JP2005306617A - ダイヤモンド薄膜およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】臨界核径に近いダイヤモンド微粒子の分散液のゼータ電位と、基材表面のゼータ電位や表面電位制御することにより、ダイヤモンド微粒子の再凝集を防止し、且つ基材への高密度に定着させる。
【解決手段】ダイヤモンド微粒子の分散液のゼータ電位を制御するために分散液に酸を加えて分散液のpH値を調整し、その調整された分散液を基材の成膜面に接触させて、基材表面にダイヤモンド微粒子を定着させ、これを核として気相成長法により空隙状欠陥の少ないダイヤモンド薄膜を製造する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ダイヤモンド薄膜およびダイヤモンド薄膜の製造方法に関するものである。特に、ダイヤモンド微粒子の分散液のゼータ電位と基材のゼータ電位を制御して基材へのダイヤモンド微粒子の種付け、定着に特徴を有するものである。
ダイヤモンドは、地球上に存在する物質中で、硬さやヤング率が最も大きく、熱伝導率の最も高い物質であり、耐熱性に優れている物質である。また、赤外から紫外までの広い範囲にわたって光を透過し、屈折率や反射率の大きい特徴を有する。さらに、化学的に安定で、耐磨耗性や耐溶着性および耐薬品性に優れているまた、電気的には絶縁性に優れている。このような、特性を有するため、例えば、機械工等へのハードコーティングや半導体素子のヒートシンクなどのサーモマネジメント、赤外線や放射線の窓材などの応用が考えられる。また、ダイヤモンドは不純物を添加することにより、禁制帯幅の大きい半導体としても利用できるため、ダイオードやトランジスタ等のエレクトロニクス分野の応用も考えられる。ダイヤモンドの禁制帯幅は、約5.5eVであり、シリコンやゲルマニウム等の禁制帯幅より大きく、半導体としては電子・正孔ともに2000cm2/Vsという高いキャリア移動度を示し、しかも絶縁破壊電界は107V/cm以上と極めて高いので高電圧のパワーデバイス材料として応用がある。また、飽和電子速度が2.7×107cm/sとシリコンの2.7倍、比誘電率が5.7(1MHz)とシリコンの二分の一程度であるため、高速デバイスとしても可能性がある。
ダイヤモンド薄膜を形成する方法については、種々の技術があるが、気相合成法(CVD:Chemical Vapor Deposition)が最も多く使用されている。 主に用いられている方法をあげると、マイクロ波プラズマCVD法、熱フィラメント法、直流プラズマ法、プラズマジェットCVD法等がある。この中でも最もよく用いられているのはマイクロ波プラズマCVD法と熱フィラメント法である。しかし、いずれのCVD法も、初期成長時の核発生密度は104/cm2程度と非常に小さいため、連続膜の形成が難しい。そのため、基材の成膜面に予め、核発生密度を向上させる活性処理や事前の種付け処理などを行うことが行われている。
このような基材の成膜面の活性化処理方法として、ダイヤモンド粒子をアルコールやアセトンなどの溶液に分散させ、超音波処理などにより基材の成膜面に傷つけを行う処理など(例えば、特許文献1参照)がある。また、種付け処理としては、ダイヤモンドの微粒子を溶液中に分散させ、液体と基材を直接接触させることで、ダイヤモンド微粒子を基材の成膜面上に分散させる方法などがある。(例えば、特許文献2参照)
一方、ダイヤモンド薄膜において膜厚を薄くして品質の高い連続膜を形成するためには、成膜初期に形成した結晶核の数が多く、結晶核の大きさと分布が均一なほど、より薄く欠陥が少なく、表面あらさの少ない、高品質な膜が成膜できることが知られており、核発生密度の向上のための活性化処理や傷つけ処理などの開発が継続的に行われてきた。
傷つけ法における基材の活性化処理に向上の方法として、基材上にダイヤモンド薄膜を形成するための活性化処理にあたり、ダイヤモンド粒子を分散させた非含酸素有機溶剤を用い、この非含酸素有機溶剤を成膜面の接触させることで活性化処理をおこなっている。この理由として、非含酸素有機溶剤は、傷つけ処理中に基材を攻撃する酸素原子がなく、しかも極性が小さく水を溶解しにくいため、基材上に形成された活性点が酸素等によるダメージを受けにくいため、アセトンやアルコールを溶剤とした場合と比較して、結晶核の発生拠点となる活性点を多く発生できるとしている。非含酸素有機溶剤としては、特に、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレンなどの効果が大きいとしている。これにより、核発生密度は109から1011/cm2程度であり、従来の技術と比較して大幅に向上しているとしている。(例えば、特許文献3参照)
一方、種付け処理の方法として、表面を有機単分子で被覆したダイヤモンド微粒子を分散させた溶液中に、成膜面の水酸化処理を予め施した基材を浸漬させることで、ダイヤモンド微粒子を基材表面に定着せる方法がある。この方法を用いることで、ダイヤモンド微粒子同士が有機単分子を介してネットワーク状に結合させることで、それを基材表面に展開できるとしている。これにより、核発生密度は3×1011/cm2程度を達成したとしている。従来の技術と比較して大幅に向上しているとしている。(例えば、特許文献4参照)
このように、ダイヤモンド微粒子を用いた種付け処理は、傷つけ処理に比較して、初期の核密度が高く、成長初期過程も明確であり優れた方法である。しかし、ダイヤモンド微粒子を高密度に種付けするためには、ダイヤモンド微粒子を臨界核径以上でできるだけ均一で小さなサイズが望ましい。さらに、それらのダイヤモンド微粒子を溶液に凝集を起こさずに、分散させることが要求される。これらの、ダイヤモンド微粒子の精製法や溶液への分散技術について開発が行われている。
その一つは、5nm程度のダイヤモンド微粒子が凝集を起こし2次粒子を形成しているクラスターダイヤモンドを用いる方法である。具体的には、濃硝酸および濃硫酸で加熱煮沸し、冷却後多量の水で酸を希釈して遠心分離機により分離し、さらに水洗後、乾燥させることでダイヤモンド微粒子を精製する。この方法で得られたダイヤモンド微粒子は、水溶液中に安定な形で懸濁、分散でき、種付け処理に用いることで、高い核発生密度を得ることができるとしている。(例えば、特許文献5)
さらに40nm以下のダイヤモンド微粒子のみのダイヤモンド微粒子懸濁液を得る方法も開発されている。爆薬の爆射による爆射式によりダイヤモンド−非ダイヤモンド混合物を製造し、該混合物を精製することで、5nm程度の粒子径が得られたとしている。(例えば、特許文献6)
このような臨界核径に近いダイヤモンド微粒子を基材上に均一かつ高密度に定着できれば、薄膜化と低欠陥化が両立できるダイヤモンドを形成することが可能となる。
特開昭62−226889号公報(第2−3頁) 特開昭63−166798号公報(第2−4頁) 特開平07−196399号公報(第2−3頁) 特開平11−180797号公報(第2−4頁) 特許第2691884号公報(第4−5頁) 特開2003−146637公報(第26−37頁)
しかし、臨界核径に近いダイヤモンド微粒子を種付け処理に用いるには、次のような課題がある。ダイヤモンド粒子を単一粒子に分散させて、さらに再凝集やフロキュレーションによる2次粒子の形成を防止する必要がある。また、種付けをするためには、ダイヤモンド微粒子を均一かつ高密度に定着させる必要があり、これは、溶液への分散性とは相反する性質が要求される。そして、再現性が確保できることが必要である。しかし、臨界角径に近い微粒子を種付け処理の開発は、ダイヤモンド微粒子の精製による粒径の微細化、粒度分布の均一化および溶液への分散化の取組みが集中的に行われており、基材へのダイヤモンド粒子の定着を行うための方法や、その場合の溶液や基材などの最適な条件を見出すことは十分にできてなかった。
そのため、従来の方法では、膜厚が数μm以下のような薄膜において、欠陥が少なく、表面あらさが1μm以下のようなダイヤモンド薄膜を安定して形成することができなかった。
発明者らは、臨界核径に近いダイヤモンド微粒子の分散性と基材への定着性を両立させるために、ダイヤモンド微粒子の分散液のゼータ電位と、基材表面のゼータ電位や表面電位に着目し、これらの電位を最適化することで、ダイヤモンド微粒子の再凝集を防止し、且つ基材への高密度に定着させることを考案した。
前記課題を解決するために、本発明のダイヤモンド薄膜は、ダイヤモンド微粒子を定着させた基材上に形成されたダイヤモンド薄膜であって、前記ダイヤモンド薄膜の厚みが0.01μm以上かつ5μm以下であり、かつ、前記ダイヤモンド薄膜の空隙状の欠陥の密度が1cm2あたり104個以下であることを特徴としたものである。
また、本発明のダイヤモンド薄膜は、粒子径が50nm以下のダイヤモンド微粒子を、成膜初期のダイヤモンドの核発生密度が1cm2あたり1×1011個以上になるように基材上に定着させた後、当該基材上に気相成長法によりダイヤモンド薄膜を形成することを特徴としたものである。
また、本発明のダイヤモンド薄膜の製造方法は、粒子径が50nm以下のダイヤモンド微粒子を分散させた分散液と、当該分散液の前記ダイヤモンド微粒子を基材上に定着させて、前記基材上の定着したダイヤモンド微粒子を核として気相成長法にて前記基材上にダイヤモンド薄膜を形成するダイヤモンド薄膜の製造方法において、
前記分散液と前記基材のゼータ電位を制御するために前記分散液に酸を加えて前記分散液のpH値を調整し、その調整された前記分散液を前記基材の成膜面に接触させて、前記基材表面に前記ダイヤモンド微粒子を定着させることを特徴としたものである。
また、本発明のダイヤモンド薄膜の製造方法は、粒子径が50nm以下のダイヤモンド微粒子を分散させた分散液と、当該分散液の前記ダイヤモンド微粒子を基材上に定着させて、前記基材上の定着したダイヤモンド微粒子を核として、気相成長法にて前記基材上にダイヤモンド薄膜を形成するダイヤモンド薄膜の製造方法において、
前記分散液と前記基材のゼータ電位を制御するために、前記分散液に酸を加えて前記分散液のpH値を調整し、前記調整された分散液中に接触する前記基材表面の電位を調整するために直流電圧を印加して、前記調整された分散液に電位の印加状態で前記基材の成膜面を接触させて前記基材表面に前記ダイヤモンド微粒子を定着させることを特徴としたものである。
また、本発明のダイヤモンド薄膜の製造方法は、粒子径が50nm以下のダイヤモンド微粒子を分散させた分散液と、当該分散液の前記ダイヤモンド微粒子を基材上に定着させて、前記基材上の定着したダイヤモンド微粒子を核として、気相成長法にて前記基材上にダイヤモンド薄膜を形成するダイヤモンド薄膜をのせ製造方法において、
前記分散液のゼータ電位を、−10mV以下になるように調整し、前記基材表面にカチオン性基を含む液体を塗布し、前記ゼータ電位の調整された分散液を前記基材の成膜面に接触させて、前記基材表面に前記ダイヤモンド微粒子を定着させることを特徴としたものである。
以上のように、本発明は、臨界核径に近いダイヤモンド粒子を溶液中に分散させて、分散性を向上させることで再凝集やフロキュレーションによる2次粒子の形成を防止すると同時に、種付け工程におけるダイヤモンド微粒子の定着を、均一かつ高密度に行うことが可能となり、膜厚が0.01μm以上から5μm以下のダイヤモンド薄膜において、従来の技術に比較して、大幅な欠陥の減少と表面粗さの低減が可能となった。
特に、1μm以下の膜厚においても、欠陥の少ない高品質な連続膜が短時間で形成できるため、生産性を大幅に向上させることが可能となった。
以下に、ダイヤモンド薄膜およびダイヤモンド薄膜の製造方法について実施の形態を図面および表とともに詳細に説明する。
ダイヤモンド薄膜の成膜前の基材の活性化処理として、臨界核径に近いダイヤモンド微粒子の分散液を作成し、当該分散液のpH値を調整することで、分散液のゼータ電位と上記分散液に接触させるダイヤモンド微粒子を定着させる基材のゼータ電位を制御して最適化し、その後、それぞれ最適化されたゼータ電位下で、分散液と基材を接触させることで、基材表面にダイヤモンド微粒子を定着させる。さらに、ゼータ電位を制御するために必要な電圧を印加して活性化処理を行った基板に、気相成長法を用いてダイヤモンド薄膜を形成することにより、成膜初期のダイヤモンドの核発生密度が1cm2あたり1×1011個以上になり、膜厚が0.01μm以上かつ5μm以下で空隙状の欠陥の密度が1cm2あたり104個以下である高品質なダイヤモンド薄膜が形成することが可能となる。この工法について説明する。
ここで、臨界核径とは、成膜初期に基材表面に発生するダイヤモンドの核が安定して成長できる最小の結晶サイズのことである。
本実施例は、ホウ素などがドープされたP型シリコン基材のように、基材の等電点におけるpH値が、ダイヤモンド微粒子の分散液のゼータ電位の等電点におけるpH値より高い場合に効果的な工法である。
ここで、ゼータ電位について説明する。水の中に分散している微粒子粒子は正または負に帯電している。液体中では粒子は電気的に中性を保とうとする性質があり、粒子の周りにはその粒子と反対の電荷を持つイオンが集まる。粒子表面はイオンによって球核状に取り巻かれ、「拡散電気二重層」と呼ばれる電子の層を形成する。拡散電気二重層は、粒子表面近くにあって強く引き寄せられ固定されているイオンの層「固定層」と、分子の熱運動による拡散を受けて不安定になっているイオンの層「拡散層」の2層に分かれる。
そして、この固定層と拡散層の境目のことを「滑り面」と呼ばれる。さらに、粒子、固定層、拡散層からも十分に離れて電気的に中性である領域の電位は「ゼロ点」と定義され、ゼータ電位とは、この固定層と拡散層の境目である滑り面の電位を、ゼロ点の電位を基準として測定したものであると定義される。微粒子の場合、ゼータ電位の絶対値が増加すれば、粒子間の反発力が強くなり粒子の分散性は高くなる。逆に、ゼータ電位がゼロ近くになると、粒子は凝集し易くなる。従って、ゼータ電位は、分散された粒子の分散安定性の指標をしめす。
本発明は、このゼータ電位に着目して、基材上にダイヤモンド薄膜を効果的に生成する手法に関するものである。
まず初めに、ダイヤモンド微粒子および前記ダイヤモンド微粒子を分散させた分散液の作成方法について説明する。作成方法は、特許第2691884号公報に記載の方法とほぼ同等の方法を用いた。
具体的には以下の工法にて行う。
ダイヤモンド微粒子の製造は、爆発法で得られた、公称5nm以下の褐色のダイヤモンド粒子を用いる。この褐色のダイヤモンド微粒子は、単一粒子径が5nm以上のダイヤモンド微粒子が凝集しクラスターを形成たものである。その他には、爆発による製造法ゆえに多くの種類の不純物を含んでいる。そのため、ダイヤモンド微粒子の製造は、主にダイヤモンド微粒子から不純物を取り除く精製工程と、最適なダイヤモンド微粒子の粒子径の範囲に分類する水簸工程に分かれる。
精製工程は、高温酸処理法を用いる。この処理はさらに3つの処理に分かれる。ます熱濃硫酸処理として、250℃から350℃の濃硝酸および濃硫酸の混合液で1時間から5時間程度洗浄する。次に希塩酸処理として、150℃程度で約5時間から10時間程度洗浄する。最後に常温のフッ酸で1時間から24時間程度洗浄を行う。さらに、必要に応じて、純水で煮沸洗浄する。こうして得られた液を減圧乾燥し精製されたダイヤモンド微粒子を得る。
本実施例では、熱硫酸処理が300℃から320℃で2時間、希塩酸処理が150℃で1時間、フッ酸処理が1時間の処理を行った。
水簸工程は、前記精製工程を経て得られたダイヤモンド微粒子のコロイド化処理と2次粒子除去の遠心分離処理からなる。コロイド化処理は、精製されたダイヤモンド微粒子を質量で100から3000倍の純水に分散させ、さらに、純水と同量のアルコールを加えてさらにコロイド溶液とする。この状態では、5nmから50nmのダイヤモンドの微粒子以外に2次凝集を起こした微粒子も含まれている。そこで、2次凝集を起こした粒子を取り除くため、このダイヤモンドの微粒子を含むコロイド溶液を遠心分離処理する。遠心分離は、6000Gで3分から20分とする。遠心分離を行うことで、径の大きな粒子は沈降するが、上部に透明なダイヤモンド微粒子を含んだ透明なゾル状の分散液が残留する。このゾル状の分離して抽出し、ダイヤモンド微粒子の分散液とする。
このような工法を用いて、ダイヤモンド微粒子を精製、水簸することで5nmから15nm程度のダイヤモンド粒子を含むダイヤモンド粒子の分散液を得ることができる。
この分散液中のダイヤモンド微粒子の粒子径の測定は、レーザー光を照射し、その粒子のブラウン運動に依存した散乱強度の時間的な揺らぎを観測し、粒子の大きさを求める手法、いわゆる動的法光散乱法を用いている。この測定により、粒子径が5nmから20nmの範囲であり、臨界核径に近いダイヤモンド微粒子からなる分散液であることを確認した。
また、ダイヤモンド微粒子の分散液を得るその他の方法としては、特開2003−146637号公報に示された方法を用いることも可能である。この手法で得られたダイヤモンド微粒子を前述の手法と同様に、純水とエチルアルコールの溶液に分散させ、遠心分離により分散液を得た。この分散液中のダイヤモンド微粒子の粒子径を測定すると、粒子径が5から15nmの範囲で分布しており、前記手法と同様に、臨界核径に近い粒子径を有したダイヤモンド微粒子の分散液が得られたことを確認した。
次に、これらの手法で得られたダイヤモンド微粒子の分散液にフッ酸水溶液を混入することにより分散液のpH値を調整した。このpH調整によりダイヤモンド微粒子の分散液のゼータ電位と、ダイヤモンド微粒子の分散状態すなわち粒子径を調整することができる。
ダイヤモンド微粒子の分散液は、フッ酸を加えることでpH値が2から6の範囲で、5種類作成した。これら5種類の分散液の粘度およびシリコン基材上での表面表力は、粘度が0.7×10-3〜2.5×10-3P・Sの範囲、また、表面張力は、シリコン基材上の分散液の濡れ角が70°以下であった。ここでは、ダイヤモンド微粒子のpH値調整にフッ酸を用いているが、フッ酸以外に、硝酸、硫酸、塩酸など他の酸を用いることも可能である。
上記手法で得られた、ダイヤモンド微粒子の分散液のpHとゼータ電位および分散液中のダイヤモンド粒子径の関係を図2、図3に示す。図3においてダイヤモンド粒子径の値は、ダイヤモンド粒子の粒度分布の最大値をとったものである。
図2より、ダイヤモンド微粒子の分散液のゼータ電位は、pH値が6以上で約―60mV程度である。分散液にフッ酸を加えてpH値を下げるとゼータ電位は上昇した。pH値が2付近でゼータ電位がほぼ0mV程度、すなわち等電点となった。
図3より、ダイヤモンド微粒子の分散液の粒子径は、pH値が6で約10nm程度であり、フッ酸を加えpH値を下げることで粒子径は大きくなっている。これは、ダイヤモンド微粒子の分散液のゼータ電位が低下することで微粒子間の分散性が弱くなり、ダイヤモンド微粒子同士が凝集し粒子などが多く含まれているためと思われる。すなわち、分散液中のダイヤモンド微粒子を目標値である50nm以下(後述)の臨界核径に近い状態で安定させるためには、ダイヤモンド微粒子の分散液のpH値を約2.5以上に調整することが必要である。その場合の当該分散液のゼータ電位は、−10mV以下となる。
ダイヤモンド微粒子の分散液のゼータ電位およびダイヤモンド微粒子の粒子径は、以下のような方法で行った。ダイヤモンド微粒子の分散液のゼータ電位は通常電気泳動法により測定することができる。電気泳動とは、溶液中に電場を印加した際に表面電荷をもつ粒子が移動する現象のことをいい、その粒子の移動速度を測定することによって、移動速度と比例関係である粒子のゼータ電位を求めることができる。
本実施例においては、ゼータ電位および粒子径の測定は、大塚電子株式会社製のレーサーゼータ電位計(ELS−8000)を用いて測定を行った。
次に、目標とするダイヤモンド微粒子の最大の粒子径とダイヤモンド微粒子の定着密度について記載する。表1に、ダイヤモンド微粒子が細密配置された場合のダイヤモンド微粒子の配置密度すなわち定着密度と、ダイヤモンド微粒子間の中心間隔について計算上の数値を示す。
Figure 2005306617
表1より、ダイヤモンド粒子の中心間隔が50nmの場合におけるダイヤモンド微粒子の定着密度は4.2×1010個/cm2である。逆に言えば、粒子径が50nm以下のダイヤモンド微粒子を、基材表面に4.2×1010個/cm2以上の密度で定着させ、50nm程度成膜することで、ダイヤモンド微粒子間は成長したダイヤモンド粒子により結合され、膜厚が100nm程度のダイヤモンドの連続膜が形成できると予測することができる。
そこで目標値として、ダイヤモンド微粒子の粒子径を50nm以下、核発生密度すなわち定着密度を1011個/cm2以上とし、100nm程度の膜厚まで成膜することを目標とする。これにより完全な連続膜が形成と予測できる。
次に、基材のゼータ電位について説明する。測定には、ダイヤモンド微粒子の分散液のゼータ電位測定と同じ測定装置を用いた。
基材のゼータ電位の測定は、基材が絶縁性の場合においては、移動速度が既知のモニター粒子をもちいて、モニター粒子と基材表面との相互作用により生じる粒子の移動速度と基材表面が無い場合との比較から、基材表面のゼータ電位を逆算して求めた。
また、基材が導電性の場合は、基材の内部に電流が流れモニター粒子の分散液に電場がかからず、モニター粒子は移動しないため、金属板金属板と分散液の間に絶縁性スペーサを挿入することにより、分散液に電場をかけゼータ電位を測定した。この測定方法は。特願2000−073625号公報と同様の方法である。
具体的な方法について図11を用いて説明する。
図11は、基材23が絶縁性の場合である。ゼータ電位が既知の帯電したモニター粒子22(例えばラテックスなど)を水溶液24に配して、基材23が接触していない水溶液24中と基材23 が接触している水溶液24中での、モニター粒子22の移動速度の変化から、この移動速度の変化量に対応した基材表面のゼータ電位の量を測定する。
また、基材が導電性の場合は、図12に示す通り、導電性の基材23 の水溶液接触側表面に、水溶液と接する窓26を有する絶縁性のスペーサ25 を配置して、導電性の基材23 の表面を部分的に絶縁する。絶縁性のスペーサ25が無い場合は、電極20と21の間に電圧を印加しても、導電性の基材23に電流が流れ、モニター粒子22に十分な電場を加えることができない。しかし、絶縁性のスペーサ25により、電極20と21の間に電圧を印加しても、導電性の基材23に電流が流れにくくなり、モニター粒子22に、測定に充分な電場を与えることが可能となる。そして、基材23が接触していない水溶液中と、基材23が接触している水溶液24中におけるモニター粒子22の移動速度の変化から、この窓26 の部分における移動速度の変化量に対応した導電性の基材23表面のゼータ電位を求めることができる。
基材へのダイヤモンド微粒子の定着性は、静電的な相互作用の概念で考えることができる。ゼータ電位の符号が異なるか、同符号の場合、ゼータ電位の積の値が小さいほど静電気的は反発力が減少し、ダイヤモンド微粒子が基材表面に吸着しやすくなると考えられる。
次に、P型シリコンを基材に用いて、P型シリコン基材へのダイヤモンド微粒子を良好に定着させるための、ダイヤモンド微粒子のpH値の範囲について説明する。
図4にダイヤモンド微粒子の分散液のゼータ電位(点線で示す)および、P型シリコン基材のゼータ電位(実線)の測定結果を示す。図4より、P型のシリコン基材のゼータ電位は、pH値が約5付近で等電点となっており、pH値がそれ以下の状態では、ゼータ電位が正電位の状態であり、pH値がそれ以上ではゼータ電位が負電位となっている。また、図2でも示したように、ダイヤモンド微粒子の分散液のゼータ電位は、pH値が約2で等電点であり、pH値がそれ以上では、負電位となっている。
これらの結果より、ダイヤモンド微粒子の分散液のpH値を、2から5の間に調整するこで、ダイヤモンド微粒子の分散液のゼータ電位は負電位となり、一方、P型のシリコン基材のゼータ電位は正電位となるために、お互いの電位の符号が逆となり、分散液中のダイヤモンド微粒子がP型シリコン基材へ良好に定着できると推定できる。
ところで、ノンドープのシリコン基材の等電点はpH値が2程度であることが知れており、P型のシリコン基材の等電点のpH値が高くなっているのは、基材中に形成された正孔がゼータ電位の上昇に寄与したためと思われる。
ダイヤモンドを被覆する基材は、3cm□、厚み0.6mmのP型のシリコン基材を用いた。このシリコン基材の結晶軸は<111>であり、抵抗率は0.7Ωcmであった。また、表面あらさをAFMで測定した結果、Raで10nm以下であった。Raとは、いわゆる中心線平均粗さである。
このシリコン基材の汚染物を除去するために、中性洗剤で洗浄後、イソプロピルアルコールを液で洗浄を行い、さらに、純水にて十分な洗浄を行った。これにより、基材表面の有機質等の汚染物を完全に除去した。洗浄を終えたシリコン基材は、常温にて完全に乾燥を行う。欠陥の少ないダイヤモンド薄膜を形成するためには重要な工程である。
次に、シリコン基材にダイヤモンド微粒子を定着させる工程について記載する。シリコン基材にダイヤモンド微粒子がより定着しやすくするために、基材およびダイヤモンド微粒子の分散液の温度の温度調整を行う。温度は、基材およびダイヤモンド微粒子の分散液ともに同じ温度で、20℃から50℃が望ましい。この温度を保持した状態でシリコン基材にダイヤモンド微粒子の分散液をスピンコート法にて塗布を行った。図6にスピンコート法を用いての種付け法、即ち、ダイヤモンド微粒子の分散液を塗布して定着させる手法を説明する。スピンコータの回転ディスク1上にシリコン基材2を取り付ける。回転ディスク1を回転させ所定の回転数に調整する。回転数は2000から4000rpm程度に調整した。ダイヤモンド微粒子の分散液を、液体供給部3より約10ccから50cc程度滴下させ、基材2上に一様に分散させる。基材2上の分散液の塗布状態が一様になった時点で、回転ディスク1の回転を停止させ、シリコン基材2をスピンコータから取り出した。その後、汚染物が付着しないように十分に注意を払い室温にて完全に乾燥させた。但し、乾燥条件はガス雰囲気を大気、乾燥温度が常温に規定されるものではなく、例えば、窒素雰囲気で50℃から100℃にして乾燥しても良い。また、空気や窒素ガスを吹付けて乾燥させても良い。
本実施例では、スピンコート法を用いているが、実施例2で記載しているディッピング法や、実施例3で記載しているディスペンス法のいずれも用いることができる。
次にダイヤモンド微粒子を定着させた該シリコン基材をマイクロ波プラズマCVD装置に取り付けてしてダイヤモンド薄膜の成長を行う。
マイクロ波プラズマCVD装置の概要を図5に示す。装置は縦型装置であり、シリコン基材2は、成膜部7の基材ホルダ5に設置される。原料ガスは、水素99%、メタンガス1%であり、上部より供給される。供給された原料ガスは、基材ホルダ5を通過して、下方向に排気される。このとき、原料ガスの供給量と排気量を調整し、成膜部7の圧力を1.6×104Paに調整した。また、発振装置より供給されたマイクロ波は、チューナ部6でマッチングを取り、成膜部7の内部に供給される。供給電力は3KWに調整した。また、対向部には、ショートプランジャ8が設けられている。成膜部7の内部に供給されたマイクロ波は、原料ガスであるメタンCH4および水素H2ガスを励起しプラズマ状態9にする。
炭素源であるメタンガスから炭素ラジカル(イオン)が発生し、基板上のダイヤモンド微粒子を核としてダイヤモンドとなるSP3結合およびグラファイトとなるSP2結合をとりながら成長を始める。その際、グラファイトとなるSP2結合は、水素ガスから発生した水素ラジカル(イオン)によりエッチングされなくなる。従って、ダイヤモンドとなるSP3結合のみが成長し,ダイヤモンド表面が水素終端された状態で堆積されダイヤモンド薄膜が形成される。
成膜中のシリコン基材の温度は、約600から800℃程度とし、また成膜時間は20分間とした。
ダイヤモンド薄膜の分析としては、まずダイヤモンドが形成されていることを確認するために、X線分析装置を用いた。全ての条件において、X線分析の回折ピークの測定結果からダイヤモンド膜が形成されていることを確認した。また、ダイヤモンド薄膜の膜厚は、AFMにより測定を行い、100nmから150nmの膜厚で成膜されていることを確認した。また、同時にシリコン基材上のダイヤモンド薄膜の表面あらさを測定した結果、Raで50nm以下であった。また、これより厚い膜を形成する場合は、ダイヤモンドの粒子間が密着しているため、上方向に成長を始める。従って5μm以上成膜を行っても空隙状の欠陥が増加したりすることはない。
表2にpH値を2から6における5種類のダイヤモンド微粒子分散液のゼータ電位と、シリコン基材のゼータ電位と、成膜が完了した状態でのダイヤモンド薄膜の核発生密度と空隙状の欠陥の測定結果を示す。
欠陥密度は走査型電子顕微鏡を用いて、ダイヤモンド膜表面の空隙状の欠陥数を計測することにより求めた。図1に空隙状の欠陥を示す。空隙状の欠陥とは、ダイヤモンド薄膜にピンホール状の欠陥が発生し、基材表面がダイヤモンド薄膜の中に露出した状態で、空隙の大きさが約50nm以上ものとしている。また、欠陥密度の算出法は、各条件の基材について、20μm四方における欠陥の数を合計500箇所について観察し、その欠陥数から欠陥密度を求めた。また、空隙状の欠陥を検出できなかた場合は、−を記入してある。
Figure 2005306617
ダイヤモンド微粒子の分散液のpHを変化させると、ダイヤモンド微粒子の分散液のゼータ電位および基材表面のゼータ電位が変化し、その条件下でダイヤモンド薄膜の核形成密度および欠陥密度が変化している。
まずダイヤモンド微粒子の分散液のpHを2に調整した場合は、ダイヤモンド微粒子の分散液のゼータ電位が5mVで、基材のゼータ電位は75mVとなっている。この条件では、核発生密度は、1×1010/cm2程度と低く、欠陥密度も25×104/cm2程度と非常に多くなる。これは、ダイヤモンド微粒子の分散液のゼータ電位が低いため、ダイヤモンド微粒子の分散性が低下し、微粒子の平均サイズが大きくなっていると推定できる。また、ダイヤモンド微粒子の分散液のゼータ電位と基材のゼータ電位が両方とも正電位であり、密着性も低下していると推定できる。結果的にも裏付けた形となっている。従って、ダイヤモンド微粒子の分散液の等電点であるpHが2では目標の核発生密度と欠陥密度を得ることができなかった。
一方、pH値を6に設定すると、ダイヤモンド微粒子の分散液のゼータ電位は低く、微粒子の分散性は高いが、シリコン基材のゼータ電位が低下し、ダイヤモンド微粒子の分散液と同じ負電位となっているため、基材への定着性が低下すると予測できる。結果的にも、核発生密度がやや低く、欠陥密度もやや高くなっているが、目標とする核発生密度は達成できている。
このれらの結果より、ダイヤモンド微粒子の分散液中の微粒子を、シリコン基材に良好に定着させるための、ダイヤモンド微粒子の分散液および基材のゼータ電位は以下の範囲が望ましい。
ダイヤモンド微粒子の分散液のゼータ電位は−10mV以下が望ましく,さらに、−40mVから−10mVの範囲が望ましく、即ち、分散液のpH値を3から5の範囲に調整することが望ましい。
また、その範囲において、基材のゼータ電位は、10mV以上が望ましい。さらに好ましい範囲として、10mVから40mVが望ましい。
これらの条件において、ダイヤモンド微粒子の分散液中のダイヤモンド微粒子を高密度に、P型シリコン基材上にダイヤモンド微粒子を定着できる。これにより、膜厚が100nm程度であっても、ダイヤモンド膜に生じる空隙状の欠陥数が、1cm2あたり104個以下と非常に少ない高品質なダイヤモンド薄膜を形成することが可能となる。
また、本実施の形態はP型シリコン基材を用いているが、Al23基材やSi24基材やSiC基材など、ダイヤモンド微粒子の分散液のpH調整により、ダイヤモンド微粒子の分散液と基材のゼータ電位が本実施例と同様の条件にすることが可能な基材においては、本結果で示すような高品質なダイヤモンド薄膜を形成することが可能となる。
金属基材などの導体やN型を含むシリコン半導体基材などにおいては、基材に電圧を印加することで、ダイヤモンド微粒子の分散液のゼータ電位調整と、基材表面の電位の調整を独立に行うことが可能であるため、ダイヤモンド微粒子の分散液の分散性と基材への定着性を最適な状態に調整することが可能となる。以下にこの場合の手順について以下に記載する。
ダイヤモンド微粒子は、実施例1と同様の手法を用いて作成した。ダイヤモンド微粒子の精製と遠心分離による粒子径の選別をおこない、ダイヤモンド粒子径が5から20nm程度であり、実質的な最大粒子径が目標とする50nm以下であるゾルを得た。
また、実施例1と同様に、その他の方法としては、特開2003−146637号公報に示された方法にてダイヤモンド微粒子を得て、その後、上記手法と同様に純水とエチルアルコールの溶液に分散させ、遠心分離により目標とする粒子径のダイヤモンド微粒子の分散液を得ることもできる。
ダイヤモンド微粒子の分散溶液のゼータ電位を、実施例1と同様にフッ酸を加えpHを調整する。調整はダイヤモンド微粒子の分散性を考慮して、pH値が3とpH値が5の2種類とした。それぞれのダイヤモンド微粒子の分散液のゼータ電位は、それぞれ−40mVおよび−10mVであった。
ダイヤモンドを被覆する基材として、3cm□、厚み0.6mmの導電性を有するN型のシリコン基材を用いた。このシリコン基材の結晶軸は<111>であり、抵抗率は0.2Ωcmであった。また、この導電性を有するシリコン基材の表面あらさをAFMで測定した結果、Raで10nm以下であった。
まず、シリコン基材の汚染物を除去するために、中性洗剤で洗浄後、イソプロピルアルコールを液で洗浄を行い、さらに、純水にて十分な洗浄を行った。洗浄を終えたシリコン基材は、大気中で常温にて完全に乾燥を行う。これにより、基材表面の有機質等の汚染物を完全に除去した。欠陥のすくないダイヤモンド薄膜を形成するためには、重要な工程であり必要な膜の欠陥の密度以下まで汚染物の除去をすることが必要となる。
次に、シリコン基材にダイヤモンド微粒子を定着させる工程について、図8を用いて説明する。
シリコン基材2にダイヤモンド微粒子がより定着しやすくするために、定着させる基材の温度の温度調整を行う。温度は、10℃から80℃が望ましく、さらには、20℃から60℃が望ましく、さらに30℃から50℃が望ましい。また、ダイヤモンド微粒子の分散液は、シリコン基材2をディッピングするためのシャーレ10に入れられる。この時、ダイヤモンド微粒子の分散液11はシリコン基材2と同じ温度に保持することが望ましい。
次に、シリコン基材2を直流電源12の正極に接続する。また、直流電源12の陰極側は、シャーレ10中の陰極13に接続されている。ここで、直流電源12の印加電圧を、シャーレ10中のダイヤモンド微粒子分散液11中に浸漬した状態で基材2表面の電位が所定の電圧になるように調整しておく。本実施例では、ダイヤモンド微粒子の分散液11中のシリコン基材2の表面の電位が50mVおよび200mVになるように予め調整をしておいた。次に、シリコン基材2をシャーレ10中のダイヤモンド微粒子の分散液11にディッピングする。この時、シリコン基材2は、ダイヤモンド微粒子の分散液11を挟んで陰極13と対向するように配置される。ディッピング時間は、約1秒から3分程度が望ましく、さらに望ましくは、5秒から10秒程度が望ましい。ディッピング後、基材2は汚染物が付着しないように十分に注意を払い、室温にて完全に乾燥させた。但し、乾燥条件はガス雰囲気を大気、乾燥温度が常温に規定されるものではなく、例えば、窒素雰囲気で50℃から100℃にかけて乾燥しても良い。また、空気や窒素ガスを吹付けて乾燥させても良い。また、本実施例では、ディッピング法を用いているが、実施例1で記載しているスピンコート法や、実施例3で記載しているディスペンス法のいずれも用いることができる。
塗布後、大気中で乾燥し、ダイヤモンド微粒子を定着させた該シリコン基材をマイクロ波プラズマCVD装置に搬入して成長を行った。装置は実施例1と同様の装置である。
ダイヤモンドの成長条件は、原料ガスとして水素ガス99%、メタンガス1%を用いて、圧力を1.6×104Pa、マイクロ波出力を3kW、基材温度800℃でプラズマを生成し、20分間成長を行っている。
ダイヤモンド薄膜の分析としては、実施例1と同様に、まずダイヤモンド結晶薄膜が形成されていることを確認するために、X線分析装置を用いた。全ての条件において、X線分析の回折ピークの測定結果からダイヤモンド膜が形成されていることを確認した。また、ダイヤモンド薄膜の膜厚は、AFMにより測定を行い、100nmから150nmの膜厚で成膜されていることを確認した。同時にシリコン基材上のダイヤモンド薄膜の表面あらさを測定した結果、Raで50nm以下であった。
表3にダイヤモンド微粒子の分散液のゼータ電位を−10mVおよび40mVに調整し、シリコン基材表面の電位を50mVおよび200mVに調整し実験を行った結果を示す。
欠陥密度は走査型電子顕微鏡を用いて、ダイヤモンド膜表面の空隙状の欠陥数を計測することにより求めた。図1に空隙状の欠陥を示す。空隙状の欠陥とは、ダイヤモンド薄膜にピンホール状の欠陥が発生し、基材表面がダイヤモンド薄膜の中に露出した状態で、空隙の大きさが約50nm以上ものとしている。また、欠陥密度の算出法は、各条件の基材について、20μm四方における欠陥の数を合計500箇所について観察し、その欠陥数から欠陥密度を求めた。また、空隙状の欠陥を検出できなかた場合は、−を記入してある。
Figure 2005306617
表3の結果より、全ての条件で目標とする核発生密度と欠陥密度を達成している。これは、ダイヤモンド微粒子の分散液のゼータ電位を調整することで分散性を良好な状態し、このダイヤモンド微粒子の分散液中の基材表面が正電位になるように電圧を印加することで、良好な定着性が得られていることを示している。具体的な条件としては、ダイヤモンド微粒子の分散液のゼータ電位は、ダイヤモンド微粒子の分散液中の微粒子径が50nm以下にできるー10mV以下で、基材表面での電位は50mV以上となる。
さらに望ましくは、ダイヤモンド微粒子の分散液のゼータ電位が−40mV以下であり、さらに望ましくは、基材表面の電位が200mV以上である。
このように、導電性のシリコン基材においては、基材に電圧を印加することで、ダイヤモンド微粒子の分散液のゼータ電位調整と、基材表面の電位の調整を独立に行うことが可能であるため、膜厚が100nm前後であっても、欠陥が少ない高品質なダイヤモンド膜を形成することが可能である。
この実施例では、N型のシリコン基材を例に説明したが、金属基材などの導体や、シリコン基材以外の半導体基材などにおいても同様の効果が得られる。具体的には、アルミ(Al)、チタン(Ti)、銀(Ag)、白金(Pt)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、タリウム(Tl)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ゲルマニウム(Ge)およびクロム(Cr)に応用できる。
さらに、酸化物、窒化物、炭化物およびセラミックなどの絶縁物においても、導電性のシリコン(Si)、アルミ(Al)、チタン(Ti)、銀(Ag)、白金(Pt)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、タリウム(Tl)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ゲルマニウム(Ge)およびクロム(Cr)などを表面に中間膜として形成し、その膜に電圧を印加することで、本実施例と同様の手法を用いることが可能となる。
このように、実施例2では、実施例1と同様に分散液11にフッ酸を加えて、分散液の分散性が確保するために分散液11のpH値を3に調整することで、分散液11のゼータ電位をー10mV以下に調整する。そして、シリコン基材2に50mV以上の直流電圧を印加してダイヤモンド微粒子の分散液を基材表面に接触させてダイヤモンド微粒子を定着させることが可能となる。本手法は、導電性の基材に応用することができるため応用範囲が広く非常に有効な方法である。
実施例3では、SiO2基材のように、ダイヤモンド微粒子の分散液中の基材のゼータ電位の等電点におけるpH値が、ダイヤモンド微粒子の分散液のゼータ電位の等電点におけるpH値に非常に近いか、より低い場合に効果的な工法である。例えば、図5に示すように、SiO2基材のダイヤモンド微粒子の分散液中の基材の等電点のpH値は2付近であり、ダイヤモンド微粒子の分散液の等電点(図2参照)とほぼ等しい。すなわち、実施例1で示したダイヤモンド微粒子の分散液のpHの調整による手法では、ダイヤモンド微粒子の分散液の分散性と、ダイヤモンド微粒子の基材へ定着性を両立することができない。また、SiO2基材は絶縁物であり、実施例2で示した基材に電位を印加する手法も用いることはできない。
そこで、図10に示すようにカチオン性の表面活性剤を基材の表面に塗布し、カチオン性基を基材表面に定着させることで、基材の表面電位を上昇させ、ダイヤモンド微粒子の分散液の分散性とダイヤモンド微粒子の基材への定着性を両立させる手法を用いる。
ダイヤモンド微粒子は、実施例1と同様の手法を用いて作成した。ダイヤモンド微粒子の精製と遠心分離による粒子径の選別をおこない、ダイヤモンド粒子径が5から20nm程度であり、実質的な最大粒子径が目標とする50nm以下であるゾルを得た。
また、実施例1と同様に、その他の方法として、特開2003−146637号公報に示された方法にてダイヤモンド微粒子を得て、その後、上記手法と同様に純水とエチルアルコールの溶液に分散させ、遠心分離により目標とする粒子径のダイヤモンド微粒子の分散液を得ることもできる。
ダイヤモンドを被覆する基材として、3cm□、厚み0.6mmのSiO2基材を用いた。また、このSiO2基材の表面あらさをAFMで測定した結果、Raで10nm以下であった。
SiO2基材は、汚染物を除去するために、中性洗剤で洗浄後、イソプロピルアルコールを液で洗浄を行い、さらに、純水にて十分な洗浄を行った。洗浄を終えたSiO2基材は、大気中で常温にて完全に乾燥を行う。これにより、基材表面の有機質等の汚染物を完全に除去した。欠陥のすくないダイヤモンド薄膜を形成するためには、重要な工程であり必要な膜の欠陥の密度以下まで汚染物の除去をすることが不可欠である。
次に、図9および図10を用いて、SiO2基材上にダイヤモンド微粒子を定着工程について記載する。
まず、カチオン性水溶液を作成する。カチオン性水溶液は、モノアルキルアンモニウムクロライド系をエチルアルコールと純水の溶液中に添加して作成した。また、比率は、それぞれ1:5:5に配合した。この水溶液を、SiO2の基材表面にディッピング法にて塗布し、その後、界面活性剤が基材全体に十分に濡れた時点で、界面活性剤の溶液を窒素ガスなどで十分に飛ばし、純水にて十分に洗浄を行い乾燥させる。その後、純水にて洗浄を行った。
他のカチオン性界面活性剤としては、他のアンモニウムクロライド系などを用いることができる。塗布方法としては、他にスピンコート法やディスペンス法などを用いることができる。
次に、シリコン基材にダイヤモンド微粒子を定着させる工程について、図9を用いて説明する。
基材2は、ダイヤモンド微粒子がより定着しやすくするために温度調整を行う。温度は、10℃から80℃が望ましく、さらには、20℃から60℃が望ましく、さらに30℃から50℃が望ましい。また、ダイヤモンド微粒子の分散液は、シリコン基材をディッピングするためのシャーレ10に入れられる。この時、ダイヤモンド微粒子の分散液は基材と同じ温度に保持することが望ましい。
図9で示すように、ダイヤモンド微粒子の分散液11を、ディスペンサ14によりSiO2基材2に塗布した。ダイヤモンド微粒子の分散液11がSiO2基材2の表面全体に均一な状態に塗布されることを確認し、約1秒から3分程度保持する。保持時間は、3秒から30秒が望ましく、さらに望ましくは、5秒から10秒程度である。その後、窒素ガスを基材に吹付けて、余剰なダイヤモンド微粒子やダイヤモンド微粒子の分散液などを除去する。その後、汚染物が付着しないように十分に注意を払い、室温にて完全に乾燥させた。ただし、乾燥条件はガス雰囲気を大気、乾燥温度が常温に規定されるものではなく、例えば、窒素雰囲気で50℃から100℃にかけて乾燥しても良い。
次にダイヤモンドを定着させた該シリコン基材2をマイクロ波プラズマCVD装置に搬入して成長を行った。成長条件は、原料ガスとして水素ガス99%、メタンガス1%を用いて、圧力を1.6×104Pa、マイクロ波出力を3kW、基材温度800℃でプラズマを生成し、20分間成長を行っている。実施の形態1および2と同じ方法である。
ダイヤモンド微粒子の分散液、前処理液およびSiO2基材2を用いた上記手順によるダイヤモンド微粒子の定着処理を行い、気相成長法による成膜では、20分間の合成時間で、120nmの厚さの膜が形成されている。
ダイヤモンド薄膜の分析としては、まずダイヤモンドが形成されていることを確認するために、X線分析装置を用いた。全ての条件において、X線分析の回折ピークの測定結果からダイヤモンド膜が形成されていることを確認した。また、ダイヤモンド薄膜の膜厚は、AFMにより測定を行い、100nmから150nmの膜厚で成膜されていることを確認した。また、同時にシリコン基材2上のダイヤモンド薄膜の表面あらさを測定した結果、Raで50nm以下であった。また、膜の欠陥密度は1×103個/cm2で、核発生密度は、1×1011個/cm2であった。
本発明にかかるダイヤモンド薄膜およびその製造方法は、ダイヤモンド粒子を、再凝集やフロキュレーションによる2次粒子の形成を抑制し分散性を向上させると同時に、種付け工程におけるダイヤモンド微粒子を、均一かつ高密度に定着させることが可能となり、種々の基材上に、薄い欠陥の少ない均一膜の生成を可能として、電子、光学、バイオ素子に適用できる。具体的には、この種付け手法を用いることで、0.1μm程度の膜厚においても、欠陥数が少なく、表面あらさが1μm以下のような優れたダイヤモンド薄膜を形成することが可能となる。
このダイヤモンド薄膜は、電子分野においては、半導体の絶縁層や冷却部材への応用、機械分野においては、摺動部材の摺動特性向上のための表面改質、さらにバイオ分野においては、DNA分子の固定用基材へなど幅広い製品に有用である。
本発明の実施例1から実施例3におけるダイヤモンド薄膜の空隙状欠陥を模式的に説明するための図 ダイヤモンド微粒子の分散液のpH値とゼータ電位の関係を示す図 ダイヤモンド微粒子の分散液のpH値と微粒子の実質的最大粒子径の関係を示す図 ダイヤモンド微粒子の分散液のpH値とシリコン基材のゼータ電位の関係を示す図 ダイヤモンド微粒子の分散液のpH値とSiO2基材のゼータ電位の関係を示す図 本発明のダイヤモンド薄膜製造方法におけるマイクロ波プラズマCVD装置の概略図 ダイヤモンド微粒子のスピンコートによる種付け法を説明するための概略図 ダイヤモンド微粒子の電圧印加してのディッピング法による種付け法を説明するための概略図 ダイヤモンド微粒子のディスペンスによる種付け法を説明するための概略図 SiO2基材表面へカチオン界面活性剤の吸着を説明するための図 基材が絶縁性の場合の基材のゼータ電位の測定法を説明するための図 基材が導電性の場合の基材のゼータ電位の測定法を説明するための図
符号の説明
1 回転ディスク
2 基材
3 液体供給部
5 基材ホルダ
6 チューナ
7 成膜部
8 ショートプランジャ
9 プラズマ
10 シャーレ
11 ダイヤモンド微粒子の分散液
12 直流電源
13 陰極
14 SiO2基材
15 カチオン性基
16 ダイヤモンド微粒子
17 ダイヤモンド膜
18 空隙状欠陥
20 正電極
21 負電極
22 モニター粒子
23 基材
24 水溶液
25 スペーサ
26 窓

Claims (19)

  1. ダイヤモンド微粒子を定着させた基材上に形成されたダイヤモンド薄膜であって、前記ダイヤモンド薄膜の厚みが0.01μm以上かつ5μm以下であり、かつ、前記ダイヤモンド薄膜の空隙状の欠陥の密度が1cm2あたり104個以下であることを特徴とするダイヤモンド薄膜。
  2. 粒子径が50nm以下のダイヤモンド微粒子を、成膜初期のダイヤモンドの核発生密度が1cm2あたり1×1011個以上になるように基材上に定着させた後、当該基材上に気相成長法によりダイヤモンド薄膜を形成することを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド薄膜。
  3. 前記ダイヤモンド薄膜を形成する基材が、シリコン(Si)、アルミ(Al)、チタン(Ti)、銀(Ag)、白金(Pt)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、タリウム(Tl)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ゲルマニウム(Ge)、クロム(Cr)並びに前記物質の酸化物、窒化物、炭化物、セラミックのいずれかであることを特徴とする請求項2に記載のダイヤモンド薄膜。
  4. 前記基材は、P型シリコン、Al23、Si24、SiCのいずれかであることを特徴とする請求項2に記載のダイヤモンド薄膜。
  5. 粒子径が50nm以下のダイヤモンド微粒子を分散させた分散液と、当該分散液の前記ダイヤモンド微粒子を基材上に定着させて、前記基材上の定着したダイヤモンド微粒子を核として気相成長法にて前記基材上にダイヤモンド薄膜を形成するダイヤモンド薄膜の製造方法において、
    前記分散液と前記基材のゼータ電位を制御するために前記分散液に酸を加えて前記分散液のpH値を調整し、その調整された前記分散液を前記基材の成膜面に接触させて、前記基材表面に前記ダイヤモンド微粒子を定着させることを特徴とするダイヤモンド薄膜の製造方法。
  6. 前記分散液に加える酸は、フッ酸、硝酸、硫酸或いは塩酸のいずれかであることを特徴とする請求項5に記載のダイヤモンド薄膜の製造方法。
  7. 前記分散液のpH値を、当該分散液の等電点以下のゼータ電位が得られるpH値であって、かつ前記基材の等電点以上のゼータ電位が得られるpH値の範囲に調整することを特徴とする請求項5に記載のダイヤモンド薄膜の製造方法。
  8. ダイヤモンド薄膜を形成する前記基材が、シリコン(Si)、アルミ(Al)、チタン(Ti)、銀(Ag)、白金(Pt)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、タリウム(Tl)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ゲルマニウム(Ge)、クロム(Cr)並びに前記物質の酸化物、窒化物、炭化物、セラミックのいずれかであることを特徴とする請求項5に記載のダイヤモンド薄膜の製造方法。
  9. 前記基材がp型Siであることを特徴とする請求項5に記載のダイヤモンド薄膜の製造方法。
  10. 前記分散液のpH値を3から5の範囲に調整することを特徴とする請求項9に記載のダイヤモンド薄膜の製造方法。
  11. 前記分散液のゼータ電位が−40mVから−10mV、前記基材のゼータ電位が10mVから40mVの範囲に調整されることを特徴とする請求項8に記載のダイヤモンド薄膜の製造方法。
  12. 粒子径が50nm以下のダイヤモンド微粒子を分散させた分散液と、当該分散液の前記ダイヤモンド微粒子を基材上に定着させて、前記基材上の定着したダイヤモンド微粒子を核として、気相成長法にて前記基材上にダイヤモンド薄膜を形成するダイヤモンド薄膜の製造方法において、
    前記分散液と前記基材のゼータ電位を制御するために、前記分散液に酸を加えて前記分散液のpH値を調整し、前記調整された分散液中に接触する前記基材表面の電位を調整するために直流電圧を印加して、前記調整された分散液に電圧の印加状態で前記基材の成膜面を接触させて前記基材表面に前記ダイヤモンド微粒子を定着させることを特徴とするダイヤモンド薄膜の製造方法。
  13. 前記基材表面に導電性膜を形成して直流電圧を印加することを特徴とする請求項12に記載のダイヤモンド薄膜の製造方法。
  14. 前記分散液に加える酸は、フッ酸、硝酸、硫酸或いは塩酸のいずれかであることを特徴とする請求項12に記載のダイヤモンド薄膜の製造方法。
  15. 前記分散液のゼータ電位を、−10mV以下になるように調整し、当該ゼータ電位を調整された前記分散液中に接触する前記基材表面の電位が50mV以上になるように前記基材に直流電圧を印加することを特徴とする請求項13に記載のダイヤモンド薄膜の製造方法。
  16. 粒子径が50nm以下のダイヤモンド微粒子を分散させた分散液と、当該分散液の前記ダイヤモンド微粒子を基材上に定着させて、前記基材上の定着したダイヤモンド微粒子を核として、気相成長法にて前記基材上にダイヤモンド薄膜を形成するダイヤモンド薄膜をのせ製造方法において、
    前記分散液のゼータ電位を、−10mV以下になるように調整し、前記基材表面にカチオン性基を含む液体を塗布し、前記ゼータ電位の調整された分散液を前記基材の成膜面に接触させて、前記基材表面に前記ダイヤモンド微粒子を定着させることを特徴とするダイヤモンド薄膜の製造方法。
  17. 前記分散液に加える酸は、フッ酸、硝酸、硫酸或いは塩酸のいずれかであることを特徴とする請求項16に記載のダイヤモンド薄膜の製造方法。
  18. 前記基材がSiO2であることを特徴とする請求項16に記載のダイヤモンド薄膜の製造方法。
  19. 前記ダイヤモンド微粒子を分散させた前記分散液を前記基材に接触させるために、ディッピング法、スピンコート法、ディスペンス法、のいずれかを用いることを特徴とする請求項5、請求項12、請求項16のいずれかの一つに記載のダイヤモンド薄膜の製造方法。

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