JP2002249922A - 炭素粉を繊維内部に含有する単繊維及びこの単繊維からなる加工体並びに綿体及び炭素粉を繊維表面又は繊維間に含有する加工体並びに綿体及びこの製造方法 - Google Patents

炭素粉を繊維内部に含有する単繊維及びこの単繊維からなる加工体並びに綿体及び炭素粉を繊維表面又は繊維間に含有する加工体並びに綿体及びこの製造方法

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JP2002249922A JP2001233739A JP2001233739A JP2002249922A JP 2002249922 A JP2002249922 A JP 2002249922A JP 2001233739 A JP2001233739 A JP 2001233739A JP 2001233739 A JP2001233739 A JP 2001233739A JP 2002249922 A JP2002249922 A JP 2002249922A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 炭素粉を含有するために優れた防臭性や吸湿
性を有する単繊維及びこの加工体並びに綿体を、更に炭
素粉を加工体並びに綿体に含有させる際に噴射ノズルの
詰まり等がなくまた不快な臭い等が発生することのない
製造方法を提供することにある。 【解決手段】 顔料として20μm以下の炭素粉が1〜
50重量%配合された合成樹脂ペレットから溶融、紡糸
されてなることを特徴とする炭素粉を繊維内部に含有す
る単繊維、この単繊維を撚糸して編糸又は織糸とした後
に、編物又は織物とされてなることを特徴とする加工
体、この単繊維を開綿してなることを特徴とする綿体、
繊維の表面及び/又は繊維間内部に炭素粉が含有されて
なることを特徴とする加工体又は綿体、及び少なくとも
炭素粉、界面活性剤、水からなるエマルジョンの希釈液
を加工体に噴霧又は含浸させ、加熱乾燥することを特徴
とする加工体の製造方法とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は炭素粉を繊維内部に
含有する単繊維及びこの単繊維からなる加工体並びに綿
体及び炭素粉を繊維表面又は繊維間に含有する加工体並
びに綿体及びこの製造方法に係り、その目的は、炭素粉
を含有するために優れた防臭性や吸湿性を有する単繊維
及びこの加工体並びに綿体を、更に炭素粉を加工体並び
に綿体に含有させる際に噴射ノズルの詰まり等がなくま
た不快な臭い等が発生することのない製造方法を提供す
ることにある。尚、本発明において綿体とは、紡糸され
た単繊維を開綿した後の綿、クッション材、不織布等の
ことをいう。また、本発明において加工体とは、撚糸さ
れた織糸又は編糸から加工された織物又は編物のことを
いう。
【0002】
【従来の技術】技術の進歩に伴い新規の素材が次々に誕
生しており、我々の日常生活に必要とされる物の素材も
一昔前とはかなり様変わりしている。新規の素材は新し
い機能が付与されて使いやすく便利となる反面、予想さ
れなかった事態を生ずる場合がある。例えば、近年問題
となっているのが、シックハウス症候群と呼ばれる一連
の症状であり、これは、一般家庭において壁紙等に用い
られる接着剤に含有されるホルムアルデヒド等の有害な
有機化合物が原因の一つではないかと考えられている。
【0003】そこで、一般家庭においてこのような有害
な物質を除去するために、また日常的に発生する不快な
臭い、例えばペットやタバコ等の臭いを除去するため
に、壁紙やカーテン等を構成する素材に消臭機能を付与
することが行われている。また、消臭機能を付与するこ
とは、この他の素材においても行われており、例えば、
衣服や寝具を構成する繊維にこのような機能を付与する
ことが行われている。繊維に消臭機能を付与する技術と
して、例えば、特開平11−229219号公報には、
炭を添加した綿、繊維及び壁紙及びこれら製造方法が開
示されている。この技術は、アクリル樹脂と炭を混合し
た溶剤を綿や繊維に対して噴霧又は浸漬することにより
炭を綿又は繊維等に添加して消臭機能を付与する技術で
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
11−229219号公報に記載された技術には以下の
ような問題が存在した。まず、上記の技術はアクリル樹
脂と炭とを混合した溶剤を綿や繊維に対して噴霧又は浸
漬することで炭を綿や繊維に対して付着させるが、バイ
ンダーとしてアクリル樹脂を使用するために、長時間連
続して製造した場合、噴射ノズルが詰まるために好適に
製造することが困難であった。また、噴霧する場合及び
浸漬する場合のいずれの方法であっても、バインダーと
してアクリル樹脂を使用するために溶剤の粘度が上昇
し、これにより綿や繊維の表面付近に炭を付着させるこ
とはできるが、綿や繊維の内部に炭を付着させることは
困難であった。しかも、樹脂を用いるためにその製造中
において不快な臭いが生じ、また製造された製品の安全
性も高いとはいえなかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記した問題を
解決するためになされた発明であって、請求項1に係る
発明は、顔料として20μm以下の炭素粉が1〜50重
量%配合された合成樹脂ペレットから溶融、紡糸されて
なることを特徴とする炭素粉を繊維内部に含有する単繊
維に関する。請求項2に係る発明は、炭素粉が1.0μ
m以下の大きさで6〜15重量%含有してなることを特
徴とする単繊維に関する。請求項3に係る発明は、前記
炭素粉が木炭及び/又はカーボンブラックからなること
を特徴とする請求項1又は2に記載の単繊維に関する。
請求項4に係る発明は、前記合成樹脂ペレットが再生ポ
リエチレンテレフタレートからなることを特徴とする請
求項1乃至3のいずれかに記載の単繊維に関する。請求
項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の
単繊維を撚糸して編糸又は織糸とした後に、編物又は織
物とされてなることを特徴とする加工体に関する。請求
項6に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の
単繊維を開綿してなることを特徴とする綿体に関する。
請求項7に係る発明は、繊維の表面及び/又は繊維間内
部に炭素粉が含有されてなることを特徴とする加工体に
関する。請求項8に係る発明は、繊維の表面及び/又は
繊維間内部に炭素粉が含有されてなることを特徴とする
綿体に関する。請求項9に係る発明は、請求項5に記載
の加工体の表面及び/又は繊維間内部に炭素粉が含有さ
れてなることを特徴とする加工体に関する。請求項10
に係る発明は、請求項6に記載の綿体の表面及び/又は
繊維間内部に炭素粉が含有されてなることを特徴とする
綿体に関する。請求項11に係る発明は、少なくとも炭
素粉、界面活性剤、水からなるエマルジョンの希釈液を
加工体に噴霧又は含浸させ、加熱乾燥することを特徴と
する加工体の製造方法に関する。請求項12に係る発明
は、開綿工程、計量工程、ローディング工程、積層工
程、ニードルパンチ工程の後に、少なくとも炭素粉、界
面活性剤、水からなるエマルジョンの希釈液を綿体に噴
霧又は含浸させ、加熱乾燥することを特徴とする綿体の
製造方法に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】まず、本発明に係る炭素粉を繊維
内部に含有する単繊維について説明する。本発明に係る
炭素粉を繊維内部に含有する単繊維は、繊維内部に予め
炭素粉が含有されている。
【0007】本発明に係る炭素粉を繊維内部に含有する
単繊維において、用いられる繊維としては主に化学繊維
であり、化学繊維としては、再生繊維、半合成繊維、合
成繊維、無機繊維等のあらゆる化学繊維を用いることが
できる。具体的には、再生繊維として、レーヨン、キュ
プラ等のセルロース系再生繊維、再生絹糸、牛乳蛋白繊
維、大豆蛋白繊維、トウモロコシ蛋白繊維、落花生蛋白
繊維等の蛋白系再生繊維、この他アルギン酸繊維、天然
ゴム等を例示することができる。半合成繊維として、ア
セテート、プロミックス、塩化ゴム、塩酸ゴム等を例示
することができる。合成繊維として、ポリアミド系繊
維、ポリエステル系繊維、ポリアクリルニトリル系繊
維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリプロピレン系繊
維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリ
エチレンテレフタレート系繊維、ポリ塩化ビニリデン系
繊維、ポリウレタン系繊維、ポリアルキレンパラオキシ
ベンゾエート系繊維、ポリクラール系繊維、フッソ系繊
維、エスタミド系繊維、ポリフルオロエチレン系繊維、
ポリ青化ビニリデン系繊維、ポリ尿素系繊維等を例示す
ることができる。無機繊維としては、ガラス繊維、金属
繊維等を例示することができる。また、前記した繊維に
は必要に応じて任意の添加剤、例えば、抗菌剤、制菌
剤、触媒、着色防止剤、耐熱剤、難燃剤、酸化防止剤、
無機微粒子等が添加されていても構わない。尚、本発明
においては、これらの化学繊維のうち合成繊維を用いる
ことが好ましく、特にポリエステル系繊維、ポリアクリ
ルニトリル系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリ塩化ビ
ニル系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリエチレンテレフ
タレート系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維を用いるこ
とがより好ましい。特に望ましいのは、使用済みのポリ
エチレンテレフタレートを再生した、再生ポリエチレン
テレフタレート樹脂を使用するのが望ましい。合成樹脂
ペレットは炭素粉を含有させなくても再生品は黒ずむの
で、1.0μm以下、好ましくは0.01〜1.0μm
の炭素粉を6〜15重量%含有させ、かつ純生の合成樹
脂ペレットから透明な単繊維を調製し、これらの混紡量
により色調を調整すればよい。炭素粉の含有量が6重量
%未満であると、配合による炭素粉の効果が得られず、
また15重量%を超えて配合すると、単繊維強度が弱く
なるために、いずれの場合も好ましくないからである。
また粒径が1.0μmを超える場合、再生ポリエチレン
テレフタレート樹脂製の単繊維中に炭素粉を加えること
が困難となるからである。尚、合成樹脂単繊維を加熱し
てこの単繊維を部分的に開口し、その状態で炭素粉を混
入する方法、或いは単繊維の紡糸工程中において表面に
炭素粉を付着させる方法も採用することができる。
【0008】本発明において用いられる炭素粉は、原木
を750〜1200℃で焼き、350〜520℃で炭化
させることにより得られる白炭、原木を400〜750
℃で焼き、250〜450℃で炭化させることにより得
られる黒炭のいずれも好ましく用いることができる。例
えば、白炭としては、ウバメガシ(Quercus phillyraeo
ides)を原木とし、1200℃前後で焼かれた備長炭な
ど、ブナ科(Fagaceae)ナラ属(Quercus)に属するカシ
類やナラ類を原木とした木炭や、スギ(Cryptomeria ja
ponica)、ヒノキ(Chamaecyparis obtusa)、アカマツ
(Pinus densiflora)、クロマツ(Pinus thunbergii)
などの針葉樹を原木とした木炭を挙げることができる。
また黒炭としては、クヌギ(Quercus acutissima)、コ
ナラ(Quercus serrta Thunb)などを原木とした木炭を
挙げることができる。更には、イネ科(Gramineae)に
属する竹類を用いた竹炭或いは活性炭等も好適に用いる
ことができる。特に本発明では、木炭又は竹炭を用いる
ことが好ましく、備長炭を使用することがより好まし
い。これら以外に、カーボンブラック(石油類の不完全
燃焼により得られる)なども炭素粉として使用すること
ができる。用いられる炭素粉の粒径は特に限定されない
が、例えば0.1〜20μm、好ましくは0.5〜10
μm、より好ましくは0.5〜5μmとするとよい。こ
れは、粒径が0.1μm未満の場合、粉砕に要する工程
数が多くなり、また20μmを超えた粒径の場合、単繊
維の強度が低下することがあるために、いずれの場合も
好ましくないからである。但し、必要に応じて0.1μ
m以下の炭素粉を調製して、これを含有させてもよい。
尚、炭素粉としてカーボンブラックを使用する場合、カ
ーボンブラックの粒径は特に限定されないが、0.01
〜1μmとされる。この理由は、0.01μm未満の粒
径に調製することは困難であり、また1μmを超える粒
径に調製することも困難だからである。また本発明で
は、上記した炭素粉のうちの二種以上を併用することも
できる。特に、備長炭などの木炭や竹炭とカーボンブラ
ックを併用することが望ましい。この理由は、木炭及び
/又は竹炭は吸湿性や脱臭性に優れるが、粒径が比較的
大きく分散性が低いために、略均一に着色することが困
難である。粒径を小さくすれば分散性や着色性を改善す
ることはできるが、吸湿性や脱臭性が低下する。そこ
で、粒径が細かいカーボンブラックを混合することで、
吸湿性や脱臭性及び分散性に優れるとともに、略均一に
着色することが可能となるからである。木炭及び/又は
竹炭とカーボンブラックを併用する場合、その配合比は
特に限定されないが、重量比で、木炭及び/又は竹炭:
カーボンブラック=1:0.5〜4、好ましくは1:1
〜3、より好ましくは、1:1.5〜2.5とされる。
カーボンブラックの配合量が木炭及び/又は竹炭の配合
量の0.5重量倍未満であると、カーボンブラックの配
合による効果が得られず、またカーボンブラックの配合
量が木炭及び/又は竹炭の配合量の4重量倍を超えて配
合すると、木炭及び/又は竹炭の配合量が相対的に低下
して、木炭及び/又は竹炭の配合量が相対的に低下して
吸湿性や脱臭性に劣るために、いずれの場合も好ましく
ないからである。
【0009】単繊維中に炭素粉を予め含有させるには、
上記したような繊維の原料となる合成樹脂に所要量の炭
素粉を配合してペレットとし、これを紡糸して単繊維と
すればよい。尚、紡糸する方法は、溶融紡糸、乾式紡
糸、湿式紡糸、エマルジョン紡糸のいずれであってもよ
く、用いられる合成樹脂に適した方法を採用すればよ
い。炭素粉の配合量は、用いられる合成樹脂に対して、
1〜50重量%とするとよい。これは、炭素粉の配合量
が1重量%未満の場合、炭素粉を配合することによる効
果が得られず、また50重量%を超えて配合すると繊維
の強度が低下することがあるために、いずれの場合も好
ましくないからである。特に望ましくは6〜15重量%
配合すればよい。尚、ペレットを紡糸して単繊維とする
際に炭素粉を配合することもできる。この場合、炭素粉
の配合量は特に限定されないが、7〜20重量%とされ
る。また、紡糸される単繊維の太さは特に限定されない
が、5〜20デニール、好ましくは10〜15デニール
とするとよい。
【0010】このようにして予め炭素粉を繊維内部に含
有することにより、本発明に係る炭素粉を繊維内部に含
有する単繊維を得ることができる。さらに、この単繊維
は任意の形態に加工することができる。例えば、この単
繊維を撚糸して編糸又は織糸とした後に、編物又は織物
とすることにより加工体とすることができる。また、こ
の単繊維を開綿した後に、綿、不織布、クッション材等
の任意の綿体とすることもできる。尚、加工体又は綿体
にする際に、炭素粉が配合された単繊維のみから形成し
てもよく、また炭素粉が配合されていない繊維、例え
ば、上述したような化学繊維のほか、木綿、カポック、
麻等の植物繊維や、絹、羊毛、アンゴラヤギ毛やカシミ
ヤ等のヤギ毛等の動物繊維等の天然繊維を適量配合して
もよい。このようにして製造された単繊維又はこの単繊
維から製造された加工体及び綿体は、炭素粉が繊維内部
に予め含有されているから、炭素粉は脱落することなく
優れた脱臭性や吸湿性を有する。しかも、その用途に制
限がなく汎用性が高いものである。
【0011】次に、本発明に係る炭素粉を繊維内部に含
有する単繊維及びこの単繊維からなる綿体の具体的な製
造方法を、繊維として再生ポリエチレンテレフタレート
系繊維を用いて不織布に加工する場合を例示して説明す
る。まず、繊維の原料となる再生合成樹脂、ここでは再
生ポリエチレンテレフタレートに粒径1〜0.1μmの
炭素粉とカーボンブラックを1:2の割合で混合し、所
要量、例えば5重量%添加して得られた再生ペレットを
溶融する。これを紡糸して所要の太さ、例えば10デニ
ールの太さとすることにより、炭素粉をPET繊維内部
に含有する単繊維を製造することができる。次に、前記
製造した単繊維を開綿した後に、所要量を計量し、次に
シート状に成形して所要の厚さとなるまで積層してウェ
ブとする。最後にニードルパンチによりウェブを突き刺
し、ウェブ内の単繊維を押し込み、絡み合わせて不織布
を製造することができる。尚、不織布を製造する方法は
特に限定されず、前記したニードルパンチ法の他、接着
剤を用いて繊維どうしを接着する方法、或いはステッチ
法、スプレーファイバー法、スパン・ボンド法等の公知
の方法によっても製造することができる。
【0012】次に、本発明に係る炭素粉を繊維表面又は
繊維間に含有する加工体及び綿体について図面を参照し
つつ説明する。図1及び図2は、本発明に係る炭素粉を
繊維表面又は繊維間に含有する加工体の模式断面図であ
る。本発明に係る炭素粉を繊維表面又は繊維間に含有す
る加工体及び綿体(以下、単に炭含有加工体及び炭含有
綿体とする)は、図1に示される炭含有加工体(1)の
ように、加工体(2)の表面に集中して又は図2に示さ
れる炭含有加工体(1)のように、加工体(2)の表面
及び内部に分散して、繊維間に炭素粉(3)が含有され
ていることを特徴とする。炭含有加工体(1)において
用いられる加工体(2)は、後述するような繊維のうち
の一種又は二種以上を、紡績、製糸、紡糸、撚糸するこ
とにより製造される糸のうちの少なくとも一種以上から
製造される織物又は編物である。また本発明に係る炭含
有綿体において用いられる綿体は、後述するような繊維
のうちの一種又は二種以上を紡糸して製造された単繊維
を開綿して得られる綿、クッション材、不織布等であ
る。また、炭含有加工体(1)において用いられる加工
体(2)として、前述したような炭素粉を繊維内部に含
有した単繊維からなる加工体を用いてもよく、炭含有綿
体において用いられる綿体として、前述したような炭素
粉を繊維内部に含有した単繊維からなる綿体を用いても
よい。
【0013】炭含有加工体(1)及び炭含有綿体を構成
する繊維としては、上述した化学繊維(段落番号(00
07)参照)に加え、天然繊維を用いることができる。
天然繊維としては、木綿、カポック、麻等の植物繊維、
絹、羊毛、アンゴラヤギ毛やカシミア等のヤギ毛等の動
物繊維を例示することができる。前記した繊維には必要
に応じて任意の添加剤、例えば、抗菌剤、制菌剤、触
媒、着色防止剤、耐熱剤、難燃剤、酸化防止剤、無機微
粒子等が配合されていても構わない。
【0014】炭含有加工体(1)及び炭含有綿体におい
て用いられる炭素粉(3)としては、上述した炭素粉と
同種の炭素粉(段落番号(0008)参照)を使用する
ことができる。また、本発明に係る炭含有加工体(1)
及び綿体において用いられる炭素粉(3)の粒径は特に
限定されないが、0.1〜500μm、より好ましくは
0.5〜50μmとするとよい。これは、0.1μm未
満の場合、粉砕に要する工程数が多くなり、また500
μmを超えた粒径の場合、加工体(2)及び綿体から脱
落することがあるために、いずれの場合も好ましくない
からである。尚、炭素粉としてカーボンブラックを使用
する場合、その粒径は特に限定されないが、0.01〜
1μmとされる。この理由は、0.01μm未満の粒径
に調製することは困難であり、また1μmを超える粒径
に調製することも困難だからである。また本発明では、
上記した炭素粉のうちの二種以上を併用することもでき
る。特に、備長炭などの木炭や竹炭とカーボンブラック
を併用することが望ましい。この理由は、木炭及び/又
は竹炭は吸湿性や脱臭性に優れるが、粒径が比較的大き
く分散性も低いために、略均一に着色することが困難で
ある。粒径を小さくすればよいが、この場合は吸湿性や
脱臭性が低下する。そこで、粒径が細かいカーボンブラ
ックを混合することで、吸湿性や脱臭性及び分散性に優
れるとともに、略均一に着色することが可能となる。木
炭及び/又は竹炭とカーボンブラックを併用する場合、
その配合比は特に限定されないが、重量比で、木炭及び
/又は竹炭:カーボンブラック=1:0.5〜4、好ま
しくは1:1〜3、より好ましくは、1:1.5〜2.
5とされる。カーボンブラックの配合量が木炭及び/又
は竹炭の配合量の0.5重量倍未満であると、カーボン
ブラックの配合による効果が得られず、またカーボンブ
ラックの配合量が木炭及び/又は竹炭の配合量の4重量
倍を超えると、木炭及び/又は竹炭の配合量が相対的に
低下して吸湿性や脱臭性に劣るために、いずれの場合も
好ましくないからである。また、炭素粉(3)の含有量
は、炭含有加工体(1)及び炭含有綿体中の全炭素粉量
が1〜20重量%となるように適宜調整するとよい。
【0015】前記した炭素粉(3)を加工体(2)や綿
体に含有させて、本発明に係る炭含有加工体(1)及び
炭含有綿体とするには、界面活性剤を用いて炭素粉
(3)と水とから調製したエマルジョンの希釈液を、上
記した加工体(2)や綿体に対して噴霧又含浸させるこ
とにより得ることができる。エマルジョンの希釈液を調
製する際に用いられる界面活性剤としては、上記したよ
うな炭素粉(3)を水中に分散させることができるもの
であれば、いずれの界面活性剤も使用することができ
る。例えば、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸
エステル塩、ポリカルボン酸塩、脂肪酸塩、アルキルベ
ンゼンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ア
ルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩、ポリオキ
シエチレンアルキル硫酸エステル塩、アルキルアリル硫
酸塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ナ
フタリンスルホン酸ホルマリン縮合物等を例示すること
ができる。
【0016】尚、必須成分である界面活性剤と炭素粉の
他、形状安定剤としてヒドロキシエチルセルロース等の
水溶性高分子、分散補助剤としてメタリン酸ナトリウム
等の他、防腐剤、着色剤等の添加剤を適宜任意に配合す
ることができる。
【0017】以上説明した各成分からエマルジョンの希
釈液を調整するには、各成分の所要量を水に混合するこ
とにより調整することができる。尚、この方法では炭素
粉の分散性に劣る場合は、予め少量の水に炭素粉と界面
活性剤等の全添加剤を混合してペースト状とした後に残
量の水で希釈するとよい。また、界面活性剤の配合量は
特に限定されないが、界面活性剤を除く配合成分の総量
を100重量部とした場合に、0.01〜5重量部、好
ましくは0.1〜3重量部となるように添加するとよ
い。これは、界面活性剤の配合量が0.01重量部未満
の場合、炭素粉を水中に分散させることができず、また
5重量部を超えて配合したとしてもそれ以上の効果が望
めず、いずれの場合も好ましくないからである。尚、水
と炭素粉の配合量は特に限定されないが、重量比で1:
0.1〜10、好ましくは1:0.2〜5、より好まし
くは1:0.5〜2となるように調整するとよい。炭素
粉の配合量が水の配合量の0.1重量倍未満の場合、お
よび炭素粉の配合量が水の配合量の5重量倍を超える場
合のいずれも炭素粉の分散性を改良することができない
からである。
【0018】上記説明したような各組成から調整された
エマルジョンの希釈液を加工体(2)や綿体に対して噴
霧した後に、又はエマルジョンの希釈液を加工体(2)
や綿体に含浸させた後に、乾燥させることにより本発明
に係る炭素粉を含有した加工体(1)及び綿体を得るこ
とができる。尚、エマルジョンを塗布した後の乾燥は通
常の場合、加熱乾燥により行われる。加熱温度は特に限
定はされないが、100〜200℃、好ましくは120
〜170℃とされる。100℃未満では十分乾燥させる
ことができず、200℃を超える加熱ではそれ以上の効
果が得られないからである。
【0019】次に、本発明に係る炭素粉を含有した加工
体及び綿体の具体的な製造方法を、綿体としてポリエス
テル系繊維からなる綿を使用した場合を例示して説明す
る。まず、ポリエステル系繊維を開綿した後に、所要量
を計量する。次に、ローディングしてシート状に成形し
た後に、所要の厚さとなるまで積層してウェブとする。
ニードルパンチによりウェブを突き刺し、ウェブ内の繊
維を押し込み、絡み合わせて綿を製造する。次に、この
綿に、別途調整したエマルジョンの希釈液をまんべんな
く噴射する。また、エマルジョンの希釈液を含浸させて
もよい。最後に、約150℃の温度条件下において加熱
乾燥することにより本発明に係る炭素粉を含有した綿体
を得ることができる。
【0020】本発明に係る炭素粉を含有した加工体及び
綿体は、繊維の表面及び/又は繊維間内部に炭素粉が含
有されているものであるから、優れた防臭性や吸湿性を
有する。また、炭素粉をエマルジョンの希釈液として加
工体及び綿体に塗布するために、噴射時に噴射ノズルが
詰まる心配がなく、しかも加工体及び綿体の内部にまで
浸透するために、炭素粉を加工体及び綿体の表面付近だ
けでなく内部にまで分散させて含有させることができ
る。
【0021】
【実施例】以下、実施例を示すことにより本発明をより
詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例により何
ら限定されるものではない。 (実施例1,2の試料の調製)まず、再生PET繊維の
原料である使用済PETの粉末に粒径0.1〜1.0μ
mのカーボンブラック粉末と炭素粉を1:2の割合で混
ぜた炭素粉を8重量%混合したペレットを作成し、この
ペレットを加熱することにより溶融した。これを紡糸す
ることにより炭素粉を繊維内部に含有する約15デニー
ルの太さのPET繊維を実施例1の試料とした。次に、
前記製造した実施例1の試料を開綿した後に、シート状
に成形して所要の厚さとなるまで積層してウェブとし
た。最後にニードルパンチによりウェブを突き刺し、ウ
ェブ内の繊維を押し込み、絡み合わせて製造された綿を
実施例2の試料とした。
【0022】(実施例3の試料の調製)まず、ポリエス
テルを開綿した後に、シート状に成形して所要の厚さと
なるまで積層してウェブとした。次に、ニードルパンチ
によりウェブを突き刺し、ウェブ内の繊維を押し込み、
絡み合わせて綿体を製造した。次に、前記調製した綿体
に、界面活性剤:水:炭素粉=6:5:1の割合となる
ように別途調製したエマルジョンをまんべんなく噴射し
た。最後に約150℃の温度条件下において加熱乾燥す
ることにより得られた、炭素粉を含有した綿体を実施例
3の試料とした。
【0023】上記調製した実施例1の試料は繊維内部に
炭素粉が含まれていた。さらに、この繊維の強度は、炭
素粉を配合していない繊維と比較して遜色ないものであ
った。また、実施例2及び3の試料は通常の使用状況に
おいて炭素粉が脱落することはなかった。
【0024】(試験例;消臭性試験)上記調製した実施
例3の試料を用いて消臭性試験を行った。試験方法は、
アンモニアの濃度が400ppmとなるように調整され
た5リットルのテドラーバック(容器内ガス量3リット
ル)に、10×20cmの実施例3の試料を入れて、2
0℃の温度条件下、所要時間経過後の容器内のアンモニ
ア濃度を北川式検知管を用いて測定した。また、当初濃
度を15.0ppmとなるように調整してホルムアルデ
ヒドの場合も同様の方法により測定した。尚、対照例と
して、実施例の試料を入れなかった場合のアンモニア濃
度又はホルムアルデヒド濃度の変化も同様の条件下にお
いて測定した。結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】表1の結果の通り、本発明に係る炭含有加
工体は、アンモニア及びホルムアルデヒド等の有害物質
に対する優れた消臭性を有することが分かる。
【0027】
【発明の効果】以上詳述した如く、本発明に係る炭素粉
を繊維内部に含有する単繊維及びこの加工体並びに綿体
は、炭素粉が予め繊維内部に含有されているから、優れ
た消臭性、吸湿性を有するとともに、含有された炭素粉
が脱落することなく、また所要の形態に形成することが
できるから汎用性の高いものである。また、本発明に係
る炭素粉を繊維表面及び/又は繊維間内部に含有する加
工体及び綿体は、優れた消臭性、吸湿性を有する。しか
もアクリル樹脂等の高分子結合剤を用いることなく炭素
粉が含有されているために極めて安全性の高いものであ
る。
【0028】本発明に係る炭素粉を繊維表面及び/又は
繊維間内部に含有する加工体及び綿体の製造方法は、炭
素粉、界面活性剤、水からなるエマルジョンを加工体及
び綿体に噴霧又は含浸させた後に、乾燥するものである
から、アクリル樹脂等の高分子結合剤を使用しなくても
炭素粉を加工体及び綿体に含有させることができる。こ
のために、製造時に嫌な臭いが発生することがなく、安
全に製造することができる。また、エマルジョンを用い
るために、加工体及び綿体の内部にまで炭素粉を含有さ
せることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る炭含有加工体の模式断面図であ
る。
【図2】本発明に係る炭含有加工体の模式断面図であ
る。
【符号の説明】
1・・・炭含有加工体 2・・・加工体 3・・・炭素粉
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D06M 11/74 A61L 9/01 B // A61L 9/01 9/16 D 9/16 D06M 101:32 D06M 101:32 11/00 G Fターム(参考) 4C080 AA05 BB02 CC02 CC12 HH05 JJ05 KK08 LL10 MM01 NN24 QQ03 4L031 AA18 BA02 DA00 DA12 4L035 AA05 BB31 FF05 JJ03 JJ10 KK01 KK05 4L047 AA21 BA03 CA02 CB10 CC03 CC14 4L048 AA21 AA42 AA54 AA56 CA00 CA07 EB00

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 顔料として20μm以下の炭素粉が1〜
    50重量%配合された合成樹脂ペレットから溶融、紡糸
    されてなることを特徴とする炭素粉を繊維内部に含有す
    る単繊維。
  2. 【請求項2】 炭素粉が1.0μm以下の大きさで6〜
    15重量%含有してなることを特徴とする単繊維。
  3. 【請求項3】 前記炭素粉が木炭及び/又はカーボンブ
    ラックからなることを特徴とする請求項1又は2に記載
    の単繊維。
  4. 【請求項4】 前記合成樹脂ペレットが再生ポリエチレ
    ンテレフタレートからなることを特徴とする請求項1乃
    至3のいずれかに記載の単繊維。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載の単繊
    維を撚糸して編糸又は織糸とした後に、編物又は織物と
    されてなることを特徴とする加工体。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至4のいずれかに記載の単繊
    維を開綿してなることを特徴とする綿体。
  7. 【請求項7】 繊維の表面及び/又は繊維間内部に炭素
    粉が含有されてなることを特徴とする加工体。
  8. 【請求項8】 繊維の表面及び/又は繊維間内部に炭素
    粉が含有されてなることを特徴とする綿体。
  9. 【請求項9】 請求項5に記載の加工体の表面及び/又
    は繊維間内部に炭素粉が含有されてなることを特徴とす
    る加工体。
  10. 【請求項10】 請求項6に記載の綿体の表面及び/又
    は繊維間内部に炭素粉が含有されてなることを特徴とす
    る綿体。
  11. 【請求項11】 少なくとも炭素粉、界面活性剤、水か
    らなるエマルジョンの希釈液を加工体に噴霧又は含浸さ
    せ、加熱乾燥することを特徴とする加工体の製造方法。
  12. 【請求項12】 開綿工程、計量工程、ローディング工
    程、積層工程、ニードルパンチ工程の後に、少なくとも
    炭素粉、界面活性剤、水からなるエマルジョンの希釈液
    を綿体に噴霧又は含浸させ、加熱乾燥することを特徴と
    する綿体の製造方法。
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