上記の技術では、信号が繰り返し発生する際のオンオフパターンが異常か否かに基づいて外乱や不正行為の有無を判断するので、信号のオンオフが複数回繰り返した後でなければ、そのオンオフパターンが異常か否かを判定できず、リアルタイムに判定することができなかった。また、異常か否かを個々のオンオフについて判定できないので、異常ありと判定した場合の計数結果が不正確になってしまうという問題があった。
このほか、パチンコ球の計数機では、誤検出を排除しながらも、大量のパチンコ球を高速に計数することが要求される。
本発明は、上記の問題点や要求に鑑みてなされたものであり、通過する遊技球を高速かつリアルタイムに誤りなく検出可能な遊技球検出装置を提供することを目的とするものである。
請求項1に係わる発明は、所定箇所を通過する遊技球を検出する遊技球検出装置において、
遊技球の通過に応じてアナログ検出信号を出力する球検知センサ(32)と、
前記球検知センサ(32)が出力するアナログ検出信号の1つのパルスの形が基準の波形をなしているか否かに基づいて、前記パルスが遊技球の通過によるものか否かを判定する判定手段(62)と
を有する
ことを特徴とする遊技球検出装置である。
上記発明によれば、球検知センサ(32)が出力するアナログ検出信号のパルスの形を基準の波形と比較することで、そのパルスが遊技球の通過によるものか否かを判定する。球検知センサ(32)は、遊技球が通過する際に山なりのパルスを出力する。このパルスの形は、通過する遊技球がいずれも同じ形状でしかも通過速度がほぼ一定であれば、ほぼ同じ形状になる。そこで、パルスの形を基準の波形と照合することでそのパルスが遊技球の通過によるものか否かを判定している。
球検知センサ(32)には、たとえば、透過式や反射式の光センサを使用することができる。また遊技球が金属(導体)で形成されている場合にはコイルなどの球検知センサとしてもよい。
パルスの形と基準の波形との比較は、波形の一部の特徴を比較してもよいし、波形全体の形を比較してもよい。また、パルスの形と基準の波形との違いの許容範囲は適宜に設定すればよい。たとえば、遊技球の通過速度が様々になる場合には、パルスが山なりの形であれば遊技球であると判定し、矩形波に近い形の場合は遊技球でないと判定するような大まかな判定であってもよい。
請求項2に係わる発明は、前記判定手段(62)は、前記パルスの波頭における上昇率、波高値時間、波尾における下降率の中のいずれか1または2以上の要素が基準の範囲内にあるか否かに基づいて、前記パルスが遊技球の通過によるものか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技球検出装置である。
上記発明によれば、パルスの波頭における上昇率、波高値時間、波尾における下降率の中のいずれか1または2以上の要素により、そのパルスが遊技球の通過によるものか否かが判定される。すなわち、パルスの形そのものを基準の波形と詳細に比較するのではなく、波形の持ついくつかの特徴に基づいて判定される。たとえば、パルスを計測して求めた波頭部分の上昇率が、基準の上限値と下限値との間にあるか否かにより判定が行なわれる。
なお、波頭とは、波形の立ち上がり部分を言い、詳細には、波形の立ち上がりからピークまでの部分である。波高値とは、デジタル回路ではハイレベルと言われる部分であり、波形のピークの部分を言う。波高値時間とはパルスが波高値を維持している時間を言う。波尾とは、波形の立ち下り部分を言い、詳細には、ピークから立ち下がり始める箇所から立ち下がり終わる(ほぼゼロになる)までの部分を言う。
請求項3に係わる発明は、前記判定手段(62)は、一定周期で前記アナログ検出信号をサンプリングした値に基づいて、前記パルスの波頭における上昇率、波高値時間、波尾における下降率を求める
ことを特徴とする請求項2に記載の遊技球検出装置である。
上記発明によれば、一定周期でサンプリングした値に基づいてパルスの波頭における上昇率、波高値時間、波尾における下降率が導出される。サンプリングすることにより処理すべきデータ量が減少し、これに伴って判定に要する処理量も少なくなる。サンプリング周期は、パルスの波頭や波尾の部分で少なくとも数回のサンプリングが行なわれるように設定するとよい。
請求項4に係わる発明は、発生する複数のパルスの中の一部を前記判定手段(62)の判定対象にした
ことを特徴とする請求項1、2または3に記載の遊技球検出装置である。
上記発明によれば、一部のパルスが判定対象になる。たとえば、連続的に発生するパルスを1個あるいは数個おきに判定する等である。
請求項5に係わる発明は、発生するパルスのすべてを前記判定手段(62)の判定対象にした
ことを特徴とする請求項1、2または3に記載の遊技球検出装置である。
請求項6に係わる発明は、前記判定手段(62)と異なる方法で遊技球の通過の有無を判定する第2判定手段(63)を設け、
前記判定手段(62)と前記第2判定手段(63)とを切り替え使用する
ことを特徴とする請求項1、2、3、4または5に記載の遊技球検出装置である。
上記発明によれば、遊技球の通過の有無に係わる判定が判定手段(62)と第2判定手段(63)とを切り替えて行なわれる。第2判定手段(63)は、たとえば、球検出センサが出力信号を2値化し、そのオンオフで遊技球の有無を判定するものでよい。第2判定手段(63)による判定方法は、判定手段(62)の判定方法より簡単で処理時間を要しないものがよい。
請求項7に係わる発明は、遊技球を整列させて通す複数の通路の中の一部の通路を対象に前記判定手段(62)を使用して遊技球の通過の有無を判定するとともに、前記判定手段(62)が判定の対象にする通路を切り替える
ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6に記載の遊技球検出装置である。
判定対象にする一部の通路をどのように切り替えるかは問わない。たとえば、通路を複数にグループ分けし、判定の対象にする通路をグループ単位に切り替えてもよいし、個々の通路を単位に切り替えてもよい。
請求項8に係わる発明は、前記球検知センサ(32)は、遊技球が通過する際に出力されるパルスのピークにおいてアナログ検出信号の値が出力範囲の限界に達しないものである
ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7に記載の遊技球検出装置である。
上記発明によれば、パルスのピークにおいても信号が飽和したりゼロになったりして潰れることがなく、ピークの近傍を含めてパルスの形状が基準の波形と的確に比較される。
本発明に係わる遊技球検出装置によれば、球検知センサが出力するアナログのパルス波形を基準の波形と比較することで、そのパルスが遊技球の通過によるものか否かを判定するので、不正な電波の照射や静電気によるノイズなどを遊技球として誤検出し難くなり、検出精度を高めることができる。
パルスの波頭における上昇率、波高値時間、波尾における下降率の中のいずれか1または2以上の要素により、そのパルスが遊技球の通過によるものか否かを判定するものでは、パルスの形そのものではなく、その波形の持ついくつかの特徴に基づいて判定するので、判定に要する処理時間が短縮される。また、処理が単純化されてプログラム量が低減するとともに、基準の波形に関して記憶しておくべきデータ量も少なくなる。
一定周期でサンプリングした値に基づいてパルスの波頭における上昇率、波高値時間、波尾における下降率を求めるものでは、サンプリングにより処理すべきデータ量が減るので、判定に要する処理時間をさらに短縮することができる。また、一定周期でサンプリングしているので、前回と今回とのサンプル値の差から上昇率や下降率を簡単に求めることができる。
発生する複数のパルスの中の一部のパルスを判定手段の判定対象にしたものでは、判定に係わる処理負担を軽減しつつ、不正電波の照射などの不正な行為を検出することができる。一方、発生するパルスのすべてを判定対象にしたものでは、不正行為の有無を正確に識別できるほか、通過する遊技球の数を判定結果に基づいて計数することができる。
判定手段と、この判定手段と異なる方法で遊技球の通過の有無を判定する第2判定手段とを切り替え使用するものでは、遊技球か否かを2種類の方法で判定するので、不正行為の防止効果が高まる。また、切り替え使用するので、2種類の方法で判定しても処理負担が増大しないという利点がある。
遊技球が整列して通る複数の通路の中の一部の通路を判定手段の判定対象にするとともに、その一部の通路を複数の中のどの通路にするかを切り替えるようにしたものでは、判定に要する処理時間を短縮しつつ、長期的に見ればすべての通路について判定手段による判定が行なわれるので、不正行為をすべての通路について有効に防止することができる。
遊技球が通過する際に出力されるパルスのピークにおいてアナログ検出信号の値が出力範囲の限界に達しないようにしたものでは、パルスのピークにおいても信号が飽和したりゼロになったりして潰れることがない。これにより、ピークの部分を含めてパルスの形を基準の波形と比較することができ、的確な判定が可能になる。
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
図2は、本発明の実施の形態に係わる遊技球検出装置を適用した球計数機10の遊技場における設置状態の一例を示している。遊技場内には、同図に示すような遊技機島2が通路を挟んで複数形成されている。遊技機島2の表裏両面には、パチンコ機3とこのパチンコ機3で使用するパチンコ球(遊技球)を遊技者に貸し出す台間玉貸機4とを一組にしたものが多数並設収容されている。また遊技機島2の中央には遊技者が獲得した遊技球を計数するための球計数機10が収容されている。
球計数機10は、正面下部には遊技球を一度に大量に投入可能な投入口11が突出して設けてある。また、正面上部には計数結果などを表示するための液晶ディスプレイ12や計数結果が印字されたレシートが排出されるレシート排出口13などが設けてある。
図3は、球計数機10の内部構造を示している。球計数機10は、投入された遊技球5を整列させる複数のレーン15と、投入口11に投入された遊技球をレーン15の入口へ案内する内部通路16と、レーン15の終端に設けられたセンサ基板30とを有している。投入口11に投入された遊技球5は内部通路16および互いに平行な16本のレーン15を通る間に整列された後、レーン15の終端からセンサ基板30の開口部を通って機外に排出される。
図4は、センサ基板30を遊技球の排出側から見た様子を示している。センサ基板30は、遊技球が通る開口部31と、開口部31の上下に分けて配置された球検出センサ32とを備えている。球検出センサ32は、発光素子32aと受光素子32bとで構成されたフォトセンサである。球検出センサ32は、レーン15毎に設けてある。さらに同じフォトセンサが左右両端のレーンの外側にそれぞれ不正検出用センサ33として設けてある。不正検出用センサ33の間を遊技球が通ることはないので、不正検出用センサ33から信号が検出されたときは、不正行為が行なわれていると判断される。
図5は、レーン15の終端から排出される遊技球が球検出センサ32の間を通過する様子を示している。同図(a)に示すように、遊技球5が到来する前は発光素子32aから出射された光が遮られることなく受光素子32bに到達する。遊技球5が発光素子32aと受光素子32bとの間を通過し始めると同図(b)〜(d)に示すように遊技球5が光を遮り、受光素子32bに到達する光量が次第に減少する。
ただし、遊技球5が発光素子32aと受光素子32bの中心まで進入した同図(d)の状態でも、遊技球5の表面で反射・屈折した光や周囲のレーン15で反射した光がわずかに受光素子32bに到達するので、受光素子32bへの光が完全に遮られることはない。
その後、遊技球5が発光素子32aと受光素子32bの中心から遠ざかるに連れて遊技球5が光を遮る量が減り、受光素子32bに到達する光量が次第に増加する。
図6は、球検出センサ32およびその駆動回路を示している。発光素子32aは発光ダイオードで構成され、受光素子32bはフォトトランジスタで構成されている。受光素子32bであるフォトトランジスタには受光量に応じたベース電流が流れる。この駆動回路では球検出センサ32から受光量にほぼ反比例して電圧の変化するアナログ検出信号が出力される。
図7は、球検出センサ32の間を遊技球5が通過したときの受光素子32bの出力電圧の変化を示している。図5に示すように球検出センサ32の間を遊技球5が通過すると、出力電圧が山なりのパルス状に変化する。図7の時刻a〜gにおける出力電圧は、それぞれ遊技球5が図5の(a)〜(g)の位置にあるときの出力電圧に対応している。
なお、パルスのピークにおいても、出力電圧がセンサ駆動回路の飽和電圧34に至らないように設定してある。たとえば、飽和電圧が5vの場合には、どのような場合でもパルスのピークが5vに至らないように光量や回路定数が設定される。これにより、ピークの近傍を含めてパルスの形状を基準の波形と的確に比較することができる。なお、下向きのピークを持つパルスの場合は、ピークにおいて電圧がゼロにならないようにすればよい。
図8は、球計数機10の回路構成を示している。球計数機10は、主制御基板21と、センサ制御基板40と、表示ユニット制御基板22と、電源基板23とを備えている。センサ制御基板40には、先に説明したように、球検出センサ32や不正検出用センサ33が接続されている。また主制御基板21にはプリンタユニット24が接続され、表示ユニット制御基板22には液晶ディスプレイ12と、タッチパネル25と、スピーカ26とが接続されている。
主制御基板21は、球計数機10の動作を統括制御する機能を果たすものである。主制御基板21は、センサ制御基板40から遊技球の検出情報(判定結果)を受け取り、これに基づいて遊技球の数を計数したり、計数に係わる不正行為の有無を判断したりする。さらに計数結果を印字したレシートをプリンタユニット24から出力する制御を行なったり、計数結果を遊技場内のネットワーク等を通じて管理装置に送信したりする機能を果たす。表示ユニット制御基板22は、液晶ディスプレイ12やタッチパネル25、スピーカ26の動作を制御する。
図9は、センサ制御基板40の回路構成を示している。センサ制御基板40は、球検出センサ32が8個ずつ接続された第1入力回路41および第2入力回路42と、不正検出用センサ33が接続された第3入力回路43とを有している。また、球検出センサ32や不正検出用センサ33から入力される信号に基づいて遊技球の通過の有無を判定するCPU(中央処理装置)44を備えている。CPU44には、動作プログラムや固定データを記憶したROM(リード・オンリ・メモリ)45が接続されている。
CPU44は、ワークメモリとして使用されるRAM(ランダム・アクセス・メモリ)46と、第1入力制御部47と、第2入力制御部48と、PIO49と、SIO50と、クロック生成部51とを内蔵している。
第1入力制御部47と第2入力制御部48とは、信号の入力方式をデジタル入力とアナログ入力とに切り替え可能な入力制御回路である。アナログ入力に設定した場合は、入力されたアナログ信号は多値(たとえば深さ8ビット)のデジタル信号に変換された上でCPU44にて演算処理されるようになっている。第1入力制御部47には第1入力回路41を介して、第2入力制御部48には第2入力回路42を介して球検出センサ32からの検出信号がそれぞれ入力される。
PIO49は、デジタル信号を8ビット分並列に入力可能な入力制御回路である。不正検出用センサ33の出力する検出信号は波形整形回路52で2値化された後、PIO49に入力される。SIO50は、デジタル信号をシリアルで入出力するための制御回路である。SIO50にはRS232C変換回路53を通じて主制御基板21が接続されている。このシリアル通信を用いてCPU44と主制御基板21との間で各種の情報が受け渡しされる。
クロック生成部51は、クロック発信器54から入力される基本クロックを分周等して内部クロックを生成する機能を果たす。基準電圧発生回路55は、第1入力制御部47や第2入力制御部48がアナログ信号を多値のデジタル信号に変換する際の基準電圧を与えるものである。
図1は、センサ制御基板40のCPU44が果たす機能を示している。CPU44は、入力制御部47、48と、サンプリング部61と、判定手段62と、第2判定手段63と、判定結果出力部64と、切替制御部65としての機能を果たす。入力制御部47、48は、信号の入力方式をデジタル入力とアナログ入力とに切り替え可能であり、デジタル入力部66と、アナログ入力部67と、A/D(アナログ/デジタル)変換部68とを備えている。
デジタル入力部66は、入力信号をハイまたはローの2値で表わされるデジタル信号として捉える場合に使用する回路部である。アナログ入力部67は、アナログ信号を入力する際に使用する回路部である。A/D(アナログ/デジタル)変換部68は、アナログ入力部67を通じて入力されたアナログ信号を多値のデジタル信号に変換する回路である。
サンプリング部61は、入力制御部47、48の出力を一定周期でサンプリングする機能を果たす。実際にはデジタル信号をラッチするタイミング信号を入力制御部47、48に与えたり、アナログ信号をA/D(アナログ/デジタル)変換部68に取り込む際のタイミング信号を入力制御部47、48に与える。判定手段62は、遊技球の通過の有無をアナログ方式で判定する機能を果たす。すなわち、球検出センサ32から入力されるアナログ検出信号に現れる各パルスの形が基準の波形をなしているか否かに基づいて、それぞれのパルスが遊技球の通過によるものか否かを判定する。実際には、A/D(アナログ/デジタル)変換部68から出力される多値のデジタル信号が示す値の変化に基づいてパルスの形を判断するようになっている。
第2判定手段63は、遊技球の通過の有無をデジタル方式で判定する機能を果たす。すなわち、球検出センサ32の出力信号をハイとローに2値化したデジタル信号を判定対象とし、ハイの期間が一定時間継続したとき、遊技球の通過ありと判定する。たとえば、サンプリングした値が複数回(たとえば3回)連続してハイレベルのとき遊技球の通過ありと判定するようになっている。
判定結果出力部64は、判定手段62および第2判定手段63の判定結果を外部に出力する機能を果たす。具体的には、SIO50を通じて主制御基板21に判定結果が出力される。
切替制御部65は、アナログ方式の判定手段62とデジタル方式の第2判定手段63のいずれを用いて判定するかを切り替える機能を果たす。アナログ方式の判定手段62を用いる場合には、入力制御部47、48をアナログ入力部67およびA/D(アナログ/デジタル)変換部68として機能させる。デジタル方式の第2判定手段63を用いる場合には、入力制御部47、48のデジタル入力部66を機能させる。
ここでは、第1入力制御部47からの入力をアナログ方式の判定手段62で判定しかつ第2入力制御部48からの入力をデジタル方式の第2判定手段63で判定する第1検査モードと、第1入力制御部47からの入力をデジタル方式の第2判定手段63で判定しかつ第2入力制御部48からの入力をアナログ方式の判定手段62で判定する第2検査モードとを、一定時間毎に切り替えるようになっている。
図10は、球検出センサ32が出力するアナログ検出信号のパルス71をサンプリングする様子の一例を示している。なお同図では、パルス71の形を台形に簡略図示してある。サンプリングは一定周期で繰り返し行なわれる。この例では、パルスの波頭部分の期間t1における上昇率はp3に、期間t2における上昇率はp2に、期間t3における上昇率はp1になっている。波高値は(p3+p2+p1)であり、パルスの波尾部分の期間t4における下降率はp1に、期間t5における下降率はp2に、期間t6における下降率はp3になっている。
たとえば、期間t1における上昇率p3が基準の範囲内にあれば、パルス71を遊技球の通過によって生じたパルスであると判定し、基準の範囲外であれば遊技球の通過によるものでないと判定する。
図11は、図10におけるパルス71の立ち上がり部分72を拡大図示したものである。波頭部分での上昇率が基準の範囲内に入るとは、図11に示すように、最小値の上昇率で立ち上がる場合の最小波形81と最大値の上昇率で立ち上がる場合の最大波形82との間の範囲に検出されたパルス71の波頭部分が入ることを意味する。図11の例では、パルス71の波頭部分が範囲内に入っているので遊技球の通過によるパルスと判定される。
なお、率の代わりにパルスの値(たとえば、電圧値や電流値)が基準の範囲に入っているかを判定してもよい。たとえば、立ち上がり開始から一定時間(図11の例では期間t1)経過後のパルスの値Pvが基準範囲の最小値Vmin以上で最大値Vmax以下であれば、遊技球の通過と判定するように構成してもよい。
このほか、図10の期間t1における上昇率p3と期間t2の上昇率p2との差分が基準の範囲内か否かによって判定するなど、上昇率の変化量や上昇率の変化率を判定の基準にしてもよい。
また、複数の期間における上昇率がそれぞれ基準の範囲内に入っているか否かをもとに総合的に判定してもよい。たとえば、図12に示すように、パルス91の期間t1における上昇率R1がこの期間t1における上昇率の基準範囲r1min〜r1maxに入っているか否か、期間t2の上昇率R2がこの期間t2における上昇率の基準範囲r2min〜r2maxに入っているか否か、期間t3の上昇率R3がこの期間t3における上昇率の基準範囲r3min〜r3maxに入っているか否かをそれぞれ調べ、これらを総合的に判定するとよい。このとき、すべての期間で基準範囲に入っていることを遊技球と判定するための条件にしてもよいし、半数や3分の2以上の期間で基準範囲に入っている場合に遊技球であると判定してもよい。
図13は、パルスが遊技球の通過によるものか否かを判定する処理の一例を示している。この処理では、波頭部分での上昇率が基準範囲に入っているか否かを判定している。まず、入力されるアナログ検出信号をサンプリングし、その時点におけるアナログ検出信号の値(たとえば電圧値)としてSaを取得する(ステップS101)。この値Saが、パルスの立ち上がり始めを確認するための第1レベルを超えているか否かを検査する(ステップS102)。サンプリングした値Saが第1レベル未満の場合は(ステップS102;N)今回サンプリングした部分がパルスの立ち上がり部分でないと判断し、ステップS101に戻って再度のサンプリングを行なう。
サンプリングした値Saが第1レベル以上のときは(ステップS102;Y)、一定期間の経過を待って次のサンプリングを行ない、その時点におけるアナログ検出信号の値としてSbを取得する(ステップS103)。SbからSaを減算して上昇率を求め(ステップS104)、この上昇率が基準範囲に入っているか否かを判定する(ステップS105)。
上昇率が基準範囲に入っていないときは(ステップS105;N)、遊技球の通過によるパルスでないと判定し(ステップS107)、上昇率が基準範囲に入っているときは(ステップS105;Y)、遊技球の通過ありと判定する(ステップS106)。なお、ステップS103からS105の処理を図12に示すように複数の期間に対して行ない、これら複数の期間における上昇率を総合的に判断して、遊技球の通過の有無を判定するようにしてもよい。
その後さらに次のサンプリングを行ない、その時点におけるアナログ検出信号の値としてScを取得し(ステップS108)、その値が第2レベル未満か否かを調べる(ステップS109)。第2レベルは、パルスがピークを超えてほぼ完全に立ち下がったことを確認するための信号レベルであり、第1レベルと同じかそれ以下であることが好ましい。
サンプリングした値Scが第2レベル以上のときは(ステップS109;N)、今回のパルスがまだ継続していると判定し、サンプリングを継続する(ステップS108)。第2レベル未満になると(ステップS109;Y)、先の判定結果を上位の主制御基板21にSIO50を通じて出力するとともに(ステップS110)、次のパルスの立ち上がりを検知するためにステップS101へ戻る。
切替制御部65は、第1入力回路41に接続された球検出センサ32からの検出信号をアナログ方式の判定手段62で判定しかつ第2入力回路42に接続された球検出センサ32からの検出信号をデジタル方式の第2判定手段63で判定する第1検査モードと、第1入力回路41に接続された球検出センサ32からの検出信号をデジタル方式の第2判定手段63で判定しかつ第2入力回路42に接続された球検出センサ32からの検出信号をアナログ方式の判定手段62で判定する第2検査モードとを一定時間毎に切り替える。
アナログ方式の判定手段62による判定はデジタル方式の第2判定手段63による判定に比べて処理量が多いので、16個の球検出センサ32のうちの一部についてだけ判定手段62で判定することによりCPU44の負荷を低減し、単位時間当たりに判定可能な遊技球の数を増やしている。また第1検査モードと第2検査モードとを切り替えることにより、これらのモードが一巡すればすべてのレーンで判定手段62による判定が行なわれるので、アナログ方式の判定手段62で判定するレーンを固定化する場合に比べて、不正行為を効果的に防止することができる。たとえば、数秒毎に切り替えれば、すべてのレーンに対して不正行為の有無を適正に監視することができる。
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
たとえば、実施の形態では、球検出センサ32として光センサを使用したが、パチンコ球のように遊技球が金属で出来ている場合には、球検出センサにコイルを使用してもよい。すなわち、図14(a)、(b)に示すように、遊技球202が通るレーンの周囲にコイル201を設置しておけば、金属の遊技球202がコイル201に接近し、その中を通って遠ざかるときに電磁誘導作用によりコイル201に誘導電流が流れインダクタンスや損失の変化からアナログの検出信号を得ることができる。
図15は、遊技球202がコイル201を通過する際に生じる誘導電流の波形を示しており、光センサを用いた場合と同様に山なりのパルス203を得ることができる。球計数機10に投入されたパチンコ球はほぼ一定の速度でレーン15を流れるので、コイル201の測定点204と遊技球202との距離に応じて誘導電流の量が変化する。すなわち、距離が遠い場合は、電流が少なく、近ければ電流が多くなる。なお、コイル自身に電流を流しておき、導電性の遊技球が通過する際に、遊技球自身にうず電流が流れ、それによって生じる磁束によりコイル中の磁束が変化して、コイルに流れる電流量が変化するようになっている。
また実施の形態では、上昇率を基準に判定する場合を示したが、波高値や波高値時間、下降率を用いてもよい。波高値を用いる場合には、その値が基準範囲内か否かを判定する。波高値時間は、パルス波形の現在値が波高値を継続する時間の長さを判定の基準にするものであり、波高値や上昇率などと併用するとよい。
また、サンプリングを細かくし、上昇時や下降時の波形の面積を求め、その面積と基準の波形の対応する面積とを比較することでそのパルスが遊技球の通過によるものか否かを判定してもよい。
さらに実施の形態では、第1検査モードと第2検査モードとを一定周期で切り替えるようにしたが、CPUの処理能力に余裕がある場合には、すべてのレーンについてアナログ方式の判定手段62で判定するように構成してもよい。また判定手段62で判定するレーンと第2判定手段63で判定するレーンの割合や切り替え方法、切り替えタイミングは実施の形態で例示したものに限定されない。
このほか実施の形態では、遊技球検出装置を球計数機10に適用した場合を例に説明したが、他の装置に適用してもよい。たとえば、賞球や貸玉の払出装置において、払い出される遊技球の数を計数する用途に使用してもよい。