JP2005303041A - 樹脂結合型磁石組成物及びそれを用いた樹脂結合型磁石 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリアミド樹脂を樹脂バインダーとして含み、低温溶融時の流動性に優れた樹脂結合型磁石組成物、及びそれを用いて得られた、磁気特性、剛性等の機械強度及びリサイクル性に優れた樹脂結合型磁石を提供する。
【解決手段】異方性磁場(H)が4MA/m(50kOe)以上の磁性粉末(A)、有機化クレイ(B)、ポリアミド樹脂(C)、及び滑剤(D)を含有し、かつ有機化クレイ(B)がポリアミド樹脂(C)中に微分散していることを特徴とする樹脂結合型磁石組成物などによって提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂結合型磁石組成物及びそれを用いた樹脂結合型磁石に関し、さらに詳しくは、ポリアミド樹脂を樹脂バインダーとして含み、低温溶融時の流動性に優れた樹脂結合型磁石組成物、及びそれを用いて得られた、磁気特性、剛性等の機械強度及びリサイクル性に優れた樹脂結合型磁石に関する。
樹脂結合型磁石は、磁性粉末、有機樹脂等のバインダー成分、並びに滑剤等の添加剤を配合した組成物を、押出機等を用いて混練、次いでペレット状等に加工した後、射出成形、圧縮成形又は押出成形することにより製造される。特に、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂をバインダーとして、射出成形法を用いて製造される樹脂結合型磁石は、寸法精度が高く、後加工の必要がないので、磁石の製造コストを低減できるという利点がある。
ここで、磁気特性に優れる樹脂結合型磁石を得るには、磁性粉末の含有量を高くする必要がある。しかし、磁性粉末の含有量を高めると、得られる磁石の機械的強度が低下するという問題を生じる。また、磁性粉末の量が多くなるにしたがい、磁性粉末の分散性が低下して樹脂結合型磁石組成物の流動性の低下を招く。流動性が低下すると、磁性粒子の配向性も低下するので、磁性粉末の量に見合った磁気特性の磁石が得られないという問題が出てくる。また、流動性の悪化により、混練に要する動力負荷(混練トルク)が増大するという問題だけでなく、樹脂結合型磁石組成物の成形性自体も悪化して所望の形状の磁石に成形できない場合も発生する。
特に、鉄を含有する磁性粉末を使用すると、表面酸性度が高い磁性粉末表面の鉄が、塩基性のポリアミド樹脂に対して強い酸塩基相互作用(化学吸着)を引き起こし、その結果、樹脂結合型磁石組成物の流動性が一層低下し、また押出機で押し出し作業ができないほど混練トルクが上昇することもある。
これらの問題に対して、ポリアミド樹脂を主体としたバインダー成分を用いる際に、さらに滑剤等が配合されるが、流動性を改善するには充分でない。また、樹脂結合型磁石組成物の流動性を良くするために、混練温度、成形温度等を上げると、磁石が高温で酸化して、その磁気特性が劣化するという問題が生じる。
この樹脂結合型磁石組成物の流動性の問題を解決するために、本出願人は、樹脂バインダーとして、末端カルボキシル基又は末端アミノ基をカップリング剤で封止したポリアミドを用いて、磁性粉末に配合する方法(特許文献1参照)を提案した。これにより、ポリアミドと磁性粉末との強い酸塩基相互作用が抑制されるので、樹脂結合型磁石組成物の流動性をある程度改善することができた。
また、単独重合ポリアミドに共重合ポリアミド、ポリアミド系またはPBT系エラストマーを組み合せて樹脂バインダーとし、これを磁性粉粉末に混合する方法(特許文献2参照)等が提案されている。これは、磁性粉末に緻密な珪酸皮膜を形成させた後、ポリアミドと親和性の高いカップリング剤処理を施している。
ここで前者(特許文献1)の場合、流動性は良好であるが、反応性の高い末端極性基が封止されるため磁性粉とポリアミドとの親和性が不十分であり、射出成形後の材料強度特に剛性を維持し難い。また、後者(特許文献2)の場合、確かに流動性と材料強度において良好な射出成形品が得られるが、それでも射出成形品が非常に大きな加工負荷を受けた場合、材料強度、特に、剛性が不十分となる場合がある。
これに対して、樹脂結合型磁石用組成物の充填材成分として、超微粉末無機フィラーを用いることが提案されている(例えば特許文献3参照)。ところが、超微粉末無機フィラーを用いると機械強度は改善されると期待されるものの、コンパウンドが流動しなくなり、成形できなくなる場合があった。
近年、射出成形時の製品に使用されなかったスプルー、ランナー部分等の余剰品をリサイクルすることに対するニーズが高まっているが、このような余剰品を再度溶解して射出成形する場合には、加熱混練及び加熱成形工程の繰り返しにより、高温で射出成形するとポリアミド樹脂が熱分解され、また磁性粉が酸化され易いという問題がある。熱分解して分子量の小さくなった樹脂および酸化した磁性粉を再使用すると、成形時に樹脂と磁性粉末とが分離し、再生される樹脂結合型磁石の機械的強度が低下し、また高温履歴により磁化特性が低下してしまう。
このようなことから、希土類元素と鉄又はコバルトを含む磁石粉末、ポリアミド系樹脂バインダーを成分とするコンパウンドに、無機フィラーを配合しても流動性が低下せず、所望の機械的強度を得ることができ、しかもリサイクル性も良好な組成物の出現が切望されていた。
特開平10−256015号公報 特開2001−85209号公報 特開2001−110620号公報
本発明の目的は、従来の問題点に鑑み、ポリアミド樹脂を樹脂バインダーとして含み、低温溶融時の流動性に優れた樹脂結合型磁石組成物、及びそれを用いて得られた、磁気特性、剛性等の機械強度及びリサイクル性に優れた樹脂結合型磁石を提供することにある。
本発明者等は、このような問題点を解決するために鋭意研究を行った結果、希土類−鉄(コバルト)系の磁性粉末とポリアミド樹脂、及び滑剤を含有する樹脂結合型磁石組成物において、樹脂バインダーであるポリアミド樹脂に、有機化した層状珪素塩(有機化クレイ)を微分散させることによって、低温溶融時の流動性及び成形性に優れる樹脂結合型磁石組成物が得られ、この樹脂結合型磁石組成物を加熱成形して得られる樹脂結合型磁石は、剛性等の機械的強度、磁気特性及びリサイクル性に優れていることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、異方性磁場(H)が、4MA/m(50kOe)以上の磁性粉末(A)、有機化クレイ(B)、ポリアミド樹脂(C)、及び滑剤(D)を含有し、かつ有機化クレイ(B)がポリアミド樹脂(C)中に微分散していることを特徴とする樹脂結合型磁石組成物が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、磁性粉末(A)が、希土類元素、及び鉄又はコバルトを含有することを特徴とする樹脂結合型磁石組成物が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、磁性粉末(A)の含有量が、組成物全体に対して70〜97重量%であることを特徴とする樹脂結合型磁石組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、有機化クレイ(B)は、その表面が炭素数6以上の有機基を有する化合物によって有機化されていることを特徴とする樹脂結合型磁石組成物が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、有機化クレイ(B)は、ポリアミド樹脂(C)と層間化合物を形成していることを特徴とする樹脂結合型磁石組成物が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1の発明において、有機化クレイ(B)の含有量が、ポリアミド樹脂100重量部に対して、1〜15重量部であることを特徴とする樹脂結合型磁石組成物が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1の発明において、ポリアミド樹脂(C)の数平均分子量が、3000〜30000であることを特徴とする樹脂結合型磁石組成物が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第1の発明において、ポリアミド樹脂(C)は、ナイロン6、ナイロン8、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン68、ナイロン610、又はナイロン612から選ばれた1種以上であることを特徴とする樹脂結合型磁石組成物が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第1の発明において、滑剤(D)が、ワックス類、脂肪酸又はその誘導体、グリコール類及びポリシロキサン類からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする樹脂結合型磁石組成物が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、第1の発明において、さらに、ナイロン系樹脂バインダー(C’)をポリアミド樹脂(C)に対して1〜99重量%含有することを特徴とする樹脂結合型磁石組成物が提供される。
さらに、本発明の第11の発明によれば、第1の発明において、メルトインデックス法により測定される流動性が、5×10−3cm/sec以上であることを特徴とする樹脂結合型磁石組成物が提供される。
一方、本発明の第12の発明によれば、第1〜11の発明の樹脂結合型磁石組成物を加熱成形してなる樹脂結合型磁石が提供される。
また、本発明の第13の発明によれば、第12の発明において、機械的強度が、100MPa以上であることを特徴とする樹脂結合型磁石が提供される。
本発明の樹脂結合型磁石組成物は、有機化クレイがポリアミド樹脂中に微分散しているので有機化クレイの層間滑り効果により、低温でも流動性及び成形性に優れ、流動性を確保するために高温にさらす必要がなく、高温環境下における磁性粉末の酸化による磁気特性劣化を排除することができる。
さらに、本発明の組成物では、有機化クレイがハイブリッド補強効果を発揮することにより、射出成形品の機械強度が高く、応力歪がかかる使用状況でも割れが発生しない。また、得られた樹脂結合型磁石組成物を再生するために、加熱混練、射出成形等を繰り返しても、ポリアミド樹脂が熱分解し難いためリサイクル性にも優れており、工業的価値が極めて大きい。
次に、本発明の樹脂結合型磁石組成物(以下、単に組成物ともいう)、及び該組成物を加熱成形して得られる樹脂結合型磁石(以下、単に磁石ともいう)を詳細に説明する。
本発明の組成物は、上記のとおり、特定の磁性粉末(A)、有機化クレイ(B)、ポリアミド樹脂(C)、及び滑剤(D)を必須成分として含有し、有機化クレイ(C)がポリアミド樹脂(C)中に微分散している樹脂結合型磁石組成物である。なお、本発明において、微分散とは、実質的に全ての有機化クレイが微細な粒子に分かれて、ポリアミド樹脂中に略均一に分散した状態を意味するものとする。
1.磁性粉末(A)
本発明において磁性粉末は、異方性磁場(H)が4MA/m(50kOe)以上の希土類−鉄(コバルト)系磁性粉末、すなわち希土類元素と鉄又はコバルトを含む磁性粉末である。
具体的には、SmCo系磁性粉末、NdFeB系磁性粉末、SmFeN系磁性粉末、並びにNdFeB系、SmFeN系等の主構成元素であるFeの一部をCoで置換した磁性粉末が挙げられる。これらの磁性粉末は、単独又は2種以上を使用条件に合わせて選択することができる。これら磁性粉末の原料となる合金粉末は、還元拡散法、溶解鋳造法、液体急冷法などで製造され、特に限定されない。
磁性粉末の平均粒径は、通常、0.1〜250μm、好ましくは0.1〜100μm、さらに好ましくは0.1〜40μmの範囲にあればよい。平均粒径が0.1μmよりも小さいと磁性粉末が酸化しやすくなり、一方、250μmを越えると、得られる組成物の流動性が悪化したり、加熱成形後の磁石の寸法安定性および表面平滑性が悪化する場合があるので好ましくない。特に0.1〜40μmの範囲にあれば、組成物の流動性に優れ、かつ磁石の密度が上昇して磁気特性にも優れる点で小型薄物形状の磁石を得る場合に好ましい。
平均粒径が40μm以下であると、微粉末が発火しやすいので、発火防止性やハンドリング性を向上させるために、湿式ないし乾式処理による徐酸化皮膜を磁性粉末表面に形成することが望ましい。
上記の磁性粉末には、フェライト磁性粉末を混合して、希土類ハイブリッド磁石とすることができる。フェライト磁性粉末は、Srフェライト、Baフェライトのいずれでも構わないが、Srフェライトであれば、その角型性を良好に保つことができる。
磁性粉末は、表面処理剤を用いて表面を処理することができる。この表面処理により磁性粉末の表面が被覆されるため、混練時や射出成形時のせん断による磁性粉末の保磁力低下が抑制され、その結果、磁石の角型性が向上する。また、それに加えて希土類系磁性粉末の耐環境性も向上する。
かかる表面処理剤としては、燐酸系化合物、シラン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤及びチタネート系カップリング剤からなる群より選ばれる少なくとも1種が用いられる。
2.有機化クレイ(B)
本発明において用いられる有機化クレイは、フィラーであるクレイ(粘土鉱物)を有機化剤によりイオン交換して、その表面を有機化したものである。
有機化したクレイを用いるのは、クレイは、そのままでは樹脂材料とのなじみが悪く、樹脂バインダーとよく混ざらないためである。有機化によりインターカレートされた層間化合物は層間が拡大し、層と層の結合力は弱められている。この層間化合物が高いせん断力のもとにポリアミド樹脂(ナイロン)と混練されると、ナイロンが層間にインターカレートされ、結果として、例えばモンモリロナイトの珪酸層が一枚一枚はく離した状態で微分散される。
有機化クレイの母体となるクレイは、天然物でも、合成物でもよく、具体的には、モンモリロナイト、サボナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントライト、バーミキュライト、ハロサイト、マイカ、フッ素化マイカ、カオリナイト、パイロフェライト等が挙げられる。
上記クレイの中でも、モンモリロナイト、バーミキュライト、マイカ、フッ素化マイカ、カオリナイトなどの層状珪酸塩は、入手しやすいだけでなく機械的強度等をより向上させることができるから、本発明において望ましいものである。その一例として、クニミネ工業から販売されているNa−モンモリロナイト(商品名 クニピアF)を挙げることができる。
本発明において、有機化クレイの形状は、おおよそ偏平な燐片状であって、平均粒径は、特に限定されないが、長さ10〜300nm程度、厚みが1nm以下のものが好ましい。長さが10nmよりも短いとフィラー補強効果が弱まるために好ましくない。一方、300nmを越えたり、厚みが1nmを超えると、所望の流動性が得られなかったり、加熱成形後の磁石の寸法安定性および表面平滑性が悪化する場合もあり好ましくない。
有機化剤としては、炭素数が6以上の官能基を有する化合物を使用でき、この一例として有機オニウムイオンが挙げられる。有機オニウムイオンとしては、1〜4級のアンモニウムイオンが有効であり、例えば、ヘキシルアンモニウムイオン、オクチルアンモニウムイオン、2−エチルヘキシルアンモニウムイオン、デシルアンモニウムイオン、ドデシルアンモニウムイオン、ラウリルアンモニウムイオン、ヘキサデシルアンモニウムイオン、オクタデシルアンモニウムイオン、ジオクチルジメチルアンモニウムイオン、トリオクチルアンモニウムイオン、ジオクタデシルジメチルアンモニウムイオン、トリオクタデシルアンモニウムイオンなどを用いることができる.
また、有機オニウムイオンとして、ホスフォニウムイオン、すなわちテトラエチルホスフォニウムイオン、トリエチルベンジルホスフォニウムイオン、テトラ−n−ブチルホスフォニウムイオン、トリ−n−ブチルヘキサデシルホスフォニウムイオン、トリ−n−ブチルベンジルホスフォニウムイオン等を用いることができる。
有機化剤は、1種類でもよいが、2種類以上を用いてクレイ(層状珪酸塩)を有機化すれば、低温流動性と材料強度の高い射出成形品を成形できるので好ましい。2種以上の有機化剤とその配合比率は、自由に選択できる。
この場合、前述の1〜4級のアンモニウムイオンやホスフォニウムイオンから2種類以上の有機化剤を選択するのであれば、例えば、ドデシルアンモニウムイオンとオクタデシルアンモニウムイオンのように、アンモニウムイオンから2種以上を選択しても、ホスフォニウムイオンから2種以上を選択しても良い。また、アンモニウムイオン及びホスフォニウムイオンから夫々1種以上を選んで組み合せても良い。
例えば、ドデシルアンモニウムイオンとオクタデシルアンモニウムイオンとの組合せであれば、両者の比率は特に限定されないが、ドデシルアンモニウムイオン/オクタデシルアンモニウムイオンが0.01〜100、特に0.1〜80、さらには1〜50の比率となるようにすることが好ましい。
3.ポリアミド樹脂(C)
本発明においてポリアミド樹脂は、有機化クレイを微分散させるための分散媒となり、また磁性粉末を結合させるための樹脂バインダーとしても機能する。
ポリアミド樹脂の数平均分子量は、磁性粉末あるいは有機化クレイの種類や量にもよるが、3000〜30000、好ましくは3000〜20000、より好ましくは3000〜15000の範囲とする。数平均分子量が3000未満では、射出成形時に、磁性粉末との比重差の拡大により樹脂が磁性粉末と分離して、組成物の流動性が悪化する。また、得られる磁石の機械的強度も低下する。一方、数平均分子量が30000を超えると、成形体の機械強度は大きく向上するが、組成物の流動性が低下して、成形も困難となり、高温で射出成形しようとすると、磁性粉末の酸化劣化のために磁気特性の優れた磁石が得られない。
ポリアミド樹脂としては、公知のポリアミド樹脂を用いることができ、具体的には、ナイロン6、ナイロン8、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン68、ナイロン610、又はナイロン612等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を、磁石の使用条件、例えば耐熱性、機械的強度、弾性、寸法安定性、耐油性、耐薬品性又は耐候性に応じて適宜選択すればよい。
特に、機械的強度、寸法安定性、コスト、成形加工性等のバランスに優れ、かつ磁性粉末との親和性が良好な点で、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン66が好ましい。
ところで、ナイロン12の中でも、数平均分子量が14000〜16000程度のものは、ポリアミド樹脂の中でも低融点かつ低吸水性であり、柔軟性、耐摩耗性、耐油性に優れ、しかも良好な射出成形性を与えるため、樹脂結合型磁石組成物の原料(樹脂バインダー)として有用とされている。
しかし、ナイロン12は、他のナイロンに比べ柔軟性が高い反面、引っ張り強さが不足し、樹脂結合型磁石組成物として用いる場合、機械強度が不十分となることがあった。本発明では、ポリマー中に有機化クレイを微分散させるので、その欠点が補われ12−ナイロンの特性を十分に生かすことができる。
このように本発明では、有機化クレイをポリアミド樹脂材料に添加するが、これは添加する有機化クレイの量が少量でも効果が得られるため、コスト的にも有望な樹脂材料の特性改良方法といえる。
4.樹脂バインダー
本発明においては、前記したポリアミド樹脂が樹脂バインダーとして使用される。このポリアミド樹脂は、有機化クレイを微分散させた状態にあり、優れた流動性を有することから、単独で樹脂バインダーを構成することができる。ただし、射出成形時の流動性、加工性などを更に改善したい場合は、ポリアミド樹脂に有機化クレイを微分散させていない、前記とは異なるポリアミド樹脂(非有機化クレイ微分散ポリアミド樹脂、あるいは有機化クレイ未分散ポリアミド樹脂ともいう)又は他の熱可塑性樹脂を配合することができる。
非有機化クレイ微分散ポリアミド樹脂は、原料モノマーの単独重合体でも共重合体でもよく、具体的には、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン8、ナイロン11、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン68、ナイロン610、ナイロン612、芳香族系ナイロン、これらの分子を一部変性した変性ナイロン等を挙げることができる。これらから選ばれた1種以上のナイロン系樹脂バインダー(C’)を上記のポリアミド樹脂(C)に1〜99重量%、特に10〜80重量%添加することで、用途に応じた特性を発揮させることが可能となる。
ナイロン系樹脂バインダー(C’)以外にも、必要に応じて他の熱可塑性樹脂を配合することもできる。例えば、直鎖型ポリフェニレンサルファイド樹脂、架橋型ポリフェニレンサルファイド樹脂、セミ架橋型ポリフェニレンサルファイド樹脂、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、超高分子量ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂、アイオノマー樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、メタクリル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリ三フッ化塩化エチレン樹脂、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合樹脂、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアリルエーテルアリルスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアリレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、酢酸セルロース樹脂、各種エラストマーやゴム類等が挙げられる。
また、これらの単独重合体や他種モノマーとのランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、他の物質での末端基変性品なども使用できる。さらに、これら熱可塑性樹脂の2種類以上をブレンドした系も含まれる。
5.滑剤(D)
滑剤は、樹脂結合型磁石組成物の流動性を高めるための必須成分であり、公知のものを特に制限なく使用できる。
例えば、ワックス類、脂肪酸及び脂肪酸誘導体、グリコール類又はポリシロキサン類などであり、これらはポリアミド樹脂との相溶性、又は組成物の流動性向上に対する寄与率が大きいものである。
特に好ましいのはワックス類であり、例えば、パラフィンワックス、ポリプロピレンワックス、エステルワックス、カルナウバワックス及びマイクロワックスが挙げられる。
脂肪酸としては、例えばステアリン酸、12−オキシステアリン酸、ラウリン酸、べへン酸、パルミチン酸及びプロピオン酸が挙げられる。
また、脂肪酸誘導体としては、前記脂肪酸の金属塩、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉄、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、べへン酸亜鉛、べへン酸カルシウム、リノール酸亜鉛、及びリノール酸カルシウム;並びに前記脂肪酸のアミド化合物、例えばステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、べへン酸アミド、パルミチン酸アミド、ラウリン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ジステアリルアジピン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ジオレイルアジピン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド及びN−ステアリルエルカ酸アミドが挙げられる。
ポリエーテル類としては、エチレングリコール、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール及びこれらの変性物が挙げられる。ポリシロキサンとしては、シリコーンオイル、シリコーングリース等が挙げられる。
滑剤の形状は、塊状、粒状、粉体状のいずれも使用できるが、組成物の均一性を良くし、流動性を高めるためには、粉体状が好ましい。
6.その他の添加剤
本発明の樹脂結合型磁石組成物には、必要に応じて以下に示す各種の添加剤を、本発明の目的を阻害しない範囲で使用することができる。
本発明の樹脂結合型磁石組成物には、ポリアミド樹脂及び磁性粉末の耐熱性を向上させる目的で、熱老化防止剤、酸化防止剤等の安定剤を添加することもできる。このような安定剤には、例えばヒンダードアミン、ヒンダードフェノール等の一次酸化防止剤、イオウ系、リン系の二次酸化防止剤が挙げられ、特にリン系の二次酸化防止剤であるトリフェニルフォスファイトを添加することが好ましい。
安定剤は、混合工程、混練工程、成形工程のいずれの段階でも添加することができ、ポリアミド樹脂、他の樹脂バインダー又は滑剤に予め添加してもよい。
7.樹脂結合型磁石組成物の調製
本発明の樹脂結合型磁石組成物を調製するのに、特別な制限はなく、(1)必要により、有機化クレイをポリアミド樹脂に微分散させた樹脂バインダーを用意し、(2)これに、磁性粉末、滑剤、及びその他の添加剤を均一に混合し、(3)この混合物を加熱溶融しながら混練することで製造できる。
(1)有機化クレイのポリアミド樹脂への微分散
本発明においては、樹脂バインダー成分として、有機化クレイが微分散されたポリアミド樹脂を用いることが重要である。有機化クレイを微分散させたポリアミド樹脂は、有機化クレイを含まない従来のポリアミド樹脂に比べて、数平均分子量が小さくても破壊靱性が高く剛性が高くなる。つまり低温で流動性を維持したまま射出成形品に高い機械強度を与えることができる。
有機化クレイの量は、磁性粉末やポリアミド樹脂の種類などにもよるが、ポリアミド樹脂100重量部に対して、1〜15重量部、さらには1〜10重量部とすることが好ましい。1重量部未満では得られる成形品(樹脂結合型磁石)の剛性が不足し、15重量部を超えると成形品が脆くなり破壊しやすくなる。特に、有機化クレイの量を、ポリアミド樹脂100重量部に対して、3〜7重量部とすることにより、成形品の剛性及び耐破壊衝撃性を更に向上することができる。
有機化クレイをポリアミド樹脂に微分散させるには、磁性粉と通常の方法で単に混合・混練しただけでは不十分であり、流動性も悪く、目的の機械強度が得られないので後述する混練の条件を最適化することが必要となる。ただし、混練条件の最適化に代わり、有機化クレイを予めポリアミド樹脂とインターカレートさせ、層間化合物することができる。本発明においては、有機化クレイを分散させたポリアミド樹脂を用いることのほうが好ましい。
このような有機化クレイを分散させたポリアミド樹脂としては、市販のクレイ含有ハイブリッド樹脂を用いることができる。その一例として、ナノクレイハイブリッド樹脂(宇部興産製「3015C2」、「3030C2」)などを挙げることができる。
有機化クレイを含有するポリアミド樹脂の形状は、ペレット状、ビーズ状、パウダー状、ペースト状のいずれでもよく、均一な混合物を得る点で、パウダー状が好ましい。
有機化クレイ微分散ポリアミド樹脂は、分散媒あるいは樹脂バインダーであるポリアミド樹脂のマトリックスの中に有機化クレイが微分散しているので、射出成形時の流動性を維持したまま、成形品の機械強度、特に弾性率等の機械的物性を大きく向上させることができる。
その理由は、有機化クレイのマクロ分子構造が層状であるため、層間の滑り効果が発揮され流動性が良好になるためと考えられる。すなわち、層状構造を有する有機化クレイをポリアミド樹脂に添加混合すると、有機化クレイの層間にポリアミド樹脂が入り込む。すると、ポリアミド樹脂は、クレイ表面の官能基と親和性が高いため、有機化クレイの層間に安定して留まり、ポリアミド樹脂が有機化クレイの層間に介入して、層間化合物が形成されるものと考えられる(特開2003−119398号公報参照)。
(2)各成分の混合
混合工程では、磁性粉末、有機化クレイが微分散されたポリアミド樹脂、滑剤、及びその他の添加剤を均一に混合する。上記成分のほかに溶媒を用いれば、より均一な混合物が得られる場合もある。
磁性粉末は、組成物全体に対して70〜97重量%であり、好ましくは80〜95重量%配合する。磁性粉末の含有量が70重量%未満であると、得られる磁石の磁気特性が低下してしまう。一方、97重量%を超えると、樹脂結合型磁石組成物の流動性が極端に低下してしまい、成形が困難になったり、たとえ流動性を保ち成形できても、磁性粒子の配向性が悪くなり、磁性粉末の含有率に見合った磁気特性が得られにくい。また、樹脂バインダー成分が少なすぎるため、磁石の機械的強度が低下し、部品として使用できなくなる。
本発明の樹脂結合型磁石組成物において、有機化クレイ微分散ポリアミド樹脂の配合量は、通常、1〜30重量%でよく、好ましくは1〜15重量%である。1重量%未満であると、樹脂結合型磁石組成物の流動性が低下し、さらに磁石自体の機械強度も低下してしまう場合がある。また、30重量%を超えると、磁性粉末の割合が低いため、磁気特性に優れた磁石が得られない場合がある。
滑剤の配合量は、通常、5重量%以下でよく、磁石の機械強度の点から0.1〜3重量%以下が好ましい。5重量%を超えて添加すると、樹脂結合型磁石組成物の流動性は高くなるものの、射出成形時に磁性粉末と滑剤が分離してしまう場合がある。但し、0.1重量%未満の場合は、樹脂結合型磁石組成物の流動性が低下し、特に磁性粉末の含有量が高い場合に流動性が顕著に低下してしまい、所望の磁気特性を有するとともに実用に耐え得る磁石が得られない場合がある。また、得られる樹脂結合型磁石組成物の流動性が低いと、製造時に得られる、製品化されない残余の磁石組成物のリサイクル性も悪化することになる。
樹脂結合型磁石組成物の混合機としては、特に制限がなく、リボンミキサー、V型ミキサー(V型ブレンダー)、ロータリーミキサー、ヘンシェルミキサー、フラッシュミキサー、ナウターミキサー、タンブラー等が挙げられる。また、回転ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ウェットミル、ジェットミル、ハンマーミル、カッターミル等を用いて、各成分を粉砕しながら混合する方法も有効である。
(3)組成物の混練
この混練工程では、前記混合工程で得られた混合物を、ブラベンダー等のバッチ式ニーダー、バンバリーミキサー、ヘリカルローター、ロール、一軸押出機、二軸押出機等を用いて加熱溶融しながら混練する。
混練温度は、有機化クレイを微分散したポリアミド樹脂の融点以上であればよく、好ましくは180℃〜300℃の範囲が良く、磁性粉末の高温酸化を防ぐためには、200℃〜280℃の範囲、特に230℃〜250℃の範囲が好ましい。
混練において、有機化クレイ微分散ポリアミド樹脂は、その構造粘性のため混練時の初期トルクが一時的に高くなる傾向があり、有機化クレイを分散していないポリアミド樹脂の場合より、混練温度を高く設定する必要がある。すなわち、有機化クレイ未分散ポリアミド樹脂では210℃でも十分であるが、有機化クレイ微分散ポリアミド樹脂の場合では、230℃〜250℃の範囲が特に好ましい。
また、有機化クレイ微分散ポリアミド樹脂を含む組成物を製造する際には、溶融混練工程でせん断力が加わり、有機化クレイが分子レベルで微分散することになる。有機化クレイとポリアミド樹脂の親和性は非常に高く、通常のフィラー(シリカ粉等)を分散した場合に比べ、破壊時のクラックがフィラーである有機化クレイとポリアミド樹脂の界面を伝播しにくく、機械強度、特に剛性等が大きく向上する。
また、混練時のスクリュー回転数は、低めに設定することが必要で、有機化クレイ未分散ポリアミド樹脂では40rpm程度の回転数で最初から混練できるが、有機化クレイ微分散ポリアミド樹脂の場合、10rpmから混錬を開始し、トルクが安定したら徐々に40〜60rpm程度まで回転数を上げることが好ましく、それを行わないと混練が安定しない場合がある。
本発明の樹脂結合型磁石組成物は、得られた混練物をストランド状又はシート状に押し出した後、カッティングしたもの、また、前記混練物をホットカット又はコールドカットしてブロック状とした後、冷却固化し、さらに粉砕してペレット状等としたものとして得ることができる。
本発明の樹脂結合型磁石組成物は、鉄を含有するためにポリアミド樹脂との反応性の高い磁性粉末、例えばSmFeN系磁性粉末を用いる場合では、得られる組成物は、低温流動性及び射出成形性に優れるとともに、これを射出成形して得られる磁石は、磁気特性に優れ、かつ剛性等の機械的強度に優れるものとなる。
本発明の樹脂結合型磁石組成物は、メルトインデックス法で測定される流動性が、5×10−3cm/sec以上、好ましくは5×10−3〜9×10−3cm/secである。
有機化クレイ微分散ポリアミド樹脂をバインダーとして用いた樹脂結合型磁石では、該樹脂結合型磁石の成形時に発生する残余物(製品化されなかった組成物)を、リサイクルすることが要請されている。そのために加熱混練及び加熱成形を繰り返すことになるが、高度に微分散した有機化クレイが生み出すバリアー効果により、外部からの酸素透過が遮断されるため、熱分解し難く、ポリアミド樹脂の低分子量化による磁性粉末との分離を回避できる。したがって、組成物の流動性及び成形性の機械強度低下を防ぐことができ、樹脂結合型磁石のリサイクル性が向上する。流動性が、5×10−3cm/sec未満のものでは、このような効果を期待することができない。
8.樹脂結合型磁石
本発明の樹脂結合型磁石は、樹脂結合型磁石組成物を構成する樹脂の融点以上、好ましくは200〜250℃の範囲の温度で加熱溶融した後、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法等を用いて該溶融物を磁場中で成形して得ることができる。
特に、射出成形法は、成形体の形状の自由度が大きく、しかも得られる磁石の表面性状及び磁気特性が優れ、そのまま電子部品の部品として組み込める点で好ましい成形法である。
得られた成形体は、使用前に着磁することが望ましい。着磁には、静磁場を発生する電磁石、パルス磁場を発生するコンデンサー着磁機等が用いられる。着磁磁場、すなわち磁場強度は、1.2MA/m(15kOe)以上が好ましく、磁化を十分行うには、2.4MA/m(30kOe)以上が好ましい。
こうして得られる樹脂結合型磁石は、その機械的強度が100MPa以上と高く、120MPa以上のものも容易に製造できるために、例えば電子機器用モータ部品等の小型で偏平な複雑形状品として使用できる。この磁石は、大量生産でき、後加工が不要であり、インサート成形が可能である等の点で優れており、特に金属材料との一体成形部品に好適である。機械的強度が、100MPa未満の磁石では、これらの用途を期待することができない。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
磁性粉末、ポリアミド樹脂などの原料は次のものを用いた。また、磁石組成物及び磁石の各特性は、以下のようにして評価した。
<原料>
・磁性粉末:SmFe14(住友金属鉱山製、平均粒径4μm)
・有機化クレイ含有樹脂1:ナノクレイハイブリッド樹脂(宇部興産製、ナイロン3015C2樹脂)。ポリアミド樹脂(宇部興産製、ナイロン12、数平均分子量15000)に対して、有機化ナノクレイを2重量%含有するもの。
・有機化クレイ含有樹脂2:ナノクレイハイブリッド樹脂(宇部興産製、ナイロン3030C2樹脂)。ポリアミド樹脂(宇部興産製、ナイロン12、数平均分子量30000)に対して、有機化ナノクレイを2重量%含有するもの。
・非有機化処理ナノクレイ:Na−モンモリロナイト(商品名 クニピアF、クニミネ工業製)
・ポリアミド樹脂:ナイロン12(宇部興産3015)、数平均分子量15000。
・共重合ナイロン:(エムス・ジャパン グリロンC)、数平均分子量15000。
・パラフィンワックス:商品名カレンA−71(東京ファインケミカル(株)製)、融点72℃。
<評価方法>
・流動性(メルトインデックスMI法)
東洋精機(株)製メルトインデクサーを用い、測定温度:250℃、荷重:21.6kgで、ダイスウェル:直径2.1mm×厚さ8mmの中を所定重量のコンパウンドが通過する所要時間から、流動性(cm/sec)を評価した。この値が大きいほど流動性が高く、射出成形性が良好である。
・リサイクル性
樹脂結合型磁石組成物を東洋精機(株)製ラボプラストミルを用いて混練し(混練温度:230℃、回転数:50rpm、時間:30分)、次いで、(株)ホソカワミクロン製ロートプレックス粉砕器を用いて、粉砕を行った。粉砕工程を5回繰り返した後のペレット、及び粉砕工程を10回繰り返した後のペレットについて、流動性を上記と同様にして測定した。これらの測定値が、5×10−3cm/sec以上で有れば、射出成形可能であり、リサイクル性が良好であるとした。
・磁気特性
射出成形法により、直径20mm×厚さ15mmの円柱形磁石を成形し、パルス着磁機で5.6MA/m(70kOe)の外部磁場を印加して着磁した。その後、東英工業(株)製チオフィー型自記磁束計を用いて、磁石の残留磁化Br(T(kG))、保磁力iHc(kA/m(kOe))、及び最大エネルギー積(BH)max(kJ/m(MGOe))を測定した。
・機械的強度
寸法(幅W:15mm×長さL:8mm×厚みH:2mm)の板状試験片を支点間距離(Lv)7.5mmで支え、その中心に加重を加え、破断した時の加重(P)から次式で計算される曲げ強さ(σ)を機械強度とした。この値が大きいほど機械強度は高い。
曲げ強さの計算は以下の式による:
σ=3P/(2Wh
(実施例1)
有機化クレイ含有樹脂、パラフィンワックス、及び磁性粉末(SmFe14)を用いて、混合・混練することにより、本発明の樹脂結合型磁石組成物を調製し、次いでこれを射出成形して樹脂結合型磁石を製造した。
(1)樹脂結合型磁石組成物の製造
表1のように、有機化クレイ含有樹脂1を8部、パラフィンワックスを1部、及び磁性粉末SmFe14を91部採り、V型ブレンダーに投入し、15分間混合した。
次いで、この混合物を東洋精機(株)製ラボプラストミルにて、200℃、50rpm、30分の条件で混練し、冷却した後、ホソカワミクロン製ロートプレックス粉砕器で粉砕し、ペレット状の樹脂結合型磁石組成物を製造した。
この組成物の流動性を、上記評価方法に従って測定した。その結果を表2に示す。
(2)樹脂結合型磁石の製造
上記樹脂結合型磁石組成物を、タナベ工業(株)製磁場中射出成形機(TK50型)に投入し、7mm方向に560kA/mの磁場をかけながら、30A、射出圧98MPa、射出温度230℃、金型温度110℃の条件で、上記円柱状及び短冊形状の成形体をそれぞれ成形した。
得られた成形体の磁気特性、機械的強度及び密度を測定した。その結果を表2に併せて示す。
(実施例2)
表1のように、有機化クレイ含有樹脂1を1部、ポリアミド(ナイロン12)樹脂(宇部興産3015)を7部、パラフィンワックスを1部、及び磁性粉末SmFe14を91部採り、V型ブレンダーで15分間混合した。
次いで、この混合物を、実施例1と同様にして、東洋精機(株)製ラボプラストミルにて、200℃、50rpm、30分の条件で混練し、冷却した後、ホソカワミクロン製ロートプレックス粉砕器で粉砕し、ペレット状の磁石組成物を製造した。
この組成物の流動性を、上記評価方法に従って測定した。また、組成物及び磁石を製造し評価した。その結果を表2に示す。
(実施例3)
表1のように、有機化クレイ含有樹脂1を4部、共重合ナイロンを4部、パラフィンワックスを1部、及び磁性粉末SmFe14を91部採り、V型ブレンダーで15分間混合した。次いで、この混合物を東洋精機(株)製ラボプラストミルにて、200℃、50rpm、30分の条件で混練、冷却した後、ホソカワミクロン製ロートプレックス粉砕器で粉砕し、ペレット状の磁石組成物を製造した。
この組成物の流動性を、上記評価方法に従って測定した。実施例1と同様にして、組成物及び磁石を製造し評価した。その結果を表1に示す。
(実施例4)
表1のように、有機化クレイ含有樹脂1の代わりに有機化クレイ含有樹脂2を8部とした以外は、実施例1と同様にして各成分を採り、V型ブレンダーで15分間混合した。
次いで、この混合物を、実施例1と同様にして、東洋精機(株)製ラボプラストミルにて、200℃、50rpm、30分の条件で混練し、冷却した後、ホソカワミクロン製ロートプレックス粉砕器で粉砕し、ペレット状の磁石組成物を製造した。
この組成物の流動性を、上記評価方法に従って測定した。また、組成物及び磁石を製造し評価した。その結果を表2に示す。
(比較例1)
表1のように、ポリアミド(ナイロン12、宇部興産3015)樹脂を8部、パラフィンワックスを1部、及び磁性粉末SmFe14を91部採り、V型ブレンダーで15分間混合した。次いで、この混合物を東洋精機(株)製ラボプラストミルにて、200℃、50rpm、30分の条件で混練、冷却した後、ホソカワミクロン製ロートプレックス粉砕器で粉砕し、ペレット状の磁石組成物を製造した。
この組成物の流動性を、上記評価方法に従って測定した。実施例1と同様にして、組成物及び磁石を製造し評価した。その結果を表2に示す。
(比較例2)
表1のように、ポリアミド(ナイロン12、宇部興産3015)樹脂を4部、共重合ナイロンを4部、パラフィンワックスを1部、及び磁性粉末SmFe14を91部採り、V型ブレンダーで15分間混合した。次いで、この混合物を東洋精機(株)製ラボプラストミルにて、200℃、50rpm、30分の条件で混練、冷却した後、ホソカワミクロン製ロートプレックス粉砕器で粉砕し、ペレット状の磁石組成物を製造した。
この組成物の流動性を、上記評価方法に従って測定した。実施例1と同様にして、組成物及び磁石を製造し評価した。その結果を表2に示す。
(比較例3)
表1のように、ポリアミド(ナイロン12、宇部興産3015)樹脂を7部、非有機化処理ナノクレイ1部、パラフィンワックスを1部、及び磁性粉末SmFe14を91部採り、V型ブレンダーで15分間混合した。次いで、この混合物を東洋精機(株)製ラボプラストミルにて、200℃、50rpm、30分の条件で混練、冷却した後、ホソカワミクロン製ロートプレックス粉砕器で粉砕し、ペレット状の磁石組成物を製造した。
この組成物の流動性を、上記評価方法に従って測定した。実施例1と同様にして、組成物及び磁石を製造し評価した。その結果を表2に示す。
(比較例4)
表1のように、有機化クレイ含有樹脂1の量を0.16部とし、ポリアミド(ナイロン12、宇部興産3015)樹脂の量を7.84部とした以外は、実施例1と同様にして、これにパラフィンワックスを1部、及び磁性粉末SmFe14を91部採り、V型ブレンダーで15分間混合した。次いで、この混合物を東洋精機(株)製ラボプラストミルにて、200℃、50rpm、30分の条件で混練、冷却した後、ホソカワミクロン製ロートプレックス粉砕器で粉砕し、ペレット状の磁石組成物を製造した。
この組成物の流動性を、上記評価方法に従って測定した。実施例1と同様にして、組成物及び磁石を製造し評価した。その結果を表2に示す。
Figure 2005303041
Figure 2005303041
「評価」
この結果、実施例1〜4は、有機化クレイ微分散ポリアミド樹脂を特定量用いているので、得られた組成物は流動性が高く、これを射出成形した磁石は、優れた磁気特性を有し、機械的強度も十分なことが分かる。特に実施例4は、有機化クレイ微分散ポリアミド樹脂の分子量が高いために、流動性は比較的低くなるが、機械強度の非常に高い成形体が得られる。
これに対して、比較例1〜3は、有機化クレイ微分散ポリアミド樹脂を用いておらず、また、比較例4は、有機化クレイ微分散ポリアミド樹脂を用いているものの、その配合量が少ないために、フィラー補強効果による機械強度の向上が見られない。

Claims (13)

  1. 異方性磁場(H)が4MA/m(50kOe)以上の磁性粉末(A)、有機化クレイ(B)、ポリアミド樹脂(C)、及び滑剤(D)を含有し、かつ有機化クレイ(B)がポリアミド樹脂(C)中に微分散していることを特徴とする樹脂結合型磁石組成物。
  2. 磁性粉末(A)が、希土類元素、及び鉄又はコバルトを含有することを特徴とする請求項1に記載の樹脂結合型磁石組成物。
  3. 磁性粉末(A)の含有量が、組成物全体に対して70〜97重量%であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂結合型磁石組成物。
  4. 有機化クレイ(B)は、その表面が炭素数6以上の有機基を有する化合物によって有機化されていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂結合型磁石組成物。
  5. 有機化クレイ(B)は、ポリアミド樹脂(C)と層間化合物を形成していることを特徴とする請求項1に記載の樹脂結合型磁石組成物。
  6. 有機化クレイ(B)の含有量が、ポリアミド樹脂(C)100重量部に対して、1〜15重量部であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂結合型磁石組成物。
  7. ポリアミド樹脂(C)の数平均分子量が、3000〜30000であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂結合型磁石組成物。
  8. ポリアミド樹脂(C)は、ナイロン6、ナイロン8、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン68、ナイロン610、又はナイロン612から選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂結合型磁石組成物。
  9. 滑剤(D)が、ワックス類、脂肪酸又はその誘導体、グリコール類及びポリシロキサン類からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂結合型磁石組成物。
  10. さらに、ナイロン系樹脂バインダー(C’)をポリアミド樹脂(C)に対して1〜99重量%含有することを特徴とする請求項1に記載の樹脂結合型磁石組成物。
  11. メルトインデックス法により測定される流動性が、5×10−3cm/sec以上であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂結合型磁石組成物。
  12. 請求項1〜11に記載の樹脂結合型磁石組成物を加熱成形してなる樹脂結合型磁石。
  13. 機械的強度が、100MPa以上であることを特徴とする請求項12に記載の樹脂結合型磁石。
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