明細書 新規糖鎖担持力ルポシランデンドリマー
技術分野
本発明は、 デング熱ウィルス感染阻害剤、 抗ウィルス剤又は抗 H I V 剤のスクリ一二ング用標的物質に用いることができる新規な糖鎖担持力 ルボシランデンドリマーおよびその製造方法、 並びに前記糖鎖担持カル ボシランデンドリマーを有効成分とするデング熱ウィルス感染阻害剤、 抗ウィルス剤及び抗 H I V剤のスクリ一二ング用標的物質に関するもの C、ある。 背景技術
デング熱 (dengue fever) は、 デングウィルス (以下 dengue virusと も述べる) の急性感染症で、 その臨床的特徴から、 予後良好な古典的デ ング熱 (classical dengue fever:以下 CDFとも述べる) 、 出血傾向を示 すテング出血熱 (dengue hemorrhagic syndrome:以" h DHFと b述べるノ 、 最も重篤でショックを特徴とするデングショック症候群(dengue shock syndrome: 以下 DSSとも述べる) に分類される。
CDFは、 3〜9日の潜伏期間の後、 4 0 °C前後の発熱、頭痛、腰背部痛、 顔面紅潮、 結膜充血などを突然発症し、 全身の激しい関節痛と筋肉痛を 伴う疾患である。 また、 やや遅れて、 消化器症状や上記道炎症も出現す る。 しかし、 これらの症状は、 自己限定的であり、 自然経過で治癒 -回 復する。 一方、 DHF及び DSSも CDFとほぼ同様に発症するが、 2〜6 日で出 血傾向もしくはショック様症状が著明となり、 虚脱感や全身衰弱が激し
く、 状態が急速に悪化する点で異なる。
デング熱は、 世界各地の熱帯地方に広く分布しており、 感染力が極め て強く、 流行時には人口の約 8 0 %が感染することが知られている。 地 球上の患者は、 2 0 0 0万人 Z年 (WH O ) にもおよび、 流行地域も患 者数も年毎に拡大の一途をたどっている。 また、 かってはみられなかつ た DHF及ぴ DSSが、 近年各地で多発しており、 出血熱の致死率が 4 0 %以 上と高いことからも、 この症状は、 再興感染症として位置付けられ、 そ の対策は公衆衛生上極めて重要な問題となっている。
しかし、 感染における標的組織、 感染初期過程の宿主, ウィルス相互 作用に関する分子、 遺伝子の情報は極めて少なく、 デング熱、 デング出 血熱に有効な薬は今だ知られていないのが実情である。 デング熱ヮクチ ンについても、 弱毒性ワクチンを始め、 不活性ワクチン、 サブユニット ワクチン、 組み換えワクチン、 D N Aワクチンなどの開発は進められて いるものの、 有効性や副反応の問題により実用化には達していない。 そこで、 新規なデング熱ウィルス感染阻害剤が求められている。
また、 インフルエンザウイルス等のウイ/レスは、 表面に種々のタンパ ク質を有し、 これらのタンパク質が生体内の糖鎖等を認識し、 接着する ことにより感染する。
このようなィンフルェンザウィルス等のウィルスに対する抗ウィルス 剤としては、 再公表特許 (国際公開番号 W O 0 2 ◦ 0 2 5 8 8 ) にお いて、 糖鎖担持カルボシランデンドリマーが開示されているものの、 こ のようなィンフルェンザウィルス等のウィルスに対する抗ウィルス剤は、 いまだ少ないのが実情である。
そこで、 新規なィンフルェンザウィルス等のウィルスに対する抗ウイ ルス剤が求められている。
一方、 マンノースは生体内において種々の生命活動を司っている糖タ
ンパク質の構成部分であり、 高度に集積化されている。 特に、 H I V表 面に存在する g p 1 20分子は、 N—結合型糖鎖が結合している糖タン パク質であり、 とりわけ、 高マンノース型糖鎖が多く存在している。 従 つて、 マンノースを集積化することができれば、 g p 1 20分子を模倣 して、 抗 H I V剤をスクリーユングする標的物質となり うる。
(特許文献 1 ) 再公表特許 (国際公開番号 WO 0 2/00 2 58 8) そこで、 本発明は、 デング熱ウィルス感染阻害剤、 抗ウィルス剤又は 抗ウィルス剤のスクリ一二ング用標的物質に用いることができる新規な 糖鎖担持カルボシランデンドリマーおよびその製造方法、 並びに前記糖 鎖担持カルボシランデンドリマーを有効成分とするデング熱ウィルス感 染阻害剤、 抗ウィルス剤及び抗ウィルス剤のスクリ一ユング用標的物質 を提供することを目的とするものである。 発明の開示
かかる実情において、 本発明者らは、 鋭意検討を行った結果、 特定構 造の糖鎖を担持してなるカルボシランデンドリマーが、 デング熱ウィル ス感染阻害剤、 抗ウィルス剤又は抗ウィルス剤のスクリーニング用標的 物質に用いうることを発見し、 本発明を完成するに至った。
すなわち、 本発明 (1) は、 下記一般式 (1) ;
(R1) mS i {— R2 - S i (R6) , [R3 - S i (R7) k (R4 - S
— R5 - A) 3— k ] 3 - 1 } n D
(式中、 R R
6、 及び R
7は、 炭素数 1〜 6のアルキル基、 フエニル 基、 ビュル基、 及ぴァリル基のいずれかであり、 同一でも異なっていて もよく、 R
2、 R
3、 R
4、 及び R
5は、 炭素数 1〜6のアルキレン基、 フ ェニレン基、 及ぴァルケ二レン基のいずれかであり、 同一でも異なって いてもよく、 Aは、 下記化学式
で表わされるパラグロボシド誘導基、 αマンノピラノシル基、 又はマン ノース糖鎖 2〜 8つを含有するマンノースのみから形成されるオリゴ糖 の末端の 1位の水酸基から水素原子を取り去った基であり、 mは 0〜3 の整数であり、 nは 1〜4の整数であり、 m+n = 4であり、 さらに k 及び 1は 0〜 2のいずれかであり、 k及び 1は互いに同一であっても異 なっていてもよい。 ) で表わされる糖鎖担持カルボシランデンドリマー を提供するものである。
また、 本発明 (2) は、 下記一般式 (2) ;
(R1) mS i [-R2-S i (R6) 1 (R4-S -R5-A) 3_J n (2) (式中、 R R2、 R4、 R5、 R6、 A、 m、 n、及ぴ 1は前記と同義。 ) で表わされる糖鎖担持力ルポシランデンドリマーを提供するものである。 また、 本発明 (3) は、 下記一般式 (3) ;
(R1) mS i (R4 - S— R5_A) n (3)
(式中、 R1 R4、 R5、 A、 m、 及び nは前記と同義。 ) で表わされ る糖鎖担持カルボシランデンドリマーを提供するものである。
また、 本発明 (4) は、 式中 Aが前記パラグロボシド誘導基であるこ とを特徴とする前記発明 (1 ) 〜 (3) のいずれかに記載の糖鎖担持力 ルポシランデンドリマーを提供するものである。
また、 本発明 (5) は、 式中 Aが前記ひマンノピラノシル基、 又はマ ンノース糖鎖 2〜 8つを含有するマンノースのみから形成されるオリゴ 糖の末端の 1位の水酸基から水素原子を取り去った基であることを特徴 とする前記発明 (1) 〜 (3) のいずれかに記載の糖鎖担持カルボシラ
ンデンドリマーを提供するものである。
また、 本発明 (6) は、 式中 Aが前記 αマンノピラノシル基、 又は下 記化学式
で表わされる基であることを特徴とする前記発明 (1 ) 〜 (3) のいず れかに記載の糖鎖担持カルボシランデンドリマーを提供するものである。 また、 本発明 (7) は、 下記一般式 (4) ;
(R1) mS i {— R2— S i (R6) 1 [R3 - S i (R7) k (R4 - X
) 3一 J 3一 J „ (4)
(ただし、 R R2、 R3、 R4、 R6、 R7、 m、 n、 k、 及び 1は前 記の通りのものを示し、 Xはハロゲン原子を示す) で表わされるハロゲ ン化合物を、 下記一般式 (5) ;
A— R5— S - Y (5)
(ただし、 R 5は前記の通りであり、 Aは前記の通りの糖鎖又は該糖鎖 の有する水酸基の内 1部又は全部の水酸基の水素原子が、 ァセチル基、 ベンジル基、 及びベンゾィル基のいずれかの基に置換されている糖鎖で あり、 Yは、 反応離脱性の保護基を示す。 ) で表わされるスルフィ ド化 合物と反応させることを特徴とする前記発明 (1 ) に記載の糖鎖担持力 ルボシランデンドリマーの製造方法を提供するものである。
また、 本発明 (8) は、 下記一般式 (6) :
(R1) mS i {-R2-S i (R6) , (R4-X ) 3 - 1 } „ (6) (ただし、 R R2、 R4、 R6、 m、 n、 及び 1は前記の通りのものを 示し、 Xはハロゲン原子を示す) で表わされるハロゲン化合物を、 前記
一般式 (5) で表わされるスルフイ ド化合物と反応させることを特徴と する前記発明 (2) に記載の糖鎖担持カルボシランデンドリマーの製造 方法を提供するものである。
また、 本発明 (9) は、 下記一般式 (7) :
(R1) mS i (R4-X ) n (7)
(ただし、 I 1、 R4、 m、 及び nは前記の通りのものを示し、 Xはハロ ゲン原子を示す) で表わされるハロゲン化合物を、 前記一般式 (5) で 表わされるスルフィ ド化合物と反応させることを特徴とする前記発明 (3) に記載の糖鎖担持カルボシランデンドリマーの製造方法を提供す るものである。
また、 本発明 (1 0) は、 前記発明 (4) に記載の糖鎖担持カルボシ ランデンドリマーを有効成分として含有することを特徴とするデング熱 ゥィルス感染阻害剤を提供するものである。
また、 本発明 (1 1) は、 前記発明 (4) に記載の糖鎖担持カルボシ ランデンドリマーを有効成分として含有することを特徴とする抗ウィル ス剤を提供するものである。
また、 本発明 (1 2) は、 前記発明 (5) に記載の糖鎖担持カルボシ ランデンドリマーを有効成分として含有することを特徴とする抗 H I V 剤のスクリ一二ングに用いられる標的物質を提供するものである。
本発明により、 デング熱ウィルス感染阻害剤、 抗ウィルス剤又は抗ゥ ィルス剤のスクリ一二ング用標的物質に用いることができる新規な糖鎖 担持カルボシランデンドリマーおよびその製造方法、 並びに前記糖鎖担 持カルボシランデンドリマーを有効成分とするデング熱ウィルス感染阻 害剤、 抗ウィルス剤及ぴ抗ウィルス剤のスクリ一ユング用標的物質を提 供することができる。
図面の簡単な説明
第 1図は、 Dengue virus至適濃度の検討に用いた Dengue virusの細胞 表面への結合アツセィの結果を示す図であり、第 2図は、 Alexa標識一次 抗体(12D11/7E8)至適濃度の検討に用いた Dengue virusの細胞表面への 結合アツセィの結果を示す図であり、 第 3図は、 Dumbbell(l)6_paraglo boside- OHを添カ卩した際の Dengue virusの K562細胞表面への結合ァッセ ィの結果を示す図であり、 第 4図は、 デング熱ウィルス感染阻害性の実 験結果を示すグラフである。 発明を実施するための最良の形態
本発明の前記一般式 (1 ) で表わされる糖鎖担持カルボシランデンド リマーとしては、 下記化学式の D um b b e 1 I (2) 1 8型の糖鎖担 持カルボシランデンドリマーを挙げることができる。 下記化学式は、 一 般式 (1 ) 中、 R1がメチル基、 m= 2、 n = 2、 k = 0及ぴ 1 = 0で あり、 下記化学式中で丸 3つで示される末端部分は糖鎖を示す。
また、 本発明の前記一般式 (2) で表わされる糖鎖担持カルボシラン デンドリマーとしては、 下記化学式の D umb b e 1 1 ( 1) 6型の糖 鎖担持カルボシランデンドリマーを挙げることができる„ 下記化学式中
で楕円形で表わされる末端部分は糖鎖である。
また、 本発明の前記一般式 (3) で表わされる糖鎖担持カルボシラン デンドリマーとしては、 下記化学式の B a 1 1 (0) 4型、 F a n (0) 3型の糖鎖担持カルボシランデンドリマーを挙げることができる。 下記 化学式中で楕円形で表わされる末端部分は糖鎖である。
Fan(0)3-Suqar
本発明の糖鎖担持カルポシランデンドリマーのうち、 D umb b e l 1 (2) 1 8型、 Dumb b e l l ( 1) 6型の糖鎖担持カルポシラン デンドリマーが、 デング熱ウィルス感染阻害剤としての活性が良好であ るため好ましい。
本発明の糖鎖担持カルボシランデンドリマーは、 以下の方法により製 造される。
<ハロゲン化物の製造 >
前記一般式 (4) 、 (6) 及び (7) で表わされるハロゲン化合物の 製造は、 Terunumaらの方法 (Bull. Chem. Soc. Jpn. , 72(1999), p2129- 21 34) により行うことができる。
ぐ糖鎖の製造 >
パラグロポシド誘導基を含有する糖鎖担持カルボシランデンドリマー を調製するのに用いる糖鎖は、 例えば、 ラク トースから誘導された糖鎖 受容体と、 ラタ トースから誘導された糖鎖供与体とのグリコシデーショ ンを行い、 保護基の変換を経て、 チオアセチル化を行い調製することが できる。
αマンノビラノシル基、 又はマンノース糖鎖 2〜 8つを含有するマン ノースのみから形成されるオリゴ糖の末端の 1位の水酸基から水素原子 を取り去った基を含有する糖鎖担持カルボシランデンドリマーを調製す るのに用レヽるスノレフィ ドィ匕合物は、 Zhangら (Tetrahedron: Asymmetry, 13, (2002), p243-252) に記載される方法に準じて調製することがで さる。
く糖鎖の導入及び糖鎖担持カルボシランデンドリマーの調製 >
前記スルフィ ド化合物とハロゲン化合物とを反応させた後に、 脱保護 することにより、 糖鎖担持カルボシランデンドリマーを調製することが できる。
• 本発明の糖鎖担持カルボシランデンドリマーは、 糖鎖がパラグロボシ ド誘導基である場合において、 デング熱ウィルス感染阻害剤として有用 である。 また、 カルボシランデンドリマー骨格を有するため、 インフル ェンザウィルス等の抗ウィルス剤として利用することができる。加えて、 糖鎖がマンノースからなる場合には、 抗 H I V剤をスク リーニングする 標的物質となり うる。
本願の発明のデング熱感染阻害剤、 ィンフルェンザウィルス等の抗ゥ ィルス剤においては、 錠剤、 粒 .散剤、 シロップ剤等の形態での経口投 与、 注射剤等の形態での非経口投与、 座薬等の形態での直腸投与など患 者の症状や状態に応じた投与方法を選択することができる。
本願のデング熱ウィルス感染阻害剤及びインフルエンザウイルス等の 抗ウィルス剤を経口投与する場合には、 錠剤、 トローチ、 カプセル、 霊 薬、 粉末、 顆粒、 懸濁液、 乳液及びシロップ等の形態とすることができ る。 また、 被覆粒子、 多層錠剤あるいは微小顆粒等として、 緩慢放出ま たは遅延放出される形態としてもよい。 これらの形態においては、 デン グ熱ウィルス感染阻害剤及ぴィンフルェンザウィルス等の抗ウィルス剤 は、 薬学認容性の結合剤、 甘味料、 崩壌剤、 希釈剤、 人口香味量、 被覆 剤、 保存剤、 潤滑剤及び/又は効果遅延剤等を含有してよい。
非経口投与では、座薬等の形態で直腸投与されるものであってもよい。 好適な座薬は、 活性物質を常温では固体で直腸では融解する非刺激性の 賦形剤と混合することによって調製してもよい。
本願のデング熱ウィルス感染阻害剤 ¾びインフルエンザウイルス等の 抗ウィルス剤は、 吸入スプレーや軟膏等の経皮投与用形態を有するもの であってもよい。 例えば、 吸入スプレーは、 溶液、 懸濁液または乳状液 とし、 二酸化炭素や一酸化二窒素等の低毒性の吸入可能な嘖霧剤を含ん でもよい。 一方、 経皮投与用としては、 クリーム、 軟膏、 ジエル、 ゼリ
一、 チンキ、 懸濁液、 または乳状液の形態が好ましく挙げられる。 これ らは、薬学認容性の結合剤、希釈剤、崩壊剤、保存剤、 潤滑剤、 分散剤、 懸濁剤おょぴ または乳化剤を含有してもよい。
本願のデング熱ウィルス感染阻害剤及びインフルエンザウイルス等の 抗ウィルス剤は、 一般的に知られる各種の方法によって製造されてもよ い。 例えば、 有効成分である糖鎖担持カルボシランデンドリマーを、 キ ャリア、 補助剤、 希釈剤または賦形剤とともにすりつぶす、 粉碎する、 ブレンドする、 分散する、 溶解する、 懸濁する、 混合する、 混和する、 組合せる、 乳化する、 またはホモジャネートすることによって調製され る。 またこれらのステップを 1以上組合せて製造されるものであっても よい。
本願のデング熱ウィルス感染阻害剤及びィンフルェンザウィルス等の 抗ウィルス剤は、 有効成分の含有量はとくに限定されない。 例えば、 有 効成分としての糖鎖担持カルボシランデンドリマーの濃度が 500〜1000m g/人 Z日となるように配合することができる。 もちろん、患者への投与 量は、 患者の年齢、 性別、 体重などを考慮して主治医の診断により患者 の症状、状態に応じて決定されるべきものである。患者の体重に応じて 1 0〜100mg/kgの範囲で投与することが望ましい。
次に、 実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、 これは単に 例示であって本発明を制限するものではない。
(製造例)
くカルボシランデンドリマー骨格の合成: D u m b b e 1 1 ( 1 ) 6 - B r >
以下の反応式に従って D u m b b e 1 1 ( 1 ) 6型のカルボシランデ ンドリマー骨格を有するハロゲン化合物を調製した。
Dumbbellil 6-Br
( 1 ) Diallyldimethylsilane (化合物(i))
アルゴン雰囲気下、 ジクロロジメチルシラン (0. 40mL、 7 7. 5 mm o 1 ) を蒸留したジェチルエーテル 2 0 m Lに溶解し、 氷冷下、 1 Mァリルマグネシウムプロミ ド 'ジェチルエーテル溶液( 2 3 2 m 1、 2 3 2mmo 1 ) を滴下し、 5 0 °Cで 8時間攪拌した。 反応終了後、 氷 冷下 1規定塩酸 (約 1 5 0mL) を加え、 ジェチルエーテルで抽出し、 蒸留水で洗浄した。 有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、 溶液を ろ過して濃縮した。 残渣を減圧蒸留 (54mmHgZ5 8°C) により精 製し、 液状の化合物(i) (7. 48 g、 収率 6 8. 8%) を得た。
( 2 ) Bis(triallylsilylpropyl)dimethylsilane (ィ匕合物 (ii))
アルゴン雰囲気下、 化合物(i) ( 7. 0 0 g、 4 9. 9 mm o 1 ) を蒸 留した THF 5 OmLに溶かし、 S p e i e r触媒 (0. 1Mへキサク ロロ白金 ( I V) 酸六水和物 'イソプロパノール溶液) を触媒量滴下し た。 続いて、 氷冷下、 トリクロロシラン (2 0. l mL、 2 0 0 mm o 1 ) を滴下し、 蒸留 THF 3 OmLで滴下ロートを共洗いした。 室温で 1 8. 5時間攪拌した後、 反応液を常圧蒸留 (7 5〜8 0°C) し、 溶媒 と過剰のトリ クロロシランを留去した。 そこへ、 蒸留した THF 6 0m Lを加え、 氷冷下、 1 Mァリルマグネシウムプロミ ド 'ジェチノレエーテ ル溶液 ( 6 45 m 1、 6 45 mm o 1 ) を滴下し、 0。Cで 1時間、 室温 で 1. 5時間、 5 0°Cで 1 8時間攪拌した。 反応終了後、 氷冷下、 1規 定塩酸 (約 50 Om l ) を加え、 ジェチルエーテルで抽出し、 蒸留水で 洗浄した。 有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、 溶液をろ過して 濃縮した、残渣をシリカゲルクロマトグラフ(へキサンのみ)で精製し、 液状の化合物(ii) (8. 3 3 g、 3 7. 5%) を得た。
(3) Bis (tris (3-hydroxypropyl) silylpropyl) dimethylsilane、化合 物 (iii))
アルゴン雰囲気下、 フラスコに 1M BH3- THF錯体( 30. 4mL, 3 0. 4 mmo 1 ) を入れ、 そこにシクロへキセン (2. 4 8 g , 30.4mmo 1 ) の THF 5 OmL溶液を氷冷下で滴下した。 滴下終了後 1時間攪拌 し、 そこに化合物 (ii) (3. 00 g , 6. 74 mmo 1 ) の THF 9 0 mL溶液を氷冷下で滴下した。 滴下終了後、 反応液を室温で 3時間攪拌 した。 メタノール 2 OmLを氷冷下で滴下し、 3. 0M水酸化ナトリウ ム (8. 9 9mL, 2 7. 0 mmo 1 ) 、 30 %過酸化水素水 ( 9. 1 7 mL、 8 0. 9mmo l ) を加えた。 滴下終了後 1時間攪拌した。 有機層 を分取し、 水層を THFで抽出して有機層に合わせ、 飽和食塩水で洗浄 した。 乾燥後、 溶媒を隆去し再沈殿で 2回精製して油状の化合物 (iii)
( 3. 6 0 g、 9 6. 7 %) を得た。
さらに、 化合物 (iii) をメシル化して、 液状の Bis[tris (3 - bromop ropyl) silylpropyl] dimethylsilane (ィ匕合物 (iv)、 D u m b b e l l ( 1 ) 6— B r : 4 20mg、 5 5. 0%)を得た。 以下に同定結果を示 す。
IR (neat) 1239cm"1 (CH2Br)
^ 匪 R: δ (200MHz, CDC13)、 — 0.02(s、 6H、 2Me)、 0.62 (ra, 20H, 2SiMe2 CH2CH2CH2Si, 6SiCH2CH2CH2Br) 、 1.30 (m, 4H, 2SiMe2 CH2CH2CH2Si)、 1.81 (m, 12H, 6SiCH2CH2CH2Br) 、 3.39 (t, 12H, 6SiCH2CH2CH2Br)
<カルボシランデンドリマー骨格を有するハロゲン化合物の合成: F a n (0) 3 - B r >
D umb e 1 1 (1) 6— B rの場合と同様に、 以下の反応式に従つ て、 F a n (0) 3—B rを合成した。
IR(neat) : 1238cm— 1 (CH2Br)
lH NMR: δ (200MHz, CDC13)、 0.95 (m, 6H, SiCH2) 、 1.83 (m, 6H, SiCH2CH2) 、 3.40 (t, 6H, CH2Br)
<カルボシランデンドリマー骨格を有するハロゲン化合物の合成: B a l l (0) 4 - B r >
D umb e 1 1 ( 1) 6 _ B rの場合と同様に、 以下の反応式に従つ て、 B a l l (0) 4— B rを合成した。
Ball(0}4-Br
IR(neat) 1238cm"1 (CH2Br)
XH腿: δ (200MHz, CDC13) 、 0.70(m, 2H, SiCH2) 、 1· 83 (m, 2H, SiCH2CH2 )、 3.40 (t, 2H, CH2Br)
(実施例 1 )
(合成方法)
以下の手順に従って α— 1 , 3Ma n糖鎖を担持したカルボシランデ ンドリマーの合成を行った。
まず、 以下の反応式に従って、 糖鎖部分を調製した。
<マンノースのァセチル化および 1 -ブロモイ匕 >
D-マンノース 1 (2. 50 g, 13. 9 mmol)と無水酢酸(12 ml, 131mmol)を 加え、 25 。/。臭化水素-酢酸溶液 4. 5 mlを滴下して 12時間撹拌した。 ァセチ ル体の生成を確認した後、遮光して 25 %臭化水素 -酢酸溶液 22mlを滴下し た。 5時間撹拌した後、 反応液を氷水に注ぎ、 分液ロートを用いて CHC13 で抽出して、 有機層を、 水で 2回、 飽和 NaHC03水溶液で 2回、 飽和食塩水 で 1回洗浄した。 有機層を MgS04で乾燥した。 MgS04をろ別しエバポレー ターで濃縮し、更に真空ポンプで乾燥することで化合物 2を得た。 これ以 上の精製は行わず、 以後の反応の原料をして用いた。
く化合物 2の 1, 2-ェチリデン化〉
アルゴン雰囲気下、 化合物 2 (22. 9 g, 55. 6 mmol)をァセ トニ トリル 1 30 mlに溶解させ、 水素化ホウ素ナトリウム(10. 5 g, 278 mmol)を加え、
室温で 22時間撹拌した。 反応液を酢酸ェチルと水で希釈し、 水で 1回、 飽和食塩水で 2回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシゥムで乾燥した後、 溶液をろ過して濃縮し、 シリカゲルカラムクロマトグラフィー (へキサ ン: 酢酸ェチル = 5:1〜3:1〜2:1)で精製し化合物 3を得た。 (収量 11. 8 g 収率 64 %)
<化合物 3の脱ァセチル化およぴ 4, 6-ベンジリデン化 >
アルゴン雰囲気下、 化合物 3 (5.73 g, 17.3 mmol)をメタノール 5.0 ml に溶解させ、 ナトリウムメ トキシド(140 mg, 2.6 mmol)を加え室温で 1 時間撹拌した。 反応液にイオン交換樹脂 IR120B (H+)を加えて中和した。 樹脂をろ別後、反応液を濃縮乾燥した。 N,N-ジメチルホルムアミ ド 15.0 mlに溶解させ、 ベンズアルデヒ ドジメチルァセタール(3· 7 ml, 24.6 mm ol)を加え、 次いで(+)-10 -カンファースルホン酸(379 mg, 1.63 mmol) を加え、減圧下 30°Cで 6時間撹拌した。 反応終了後、 反応液を室温まで冷 却し、 トリエチルァミン(0.45 ml, 3.34 mmol)を加え、 シリカゲ /レカラ ムクロマ トグラフィー (へキサン: 酢酸ェチル = 10:1〜5:1〜3:1〜1:1) で精製し化合物 4を得た。 (収量 5.08 g 定量的 (2 steps))
ぐ二糖合成 >
アルゴン雰囲気下、 化合物 2 (298 mg, 0.72 mmol)と化合物 4 (100 mg, 0.34 mmol)を dry -ジクロロメタン 8.0 mlに溶解させ、 乾燥したモレキュ ラーシーブ 4Aパウダー 1.0 gを加え室温で 1時間撹拌し、 次に- 20 °Cで 1 時間撹拌した。 反応液にトリフルォロメタンスルホン酸銀(228 mg, 0.8 9 mmol)を加え- 20 °Cで 2時間撹拌し、 更に、 トリフルォロメタンスルホ ン酸銀(113 mg, 0.44 mmol)を加え、- 20 °Cで 40分撹拌した。反応終了後、 炭酸ナトリゥム(302 mg, 2.85 mmol)を加え、セライ トろ過した。反応液 をクロ口ホルムで希釈し、 飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で 2回、 飽和 食塩水で 1回洗浄を行った。 有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した
後、 溶液をろ過して濃縮した。 残查をシリカゲルカラムクロマトグラフ ィー (トルエン: 酢酸ェチル = 5 : 1) で精製し化合物 5を得た。 (収量 1 39 mg 収率 66 %)
<化合物 5の脱保護およびァセチル化 >
化合物 5 (860 mg, 1. 38 mmol)に 90 °/。トリフルォロ酢酸水溶液 10 mlを 加え、 室温で 22時間撹拌した。 氷水浴で反応容器を冷却しながら、 炭酸 ナトリウムを加えて反応液を中和し、 濃縮乾燥した。 残查に酢酸ナトリ ゥム(229 mg, 2. 79 mmol)と無水酢酸と(15 ml, 158 mmol)を加え、 110 °Cで 1時間撹拌した。 反応終了後、 氷水を加えクロ口ホルムで抽出を行 い、 飽和炭酸水素ナトリゥム水溶液で 2回、 飽和食塩水で 1回洗浄した。 有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶液をろ過して濃縮した。 シリカゲノレカラムクロマトグラフィー(へキサン: 酢酸ェチ 1 : 1〜1: 2) で精製し化合物 6を得た。 (収量 598 mg 収率 64 % (2 steps) ) <化合物 6の 1-ァリル化 >
アルゴン雰囲気下、 ィ匕合物 6 (4. 08 g, 6. 0 mmol)を dry-ジクロロメタ ン 27 mlに溶解させ、 ァリルアルコール(2ml, 30. 7 mmol)を加え、 -5 °C に冷却した。 三フッ化ホウ素-ジェチルエーテル錯体(8ml, 63. 1 mmol) を 30分かけて滴下した。 滴下終了後、 0 °Cで 30分、 室温で 71時間撹拌し た。 反応終了後、 反応液を氷水に注ぎ、 水で 1回、 飽和炭酸水素ナトリ ゥム水溶液で 2回、 飽和食塩水で 1回洗浄を行った。 有機層を無水硫酸 マグネシウムで乾燥した後、 溶液をろ過して濃縮した。 残查をシリカゲ ルカラムクロマトグラフィー (トルエン: 酢酸ェチル = 5 : 1〜3 : 1〜2 : 1 〜2 ::!〜 0 : 1) で精製し化合物 7を得た。 (収量 1. 73 g 収率 43 %) く化合物 7のチオアセチル化 > .
アルゴン雰囲気下、化合物 7 (1. 73 g, 2. 56 mmol)を 1, 4-ジォキサン 1· 5 mlに溶解させ、 チォ酢酸(3. 7 ml, 52. 0 mmol)を加え、 50 °Cに加熱し
た。 AIBN(2.11 g, 12.8 mmol)を加え、 80 °Cで 3時間撹拌した。 その後、 過剰な AIBNを潰すためシクロへキセン(1.5 ml, 14.8 mmol)を加え、室温 で 30分撹拌した。 反応液を濃縮し、 シリカゲルカラムクロマトグラフィ 一 (トルエン: 酢酸ェチル = 10::!〜 5:1〜3:1〜2:1) 、 次レ、で Sephadex LH- 20 (メタノールで展開)で精製し化合物 8を得た。 (収量 1.87 g 収 率 97 % '
以下の反応式に従って、 糖鎖のカルボシランデンドリマー骨格への導 入反応、 脱保護を行い、 Fan(0)3- a- 1,3- Manを調製した。
<糖鎖のカルボシランデンドリマー骨格への導入反応 >
アルゴン雰囲気下、 化合物 8(389 mg, 0.52 mmol)とデンドリマー骨格 を有するハロゲン化合物 9 (Fan (0) -Br: 40.2 mg, 85.3 mmol)を N,N-ジ メチルホルムアミ ド 0.4 mlに溶解させ、 メタノール 0.4 mlを加え、 室温 で 1時間撹拌した。 そこへナトリウムメ トキシド(30. lmg, 0.56 mmol)を 加え室温で一晩撹拌した。 反応終了後、 酢酸 0.5 mlを加え、 室温で 10分 撹拌した後、 濃縮し、残査をピリジン 1.0 mlに懸濁させ、無水酢酸(2.0 ml, 21.0 匪 ol)を加え、 室温で一晚撹拌した。 反応液を濃縮後、 氷水を 加え、 クロ口ホルムで抽出し、 有機層を 1 N塩酸で 1回、飽和炭酸水素ナ トリゥム水溶液で 2回、 飽和食塩水で 1回洗浄を行った。 有機層を無水
硫酸マグネシウムで乾燥した後、 溶液をろ過して濃縮した。 残査をシリ 力ゲルカラムクロマトグラフィー (へキサン: 酢酸ェチル = 1:1〜1:2〜 0:1) 、 GPCで精製しFan(0)3-ひ-l,3-Man(0Ac)10を得た。 (収量 61.2 mg 収率 30 % (2 steps)) 化合物の同定の結果を以下に示す。
13C NMR (CDC13) d (ppm); 97.3(C— 1), 98.9(C— ).
HRMS (ESI): calcd for C102H146054S3SiNa
[M+Na]+2381.7508, found 2381.7485. [a]D(32), +32.31 (c= 1.0 in CHC la)-
Ball(0)4- a- Br、 Dumbbell (1) 6- a- Brについても同様に反応を行い、糖 部分がァセチル保護された糖鎖担持カルボシランデンドリマーをそれぞ れ合成した。 各化合物の同定の結果を以下に示す。
Ball(0)4_a- 1, 3- Man(OAc) : 収量 81.1 mg (収率 35 % (2 steps))
13C NMR (CDCI3) d (ppm) 97.3 (C - 1), 98.8(C- ).
■ HRMS (FAB): calcd for C128H189072S4Si [M+H]+ 3033.9780, found 3033.
9751. [a]劇, +33.86 (c= 1.0 in CHC13) .
Dumbbell (1)6- a- 1, 3- Man (OAc) : 収量 61.3 mg (収率 31 % (2 st eps)) 13C NMR (CDC13) d (ppm) 97.4(C-l), 98.9(C—1, ).
HRMS (FAB): calcd for C200H3010108S6Si3[M+H]+ 4706.5693, found 4706.
5679. [a]D(33), +33.00 (c= 1.0 inCHCl3) .
<糖鎖担持カルボシランデンドリマーの脱保護 >
Fan (0) 3-a-l, 3- Man (OAc) 10 (58.5 mg, 24.8 mmol)をメタノール 0.3 ml に溶解させ、 ナトリ ウムメ トキシドのメタノール溶液(1.0 M, 70 ml, 7
0 mmol)を加え室温で 1時間撹拌した後、 0.1 M 水酸化ナトリゥム水溶液 を加え室温で一晩撹拌した。 酢酸を加え中和した後、 濃縮しゲルろ過を 行うことにより無機塩を取り除き目的物である Fan(0)3- α- 1, 3- Manllを 得た。 (収量 44.6 mg) 化合物の同定の結果を以下に示す。
13C NMR (D20) d(ppm) ; 99.6(C - 1), 102 (C- ).
HRMS (FAB): calcd for C60H104033S3SiNa
[M+Na]+1499.5289, found 1499.5278. [a]D(22), +78.71 (c= 0.87 in H2 0).
Ball(0)4型骨格、 Dumbbell(l)6型骨格を有する糖鎖担持カルボシラン デンドリマーについても同様の脱保護反応を行い、 目的の糖鎖担持カル ボシランデンドリマーをそれぞれ合成した。 各化合物の同定の結果を以 下に示す。
Ball(0)4- ct- 1, 3- Man: 収量 75.5 mg (定量的)
13C NMR (D20) d (ppm) ; 99.0(C - 1), 101.4(C-1' ).
HRMS (ESI): calcd for C72H132044S4SiNa [M+Na] + 1879.6641, found 187
9.6622. [a]D(30), +100.41 (c= 1.0 in H20) .
Dumbbell (1)6- a -1,3 - Man: 収量 33.8 mg (収率 90 %)
13C NMR (D20) d (ppm) 100.7(C - 1), 103.1(01, ).
HRMS (ESI): calcd for CU6H216066S6Si3Na2/2 [M+2Na] 2+/2, 1493.5487, f ound 1493.5482. [a]D(29), +48.25 (c= 1.0 in H20) .
(実施例 2)
まず、 以下の反応式に従って、 糖鎖部分を調製した。
<マンノースのァセチル化おょぴ 1 -ァリル化 >
酢酸ナトリゥム(2.51 g, 30.6 mmol)を無水酢酸(25, 0 ml, 263 mmol) に懸濁し、 110 °Cに加熱した。 そこへ D -マンノース 1(5.00 g, 27.8 mmo 1)を少量ずつ加え、 2時間撹拌した。 反応終了後、 氷水を加えた。 クロ口
ホルムで抽出し、飽和炭酸水素ナトリゥム水溶液で 2回、飽和食塩水で 1 回洗浄した。 有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、 溶液をろ過 して濃縮した。 これを三口フラスコに入れ、 アルゴン置換した。 dry-ジ クロロメタン 123 ml、 ァリルアルコール(9.5 ml, 139 mmol)を加え、 - 5 °Cに冷却した。 三フッ化ホウ素-ジェチルエーテル錯体(94 ml, 741mmo 1)を 30分かけて滴下した。 滴下終了後、 0 °Cで 30分、 室温で 54時間撹拌 した。 反応終了後、 反応液を氷水に注ぎ、 水で 1回、 飽和炭酸水素ナト リウム水溶液で 2回、 飽和食塩水で 1回洗浄を行った。 有機層を無水硫 酸マグネシウムで乾燥した後、 溶液をろ過して濃縮した。 残查をシリカ ゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン: 酢酸ェチル = 5:1)で精製し 化合物 12を得た。 (収量 7.53 g 収率 70 % (2 steps))
<化合物 12のチオアセチル化 >
アルゴン雰囲気下、 化合物 12 (3.65 g, 9.40 mmol)を 1, 4-ジォキサン (2.0 ml)に溶解させ、 チォ酢酸(13.4 ml, 188 mmol)を加え、 50 °Cに加 熱した。 AIBN(7.72 g, 47.0 mmol)を加え、 80 °Cで 2時間半撹拌した。 そ の後、過剰な AIBNを漬すためシクロへキセン(5.0 ml, 49.3 mmol)を加え、 室温で 30分撹拌した。 反応液を濃縮し、 シリカゲルカラムクロマトダラ フィー (トルエン: 酢酸ェチル = 10:1〜5:1〜3:1) で精製し化合物 13を 得た。 (収量 3.16 g 収率 73 %)
実施例 1と同様に糖鎖のカルボシランデンドリマー骨格への導入反応 を行った。 以下に各化合物の同定結果を示す。
Fan(0)3-Man(0Ac): 収量 107.9 mg (収率 66 % (2 steps))
13C醒 R (CDC13) : d (ppra) ; 97.4(C-1).
HRMS (ESI): calcd for C66H98030S3SiNa, [M+Na]+ 1517.4972, found 151 7.4990. [a]D(29), +42.3 (c= 1.0 in CHC13).
Ball (0)4-Man(0Ac): 収量 120.3 mg (収率 66 % (2 steps))
13C NMR (CDCI3) : d(ppm) ; 97.5(C-l).
HRMS (FAB): calcd for C8。H12504。S4Si, [M+H]+ 1881.6399, found 1881. 6445. [a]D(29), +45.1 (c= 1.0 in CHC13).
Dumbbell (1)6- Man (OAc): 収量 141.6 mg (収率 62 % (2 steps)) 13C NMR (CDCI3) : d(ppm) 97.4(C- 1).
HRMS (FAB): calcd for C128H205060S6Si3 [M+H]+2978.0622, found 2978.06 69. [a]D(29), +40.1 (c= 1.0 in CHC13).
脱保護は、 実施例 1と同様に行った。 以下に各化合物の同定結果を示 す。
Fan(0)3-Man : 収量 54.8 mg (収率 61 )
13C匪 R (D20) d (ppm) ; 100.7(C - 1).
HRMS (ESI): calcd for C42H74018S3SiNa, [M+Na]+ 1013.3704, found 101
3.3696. [a]D(27), +48.96 (c= 1.0 in H20) .
Ball(0)4-Man : 収量 64.8 mg (収率 82 %)
13C NMR (D20) d (ppm) ; 99.9(C一 1).
HRMS (ESI): calcd for C48H92024S4SiNa, [M+Na]+1231. 528, found 1231.
4581. [a]D(24)) +52.7 (c= 1.0 in H20) .
Dumbbell (1)6- Man : 収量 33· 6 mg (収率 81 %)
13C NMR (D20) d (ppm) ; 100 (C-l). HRMS (FAB): calcd for C8。H156036S6 Si3Na, [M+Na]+1991.7906, found 1991.7937. [a]D(3。), +46.3 (c= 1.0 in H20).
(実施例 3 )
まず、 以下の反応式に従って、 糖鎖受容体を調製した。
くラタ トースの ]3選択的完全ァセチル化: 0- (2, 3, 4, 6-tetra-0-acety 1 - β -D-galactopyranosyl) - (1→4) - 1, 2, 3, 6 - tetra 0- acetyl - β -D - glue opyranoside (14)の合成 >
酢酸ナトリゥム (47. 9 g, 584 mraol) に無水酢酸 (500 ml, 5. 3 mol) を加え懸濁した後、撹拌しながら懸濁液の温度を 110°Cにした。次にラク トース一水和物(105. 3 g, 292 mmol) を温度上昇に注意しながら少しづ つ加え 2時間撹拌した。反応終了後、反応液を過剰の氷水に入れ未反応の 無水酢酸を加水分解した。 析出物をろ取し、 水で洗浄後エタノールで再 結晶を行い、完全ァセチル化されたラタ トースアセテート 14 ( 149. 1 g, 75. 3 %) を結晶として得た。
くァグリ コンの導入: Pentenyl 0- (2, 3, 4, 6- tetra_0 - acetyト β _D- ga lactopyranosyl) - (1→4) 2, 3, 6- tri-0- acetyl- β -D-glucopyranosi e (丄 5)の合成 >
アルゴン雰囲気下、 ラタ トースアセテート 14 (50. 0 g, 73. 7 mmol) を ジクロロメタン 300 mlに溶解し 4一ペンテンー1一オール (38. 0 ml, 0. 3 7 mol) を加え一 ireに冷却した。 3フッ化ホウ素ジェチルエーテル錯体 (93. 4 ml, 0. 74 mol) を温度上昇に注意しながらおよそ 1時間かけ滴下 した。 0°Cで 1時間撹拌した後、 室温に戻しさらに 3時間撹拌を続けた。 反
応終了後、 反応液を氷水にあけ、 クロ口ホルムで抽出し、 有機層を水、 飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、 飽和食塩水の順で洗浄した。 有機層を 無水硫酸マグネシゥムで乾燥し濃縮後、 混合液をシリ力ゲル力ラムクロ マトグラフィー (展開系 トルエンのちトルエン :酢酸ェチル = 2: 1) で精製し、 化合物 15 (21. 3 g, 41%) を得た。
く脱 0_ァセチルイ匕: Pentenyl 0- ( j3 -D-galactopyranosyl) - (1→4) - β - D- glucopyranosideの合成 >
アルゴン雰囲気下、化合物 15 (21. 2 g, 30. 1 mmol) を dry メタノール 200 mlに溶解し、 ナトリウムメ トキシド (1. 14 g, 21. 1 mmol) を加え室 温で 4時間撹拌した。 反応終了後、 陽イオン交換樹脂 (オルガノ社製 了 ンバーライ ト IR120B) を加え反応液を中和した。 ろ過で樹脂を除き、 ろ 液を濃縮することで化合物 13. 7 gを得た。これ以上の精製は行わずに次 の反応に用いた。
くイソプロピリデンィ匕: Pentenyl 0- (3, 4-0-isoprorylodene- β -D-ga ctopyranosyl) - (1→4) - β -D-glucopyranoside (l6) の' 5、成
アルゴン雰囲気下、 前記化合物 (8. 68 g, 21. 15 mmol) を dry DMF ( 1 80 ml) に溶解し、 アセ トンジメチルァセタール (5. 18 ml, 42. 29 mmol) と Drierite9, 0 gを加えた。 室温で 30分撹拌した後、 CSA (0. 49 g, 2. 12 mmol) を加え室温で 1時間撹拌し、 80°Cに加熱し 4時間撹拌した。 反応終 了後、 氷浴を用いて反応液を冷却し、 炭酸水素ナトリウムを加え中和し た。 懸濁液をセライ トろ過し、 ろ液を濃縮した。 残渣をシリカゲルカラ ムクロマ トグラフィー (展開系 クロ口ホルム : メタノール = 10: 1) で 精製し、 3 ' 位と 4 ' 位がイソプロピリデン保護された化合物 16 (5. 69 g, 59 %) を得た。
くジォ一ノレ体の合成: Pentenyl 0—(2, 6,一 di— 0—benzoyl— — D— galacto pyranosyl) - (1→4) - 2, 3, 6- tri- 0 - benzoyl- β -D-glucopyranoside (18)
の合成 >
アルゴン雰囲気下、 イソプロピリデン体 16 (5. 13 g, 11. 39 mmol) を d ry ピリジン 55. 0mlに溶解し 0°Cに冷却した。 0°Cで塩化ベンゾィル (78. 7 ml, 0. 68 raol) を加え、 室温に戻し 3時間撹拌した。 反応終了後、 水を 加え過剰の酸塩化物を中和した。 反応溶液をクロ口ホルムで抽出し、 有 機層を 1 N塩酸、飽和炭酸水素ナトリゥム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄 した。 有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、 濃縮した。 化合物 17を得 た。
上述の反応で得られた残渣 24. 0 gをジクロロメタン 110 mlに溶解し、 さらに水 25 mlを加えた。 混合溶液を 0°Cに冷却しトリフルォロ酢酸 25 m 1を滴下し、 室温で 3時間撹拌した。 反応終了後、 反応溶液を水、 飽和炭 酸水素ナトリウム水溶液、 飽和食塩水の順で洗浄し、 有機層を無水硫酸 マグネシウムで乾燥した。 有機層を濃縮し、 残渣をシリカゲルカラムク 口マトグラフィー (展開系 へキサン:酢酸ェチル = 2: 1のち 1: 1) で 精製し、 糖鎖受容体 18 (8. 15 g, 収率 77 %) を得た。
次いで、 以下の反応式に従って、 糖鎖供与体を調製した。
yield 80% 20 yield 71% 21
CH3CN
yield 45% 22 yield 53% 23
く ひブロモラク トシドの合成: 0— (2, 3, 4, 6— Tetra— 0— acetyl— β— D—gal aGtopvranosyl)- (1→4) - 2, 3, 6 - tri- 0- acetyl- -D-glucopyranosyl bro mide(19) の合成〉
ラク トースァセテート 14 (60.0 g, 88.4 mmol) を酢酸 300 mlに溶解し 臭化水素 (30%酢酸溶液) (53.0 ml, 0.27 mol) を加え、 密牷をした。 遮光し室温で 3時間半撹桦した後、反応溶液を永水にあけ、 クロロホルム
で抽出し、 水、 飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、 飽和食塩水の順で洗浄 した。 有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、 濃縮した。 残渣を クロ口ホルム 100 mlを用いて熱ろ過した。 溶液を室温まで冷却した後、 ジェチルエーテル 200 mlを加えることで結晶化を行い、 針状結晶として 化合物 I9 (53. 1 g, 86 ) を得た。
くラタタールの开成: 0 -(2, 3, 4, 6-Tetra-0-acetyl- j3 -D-galactopyra nosyl) - (1→4) -3, 4, 6 - tri - 0- acety!l - D- glycal (20)の合成 >
亜鉛粉末 (45. 7 g, 0. 699 mmol) 、 酢酸ナトリゥム (86. 0 g, 1. 05 m ol) と硫酸銅 '五水和物 (4. 36 g, 17. 5 mmol) を水 200 mlに懸濁した。 化合物 19 (48. 9 g, 69. 9 mmol) を酢酸 300 mlに溶解させ、氷冷した懸濁 液におよそ 1時間かけて滴下した。反応溶液を 0°Cから自然昇温させ 5時間 撹拌した。 反応終了後、 ろ過で亜鉛粉末を取り除き、 クロ口ホルムで抽 出し、水、飽和炭酸水素ナトリゥム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄した。 有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、 濃縮した。 残渣をシリカ ゲルカラムクロマトグラフィー (展開系 トルエン:酢酸ェチル = 2: 1) で精製し、 ラクタール 20 (31. 4 g, 80 %) を得た。
くアジドニトロ化 >
アルゴン雰囲気下、 CAN ( 17. 6 g, 32. 1 mmol) とアジ化ナトリウム (1· 04 g, 16. 1 mmol) を 5時間かけて減圧乾燥し、 その後 - 20°Cに冷却した。 dry ァセトニトリル 54 mlに溶解させたラクタール 20 (6. 0 g, 10. 7 mmo 1) を乾燥させた粉末中へ加えた。 - 20°Cで一晩撹拌した後、 懸濁液を氷 水にあけ、 酢酸ェチルで抽出し、 水、 飽和食塩水の順で洗浄した。 有機 層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、 濃縮した。 残渣をシリカゲル カラムクロマトグラフィー (展開系 トルエン:酢酸ェチル = 2: 1) で メインの 2つのスポットを分取し、 異性体を含む混合物として化合物 21 (5. 1 g, 71 %) を得た。
< a臭素ィ匕: 0- (2, 3, 4, 6-Tetra-O-acetyl- β -D-galactopyranosyl) - (1 →4) - 3, 6 - di - 0- acetyl -2 - az i do - 2— deoxy -ひ一 i)- glucopyranosyl bromi d e (22)の合成 >
アルゴン雰囲気下、化合物 21 ( 17. 7 g, 26. 7 mmol) と臭化リチウム (1 1. 6 g, 0, 134 mol) を dry ァセトニトリル 180 mlに懸濁し、室温で 4時間 撹拌した。 反応溶液を酢酸ェチルで希釈し、 水、 飽和食塩水の順で洗浄 した。 有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、 溶液を濃縮後、 ショー トカラムでおおまかに精製後、 再結晶 (酢酸ェチル -へキサン) を行う ことで白色結晶として化合物 22 (8. 2 g, 45 %) を得た。
く ) 3ベンジノレイ匕: Benzyl 0— (2, 3, 4, 6— tetra— 0— acetyl— 一 D— galactop yranosyl)一 (1→4) - 3, 6 - di— 0 - acetyl-2 - az ido - 2 - deoxy - β -D-glucopyran osi de (23)の合成〉
アルゴン雰囲気下、 遮光し、 ベンジノレアノレコール (2. 1 ml, 20. 6 mmo 1) 、 炭酸銀 (6. 63 g, 24. 03 mmol ) と Drieri te (5 g) を dry ニトロメ タン 20 mlに懸濁した。 懸濁液を- 20°Cに冷却し、 化合物 22 (4. 69 g, 6. 87 mmol) の dry 二トロメタン 30 ml溶液を滴下した。 滴下終了後、 - 20°C で一晩撹拌した。 反応混合物をセライ トろ過し、 溶液を酢酸ェチルで希 釈した。水、飽和炭酸水素ナトリゥム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄し、 有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。 濃縮後、 残渣をショート力 ラムでおおまかに精製し、ジェチルエーテル 15 mlで再結晶を行い化合物 23 (2. 75 g, 収率 56 %) を白色の結晶として得た。
く脱 0—ァセチル化: Benzyl 0- ( β -D-galactopyranosyl) - (1→4) -2-a zido-2-deoxy- β -D-glucopyranos ide (24)の合成 >
アルゴン雰囲気下、化合物 23 (4. 27 g, 6. 01 mmol) を dry メタノール (40 ml) に懸濁し、 ナトリウムメ トキシド (195 mg, 3. 61 mmol) を加 え室温で一晩撹拌した。析出した結晶をろ取することにより化合物 24 (2.
62 g, 95 %) を得た。 精製は行わずに次の反応に用いた。
くアジドの還元 : Benzyl 0- ( β -D-galactopyranosyl) - (l→4) -2-amin ο-2-deoxy- β -D-glucopyranos ide (25)の合成 >
化合物 24 ( 1. 83 g, 4. 04 mmol) を dry ピリジン 50 mlに溶解し、 トリ ェチルァミン 15 mlを加えた。 硫化水素ガスを反応溶液に 1時間バブリン グし、 その後反応系内を密閉して一晩放置した。 反応溶液を濃縮し、 残 渣を水: メタノール = 1: 1の混合溶液で抽出した。 抽出液をセライ トろ 過し、 ろ液を濃縮することにより化合物 25 ( 1. 72 g, 99 %) を得た。 精 製は行わずにそのまま次の反応に用いた。
くフタロイルイ匕: Benzyl 0 - (2, 3, 4, 6_tetra_0 - acetyl- β -D-garactop yranosyl)一 (1→4) - 3, 6-di - 0— acetyl- 2 - deoxy— '2-phthal imido- β一 D - g丄 uc opyranos ide (26)の合成 >
アルゴン雰囲気下、 化合物 25 ( 1 , 72 g, 4. 00 mmol) を dry ピリジンに 溶解し、 無水フタル酸 (355. 2 mg, 2. 40 mmol) を加え 70°Cで35分撹拌し た。 その後、 トリェチルァミン (560 ml, 4. OOmmol ) と無水フタル酸 (3 55. 2 mg, 2. 40 mmol) をさらに加え、 70°Cで 4時間撹拌した。 室温まで冷 却した後、 メタノール 10 mlを加え、 数分撹拌した後、 溶媒を減圧留去し た。 残渣を dry ピリジン (23. 2 ml, 288 mmol) に懸濁し、 無水酢酸 (1 3. 6 ml, 144 mmol) を加え 90°Cで 2時間撹拌した。 反応終了後、 反応溶液 を濃縮し、 反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (展開系 へキサン:酢酸ェチル = 1: 2) で精製を行い、 化合物 26 ( 3. 19 g, 収 率 98 %) を得た。
く脱べンジルイ匕 : 0- (2, 3, 4, 6-tetra-0-acetyl- β -D-galactopyranosy 1)一 (1→4) - 3, 6 - di - 0 - acetyl - 2 - deoxy_2 - phthalimi do - , β一 D - glucopyr anose (27) の合成〉
化合物 26 (3. 19 g, 3. 92 mmol) を酢酸ェチル:エタノール = 1: 1溶液
50 mlに溶解し、 20%水酸化パラジウム//活性炭 1. 5 gを加え、水素雰囲気 下、接触還元装置を用いて激しく撹拌した。 反応終了を TLCで確認後、反 応液をセライ トろ過した。 ろ液を濃縮後、 残渣をシリカゲルクロマトグ ラフィー (展開系 トルエン :酢酸ェチル二 1 : 1のち 1 : 2) で精製し、 化合物 27 (2. 53 g, 収率 89 %) を得た。
< ]3塩素ィ匕: 0- (2, 3, 4, 6-tetra-O-acetyl-b-D-galactopyranosyl) - (1 →4) - 3, 6— di - 0- acetyl - 2 deoxy - 2 - phthal imido- b - D - glucopyranosyl ch loride (28) の合成 >
ァノレゴン雰囲気下、 Vilsmeier Reagent (336. 4 mg, 2. 63 mmol) を dr y ジクロロメタン 2 mlに懸濁した。 化合物 27 (634. 0 mg, 0. 876 mmol) と 2, 4, 6—コリジン(170 ml, 1. 31 mmol) を dry ジクロロメタン 4 mlに溶 解し、 0°Cに冷やした懸濁液に滴下した。 滴下終了後、 室温で 3時間撹拌 した。 トルエンで反応溶液を希釈した後、 トルエンで抽出し、 水、 1 M 塩酸、 飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、 飽和食塩水の順に洗浄した。 有 機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、 有機層を濃縮した。 残渣をジク ロロメタン 3 mlに溶解し、 ジェチルエーテル 5 mlを加えることで結晶化 を行った。 結晶を分取することによりグリコシル供与体 28 (469. 1 mg, 収率 72 %) を得た。
以下の反応式に従って、 糖鎖供与体と糖鎖受容体とのダリコシデーシ ヨ ンを行ってスルフイ ド化合物を調製した。
くグリコシノレイ匕: Pentenyl 0— (2, 3, 4, 6— tetra— 0—acetyl— ;3— D— galact opyranosyl) - (1→4) -0- (3, 6- di- 0 - acetyl- 2- deoxy- 2- phthal imi do- β - D -glucopyranosyl) - (1→3) -0- (2, 6-di-0-denzoyl- β -D-galactopyranosy 1) - (1→4) - 2, 3, 6 - tri benzoyl β -D-glucopyranos ide (29) の合成 > アルゴン雰囲気下、糖鎖供与体 28 ( 1. 66 g, 2. 23 mmol) と糖鎖受容体 18 (2. 50 g, 2. 68 mmol) を dry ニトロメタン 50 mlで溶解し、 Ms 4Aパゥ ダー 5. 0 gを加え室温で 2時間半撹拌し系内を十分に乾燥させた。遮光し、 反応溶液を 0°Cに冷却した後、 トリフルォロメタンスルホン酸銀 (2. 87 g, 11. 17 匪 ol) を加えた。 0°Cで 2時間半撹拌した後、 反応の進行が停止 していたため再度トリフルォロメタンスルホン酸銀 2. 87 gを加え室温で 一晩撹拌した。 懸濁液をセライ トろ過し、 ろ液を酢酸ェチルで希釈し、 有機層を水、 飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、 飽和食塩水の順で洗浄し た。 無水硫酸マグネシウムで有機層を乾燥、 濃縮した。 残渣をシリカゲ ルカラムクロマトグラフィー (展開系 へキサン:酢酸ェチル = 1 : 2)
で精製を行い 4糖体 29 (2. 78 g, 76 %) を得た。
く保護基の変換: Pentenyl 0~ (2, 3, 4, 6-tetra-0-acetyl- β -D-galact opyranosyl - (1→4 -0- (3, 6— di— 0— acetyl—2—acetamido— 2— deoxy— β一 D— glucopyranosyl) - (1→3) -0- (2, 4, 6- di - 0 - acetyl - β -D-galactopyranosy 1) - (1→4) -2, 3, 6-tri-acetyl- β -D-glucopyranosi de (30) の合成〉 アルゴン雰囲気下、 化合物 29 (303. 1 mg, 0. 185 mmol) に dry メタノ ール 5 mlと n-ブチルァミン 5 mlを加え 24時間加熱還流した。 反応液を濃 縮し、 残渣を dry ピリジン 5 mlで懸濁し無水酢酸 2. 5 mlを加え室温で 2 日間撹拌した。 反応液を氷水にあけ無水酢酸を加水分解した後、 酢酸ェ チルで抽出し、 有機層を 1 M塩酸、飽和炭酸水素ナトリゥム水溶液、飽和 食塩水の順に洗浄し、 無水硫酸マグネシウムで乾燥した。 有機層を濃縮 し、残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開系 へ キサン:酢酸ェチル = 1: 9) で精製を行い化合物 30 ( 187. 5 mg, 79 %) を得た。
くチオアセチルイ匕: w - Acetylthio - pentanyl 0- (2, 3, 4, 6-tetra_0- ace tyl-b-D-galactopyranosyl) - (1→4) - 0— ύ , 6 - di - 0 - acetyl- 2 - acetamido 2-deoxy-b-D-glucopyranosyl) - (1→3) - 0 - (2, 4, 6 - di-0- acetyl - b - D - gala ctopyranosyl) - (1→4)—2 , 3, 6 - tri- acetyl- b D - glucopyranoside (31) の 合成 >
アルゴン雰囲気下、 化合物 30 (896. 3 mg, 0. 700 mmol) に 1, 4-ジォキ サン (0. 5 ml) 、 チォ酢酸 (990 ml, 14. 0 mmol) を加えた。 さらに AIB N (229. 8 mg, 1. 40 mmol) を加え、 穏やかに加熱し、 80°Cで 2時間加熱撹 拌した。 その後室温に戻しシクロへキセン (142 ml, 1. 40 mmol) を加え 数分間撹拌した。反応溶液をショートカラムでおおまかに精製した後、 G PC (カラム 1 H . 2 H) で精製を行いチオアセチル体 31 (931. 0 mg, 98 %) を得た。
以下の反応式に従って、 糖鎖のカルボシランデンドリマー骨格への導 入反応、 脱保護を行い、 Fan (0) 3-paragloboside- 0H33を調製した。
<カルボシランデンドリマーへのパラグロボシド誘導体の導入: Fan (0) 3-paragloboside-0Ac (32) の合成〉
アルゴン雰囲気下、 末端臭化物カルボシランデンドリマー Fan (0) 3_Br (25. 0 mg, 0. 053mmol)および 4糖チオアセチル体 31 (301. 2 mg, 0. 222 mmol) を dry DMFO. 3 mlに溶解した後、 dry メタノール 0, 3 mlを加え十分 に撹拌した。 あらかじめ調製したナトリ ウムメ トキシド(1 Mメタノール 溶液) 244 mlを滴下し、 室温で 11時間撹拌した。 酢酸 0. 2 mlを加えナト リウムメ トキシドを中和した後、 懸濁液を濃縮した。 反応混合物に dry ピリジン 4 mlと無水酢酸 2 mlを加え 30°Cで 3時間撹拌しァセチル化を行 つた。 反応液を氷水にあけ無水酢酸を加水分解した後、 酢酸ェチルで抽 出し、 有機層を 1 M塩酸、 飽和炭酸水素ナトリ ゥム水溶液、 飽和食塩水の 順に洗浄し、 無水硫酸マグネシウムで乾燥した。 有機層を濃縮し、 残渣 を GPC (カラム 2 Η · 2· 5Η) で精製を行いァセチル保護したパラグロボシ ド誘導体担持ファン型カルボシランデンドリマー 32 ( 142. 0 mg, 64 %)
を得た。 分子量測定では親ピークの強度が微弱であったため、 2価ィォ ンに基づくピークにより高分解能測定を行った。
く脱 0—ァセチル化: Fan(0)3- paragloboside- 0H(33)の合成 >
アルゴン雰囲気下、 ァセチノレ体 32 (109.5 mg, 0.026 mmol) を dry メ タノール (1.0 ml) に溶解し、 ナトリ ウムメ トキシド (5.5 mg, 0.10 m mol)を加えた。室温で 30分撹拌した後、 0.1 M水酸化ナトリゥム水溶液 5. 0 mlを加え撹拌を続けた。 2時間半撹拌後、 さらに 0.1 M水酸化ナトリゥ ム水溶液 5.0 mlを加え 2時間半撹拌した。反応終了後、陽イオン交換樹脂 (オルガノ社製アンバーライ ト IR120B) を加え溶液を中和した。 綿栓ろ 過で樹脂を除き、ろ液を濃縮した。残渣をゲルろ過(G50, 5%酢酸水溶液) で精製し、凍結乾燥することにより無保護の化合物 33 (71.2 mg, quant.
) を得た。 同定結果を以下に示す。
NMR : XH (D20, 400 MHz) : d (ppm) 7.31, 7.15 (each br s, 5 H, SiPh), 4.26-4.34 (m), 4.01 (br s) , 3.75—3.82 (m), 3.58-3.72 (m) , 3.37— 3.54 (m), 3.17 (br m) , 2.32 (br s, 12 H, — CH2S), 1.90 (s, 9 H, N HAc), 1.41 (br s), 1.25 (br s), 0.49 (br s, 6H, SiCH2 -).
NMR : 13C (D20, 100 MHz) : d(ppm) ; 181.09, 134.03, 128.05, 102.9 3, 102.73, 102.39, 82.24, 78.48, 78.27, 75.34, 74.89, 74.56, 72. 90, 72.53, 72.22, 70.99, 70.21, 69.94, 68.58, 68.29, 61.05, 60.2 7, 60.11, 59.89, 55.25, 35.50, 31.68, 29.39, 28.95, 25.00, 23.92, 22.45, 11.72.
ESI-MS Anal. Calc. for C108H185N3063S3Si [M+Na] + : 2679.0194 Found: 2 679.0096.
以下の反応式に従って、 Ball(0)4-paragloboside_0H (35) を調製した。
7755
く Ball (0) 4-paragloboside-OAc (34) の合成 >
アルゴン雰囲気下、 末端臭化物カルボシランデンドリマー Ball (0) 4- B r (20. 9 mg, 0. 041 mmol) および 4糖チオアセチル体 31 (301. 2 mg, 0. 2 22 mmol) を dry DMFO. 3 mlに溶解した後、 dry メタノール 0. 3 mlをカロえ 十分に撹拌した。 あらかじめ調製したナトリウムメ トキシド(1 Mメタノ ール溶液) 244 mlを滴下し、 室温で 15時間半撹拌した。 酢酸 0. 2 mlを加 えナトリウムメ トキシドを中和した後、 懸濁液を濃縮した。 反応混合物 に dry ピリジン 4 mlと無水酢酸 2 mlを加え 30°Cで 3時間撹拌しァセチル 化を行った。 反応液を氷水にあけ無水酢酸を加水分解した後、 酢酸ェチ ルで抽出し、 有機層を 1 M塩酸、飽和炭酸水素ナトリゥム水溶液、飽和食 塩水の順に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層を濃縮し、 残渣を GPC (カラム 2. 5Η · 3 Η) で精製を行いァセチル保護したパラグロ ボシド誘導体担持ボール型カルボシランデンドリマー 34 ( 121. 3 mg, 55 %) を得た。 分子量測定では親ピークが観測されなかったため、 2価ィ オンに基づくピークにより高分解能測定を行った。
< Ball (0) 4- paragloboside- 0H (35) の合成 >
アルゴン雰囲気下、 ァセチル保護したパラグロボシド誘導体担持ボー ル型カルボシランデンドリマー 34 (91.3 mg, 0.017 mmol) を dry メタノ ール 1.0 mlに溶解し、 ナトリウムメ トキシド (4.7 mg, 0.09 mmol) を加 えた。室温で 40分撹拌した後、 0.1 M水酸化ナトリゥム水溶液 5.0 mlを加 え 27時間撹拌した。 反応終了後、 陽イオン交換樹脂 (オルガノ社製アン バーライ ト IR120B) を加え溶液を中和した。 綿栓ろ過で樹脂を除き、 ろ 液を濃縮した。 残渣をゲルろ過 (G50, 5%酢酸水溶液) および GPC (GS-2 20, 5%酢酸水溶液) で精製し、凍結乾燥することにより無保護の化合物 3 5 (39.1 mg, 68 % ) を得た。 分子量測定では親ピークが観測されなかつ たため、 2価イオンに基づくピークにより高分解能測定を行った。 同定 結果を以下に示す。
NMR : 'Η (D20, 400 MHz) : d (ppm) 4.28-4.34 (m), 4.00 (br s), 3.76- 3.81 (m), 3.36-3.70 (m) , 3.16 (br s), 2.42 (br s, 16 H, — CH2S), 1.89 (s, 12 H, NHAc) , 1.49 (br s), 1.32 (br s), 0.57 (br s, 8 H, SiCH2 -).
NMR : 13C (D20, 100 MHz) : d(ppm) 181.24, 102.67, 102.58, 102.40, 102.01, 81.84, 78.17, 77.90, 75.03, 74.57, 74.44, 74.24, 72.54, 72.21, 71.89, 70.67, 69.95, 69.64, 68.24, 68.01, 35.30, 31.36, 2 9.67, 29.47, 29.04, 28.58, 24.67, 23.80, 22.04 11.38.
ESI - MS Anal. Calc. for C136H240N4084S4Si [M+2Na]2+/2: 1737.6540 Foun d: 1737.6544.
以下の反応式に従って Dumbbell (1)6- paragloboside- OH (37)を調製し た。
JP2005/007755
< Dumbbel l (l) 6-paragloboside-0A c (36)の合成〉
アルゴン雰囲気下、末端臭化物カルボシランデンドリマー Dumbbell (1) 6-Br (27. 9 mg, 0. 030 mmol) および 4糖チオアセチル体 31 (345. 3 mg, 0. 255 mmol) を dry DMF0. 4 mlに溶解した後、 dry メタノール 0. 4 mlをカロ え十分に撹拌した。 あらかじめ調製したナトリ ゥムメ トキシド( 1 Mメタ ノール溶液) 280 mlを滴下し、 室温で 11時間撹拌した。 酢酸 0. 2 mlを加 えナトリウムメ トキシドを中和した後、 懸濁液を濃縮した。 反応混合物 に dry ピリジン 5 mlと無水酢酸 2. 5 mlを加え 30°Cで 4時間撹拌しァセチ ル化を行った。 反応液を氷水にあけ無水酢酸を加水分解した後、 酢酸ェ チルで抽出し、 有機層を 1 M塩酸、 飽和炭酸水素ナトリ ゥム水溶液、 飽和 食塩水の順に洗浄し、 無水硫酸マグネシウムで乾燥した。 有機層を濃縮 し、 残渣を GPC (カラム 2· 5Η · 3 Η) で精製を行いァセチル保護したパラ グロボシド誘導体担持ダンベル型カルボシランデンドリマー 36 ( 110. 0 mg, 44 %) を得た。 分子量測定では親ピークが観測されなかったため、 3価イオンに基づくピークにより測定を行った。
く Dumbbell (1) 6-paragloboside-0H (37) の合成 >
アルゴン雰囲気下、 ァセチル保護したパラグロポシド誘導体担持ダン
ベル型カルボシランデンドリマー(69, 6 mg, 0.008 mmol) を dry メタノ ール (1.0 ml) に溶解し、 ナトリウムメ トキシド (3· 5 mg, 0.07 mmol) を加えた。 室温で 30分撹拌した後、 0.1 M水酸化ナトリウム水溶液 5.0 m 1を加え 5時間撹拌した。 0.1 M水酸化ナトリウム水溶液 5.0 mlを加えさら に 21時間撹拌した。 反応終了後、 陽イオン交換樹脂 (オルガノ社製アン パーライ ト IR120B) を加え溶液を中和した。 綿栓ろ過で樹脂を除き、 ろ 液を濃縮した。 残渣を GPC (GS-220 - GS-320, 5%酢酸水溶液) で精製し、 凍結乾燥することにより無保護の化合物 3ァ (42.4 mg, 96 % ) を得た。 分子量測定では親ピークが観測されなかったため、 3価イオンに基づく ピークにより高分解能測定を行った。 同定結果を以下に示す。
蓮 : XH (D20, 400 MHz) : d (ppm) 4.33-4.35 (br m) , 4.02 (br s), 3. 79-3.83 (br m) , 3.59-3.70 (br m) , 3.39-3.52 (br m), 3.20 (br m), 2.44 (br s, 24 H, 一 CH2S), 1.92 (s, 18 H, NHAc) , 1.77 (br s), 1. 51 (br s), 1,35 (br s), 0.49-0.57 (br m, 10 H, SiCH2 -), -0.14 (b r s, 6 H, SiCH3).
NMR : 13C (D20, 100 MHz) : d(ppm) 177.089, 102.94, 102.74, 102.40,
99.98, 82.20, 78.28, 75.38, 74.91, 74.77, 74.60, 72.89, 72.78, 72.56, 72.25, 71.02, 70.41, 70.26, 69.98, 68.59, 68.35, 61.07, 6 0.85, 59.95, 55.28, 29.54, 29.05, 25.13, 24.26, 22.43, 20.68, - 0. 25.
ESI-MS Anal. Calc. for C212H378N60126S6Si3 [M+3Na]3+/3: 1790.6916 Fou nd: 1790.6891.
(実施例 4) '
く 1.1 Dengue virus 至適濃度の検討〉
K562細胞をコンフルェントまで培養した後、 4 X 105cells/tubeになる ようにマイクロチューブに分取した。 これを 4°C、 3,600 rpmで 3分間遠心
後、得られた細胞のペレツトを 0.1% BSA含有 PBS 1 mlで 1回洗浄した。 4°C、 3, 600 rpmで 3分間遠心した後、 Dengue virus (ThNH- 7/93) 原液を、 それ ぞれ 2000 units/ml, 1000 units/ml, 500 units/ml, 250 units/ml, 12 5 units/mlとなるように 0.1%BSA含有 PBSで希釈して、 それぞれ K562細胞 に 100 μ 1ずつ加え、 4°Cで 1時間反応させた。なお、 virus (-)として、 0. 1% BSA含有 PBSのみを同量加えた。反応終了後、冷 PBS (-) 1 mlで細胞を 3 回洗浄し、一次抗体として Alexa標識マウス抗 Dengue virus単クローン抗 体 (クローン 12D11/7E8) を 3.13 μ g/mlの濃度に希釈した抗体溶液 100 ;z lずつ加え、 よく懸濁した後 4°Cで 30分間反応させた。 コントロール染 色として、 Alexa標識マウス IgGlを同濃度となるように調製して行った。 反応終了後、 冷 PBS (-) 1 mlで細胞を 3回洗浄し、 得られたペレッ トに対 して 0.5 mlの冷 PBS (-)を加えよく懸濁し、 フローサイ トメーター (Epic s, USA) で測定した。 Dengue virus至適濃度の検討に用いた Dengue vir usの細胞表面への結合アツセィの結果を第 1図に示す。 第 1図よりウイ ルスは 125 - 2000 units/mlの間で、 ウィルス濃度依存的に十分に K562細 胞への結合性を示した。 したがってアツセィに用いるウィルス濃度を検 出感度、 ウィルス依存的な結合性の両方を考慮して、 以後反応に用いる ウィルス濃度を 1000 units/mlに決定した。 以後の実験では virusの濃度 を 1000 units/ralに設定した。
<1.2 Alexa標識一次抗体 (12D11/7E8) 至適濃度の検討 >
1-1の結果より Dengue virusの濃度を 1000 units/mlに設定して細胞表 面への結合アツセィを行った。 ここでは一次抗体の濃度を、 1.56 - 13.5 g/mlとなるように冷 PBS (-)で調製した。 コントロール染色として、 A1 exa標識マウス IgGlを同濃度となるように調製して行った。 実験方法は 1 -1に準じた。 一次抗体の使用濃度を、 以後の実験において 6.25 μ g/ l とした。 Alexa標識一次抗体 (12D11/7E8) 至適濃度の検討に用いた Deng
7755 ue virusの細胞表面への結合アツセィの結果を第 2図に示す。 第 2図の 結果から、 またアツセィに用いる検出抗体濃度の検討では、 第 2図より 一次抗体の濃度が 1. 56 - 6. 25 g/mlの間でその濃度に依存して結合量 が変化していた。 しかし、それ以上の抗体濃度例えば 13. 5 u g/mlでも結 合性に大きな変化が認められなかったことから、 6. 25 g/mlの検出抗体 濃度で、 細胞表面に結合しているすべてのウイルス粒子の検出に充分で あると判断した。 したがって、 アツセィに用いる至適抗体濃度を 6. 25 μ g/mlと決定した.。
< 1-3 Dumbbell (1) 6- paragloboside - 0Hによる Dengue virusの K562細 胞表面への結合阻害活性の検討 >
1 - 1および 1-2で決定した至適ウィルスおよび至適抗体濃度を用いて、 実施 ί列 3で調製した Dumbbell (l) 6—paragloboside—0Hの添カロカ Dengue vi rusの K562細胞表面への結合に及ぼす影響を検討した。ウィルス濃度およ び抗体濃度は、 それぞれ 1000 units/ml , 6. 25 ^ g/mlとして行った。 ま ず Dumbbell型デンドリマーおよび nLc4 (Gal j3 l-4GlcNAc j3 l-3Gal j3 1-4G lc) オリゴ糖を 125- 1000 Mの濃度溶液となるように 0. 1/。BSA含有 PBSで マイクロチューブにそれぞれ 50 μ ΐずつ調製した。 このチューブに Deng ue virus 溶液 50 μ 1 を加えて、 よく混合した後、 4°C で 30分間プレイ ンキュベーションを行った。プレインキュベーション溶液を K562細胞(2 X 105cel ls/tube) の入ったチューブに加えて、 よく混合した後、 4°C で 1時間ウィルス結合を行わせた。 Virus (-)サンプルには、 0. 1%BSA含有 P BSのみを同量加えた。 以降の実験操作は 1-1に準じた。 Dumbbell (1) 6- pa ragloboside- OHを添加した際の Dengue virusの K562細胞表面への結合ァ ッセィの結果を第 3図に示す。
以上のように Dumbbell (1) 6 - paragloboside-OH存在下での、 Dengue vi rusの K562細胞表面への結合活性を測定することにより、 Dumbbel l (1) 6-
paragloboside- OHの効果を検討した。第 3図に示したように Dumbbell(l) 6 - paragloboside-OH存在下において、 濃度依存的に Dengue virusの細胞 表面への結合阻害効果が観察された。実験に用いた最高濃度 1000 μΜで 6 6%の阻害が、 最小濃度 125 μ Μ でも 50%の阻害作用が観察された。 Den gue virusは nLc4糖鎖を有するパラグロボシドと呼ばれる糖脂質に TLC上 で結合すること、 ならびにその糖脂質によって K562細胞表面へのウィル スの結合が阻害されることがわかっている。 今回用いた nLc4はパラグロ ボシドの糖鎖部分のみのオリゴ糖分子である。阻害に用いた Dumbbe 11(1) 6- paragloboside - 0Hと同濃度 (500 μ Μ) では、 この糖鎖部分だけのオリ ゴ糖ではほとんど阻害が認められておらず、この糖鎖を多価に付加した D umbbell型分子構造にすることにより、阻害効果が発現、増強されたこと が示された。
(実施例 5 )
(デング熱ウィルス感染阻害実験)
2.3 X 105 cells/mlに調製した BHK21細胞を、 48 well plate に、 250 microl/wellとなるように播き込み、 20〜24時間培養を行った。 次いで、 培地を除いた後、該 48 well plate に、 Dengue virus溶液(5200FFU/ml) 200 microl及ぴ第 1表に示す阻害剤溶液 200 mircolを混合して得た混 合液を、 125 microl/wellで加えた。その後、 3 7 °Cで 2時間感染させた。 感染終了後、 SF - DMEM 300 microl/wellで、 3回洗浄し、 overlay mediu mを加え、 4 3時間培養した。 培養終了後、 パラホルムアルデヒ ドで固定 し、更に NP-40処理を行った。次いで、一次抗体(デング出血熱患者血清) 反応を行い、 次いで、 二次抗体 (HRP- GaH IgG) 反応を行った。 次いで、 コニカイムノスティン kitを用いて染色した。以上により得られたデング 熱ウィルス感染阻害実験結果を第 1表及び第 4図に示す。 なお、 第 1表 中、 感染率 (%) は、 試験 Aの Foucus number Averageに対する、 各試験
5007755 の Foucus number Averageの百分率である
(第 1表)
1 ) 実施例 3で得た Ball(0)4-paragloboside - OH (35)
2) 実施例 3で得た Fan(0)3-paragloboside- 0H (33)
3) 実施例 3で得た Dumbbell(l)6-paragloboside - OH (37)