JP2005299030A - 再生セルロース繊維を含む中わた用繊維材料 - Google Patents

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克也 岡嶋
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Abstract

【課題】
本発明は、耐久性に優れた防ダニ性を有する、竹を原料とする再生セルロース繊維を含む中わた用繊維材料を提供せんとするものである。
【解決手段】
本発明の繊維材料は、竹を原料とする再生セルロース繊維を10wt%以上含む中わた用繊維材料であって、該繊維材料を構成する繊維の表面上に防ダニ剤が該繊維重量に対し0.01〜5wt%の割合で固着していることを特徴とするものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐久性に優れた防ダニ性を有する、竹を原料とする再生セルロース繊維を含む中わた用繊維材料に関するものである。
地球温暖化防止等に係わる環境保全に対する意識の高まりから環境保護対策として、近年、トウモロコシやサツマイモの澱粉を原料とする生分解性繊維のポリ乳酸の開発が行われているが、染色や縫製段階の熱処理工程に耐えうる特性をもった繊維が得られていないため、衣料品、寝装品、インテリア用品など幅広い用途へ適用するには未だ十分なものとは言い難い。一方、木材パルプを主原料とする再生セルロース繊維は、天然由来でありかつ良好な生分解性を示すため、いまだに多く生産、使用されているが、木材の伐採による環境破壊についての対応が十分でなく、これに代わる再生セルロース繊維として竹を原料とする再生セルロース繊維が注目を集めている。竹は伐採したあとも生育が早く、生育の遅い木材を原料とするのに対し、効率よく製造できるという利点を持つ。また、竹は伐採しないと根が張りすぎて木の生育を妨げ、山を荒らすと言われており、これを材料として有効活用すること自体が森林環境の保全に繋がるという利点がある。さらには竹の抽出成分に由来する防虫・防ダニ作用が再生セルロース繊維としたのちも持続し緩やかな防虫・ダニ効果を発揮するという特性も併せ持つ。
このような竹を原料とする再生セルロース繊維の公知例としては、竹を原料とするセルロースレーヨン繊維に関する記載がある(特許文献1参照)が、該公知例は紡績糸の繊度、撚数、範囲を規定し、従来のレーヨン糸を使用した織編物に対して、張りおよび腰、皺やへたりなどの課題を改善することについて記載されたもので、寝装用の中わたとして有効使用することに関しての検討はなく、また該用途で特に問題となるダニの発生に対し該繊維の有する緩やかな防虫・ダニ効果をさらに補強、強化して使用することに関しても検討がなされておらず、これらの課題に関し解決が望まれていた。
一方、防虫・防ダニ効果を有する繊維材料に関しては公知例(特許文献2,3参照)があるが、これらは家庭洗濯時の耐久性が不十分であったり、ドライクリーニング時の耐久性が不十分であるという問題があり、また何れのものも経時的に防ダニ性が低下していくという問題を内在しており、これらの耐久性に関して解決が望まれていた。
特開2001−115347号公報 特開平5−302269号公報 特開平9−30911号公報
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、耐久性に優れた防ダニ性を有する、竹を原料とする再生セルロース繊維を含む中わた用繊維材料を提供せんとするものである。
本発明はかかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の繊維材料は竹を原料とする再生セルロース繊維を10wt%以上含む中わた用繊維材料であって、該繊維材料を構成する繊維の表面上に防ダニ剤が該繊維重量に対し0.01〜5wt%の割合で固着していることを特徴とするものである。
本発明によれば、耐久性に優れた防ダニ性を有する、竹を原料とする再生セルロース繊維を含む中わた用繊維材料を提供することができる。さらには、洗濯、経時の耐久性に優れた防ダニ性を有する寝装品を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において再生セルロース繊維は、天然に生育する竹あるいは栽培された竹を原料とする再生セルロース繊維である。竹を原料とした再生セルロース繊維は前述のごとく森林の環境保全に繋がるという利点を有する他、竹の抽出成分に由来する防虫・防ダニ作用が再生セルロース繊維としたのちも持続し緩やかな防虫・ダニ効果を発揮する、理由は定かでないが他の原料由来のものに比べ高い吸放湿性能を示すなどの機能的な利点があり、とりわけ枕、掛け敷き布団などの寝装用中わたとして使用するのに最適なものである。原料として用いる竹の原産地は、アジアを中心に世界各国に広がっているが、量、質の点からは特に中国産もしくはインド産の竹が好ましく使用される。かかる竹原料を再生セルロース繊維とする方法としては、一般公知の各種処理手段を適用することができ、具体的にはビスコース法や銅アンモニア法などが適用できる。例えばビスコース法の場合、竹をアルカリ及び二流化炭素と反応させ、アルカリデンサートとして苛性ソーダに溶解して湿式紡糸し、セルロースを凝固・再生することにより再生セルロース繊維とすることができる。かかる手段により得られる再生セルロース繊維は中わたとして用いられるため、あらかじめカットしてステープルの状態としておくことが好ましい。
なお、このようにして得られた竹を原料とする再生セルロース繊維ステープルは主として寝装品の中わたとして用いられるものであり、ステープルそのままの状態で中わたとして用いる場合には、嵩高性、保温性、風合い等を考慮して、単繊維長10〜100mm、単糸繊度1〜10dtexの形態にしておくことが好ましい。また、該ステープルを不織布の形態とした上で中わたとして用いる場合には、目付が50〜500g/m2 の範囲にある不織布として用いること好ましい。かかる不織布は、例えば、上述の方法で得た竹を原料とする再生セルロース繊維ステープルをカードを用いて開繊、ウェブ状としバインダーで接着したり、水流やニードルによって交絡させたりすることで得られる。
かかる竹を原料とする再生セルロース繊維を中わたとして用いるに際し、他の繊維、例えばポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ビニロン繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリウレタン系繊維等の合成繊維、ジアセテート、トリアセテート等の半合成繊維、木綿、麻、羊毛、絹、等の天然繊維、等のステープルと混綿して使用することも好ましく行われるが、如何なる種類の繊維と混用する場合であっても本発明の繊維材料中に占める該再生セルロース繊維の重量割合は10wt%以上でなければならない。含有割合が10wt%未満となると竹を原料とした再生セルロース繊維の有する緩やかな防虫・防ダニ効果などの利点を生かすことが難しくなる。含有割合が30wt%以上であれば、より好ましい中わた用繊維材料を得ることができる。なお、寝装品の中わたとして使用する場合、実用上の面からは竹を原料とした再生セルロース繊維とポリエステル系繊維のステープルを混綿して用いることがより好ましく、その重量比率は30:70〜70:30の範囲であることが両者の特性を生かす上で最も好ましい。ポリエステル系繊維としては、汎用性の面からは通常のポリエチレンテレフタレートが好ましいが、より環境面に配慮した場合には生分解性のある脂肪族系ポリエステルであるポリ乳酸を用いることも好ましい。
本発明の中わた用繊維材料は洗濯、経時の耐久性に優れた防ダニ性を有するという特徴を有する。前述のごとく竹を原料とした再生セルロース繊維は元来、原料である竹の抽出成分に由来する防虫・防ダニ効果を有するが、そのレベルは大変緩やかなものであり、安定した防ダニ性を発揮するには不十分なものである。したがって、この点を補強、強化し耐久性に優れた防ダニ性を発現させるために、本発明は該繊維材料を構成する繊維の表面上に、防ダニ剤が該繊維重量に対し0.01〜5wt%の割合で固着していることが必須条件となる。防ダニ剤の固着量が0.01wt%を下回ると防ダニ性に関する上記の補強効果が不十分となってしまい、一方5wt%を上回った場合、防ダニ効果は高くなるものの寝装品として使用する場合の人体への悪影響に不安が残る。
なお防ダニ剤の成分は通常揮発性の高いものが多く、経時的に防ダニ性能が低下していくという問題を内在しているが、本発明においてはかかる防ダニ剤が揮発した際、竹を原料とした再生セルロース繊維中に含まれる防虫・防ダニ成分との相互作用により該繊維に再吸着され、結果として本発明の中わた用繊維材料は長期に渡り防ダニ性を維持できるという特徴を有する。かかる効果は通常のパルプから作製されたレーヨン繊維を使用した場合には得難い効果であり、本発明の竹を原料とした再生セルロース繊維を10wt%以上含んだ繊維材料により初めて達成し得るものである。また、本発明の中わた用繊維材料が家庭洗濯やドライクリーニングに供した後も高い防ダニ性能を維持できるのも同様のメカニズムによるものと推定される。
本発明において、かかる防ダニ剤としては一般に知られた各種の薬剤が使用可能であるが、中でも比較的低毒性なピレスロイド系化合物が好ましく用いられる。ピレスロイド系化合物としては具体的にはフェノトリン(d−シス菊酸の3−フェノキシベンジルエステルとd−トランス菊酸の3−フェノキシベンジルエステルとの2:8混合物)、合成ピレトリン、アレクトリン、フラルトリン、バルトリン、ジメトリン、天然ピレトリンなどが挙げられるが、上述の竹を原料とした再生セルロース繊維との相互作用の観点からはフェノトリンが特に好ましい。
本発明において、該繊維の表面上に上記の防ダニ剤に加えてシリコーン系樹脂が固着していることも、更なる防ダニ性の耐久性向上の点から好ましい。シリコーン系樹脂は被膜化特性に優れ、防ダニ剤の耐久性を向上させるばかりでなく、該繊維材料を寝装用の中わたとして使用する際の加工工程で使用するカードマシンやニードルパンチマシンの工程通過性を格段に向上させるという好ましい効果も併せ持つ。シリコーン系樹脂としては通常のシリコーンオイルの他、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、等の各種変性シリコーンオイルが使用可能であるが、とりわけアミノ変性シリコーンは寝装用の中わたとして使用した場合の嵩高性や風合いに優れ、またエポキシ変性シリコーンは耐ヘタリ性に優れるという点で特に好ましく使用される。かかるシリコーン系樹脂は該防ダニ剤に対し1:1〜1:20の重量割合で該繊維表面に付与すればよい。
本発明において、かかる防ダニ剤やシリコーン系樹脂を繊維材料に固着させる方法としては、例えば、これらを水等の溶媒に均一に分散して一定濃度の加工溶液とした後、パディング法、浸漬法、スプレー法、プリント法、コーティング法、グラビア加工法、泡加工法等の手段により該繊維材料へ所定量付与し、乾燥・熱処理工程を経て該繊維上に固着させる、など手段を適用することができる。なかでも作業の容易性の面からは、スプレー−熱処理法が好ましく適用される。なお、熱処理温度は、該防ダニ剤の過剰な気化を防ぐため100〜180℃の温度範囲内で、20秒〜5分間の条件で処理することが好ましい。
また、あらかじめ上記のような防ダニ剤による処理が施されているポリエステル繊維などの合成繊維ステープルをカード工程で竹を原料とした再生セルロース繊維と適当な比率で混綿することでも本発明の中わた用繊維材料を得ることが可能である。かかる合成繊維ステープルとしては、例えば東レ株式会社から販売されている防ダニ加工中わた”ケパック”(R)、”ケパックII”(R)、”ケパックα”(R)等を使用することが出来る。
なお、本発明でいう防ダニ性、防ダニ効果とは飼料誘引法により評価されるものである。具体的には、高さ30mm直径200mmのシャーレにコナヒョウヒダニ繁殖中の粉末飼料(日本クレア(株)CF−2)をできるだけ均一に拡げ、この上にサンプルとして1gのレギュラーポリエステルわた(コントロール)と本発明の繊維材料をそれぞれ8cm×8cmの大きさに拡げ、左右対称に一つずつ置き、さらにこれらのサンプル上の中央の高さ1.4cmの所にダニの全く入っていない粉末飼料(水分15wt%)1gが入った直径2.8cmの容器を置き、室温25±2℃、湿度70〜80%に調節した孵卵器内で40時間放置した後、該容器内の飼料中に這入したダニ数を食塩水浮遊法で数えて忌避率を求めることで防ダニ効果を評価した。なお、忌避率は下記計算式で算出されるものである。
忌避率(%)={(A−B)/A}×100
ここで、A:レギュラーポリエステルわた(コントロール)のダニ数
B:本発明の繊維材料のダニ数、を表す。
本発明において得られた中わた用繊維材料はかかる特徴を生かし洗濯や経時の耐久性に優れた防ダニ性が要望される布団、枕、抱き枕、クッション、座布団、ソファー、ぬいぐるみ等の寝装品の中わた・詰め綿として用いるのに好適である。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、実施例中の評価・測定は次の方法で行ったものである。
<家庭洗濯試験>
JIS L0217 103法に準じて5回、20回の家庭洗濯を実施し、家庭洗濯5回および20回後のサンプルとした。なお、洗濯に際してはサンプルがわた状にバラけてしまわないよう洗濯ネットを使用して行った。
<ドライクリーニング試験>
JIS L1018規定のドライクリーニングシリンダーに30℃のパークロルエチレンを3.78リットル入れ、この中に試験サンプルと追加布(捨て布)を計450gとなるように調整して投入し、10分間クリーニング処理する。この工程を5回および10回繰り返し、ドライクリーニング5回、10回後のサンプルとした。なお、洗濯に際してはサンプルがわた状にバラけてしまわないよう洗濯ネットを使用して行った。
<”ジャングルテスト”(経時劣化確認試験)>
経時劣化の加速試験として、温度70℃、相対湿度90%RHに調整した恒温恒湿槽内にサンプルを1週間放置する”ジャングルテスト”を実施した。
<防ダニ性>
上述の飼料誘引法による測定により評価した。なお測定は各サンプルにつき3回繰り返し行い、これらの平均値から忌避率を算出した。本実施例ではこのようにして算出された忌避率が70%以上であるものを合格とした。
実施例1
中国産の竹を原料として、ビスコース法により単糸繊度3.3dtex、単繊維長51mmの再生セルロース繊維ステープルを作製した。かかる繊維50wt%を、単糸繊度6.7dtex、単繊維長51mmのポリエチレンテレフタレート繊維(東レ”テトロン”(R))50wt%とカード機内で混綿し、竹を原料とする再生セルロース繊維を50wt%含む中わた用繊維材料を得た。
かかる繊維材料に対しフェノトリンをノニオン系界面活性剤で水中に乳化分散させた加工液を、フェノトリン(純分)の固着量が繊維材料の重量に対して0.1wt%となるように均一にスプレー付与し、100℃で90秒間予備乾燥、ついで170℃で90秒間熱処理し、防ダニ剤が0.1wt%固着した中わた用繊維材料を得た。評価結果を表1に示す。表1から明らかなように、得られた繊維材料は非常に耐久性に優れた防ダニ効果を有することが確認できた。
実施例2
実施例1と同様の方法により得られた単糸繊度3.3dtex、単繊維長51mmの再生セルロース繊維ステープル30wt%と東レ株式会社から販売されている防ダニ加工ポリエチレンテレフタレートわた”ケパックII”(R)70wt%とを混綿した後、ニードルパンチ工程を通して目付240g/m2 の不織布状の中わた用繊維材料を得た。評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、得られた繊維材料は非常に耐久性に優れた防ダニ効果を有することが確認できた。
比較例1
実施例1においてフェノトリンをノニオン系界面活性剤で水中に乳化分散させた加工液よる処理を行わなかった以外は、実施例1同様の方法により繊維材料を得て、評価に供した。結果を併せて表1に示す。表1から明らかなように、得られた繊維材料の防ダニ効果は十分な洗濯耐久性を有していなかった。
比較例2
実施例1において再生セルロース繊維の原料として竹の代わりに通常の木材パルプを用いた以外は、実施例1と同様の方法で評価に供した。結果を併せて表1に示す。
表1から明らかなように原料が竹以外の再生セルロース繊維においては、防ダニ性能の耐久性が実施例のものには及ばないものであった。
Figure 2005299030

Claims (9)

  1. 竹を原料とする再生セルロース繊維を10wt%以上含む中わた用繊維材料であって、該繊維材料を構成する繊維の表面上に防ダニ剤が該繊維重量に対し0.01〜5wt%の割合で固着していることを特徴とする中わた用繊維材料。
  2. 前記防ダニ剤が、ピレスロイド系化合物であることを特徴とする請求項1に記載の中わた用繊維材料。
  3. 前記ピレスロイド系化合物が、フェノトリンであることを特徴とする請求項2に記載の中わた用繊維材料。
  4. 該中わたを構成する繊維が、その表面上にさらにシリコーン系樹脂が固着していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の中わた用繊維材料。
  5. 前記シリコーン系樹脂が、アミノ変性シリコーンおよび/またはエポキシ変性シリコーンであることを特徴とする請求項4に記載の中わた用繊維材料。
  6. 該繊維の形態が、単繊維長10〜100mm、単糸繊度1〜10dtexのステープルであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の中わた用繊維材料。
  7. 該繊維材料の形態が、目付50〜500g/m2 の不織布であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の中わた用繊維材料。
  8. 該繊維材料が、主として竹を原料とする再生セルロース繊維とポリエステル系繊維で構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の中わた用繊維材料。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の繊維材料を中わたとして用いて成る寝装品。
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