JP5283033B2 - シアリルα(2→6)ラクトース含有化合物及びその使用 - Google Patents
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Description
このようなインフルエンザウィルスの性質に着目して、いくつかのインフルエンザ治療剤が製造されており、インフルエンザ感染症の流行を抑止する上で一定の効果を上げてきた。これらの製剤としては、例えば、インフルエンザ膜タンパク質のイオンチャンネル阻害剤(シンメトレルR(アマンタジン))やシアリダーゼの阻害剤(タミフルR(リン酸オセルタミビル)とリレンザR(ザナミビル))が、インフルエンザの特効薬として処方されている。しかしながら、これらの特効薬は何れも天然物とは異なるため、その耐性ウィルスの出現が危惧されており、近年、シンメトレルRやタミフルRに対する耐性ウィルスが出現した事例の報告もある。そのため、変異性の高いインフルエンザウィルスによる感染症に対して、効果を持続し得る医薬の開発が望まれている。
従って、本発明は、ヒトインフルエンザウィルスの感染を有効に阻害し、安価かつ容易に製造することができる化合物の提供、及び該化合物を含有する抗インフルエンザ予防薬及び/又は治療薬、さらには、インフルエンザ感染の予防手段等の提供を目的とする。
インフルエンザウィルスのヘマグルチニンと結合し、その感染を阻害し得る化合物はこれまでにもいくつか知られているが、通常は、これらの化合物をできるだけ高密度にクラスター化して、阻害効果を高める方向で検討が行われていたが、本発明においては、意外にも、比較的低分子であるシアリルα(2→6)ラクトースのダイマーが効果的にインフルエンザによる感染を阻害し得ることが見出された。従って、本発明によって、インフルエンザ感染の阻害化合物の開発を、比較的低コストかつ容易に行う手段が提供されることになる。
[式中、Aは、酸素、窒素、カルボニル又は硫黄を含んでもよい炭化水素鎖を示し、Bは下記の式(II)の置換基
(ただし、R1は水素、ベンジル基又はアセチル基であり、R2は水素、金属原子又はメチル基を表す)のいずれか]で表されるシアリルラクトース誘導体結合化合物、及びその薬理学上許容される塩又はそれらの水和物、並びに該化合物及びその薬理学上許容される塩又はそれらの水和物に加えて薬理学上許容される担体を含有することを特徴とする感染症、特に、インフルエンザウィルスによる感染症の予防又は治療のための抗ウィルス剤、あるいは、予防又は治療のための用途を提供する。
(式中、R1は、水素、ベンジル基又はアセチル基であり、R2は、水素、金属原子又はメチル基を示し、m及びnは1以上の整数であって、同一でも相違なってもよい)で表されるシアリルラクトース誘導体結合化合物、及びその薬理学上許容される塩又はそれらの水和物、並びに該化合物及びその薬理学上許容される塩又はそれらの水和物に加えて薬理学上許容される担体を含有することを特徴とする感染症、特に、インフルエンザウィルスによる感染症の予防又は治療のための抗ウィルス剤、あるいは、予防又は治療のための用途を提供する。
(式中、E1及びE2は、炭素、ケイ素、ゲルマニウムのいずれかであり、互いに同一でも異なっていてもよく、R3、R4は、同一又は異なった炭化水素基を示し、R5、R6及びR7は酸素、窒素又はカルボニル基を含んでもよい同一又は異なった炭化水素鎖を示し、Yは下記の式(V)の置換基、
(ただし、Z1及びZ2は酸素又は硫黄であって、同一又は異なってもよい)若しくは他の官能基であって少なくとも1つは式(V)の置換基を示し、kは0〜2の整数であり、lは0〜2の整数であり、jは0又は1の数を示し、jが0のときは3−lは1である)で表されるシアリルラクトース誘導体結合化合物、及びその薬理学上許容される塩又はそれらの水和物、並びに該化合物及びその薬理学上許容される塩又はそれらの水和物に加えて薬理学上許容される担体を含有することを特徴とする感染症、特に、インフルエンザウィルスによる感染症の予防又は治療のための抗ウィルス剤、あるいは、予防又は治療のための用途を提供する。
のいずれかであるが、ここで、R1は水素、ベンジル基又はアセチル基であり、R2は水素、金属原子又はメチル基を表すなどが好ましい。特に、R1及びR2が水素であり、Aが−O−(CH2)5−S−S−(CH2)5−O−である場合が好ましい。
式(III)の化合物において、R1がアセチル基であり、R2がメチル基である化合物(IIIa)は、例えば、以下のような過程により合成することができる。
また、本発明のデンドリマーにおいては、1分子中の全てのYの位置が上記置換基のいずれかであることが望ましいが、必ずしも、全てのYが上記置換基である必要はなく、例えば、水素、C=C二重結合、水酸基などであってもよく、当該技術分野における通常の合成方法により、チオシアロオリゴ糖以外にYの位置に結合し得ると当業者によって予測され得る置換基の如何なるものであってもよい。
(式IVa、IVb、IVc及びIVd中、E1及びE2は、炭素、ケイ素、ゲルマニウムのいずれかであり、互いに同一でも異なっていてもよく、R3は、炭化水素基を示し、R5、R6及びR7は酸素又は窒素あるいはカルボニル基を含んでもよい同一又は異なった炭化水素鎖を示し、Yは式(V)の置換基(ただし、Z1及びZ2は酸素又は硫黄であって、同一又は異なってもよい)若しくは他の官能基であって少なくとも1つは式(V)の置換基を示す)
(上記式中、X1はハロゲン原子、X2は反応脱離性の保護基を示し、Yは、Yは式(V)の置換基(ただし、Z1及びZ2は酸素又は硫黄であって、同一又は異なってもよい)若しくは他の官能基であって少なくとも1つは式(V)の置換基)
本発明の式(IV)の化合物は、式(V)で表されるハロゲン化デンドリマーと式(VI)で表されるスルフィド化合物とを反応させ、必要に応じて、スルフィド化合物中の保護基を脱離させることにより本発明の式(IV)の化合物を製造できる。
上記薬剤は、本発明の化合物、その薬剤上許容される塩又はそれらの水和物のうち、1又は複数の種類を含有してもよい。また、本発明の化合物を製剤化する場合には、製剤中、通常、0.1〜50質量%、好ましくは、0.5〜20質量%となるように含有される。
「薬剤上許容される担体」は、溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌及び抗真菌剤、アイソトニックに作用して吸着を遅らせる薬剤及びその類似物を含み、薬剤的投与に適するもののことである。該担体及び該担体を希釈するために好ましいものの例には、限定はしないが、水、生理食塩水、フィンガー溶液、デキストロース溶液、コラーゲン、ヒト血清アルブミン、有機溶剤、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、キサンタンガム、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、寒天、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン、マンニトール、ソルビトール、ラクトース等などが含まれる。また、リポソーム及び不揮発性油などの非水溶性媒体も用いられる。さらに、本発明の化合物の活性を保護又は促進するような特定の化合物が、該組成物中に包含されていてもよい。
pHは塩酸又は水酸化ナトリウムなどの酸又は塩基で調製することができる。非経口的標品はアンプル、ガラスもしくはプラスチック製の使い捨てシリンジ又は複数回投与用バイアル中に収納される。
また、軟膏剤、クリーム剤として使用する場合には、担体として、ワセリン、流動パラフィン、スクワラン、セタノール、ステアリルアルコール等、当業者によって容易に選択可能な物質を使用することができる。
錠剤、丸薬、カプセル剤、トローチ及びその類似物は以下の成分又は類似の性質を持つ化合物の何れかを含み得る:微結晶性セルロースのような賦形剤、アラビアゴム、トラガント又はゼラチンなどの結合剤;スターチ又はラクトースなどの、アルギン酸、PRIMOGEL、又はコーンスターチなどの膨化剤;ステアリン酸マグネシウム又はSTRROTESなどの潤滑剤;コロイド性シリコン二酸化物などの滑剤;スクロース又はサッカリンなどの甘味剤;又はペパーミント、メチルサリチル酸又はオレンジフレイバーなどの香料添加剤。
注射投与の場合は、例えば、一日に患者の体重あたり約0.1μg/kgから約500mg/kgを投与するのが好ましく、一般に一回又は複数回に分けて投与され得るであろう。好ましくは、投与量レベルは、一日に約0.1μg/kgから約250mg/kgであり、より好ましくは一日に約0.5μg〜約100mg/kgである。
経口投与の場合は、組成物は、好ましくは1.0から1000mgの活性成分を含む錠剤の形態で提供され、好ましくは活性成分が1.0,5.0,10.0,15.0,20.0,25.0,50.0,75.0,100.0,150.0,200.0,250.0,300.0,400.0,500.0,600.0,750.0,800.0,900.0及び1000.0mgである。化合物は一日に1〜4回の投与計画で、好ましくは一日に一回又は二回投与される。
また、点鼻、粘膜への塗布の場合には、適宜、適量を点鼻又は塗布することで投与量を調節することができる。
ここで「治療」とは、ウィルスに感染するおそれがあるか又は感染した哺乳動物において、該感染症の病態の進行を阻止又は緩和することを意味し、治療的処置のみならず予防的処置をも含む広い意味として使用される。
メチル 5−アセトアミド−2,4,7,8,9−ペンタ−O−アセチル−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−D−ガラクト−2−ノニュロピラノシロネート(2)の合成
N−アセチルノイラミン酸(1)(20.0g,64.7mmol)にメタノール(300.0mL)とDowex−50(20.0g)を加え、窒素雰囲気下、室温で18時間攪拌した。TLC{Rf 0.28[65:25:4(v/v/v)CHCl3−MeOH−H2O]}にて反応終了を確認後、反応液を綿濾過し濃縮した。得られた残渣に、氷冷下ピリジン(200.0mL)と無水酢酸(153.0mL)、ジメチルアミノピリジン(0.8g,6.47mmol)を加え、室温に戻した後12時間攪拌した。反応液を濃縮後、残渣にクロロホルムと水を加え、水層をクロロホルムで抽出した。有機層を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。この有機層を濾過し、濾液を濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[AcOEt]により精製し完全保護体(2)(30.0g,87%)を得た。
シアル酸アセテート体(2)(22g,41.2mmol)をジクロロメタン(220.0mL)に溶解し、1−ドデカンチオール(39.5mL,165mmol)を加え攪拌した。アルゴン雰囲気下、氷浴中にて三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(15.5mL,123mmol)を滴下し室温にて5時間攪拌した。反応液をクロロホルムで希釈し水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に抽出を行い、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。この有機層を濾過し、濾液を濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[1:2(v/v),Hexane−AcOEt]により精製し、(3)(28g,100%)を得た。
酢酸ナトリウム(60g,0.73mol)に無水酢酸(717mL,7.59mol)を加え110℃に加温した。次に、ラクトース(4)(200g,0.58mol)を少量ずつ加え1.5時間攪拌した。反応液を氷蒸留水の中に入れ攪拌し、一晩放置した。蒸留水で酢酸臭を洗い流しながら吸引濾過し、乾燥させた。残渣をエタノールにより再結晶を行い(5)(352g,89%)を得た。
β−アセテート体(5)(40g,59mmol)に酢酸(80mL)、無水酢酸(1mL)を加え攪拌後、30%臭化水素−酢酸溶液(24mL,120mmol)を滴下し、密栓、遮光し室温にて2時間攪拌した。反応液をクロロホルムで希釈し水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に抽出を行い、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。この有機層を濾過し、濾液を濃縮後、残渣をジエチルエーテルにより結晶化を行い、(6)(34g,82%)を得た。
(i)アセトブロモラクトース(6)(21.4g,30.6mol)をジクロロメタン(150mL)に溶解し、MS−4A(10.0g)を加えアルゴン雰囲気下、遮光し室温で3時間攪拌した。(ii)ジクロロメタン(75mL)に炭酸銀(8.4g,30.6mmol)、過塩素酸銀(6.4g,30.6mmol)、トリメチルエタノール(11mL,76.5mmol)、MS4A(15.0g)を加えアルゴン雰囲気下、遮光し室温で3時間攪拌した。(ii)を氷冷し、(i)を(ii)に遮光した滴下漏斗を用いて滴下し、室温に戻し1時間攪拌した。TLCにて反応終了を確認後、反応液を濾過し、濾液をクロロホルムで希釈して飽和食塩水で抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムにより乾燥させた。この有機層を濾過し、濾液を濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[5:2(v/v),Toluene−AcOEt]により精製し、(7)(16.2g,72%)を得た。
トリメチルシリルエチルグリコシド誘導体(7)(2.76g,3.73mmol)をメタノール(28mL)に溶解し、ナトリウムメトキシド(0.14g,2.61mmol)を加え窒素雰囲気下、室温で2時間攪拌した。反応液を陽イオン交換樹脂(IR120−B NA)で中和し、イオン交換樹脂を濾取した後、濾液を濃縮した。残渣をエタノールによる再結晶化を行い、化合物(8)(1.54g,93.3%)を得た。(8)(2.80g,6.33mmol)をDMF(14mL)に溶解し、ベンズアルデヒドジメチルアセタール(1.44mL,9.50mmol)とカンファスルホン酸(0.29g,1.26mmol)を加え、60℃に加温し、減圧下において攪拌した。TLCにて反応終了を確認後、トリエチルアミン(0.2mL)により中和し、反応液を濃縮して化合物(9)を得た。得られた(9)をそのままDMF(30mL)に溶解させ、氷冷した水素化ナトリウムDMF溶液中(水素化ナトリウム:1.82g,37.9mmol,DMF:10mL)に滴下した。次に臭化ベンジル(4.5mL,37.9mmol)を滴下し攪拌した。TLCにて反応終了を確認後、少量のメタノール(2mL)により余剰量の水素化ナトリウムを処理し、反応液をトルエンで希釈して飽和食塩水で抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムにより乾燥させた。この有機層を濾過し、濾液を濃縮後、化合物(10)を得た。得られた(10)を80%酢酸水溶液(100mL)に溶解し、45℃に加温して一晩攪拌した。TLCにて反応終了を確認後、反応液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[2:1(v/v),Hexane−AcOEt]により精製し、化合物(11)(2.26g,40 %)を得た。
β−アセテート体(5)(100g,0.147mol)をジクロロメタン(220.0mL)に溶解し、ベンジルアルコ―ル(30.5mL,0.295mol)を加え攪拌した。アルゴン雰囲気下、氷浴中にて三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(55.5mL,0.442mol)を滴下し室温にて5時間攪拌した。反応液をクロロホルムで希釈し蒸留水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に抽出を行い、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。この有機層を濾過し、濾液を少し粘性が出てくるまで濃縮後、ヘキサンを加え激しく振った。白い個体になるまでこの操作を繰り返し、ヘキサンをデカンテーションにより除去後、メタノールによる再結晶化を行い(12)(40g,37%)を得た。
化合物(12)(39.80g,54.80mmol)にメタノール(370.0mL)−DMF(100.0mL)混合溶液を加え攪拌した。1Mナトリウムメトキシド−メタノール溶液(38.3mL,38.30mmol)を加え、室温で3時間攪拌した。陽イオン交換樹脂IR−120B(H+)を加え、反応溶液を中和した。樹脂を除き、濃縮乾燥することでベンジルグリコシド体(13)(24.65g)を得た。ここで13の精製は行わずに、(13)(10.00g, 23,14mmol)をDMF(100mL)に溶解させ、ベンズアルデヒドジメチルアセタール(5.3mL,34.71mmol)とp−トルエンスルホン酸・一水和物(0.44g,2.31mmol)を加え室温で5時間攪拌した後に、60℃で1時間攪拌した。反応混合物を氷冷し、トリエチルアミン(0.7mL)を加え中和した後濃縮した。得られた残渣をDMF(100mL)に溶解させ、ヘキサン洗浄した水素化ナトリウム(6.66g)のDMF溶液(100mL)に氷冷下加えた。臭化ベンジル(16.5mL,138.80mmol)を20分かけ滴下した後、2.5時間攪拌した。メタノール(11.3mL)を加えた後、反応溶液を濃縮し、残渣にトルエンと水を加えた。水層をトルエンで抽出した後、有機層を水、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮した。得られた残渣に80%酢酸メタノール水溶液(100mL)を加え、50℃で20時間攪拌し、その後濃縮した。残渣にクロロホルムと水を加え、水層をクロロホルムで抽出した後、有機層を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー[2:5(v/v),AcOEt−Toluene]で精製することでジオール体(16)(12.41g)を4段階通算収率61%で得た。
シアル酸チオラウリルグリコシド誘導体(3)(740mg,1.10mmol)と4’,6’−ジオール誘導体(11)(510mg,0.57mmol)をアセトニトリル(9mL)に溶解し、MS4A(1.5g)を加えアルゴン雰囲気下、室温で6時間攪拌した。反応液を−40℃に冷却後、N−ヨードコハク酸イミド(510mg,2.27mmol)、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホン酸(40μL,0.23mmol)の順に加え、3時間攪拌した。反応液を濾過し、濾液をクロロホルムで希釈して、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に抽出を行った。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ濾過し、濾液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[2:1(v/v), Toluene−AcOEt]により精製し、化合物(17)(78%; α:49%, β:22%, mix:7%)を得た。
シアル酸チオラウリルグリコシド誘導体(3)(1.52g,1.92×10−3mol)と4’,6’−ジオール誘導体(16)(0.99mg,9.63×10−4mol)をプロピオニトリル(25mL)に溶解し、MS4A(1.76g)を加えアルゴン雰囲気下、室温で一晩攪拌した。NIS(1.02g,4.53×10−3mol)を加え、反応液を−40℃に冷却後、TMSOTf(82μL,4.53×10−4mol)を滴化し、3.5時間攪拌した。反応液を濾過し、濾液にクロロホルムと水を加え、水層をクロロホルムで抽出した。有機層を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後濾過し、濾液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[1:2→2:3→1:1(v/v),AcOEt− Toluene]により精製し、化合物(18)(80%; α:60%, β:20%)を得た。
3糖誘導体(17)(175mg,0.13mmol)をメタノール(2mL)に溶解し、20%水酸化パラジウム/活性炭(130mg)を加え、水素雰囲気下、室温で数時間攪拌した。TLCにより反応終了を確認後、反応液を活性炭濾過し、濾液を濃縮した。残渣をピリジン(6mL)に溶解し、アルゴン雰囲気下、氷浴中にて無水酢酸(3mL)を滴下した後、室温に戻し一晩攪拌した。TLCにより反応終了を確認後、反応液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[4:1(v/v),AcOEt−Toluene]により精製し、3糖完全アセチル化体(19)(149mg,100%)を得た。
3糖誘導体(18)(3.54g,2.61 mol)をメタノール(35mL)に溶解し、20%水酸化パラジウム/活性炭(3.54g)を加え、水素雰囲気下、室温で16時間攪拌した。TLC{Rf 0.71[65:25:4(v/v/v),CHCl3−MeOH−H2O]}により反応終了を確認後、反応液を活性炭濾過し、濾液を濃縮した。得られた残渣をピリジン(20mL)に溶解し、アルゴン雰囲気下、氷浴中にて無水酢酸(10mL)を滴下した後、室温に戻し一晩攪拌した。TLCにより反応終了を確認後、反応液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[70:1 (v/v), CHCl3−MeOH]により精製し、3糖完全アセチル体(20)(2.89g,100%)を得た。
3糖完全アセチル化体(19)(286mg,2.45×10−4mol)をジクロロメタンに溶解し、アルゴン雰囲気下、氷浴中にて三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(0.3mL 2.08×10−3mol)を滴下し、3時間間攪拌した。反応液をクロロホルムで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に抽出を行い、有機層を無水硫酸マグネシウムにより乾燥させた。この有機層を濾過し、濾液を濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[4:1 (v/v), AcOEt−Toluene]により精製し、還元性3糖誘導体(21)(226mg,87%)を得た。
3糖完全アセチル化体(20)(3.54g,2.61mmol)をDMF(58.0mL)に溶解し、アルゴン雰囲気下、ヒドラジン・一水和物(64%)(濃度が64%なので、1.6倍すると約1.0等量分となる。0.2mL,2.61mmol)を滴下し、50℃にて20分間攪拌した後に、室温に戻しさらに10分間攪拌させた。反応液を酢酸エチルで希釈し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムにより乾燥させ、有機層を濾過し、濾液を濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[60:1 (v/v),CHCl3−MeOH]により精製し、還元性3糖誘導体(21)(2.46g,88%)を得た。
還元性3糖(21)(2.46g,2.30×10−3mol)をジクロロメタン(49.20mL)に溶解し、アルゴン雰囲気下、−5℃に冷却した後トリクロロアセトニトリル(6.93mL,69.0×10−3mol)、DBU(1.8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−ウンデカ−7−エン)(0.14mL,9.22×10−4mol)を滴化し数分間攪拌した。その後、0℃で2時間攪拌した。反応液を濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[50:1 (v/v), CHCl3−MeOH]により精製し、α−トリクロロアセトイミデート体(22)(2.79g,100%)を得た。
α−トリクロロアセトイミデート体(22)(100mg,8.25×10−5mol)をジクロロメタン(2mL)に溶解し、4−ペンテン−1−オール(43iL,4.12×10−4mol )、MS4Aを加えアルゴン雰囲気下、室温で攪拌した。反応液を−5℃に冷却した後、TMSOTf(30μL,1.65×10−4mol)を滴下し5時間攪拌した。反応液を濾過し、濾液をクロロホルムで希釈して、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に抽出を行い、有機層を無水硫酸マグネシウムにより乾燥させた。この有機層を濾過し、濾液を濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[2:1 (v/v), AcOEt−Toluene]により精製し、3糖ペンテニルグリコシド誘導体(23)(67mg,72%)を得た。
ペンテニルグリコシド誘導体(100mg,8.80×10−5mol)に、メタノール(1mL)と1Mナトリウムメトキシド−メタノール溶液(90μL,8.80×10−5mol)を加え、13時間攪拌した。反応終了{Rf 0.31 [65:25:4 (v/v/v) CHCl3−MeOH−H2O]}を確認後、0.1M水酸化ナトリウム水溶液(1mL)を加え、一晩攪拌した。陽イオン交換樹脂IR120B(H+)により中和後、濃縮した。ゲル濾過による精製後、凍結乾燥することで、白色粉体の(24)(60mg,100%)を得た。
ペンテニルグリコシド誘導体(23)(1.18g,1.04mmol)を1,4−ジオキサン(2.51mL)に溶解し、チオ酢酸(2.51mL,35.30mmol)を加え50℃に加熱した。10分後AIBN(0.34g,2.08mmol)を加え80℃で加熱攪拌した。3時間後、反応液を冷却しシクロヘキサン(7.16mL,70.60mmol)を加え数分攪拌した。反応液にトルエンを加え共沸濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[0:1→1:1 (v/v), AcOEt−Toluene]により精製し、化合物(25)(1.25g)を定量的に得た。
N−アセチルノイラミン酸(1)(20.0g,64.7mmol)にメタノール(300.0 mL)とDowex−50w×8(20.0g)を加え、窒素雰囲気下、室温で18時間攪拌した。TLC{Rf 0.28 [65:25:4 (v/v/v) CHCl3−MeOH−H2O]}にて反応終了を確認後、反応液を綿濾過し濃縮した。得られた残渣をメタノールによる再結晶を行い、粒上のメチル体(16.8g,80%)を得た。メチル体(3.1g,9.6mmol)に氷冷下、塩化アセチル(31mL)を加え遮光し一晩攪拌した。反応液にメタノールを加え、濃縮し白色粉末の(26)(4.9g,100%)を得た。
β−セテート体(5)(30.0g,44.2mmol)をジクロロメタン(150.0mL)に溶解し、4−ペンテン−1−オール(5.9mL,57.5mmol)を加え攪拌した。アルゴン雰囲気下、氷浴中にて三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(7.3mL,57.5mmol)を30分間かけて滴下し、室温戻したのち6時間攪拌した。反応液にクロロホルムと水を加えた。水層をクロロホルムで抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[1:2 (v/v), AcOEt−Toluene]で精製し、(27)(12.2g,39%)を得た。
(27)(12.0g,17.1mmol)をメタノール(120mL)に溶解し、ナトリウムメトキシド(0.64g,11.9mmol)を加え窒素雰囲気下、室温で4時間攪拌した。反応液を陽イオン交換樹脂IR120B(H+)で中和し、濾液を濃縮し乾燥させることで(28)を得た。28をDMF(60mL)に溶解し、氷冷下2−メトキシプロペン(3.01mL, 32.2mmol)とCSA(0.30g,1.6mmol)を加え3時間攪拌した。TLC{Rf 0.63 [65:25:4 (v/v/v) CHCl3−MeOH−H2O]}にて反応終了を確認後、ピリジン(50mL)と無水酢酸(50mL)を加え、室温で一晩攪拌させた。反応液に水と酢酸エチルを加え、水層を酢酸エチルで抽出し、有機層を1N硫酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムにより乾燥させた。この有機層を濾過し、濾液を濃縮後、(30)を得た。(30)を80%酢酸水溶液(100mL)に溶解し、50℃に加温して一晩攪拌した。TLCにて反応終了を確認後、反応液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[2:1 (v/v), AcOEt−Toluene]により精製し、(31)(6.13g,40%)を4段階収率59%で得た。
Fan(0)3−6’SL−Ac(34)の合成
窒素雰囲気下、Fan(0)3−Brデンドリマー(33)(8.63mg,1.83×10−5mol)と3糖(5)(100mg,8.25×10−5mol))をDMF(0.2mL)とメタノール(0.2mL)に均一系になるまで溶解する。溶解後、1 Nナトリウムメトキシドメタノール溶液(90μL,9.07×10−5mol)を加え16時間攪拌する。酢酸を加え中和し、濃縮する。濃縮後、ピリジン(2mL)、無水酢酸(2mL)を加え29時間攪拌する。反応液を濃縮し、冷1N硫酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順にクロロホルムで抽出を行い、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この有機層をろ過し、ろ液を濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20:5:0.5→10:5:1 (v/v/v), CHCl3−AcOEt−MeOH)で精製し、Fan(0)3−6’SL−OAc(34)(44 mg,64%)を得た。
Fan(0)3−6’SL−OAc(34)(44mg,1.17×10−5mol)をメタノールに溶解し、窒素雰囲気下1Mナトリウムメトキシドメタノール溶液(35μL,3.53×10−5mol)を加え室温で23時間攪拌した。その後、0.05M水酸化ナトリウム水溶液(1 mL)を加え、室温で11時間攪拌した。反応液を陽イオン交換樹脂IR−120B(H+)で中和後、イオン交換樹脂をろ取し、ろ液を濃縮した。残渣をSephadex G−25(5% AcOHaq)によるゲルろ過精製を行い、凍結乾燥粉としてFan(0)3−6’SL−OH (46)(27mg,100%)を得た。
窒素雰囲気下、Ball(0)4−Brデンドリマー(36)(14.0mg,2.75×10−5mol)と3糖(25)(200mg,1.65×10−4mol)をDMF(0.2mL)とメタノール(0.2mL)に均一系になるまで溶解する。溶解後、1N ナトリウムメトキシドメタノール溶液(181μL,1.82×10−4mol)を加え3時間攪拌する。酢酸を加え中和し、濃縮する。濃縮後、ピリジン(2mL)、無水酢酸(2mL)、ジメチルアミノピリジン(少量)を加え攪拌する。反応液を濃縮し、冷1N硫酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順にクロロホルムで抽出を行い、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この有機層をろ過し、ろ液を濃縮後、メタノールとジエチルエーテルに溶解し、ジアゾメタンエーテル溶液を滴下した。反応液に気泡が出なくなるまで酢酸を加え濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(10:5:0.7 (v/v/v), CHCl3−AcOEt−MeOH)で精製し、Ball(0)4−6’SL−OAc(38)(8 mg,61%)を得た。
Ball(0)4−6’SL(OAc)(38)(51mg,1.05×10−5mol)をメタノールに溶解し、窒素雰囲気下1Mナトリウムメトキシド(41μL,4.18×10−5mol)を加え室温で3時間攪拌した。その後、0.05M 水酸化ナトリウム水溶液(1mL)を加え、室温で20時間攪拌した。反応液を陽イオン交換樹脂IR−120B(H+)で中和後、イオン交換樹脂をろ取し、ろ液を濃縮した。残渣をSephadex G−25(5% AcOHaq)によるゲルろ過精製を行い、凍結乾燥粉としてBall(0)4−6’SL−OH(48)(33mg,100%)を得た。
窒素雰囲気下、Dumbbell(1)6−Brデンドリマー(37)(12.8mg,1.37×10−5mol)と3糖(25)(20mg,1.65×10−4mol)をDMF(0.2mL)とメタノール(0.2mL)に均一系になるまで溶解する。溶解後、1N ナトリウムメトキシドメタノール溶液(181μL,1.82×10−4mol)を加え8時間攪拌する。酢酸を加え中和し、濃縮する。濃縮後、ピリジン(8mL)、無水酢酸(15mL)を加え13時間攪拌する。反応液を濃縮し、メタノールとジエチルエーテルに溶解し、ジアゾメタンエーテル溶液を滴下した。反応液に気泡が出なくなるまで酢酸を加え濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(20:5:0.5→10:5:0.7 (v/v/v), CHCl3−AcOEt−MeOH)で精製し、Dumbbell(1)6−6’SL−OAc(39)(51mg,50%)を得た。
Dumbbell(1)6−6’SL−OAc(39)(50g,6.69×10−6mol)をメタノールに溶解し、窒素雰囲気下1Mナトリウムメトキシド(40μL,4.02×10−5mol)を加え室温で4時間攪拌した。その後、0.05M 水酸化ナトリウム水溶液(1mL)を加え、室温で24時間攪拌した。反応液を陽イオン交換樹脂IR−120B(H+)で中和後、イオン交換樹脂をろ取し、ろ液を濃縮した。残渣をSephadex G−25(5% AcOHaq)によるゲルろ過精製を行い、凍結乾燥粉としてDumbbell(1)6−6’SL−OH(49)(32mg,100%)を得た。
窒素雰囲気下、Fan(0)3−amide−Brデンドリマー(40)(29.7mg,3.67×10−5mol)と3糖(200mg,1.65×10−4 mol)をDMF(0.4mL)とメタノール(0.4mL)に均一系になるまで溶解する。溶解後、1Nナトリウムメトキシドメタノール溶液(181μL,1.82×10−4mol)を加え3時間攪拌する。酢酸を加え中和し、濃縮する。濃縮後、ピリジン(2mL)、無水酢酸(2mL)、ジメチルアミノピリジン(少量)を加え攪拌する。反応液を濃縮し、冷1N 硫酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順にクロロホルムで抽出を行い、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この有機層をろ過し、ろ液を濃縮後、メタノールとジエチルエーテルに溶解し、ジアゾメタンエーテル溶液を滴下した。反応液に気泡が出なくなるまで酢酸を加え濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(20:5:1→10:1:1 (v/v/v), CHCl3−AcOEt−MeOH)で精製し、Fan(0)3−amide−6’SL−OAc(43)(40mg,27%)を得た。
Fan(0)3−amide−6’SL−OAc(43)(50mg,6.69×10−6mol)をメタノールに溶解し、窒素雰囲気下1Mナトリウムメトキシド(40μL,4.02×10−5mol)を加え室温で4時間攪拌した。その後、0.05M 水酸化ナトリウム水溶液(1mL)を加え、室温で24時間攪拌した。反応液を陽イオン交換樹脂IR−120B(H+)で中和後、イオン交換樹脂をろ取し、ろ液を濃縮した。残渣をSephadex G−25(5% AcOHaq)によるゲルろ過精製を行い、凍結乾燥粉としてFan(0)3−amide −6’SL−OH(50)(32mg,100%)を得た。
窒素雰囲気下、Ball(0)4−amide−Brデンドリマー(41)(26.6mg,2.75×10−5mol)と3糖(200mg,1.65×10−4mol)をDMF(0.4mL)とメタノール(0.4mL)に均一系になるまで溶解する。溶解後、1N ナトリウムメトキシドメタノール溶液(181μL,1.82×10−4mol)を加え6時間攪拌する。酢酸を加え中和し、濃縮する。濃縮後、ピリジン(2mL)、無水酢酸(2mL)、ジメチルアミノピリジン(少量)を加え攪拌する。反応液を濃縮し、冷1N 硫酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順にクロロホルムで抽出を行い、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この有機層をろ過し、ろ液を濃縮後、メタノールとジエチルエーテルに溶解し、ジアゾメタンエーテル溶液を滴下した。反応液に気泡が出なくなるまで酢酸を加え濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(20:5:1→5:4:1 (v/v/v), CHCl3−AcOEt−MeOH)で精製し、Ball(0)4−amide−6’SL−OAc(44)(50mg,34%)を得た。
Ball(0)4−amide−6’SL−OAc(44)(40mg,7.51×10−6mol)をメタノールに溶解し、窒素雰囲気下1Mナトリウムメトキシド(23μL,2.25×10−5mol)を加え室温で6時間攪拌した。その後、0.05M 水酸化ナトリウム水溶液(1mL)を加え、室温で12時間攪拌した。反応液を陽イオン交換樹脂IR−120B(H+)で中和後、イオン交換樹脂をろ取し、ろ液を濃縮した。残渣をSephadex G−25(5% AcOHaq)によるゲルろ過精製を行い、凍結乾燥粉としてBall(0)4−amide −6’SL−OH(51)(23mg,85%)を得た。
窒素雰囲気下、Dumbbell(1)6−Brデンドリマー(42)(29.5mg,1.83×10−5mol)と3糖(200mg,1.65×10−4mol)をDMF(0.2mL)とメタノール(0.2mL)に均一系になるまで溶解する。溶解後、1Nナトリウムメトキシドメタノール溶液(181μL,1.82×10−4mol)を加え19時間攪拌する。酢酸を加え中和し、濃縮する。濃縮後、ピリジン(2mL)、無水酢酸(2mL)を加え攪拌する。反応液を濃縮し、メタノールとジエチルエーテルに溶解させ、ジアゾメタンエーテル溶液を滴下した。反応液に気泡が出なくなるまで酢酸を加え濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー[100:1→10:1 (v/v), CHCl3−MeOH]で精製し、Dumbbell(1)6−amide−6’SL−OAc(45)(80mg,53%)を得た。
Dumbbell(1)6−amide−6’SL−OAc(45)(80mg,9.82×10−6mol)をメタノールに溶解し、窒素雰囲気下1Mナトリウムメトキシド(59μL,5.89×10−5mol)を加え室温で4時間攪拌した。その後、0.05M 水酸化ナトリウム水溶液(1mL)を加え、室温で15時間攪拌した。反応液を陽イオン交換樹脂IR−120B(H+)で中和後、イオン交換樹脂をろ取し、ろ液を濃縮した。残渣をSephadex G−25(5% AcOHaq)によるゲルろ過精製を行い、凍結乾燥粉としてDumbbell(1)6−amide−6’SL−OH(52)(36mg,67%)を得た。
シアリルラクトースダイマー(47)は、Ball(0)4−Brデンドリマー(36)又はDumbbell(1)6−Brデンドリマー(37)と3糖(25)とデンドリマー(36、37、40、41、42)との反応の際に合成されたもの(35)を脱保護し(47)、実験に使用した。
6’SL−dimmer−OAc(35)に関するデータ
1.53a(仕込み比6’SL:V.A.=1:20)
ペンテニルグリコシド体(23)(50mg,4.4×10−5mol)を酢酸ビニル(82μL, 8.8×10−4mol)に溶解させ、AIBNを加え、すぐさま90℃で撹拌した。2分あまりで攪拌が遅くなりとまってしまったが、そのままの状態で3.5時間置いた。その後、室温に戻し、メタノールを加え、濃縮した。残渣をSephadex LH−60(MeOH)によるゲル濾過を行い、コポリマー(20mg,35%)を得た。脱保護には、1Mナトリウムメトキシド−メタノール溶液(1mL)を加え、室温にて3時間攪拌後、0.5M水酸化ナトリウム水溶液を加え3時間攪拌した。陽イオン交換樹脂(IR−120B)により中和後、濃縮し、残渣をSephadex G−20(5% AcOH)によるゲル濾過を行い、水溶性糖鎖ポリマー53aを得た。
2.53b(仕込み比6’SL:V.A.=1:10)
ヘマグルチニンによる赤血球凝集効果に対する本発明の化合物の影響を検討した。
赤血球凝集効果を阻害するポジティブコントロールとしてフェチュイン(Fetuin)を用いて行った。また、ヘマグルチニンとしては、トリ型(A/Duck/HK/313/78(H5N3))とヒト型(A/Aichi/2/68(H3N2))を使用した。本発明の化合物のうち、Fan(0)3型デンドリマー(46)、高密度(53a)及び低密度(53b)ポリマーにおいて、ヒト型ヘマグルチニンによる赤血球凝集効果の阻害活性が見出された(表39)。本実験に用いた他の化合物(化合物(24)、(27)、(48)、(49)、(50)、(51)及び(52))については、ヘマグルチニン非存在下において、赤血球を凝集させる効果が見出されたため、本実験によりインフルエンザウィルスの感染阻害効果の有無について確認することはできなかった。そこで、プラークアッセイによりインフルエンザ感染の阻害効果を併せて検討した。
MDCK細胞に対するインフルエンザウィルスの感染性に対する本発明の化合物の阻害効果を検討した。
インフルエンザウィルス(A/Aichi/2/68(H3N2))と4℃で1時間インキュベートした後、ウィルスと化合物の混合物をローン状に培養したMDCK細胞に対し添加し、34℃で48時間培養した。その後、形成されたプラークの数をかぞえ、2回の実験の結果を表41にまとめた。
この結果、赤血球凝集効果阻害アッセイでは、その効果を確認できなかった化合物も含め、いずれについても、プラーク形成の阻害効果を見出すことができた。今回実験を行った本発明の化合物の阻害効果は、シアリルα(2→6)ラクトースを含む、ダイマー(47)>糖鎖低密度ポリマー(53b)>Fan(0)3(46)>糖鎖高密度ポリマー(53a)>Fan(0)3−amide(50)>モノマー(24)>Ball(0)4−amide(51)>Dumbbell(1)6(49)>Ball(0)4(48)>Dumbbell(1)6−amide(52)の順に阻害活性が高かった。
Claims (7)
- R 1 及びR 2 が水素である請求項1に記載のシアリルラクトース誘導体結合化合物、及びその薬理学上許容される塩又はそれらの水和物。
- R 1 及びR 2 が水素である請求項3に記載のシアリルラクトース誘導体結合化合物、及びその薬理学上許容される塩又はそれらの水和物。
- m:n=1:1〜30である請求項4に記載のシアリルラクトース誘導体結合化合物、及びその薬理学上許容される塩又はそれらの水和物。
- 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のシアリルラクトース誘導体結合化合物、その薬理学上許容される塩及びそれらの水和物、並びに薬理学上許容される担体を含有することを特徴とする感染症の予防又は治療のための抗ウィルス剤。
- 前記感染症がインフルエンザウィルス感染症であることを特徴とする請求項6に記載の抗ウィルス剤。
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