これらの形態においては、デング熱ウィルス感染阻害剤及びインフルエンザウィルス等の抗ウイルス剤は、薬学認容性の結合剤、甘味料、崩壊剤、希釈剤、人口香味量、被覆剤、保存剤、潤滑剤及び/又は効果遅延剤等を含有してよい。
非経口投与では、座薬等の形態で直腸投与されるものであってもよい。好適な座薬は、活性物質を常温では固体で直腸では融解する非刺激性の賦形剤と混合することによって調製してもよい。
本願のデング熱ウィルス感染阻害剤及びインフルエンザウィルス等の抗ウイルス剤は、吸入スプレーや軟膏等の経皮投与用形態を有するものであってもよい。例えば、吸入スプレーは、溶液、懸濁液または乳状液とし、二酸化炭素や一酸化二窒素等の低毒性の吸入可能な噴霧剤を含んでもよい。一方、経皮投与用としては、クリーム、軟膏、ジェル、ゼリー、チンキ、懸濁液、または乳状液の形態が好ましく挙げられる。これらは、薬学認容性の結合剤、希釈剤、崩壊剤、保存剤、潤滑剤、分散剤、懸濁剤および/または乳化剤を含有してもよい。
本願のデング熱ウィルス感染阻害剤及びインフルエンザウィルス等の抗ウイルス剤は、一般的に知られる各種の方法によって製造されてもよい。例えば、有効成分である糖鎖担持カルボシランデンドリマーを、キャリア、補助剤、希釈剤または賦形剤とともにすりつぶす、粉砕する、ブレンドする、分散する、溶解する、懸濁する、混合する、混和する、組合せる、乳化する、またはホモジャネートすることによって調製される。またこれらのステップを1以上組合せて製造されるものであってもよい。
本願のデング熱ウィルス感染阻害剤及びインフルエンザウィルス等の抗ウイルス剤は、有効成分の含有量はとくに限定されない。例えば、有効成分としての糖鎖担持カルボシランデンドリマーの濃度が500〜1000mg/人/日となるように配合することができる。もちろん、患者への投与量は、患者の年齢、性別、体重などを考慮して主治医の診断により患者の症状、状態に応じて決定されるべきものである。患者の体重に応じて10〜100mg/kgの範囲で投与することが望ましい。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって本発明を制限するものではない。
製造例
<カルボシランデンドリマー骨格の合成:Dumbbell(1)6−Br>
以下の反応式に従ってDumbbell(1)6型のカルボシランデンドリマー骨格を有するハロゲン化合物を調製した。
Figure 2005306766
(1)Diallyldimethylsilane(化合物(i))
アルゴン雰囲気下、ジクロロジメチルシラン(0.40mL、77.5mmol)を蒸留したジエチルエーテル20mLに溶解し、氷冷下、1Mアリルマグネシウムブロミド・ジエチルエーテル溶液(232ml、232mmol)を滴下し、50℃で8時間攪拌した。反応終了後、氷冷下1規定塩酸(約150mL)を加え、ジエチルエーテルで抽出し、蒸留水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶液をろ過して濃縮した。残渣を減圧蒸留(54mmHg/58℃)により精製し、液状の化合物(i)(7.48g、収率68.8%)を得た。
(2)Bis(triallylsilylpropyl)dimethylsilane(化合物(ii))
アルゴン雰囲気下、化合物(i)(7.00g、49.9mmol)を蒸留したTHF50mLに溶かし、Speier触媒(0.1Mヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物・イソプロパノール溶液)を触媒量滴下した。続いて、氷冷下、トリクロロシラン(20.1mL、200mmol)を滴下し、蒸留THF30mLで滴下ロートを共洗いした。室温で18.5時間攪拌した後、反応液を常圧蒸留(75〜80℃)し、溶媒と過剰のトリクロロシランを留去した。そこへ、蒸留したTHF60mLを加え、氷冷下、1Mアリルマグネシウムブロミド・ジエチルエーテル溶液(645ml、645mmol)を滴下し、0℃で1時間、室温で1.5時間、50℃で18時間攪拌した。反応終了後、氷冷下、1規定塩酸(約500ml)を加え、ジエチルエーテルで抽出し、蒸留水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶液をろ過して濃縮した、残渣をシリカゲルクロマトグラフ(ヘキサンのみ)で精製し、液状の化合物(ii)(8.33g、37.5%)を得た。
(3)Bis(tris(3-hydroxypropyl)silylpropyl)dimethylsilane(化合物(iii))
アルゴン雰囲気下、フラスコに1M BH3-THF錯体(30.4mL, 30.4mmol)を入れ、そこにシクロヘキセン(2.48 g, 30.4mmol)のTHF50mL溶液を氷冷下で滴下した。滴下終了後1時間攪拌し、そこに化合物(ii)(3.00g, 6.74mmol)のTHF90mL溶液を氷冷下で滴下した。滴下終了後、反応液を室温で3時間攪拌した。メタノール20mLを氷冷下で滴下し、3.0M水酸化ナトリウム(8.99mL,27.0mmol)、30%過酸化水素水(9.17mL、80.9mmol)を加えた。滴下終了後1時間攪拌した。有機層を分取し、水層をTHFで抽出して有機層に合わせ、飽和食塩水で洗浄した。乾燥後、溶媒を隆去し再沈殿で2回精製して油状の化合物(iii)(3.60g、96.7%)を得た。
さらに、化合物(iii)をメシル化して、液状のBis[tris (3-bromopropyl) silylpropyl] dimethylsilane(化合物(iv)、Dumbbell(1)6−Br:420mg、55.0%)を得た。以下に同定結果を示す。
IR(neat)1239cm-1(CH2Br)
1H NMR:δ (200MHz、CDCl3)、-0.02(s、6H、2Me)、0.62(m,20H,2SiMe2 CH2CH2CH2Si,6SiCH2CH2CH2Br)、1.30(m,4H,2SiMe2 CH2CH2CH2Si)、1.81(m,12H,6SiCH2CH2CH2Br)、3.39(t,12H, 6SiCH2CH2CH2Br)
<カルボシランデンドリマー骨格を有するハロゲン化合物の合成:Fan(0)3−Br>
Dumbell(1)6−Brの場合と同様に、以下の反応式に従って、Fan(0)3−Brを合成した。
Figure 2005306766
IR(neat) :1238cm-1(CH2Br)
1H NMR:δ(200MHz,CDCl3)、0.95(m,6H,SiCH2) 、1.83(m,6H,SiCH2CH2) 、3.40(t,6H,CH2Br)
<カルボシランデンドリマー骨格を有するハロゲン化合物の合成:Ball(0)4−Br>
Dumbell(1)6−Brの場合と同様に、以下の反応式に従って、Ball(0)4−Brを合成した。
Figure 2005306766
IR(neat) 1238cm-1(CH2Br)
1H NMR:δ(200MHz,CDCl3) 、0.70(m,2H,SiCH2) 、1.83(m,2H,SiCH2CH2 )、3.40(t,2H,CH2Br)
(合成方法)
以下の手順に従ってα−1,3Man糖鎖を担持したカルボシランデンドリマーの合成を行った。
まず、以下の反応式に従って、糖鎖部分を調製した。
Figure 2005306766
<マンノースのアセチル化および1-ブロモ化>
D-マンノース1 (2.50 g, 13.9 mmol)と無水酢酸(12 ml, 131mmol)を加え、25 %臭化水素-酢酸溶液4.5 mlを滴下して12時間撹拌した。アセチル体の生成を確認した後、遮光して25 %臭化水素-酢酸溶液22mlを滴下した。5時間撹拌した後、反応液を氷水に注ぎ、分液ロートを用いてCHCl3で抽出して、有機層を、水で2回、飽和NaHCO3水溶液で2回、飽和食塩水で1回洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥した。MgSO4をろ別しエバポレーターで濃縮し、更に真空ポンプで乾燥することで化合物2を得た。これ以上の精製は行わず、以後の反応の原料をして用いた。
<化合物2の1,2-エチリデン化>
アルゴン雰囲気下、化合物2 (22.9 g, 55.6 mmol)をアセトニトリル130 mlに溶解させ、水素化ホウ素ナトリウム(10.5 g, 278 mmol)を加え、室温で22時間撹拌した。反応液を酢酸エチルと水で希釈し、水で1回、飽和食塩水で2回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶液をろ過して濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン: 酢酸エチル= 5:1〜3:1〜2:1)で精製し化合物3を得た。(収量 11.8 g 収率 64 %)
<化合物3の脱アセチル化および4,6-ベンジリデン化>
アルゴン雰囲気下、化合物3(5.73 g, 17.3 mmol)をメタノール5.0 mlに溶解させ、ナトリウムメトキシド(140 mg, 2.6 mmol)を加え室温で1時間撹拌した。反応液にイオン交換樹脂IR120B(H+)を加えて中和した。樹脂をろ別後、反応液を濃縮乾燥した。N,N-ジメチルホルムアミド15.0 mlに溶解させ、ベンズアルデヒドジメチルアセタール(3.7 ml, 24.6 mmol)を加え、次いで(+)-10-カンファースルホン酸(379 mg, 1.63 mmol)を加え、減圧下30 ℃で6時間撹拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、トリエチルアミン(0.45 ml, 3.34 mmol)を加え、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン: 酢酸エチル= 10:1〜5:1〜3:1〜1:1)で精製し化合物4を得た。(収量 5.08 g 定量的 (2 steps))
<二糖合成>
アルゴン雰囲気下、化合物2(298 mg, 0.72 mmol)と化合物4(100 mg, 0.34 mmol)をdry-ジクロロメタン8.0 mlに溶解させ、乾燥したモレキュラーシーブ4Åパウダー1.0 gを加え室温で1時間撹拌し、次に-20 ℃で1時間撹拌した。反応液にトリフルオロメタンスルホン酸銀(228 mg, 0.89 mmol)を加え-20 ℃で2時間撹拌し、更に、トリフルオロメタンスルホン酸銀(113 mg, 0.44 mmol)を加え、-20 ℃で40分撹拌した。反応終了後、炭酸ナトリウム(302 mg, 2.85 mmol)を加え、セライトろ過した。反応液をクロロホルムで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、飽和食塩水で1回洗浄を行った。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶液をろ過して濃縮した。残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン: 酢酸エチル= 5:1)で精製し化合物5を得た。(収量 139 mg 収率 66 %)
<化合物5の脱保護およびアセチル化>
化合物5 (860 mg, 1.38 mmol)に90 %トリフルオロ酢酸水溶液10 mlを加え、室温で22時間撹拌した。氷水浴で反応容器を冷却しながら、炭酸ナトリウムを加えて反応液を中和し、濃縮乾燥した。残査に酢酸ナトリウム(229 mg, 2.79 mmol)と無水酢酸と(15 ml, 158 mmol)を加え、110 ℃で1時間撹拌した。反応終了後、氷水を加えクロロホルムで抽出を行い、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、飽和食塩水で1回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶液をろ過して濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン: 酢酸エチル= 1:1〜1:2)で精製し化合物6を得た。(収量 598 mg 収率 64 % (2 steps))
<化合物6の1-アリル化>
アルゴン雰囲気下、化合物6 (4.08 g, 6.0 mmol)をdry-ジクロロメタン27 mlに溶解させ、アリルアルコール(2ml, 30.7 mmol)を加え、-5 ℃に冷却した。三フッ化ホウ素-ジエチルエーテル錯体(8ml, 63.1 mmol)を30分かけて滴下した。滴下終了後、0 ℃で30分、室温で71時間撹拌した。反応終了後、反応液を氷水に注ぎ、水で1回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、飽和食塩水で1回洗浄を行った。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶液をろ過して濃縮した。残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン: 酢酸エチル= 5:1〜3:1〜2:1〜2:1〜0:1)で精製し化合物7を得た。(収量 1.73 g 収率 43 %)
<化合物7のチオアセチル化>
アルゴン雰囲気下、化合物7 (1.73 g, 2.56 mmol)を1,4-ジオキサン1.5 mlに溶解させ、チオ酢酸(3.7 ml, 52.0 mmol)を加え、50 ℃に加熱した。AIBN(2.11 g, 12.8 mmol)を加え、80 ℃で3時間撹拌した。その後、過剰なAIBNを潰すためシクロヘキセン(1.5 ml, 14.8 mmol)を加え、室温で30分撹拌した。反応液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン: 酢酸エチル= 10:1〜5:1〜3:1〜2:1)、次いでSephadex LH-20(メタノールで展開)で精製し化合物8を得た。(収量 1.87 g 収率 97 %
以下の反応式に従って、糖鎖のカルボシランデンドリマー骨格への導入反応、脱保護を行い、Fan(0)3-α-1,3-Manを調製した。
Figure 2005306766
<糖鎖のカルボシランデンドリマー骨格への導入反応>
アルゴン雰囲気下、化合物8(389 mg, 0.52 mmol)とデンドリマー骨格を有するハロゲン化合物9 (Fan(0)-Br: 40.2 mg, 85.3 mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド0.4 mlに溶解させ、メタノール0.4 mlを加え、室温で1時間撹拌した。そこへナトリウムメトキシド(30.1 mg, 0.56 mmol)を加え室温で一晩撹拌した。反応終了後、酢酸0.5 mlを加え、室温で10分撹拌した後、濃縮し、残査をピリジン1.0 mlに懸濁させ、無水酢酸(2.0 ml, 21.0 mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。反応液を濃縮後、氷水を加え、クロロホルムで抽出し、有機層を1 N塩酸で1回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、飽和食塩水で1回洗浄を行った。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶液をろ過して濃縮した。残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン: 酢酸エチル= 1:1〜1:2〜0:1)、GPCで精製しFan(0)3-α-1,3-Man(OAc)10を得た。(収量 61.2 mg 収率 30 % (2 steps))化合物の同定の結果を以下に示す。
13C NMR (CDCl3) d(ppm); 97.3(C-1), 98.9(C-1’).
HRMS (ESI): calcd for C102H146O54S3SiNa
[M+Na]+2381.7508, found 2381.7485. [a]D(32), +32.31 (c= 1.0 in CHCl3).
Ball(0)4-a-Br、Dumbbell(1)6-a- Brについても同様に反応を行い、糖部分がアセチル保護された糖鎖担持カルボシランデンドリマーをそれぞれ合成した。各化合物の同定の結果を以下に示す。
Ball(0)4-a-1,3-Man(OAc) : 収量 81.1 mg (収率 35 % (2 steps))
13C NMR (CDCl3) d (ppm)97.3(C-1), 98.8(C-1’).
HRMS (FAB): calcd for C128H189O72S4Si [M+H]+ 3033.9780, found 3033.9751. [a]D(32), +33.86 (c= 1.0 in CHCl3).
Dumbbell(1)6-a-1,3-Man (OAc) : 収量 61.3 mg (収率 31 % (2 steps))13C NMR (CDCl3) d(ppm) 97.4(C-1), 98.9(C-1’).
HRMS (FAB): calcd for C200H301O108S6Si3[M+H]+ 4706.5693, found 4706.5679. [a]D(33), +33.00 (c= 1.0 inCHCl3).
<糖鎖担持カルボシランデンドリマーの脱保護>
Fan(0)3-a-1,3-Man(OAc)10(58.5 mg, 24.8 mmol)をメタノール0.3 mlに溶解させ、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(1.0 M, 70 ml, 70 mmol)を加え室温で1時間撹拌した後、0.1 M 水酸化ナトリウム水溶液を加え室温で一晩撹拌した。酢酸を加え中和した後、濃縮しゲルろ過を行うことにより無機塩を取り除き目的物であるFan(0)3-α-1,3-Man11を得た。(収量 44.6 mg) 化合物の同定の結果を以下に示す。
13C NMR (D2O) d(ppm); 99.6(C-1), 102(C-1’).
HRMS (FAB): calcd for C60H104O33S3SiNa
[M+Na]+1499.5289, found 1499.5278. [a]D(22), +78.71 (c= 0.87 in H2O).
Ball(0)4型骨格、Dumbbell(1)6型骨格を有する糖鎖担持カルボシランデンドリマーについても同様の脱保護反応を行い、目的の糖鎖担持カルボシランデンドリマーをそれぞれ合成した。各化合物の同定の結果を以下に示す。
Ball(0)4-α-1,3-Man: 収量 75.5 mg (定量的)
13C NMR (D2O) d (ppm);99.0(C-1), 101.4(C-1’).
HRMS (ESI): calcd for C72H132O44S4SiNa [M+Na]+ 1879.6641, found 1879.6622.[a]D(30), +100.41 (c= 1.0 in H2O).
Dumbbell(1)6-α-1,3-Man: 収量 33.8 mg (収率 90 %)
13C NMR (D2O) d(ppm) 100.7(C-1), 103.1(C-1’).
HRMS (ESI): calcd for C116H216O66S6Si3Na2/2[M+2Na]2+/2, 1493.5487, found 1493.5482. [a]D(29), +48.25 (c= 1.0 in H2O).
まず、以下の反応式に従って、糖鎖部分を調製した。
Figure 2005306766
<マンノースのアセチル化および1-アリル化>
酢酸ナトリウム(2.51 g, 30.6 mmol)を無水酢酸(25.0 ml, 263 mmol)に懸濁し、110 ℃に加熱した。そこへD-マンノース1(5.00 g, 27.8 mmol)を少量ずつ加え、2時間撹拌した。反応終了後、氷水を加えた。クロロホルムで抽出し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、飽和食塩水で1回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶液をろ過して濃縮した。これを三口フラスコに入れ、アルゴン置換した。dry-ジクロロメタン123 ml、アリルアルコール(9.5 ml, 139 mmol)を加え、-5 ℃に冷却した。三フッ化ホウ素-ジエチルエーテル錯体(94 ml, 741mmol)を30分かけて滴下した。滴下終了後、0 ℃で30分、室温で54時間撹拌した。反応終了後、反応液を氷水に注ぎ、水で1回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、飽和食塩水で1回洗浄を行った。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶液をろ過して濃縮した。残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン: 酢酸エチル= 5:1)で精製し化合物12を得た。(収量 7.53 g 収率 70 % (2 steps))
<化合物12のチオアセチル化>
アルゴン雰囲気下、化合物12 (3.65 g, 9.40 mmol)を1,4-ジオキサン(2.0 ml)に溶解させ、チオ酢酸(13.4 ml, 188 mmol)を加え、50 ℃に加熱した。AIBN(7.72 g, 47.0 mmol)を加え、80 ℃で2時間半撹拌した。その後、過剰なAIBNを潰すためシクロヘキセン(5.0 ml, 49.3 mmol)を加え、室温で30分撹拌した。反応液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン: 酢酸エチル= 10:1〜5:1〜3:1)で精製し化合物13を得た。(収量 3.16 g 収率 73 %)
実施例1と同様に糖鎖のカルボシランデンドリマー骨格への導入反応を行った。以下に各化合物の同定結果を示す。
Fan(0)3-Man(OAc): 収量 107.9 mg (収率 66 % (2 steps))
13C NMR (CDCl3) :d (ppm);97.4(C-1).
HRMS (ESI): calcd for C66H98O30S3SiNa, [M+Na]+ 1517.4972, found 1517.4990. [a]D(29), +42.3 (c= 1.0 in CHCl3).
Ball(0)4-Man(OAc): 収量 120.3 mg (収率 66 % (2 steps))
13C NMR (CDCl3) :d(ppm); 97.5(C-1).
HRMS (FAB): calcd for C80H125O40S4Si, [M+H]+ 1881.6399, found 1881.6445. [a]D(29), +45.1 (c= 1.0 in CHCl3).
Dumbbell(1)6-Man(OAc): 収量 141.6 mg (収率 62 % (2 steps))
13C NMR (CDCl3) :d(ppm) 97.4(C-1).
HRMS (FAB): calcd for C128H205O60S6Si3[M+H]+2978.0622, found 2978.0669. [a]D(29), +40.1 (c= 1.0 in CHCl3).
脱保護は、実施例1と同様に行った。以下に各化合物の同定結果を示す。
Fan(0)3-Man : 収量 54.8 mg (収率 61 %)
13C NMR (D2O) d(ppm) ;100.7(C-1).
HRMS (ESI): calcd for C42H74O18S3SiNa, [M+Na]+ 1013.3704, found 1013.3696. [a]D(27), +48.96 (c= 1.0 in H2O).
Ball(0)4-Man : 収量 64.8 mg (収率 82 %)
13C NMR (D2O) d(ppm) ; 99.9(C-1).
HRMS (ESI): calcd for C48H92O24S4SiNa, [M+Na]+1231.4528, found 1231.4581. [a]D(24), +52.7 (c= 1.0 in H2O).
Dumbbell(1)6-Man : 収量 33.6 mg (収率 81 %)
13C NMR (D2O) d(ppm) ; 100(C-1). HRMS (FAB): calcd for C80H156O36S6Si3Na, [M+Na]+1991.7906, found 1991.7937. [a]D(30), +46.3 (c= 1.0 in H2O).
まず、以下の反応式に従って、糖鎖受容体を調製した。
Figure 2005306766
<ラクト−スのβ選択的完全アセチル化:O-(2,3,4,6-tetra-O-acetyl-β-D-
galactopyranosyl)-(1→4)-1,2,3,6-tetra-O-acetyl-β-D-glucopyranoside(14)の合成>
酢酸ナトリウム(47.9 g, 584 mmol)に無水酢酸(500 ml, 5.3 mol)を加え懸濁した後、撹拌しながら懸濁液の温度を110℃にした。次にラクト−ス一水和物(105.3 g, 292 mmol)を温度上昇に注意しながら少しづつ加え2時間撹拌した。反応終了後、反応液を過剰の氷水に入れ未反応の無水酢酸を加水分解した。析出物をろ取し、水で洗浄後エタノールで再結晶を行い、完全アセチル化されたラクト−スアセテート14(149.1 g, 75.3 %)を結晶として得た。
<アグリコンの導入:Pentenyl O-(2,3,4,6-tetra-O-acetyl-β-D-
galactopyranosyl)-(1→4)-2,3,6-tri-O-acetyl-β-D-glucopyranoside(15)の合成>
アルゴン雰囲気下、ラクトースアセテート14(50.0 g, 73.7 mmol)をジクロロメタン300 mlに溶解し4−ペンテン−1−オール(38.0 ml, 0.37 mol)を加え−11℃に冷却した。3フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(93.4 ml, 0.74 mol)を温度上昇に注意しながらおよそ1時間かけ滴下した。0℃で1時間撹拌した後、室温に戻しさらに3時間撹拌を続けた。反応終了後、反応液を氷水にあけ、クロロホルムで抽出し、有機層を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し濃縮後、混合液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開系 トルエンのちトルエン:酢酸エチル=2:1)で精製し、化合物15(21.3 g, 41%)を得た。
<脱O−アセチル化:Pentenyl O-(β-D-galactopyranosyl)-(1→4)-β-D-
glucopyranosideの合成>
アルゴン雰囲気下、化合物15(21.2 g, 30.1 mmol)をdry メタノール200 mlに溶解し、ナトリウムメトキシド(1.14 g, 21.1 mmol)を加え室温で4時間撹拌した。反応終了後、陽イオン交換樹脂(オルガノ社製 アンバーライトIR120B)を加え反応液を中和した。ろ過で樹脂を除き、ろ液を濃縮することで化合物13.7 gを得た。これ以上の精製は行わずに次の反応に用いた。
<イソプロピリデン化:Pentenyl O-(3,4-O-isoprorylodene-β-D-
gactopyranosyl)-(1→4)-β-D-glucopyranoside(16) の合成>
アルゴン雰囲気下、前記化合物(8.68 g, 21.15 mmol)をdry DMF(180 ml)に溶解し、アセトンジメチルアセタール(5.18 ml, 42.29 mmol)とDrierite9.0 gを加えた。室温で30分撹拌した後、CSA(0.49 g, 2.12 mmol)を加え室温で1時間撹拌し、80℃に加熱し4時間撹拌した。反応終了後、氷浴を用いて反応液を冷却し、炭酸水素ナトリウムを加え中和した。懸濁液をセライトろ過し、ろ液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開系 クロロホルム:メタノール=10:1)で精製し、3’位と4’位がイソプロピリデン保護された化合物16(5.69 g, 59 %)を得た。
<ジオール体の合成:Pentenyl O-(2,6,-di-O-benzoyl-β-D-
galactopyranosyl)-(1→4)-2,3,6-tri-O-benzoyl-β-D-glucopyranoside(18) の合成>
アルゴン雰囲気下、イソプロピリデン体16(5.13 g, 11.39 mmol)をdry ピリジン55.0mlに溶解し0℃に冷却した。0℃で塩化ベンゾイル(78.7 ml, 0.68 mol)を加え、室温に戻し3時間撹拌した。反応終了後、水を加え過剰の酸塩化物を中和した。反応溶液をクロロホルムで抽出し、有機層を1N塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮した。化合物17を得た。
上述の反応で得られた残渣24.0 gをジクロロメタン110 mlに溶解し、さらに水25 mlを加えた。混合溶液を0℃に冷却しトリフルオロ酢酸25 mlを滴下し、室温で3時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開系 ヘキサン:酢酸エチル=2:1のち1:1)で精製し、糖鎖受容体18(8.15 g, 収率77 %)を得た。
次いで、以下の反応式に従って、糖鎖供与体を調製した。
Figure 2005306766
<αブロモラクトシドの合成:O-(2,3,4,6-Tetra-O-acetyl-β-D-
galactopyranosyl)-(1→4)-2,3,6-tri-O-acetyl-α-D-glucopyranosyl bromide(19) の合成>
ラクトースアセテート14(60.0 g, 88.4 mmol)を酢酸300 mlに溶解し臭化水素(30%酢酸溶液)(53.0 ml, 0.27 mol)を加え、密栓をした。遮光し室温で3時間半撹拌した後、反応溶液を氷水にあけ、クロロホルムで抽出し、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮した。残渣をクロロホルム100 mlを用いて熱ろ過した。溶液を室温まで冷却した後、ジエチルエーテル200 mlを加えることで結晶化を行い、針状結晶として化合物19(53.1 g, 86 %)を得た。
<ラクタールの形成:O-(2,3,4,6-Tetra-O-acetyl-β-D-galactopyranosyl)-(1→4)-3,4,6-tri-O-acetyl-D-glycal(20)の合成>
亜鉛粉末(45.7 g, 0.699 mmol)、酢酸ナトリウム(86.0 g, 1.05 mol)と硫酸銅・五水和物(4.36 g, 17.5 mmol)を水200 mlに懸濁した。化合物19(48.9 g, 69.9 mmol)を酢酸300 mlに溶解させ、氷冷した懸濁液におよそ1時間かけて滴下した。反応溶液を0℃から自然昇温させ5時間撹拌した。反応終了後、ろ過で亜鉛粉末を取り除き、クロロホルムで抽出し、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開系 トルエン:酢酸エチル=2:1)で精製し、ラクタール20(31.4 g, 80 %)を得た。
<アジドニトロ化>
アルゴン雰囲気下、CAN(17.6 g, 32.1 mmol)とアジ化ナトリウム(1.04 g, 16.1 mmol)を5時間かけて減圧乾燥し、その後-20℃に冷却した。dry アセトニトリル54 mlに溶解させたラクタール20(6.0 g, 10.7 mmol)を乾燥させた粉末中へ加えた。-20℃で一晩撹拌した後、懸濁液を氷水にあけ、酢酸エチルで抽出し、水、飽和食塩水の順で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開系 トルエン:酢酸エチル=2:1)でメインの2つのスポットを分取し、異性体を含む混合物として化合物21(5.1 g, 71 %)を得た。
<α臭素化:O-(2,3,4,6-Tetra-O-acetyl-β-D-galactopyranosyl)-(1→4)-3,6
-di-O-acetyl -2-azido-2-deoxy-α-D-glucopyranosyl bromide(22)の合成>
アルゴン雰囲気下、化合物21(17.7 g, 26.7 mmol)と臭化リチウム(11.6 g, 0.134 mol)をdry アセトニトリル180 mlに懸濁し、室温で4時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチルで希釈し、水、飽和食塩水の順で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶液を濃縮後、ショートカラムでおおまかに精製後、再結晶(酢酸エチル‐ヘキサン)を行うことで白色結晶として化合物22(8.2 g, 45 %)を得た。
<βベンジル化:Benzyl O-(2,3,4,6-tetra-O-acetyl-β-D-
galactopyranosyl)-(1→4)-3,6-di-O-acetyl-2-azido-2-deoxy-β-
D-glucopyranoside(23)の合成>
アルゴン雰囲気下、遮光し、ベンジルアルコール(2.1 ml, 20.6 mmol)、炭酸銀(6.63 g, 24.03 mmol)とDrierite(5 g)をdry ニトロメタン20 mlに懸濁した。懸濁液を-20℃に冷却し、化合物22(4.69 g, 6.87 mmol)のdry ニトロメタン30 ml溶液を滴下した。滴下終了後、-20℃で一晩撹拌した。反応混合物をセライトろ過し、溶液を酢酸エチルで希釈した。水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濃縮後、残渣をショートカラムでおおまかに精製し、ジエチルエーテル15 mlで再結晶を行い化合物23(2.75 g, 収率56 %)を白色の結晶として得た。
<脱O−アセチル化:Benzyl O-(β-D-galactopyranosyl)-(1→4)-2-azido-
2-deoxy-β-D-glucopyranoside(24)の合成>
アルゴン雰囲気下、化合物23(4.27 g, 6.01 mmol)をdry メタノール(40 ml)に懸濁し、ナトリウムメトキシド(195 mg, 3.61 mmol)を加え室温で一晩撹拌した。析出した結晶をろ取することにより化合物24(2.62 g, 95 %)を得た。精製は行わずに次の反応に用いた。
<アジドの還元:Benzyl O-(β-D-galactopyranosyl)-(1→4)-2-amino-
2-deoxy-β-D-glucopyranoside(25)の合成>
化合物24(1.83 g, 4.04 mmol)をdry ピリジン50 mlに溶解し、トリエチルアミン15 mlを加えた。硫化水素ガスを反応溶液に1時間バブリングし、その後反応系内を密閉して一晩放置した。反応溶液を濃縮し、残渣を水:メタノール=1:1の混合溶液で抽出した。抽出液をセライトろ過し、ろ液を濃縮することにより化合物25(1.72 g, 99 %)を得た。精製は行わずにそのまま次の反応に用いた。
<フタロイル化:Benzyl O-(2,3,4,6-tetra-O-acetyl-β-D-
garactopyranosyl)-(1→4)-3,6-di-O-acetyl-2-deoxy-2-phthalimido
-β-D-glucopyranoside(26)の合成>
アルゴン雰囲気下、化合物25(1.72 g, 4.00 mmol)をdry ピリジンに溶解し、無水フタル酸(355.2 mg, 2.40 mmol)を加え70℃で35分撹拌した。その後、トリエチルアミン(560 ml, 4.00mmol)と無水フタル酸(355.2 mg, 2.40 mmol)をさらに加え、70℃で4時間撹拌した。室温まで冷却した後、メタノール10 mlを加え、数分撹拌した後、溶媒を減圧留去した。残渣をdry ピリジン(23.2 ml, 288 mmol)に懸濁し、無水酢酸(13.6 ml, 144 mmol)を加え90℃で2時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を濃縮し、反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開系 ヘキサン:酢酸エチル=1:2)で精製を行い、化合物26(3.19 g, 収率98 %)を得た。
<脱ベンジル化:O-(2,3,4,6-tetra-O-acetyl-β-D-galactopyranosyl)-(1→4)-3,6-di-O-acetyl-2-deoxy-2-phthalimido-α,β-D-glucopyranose(27) の合成>
化合物26(3.19 g, 3.92 mmol)を酢酸エチル:エタノール=1:1溶液50 mlに溶解し、20%水酸化パラジウム/活性炭1.5 gを加え、水素雰囲気下、接触還元装置を用いて激しく撹拌した。反応終了をTLCで確認後、反応液をセライトろ過した。ろ液を濃縮後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開系 トルエン:酢酸エチル=1:1のち1:2)で精製し、化合物27(2.53 g, 収率89 %)を得た。
<β塩素化:O-(2,3,4,6-tetra-O-acetyl-b-D-galactopyranosyl)-(1→4)-3,6-
di-O-acetyl-2-deoxy-2-phthalimido-b-D-glucopyranosyl chloride(28) の合成>
アルゴン雰囲気下、Vilsmeier Reagent(336.4 mg, 2.63 mmol)をdry ジクロロメタン2 mlに懸濁した。化合物27(634.0 mg, 0.876 mmol)と2,4,6-コリジン(170 ml, 1.31 mmol)をdry ジクロロメタン4 mlに溶解し、0℃に冷やした懸濁液に滴下した。滴下終了後、室温で3時間撹拌した。トルエンで反応溶液を希釈した後、トルエンで抽出し、水、1M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、有機層を濃縮した。残渣をジクロロメタン3 mlに溶解し、ジエチルエーテル5 mlを加えることで結晶化を行った。結晶を分取することによりグリコシル供与体28(469.1 mg, 収率72 %)を得た。
以下の反応式に従って、糖鎖供与体と糖鎖受容体とのグリコシデーションを行ってスルフィド化合物を調製した。
Figure 2005306766
<グリコシル化:Pentenyl O-(2,3,4,6-tetra-O-acetyl
-β-D-galactopyranosyl)-(1→4)-O-(3,6-di-O-acetyl-2-deoxy-
2-phthalimido-β-D-glucopyranosyl)-(1→3)-O-(2,6-di-O-
denzoyl-β-D-galactopyranosyl)-(1→4)-2,3,6-tri-benzoyl-β-D-
glucopyranoside(29) の合成>
アルゴン雰囲気下、糖鎖供与体28(1.66 g, 2.23 mmol)と糖鎖受容体18(2.50 g, 2.68 mmol)をdry ニトロメタン50 mlで溶解し、Ms 4Aパウダー5.0 gを加え室温で2時間半撹拌し系内を十分に乾燥させた。遮光し、反応溶液を0℃に冷却した後、トリフルオロメタンスルホン酸銀(2.87 g, 11.17 mmol)を加えた。0℃で2時間半撹拌した後、反応の進行が停止していたため再度トリフルオロメタンスルホン酸銀2.87 gを加え室温で一晩撹拌した。懸濁液をセライトろ過し、ろ液を酢酸エチルで希釈し、有機層を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで有機層を乾燥、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開系 ヘキサン:酢酸エチル=1:2)で精製を行い4糖体29(2.78 g, 76 %)を得た。
<保護基の変換:Pentenyl O-(2,3,4,6-tetra-O-acetyl-β-D-
galactopyranosyl)-(1→4)-O-(3,6-di-O-acetyl-2-acetamido- 2-deoxy-β-
D-glucopyranosyl)-(1→3)-O-(2,4,6-di-O-acetyl-β-D-galactopyranosyl)-
(1→4)-2,3,6-tri-acetyl-β-D-glucopyranoside(30) の合成>
アルゴン雰囲気下、化合物29(303.1 mg, 0.185 mmol)にdry メタノール5 mlとn-ブチルアミン5 mlを加え24時間加熱還流した。反応液を濃縮し、残渣をdry ピリジン5 mlで懸濁し無水酢酸2.5 mlを加え室温で2日間撹拌した。反応液を氷水にあけ無水酢酸を加水分解した後、酢酸エチルで抽出し、有機層を1M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層を濃縮し、残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開系 ヘキサン:酢酸エチル=1:9)で精製を行い化合物30(187.5 mg, 79 %)を得た。
<チオアセチル化:w-Acetylthio-pentanyl O-(2,3,4,6-tetra-
O-acetyl-b-D-galactopyranosyl)-(1→4)-O-(3,6-di-O-acetyl-2-acetamido-
2-deoxy-b-D-glucopyranosyl)-(1→3)-O-(2,4,6-di-O-acetyl-b-D-
galactopyranosyl)-(1→4)-2,3,6-tri-acetyl-b-D-glucopyranoside(31) の合成>
アルゴン雰囲気下、化合物30(896.3 mg, 0.700 mmol)に1,4-ジオキサン(0.5 ml)、チオ酢酸(990 ml, 14.0 mmol)を加えた。さらにAIBN(229.8 mg, 1.40 mmol)を加え、穏やかに加熱し、80℃で2時間加熱撹拌した。その後室温に戻しシクロヘキセン(142 ml, 1.40 mmol)を加え数分間撹拌した。反応溶液をショートカラムでおおまかに精製した後、GPC(カラム1H・2H)で精製を行いチオアセチル体31(931.0 mg, 98 %)を得た。
以下の反応式に従って、糖鎖のカルボシランデンドリマー骨格への導入反応、脱保護を行い、Fan(0)3-paragloboside-OH33を調製した。
Figure 2005306766
<カルボシランデンドリマーへのパラグロボシド誘導体の導入
:Fan(0)3-paragloboside-OAc(32) の合成>
アルゴン雰囲気下、末端臭化物カルボシランデンドリマーFan(0)3-Br(25.0 mg, 0.053 mmol)および4糖チオアセチル体31(301.2 mg, 0.222 mmol)をdry DMF0.3 mlに溶解した後、dry メタノール0.3 mlを加え十分に撹拌した。あらかじめ調製したナトリウムメトキシド(1Mメタノール溶液)244 mlを滴下し、室温で11時間撹拌した。酢酸0.2 mlを加えナトリウムメトキシドを中和した後、懸濁液を濃縮した。反応混合物にdry ピリジン4 mlと無水酢酸2 mlを加え30℃で3時間撹拌しアセチル化を行った。反応液を氷水にあけ無水酢酸を加水分解した後、酢酸エチルで抽出し、有機層を1M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層を濃縮し、残渣をGPC(カラム2H・2.5H)で精製を行いアセチル保護したパラグロボシド誘導体担持ファン型カルボシランデンドリマー32(142.0 mg, 64 %)を得た。分子量測定では親ピークの強度が微弱であったため、2価イオンに基づくピークにより高分解能測定を行った。
<脱O−アセチル化:Fan(0)3-paragloboside-OH(33)の合成>
アルゴン雰囲気下、アセチル体32(109.5 mg, 0.026 mmol)をdry メタノール(1.0 ml)に溶解し、ナトリウムメトキシド(5.5 mg, 0.10 mmol)を加えた。室温で30分撹拌した後、0.1 M水酸化ナトリウム水溶液5.0 mlを加え撹拌を続けた。2時間半撹拌後、さらに0.1 M水酸化ナトリウム水溶液5.0 mlを加え2時間半撹拌した。反応終了後、陽イオン交換樹脂(オルガノ社製アンバーライトIR120B)を加え溶液を中和した。綿栓ろ過で樹脂を除き、ろ液を濃縮した。残渣をゲルろ過(G50, 5%酢酸水溶液)で精製し、凍結乾燥することにより無保護の化合物33(71.2 mg, quant. )を得た。同定結果を以下に示す。
NMR : 1H (D2O, 400 MHz) :d(ppm) 7.31, 7.15 (each br s, 5 H, SiPh), 4.26-4.34 (m), 4.01 (br s), 3.75-3.82 (m), 3.58-3.72 (m), 3.37-3.54 (m), 3.17 (br m), 2.32 (br s, 12 H, -CH2S), 1.90 (s, 9 H, NHAc), 1.41 (br s), 1.25 (br s), 0.49 (br s, 6 H, SiCH2-).
NMR : 13C (D2O, 100 MHz) :d(ppm) ; 181.09, 134.03, 128.05, 102.93, 102.73, 102.39, 82.24, 78.48, 78.27, 75.34, 74.89, 74.56, 72.90, 72.53, 72.22, 70.99, 70.21, 69.94, 68.58, 68.29, 61.05, 60.27, 60.11, 59.89, 55.25, 35.50, 31.68, 29.39, 28.95, 25.00, 23.92, 22.45, 11.72.
ESI-MS Anal. Calc. for C108H185N3O63S3Si [M+Na]+: 2679.0194 Found: 2679.0096.
以下の反応式に従って、Ball(0)4-paragloboside-OH(35) を調製した。
Figure 2005306766
<Ball(0)4-paragloboside-OAc(34) の合成>
アルゴン雰囲気下、末端臭化物カルボシランデンドリマーBall(0)4-Br(20.9 mg, 0.041 mmol)および4糖チオアセチル体31(301.2 mg, 0.222 mmol)をdry DMF0.3 mlに溶解した後、dry メタノール0.3 mlを加え十分に撹拌した。あらかじめ調製したナトリウムメトキシド(1Mメタノール溶液)244 mlを滴下し、室温で15時間半撹拌した。酢酸0.2 mlを加えナトリウムメトキシドを中和した後、懸濁液を濃縮した。反応混合物にdry ピリジン4 mlと無水酢酸2 mlを加え30℃で3時間撹拌しアセチル化を行った。反応液を氷水にあけ無水酢酸を加水分解した後、酢酸エチルで抽出し、有機層を1M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層を濃縮し、残渣をGPC(カラム2.5H・3H)で精製を行いアセチル保護したパラグロボシド誘導体担持ボール型カルボシランデンドリマー34(121.3 mg, 55 %)を得た。分子量測定では親ピークが観測されなかったため、2価イオンに基づくピークにより高分解能測定を行った。
<Ball(0)4-paragloboside-OH(35) の合成>
アルゴン雰囲気下、アセチル保護したパラグロボシド誘導体担持ボール型カルボシランデンドリマー34(91.3 mg, 0.017 mmol)をdry メタノール1.0 mlに溶解し、ナトリウムメトキシド(4.7 mg, 0.09 mmol)を加えた。室温で40分撹拌した後、0.1 M水酸化ナトリウム水溶液5.0 mlを加え27時間撹拌した。反応終了後、陽イオン交換樹脂(オルガノ社製アンバーライトIR120B)を加え溶液を中和した。綿栓ろ過で樹脂を除き、ろ液を濃縮した。残渣をゲルろ過(G50, 5%酢酸水溶液)およびGPC(GS-220, 5%酢酸水溶液)で精製し、凍結乾燥することにより無保護の化合物35(39.1 mg, 68 % )を得た。分子量測定では親ピークが観測されなかったため、2価イオンに基づくピークにより高分解能測定を行った。同定結果を以下に示す。
NMR : 1H (D2O, 400 MHz) :d(ppm) 4.28-4.34 (m), 4.00 (br s), 3.76-3.81 (m), 3.36-3.70 (m), 3.16 (br s), 2.42 (br s, 16 H, -CH2S), 1.89 (s, 12 H, NHAc), 1.49 (br s), 1.32 (br s), 0.57 (br s, 8 H, SiCH2-).
NMR : 13C (D2O, 100 MHz) :d(ppm) 181.24, 102.67, 102.58, 102.40, 102.01, 81.84, 78.17, 77.90, 75.03, 74.57, 74.44, 74.24, 72.54, 72.21, 71.89, 70.67, 69.95, 69.64, 68.24, 68.01, 35.30, 31.36, 29.67, 29.47, 29.04, 28.58, 24.67, 23.80, 22.0411.38.
ESI-MS Anal. Calc. for C136H240N4O84S4Si [M+2Na]2+/2: 1737.6540 Found: 1737.6544.
以下の反応式に従ってDumbbell(1)6-paragloboside-OH(37)を調製した。
Figure 2005306766
<Dumbbell(1)6-paragloboside-OAc(36)の合成>
アルゴン雰囲気下、末端臭化物カルボシランデンドリマーDumbbell(1)6-Br(27.9 mg, 0.030 mmol)および4糖チオアセチル体31(345.3 mg, 0.255 mmol)をdry DMF0.4 mlに溶解した後、dry メタノール0.4 mlを加え十分に撹拌した。あらかじめ調製したナトリウムメトキシド(1Mメタノール溶液)280 mlを滴下し、室温で11時間撹拌した。酢酸0.2 mlを加えナトリウムメトキシドを中和した後、懸濁液を濃縮した。反応混合物にdry ピリジン5 mlと無水酢酸2.5 mlを加え30℃で4時間撹拌しアセチル化を行った。反応液を氷水にあけ無水酢酸を加水分解した後、酢酸エチルで抽出し、有機層を1M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層を濃縮し、残渣をGPC(カラム2.5H・3H)で精製を行いアセチル保護したパラグロボシド誘導体担持ダンベル型カルボシランデンドリマー36(110.0 mg, 44 %)を得た。分子量測定では親ピークが観測されなかったため、3価イオンに基づくピークにより測定を行った。
<Dumbbell(1)6-paragloboside-OH(37) の合成>
アルゴン雰囲気下、アセチル保護したパラグロボシド誘導体担持ダンベル型カルボシランデンドリマー(69.6 mg, 0.008 mmol)をdry メタノール(1.0 ml)に溶解し、ナトリウムメトキシド(3.5 mg, 0.07 mmol)を加えた。室温で30分撹拌した後、0.1 M水酸化ナトリウム水溶液5.0 mlを加え5時間撹拌した。0.1 M水酸化ナトリウム水溶液5.0 mlを加えさらに21時間撹拌した。反応終了後、陽イオン交換樹脂(オルガノ社製アンバーライトIR120B)を加え溶液を中和した。綿栓ろ過で樹脂を除き、ろ液を濃縮した。残渣をGPC(GS-220・GS-320, 5%酢酸水溶液)で精製し、凍結乾燥することにより無保護の化合物37(42.4 mg, 96 % )を得た。分子量測定では親ピークが観測されなかったため、3価イオンに基づくピークにより高分解能測定を行った。同定結果を以下に示す。
NMR : 1H (D2O, 400 MHz) :d(ppm) 4.33-4.35 (br m), 4.02 (br s), 3.79-3.83 (br m), 3.59-3.70 (br m), 3.39-3.52 (br m), 3.20 (br m), 2.44 (br s, 24 H, -CH2S), 1.92 (s, 18 H, NHAc), 1.77 (br s), 1.51 (br s), 1.35 (br s), 0.49-0.57 (br m, 10 H, SiCH2-), -0.14 (br s, 6 H, SiCH3).
NMR : 13C (D2O, 100 MHz) :d(ppm) 177.089, 102.94, 102.74, 102.40, 99.98, 82.20, 78.28, 75.38, 74.91, 74.77, 74.60, 72.89, 72.78, 72.56, 72.25, 71.02, 70.41, 70.26, 69.98, 68.59, 68.35, 61.07, 60.85, 59.95, 55.28, 29.54, 29.05, 25.13, 24.26, 22.43, 20.68, -0.25.
ESI-MS Anal. Calc. for C212H378N6O126S6Si3 [M+3Na]3+/3: 1790.6916 Found: 1790.6891.
<1.1 Dengue virus 至適濃度の検討>
K562細胞をコンフルエントまで培養した後、4 X 105cells/tubeになるようにマイクロチューブに分取した。これを4℃、3,600 rpmで3分間遠心後、得られた細胞のペレットを0.1% BSA含有PBS 1 mlで1回洗浄した。4℃、3,600 rpmで3分間遠心した後、Dengue virus(ThNH-7/93)原液を、それぞれ2000 units/ml, 1000 units/ml, 500 units/ml, 250 units/ml, 125 units/mlとなるように0.1%BSA含有PBSで希釈して、それぞれK562細胞に100 mlずつ加え、4℃シーで1時間反応させた。なお、virus (-)として、0.1% BSA含有PBSのみを同量加えた。反応終了後、冷PBS(-) 1 mlで細胞を3回洗浄し、一次抗体としてAlexa標識マウス抗Dengue virus単クローン抗体(クローン12D11/7E8)を3.13 mg/mlの濃度に希釈した抗体溶液100 mlずつ加え、よく懸濁した後4℃で30分間反応させた。コントロール染色として、Alexa標識マウスIgG1を同濃度となるように調製して行った。反応終了後、冷PBS(-) 1 mlで細胞を3回洗浄し、得られたペレットに対して0.5 mlの冷PBS(-)を加えよく懸濁し、フローサイトメーター(Epics, USA)で測定した。Dengue virus至適濃度の検討に用いたDengue virusの細胞表面への結合アッセイの結果を図1に示す。図1よりウイルスは125‐2000 units/mlの間で、ウイルス濃度依存的に十分にK562細胞への結合性を示した。したがってアッセイに用いるウイルス濃度を検出感度、ウイルス依存的な結合性の両方を考慮して、以後反応に用いるウイルス濃度を1000 units/mlに決定した。以後の実験ではvirusの濃度を1000 units/mlに設定した。
<1.2 Alexa標識一次抗体(12D11/7E8)至適濃度の検討>
1-1の結果よりDengue virusの濃度を1000 units/mlに設定して細胞表面への結合アッセイを行った。ここでは一次抗体の濃度を、1.56‐13.5 mg/mlとなるように冷PBS(-)で調製した。コントロール染色として、Alexa標識マウスIgG1を同濃度となるように調製して行った。実験方法は1-1に準じた。一次抗体の使用濃度を、以後の実験において6.25 mg/mlとした。Alexa標識一次抗体(12D11/7E8)至適濃度の検討に用いたDengue virusの細胞表面への結合アッセイの結果を図2に示す。図2の結果から、またアッセイに用いる検出抗体濃度の検討では、図2より一次抗体の濃度が1.56‐6.25 mg/mlの間でその濃度に依存して結合量が変化していた。しかし、それ以上の抗体濃度例えば13.5 mg/mlでも結合性に大きな変化が認められなかったことから、6.25 mg/mlの検出抗体濃度で、細胞表面に結合しているすべてのウイルス粒子の検出に充分であると判断した。したがって、アッセイに用いる至適抗体濃度を6.25 mg/mlと決定した。
<1-3 Dumbbell(1)6-paragloboside-OHによるDengue virusのK562細胞表面への結合阻害活性の検討>
1-1および1-2で決定した至適ウイルスおよび至適抗体濃度を用いて、実施例3で調製したDumbbell(1)6-paragloboside-OHの添加がDengue virusのK562細胞表面への結合に及ぼす影響を検討した。ウイルス濃度および抗体濃度は、それぞれ1000 units/ml、6.25 mg/mlとして行った。まずDumbbell型デンドリマーおよびnLc4(Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glc)オリゴ糖を125-1000 μMの濃度溶液となるように0.1%BSA含有PBSでマイクロチューブにそれぞれ50 μlずつ調製した。このチューブにDengue virus 溶液50 μl を加えて、よく混合した後、4℃ で30分間プレインキュベーションを行った。プレインキュベーション溶液をK562細胞(2 X 105cells/tube)の入ったチューブに加えて、よく混合した後、4℃ で1時間ウイルス結合を行わせた。Virus(-)サンプルには、0.1%BSA含有PBSのみを同量加えた。以降の実験操作は1-1に準じた。Dumbbell(1)6-paragloboside-OHを添加した際のDengue virusのK562細胞表面への結合アッセイの結果を図3に示す。
以上のようにDumbbell(1)6-paragloboside-OH存在下での、Dengue virusのK562細胞表面への結合活性を測定することにより、Dumbbell(1)6-paragloboside-OHの効果を検討した。図3に示したようにDumbbell(1)6-paragloboside-OH存在下において、濃度依存的にDengue virusの細胞表面への結合阻害効果が観察された。実験に用いた最高濃度1000 mMで66%の阻害が、最小濃度125 mM でも50%の阻害作用が観察された。Dengue virusはnLc4糖鎖を有するパラグロボシドと呼ばれる糖脂質にTLC上で結合すること、ならびにその糖脂質によってK562細胞表面へのウイルスの結合が阻害されることがわかっている。今回用いたnLc4はパラグロボシドの糖鎖部分のみのオリゴ糖分子である。阻害に用いたDumbbell(1)6-paragloboside-OHと同濃度(500 mM)では、この糖鎖部分だけのオリゴ糖ではほとんど阻害が認められておらず、この糖鎖を多価に付加したDumbbell型分子構造にすることにより、阻害効果が発現、増強されたことが示された。
図1は、Dengue virus至適濃度の検討に用いたDengue virusの細胞表面への結合アッセイの結果を示す図である。 図2は、Alexa標識一次抗体(12D11/7E8)至適濃度の検討に用いたDengue virusの細胞表面への結合アッセイの結果を示す図である。 図3は、Dumbbell(1)6-paragloboside-OHを添加した際のDengue virusのK562細胞表面への結合アッセイの結果を示す図である。

Claims (12)

  1. 下記一般式(1);
    (RSi{−R−Si(R[R−Si(R(R−S−R−A )3−k3−l (1)
    (式中、R、R、及びRは、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、ビニル基、及びアリル基のいずれかであり、同一でも異なっていてもよく、R、R、R、及びRは、炭素数1〜6のアルキレン基、フェニレン基、及びアルケニレン基のいずれかであり、同一でも異なっていてもよく、Aは、下記化学式
    Figure 2005306766

    で表わされるパラグロボシド誘導基、αマンノピラノシル基、又はマンノース糖鎖2〜8つを含有するマンノースのみから形成されるオリゴ糖の末端の1位の水酸基から水素原子を取り去った基であり、mは0〜3の整数であり、nは1〜4の整数であり、m+n=4であり、さらにk及びlは0〜2のいずれかであり、k及びlは互いに同一であっても異なっていてもよい。)で表わされる糖鎖担持カルボシランデンドリマー。
  2. 下記一般式(2);
    (RSi[−R−Si(R(R−S−R−A)3−l (2)
    (式中、R、R、R、R、R、A、m、n、及びlは前記と同義。)で表わされる糖鎖担持カルボシランデンドリマー。
  3. 下記一般式(3);
    (RSi(R−S−R−A) (3)
    (式中、R、R、R、A、m、及びnは前記と同義。)で表わされる糖鎖担持カルボシランデンドリマー。
  4. 式中Aが前記パラグロボシド誘導基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の糖鎖担持カルボシランデンドリマー。
  5. 式中Aが前記αマンノピラノシル基、又はマンノース糖鎖2〜8つを含有するマンノースのみから形成されるオリゴ糖の末端の1位の水酸基から水素原子を取り去った基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の糖鎖担持カルボシランデンドリマー。
  6. 式中Aが前記αマンノピラノシル基、又は下記化学式(2)
    Figure 2005306766

    で表わされる基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の糖鎖担持カルボシランデンドリマー。
  7. 下記一般式(4):
    (RSi{−R−Si(R[R−Si(R(R−X )3−k3−l (4)
    (ただし、R、R、R、R、R、R、m、n、k、及びlは前記の通りのものを示し、Xはハロゲン原子を示す)で表わされるハロゲン化合物を、下記一般式(5);A−R−S−Y (5)
    (ただし、Rは前記の通りであり、Aは前記の通りの糖鎖又は該糖鎖の有する水酸基の内1部又は全部の水酸基の水素原子が、アセチル基、ベンジル基、及びベンゾイル基のいずれかの基に置換されている糖鎖であり、Yは、反応離脱性の保護基を示す。)で表わされるスルフィド化合物と反応させることを特徴とする請求項1に記載の糖鎖担持カルボシランデンドリマーの製造方法。
  8. 下記一般式(6):
    (RSi{−R−Si(R(R−X )3−l (6)
    (ただし、R、R、R、R、m、n、及びlは前記の通りのものを示し、Xはハロゲン原子を示す)で表わされるハロゲン化合物を、前記一般式(5)で表わされるスルフィド化合物と反応させることを特徴とする請求項2に記載の糖鎖担持カルボシランデンドリマーの製造方法。
  9. 下記一般式(7):
    (RSi(R−X ) (7)
    (ただし、R、R、m、及びnは前記の通りのものを示し、Xはハロゲン原子を示す)で表わされるハロゲン化合物を、前記一般式(5)で表わされるスルフィド化合物と反応させることを特徴とする請求項3に記載の糖鎖担持カルボシランデンドリマーの製造方法。
  10. 請求項4に記載の糖鎖担持カルボシランデンドリマーを有効成分として含有することを特徴とするデング熱ウイルス感染阻害剤。
  11. 請求項4に記載の糖鎖担持カルボシランデンドリマーを有効成分として含有することを特徴とする抗ウイルス剤。
  12. 請求項5に記載の糖鎖担持カルボシランデンドリマーを有効成分として含有することを特徴とする抗HIV剤のスクリーニングに用いられる標的物質。
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