JP4933003B2 - 炭素粉を繊維内部に含有する単繊維及びこの単繊維からなる加工体並びに綿体及び炭素粉を繊維表面又は繊維間に含有する加工体並びに綿体 - Google Patents

炭素粉を繊維内部に含有する単繊維及びこの単繊維からなる加工体並びに綿体及び炭素粉を繊維表面又は繊維間に含有する加工体並びに綿体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は炭素粉を繊維内部に含有する単繊維及びこの単繊維からなる加工体並びに綿体及び炭素粉を繊維表面又は繊維間に含有する加工体並びに綿体に係り、その目的は、炭素粉を含有するために優れた防臭性や吸湿性を有する単繊維及びこの加工体並びに綿体を提供することにある。
尚、本発明において綿体とは、紡糸された単繊維を開綿した後の綿、クッション材、不織布等のことをいう。また、本発明において加工体とは、撚糸された織糸又は編糸から加工された織物又は編物のことをいう。
【0002】
【従来の技術】
技術の進歩に伴い新規の素材が次々に誕生しており、我々の日常生活に必要とされる物の素材も一昔前とはかなり様変わりしている。新規の素材は新しい機能が付与されて使いやすく便利となる反面、予想されなかった事態を生ずる場合がある。例えば、近年問題となっているのが、シックハウス症候群と呼ばれる一連の症状であり、これは、一般家庭において壁紙等に用いられる接着剤に含有されるホルムアルデヒド等の有害な有機化合物が原因の一つではないかと考えられている。
【0003】
そこで、一般家庭においてこのような有害な物質を除去するために、また日常的に発生する不快な臭い、例えばペットやタバコ等の臭いを除去するために、壁紙やカーテン等を構成する素材に消臭機能を付与することが行われている。また、消臭機能を付与することは、この他の素材においても行われており、例えば、衣服や寝具を構成する繊維にこのような機能を付与することが行われている。
繊維に消臭機能を付与する技術として、例えば、特開平11−229219号公報には、炭を添加した綿、繊維及び壁紙及びこれら製造方法が開示されている。この技術は、アクリル樹脂と炭を混合した溶剤を綿や繊維に対して噴霧又は浸漬することにより炭を綿又は繊維等に添加して消臭機能を付与する技術である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平11−229219号公報に記載された技術には以下のような問題が存在した。
まず、上記の技術はアクリル樹脂と炭とを混合した溶剤を綿や繊維に対して噴霧又は浸漬することで炭を綿や繊維に対して付着させるが、バインダーとしてアクリル樹脂を使用するために、長時間連続して製造した場合、噴射ノズルが詰まるために好適に製造することが困難であった。また、噴霧する場合及び浸漬する場合のいずれの方法であっても、バインダーとしてアクリル樹脂を使用するために溶剤の粘度が上昇し、これにより綿や繊維の表面付近に炭を付着させることはできるが、綿や繊維の内部に炭を付着させることは困難であった。しかも、樹脂を用いるためにその製造中において不快な臭いが生じ、また製造された製品の安全性も高いとはいえなかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記した問題を解決するためになされた発明であって、請求項1に係る発明は、顔料として1.0μm以下の炭素粉が6〜15重量%配合された合成樹脂ペレットから溶融、紡糸されてなり、前記合成樹脂ペレットは再生ポリエチレンテレフタレートからなり、前記炭素粉は木炭及び/又は竹炭とカーボンブラックが併用されてなり、前記木炭及び/又は竹炭と前記カーボンブラックの配合比が1:0.5〜4(重量比)であることを特徴とする炭素粉を繊維内部に含有する単繊維に関する。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の単繊維を撚糸して編糸又は織糸とした後に、編物又は織物とされてなることを特徴とする加工体に関する。
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の単繊維を開綿してなることを特徴とする綿体に関する。
請求項4に係る発明は、請求項に記載の加工体の表面及び/又は繊維間内部に炭素粉が含有されてなることを特徴とする加工体に関する。
請求項5に係る発明は、請求項に記載の綿体の表面及び/又は繊維間内部に炭素粉が含有されてなることを特徴とする綿体に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
まず、本発明に係る炭素粉を繊維内部に含有する単繊維について説明する。
本発明に係る炭素粉を繊維内部に含有する単繊維は、繊維内部に予め炭素粉が含有されている。
【0007】
本発明に係る炭素粉を繊維内部に含有する単繊維において、用いられる繊維としては主に化学繊維であり、化学繊維としては、再生繊維、半合成繊維、合成繊維、無機繊維等のあらゆる化学繊維を用いることができる。具体的には、再生繊維として、レーヨン、キュプラ等のセルロース系再生繊維、再生絹糸、牛乳蛋白繊維、大豆蛋白繊維、トウモロコシ蛋白繊維、落花生蛋白繊維等の蛋白系再生繊維、この他アルギン酸繊維、天然ゴム等を例示することができる。半合成繊維として、アセテート、プロミックス、塩化ゴム、塩酸ゴム等を例示することができる。合成繊維として、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアクリルニトリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリエチレンテレフタレート系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート系繊維、ポリクラール系繊維、フッソ系繊維、エスタミド系繊維、ポリフルオロエチレン系繊維、ポリ青化ビニリデン系繊維、ポリ尿素系繊維等を例示することができる。無機繊維としては、ガラス繊維、金属繊維等を例示することができる。また、前記した繊維には必要に応じて任意の添加剤、例えば、抗菌剤、制菌剤、触媒、着色防止剤、耐熱剤、難燃剤、酸化防止剤、無機微粒子等が添加されていても構わない。
尚、本発明においては、これらの化学繊維のうち合成繊維を用いることが好ましく、特にポリエステル系繊維、ポリアクリルニトリル系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリエチレンテレフタレート系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維を用いることがより好ましい。
に、使用済みのポリエチレンテレフタレートを再生した、再生ポリエチレンテレフタレート樹脂を使用する。合成樹脂ペレットは炭素粉を含有させなくても再生品は黒ずむので、1.0μm以下、好ましくは0.01〜1.0μmの炭素粉を6〜15重量%含有させ、かつ純生の合成樹脂ペレットから透明な単繊維を調製し、これらの混紡量により色調を調整すればよい。炭素粉の含有量が6重量%未満であると、配合による炭素粉の効果が得られず、また15重量%を超えて配合すると、単繊維強度が弱くなるために、いずれの場合も好ましくないからである。また粒径が1.0μmを超える場合、再生ポリエチレンテレフタレート樹脂製の単繊維中に炭素粉を加えることが困難となるからである。尚、合成樹脂単繊維を加熱してこの単繊維を部分的に開口し、その状態で炭素粉を混入する方法、或いは単繊維の紡糸工程中において表面に炭素粉を付着させる方法も採用することができる。
【0008】
本発明において用いられる炭素粉は、原木を750〜1200℃で焼き、350〜520℃で炭化させることにより得られる白炭、原木を400〜750℃で焼き、250〜450℃で炭化させることにより得られる黒炭のいずれも好ましく用いることができる。例えば、白炭としては、ウバメガシ(Quercus phillyraeoides)を原木とし、1200℃前後で焼かれた備長炭など、ブナ科(Fagaceae)ナラ属(Quercus)に属するカシ類やナラ類を原木とした木炭や、スギ(Cryptomeria japonica)、ヒノキ(Chamaecyparis obtusa)、アカマツ(Pinus densiflora)、クロマツ(Pinus thunbergii)などの針葉樹を原木とした木炭を挙げることができる。また黒炭としては、クヌギ(Quercus acutissima)、コナラ(Quercus serrta Thunb)などを原木とした木炭を挙げることができる。更には、イネ科(Gramineae)に属する竹類を用いた竹炭或いは活性炭等も好適に用いることができる。特に本発明では、木炭及び/又は竹炭用いられ、備長炭を使用することがより好ましい。
これら以外に、カーボンブラック(石油類の不完全燃焼により得られる)なども炭素粉として使用することができる。
用いられる炭素粉の粒径は1.0μm以下とする。必要に応じて0.1μm以下の炭素粉を調製して、これを含有させてもよい。
尚、炭素粉としてカーボンブラックを使用する場合、カーボンブラックの粒径は特に限定されないが、0.01〜1μmとされる。この理由は、0.01μm未満の粒径に調製することは困難であり、また1μmを超える粒径に調製することも困難だからである。
また本発明では、上記した炭素粉のうちの二種以上を併用することもできる。特に、備長炭などの木炭や竹炭とカーボンブラックを併用する。この理由は、木炭及び/又は竹炭は吸湿性や脱臭性に優れるが、粒径が比較的大きく分散性が低いために、略均一に着色することが困難である。粒径を小さくすれば分散性や着色性を改善することはできるが、吸湿性や脱臭性が低下する。そこで、粒径が細かいカーボンブラックを混合することで、吸湿性や脱臭性及び分散性に優れるとともに、略均一に着色することが可能となるからである。木炭及び/又は竹炭とカーボンブラックを併用する場合、その配合比は特に限定されないが、重量比で、木炭及び/又は竹炭:カーボンブラック=1:0.5〜4、好ましくは1:1〜3、より好ましくは、1:1.5〜2.5とされる。
カーボンブラックの配合量が木炭及び/又は竹炭の配合量の0.5重量倍未満であると、カーボンブラックの配合による効果が得られず、またカーボンブラックの配合量が木炭及び/又は竹炭の配合量の4重量倍を超えて配合すると、木炭及び/又は竹炭の配合量が相対的に低下して、木炭及び/又は竹炭の配合量が相対的に低下して吸湿性や脱臭性に劣るために、いずれの場合も好ましくないからである。
【0009】
単繊維中に炭素粉を予め含有させるには、上記したような繊維の原料となる合成樹脂に所要量の炭素粉を配合してペレットとし、これを紡糸して単繊維とすればよい。尚、紡糸する方法は、溶融紡糸、乾式紡糸、湿式紡糸、エマルジョン紡糸のいずれであってもよく、用いられる合成樹脂に適した方法を採用すればよい。
炭素粉の配合量は、用いられる合成樹脂に対して、1〜50重量%とするとよい。これは、炭素粉の配合量が1重量%未満の場合、炭素粉を配合することによる効果が得られず、また50重量%を超えて配合すると繊維の強度が低下することがあるために、いずれの場合も好ましくないからである。特に望ましくは6〜15重量%配合すればよい。尚、ペレットを紡糸して単繊維とする際に炭素粉を配合することもできる。この場合、炭素粉の配合量は特に限定されないが、7〜20重量%とされる。
また、紡糸される単繊維の太さは特に限定されないが、5〜20デニール、好ましくは10〜15デニールとするとよい。
【0010】
このようにして予め炭素粉を繊維内部に含有することにより、本発明に係る炭素粉を繊維内部に含有する単繊維を得ることができる。さらに、この単繊維は任意の形態に加工することができる。例えば、この単繊維を撚糸して編糸又は織糸とした後に、編物又は織物とすることにより加工体とすることができる。また、この単繊維を開綿した後に、綿、不織布、クッション材等の任意の綿体とすることもできる。尚、加工体又は綿体にする際に、炭素粉が配合された単繊維のみから形成してもよく、また炭素粉が配合されていない繊維、例えば、上述したような化学繊維のほか、木綿、カポック、麻等の植物繊維や、絹、羊毛、アンゴラヤギ毛やカシミヤ等のヤギ毛等の動物繊維等の天然繊維を適量配合してもよい。
このようにして製造された単繊維又はこの単繊維から製造された加工体及び綿体は、炭素粉が繊維内部に予め含有されているから、炭素粉は脱落することなく優れた脱臭性や吸湿性を有する。しかも、その用途に制限がなく汎用性が高いものである。
【0011】
次に、炭素粉を繊維内部に含有する単繊維及びこの単繊維からなる綿体の具体的な製造方法を、繊維として再生ポリエチレンテレフタレート系繊維を用いて不織布に加工する場合を例示して説明する。
まず、繊維の原料となる再生合成樹脂、ここでは再生ポリエチレンテレフタレートに粒径1〜0.1μmの炭素粉とカーボンブラックを1:2の割合で混合し、所要量、例えば5重量%添加して得られた再生ペレットを溶融する。これを紡糸して所要の太さ、例えば10デニールの太さとすることにより、炭素粉をPET繊維内部に含有する単繊維を製造することができる。
次に、前記製造した単繊維を開綿した後に、所要量を計量し、次にシート状に成形して所要の厚さとなるまで積層してウェブとする。最後にニードルパンチによりウェブを突き刺し、ウェブ内の単繊維を押し込み、絡み合わせて不織布を製造することができる。尚、不織布を製造する方法は特に限定されず、前記したニードルパンチ法の他、接着剤を用いて繊維どうしを接着する方法、或いはステッチ法、スプレーファイバー法、スパン・ボンド法等の公知の方法によっても製造することができる。
【0012】
次に、本発明に係る炭素粉を繊維表面又は繊維間に含有する加工体及び綿体について図面を参照しつつ説明する。図1及び図2は、本発明に係る炭素粉を繊維表面又は繊維間に含有する加工体の模式断面図である。
本発明に係る炭素粉を繊維表面又は繊維間に含有する加工体及び綿体(以下、単に炭含有加工体及び炭含有綿体とする)は、図1に示される炭含有加工体(1)のように、加工体(2)の表面に集中して又は図2に示される炭含有加工体(1)のように、加工体(2)の表面及び内部に分散して、繊維間に炭素粉(3)が含有されていることを特徴とする。
炭含有加工体(1)において用いられる加工体(2)は、後述するような繊維のうちの一種又は二種以上を、紡績、製糸、紡糸、撚糸することにより製造される糸のうちの少なくとも一種以上から製造される織物又は編物である。また本発明に係る炭含有綿体において用いられる綿体は、後述するような繊維のうちの一種又は二種以上を紡糸して製造された単繊維を開綿して得られる綿、クッション材、不織布等である。
また、炭含有加工体(1)において用いられる加工体(2)として、前述したような炭素粉を繊維内部に含有した単繊維からなる加工体を用いてもよく、炭含有綿体において用いられる綿体として、前述したような炭素粉を繊維内部に含有した単繊維からなる綿体を用いてもよい。
【0013】
炭含有加工体(1)及び炭含有綿体を構成する繊維としては、上述した化学繊維(段落番号(0007)参照)に加え、天然繊維を用いることができる。天然繊維としては、木綿、カポック、麻等の植物繊維、絹、羊毛、アンゴラヤギ毛やカシミア等のヤギ毛等の動物繊維を例示することができる。
前記した繊維には必要に応じて任意の添加剤、例えば、抗菌剤、制菌剤、触媒、着色防止剤、耐熱剤、難燃剤、酸化防止剤、無機微粒子等が配合されていても構わない。
【0014】
炭含有加工体(1)及び炭含有綿体において用いられる炭素粉(3)としては、上述した炭素粉と同種の炭素粉(段落番号(0008)参照)を使用することができる。また、本発明に係る炭含有加工体(1)及び綿体において用いられる炭素粉(3)の粒径は1.0μm以下とする。
尚、炭素粉としてカーボンブラックを使用する場合、その粒径は特に限定されないが、0.01〜1μmとされる。この理由は、0.01μm未満の粒径に調製することは困難であり、また1μmを超える粒径に調製することも困難だからである。
また本発明では、上記した炭素粉のうちの二種以上を併用することもできる。特に、備長炭などの木炭や竹炭とカーボンブラックを併用する。この理由は、木炭及び/又は竹炭は吸湿性や脱臭性に優れるが、粒径が比較的大きく分散性も低いために、略均一に着色することが困難である。粒径を小さくすればよいが、この場合は吸湿性や脱臭性が低下する。そこで、粒径が細かいカーボンブラックを混合することで、吸湿性や脱臭性及び分散性に優れるとともに、略均一に着色することが可能となる。木炭及び/又は竹炭とカーボンブラックを併用する場合、その配合比は特に限定されないが、重量比で、木炭及び/又は竹炭:カーボンブラック=1:0.5〜4、好ましくは1:1〜3、より好ましくは、1:1.5〜2.5とされる。
カーボンブラックの配合量が木炭及び/又は竹炭の配合量の0.5重量倍未満であると、カーボンブラックの配合による効果が得られず、またカーボンブラックの配合量が木炭及び/又は竹炭の配合量の4重量倍を超えると、木炭及び/又は竹炭の配合量が相対的に低下して吸湿性や脱臭性に劣るために、いずれの場合も好ましくないからである。
また、炭素粉(3)の含有量は、炭含有加工体(1)及び炭含有綿体中の全炭素粉量が1〜20重量%となるように適宜調整するとよい。
【0015】
前記した炭素粉(3)を加工体(2)や綿体に含有させて、本発明に係る炭含有加工体(1)及び炭含有綿体とするには、界面活性剤を用いて炭素粉(3)と水とから調製したエマルジョンの希釈液を、上記した加工体(2)や綿体に対して噴霧又含浸させることにより得ることができる。
エマルジョンの希釈液を調製する際に用いられる界面活性剤としては、上記したような炭素粉(3)を水中に分散させることができるものであれば、いずれの界面活性剤も使用することができる。例えば、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリカルボン酸塩、脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、アルキルアリル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物等を例示することができる。
【0016】
尚、必須成分である界面活性剤と炭素粉の他、形状安定剤としてヒドロキシエチルセルロース等の水溶性高分子、分散補助剤としてメタリン酸ナトリウム等の他、防腐剤、着色剤等の添加剤を適宜任意に配合することができる。
【0017】
以上説明した各成分からエマルジョンの希釈液を調整するには、各成分の所要量を水に混合することにより調整することができる。尚、この方法では炭素粉の分散性に劣る場合は、予め少量の水に炭素粉と界面活性剤等の全添加剤を混合してペースト状とした後に残量の水で希釈するとよい。
また、界面活性剤の配合量は特に限定されないが、界面活性剤を除く配合成分の総量を100重量部とした場合に、0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部となるように添加するとよい。これは、界面活性剤の配合量が0.01重量部未満の場合、炭素粉を水中に分散させることができず、また5重量部を超えて配合したとしてもそれ以上の効果が望めず、いずれの場合も好ましくないからである。
尚、水と炭素粉の配合量は特に限定されないが、重量比で1:0.1〜10、好ましくは1:0.2〜5、より好ましくは1:0.5〜2となるように調整するとよい。炭素粉の配合量が水の配合量の0.1重量倍未満の場合、および炭素粉の配合量が水の配合量の5重量倍を超える場合のいずれも炭素粉の分散性を改良することができないからである。
【0018】
上記説明したような各組成から調整されたエマルジョンの希釈液を加工体(2)や綿体に対して噴霧した後に、又はエマルジョンの希釈液を加工体(2)や綿体に含浸させた後に、乾燥させることにより本発明に係る炭素粉を含有した加工体(1)及び綿体を得ることができる。
尚、エマルジョンを塗布した後の乾燥は通常の場合、加熱乾燥により行われる。加熱温度は特に限定はされないが、100〜200℃、好ましくは120〜170℃とされる。100℃未満では十分乾燥させることができず、200℃を超える加熱ではそれ以上の効果が得られないからである。
【0019】
次に、本発明に係る炭素粉を含有した加工体及び綿体の具体的な製造方法を、綿体としてポリエステル系繊維からなる綿を使用した場合を例示して説明する。
まず、ポリエステル系繊維を開綿した後に、所要量を計量する。次に、ローディングしてシート状に成形した後に、所要の厚さとなるまで積層してウェブとする。ニードルパンチによりウェブを突き刺し、ウェブ内の繊維を押し込み、絡み合わせて綿を製造する。
次に、この綿に、別途調整したエマルジョンの希釈液をまんべんなく噴射する。また、エマルジョンの希釈液を含浸させてもよい。最後に、約150℃の温度条件下において加熱乾燥することにより本発明に係る炭素粉を含有した綿体を得ることができる。
【0020】
本発明に係る炭素粉を含有した加工体及び綿体は、繊維の表面及び/又は繊維間内部に炭素粉が含有されているものであるから、優れた防臭性や吸湿性を有する。また、炭素粉をエマルジョンの希釈液として加工体及び綿体に塗布するために、噴射時に噴射ノズルが詰まる心配がなく、しかも加工体及び綿体の内部にまで浸透するために、炭素粉を加工体及び綿体の表面付近だけでなく内部にまで分散させて含有させることができる。
【0021】
【実施例】
以下、実施例を示すことにより本発明をより詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例1,2の試料の調製)
まず、再生PET繊維の原料である使用済PETの粉末に粒径0.1〜1.0μmのカーボンブラック粉末と炭素粉を1:2の割合で混ぜた炭素粉を8重量%混合したペレットを作成し、このペレットを加熱することにより溶融した。これを紡糸することにより炭素粉を繊維内部に含有する約15デニールの太さのPET繊維を実施例1の試料とした。
次に、前記製造した実施例1の試料を開綿した後に、シート状に成形して所要の厚さとなるまで積層してウェブとした。最後にニードルパンチによりウェブを突き刺し、ウェブ内の繊維を押し込み、絡み合わせて製造された綿を実施例2の試料とした。
【0022】
(実施例3の試料の調製)
まず、ポリエステルを開綿した後に、シート状に成形して所要の厚さとなるまで積層してウェブとした。次に、ニードルパンチによりウェブを突き刺し、ウェブ内の繊維を押し込み、絡み合わせて綿体を製造した。
次に、前記調製した綿体に、界面活性剤:水:炭素粉=6:5:1の割合となるように別途調製したエマルジョンをまんべんなく噴射した。最後に約150℃の温度条件下において加熱乾燥することにより得られた、炭素粉を含有した綿体を実施例3の試料とした。
【0023】
上記調製した実施例1の試料は繊維内部に炭素粉が含まれていた。さらに、この繊維の強度は、炭素粉を配合していない繊維と比較して遜色ないものであった。また、実施例2及び3の試料は通常の使用状況において炭素粉が脱落することはなかった。
【0024】
(試験例;消臭性試験)
上記調製した実施例3の試料を用いて消臭性試験を行った。試験方法は、アンモニアの濃度が400ppmとなるように調整された5リットルのテドラーバック(容器内ガス量3リットル)に、10×20cmの実施例3の試料を入れて、20℃の温度条件下、所要時間経過後の容器内のアンモニア濃度を北川式検知管を用いて測定した。また、当初濃度を15.0ppmとなるように調整してホルムアルデヒドの場合も同様の方法により測定した。尚、対照例として、実施例の試料を入れなかった場合のアンモニア濃度又はホルムアルデヒド濃度の変化も同様の条件下において測定した。結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
Figure 0004933003
【0026】
表1の結果の通り、本発明に係る炭含有加工体は、アンモニア及びホルムアルデヒド等の有害物質に対する優れた消臭性を有することが分かる。
【0027】
【発明の効果】
以上詳述した如く、本発明に係る炭素粉を繊維内部に含有する単繊維及びこの加工体並びに綿体は、炭素粉が予め繊維内部に含有されているから、優れた消臭性、吸湿性を有するとともに、含有された炭素粉が脱落することなく、また所要の形態に形成することができるから汎用性の高いものである。
また、本発明に係る炭素粉を繊維表面及び/又は繊維間内部に含有する加工体及び綿体は、優れた消臭性、吸湿性を有する。しかもアクリル樹脂等の高分子結合剤を用いることなく炭素粉が含有されているために極めて安全性の高いものである。
【0028】
素粉を繊維表面及び/又は繊維間内部に含有する加工体及び綿体の製造方法は、炭素粉、界面活性剤、水からなるエマルジョンを加工体及び綿体に噴霧又は含浸させた後に、乾燥するものであるから、アクリル樹脂等の高分子結合剤を使用しなくても炭素粉を加工体及び綿体に含有させることができる。このために、製造時に嫌な臭いが発生することがなく、安全に製造することができる。
また、エマルジョンを用いるために、加工体及び綿体の内部にまで炭素粉を含有させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る炭含有加工体の模式断面図である。
【図2】本発明に係る炭含有加工体の模式断面図である。
【符号の説明】
1・・・炭含有加工体
2・・・加工体
3・・・炭素粉

Claims (5)

  1. 顔料として1.0μm以下の炭素粉が6〜15重量%配合された合成樹脂ペレットから溶融、紡糸されてなり、前記合成樹脂ペレットは再生ポリエチレンテレフタレートからなり、前記炭素粉は木炭及び/又は竹炭とカーボンブラックが併用されてなり、前記木炭及び/又は竹炭と前記カーボンブラックの配合比が1:0.5〜4(重量比)であることを特徴とする炭素粉を繊維内部に含有する単繊維。
  2. 請求項1に記載の単繊維を撚糸して編糸又は織糸とした後に、編物又は織物とされてなることを特徴とする加工体
  3. 請求項1に記載の単繊維を開綿してなることを特徴とする綿体
  4. 請求項2に記載の加工体の表面及び/又は繊維間内部に炭素粉が含有されてなることを特徴とする加工体
  5. 請求項に記載の綿体の表面及び/又は繊維間内部に炭素粉が含有されてなることを特徴とする綿体
JP2001233739A 2000-08-01 2001-08-01 炭素粉を繊維内部に含有する単繊維及びこの単繊維からなる加工体並びに綿体及び炭素粉を繊維表面又は繊維間に含有する加工体並びに綿体 Expired - Lifetime JP4933003B2 (ja)

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