JP2005302843A - 半導体レーザ - Google Patents

半導体レーザ Download PDF

Info

Publication number
JP2005302843A
JP2005302843A JP2004113475A JP2004113475A JP2005302843A JP 2005302843 A JP2005302843 A JP 2005302843A JP 2004113475 A JP2004113475 A JP 2004113475A JP 2004113475 A JP2004113475 A JP 2004113475A JP 2005302843 A JP2005302843 A JP 2005302843A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
semiconductor laser
layer
resonator
ridge stripe
stripe structure
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2004113475A
Other languages
English (en)
Inventor
Isao Kidoguchi
勲 木戸口
Yasuo Kitaoka
康夫 北岡
Hiroyoshi Yajima
浩義 矢島
Keiji Ito
啓司 伊藤
Atsunori Mochida
篤範 持田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP2004113475A priority Critical patent/JP2005302843A/ja
Publication of JP2005302843A publication Critical patent/JP2005302843A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】 高出力を得るために共振器を形成する2つの端面の反射率を非対称とした半導体レーザであって、空間的ホールバーニングによるキンクの発生および利得飽和といった高出力特性の低下が防止された半導体レーザを提供する。
【解決手段】 端面反射率が非対称な半導体レーザにおいて、レーザ光が出射される共振器の前方端面141側でのリッジストライプ構造117下部の活性層104への光閉じ込め係数を、反対側に位置する後方端面140側でのリッジストライプ構造117下部の活性層104への光閉じ込め係数よりも小さくする。これにより、非対称な端面反射率によって生じる共振器の長さ方向の光強度分布と注入キャリア密度分布のアンバランスを低減でき、高出力特性の低下が防止される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体レーザに関する。
半導体レーザは、エレクトロニクスやオプトエレクトロニクスの多くの分野で広く使用されており、光デバイスとして不可欠なものである。特に、III−V族窒化物系半導体材料(例えば、AlGaIn1−x−yN(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)など)からなる半導体レーザは、光ディスク装置による超高密度記録を実現するためのキーデバイスであり、現在、実用レベルに達しつつある。この半導体レーザの高出力化は、光ディスクの高速書き込みを可能にするのみならず、レーザディスプレイへの応用など、新たな技術分野の開拓に必須の技術である。
図14に、従来の半導体レーザの一例を示す。この半導体レーザは、絶縁層を用いて電流狭窄構造を形成したものである。図示のように、この半導体レーザでは、n型GaN基板1401上に、n型AlGaNからなるn型クラッド層1402、n型GaNからなる光ガイド層1403、InGaNを含む多重量子井戸構造からなる量子井戸活性層1404、アンドープGaNキャップ層1405、p型GaNからなる光ガイド層1406、p型AlGaNからなるp型クラッド層1407、絶縁層1410が順次積層されている。絶縁層1410は、前記p型クラッド層1407に形成された台形状の凸部であるリッジストライプ構造1417の頂上部を除くp型クラッド層1407の上面およびリッジストライプ構造1417の側部を被覆している。リッジストライプ構造1417の頂上部の上面には、p型GaNからなるコンタクト層1408およびpメタル1409が配置されており、p電極1415からリッジストライプ構造1417内へキャリア(ホール)を注入するようにしてある。n型GaN基板1401の裏面には、n電極1416が形成されている。前記p型クラッド層1407に形成されたリッジストライプ構造1417が、電流狭窄構造として機能する。すなわち、リッジストライプ構造1417により電流が狭窄され、これによって生じる利得分布により導波モードが形成される。p電極1415およびn電極1416から注入される電流の増加に伴って量子井戸活性層1404内のキャリア密度が上昇し、その値がしきい値に達するとレーザ発振(誘導放出)が得られる。レーザの光出力は、活性層1404内に注入されるキャリア密度の増大に伴い増加する。しかしながら、従来の半導体レーザでは、高出力を得ようと注入電流を増加し、活性層1404内部のキャリア密度を高くしようとした場合、活性層1404内部で横方向(リッジストライプ構造1417に直交する方向)にキャリア密度のばらつきが生じ、キャリアの空間的なホールバーニングや利得飽和によりキンク(電流−光出力特性の折れ曲がり、非線形性)が発生し、光出力増大が抑制され、高出力動作が阻害されるという問題があった。
キンクの発生を抑制する有効な対策のひとつとして、前記リッジストライプ構造の幅を狭くすることが知られている。リッジストライプ構造の幅が狭くなるにつれて、活性層に注入されるキャリアの分布、および活性層で誘起される光の強度分布の横方向(リッジストライプ構造1417に直交する方向)への拡がりが相対的に狭められ、空間的なホールバーニングに起因するキンクの発生が抑制される。
しかしながら、リッジストライプ構造の幅を、共振器全体で一様に狭くすることは、電流経路を狭くし、共振器の直列抵抗を増加させ、駆動電圧を上昇させる。特に、窒化物系半導体レーザの信頼性は、駆動電圧に大きく依存することが知られており、駆動電圧の上昇は、できる限り抑制されなければならない。また、光ディスク装置の書き込みに用いられる半導体レーザなどにとって重要なパラメータである水平方向遠視野角も、リッジストライプ構造の幅によって決定される。よって、リッジストライプ構造の幅は、単に狭くすればよいというものではなく、共振器の電流−光出力特性、直列抵抗、および水平方向遠視野角のそれぞれを最適とする値とする必要がある。
これらの課題に対して、共振器の中央部から共振器の両端面方向に向かってリッジストライプ構造の幅が減少するテーパ領域を形成するレーザ構造が提案されている(特許文献1参照。)。この構造では、リッジストライプ構造の幅を一様に狭くする従来のレーザ構造と比べて、共振器の駆動電圧を過度に上昇させることなく、安定なレーザ発振を提供できる。
また、共振器の長さ方向に電極を分割し、光の強度分布に比例した形状に注入電流分布形状を制御することにより、安定した単一モード動作と製作歩留まりの向上を図ったレーザ構造が提案されている(特許文献2参照。)。この構造では、光の強度分布が最も高くなるレーザの中央部分での電流密度を、他の部分より高くすることで、安定な単一モード発振のレーザを提供できる。
一方、高出力化の有効な手段のひとつとして、半導体レーザの共振器を形成する2つの端面の反射率を非対称とする方法が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。これは、光ディスク装置の書き込みに用いられる半導体レーザでは一般的な方法である。この方法は、共振器を形成する2つの端面を、屈折率の異なる誘電体多層膜でそれぞれコーティングすることで、共振器端面の反射率を非対称にする方法であり、具体的には、共振器を形成する端面のうち、レーザ光が出射する側の端面(以下、前方端面という。)の反射率を低く(例えば、10%)、また、その反対側の端面(以下、後方端面という。)の反射率を高く(例えば、90%)する。なお、誘電体多層膜の反射率は、用いる誘電体の屈折率、層厚、および積層する総数によって制御することができる。この方法を用いれば、前記リッジストライプ構造の幅が共振器全体で一様である従来の半導体レーザや、特許文献1や特許文献2に開示されている半導体レーザの出力を、高めることができる。
しかしながら、共振器を形成する前方端面と後方端面の反射率が非対称である場合(いわゆる非対称コーティングの場合)、共振器内部では、共振器の長さ方向の光強度分布に大きな偏りを生じる。図15は、図14に示した従来の半導体レーザにおける共振器の長さ方向の光強度分布を示すグラフである。図示のように、前方端面の反射率と後方端面の反射率とがともに20%である場合(すなわち対称コーティングの場合)、前方端面と後方端面の光強度は、ほぼ同じである。一方、前方端面の反射率が10%、後方端面の反射率が90%である場合(いわゆる非対称コーティングの場合)、前方端面の光強度は、後方端面の光強度と比べて約2倍高い。
図14に示したリッジストライプ構造1417の幅が共振器全体で一様である従来のレーザ構造では、活性層1404内に注入されるキャリア密度は、共振器の長さ方向で一様となる。したがって、高出力を得ようと、前方端面と後方端面の反射率が非対称となるようにコーティングした場合、前方端面と後方端面で、光強度分布には大きな差があるにもかかわらず、活性層1404内に注入されるキャリア密度は一様という状態が発生する。すなわち、高出力を得るために注入電流を大きくすると、誘導放出による前方端面1441付近でのキャリアの消費が大きくなる一方、後方端面1440付近では活性層1404内のキャリア密度が過剰な状態となり、共振器の長さ方向の空間的ホールバーニングが生じやすくなる。そのため、利得飽和やキンクの発生を引き起こし、出力の低下や不安定性の原因となる。この現象は、AlGaAs系半導体材料(AlGa1−xAs(ただし、0≦x≦1))からなる赤外半導体レーザや、AlGaInP系半導体材料(AlGaIn1−x−yP(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1))からなる赤色半導体レーザと比べて、しきい値が極めて高く、なおかつ微分利得が高い窒化物系半導体レーザで特に顕著となる。
特許文献1や特許文献2に開示されている半導体レーザ構造でも、高出力を得ようと、非対称コーティングを施した場合、前方端面と後方端面での光強度分布と注入キャリア密度分布のアンバランスな状態は十分には解消されず、キャリア密度が過剰な領域の形成は避け難い。
特開2000−357842号公報 特許第1862544号公報 伊賀健一編著、「半導体レーザ」、第1版、株式会社オーム社、平成6年10月25日、p.238
そこで、本発明の目的は、高出力を得るために共振器を形成する2つの端面の反射率を非対称とした半導体レーザであって、空間的ホールバーニングによるキンクの発生および利得飽和などの高出力特性の低下が防止された半導体レーザを提供することである。
前記目的を達成するために、本発明の半導体レーザは、基板と、前記基板上の第1の導電型のクラッド層と、前記第1の導電型のクラッド層上の活性層と、前記活性層上の第2の導電型のクラッド層とを含み、前記第2の導電型のクラッド層は、キャリアを注入するためのリッジストライプ構造を有し、前記リッジストライプ構造に直交する方向の2つの端面を有する半導体レーザであって、前記半導体レーザの共振器において、レーザ光が出射される出射面(前方端面)の反射率が、反対側に位置する後方端面の反射率よりも低く、前記前方端面側での前記リッジストライプ構造下部の前記活性層への光閉じ込め係数が、前記後方端面側での前記リッジストライプ構造下部の前記活性層への光閉じ込め係数より小さい半導体レーザである。
このように、本発明の半導体レーザは、非対称な端面反射率を構成することで半導体レーザの高出力化が図れ、それによって生じる共振器の長さ方向の光強度分布と注入キャリア密度分布のアンバランスは、リッジストライプ構造下部の活性層への光閉じ込め係数を、光強度が高くなる前方端面側では小さく、光強度が低くなる後方端面側では大きくすることで低減することができる。これにより、本発明の半導体レーザでは、空間的ホールバーニングによるキンクの発生および利得飽和などの高出力特性の低下が防止され、この結果、安定な高出力動作を有する。
本発明の半導体レーザでは、前記第1の導電型のクラッド層または前記第2の導電型のクラッド層の少なくとも一方が、前記共振器の長さ方向に、複数個の屈折率の異なる材料を配置することで形成され、前記材料が、前記前方端面側から、屈折率の低い順に配列されていることが好ましい。
本発明の半導体レーザは、さらに、光ガイド層を含み、前記光ガイド層が、前記共振器の長さ方向に、複数個の膜厚の異なる厚を配置することで形成され、前記膜厚の異なる層が、前記前方端面側から、膜厚の薄い順に配列されていることが好ましい。
本発明の半導体レーザは、さらに、屈折率調整層を含み、前記屈折率調整層が、前記共振器の長さ方向に、複数個の屈折率の異なる層を配置することで形成され、前記屈折率の異なる層が、前記前方端面側から、屈折率の低い順に配列されていることが好ましい。
本発明の半導体レーザでは、前記リッジストライプ構造の幅は、1〜5μmの範囲であってもよいし、5〜200μmの範囲であってもよい。
本発明の半導体レーザは、前記リッジストライプ構造を、複数個有してもよい。
本発明の半導体レーザでは、前記前方端面の反射率は、例えば、0.01〜50%の範囲、好ましくは、0.1〜30%の範囲であり、前記後方端面の反射率は、例えば、30〜100%の範囲、好ましくは、50〜100%の範囲である。また、前記前方端面の反射率が前記後方端面の反射率よりも15%以上低いことが好ましい。
本発明の半導体レーザは、III−V族窒化物系半導体材料からなることが好ましい。
本発明の半導体レーザは、AlGaInP系半導体材料からなるものであってもよいし、AlGaAs系半導体材料からなるものであってもよい。
以下、図面に基き本発明の半導体レーザの一例について詳細に説明する。この例は、III族窒化物系半導体レーザの場合の例である。
図1に、本発明の半導体レーザの共振器の一例の上方斜視図を示す。図示のように、この半導体レーザでは、基板101上に、第1の導電型のクラッド層102、活性層104、第2の導電型のクラッド層107、コンタクト層108、絶縁層110が順次積層されている。絶縁層110は、前記第2の導電型のクラッド層107に形成された台形状の凸部であるリッジストライプ構造117の上面を除く第2の導電型のクラッド層107の上面およびリッジストライプ構造117の側部を被覆している。なお、前記リッジストライプ構造の形状は、台形状に限られず、例えば、側辺を斜めではなく略垂直に立ち上げた長方形状(直方体状)としてもよい。リッジストライプ構造117の上面には、第2の電極115が配置されており、リッジストライプ構造117内へキャリア(ホール)を注入するようにしてある。基板101の裏面には、第1の電極116が配置されている。前記リッジストライプ構造117に直交する方向でへき開した2つの端面は、それぞれ、誘電体多層膜131、130でコーティングされ、レーザ光が出射される出射面(前方端面141)およびその反対側に位置する後方端面140が形成されている。また、前記前方端面141側でのリッジストライプ構造117下部の活性層104への光閉じ込め係数は、前記後方端面140側でのリッジストライプ構造117下部の活性層104への光閉じ込め係数よりも小さくなるように設計されている。
前記基板101としては、III−V族窒化物系半導体材料がその上にエピタキシャル成長できる基板、例えば、サファイア基板、SiC基板、n型GaN基板などを用いることができる。前記基板101の大きさとしては、その幅が、例えば、100〜2000μmの範囲、好ましくは、150〜1000μmの範囲、より好ましくは、200〜700μmの範囲であり、その長さが、例えば、100〜3000μmの範囲、好ましくは、150〜2000μmの範囲、より好ましくは、200〜1000μmの範囲であり、その厚さが、例えば、100〜4000μmの範囲、好ましくは、50〜1000μmの範囲、より好ましくは、50〜200μmの範囲である。
前記第1の導電型のクラッド層102としては、例えば、n型AlGaNからなるn型クラッド層などを用いることができる。前記第1の導電型のクラッド層102の大きさとしては、その幅およびその長さは、前記基板と同様であり、その厚さは、例えば、0.2〜5μmの範囲であり、好ましくは、0.3〜4μmの範囲であり、より好ましくは、0.4〜3μmの範囲である。
前記活性層104としては、例えば、InGaNを含む多重量子井戸構造からなる量子井戸活性層などを用いることができる。前記活性層104の大きさとしては、その幅およびその長さは、前記基板と同様であり、そのトータルの厚さは、例えば、0.002〜0.2μmの範囲であり、好ましくは、0.003〜0.1μmの範囲であり、より好ましくは、0.005〜0.05μmの範囲である。
前記第2の導電型のクラッド層107としては、例えば、p型AlGaNからなるp型クラッド層などを用いることができる。前記第2の導電型のクラッド層107の大きさとしては、その幅およびその長さは、前記基板と同様であり、その厚さは、後述のリッジストライプ構造の高さを含めて、例えば、0.2〜5μmの範囲であり、好ましくは、0.3〜4μmの範囲であり、より好ましくは、0.4〜3μmの範囲である。
前記第2の導電型のクラッド層107には、キャリア(ホール)を注入するためのリッジストライプ構造117が形成される。前記第2の導電型のクラッド層107にリッジストライプ構造117を形成する方法は、特に制限されないが、例えば、塩素ガス等を用いたドライエッチングなどの方法で形成することができる。前記リッジストライプ構造117の幅は、例えば、1〜5μmの範囲、好ましくは、1〜4μmの範囲、より好ましくは、1〜3μmの範囲であり、高さは、例えば、0〜4μmの範囲、好ましくは、0.1〜3μmの範囲、より好ましくは、0.2〜2μmの範囲である。なお、後述のワイドストライプ構造の本発明の半導体レーザにおいては、前記リッジストライプ構造117の幅は、例えば、5〜200μmの範囲であり、好ましくは、10〜150μmの範囲であり、より好ましくは、10〜100μmの範囲である。
前記絶縁層110は、前述のとおり、前記リッジストライプ構造117の上面を除く第2の導電型のクラッド層107の上面およびリッジストライプ構造117の側部を被覆するように形成する。前記絶縁層の材質は、特に制限されないが、Ta、SiO、SiON、Al、AlON,ZrO、TiO、Nbなどを用いることができる。
前記コンタクト層108としては、例えば、p型GaNからなるコンタクト層などを用いることができる。前記コンタクト層108の大きさとしては、その幅は、前記リッジストライプ構造117と同様であり、その長さは、前記基板と同様であり、その厚さは、例えば、0〜2μmの範囲であり、好ましくは、0.05〜1μmの範囲であり、より好ましくは、0.1〜0.5μmの範囲である。
前記第2の電極115としては、例えば、p電極を用いることができる。前記第2の電極115は、少なくとも、前記コンタクト層108の上面を覆うように形成する。なお、前述のとおり、前記リッジストライプ構造117の上面を除く第2の導電型のクラッド層107の上面およびリッジストライプ構造117の側部は、絶縁層110で覆われているので、図1に示すように、絶縁層110の上面まで覆うように、第2の電極115を形成しても、前記リッジストライプ構造117の上面のみからキャリアを注入することができるので問題はない。
前記第1の電極116としては、例えば、n電極を用いることができる。前記第1の電極116は、前記基板101の裏面に、少なくとも、前記リッジストライプ構造117の下部にあたる部分を覆うように配置する。
前記誘電体多層膜131、130は、前記前方端面141および後方端面140が、所望の反射率となるように形成する。前記前方端面141および後方端面140の反射率については、前述のとおりである。前記反射率は、前記誘電体多層膜131、130に用いる誘電体の屈折率、層厚および積層する層の数によって制御することができる。前記誘電体としては、特に制限されないが、例えば、SiO、Ta、SiON、Al、AlON,ZrO、TiO、Nbなどを用いることができる。また、前記誘電体多層膜130、131の厚さは、それぞれ、例えば、0.001〜3μmの範囲であり、好ましくは、0.002〜2μmの範囲であり、より好ましくは、0.003〜1μmの範囲である。
本発明の半導体レーザの構造は、上述の層構造に限られるものでなく、例えば、前記第1の導電型のクラッド層102と活性層104との間に、第1の導電型の光ガイド層を設けてもよく、前記活性層104と第2の導電型のクラッド層107との間に、キャップ層や第2の導電型の光ガイド層を設けてもよい。また、前記リッジストライプ構造117の直下にエッチングストップ層を設けてもよい。
前記第1の導電型の光ガイド層としては、例えば、n型GaNからなる光ガイド層を用いることができる。前記第1の導電型の光ガイド層の大きさとしては、その幅およびその長さは、前記基板と同様であり、その厚さは、例えば、0.001〜3μmの範囲であり、好ましくは、0.01〜2μmの範囲であり、より好ましくは、0.1〜1μmの範囲である。
前記キャップ層としては、例えば、アンドープGaNキャップ層を用いることができる。前記キャップ層の大きさとしては、その幅およびその長さは、前記基板と同様であり、その厚さは、例えば、0.001〜3μmの範囲であり、好ましくは、0.01〜2μmの範囲であり、より好ましくは、0.1〜1μmの範囲である。
前記第2の導電型の光ガイド層としては、例えば、n型GaNからなる光ガイド層を用いることができる。前記第2の導電型の光ガイド層の大きさとしては、その幅およびその長さは、前記基板と同様であり、その厚さは、例えば、0.001〜3μmの範囲であり、好ましくは、0.01〜2μmの範囲であり、より好ましくは、0.1〜1μmの範囲である。
前記エッチングストップ層の材質としては、例えば、AlGaIn1−u−vN(ただし、0.05≦u≦1、0≦v≦1、0≦u+v≦1)などを用いることができる。前記エッチングストップ層の大きさとしては、その幅およびその長さは、前記基板と同様であり、その厚さは、例えば、0.001〜0.5μmの範囲であり、好ましくは、0.001〜0.2μmの範囲である。
以下、本発明について、III−V族窒化物系半導体材料(AlGaIn1−x−yN(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1))からなる半導体レーザを例にとり、図面に基き説明する。
この例は、前記第2の導電型のクラッド層を、共振器の長さ方向で2分割することで、前方端面側でのリッジストライプ構造下部の活性層への光閉じ込め係数を、後方端面側でのリッジストライプ構造下部の活性層への光閉じ込め係数よりも小さくなるようにした例である。図2に、この例の窒化物系半導体レーザの共振器の上方斜視図((a))およびリッジストライプ構造に直交する方向における断面図((b)、(c))の一例を示す。また、図3に、共振器の長さ方向(図2(a)のZ−Z’)における断面図の一例を示す。なお、図2(b)は、図2(a)のX1−X1’における断面図であり、図2(c)は、図2(a)のX2−X2’における断面図である。
n型GaN基板201(厚さ400μm)上に、n型Al0.05Ga0.95Nからなるn型クラッド層202(厚さ1.2μm)、n型GaNからなる光ガイド層203(厚さ0.05μm)、InGaNを含む多重量子井戸構造からなる量子井戸活性層204(井戸層3nm、障壁層7nmであり3つの井戸層からなる。トータルの厚さ23nm)、アンドープGaNキャップ層205(厚さ0.01μm)、p型GaNからなる光ガイド層206(厚さ0.05μm)、p型AlGaNからなるp型クラッド層(厚さ0.5μm、後述のように、共振器の長さ方向で2分割されている)、p型GaNからなるコンタクト層208(厚さ0.15μm)、絶縁層210(材料Ta、厚さ0.1μm)が順次積層されている。絶縁層210は、前記p型クラッド層に形成された台形状の凸部であるリッジストライプ構造217の上面を除くp型クラッド層の上面およびリッジストライプ構造217の側部を被覆している。リッジストライプ構造217の上面には、pメタル209(材料Pd、厚さ0.05μm)およびp電極215(材料Ti/Pt/Au、厚さ0.3μm)が形成されており、リッジストライプ構造217内へキャリア(ホール)を注入するようにしてある。n型GaN基板201の裏面には、n電極216(材料Mo/Ti/Au、厚さ0.3μm)が形成されている。この例では、共振器の長さ、幅、および厚さは、それぞれ、600μm、300μm、および80μmである。また、リッジストライプ構造217の幅は、約1.5μm、高さは、0.5μmである。
誘電体多層膜231、230は、前方端面241の反射率が10%、後方端面240の反射率が90%となるように形成されている。
この例の特徴は、共振器の長さ方向でp型AlGaNからなるp型クラッド層の屈折率を変調させていることである。図2(b)、(c)および図3に示すように、共振器の長さ方向で2種類の組成からなるクラッド層を採用している。前方端面241側から順に、p型Al0.05Ga0.95Nクラッド層221(X2−X2’断面)、p型Al0.07Ga0.93Nクラッド層220(X1−X1’断面)としてある。屈折率は、Al0.05Ga0.95N、Al0.07Ga0.93Nの順に小さくなる。そのため、リッジストライプ構造217下部の活性層204への光閉じ込め係数Γは、Γ(X2−X2’断面)<Γ(X1−X1’断面)となる。p型Al0.03Ga0.97Nクラッド層221の領域の長さは240μm、p型Al0.05Ga0.95Nクラッド層220の領域の長さは360μmとしてある。
このような構造を採ることで、従来の半導体レーザに見られた共振器の長さ方向の活性層内の光強度分布と注入キャリア密度分布のアンバランスを改善することができる。図9は、この例の半導体レーザの共振器の長さ方向の光強度分布を示すグラフである。図示のように、従来の半導体レーザでは、非対称コーティング(前方端面の反射率は10%、後方端面の反射率は90%)によって、共振器の長さ方向の光強度分布は、前方端面(図の左側)に向かって急激に上昇する。高出力を得るために注入電流を大きくすると、誘導放出による前方端面付近でのキャリアの消費が大きくなる一方、後方端面付近では活性層内のキャリア密度が過剰な状態となり、共振器の長さ方向の空間的ホールバーニングが生じやすくなる。そのため、利得飽和やキンクの発生を引き起こし、出力の低下や不安定性の原因となる。この例の図3に示すような構造とすることで、活性層内の共振器の長さ方向の光強度分布を平坦化でき、結果として、共振器の長さ方向の空間的ホールバーニングによるキンクの発生および利得飽和といった高出力特性の低下が防止される。
なお、この例では、第2の導電型のクラッド層であるp型クラッド層を共振器の長さ方向で2分割したが、第1の導電型のクラッド層であるn型クラッド層を2分割しても同様の効果が得られる。
また、その他のレーザ、例えば、AlGaAs系半導体材料やAlGaInP系半導体材料からなる半導体レーザであっても、共振器の長さ方向に分割したクラッド層を形成することによって、安定した基本横モードでレーザ発振する高出力半導体が得ることが可能である。
この例は、前記実施例1のp型クラッド層の形を変えた一例である。図5に、この例の窒化物系半導体レーザの共振器の長さ方向の断面図の一例を示す。
前記実施例1では、図3に示すように、p型Al0.03Ga0.97Nクラッド層221およびp型Al0.05Ga0.95Nクラッド層220の上部に、p型GaNからなるコンタクト層208が存在するような構造としたが、図5に示すような構造としても構わない。すなわち、後方端面側にp型Al0.05Ga0.95Nクラッド層520を形成し、前方端面側および前記p型Al0.05Ga0.95Nクラッド層520の上部にp型Al0.03Ga0.97Nクラッド層521を形成し、さらにその上部にp型GaNからなるコンタクト層508を形成する。p型Al0.05Ga0.95Nクラッド層520の厚さは、例えば、0.4〜3μmの範囲とすればよい。p型クラッド層の形を変えたこと以外は、実施例1と同じ構造とする。このような構造を採っても、本発明の効果は大きい。なお、図5において、501はn型GaN基板、502はn型Al0.05Ga0.95Nからなるn型クラッド層、503はn型GaNからなる光ガイド層、504はInGaNを含む多重量子井戸構造からなる量子井戸活性層、505はアンドープGaNキャップ層、506はp型GaNからなる光ガイド層、508はp型GaNからなるコンタクト層、509はpメタル、515はp電極、516はn電極、530、531は誘電体多層膜を、それぞれ示す。
この例は、前記実施例1の第2の導電型のクラッド層の形を変えたその他の例である。図6に、この例の窒化物系半導体レーザの共振器の長さ方向の断面図の一例を示す。
活性層内で発光再結合により生じた光は、活性層内に閉じ込められるわけではなく、クラッド層内にまで広がっている。実施例1、2では、活性層上部の各クラッド層が、共振器の長さ方向で完全に分離された形態としたが、図6に示すように、p型Al0.05Ga0.95Nクラッド層620の一部(前方端面641側)をエッチング等により薄くし、その上部に屈折率の大きなp型Al0.03Ga0.97Nクラッド層621を形成するような構造をとってもよい。p型クラッド層の形を変えたこと以外は、実施例1と同じ構造とする。このような構造を採っても、本発明の効果は大きい。なお、図6において、601はn型GaN基板、602はn型Al0.05Ga0.95Nからなるn型クラッド層、603はn型GaNからなる光ガイド層、604はInGaNを含む多重量子井戸構造からなる量子井戸活性層、605はアンドープGaNキャップ層、606はp型GaNからなる光ガイド層、608はp型GaNからなるコンタクト層、609はpメタル、615はp電極、616はn電極、630、631は誘電体多層膜を、それぞれ示す。
また、前記実施例1〜3では、クラッド層の分割数を2としたが、分割数は2以上であればいくつであってもよい。分割数3の場合の例を次に述べる。
この例は、前記のとおり、p型クラッド層を、共振器の長さ方向で3分割することで、前方端面側でのリッジストライプ構造下部の活性層への光閉じ込め係数を、後方端面側でのリッジストライプ構造下部の活性層への光閉じ込め係数よりも小さくなるようにした例である。図7に、この例の窒化物系半導体レーザの共振器の上方斜視図((a))およびリッジストライプ構造に直交する方向における断面図((b)〜(d))の一例を示す。また、図8に、共振器の長さ方向(図7(a)のZ−Z’)における断面図の一例を示す。なお、図7(b)は、図7(a)のX1−X1’における断面図であり、図7(c)は、図7(a)のX2−X2’における断面図であり、図7(d)は、図7(a)のX3−X3’における断面図である。
この例の半導体レーザの共振器は、前記実施例1の半導体レーザの共振器のp型クラッド層の分割数を2から3に変更した以外は、図2、3に示す半導体レーザの共振器と同じ構造である。この例の特徴は、前記実施例1と同じく、共振器の長さ方向でp型AlGaNからなるp型クラッド層の屈折率を変調させていることである。図7(b)〜(d)および図8に示すように、共振器の長さ方向で3種類の組成からなるクラッド層を採用している。前方端面441側から順に、p型Al0.03Ga0.97Nクラッド層722(X3−X3’断面)、p型Al0.05Ga0.95Nクラッド層721(X2−X2’断面)、p型Al0.07Ga0.93Nクラッド層720(X1−X1’断面)としてある。屈折率は、Al0.03Ga0.97N、Al0.05Ga0.95N、Al0.07Ga0.93Nの順に小さくなる。そのため、リッジストライプ構造717下部の活性層704への光閉じ込め係数Γは、Γ(X3−X3’断面)<Γ(X2−X2’断面)<Γ(X1−X1’断面)となる。p型Al0.03Ga0.97Nクラッド層722の領域の長さは180μm、p型Al0.05Ga0.95Nクラッド層721の領域の長さは120μm、p型Al0.07Ga0.93Nクラッド層720の領域の長さは300μmとしてある。なお、図7、8において、701はn型GaN基板701、702はn型Al0.05Ga0.95Nからなるn型クラッド層702、703はn型GaNからなる光ガイド層703、704はInGaNを含む多重量子井戸構造からなる量子井戸活性層、705はアンドープGaNキャップ層、706はp型GaNからなる光ガイド層、708はp型GaNからなるコンタクト層、710は絶縁層710、717はリッジストライプ構造、709はpメタル709、715はp電極715、716はn電極、730、731は誘電体多層膜を、それぞれ示す。
図9は、この例の半導体レーザの共振器の長さ方向の光強度分布を示すグラフである。図示のとおり、実施例1と同様に、この例の構造を採ることでも、従来の半導体レーザに見られた共振器の長さ方向の活性層内の光強度分布と注入キャリア密度分布のアンバランスを改善することができることがわかる。なお、図9のグラフにおける従来例の曲線は、前記実施例1における図4のグラフに示した従来例の曲線と同じである。
また、前述のとおり、クラッド層の分割数は2以上であればいくつであってもよく、例えば、分割数を4以上とすることも可能である。前記分割数は、例えば、2〜10の範囲であり、好ましくは、2〜6の範囲である。以下の例における分割数についても、同様である。
また、上記の実施例1〜4では、クラッド層が複数に分割された構造で説明したが、共振器の長さ方向に異なる屈折率を有するクラッド層が形成されておればよく、クラッド層の組成(または屈折率)が徐々に変化するような構造でも同様の効果が得られる。
この例は、光ガイド層を、共振器の長さ方向で2分割することで、前方端面側でのリッジストライプ構造下部の活性層への光閉じ込め係数を、後方端面側でのリッジストライプ構造下部の活性層への光閉じ込め係数よりも小さくなるようにした例である。図10に、この例の窒化物系半導体レーザの共振器の上方斜視図((a))およびリッジストライプ構造に直交する方向における断面図((b)、(c))を示す。なお、図10(b)は、図10(a)のX1−X1’における断面図であり、図10(c)は、図10(a)のX2−X2’における断面図である。
この例の半導体レーザの共振器は、前記実施例1の半導体レーザの共振器のp型クラッド層に代えて、光ガイド層を分割した以外は、図2、3に示す半導体レーザの共振器と同じ構造である。p型Al0.05Ga0.95Nからなるp型クラッド層1007(厚さ0.5μm)は分割せず、代わりにp型GaNからなる光ガイド層を共振器の長さ方向で2分割した。前記2分割された光ガイド層は、前方端面1041側(図10(c))の厚さを、後方端面1040側(図10(b))の厚さより薄くしてある。具体的には、p型GaN光ガイド層1051(前方端面1041側)の厚さは0.05μm、p型GaN光ガイド層1050(後方端面1040側)の厚さは0.1μmとしている。なお、この例では、前記p型GaN光ガイド層1051の長さは240μm、前記p型GaN光ガイド層1050の長さは360μmである。また、図10において、1001はn型GaN基板、1002はn型Al0.05Ga0.95Nからなるn型クラッド層、1003はn型GaNからなる光ガイド層1003、1004はInGaNを含む多重量子井戸構造からなる量子井戸活性層1004、1005はアンドープGaNキャップ層、1006はp型GaNからなる光ガイド層、1008はp型GaNからなるコンタクト層、1010は絶縁層、1017はリッジストライプ構造、1009はpメタル1009、1015はp電極、1016はn電極、1030、1031は誘電体多層膜を、それぞれ示す。
このような構造を採ることでも、従来の半導体レーザに見られた共振器の長さ方向の活性層内の光強度分布と注入キャリア密度分布のアンバランスを改善することができる。すなわち、前方端面側の光ガイド層を薄くすることで、前方端面側の活性層への光閉じ込め係数を後方端面側と比べて低下させることができ、活性層内の共振器の長さ方向の光強度分布を平坦化できる。その結果、共振器の長さ方向の空間的ホールバーニングによるキンクの発生および利得飽和といった高出力特性の低下が防止される。
また、この例では、共振器の長さ方向に光ガイド層が複数に分割された構造で説明したが、共振器の長さ方向に異なる厚さを有する光ガイド層で構成されておればよく、光ガイド層の厚さが徐々に変化するような構造でも同様の効果が得られる。
この例は、屈折率調整層を設けることで、前方端面側でのリッジストライプ構造下部の活性層への光閉じ込め係数を、前記後方端面側でのリッジストライプ構造下部の活性層への光閉じ込め係数よりも小さくなるようにした例である。図11に、この例の窒化物系半導体レーザの共振器の上方斜視図((a))およびリッジストライプ構造に直行する方向における断面図((b)、(c))の一例を示す。なお、図11(b)は、図11(a)のX1−X1’における断面図であり、図11(c)は、図11(a)のX2−X2’における断面図である。
この例の半導体レーザの共振器は、前記実施例1の半導体レーザの共振器のp型クラッド層を分割せず、n型クラッド層とn型光ガイド層との間に、共振器の長さ方向に2分割された屈折率調整層を設けた以外は、図2、3に示す半導体レーザの共振器と同じ構造である。p型Al0.05Ga0.95Nからなるp型クラッド層1107(厚さ0.5μm)は分割せず、n型Al0.05Ga0.95Nからなるn型クラッド層1102とn型GaNからなる光ガイド層1103との間に、共振器の長さ方向に2分割された屈折率調整層を設けている。前記2分割された屈折率調整層において、前方端面1141側の屈折率調整層1161のAl組成は、後方端面1140側の屈折率調整層1160のAl組成よりも大きくしてある。具体的には、前方端面1141側にn型Al0.2Ga0.8N層1161、後方端面1140側にn型Al0.07Ga0.93N層1160を使用している。屈折率は、Al0.2Ga0.8N、Al0.07Ga0.93Nの順に小さくなる。そのため、リッジストライプ構造217下部の活性層204への光閉じ込め係数Γは、前方端面1141側で小さく、後方端面1140側で大きくなる。なお、この例では、前記n型Al0.2Ga0.8N層1161の長さは240μm、前記n型Al0.07Ga0.93N層1160の長さは360μmである。また、図11において、1101はn型GaN基板、1104はInGaNを含む多重量子井戸構造からなる量子井戸活性層1104、1105はアンドープGaNキャップ層、1106はp型GaNからなる光ガイド層、1107はp型Al0.05Ga0.95Nからなるp型クラッド層、1108はp型GaNからなるコンタクト層、1110は絶縁層、1117はリッジストライプ構造、1109はpメタル、1115はp電極、1116はn電極、1130、1131は誘電体多層膜を、それぞれ示す。
このような構造を採ることでも、従来の半導体レーザに見られた共振器の長さ方向の活性層内の光強度分布と注入キャリア密度分布のアンバランスを改善することができる。すなわち、前方端面側の屈折率調整層のAl組成を高くすることで、前方端面側の活性層への光閉じ込め係数を後方端面側に比べて低下させることができ、活性層内の共振器の長さ方向の光強度分布を平坦化できる。その結果、共振器の長さ方向の空間的ホールバーニングによるキンクの発生および利得飽和といった高出力特性の低下が防止される。
また、この例では、共振器の長さ方向に屈折率調整層が複数に分割された構造で説明したが、共振器の長さ方向に異なる屈折率を有する屈折率調整層で構成されておればよく、屈折率調整層の組成(または屈折率)が徐々に変化するような構造でも同様の効果が得られる。
そして、この例では、屈折率調整層のAl組成を共振器の長さ方向で変えることで活性層内の光強度分布を調整する手法について述べたが、屈折率調整層の組成を同じにし、共振器の長さ方向でその厚さを変化させても同様の効果が得られる。すなわち、前方端面側の屈折率調整層の厚さを後方端面側に比べて相対的に薄くしてもよい。
さらに、この例では、屈折率調整層をクラッド層に接した構成で説明したが、屈折率調整層をクラッド層中や光ガイド層中に配置しても同様の効果が得られる。
この例は、レーザ(発光ダイオード(LED))ディスプレイに応用する場合の本発明の半導体レーザの構造の一例である。レーザディスプレイは、RGB発光レーザ(LED)を用いたディスプレイ装置であり、レーザ出力としては数百mW以上の高出力が必要とされる。本発明の半導体レーザを、レーザディスプレイに用いる場合、光に回折限界の集光特性は要求されない。従って、半導体レーザの横モードは単一モードで有る必要がない。そこで、リッジストライプ構造の幅を広げたワイドストライプ構造の高出力半導体レーザを用いることができ、図12に示すこの例の半導体レーザの共振器のリッジストライプ構造1217の幅を、例えば、50μmと広くしても構わない。この例の半導体レーザの共振器は、リッジストライプ構造の幅を変更した以外は、実施例1〜6のいずれかに示した構造をとっている。なお、図12において、1201はn型GaN基板、1202はn型Al0.05Ga0.95Nからなるn型クラッド層、1203はn型GaNからなる光ガイド層、1204はInGaNを含む多重量子井戸構造からなる量子井戸活性層、1205はアンドープGaNキャップ層、1206はp型GaNからなる光ガイド層、1207はp型Al0.05Ga0.95Nからなるp型クラッド層、1208はp型GaNからなるコンタクト層、1210は絶縁層、1209はpメタル、1215はp電極、1216はn電極、1230、1231は誘電体多層膜を、それぞれ示す。
ワイドストライプ構造においても、共振器の長さ方向の光強度分布と注入キャリア密度分布のアンバランスにより利得飽和が生じ、高出力特性が低下する問題は同様に存在する。したがって、前記ワイドストライプ構造の半導体レーザに、実施例1〜6に記載のいずれかの方法を用いることで、共振器の長さ方向で発生する利得飽和を改善でき、高出力特性の低下が防止される。
この例は、レーザディスプレイに応用する場合の本発明の半導体レーザの構造のその他の例である。100インチクラスの大画面をレーザの照射により実現するには、光源特性として数Wの出力が必要となる。フルカラー出力を得るためには、数Wクラスの赤、青、緑の波長領域のレーザを、それぞれそろえる必要がある。しかしながら、リッジストライプ構造が1つの半導体レーザにおいて、数Wクラスの出力を得るのは難しい。そこで、リッジストライプ構造を複数個有するマルチストライプ構造の半導体レーザを利用して数Wの出力を得る構造を提案する。図13に、この例における半導体レーザの共振器の上方斜視図を示す。図示のように、n個のリッジストライプ構造が集積化されている。ここで、例えば、1≦n≦100であり、好ましくは、1≦n≦50である。この例では、リッジストライプ構造の幅は50μm、リッジストライプ構造の間隔は300μmで、n=40とした場合、共振器の幅は12mm、リッジストライプ構造1つあたりの出力は400mW程度で、共振器全体で16Wの出力が可能である。各リッジストライプ構造などの基本的な構造は、実施例1〜7のいずれかに示した構造をとっている。この構造を用いることで各リッジストライプ構造における高出力特性の低下が防止される。
本発明の半導体レーザは、例えば、安定な高出力半導体レーザを必要とする光記録装置、光ディスプレイ(レーザディスプレイ)装置等の光源として有用であり、また、その他、レーザ加工、医用等への応用にも有用である。
図1は、本発明の半導体レーザの共振器の一例の上方斜視図である。 図2(a)は、本発明の半導体レーザの共振器のその他の例の上方斜視図であり、図2(b)は、図2(a)のX1−X1’における断面図であり、図2(c)は、図2(a)のX2−X2’における断面図である。 図3は、図2(a)のZ−Z’における断面図である。 図4は、本発明の半導体レーザの共振器のその他の例における共振器の長さ方向の光強度分布を示すグラフである。 図5は、本発明の半導体レーザの共振器のさらにその他の例における共振器の長さ方向の断面図である。 図6は、本発明の半導体レーザの共振器のさらにその他の例における共振器の長さ方向の断面図である。 図7(a)は、本発明の半導体レーザの共振器のさらにその他の例の上方斜視図であり、図7(b)は、図7(a)のX1−X1’における断面図であり、図7(c)は、図7(a)のX2−X2’における断面図であり、図7(d)は、図7(a)のX3−X3’における断面図である。 図8は、図7(a)のZ−Z’における断面図である。 図9は、本発明の半導体レーザの共振器のさらにその他の例における共振器の長さ方向の光強度分布を示すグラフである。 図10(a)は、本発明の半導体レーザの共振器のさらにその他の例の上方斜視図であり、図10(b)は、図10(a)のX1−X1’における断面図であり、図10(c)は、図10(a)のX2−X2’における断面図である。 図11(a)は、本発明の半導体レーザの共振器のさらにその他の例の上方斜視図であり、図11(b)は、図11(a)のX1−X1’における断面図であり、図11(c)は、図11(a)のX2−X2’における断面図である。 図12は、本発明の半導体レーザの共振器のさらにその他の例の上方斜視図である。 図13は、本発明の半導体レーザの共振器のさらにその他の例の上方斜視図である 図14は、従来の半導体レーザの共振器の一例を示す上方斜視図である。 図15は、従来の半導体レーザの共振器における共振器の長さ方向の光強度分布の一例を示すグラフである。
符号の説明
101、201、501、601、701、1001、1101、1201、1401 n型GaN基板
102、202、502、602、702、1002、1102、1202、1402 n型Al0.05Ga0.95Nクラッド層
104、204、504、604、704、1004、1104、1204、1404 InGaNを含む多重量子井戸構造からなる活性層
107、1007、1107、1207、1407 p型AlGaNクラッド層
108、208、508、608、708、1008、1108、1208、1408 p型GaNコンタクト層
110、210、510、610、710、1010、1110、1210、1410 絶縁層
115、215、515、615、715、1015、1115、1215、1415 p電極
116、216、516、616、716、1016、1116、1216、1416 n電極
117、217、517、617、717、1017、1117、1217、1417 リッジストライプ構造
130、131、230、231、530、531、630、631、730、731、1030、1031、1130、1131、1230、1231 誘電体多層膜
203、503、603、703、1003、1103、1203、1403 n型GaN光ガイド層
205、505、605、705、1005、1105、1205、1405 アンドープGaNキャップ層
206、506、606、706、1050、1051、1106、1206、1406 p型GaN光ガイド層
209、509、609、709、1009、1109、1209、1409 pメタル層
220、520、620、720 p型Al0.05Ga0.95Nクラッド層
221、521、621、721 p型Al0.03Ga0.97Nクラッド層
722 p型Al0.07Ga0.93Nクラッド層
1160 n型Al0.07Ga0.93N層
1161 n型Al0.2Ga0.8N層

Claims (12)

  1. 基板と、前記基板上の第1の導電型のクラッド層と、前記第1の導電型のクラッド層上の活性層と、前記活性層上の第2の導電型のクラッド層とを含み、前記第2の導電型のクラッド層は、キャリアを注入するためのリッジストライプ構造を有し、前記リッジストライプ構造に直交する方向の2つの端面を有する半導体レーザであって、前記半導体レーザの共振器において、レーザ光が出射される出射面(前方端面)の反射率が、反対側に位置する後方端面の反射率よりも低く、前記前方端面側での前記リッジストライプ構造下部の前記活性層への光閉じ込め係数が、前記後方端面側での前記リッジストライプ構造下部の前記活性層への光閉じ込め係数より小さい半導体レーザ。
  2. 前記第1の導電型のクラッド層または前記第2の導電型のクラッド層の少なくとも一方が、前記共振器の長さ方向に、複数個の屈折率の異なる材料を配置することで形成され、前記材料が、前記前方端面側から、屈折率の低い順に配列されている請求項1記載の半導体レーザ。
  3. さらに、光ガイド層を含み、前記光ガイド層が、前記共振器の長さ方向に、複数個の膜厚の異なる層を配置することで形成され、前記膜厚の異なる層が、前記前方端面側から、膜厚の薄い順に配列されている請求項1記載の半導体レーザ。
  4. さらに、屈折率調整層を含み、前記屈折率調整層が、前記共振器の長さ方向に、複数個の屈折率の異なる層を配置することで形成され、前記屈折率の異なる層が、前記前方端面側から、屈折率の低い順に配列されている請求項1記載の半導体レーザ。
  5. 前記リッジストライプ構造の幅が、1〜5μmの範囲である請求項1から4のいずれかに記載の半導体レーザ。
  6. 前記リッジストライプ構造の幅が、1〜5μmの範囲に代えて、5〜200μmの範囲である請求項5記載の半導体レーザ。
  7. 前記リッジストライプ構造を、複数個有する請求項1から6のいずれかに記載の半導体レーザ。
  8. 前記前方端面の反射率が、0.01〜50%の範囲であり、前記後方端面の反射率が、30〜100%の範囲である請求項1から7のいずれかに記載の半導体レーザ。
  9. 前記前方端面の反射率が前記後方端面の反射率よりも15%以上低い請求項1から8のいずれかに記載の半導体レーザ。
  10. III−V族窒化物系半導体材料からなることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の半導体レーザ。
  11. AlGaAs系半導体材料からなることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の半導体レーザ。
  12. AlGaInP系半導体材料からなることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の半導体レーザ。
JP2004113475A 2004-04-07 2004-04-07 半導体レーザ Withdrawn JP2005302843A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004113475A JP2005302843A (ja) 2004-04-07 2004-04-07 半導体レーザ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004113475A JP2005302843A (ja) 2004-04-07 2004-04-07 半導体レーザ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005302843A true JP2005302843A (ja) 2005-10-27

Family

ID=35334009

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004113475A Withdrawn JP2005302843A (ja) 2004-04-07 2004-04-07 半導体レーザ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005302843A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007164163A (ja) * 2005-12-14 2007-06-28 Samsung Electronics Co Ltd レーザディスプレイ装置
US7397833B2 (en) 2006-05-18 2008-07-08 Mitsubishi Electric Corporation Semiconductor laser
EP2031717A2 (en) 2007-08-31 2009-03-04 Kabushiki Kaisha Toshiba Semiconductor light emitting element
US7852893B2 (en) 2007-02-26 2010-12-14 Kabushiki Kaisha Toshiba Semiconductor laser device
CN110739605A (zh) * 2019-09-26 2020-01-31 苏州长光华芯半导体激光创新研究院有限公司 一种半导体激光器及其载流子注入方法

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007164163A (ja) * 2005-12-14 2007-06-28 Samsung Electronics Co Ltd レーザディスプレイ装置
JP4586010B2 (ja) * 2005-12-14 2010-11-24 三星エルイーディ株式会社 レーザディスプレイ装置
KR101065065B1 (ko) * 2005-12-14 2011-09-15 삼성엘이디 주식회사 레이저 디스플레이 장치
US7397833B2 (en) 2006-05-18 2008-07-08 Mitsubishi Electric Corporation Semiconductor laser
US7773651B2 (en) 2006-05-18 2010-08-10 Mitsubishi Electric Corporation Semiconductor laser
US8144741B2 (en) 2006-05-18 2012-03-27 Mitsubishi Electric Corporation Semiconductor laser
US7852893B2 (en) 2007-02-26 2010-12-14 Kabushiki Kaisha Toshiba Semiconductor laser device
EP2031717A2 (en) 2007-08-31 2009-03-04 Kabushiki Kaisha Toshiba Semiconductor light emitting element
CN110739605A (zh) * 2019-09-26 2020-01-31 苏州长光华芯半导体激光创新研究院有限公司 一种半导体激光器及其载流子注入方法
WO2021056617A1 (zh) * 2019-09-26 2021-04-01 苏州长光华芯半导体激光创新研究院有限公司 一种半导体激光器及其载流子注入方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4701086B2 (ja) 半導体レーザ装置およびレーザ投射装置
US8520712B2 (en) Laser diode and method of manufacturing the same
JP5005300B2 (ja) 半導体レーザ装置
JP4657337B2 (ja) 半導体レーザ装置
US7301979B2 (en) Semiconductor laser
JP2009295680A (ja) 半導体レーザ装置
JP5247444B2 (ja) 半導体レーザ装置
JP2007095758A (ja) 半導体レーザ
JPH05243669A (ja) 半導体レーザ素子
JP4295776B2 (ja) 半導体レーザ装置及びその製造方法
JP2004152841A (ja) 窒化物半導体レーザ素子
KR100763424B1 (ko) 반도체 발광 장치
JP4047358B2 (ja) 自励発振型半導体レーザ装置
JP2005012178A (ja) 半導体レーザ
US7095769B2 (en) Semiconductor laser diode with higher-order mode absorption layers
JP2005302843A (ja) 半導体レーザ
US6778573B2 (en) Fundamental-transverse-mode index-guided semiconductor laser device having upper optical waveguide layer thinner than lower optical waveguide layer
JPH1197793A (ja) 半導体レーザ
JP2010123726A (ja) 半導体レーザおよびその製造方法
WO2018008381A1 (ja) 光学素子、活性層構造及び表示装置
JP2002223038A (ja) 半導体レーザ装置
JP2002057402A (ja) 半導体発光素子
JP2011139110A (ja) 半導体レーザ素子の製造方法
JP2004214289A (ja) 半導体レーザ素子
JP2005310849A (ja) 半導体レーザ、半導体レーザ装置、及び半導体レーザの駆動方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20070703