JP2004107230A - ガラビオース結合カルボシランデンドリマー化合物 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベロ毒素中和活性を有するガラビオース結合カルボシランデンドリマー化合物及びそれを有効成分とする医薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
腸管出血性大腸菌O−157が産生するベロ毒素は、赤痢菌由来の志賀毒素と類似した細菌毒素のAB5ファミリーに属するタンパク質である。これらの毒素は、腎臓細胞上のグロボトリオシルセラミド(Gb3、Galα1−4Galβ1−4Glcβ1−Cer)中のグロボ3糖部分を認識し、接着することにより細胞内に取込まれ毒性を示すことが知られている。
そこで、この毒素の接着過程を効果的に阻害し、毒素を中和する物質に関する研究、開発が精力的に行われてきている。
本発明者らは先に、当該グロボ3糖を担持したカルボシランデンドリマーをコア骨格とするクラスター化合物を合成し、それに強いベロ毒素阻害活性があることを報告している(非特許文献1及び2、並びに特許文献1参照)。
【0003】
【非特許文献1】
松岡浩司,照沼大陽ら,テトラヘドロンレターズ(Tetrahedron Letters),1999年,第40巻,p.7839−7842
【非特許文献2】
西川喜代孝,松岡浩司,照沼大陽ら,プロシーディング オブ ナショナル アカデミー オブ サイエンス オブ ザ ユナイテッド ステイト オブ アメリカ(Proceeding of national Academy of Science of the United State of America),(米国),2002年,第99巻,p.7669
【特許文献1】
国際公開第02/02588号パンフレット
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらのグロボ3糖担持カルボシランデンドリマーは、合成が困難であり、医薬品として供するのに十分高純度なものが得られ難い、さらにベロ毒素中和活性も十分でない等の欠点を有することが判明した。
従って、本発明の目的は、医薬品として供し得る高純度な化合物が得られ、かつベロ毒素中和活性の強いカルボシランデンドリマーを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者は、種々検討した結果、グロボ3糖に代えてガラビオースを特定の骨格のカルボシランデンドリマーに結合させたところ、当該化合物は高純度のものが容易に得られ、かつ強いベロ毒素中和活性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、次式(1)
【0007】
【化2】
【0008】
(式中、R1、R3及びR5は同一又は異なって炭化水素基を示し、R2、R4、R6及びR7は同一又は異なって炭化水素鎖を示し、Aはガラビオース残基を示し、lは0〜3の数を示し、m及びnは同一又は異なって0〜2の数を示し、kは0又は1の数を示し、kが0のとき3−nは1である)
で表されるガラビオース結合カルボシランデンドリマー化合物、及びこれを有効成分とする医薬を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
式(1)中、R1、R3及びR5は、同一又は異なって炭化水素基を示すが、炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数5〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基等が好ましく、このうち炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基がより好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基又はフェニル基が更に好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0010】
R2、R4、R6及びR7は、同一又は異なって炭化水素鎖を示すが、炭素数2〜8の直鎖アルキレン基が好ましい。このうち、R2、R4及びR6については炭素数2〜4の直鎖アルキレン基が好ましく、R7については炭素数4〜8、特に炭素数5〜8の直鎖アルキレン基が好ましい。
【0011】
Aは特にガラビオース(Galα1→4Galβ)残基である。
【0012】
また、lは0〜3の数を示すが、1又は2がより好ましい。mは0〜2の数を示すが、1又は2が好ましく、特に2が好ましい。nは0〜2の数を示すが、0又は1が好ましい。またkは0又は1を示し、kが0のとき、3−nは1である。
【0013】
式(1)のカルボシランデンドリマー化合物は、l、m、n及びkの数により種々の構造をとり得るが、代表的な構造を示せば次のとおりである。
【0014】
【化3】
【0015】
(式中、R1〜R7及びAは前記と同じ)
【0016】
上記の構造のうち、式(1c)の構造が特に好ましい。
【0017】
本発明化合物(1)は、例えば次の反応式に従って製造することができる。
【0018】
【化4】
【0019】
(式中、X1はハロゲン原子を示し、X2は反応脱離性のメルカプト保護基を示し、A1はガラビオース残基又は水酸基が保護されたガラビオース残基を示し、R1〜R7、l、m、n及びkは前記と同じ)
【0020】
すなわち、式(2)で表されるハロゲン化カルボシランデンドリマーと式(3)で表されるスルフィド化合物とを反応させ、必要に応じてガラビオース残基の保護を脱離させることにより本発明化合物(1)が製造できる。
【0021】
X1のハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。X2のメルカプト保護基としてはアセチル基等のアルカノイル基、ベンジル基等が好ましい。また、A1の水酸基の保護基としては、アセチル基等のアシル基、ベンジル基、トリメチルシリル基等の有機ケイ素等が挙げられるが、アセチル基が好ましい。
【0022】
式(2)のハロゲン化カルボシランデンドリマーは、例えばトリクロロメチルシラン等のクロロシラン類を原料として、グリニャール反応によりアリル基を導入し、ヒドロケイ素化反応、グリニャール反応を繰り返すことにより式(2)に対応する骨格を形成する。得られたデンドリマーの末端アリル基は、ヒドロホウ素化反応により相当するアルコールへと変換し、次いで常法によりメシル化後、臭化ナトリウム等で処理することにより、末端がハロゲン原子で置換されたハライド化合物へと効率良く変換することができる。
【0023】
一方、式(3)の化合物は、例えばω−アルケニルグルコシドとガラクトース等の単糖との一段階グリコシデーション後、保護、脱保護し、ω位の二重結合へチオ酢酸等を反応させて式(3)の化合物を得ることができる。
【0024】
式(2)の化合物と式(3)の化合物の反応は、例えばナトリウムメトキシド等の塩基の存在下に行うことができる。また、A1の保護基の脱離は、例えばナトリウムメトキシド等の塩基を用いた加水分解により行うことができる。
【0025】
得られた本発明化合物(1)は、洗浄、各種クロマトグラフィー、ゲル濾過等により精製することができる。
【0026】
得られた本発明化合物(1)は、大腸菌O−157が産生するベロ毒素に対する中和活性を有し、ベロ毒素中和薬、大腸菌O−157感染症予防治療薬として有用である。
本発明化合物(1)を有効成分とする医薬は、投与法に応じて薬学的に許容される種々の担体を用いて医薬組成物とすることができる。本発明化合物(1)を有効成分とする医薬組成物の剤形としては例えば錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤等の固形製剤や、液剤、シロップ剤、エリキシル剤、油性ないし水性の懸濁液の液体製剤等の経口用製剤;注射剤等が挙げられる。注射剤とするには、安定剤、防腐剤、溶解補助剤等を用いることができる。これらの補助剤を含むこともある溶液を容器に収納後、凍結乾燥等によって固形製剤として用時調製の製剤としてもよい。また一回投与量を一の容器に収納してもよく、また多投与量を一の容器に収納してもよい。固形製剤とするには、例えば充填剤や増量剤、結合剤、崩壊剤、溶解促進剤、湿潤剤、潤滑剤等を必要に応じて用いることができる。液体製剤とするには、懸濁化剤、乳化剤等を用いることができる。
本発明の医薬の投与量は、本発明化合物(1)として成人1日当たり1mgから3g、好ましくは10mgから1500mgである。これらは1〜4回に分けて投与することもできる。
【0027】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0028】
参考例1
(1)n−ペンタニル−O−(4−O−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−D−ガラクトピラノシル)−2,3,6−トリ−O−アセチル−β−ガラクトピラノシド(b)の合成
【0029】
【化5】
−78℃の液体アンモニア(150mL)へ金属ナトリウム(4.56g,198.3mmol)を加え、そこへ化合物(a)(5.16g,4.96mmol)の1,2−ジメトキシエタン(30mL)溶液を滴下し、45分撹拌し、塩化アンモニウム(10.6g,198.3mmol)を加え一晩撹拌した。溶媒を減圧留去後、残渣を乾燥−ピリジン(33.5mL)に懸濁し、無水酢酸(19.7mL)を加え、室温で12時間撹拌した。反応終了後、反応液を氷水にあけ、クロロホルムで抽出し、1N塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶液を濾過して濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、化合物(b)を得た。
収量 1.3g(38%)
Rf値 0.36(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)
【0030】
(2)アセチルチオ−ブタニル−O−(4−O−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−2,3,6−トリ−O−ベンジル−β−ガラクトピラノシド(c)の合成
【0031】
【化6】
【0032】
アルゴン雰囲気下化合物(b)(899.2mg,1.28mmol)を1,4−ジオキサン(0.2mL)に溶かしチオ酢酸(3.6mL,51.04mmol)を加え、40℃に加熱し、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(847.7mg,51.04mmol)を加え、80℃で3時間撹拌した。その後過剰なAIBNを潰すためシクロヘキセン(5mL,5.16mmol)を加え室温で10分撹拌した。反応液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し化合物(c)を得た。
収量 910mg(91%)
Rf値 0.22(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)
【0033】
実施例1
(1)デンドリマーへの糖鎖導入(1)
【0034】
【化7】
【0035】
アルゴン雰囲気下、デンドリマー(d)(22.1mg,0.033mmol)と糖鎖化合物(c)(152.6mg,0.195mmol)を乾燥−DMF(0.25mL)に溶かし、乾燥−メタノール(0.25mL)を加え、室温で1時間撹拌した。そこへ、ナトリウムメトキシド(11.6mg,0.215mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。反応終了後、酢酸(0.25mL)を加え10分間撹拌した後、濃縮し、残渣にピリジン(3mL)に懸濁し、無水酢酸(3mL)を加え、室温で5時間撹拌した。反応終了後、反応液を氷水にあけ、クロロホルムで抽出し、有機層を1N塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶液を濾過して濃縮した。GPC分取精製を行ない化合物(e)を得た。
収量 75.6mg(86%)
【0036】
(2)デンドリマーへの糖鎖導入(2)
【0037】
【化8】
【0038】
アルゴン雰囲気下、デンドリマー(f)(23.3mg,0.025mmol)と糖鎖化合物(c)(165.0mg,0.211mmol)を乾燥−DMF(0.25mL)に溶かし、乾燥−メタノール(0.25mL)を加え、室温で1時間撹拌した。そこへ、ナトリウムメトキシド(13.1mg,0.211mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。反応終了後、酢酸(0.25mL)を加え10分間撹拌した後、濃縮し、残渣にピリジン(3mL)に懸濁し、無水酢酸(3mL)を加え、50度で3時間撹拌した。反応終了後、反応液を氷水にあけ、クロロホルムで抽出し、有機層を1N塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶液を濾過して濃縮した。GPC分取精製を行ない化合物(g)を得た。
収量 50.1mg(55%)
【0039】
(3)デンドリマーへの糖鎖導入(3)
【0040】
【化9】
【0041】
アルゴン雰囲気下、デンドリマー(h)(40.7mg,0.036mmol)と糖鎖化合物(c)(403.2mg,0.516mmol)を乾燥−DMF(0.30mL)に溶かし、乾燥−メタノール(0.30mL)を加え、室温で1時間撹拌した。そこへ、ナトリウムメトキシド(30.7mg,0.568mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。反応終了後、酢酸(0.30mL)を加え10分間撹拌した後、濃縮し、残渣にピリジン(5mL)に懸濁し、無水酢酸(5mL)を加え、室温で3時間撹拌した。反応終了後、反応液を氷水にあけ、クロロホルムで抽出し、有機層を1N塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶液を濾過して濃縮した。GPC分取精製を行ない化合物(i)を得た。
収量 78.1mg(42%)
【0042】
実施例2
(1)Fan1(3)−Galabiose(化合物(j))の合成
【0043】
【化10】
【0044】
化合物(e)(64.6mg,0.024mmol)にナトリウムメトキシドの0.1Mメタノール溶液(1.0mL)を加え室温で7時間撹拌した後、0.025MNaOH水溶液(5mL)加え室温で一晩撹拌した後、イオン交換樹脂IR120B(H+)を加え中和した。綿線ろ過後濃縮し、ゲルろ過を行なうことにより無機塩を取り除き目的物(j)を得た。
収量 32.8mg(78%)
【0045】
1H NMR(CD3OD)δ:4.91(s,3H), 4.30(m,6H), 3.47−4.10(m,39H), 2.51(t,12H), 1.50−1.67(m,24H), 1.37(m,6H), 0.59(m,18H), −0.02(s,18H), −0.06(s,3H)
13C NMR(CD3OD)δ:105.15(C−1’), 102.51(C−1), 78.96, 76.08, 74.70, 72.82,72.59, 71.37, 71.58, 71.05, 70.79, 62.63, 60.89, 36.79, 35.08, 32.85, 30.76, 30.48, 26.37, 25.57, 21.04, 19.78, 14.46, −2.97
【0046】
(2)Dumbbell2(4)−Galabiose(化合物(k))の合成
【0047】
【化11】
【0048】
化合物(g)(50.1mg,0.014mmol)にナトリウムメトキシドの0.1Mメタノール溶液(1.0mL)を加え室温で4時間撹拌した後、0.025MNaOH水溶液(5mL)加え室温で一晩撹拌した後、イオン交換樹脂IR120B(H+)を加え中和した。綿線ろ過後濃縮し、ゲルろ過を行なうことにより無機塩を取り除き目的物(k)を得た。
収量 31.6mg(定量的)
【0049】
1H NMR(D2O)δ:5.01(br,4H), 4.36(br,4H), 4.03(br,4H), 3.54−3.90(br m,52H), 2.55(br,16H), 1.08−1.62(br m,40H), 0.61(br,24H), −0.01(br,24H)
【0050】
(3)Dumbbell2(6)−Galabiose(化合物(l))の合成
【0051】
【化12】
【0052】
化合物(i)(32.5mg,0.064mmol)にナトリウムメトキシドの0.1Mメタノール溶液(1.0mL)を加え室温で4時間撹拌した後、0.025MNaOH水溶液(5mL)加え室温で一晩撹拌した後、イオン交換樹脂IR120B(H+)を加え中和した。綿線ろ過後濃縮し、ゲルろ過を行なうことにより無機塩を取り除き目的物(l)を得た。
収量 25.1mg(定量的)
【0053】
1H NMR(D2O)δ:4.97(br,6H), 4.32(br,12H), 3.50−4.00(br m,90H), 2.52(br, 24H), 1.40−1.61(br m,56H), 0.57(br,28H), −0.03(br,18H)
13C NMR(D2O)δ:103.29(C−1’), 100.34(C−1), 76.84, 74.69, 72.64, 70.92, 70.24, 69.30, 69.05, 68.81, 60.67, 59.61, 35.81, 31.87, 29.49, 29.08, 25.11, 24.29, 20.29, 20.13, 18.59, 11.89, −2.60
【0054】
試験例(ベロ毒素中和活性)
(1)準備
(a)材料
試験に際しては、公知の方法(例えばMicrob.Pathog. 2,339−349(1987))によりベロ毒素1及び2(リコンビナントStx1及びStx2)を調製した。
リコンビナントグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)融合Stx1(Stx1−A2B5−GST)は、次の方法により得た:Stx1をコードする配列を有するpUC118ベクター(Microb. Lett. 44, 23−26(1987))を用いてPCRにより配列番号1及び2のオリゴヌクレオチドをプライマーとしてBamHI−EcoRIフラグメントを得た。得られたフラグメントを、pGEX−2Tベクター(Pharmacia社)のBamHI−EcoRIサイトに結合させた。
このStx1−A2B5−GSTをバクテリアに発現し、グルタチオン−セファローズビーズを用いた公知の方法(J. Biol. Chem. 273, 23126−23133(1998))により精製した。
更にStx1のBサブユニットに対してモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマー13C4をAmerican Type Culture Collectionから得た。
また、125Iで標識したStx1(125I−Stx1)及びStx2は公知のヨウ素モノクロリド法(J. Biol. Chem. 265, 5226−5231(1990))により調製した。
【0055】
(b)細胞
ベロ細胞(アフリカミドリザルの腎臓由来細胞)は、10%ウシ胎児血清を補充したDulbecco’s modified Eagle’s medium(DMEM)を培地として、24ウェル(結合性試験用)プラスチックマイクロプレートで培養した。
マウス腹膜マクロファージは公知の手法(J. Biol. Chem. 265, 5226−5231(1990))により調製した。
【0056】
(c)薄層クロマトグラフィー(TLC)免疫染色アッセイ
StxのGb3への結合アッセイは、公知の方法により行った(FEBS Lett. 442, 231−234(1999))。すなわち、ブタ赤血球Gb3(500ng、和光純薬社)をHPTLCプレート(Whatman社)に施し、クロロホルム/メタノール/水60/35/8(v/v)混合溶媒で展開した。ブロッキングを行った後、Stx1(100ng/mL)と任意の量のガラビオース結合カルボシランデンドリマーともに培養した。洗浄後モノクローナル抗体13C4を用いてStx1を検出した。
【0057】
(2)結合阻害活性試験方法
ベロ細胞を、125I−Stx1又は125I−Stx2(7×106cpm/μg又は2×106cpm/μg)と任意の量のガラビオース結合カルボシランデンドリマー化合物の存在下、4℃で30分間処理し、洗浄した後、細胞を溶解液(0.1M
NaOH、0.5% SDS)に溶解した。
γカウンター(Packard Inst. Comp.社)により放射線量を測定し、ベロ細胞に結合した125I−Stx1又は125I−Stx2の量からガラビオース結合カルボシランデンドリマー化合物の結合阻害活性を求めた。
【0058】
(3)結果
ガラビオース結合カルボシランデンドリマー化合物の結合阻害活性試験から得られた50%抑制濃度を表1に示した。
表1より、本発明のガラビオース結合カルボシランデンドリマー化合物は、いずれもベロ毒素1(Stx1)及び2(Stx2)に対して高い結合阻害活性を示すことがわかる。
ガラビオース結合カルボシランデンドリマー化合物が存在しない場合には、125I標識Stxは100%ベロ細胞に結合した。また、ガラビオース結合カルボシランデンドリマー化合物の替わりに非標識Stx1及びStx2(50μg/mL)を用いた場合にも、125I標識Stxのベロ細胞への結合が完全に阻害されることから、125I標識Stxがベロ細胞に特異的に結合することが確認された。
【0059】
【表1】
【0060】
【発明の効果】
本発明のガラビオース結合カルボシランデンドリマー化合物は、優れたベロ毒性中和活性を有し、かつ高純度のものが容易に得られるので、大腸菌O−157感染症予防治療用の医薬として有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベロ毒素中和活性を有するガラビオース結合カルボシランデンドリマー化合物及びそれを有効成分とする医薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
腸管出血性大腸菌O−157が産生するベロ毒素は、赤痢菌由来の志賀毒素と類似した細菌毒素のAB5ファミリーに属するタンパク質である。これらの毒素は、腎臓細胞上のグロボトリオシルセラミド(Gb3、Galα1−4Galβ1−4Glcβ1−Cer)中のグロボ3糖部分を認識し、接着することにより細胞内に取込まれ毒性を示すことが知られている。
そこで、この毒素の接着過程を効果的に阻害し、毒素を中和する物質に関する研究、開発が精力的に行われてきている。
本発明者らは先に、当該グロボ3糖を担持したカルボシランデンドリマーをコア骨格とするクラスター化合物を合成し、それに強いベロ毒素阻害活性があることを報告している(非特許文献1及び2、並びに特許文献1参照)。
【0003】
【非特許文献1】
松岡浩司,照沼大陽ら,テトラヘドロンレターズ(Tetrahedron Letters),1999年,第40巻,p.7839−7842
【非特許文献2】
西川喜代孝,松岡浩司,照沼大陽ら,プロシーディング オブ ナショナル アカデミー オブ サイエンス オブ ザ ユナイテッド ステイト オブ アメリカ(Proceeding of national Academy of Science of the United State of America),(米国),2002年,第99巻,p.7669
【特許文献1】
国際公開第02/02588号パンフレット
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらのグロボ3糖担持カルボシランデンドリマーは、合成が困難であり、医薬品として供するのに十分高純度なものが得られ難い、さらにベロ毒素中和活性も十分でない等の欠点を有することが判明した。
従って、本発明の目的は、医薬品として供し得る高純度な化合物が得られ、かつベロ毒素中和活性の強いカルボシランデンドリマーを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者は、種々検討した結果、グロボ3糖に代えてガラビオースを特定の骨格のカルボシランデンドリマーに結合させたところ、当該化合物は高純度のものが容易に得られ、かつ強いベロ毒素中和活性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、次式(1)
【0007】
【化2】
【0008】
(式中、R1、R3及びR5は同一又は異なって炭化水素基を示し、R2、R4、R6及びR7は同一又は異なって炭化水素鎖を示し、Aはガラビオース残基を示し、lは0〜3の数を示し、m及びnは同一又は異なって0〜2の数を示し、kは0又は1の数を示し、kが0のとき3−nは1である)
で表されるガラビオース結合カルボシランデンドリマー化合物、及びこれを有効成分とする医薬を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
式(1)中、R1、R3及びR5は、同一又は異なって炭化水素基を示すが、炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数5〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基等が好ましく、このうち炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基がより好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基又はフェニル基が更に好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0010】
R2、R4、R6及びR7は、同一又は異なって炭化水素鎖を示すが、炭素数2〜8の直鎖アルキレン基が好ましい。このうち、R2、R4及びR6については炭素数2〜4の直鎖アルキレン基が好ましく、R7については炭素数4〜8、特に炭素数5〜8の直鎖アルキレン基が好ましい。
【0011】
Aは特にガラビオース(Galα1→4Galβ)残基である。
【0012】
また、lは0〜3の数を示すが、1又は2がより好ましい。mは0〜2の数を示すが、1又は2が好ましく、特に2が好ましい。nは0〜2の数を示すが、0又は1が好ましい。またkは0又は1を示し、kが0のとき、3−nは1である。
【0013】
式(1)のカルボシランデンドリマー化合物は、l、m、n及びkの数により種々の構造をとり得るが、代表的な構造を示せば次のとおりである。
【0014】
【化3】
【0015】
(式中、R1〜R7及びAは前記と同じ)
【0016】
上記の構造のうち、式(1c)の構造が特に好ましい。
【0017】
本発明化合物(1)は、例えば次の反応式に従って製造することができる。
【0018】
【化4】
【0019】
(式中、X1はハロゲン原子を示し、X2は反応脱離性のメルカプト保護基を示し、A1はガラビオース残基又は水酸基が保護されたガラビオース残基を示し、R1〜R7、l、m、n及びkは前記と同じ)
【0020】
すなわち、式(2)で表されるハロゲン化カルボシランデンドリマーと式(3)で表されるスルフィド化合物とを反応させ、必要に応じてガラビオース残基の保護を脱離させることにより本発明化合物(1)が製造できる。
【0021】
X1のハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。X2のメルカプト保護基としてはアセチル基等のアルカノイル基、ベンジル基等が好ましい。また、A1の水酸基の保護基としては、アセチル基等のアシル基、ベンジル基、トリメチルシリル基等の有機ケイ素等が挙げられるが、アセチル基が好ましい。
【0022】
式(2)のハロゲン化カルボシランデンドリマーは、例えばトリクロロメチルシラン等のクロロシラン類を原料として、グリニャール反応によりアリル基を導入し、ヒドロケイ素化反応、グリニャール反応を繰り返すことにより式(2)に対応する骨格を形成する。得られたデンドリマーの末端アリル基は、ヒドロホウ素化反応により相当するアルコールへと変換し、次いで常法によりメシル化後、臭化ナトリウム等で処理することにより、末端がハロゲン原子で置換されたハライド化合物へと効率良く変換することができる。
【0023】
一方、式(3)の化合物は、例えばω−アルケニルグルコシドとガラクトース等の単糖との一段階グリコシデーション後、保護、脱保護し、ω位の二重結合へチオ酢酸等を反応させて式(3)の化合物を得ることができる。
【0024】
式(2)の化合物と式(3)の化合物の反応は、例えばナトリウムメトキシド等の塩基の存在下に行うことができる。また、A1の保護基の脱離は、例えばナトリウムメトキシド等の塩基を用いた加水分解により行うことができる。
【0025】
得られた本発明化合物(1)は、洗浄、各種クロマトグラフィー、ゲル濾過等により精製することができる。
【0026】
得られた本発明化合物(1)は、大腸菌O−157が産生するベロ毒素に対する中和活性を有し、ベロ毒素中和薬、大腸菌O−157感染症予防治療薬として有用である。
本発明化合物(1)を有効成分とする医薬は、投与法に応じて薬学的に許容される種々の担体を用いて医薬組成物とすることができる。本発明化合物(1)を有効成分とする医薬組成物の剤形としては例えば錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤等の固形製剤や、液剤、シロップ剤、エリキシル剤、油性ないし水性の懸濁液の液体製剤等の経口用製剤;注射剤等が挙げられる。注射剤とするには、安定剤、防腐剤、溶解補助剤等を用いることができる。これらの補助剤を含むこともある溶液を容器に収納後、凍結乾燥等によって固形製剤として用時調製の製剤としてもよい。また一回投与量を一の容器に収納してもよく、また多投与量を一の容器に収納してもよい。固形製剤とするには、例えば充填剤や増量剤、結合剤、崩壊剤、溶解促進剤、湿潤剤、潤滑剤等を必要に応じて用いることができる。液体製剤とするには、懸濁化剤、乳化剤等を用いることができる。
本発明の医薬の投与量は、本発明化合物(1)として成人1日当たり1mgから3g、好ましくは10mgから1500mgである。これらは1〜4回に分けて投与することもできる。
【0027】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0028】
参考例1
(1)n−ペンタニル−O−(4−O−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−D−ガラクトピラノシル)−2,3,6−トリ−O−アセチル−β−ガラクトピラノシド(b)の合成
【0029】
【化5】
−78℃の液体アンモニア(150mL)へ金属ナトリウム(4.56g,198.3mmol)を加え、そこへ化合物(a)(5.16g,4.96mmol)の1,2−ジメトキシエタン(30mL)溶液を滴下し、45分撹拌し、塩化アンモニウム(10.6g,198.3mmol)を加え一晩撹拌した。溶媒を減圧留去後、残渣を乾燥−ピリジン(33.5mL)に懸濁し、無水酢酸(19.7mL)を加え、室温で12時間撹拌した。反応終了後、反応液を氷水にあけ、クロロホルムで抽出し、1N塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶液を濾過して濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、化合物(b)を得た。
収量 1.3g(38%)
Rf値 0.36(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)
【0030】
(2)アセチルチオ−ブタニル−O−(4−O−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−ガラクトピラノシル)−2,3,6−トリ−O−ベンジル−β−ガラクトピラノシド(c)の合成
【0031】
【化6】
【0032】
アルゴン雰囲気下化合物(b)(899.2mg,1.28mmol)を1,4−ジオキサン(0.2mL)に溶かしチオ酢酸(3.6mL,51.04mmol)を加え、40℃に加熱し、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(847.7mg,51.04mmol)を加え、80℃で3時間撹拌した。その後過剰なAIBNを潰すためシクロヘキセン(5mL,5.16mmol)を加え室温で10分撹拌した。反応液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し化合物(c)を得た。
収量 910mg(91%)
Rf値 0.22(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)
【0033】
実施例1
(1)デンドリマーへの糖鎖導入(1)
【0034】
【化7】
【0035】
アルゴン雰囲気下、デンドリマー(d)(22.1mg,0.033mmol)と糖鎖化合物(c)(152.6mg,0.195mmol)を乾燥−DMF(0.25mL)に溶かし、乾燥−メタノール(0.25mL)を加え、室温で1時間撹拌した。そこへ、ナトリウムメトキシド(11.6mg,0.215mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。反応終了後、酢酸(0.25mL)を加え10分間撹拌した後、濃縮し、残渣にピリジン(3mL)に懸濁し、無水酢酸(3mL)を加え、室温で5時間撹拌した。反応終了後、反応液を氷水にあけ、クロロホルムで抽出し、有機層を1N塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶液を濾過して濃縮した。GPC分取精製を行ない化合物(e)を得た。
収量 75.6mg(86%)
【0036】
(2)デンドリマーへの糖鎖導入(2)
【0037】
【化8】
【0038】
アルゴン雰囲気下、デンドリマー(f)(23.3mg,0.025mmol)と糖鎖化合物(c)(165.0mg,0.211mmol)を乾燥−DMF(0.25mL)に溶かし、乾燥−メタノール(0.25mL)を加え、室温で1時間撹拌した。そこへ、ナトリウムメトキシド(13.1mg,0.211mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。反応終了後、酢酸(0.25mL)を加え10分間撹拌した後、濃縮し、残渣にピリジン(3mL)に懸濁し、無水酢酸(3mL)を加え、50度で3時間撹拌した。反応終了後、反応液を氷水にあけ、クロロホルムで抽出し、有機層を1N塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶液を濾過して濃縮した。GPC分取精製を行ない化合物(g)を得た。
収量 50.1mg(55%)
【0039】
(3)デンドリマーへの糖鎖導入(3)
【0040】
【化9】
【0041】
アルゴン雰囲気下、デンドリマー(h)(40.7mg,0.036mmol)と糖鎖化合物(c)(403.2mg,0.516mmol)を乾燥−DMF(0.30mL)に溶かし、乾燥−メタノール(0.30mL)を加え、室温で1時間撹拌した。そこへ、ナトリウムメトキシド(30.7mg,0.568mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。反応終了後、酢酸(0.30mL)を加え10分間撹拌した後、濃縮し、残渣にピリジン(5mL)に懸濁し、無水酢酸(5mL)を加え、室温で3時間撹拌した。反応終了後、反応液を氷水にあけ、クロロホルムで抽出し、有機層を1N塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶液を濾過して濃縮した。GPC分取精製を行ない化合物(i)を得た。
収量 78.1mg(42%)
【0042】
実施例2
(1)Fan1(3)−Galabiose(化合物(j))の合成
【0043】
【化10】
【0044】
化合物(e)(64.6mg,0.024mmol)にナトリウムメトキシドの0.1Mメタノール溶液(1.0mL)を加え室温で7時間撹拌した後、0.025MNaOH水溶液(5mL)加え室温で一晩撹拌した後、イオン交換樹脂IR120B(H+)を加え中和した。綿線ろ過後濃縮し、ゲルろ過を行なうことにより無機塩を取り除き目的物(j)を得た。
収量 32.8mg(78%)
【0045】
1H NMR(CD3OD)δ:4.91(s,3H), 4.30(m,6H), 3.47−4.10(m,39H), 2.51(t,12H), 1.50−1.67(m,24H), 1.37(m,6H), 0.59(m,18H), −0.02(s,18H), −0.06(s,3H)
13C NMR(CD3OD)δ:105.15(C−1’), 102.51(C−1), 78.96, 76.08, 74.70, 72.82,72.59, 71.37, 71.58, 71.05, 70.79, 62.63, 60.89, 36.79, 35.08, 32.85, 30.76, 30.48, 26.37, 25.57, 21.04, 19.78, 14.46, −2.97
【0046】
(2)Dumbbell2(4)−Galabiose(化合物(k))の合成
【0047】
【化11】
【0048】
化合物(g)(50.1mg,0.014mmol)にナトリウムメトキシドの0.1Mメタノール溶液(1.0mL)を加え室温で4時間撹拌した後、0.025MNaOH水溶液(5mL)加え室温で一晩撹拌した後、イオン交換樹脂IR120B(H+)を加え中和した。綿線ろ過後濃縮し、ゲルろ過を行なうことにより無機塩を取り除き目的物(k)を得た。
収量 31.6mg(定量的)
【0049】
1H NMR(D2O)δ:5.01(br,4H), 4.36(br,4H), 4.03(br,4H), 3.54−3.90(br m,52H), 2.55(br,16H), 1.08−1.62(br m,40H), 0.61(br,24H), −0.01(br,24H)
【0050】
(3)Dumbbell2(6)−Galabiose(化合物(l))の合成
【0051】
【化12】
【0052】
化合物(i)(32.5mg,0.064mmol)にナトリウムメトキシドの0.1Mメタノール溶液(1.0mL)を加え室温で4時間撹拌した後、0.025MNaOH水溶液(5mL)加え室温で一晩撹拌した後、イオン交換樹脂IR120B(H+)を加え中和した。綿線ろ過後濃縮し、ゲルろ過を行なうことにより無機塩を取り除き目的物(l)を得た。
収量 25.1mg(定量的)
【0053】
1H NMR(D2O)δ:4.97(br,6H), 4.32(br,12H), 3.50−4.00(br m,90H), 2.52(br, 24H), 1.40−1.61(br m,56H), 0.57(br,28H), −0.03(br,18H)
13C NMR(D2O)δ:103.29(C−1’), 100.34(C−1), 76.84, 74.69, 72.64, 70.92, 70.24, 69.30, 69.05, 68.81, 60.67, 59.61, 35.81, 31.87, 29.49, 29.08, 25.11, 24.29, 20.29, 20.13, 18.59, 11.89, −2.60
【0054】
試験例(ベロ毒素中和活性)
(1)準備
(a)材料
試験に際しては、公知の方法(例えばMicrob.Pathog. 2,339−349(1987))によりベロ毒素1及び2(リコンビナントStx1及びStx2)を調製した。
リコンビナントグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)融合Stx1(Stx1−A2B5−GST)は、次の方法により得た:Stx1をコードする配列を有するpUC118ベクター(Microb. Lett. 44, 23−26(1987))を用いてPCRにより配列番号1及び2のオリゴヌクレオチドをプライマーとしてBamHI−EcoRIフラグメントを得た。得られたフラグメントを、pGEX−2Tベクター(Pharmacia社)のBamHI−EcoRIサイトに結合させた。
このStx1−A2B5−GSTをバクテリアに発現し、グルタチオン−セファローズビーズを用いた公知の方法(J. Biol. Chem. 273, 23126−23133(1998))により精製した。
更にStx1のBサブユニットに対してモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマー13C4をAmerican Type Culture Collectionから得た。
また、125Iで標識したStx1(125I−Stx1)及びStx2は公知のヨウ素モノクロリド法(J. Biol. Chem. 265, 5226−5231(1990))により調製した。
【0055】
(b)細胞
ベロ細胞(アフリカミドリザルの腎臓由来細胞)は、10%ウシ胎児血清を補充したDulbecco’s modified Eagle’s medium(DMEM)を培地として、24ウェル(結合性試験用)プラスチックマイクロプレートで培養した。
マウス腹膜マクロファージは公知の手法(J. Biol. Chem. 265, 5226−5231(1990))により調製した。
【0056】
(c)薄層クロマトグラフィー(TLC)免疫染色アッセイ
StxのGb3への結合アッセイは、公知の方法により行った(FEBS Lett. 442, 231−234(1999))。すなわち、ブタ赤血球Gb3(500ng、和光純薬社)をHPTLCプレート(Whatman社)に施し、クロロホルム/メタノール/水60/35/8(v/v)混合溶媒で展開した。ブロッキングを行った後、Stx1(100ng/mL)と任意の量のガラビオース結合カルボシランデンドリマーともに培養した。洗浄後モノクローナル抗体13C4を用いてStx1を検出した。
【0057】
(2)結合阻害活性試験方法
ベロ細胞を、125I−Stx1又は125I−Stx2(7×106cpm/μg又は2×106cpm/μg)と任意の量のガラビオース結合カルボシランデンドリマー化合物の存在下、4℃で30分間処理し、洗浄した後、細胞を溶解液(0.1M
NaOH、0.5% SDS)に溶解した。
γカウンター(Packard Inst. Comp.社)により放射線量を測定し、ベロ細胞に結合した125I−Stx1又は125I−Stx2の量からガラビオース結合カルボシランデンドリマー化合物の結合阻害活性を求めた。
【0058】
(3)結果
ガラビオース結合カルボシランデンドリマー化合物の結合阻害活性試験から得られた50%抑制濃度を表1に示した。
表1より、本発明のガラビオース結合カルボシランデンドリマー化合物は、いずれもベロ毒素1(Stx1)及び2(Stx2)に対して高い結合阻害活性を示すことがわかる。
ガラビオース結合カルボシランデンドリマー化合物が存在しない場合には、125I標識Stxは100%ベロ細胞に結合した。また、ガラビオース結合カルボシランデンドリマー化合物の替わりに非標識Stx1及びStx2(50μg/mL)を用いた場合にも、125I標識Stxのベロ細胞への結合が完全に阻害されることから、125I標識Stxがベロ細胞に特異的に結合することが確認された。
【0059】
【表1】
【0060】
【発明の効果】
本発明のガラビオース結合カルボシランデンドリマー化合物は、優れたベロ毒性中和活性を有し、かつ高純度のものが容易に得られるので、大腸菌O−157感染症予防治療用の医薬として有用である。
Claims (6)
- R1、R3及びR5が同一又は異なって炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基である請求項1記載のガラビオース結合カルボシランデンドリマー化合物。
- R2、R4、R6及びR7が同一又は異なって炭素数2〜8の直鎖アルキレン基である請求項1又は2記載のガラビオース結合カルボシランデンドリマー化合物。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載のガラビオース結合カルボシランデンドリマー化合物を有効成分とする医薬。
- 大腸菌O−157感染症予防治療薬である請求項4記載の医薬。
- ベロ毒素中和薬である請求項4又は5記載の医薬。
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2002
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