JP2005292803A - 自動ピアノ及び鍵を自動的に操作するためのプログラム - Google Patents

自動ピアノ及び鍵を自動的に操作するためのプログラム Download PDF

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Abstract


【課題】自動演奏ピアノにおいて、連打をよりスムーズに行えるようにすると共に、豊かな演奏ニュアンスや音色の再現ができるようにする。
【解決手段】演奏情報に基づき、自動的に操作されるべき特定の鍵の動きを規定するために、該特定の鍵の動きの位置、速度及び加速度成分の時間的変遷を表す1次的軌道データを生成する。この1次的軌道データにおける加速度成分に基づき前記特定の鍵の動きに関する躍動成分を算出し、この躍動成分によって前記1次的軌道データを修正した2次的軌道データを生成する。生成した2次的軌道データに基づき、前記特定の鍵を駆動するための駆動装置をサーボ制御する。
【選択図】図3

Description

この発明は、自動的に鍵盤を駆動して演奏を行う自動ピアノに関し、更には、鍵を自動的に操作するためのプログラムに関し、特に、連打奏法による演奏の再現性の改良に関する。
自動ピアノは、一般に、アコースティックピアノの各鍵に対応して設けられたソレノイドを演奏情報に基づき選択的に励磁することで鍵を駆動して、ハンマによる打弦を自動的に行わせることで、自動演奏を行う。ハンマによる打弦の強弱は、鍵の駆動速度に対応し、鍵の駆動速度はソレノイドに対する供給電流に対応する。こうした自動ピアノにあって、演奏家が鍵操作して行った演奏を再現するには、演奏時の鍵軌道を正確に再生して、楽曲の微妙なニュアンスや楽音の表情を豊かに表現できることが望ましい。この点について、従来から知られる自動ピアノには、再生すべき演奏情報に基づき、鍵軌道上の所定位置(リファレンスポイント)における速度情報(リファレンス速度)を求め、任意の軌道種類(直線、放物線、その他)に応じた鍵の軌道データを生成し、該軌道データに応じてソレノイドを駆動するものがあった(例えば、特許文献1参照)。また、この種の自動ピアノにおいて、鍵をエンド位置に押し切る前に離鍵を開始する、或いは、離鍵途中から次の押鍵動作に入る所謂ハーフストローク演奏を再現するものとして、押鍵時の直線軌道及び離鍵時の直線軌道(等速軌道)に相当する軌道データと共に、鍵の速度変化を表現した2次曲線に相当する短縮軌道を算出し、押鍵から離鍵に移行する際に該短縮軌道に従って鍵を駆動することで、鍵の速度を連続的に変化させるものがあった(例えば、特許文献2参照)。
特開平7−175472号公報 特開平9−81125号公報
ところで、自動ピアノによる演奏再生において、ハーフストロークによる演奏等、鍵の動作速度を急激に変化させる場合、とりわけ、鍵の連打演奏を行わせる場合は、鍵の暴れが発生し易く、例えばハンマの打弦速度が増大してしまうこと等、種々の難点がある。上記特許文献2に記載された構成によれば、ハーフストローク演奏の場合に、鍵のストローク位置が押鍵軌道及び離鍵軌道の交差点に達する前に、前記短縮軌道に沿って鍵が動作するよう制御することで、上記問題を解決しうることが示されている。しかしながら、上記特許文献2に従う短縮軌道で鍵を駆動させると、鍵のストロークの振幅が小さくなってしまうため、打鍵ミスが生じやすくなる恐れがあり、また、連打性能についても不十分であった。
この発明は上述の点に鑑みてなされたもので、連打をよりスムーズに行えるようにすると共に、豊かな演奏ニュアンスや音色の再現を可能にした自動ピアノを提供することを目的とし、更には自動ピアノにおいて、鍵を自動的に操作するためのコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
この発明に係る自動ピアノは、複数の鍵と、前記複数の鍵の各々を個別に駆動するための駆動装置と、演奏情報に基づき、自動的に操作されるべき特定の鍵の動きを規定するために、該特定の鍵の動きの位置、速度及び加速度成分の時間的変遷を表す1次的軌道データを生成する1次的軌道データ生成部と、前記1次的軌道データにおける加速度成分に基づき前記特定の鍵の動きに関する躍動成分を算出し、この躍動成分によって前記1次的軌道データを修正した2次的軌道データを生成する2次的軌道データ生成部と、前記2次的軌道データに基づき、前記特定の鍵を駆動するために前記駆動装置を付勢する制御装置とを備えることを特徴とする。 これによって、前記特定の鍵が前記2次的軌道データに応じた軌道で自動的に操作されることになる。
本発明によれば、従来公知の手法で生成された1次的軌道データをそのまま使用することなく、該1次的軌道データにおける加速度成分に基づき前記特定の鍵の動きに関する躍動成分を算出し、この躍動成分によって前記1次的軌道データを修正した2次的軌道データを生成し、前記特定の鍵を前記2次的軌道データに応じた軌道で自動的に駆動・操作することを特徴とする。例えば、前記1次的軌道データによって表わされる軌道には等加速度期間が含まれ、前記2次的軌道データ生成部は、この等加速度区間の加速度成分に基づき、該区間で加速度を徐々に変化させるように前記躍動成分を算出し、この躍動成分によって前記1次的軌道データにおける前記等加速度区間に対応する期間で加速度が変化するように修正した2次的軌道データを生成する。すなわち、従来の制御の仕方では、等加速度区間であったところを、該区間で加速度を徐々に変化させるように前記躍動成分を算出し、この躍動成分によって前記1次的軌道データにおける前記等加速度区間に対応する期間で加速度が変化するように修正した2次的軌道データを生成することで、鍵の加速度を時間経過に応じて連続に変化させることができる。これにより、鍵の変位、速度及び加速度をより滑らかに変化させることが可能な曲線状の軌道データを得ることができ、より滑らかな鍵の動作を再現できるようになる。よって、演奏の微妙なニュアンスや柔らかな音色などを表現できるようになり、自動ピアノによる演奏表現をより豊かにすることができる。なお、「躍動」とは加速度の単位時間当たりの変位量(時間微分値)を意味する。
一例として、前記1次的軌道データ生成部は、前記特定の鍵を等速で押鍵操作するときの押鍵等速軌道と等速で離鍵操作するときの離鍵等速軌道をそれぞれ算出し、該押鍵等速軌道と離鍵等速軌道の交差点を含む或る区間を等加速度区間に設定して押鍵から離鍵に切り替わる等加速度軌道を算出し、これらの等速軌道と等加速度軌道の組み合わせによって前記1次的軌道データを生成する。そして、前記2次的軌道データ生成部は、前記等加速度区間で或る一定値をとるように前記躍動成分を定め、この躍動成分の一定値に従い加速度が逐次変化するように前記等加速度区間における加速度の軌道を変更し、この加速軌道の変更に伴い前記1次的軌道データを修正した前記2次的軌道データを生成する。これによれば、離鍵から押鍵動作或いは押鍵から離鍵動作に連続して移行する区間つまり加速度制御を行うべき区間で等加速(又は減速)制御することなく、鍵の加速度(又は減速度)を連続に変化させることができ、当該区間での鍵の動作をより滑らかに行えるようになる。このことは、自動ピアノにおける連打打鍵、特に所謂ハーフストローク奏法による連打打鍵の性能の向上という点で、極めて有効である。すなわち、連打を表す軌道の全般にわたって滑らかな力変化を与えることになり、よりスムーズな打鍵が再現できるようになる。よって、連打時の打弦速度の増大や、打弦抜け、或いは連打リズムの乱れ等の問題を解消することが可能である。また、この発明に係る鍵の加速度を連続に変化させる軌道は、上記特許文献2に開示された短縮軌道による連打軌道と比べて、軌道振幅が増大するので、連打時の打鍵ミスを軽減させることができるようになる。
本発明は、装置の発明として構成し、実施することができるのみならず、方法の発明として構成し実施することができる。また、本発明は、コンピュータまたはDSP等のプロセッサのプログラムの形態で実施することができるし、そのようなプログラムを記憶した記録媒体の形態で実施することもできる。また、プロセッサとしては、任意のソフトウェアプログラムを実行するコンピュータのような汎用プロセッサを使用できるのは勿論のこと、専用ロジックをハードウェアで組んだ専用プロセッサを用いてもよい。
以下、添付図面を参照してこの発明の一実施例について説明する。
図1は、この実施例に係る自動ピアノの概要構成図であり、機械的な発音機構の要部と共に、電気的制御系に関る機能ブロックの要部を抽出して示している。図1に示すように、自動ピアノは、機械的な発音機構として、複数(例えば88個)の鍵1と、該鍵1の運動をハンマに伝達するためのアクション機構2と、対応する鍵1の運動に連動して打弦運動するハンマ3と、該ハンマ2によって打撃される弦4と、弦4の振動を止めるためのダンパ5とを含む。鍵1の後端下面側には、当該鍵1を駆動するための鍵駆動装置として、電磁ソレノイド6が具備されている。鍵1は、バランスピンPに貫通された位置を凡その支点として、上下揺動可能に支持されており、非押鍵時(外力を加えない状態)では図1において実線で示すレスト位置にある。ソレノイド6が駆動(励磁)されると、ソレノイド6のプランジャが鍵1の後端を突き上げ、鍵1はバランスピンPを支点に揺動し、鍵1の前端が下がることで、鍵1が押鍵操作される。ソレノイド6の消磁に応じてプランジャが下がれば、鍵1はレスト位置に戻る(離鍵操作)。鍵1は、演奏操作(押鍵及び離鍵)に応じて、基本的にはレスト位置からエンド位置(図において2点鎖線で示す位置)の間で上下にストロークする。このとき、該演奏操作に連動して、アクション機構2が作動して、ダンパ5が弦4から離れ、弦4の振動の抑止が解除されると共に、ハンマ3が回動して弦4を打弦する。
当該自動ピアノの各鍵1の下面側には、鍵1の動きを検出するためのキーセンサ25が配設される。キーセンサ25は、例えば、鍵1の動作ストロークの全工程について連続的な位置情報を出力可能な光学式の位置センサによって構成することができる。キーセンサ25の概略構成例としては、鍵1の下面におけるキーセンサ25の対向位置に該キーセンサ25と協働する被検出部材26を具え、鍵1のストローク変位に応じてキーセンサ25に対する被検出部材26の相対的な位置が変化することで、キーセンサ25に対する該被検出部材26の相対的位置を鍵1のストローク位置として検出し、鍵1の位置情報を表すアナログ信号を出力するよう構成しうる。また、周知の通り、位置情報を適宜微分することで速度情報を算出することができるので、キーセンサ25の出力から鍵1の速度情報を得ることも可能である。キーセンサ25の出力は、後述する記録制御部28並びにサーボコントローラ12の双方に供給され、演奏録音時の演奏情報の生成・記録処理と、演奏情報再生時のサーボ制御とに利用される。なお、キーセンサ25として適用可能な光学式位置センサの具体的な構成例については、従来から知られる適宜のセンサ構成を採用してよく、また、光学式に限らず、その他適宜の位置センサによって構成されても差し支えない。
また、当該自動ピアノにおいては、ハンマ3の動作を検出するためのハンマセンサ27が設けられてよい。該ハンマセンサ27も前記キーセンサ25と概ね同様に構成されてよい。この例では、ハンマセンサ27の出力は、後述する記録制御部28に供給され、演奏録音時の演奏情報の生成処理に際して利用される。
ソレノイド6には、プランジャ6aの動きを検出するためのプランジャセンサ35が具備される。プランジャセンサ35は、この例ではプランジャ6aの動作速度を検出する適宜の速度センサ(例えばムービングマグネット型の速度センサ)によって構成され、ソレノイド6の駆動時のプランジャ6aの移動速度に応じたアナログ信号を出力する。プランジャセンサ35の出力は、後述するサーボコントローラ12に供給され、演奏情報再生時のサーボ制御に利用される。なお、プランジャセンサ35として適用可能なムービングマグネット型の速度センサの構成自体は公知なので、その構成の詳細な説明は省略する。なお、プランジャセンサ35は、ムービングマグネット型に限らず、その他適宜の速度センサによって構成されてもよい。
ここで、図2を参照して、当該自動ピアノの電気的なハードウェア構成について簡単に説明すると、図2に示すように当該自動ピアノは、CPU40、ROM41、RAM42及び記憶装置43を含み、各装置間がデータ及びアドレスバス46を介して接続される。
CPU40は、当該自動ピアノの全体的な動作を制御するとともに、演奏情報の再生処理や、鍵操作に応じた演奏情報の記録(演奏録音)処理等の各種信号処理を実行する。CPU40が実行する各種処理の制御プログラムは、例えばROM41内に記憶されていてよい。該各種処理の実行中に発生した各種データや各種パラメータは、RAM42(あるいはROM41)等の適宜のメモリ内に記憶される。
記憶装置43は、演奏録音処理により生成した演奏情報の書き込みや、演奏情報再生時に使用する演奏情報の記憶等に利用されるものであり、ハードディスク、フレキシブルディスク又はフロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD‐ROM)、光磁気ディスク(MO)、ZIPディスク、DVD(Digital Versatile Disk)、半導体メモリ等、適宜の記憶媒体で構成してよい。
入出力インターフェース(I/O)44はAD変換器を含み、キーセンサ25、ハンマセンサ27及びプランジャセンサ35から出力される検出信号(アナログ信号)は、当該I/O44を介してディジタル信号に変換されてCPU40へ出力される。CPU40では所定のクロックタイミング毎に各センサの出力を取得する処理を行う。
また、後述する演奏情報再生時にCPU40において生成されるソレノイド駆動信号は、PWM発生器45を介してPWM形式の電流信号(以下PWM信号と略称)に変換され、ソレノイド6に出力される。なお、当該自動ピアノには、この他にも操作者(ユーザ)が動作モードの選択等を行うための設定操作子群や、適宜の外部機器に接続する通信インターフェース等が具備されてよい。
当該自動ピアノにおいて実行される演奏録音動作及び演奏情報の再生動作の概略について説明する。図1において、記録制御部28及び記録後処理部29は、演奏録音処理に関るモジュールに相当し、また、再生前処理部10、モーションコントローラ11及びサーボコントローラ12は演奏情報の再生処理に関るモジュールに相当しており、これら各モジュールが担う演算処理等の各種動作は、CPU40が実行するソフトウェアプログラムによって実施される。
記録制御部28では、キーセンサ25やハンマセンサ27の出力を取り込み、キーセンサ25やハンマセンサ27が検出した鍵1やハンマ3の運動に関する物理量から、演奏イベントに関する種々の情報(押鍵速度、離鍵速度や打弦速度、並びに、それらの時刻情報等)を求める。記録後処理部29では、前記記録制御部28で求めた種々の情報に対して正規化処理を施した後、これら演奏イベントに関する種々の情報に基づき、ピアノ演奏の演奏内容を表す演奏情報を生成する。すなわち、演奏イベントに関する種々の情報を演奏情報として記憶装置43(図2参照)に供給する。ここで、演奏情報は、再生すべき演奏イベントと、該演奏イベントを発生すべき時刻のデータとから成るもので、MIDIデータ形式等、適宜のデータフォーマットで作成されてよい。なお、前記正規化処理とは、ピアノの個体差を吸収するための処理である。前記種々の物理情報は、個々のピアノにおけるセンサの配置位置や、構造上の違い、あるいは、機械的誤差等に応じて固有の傾向を持つことから、標準となるピアノを想定し、個々のピアノにおける押鍵時刻・押鍵速度、離鍵時刻・離鍵速度及び打弦時刻・打弦速度等を適切に変換する処理をいう。
再生前処理部10では、記憶装置43(図2参照)や、図示しないリアルタイム通信装置等から供給される演奏情報に基づいて、該演奏情報が表す演奏内容(演奏イベント)を再現するための鍵の軌道データを生成する。この軌道データはモーションコントローラ11に供給される。モーションコントローラ11では、供給された軌道データを用いてソレノイド駆動制御用の制御信号(目標値)を生成し、これをサーボコントローラ12に供給する。サーボコントローラ12では、キーセンサ25とプランジャセンサ35の出力をフィードバック信号として利用して、前記モーションコントローラ11で生成された目標値と該フィードバック信号とに基づくサーボ制御を行うことで、ソレノイド6に対する励磁電流(ソレノイド駆動信号)を制御する。これにより、鍵1は、与えられた軌道データに従って駆動される。
再生前処理部10において実行される軌道データの作成処理の手順について説明する。なお、ここで「軌道」は時間経過に対する鍵の位置変化をいう。
先に引用した特許文献1には、従来から知られる軌道作成の原理の一例が示されている。これは、再生すべき演奏情報に基づき軌道データを生成するための基本的なパラメータとして、鍵軌道上の所定位置(リファレンスポイント)において鍵がとるべき速度の情報(リファレンス速度)、及び、鍵1が該リファレンスポイントを通過すべき時刻(リファレンス時刻)を算出すると共に、該リファレンスポイントを通過する任意の種類の軌道データを生成するものである。ここで、リファレンスポイントは実験等によりあらかじめ設定しうる鍵の所定のストローク位置である。また、リファレンス速度とリファレンス時刻は、再生すべき演奏情報に基づき算出することが可能である。このリファレンス速度とリファレンス時刻を算出するための演算処理の詳細は前記特許文献1に示されており、本実施例においても該特許文献1の記載と同様な処理を採用して差し支えない。
本実施例においては、まず、押鍵イベントに対応する演奏情報(例えば打弦速度と打弦時刻等)に基づき、鍵がレスト位置xR(鍵のストローク量0mmの位置)から一定速度でエンド位置xE(例えばレスト位置xRから10mm押し下げられた位置)に到る押鍵軌道(以下、これを押鍵等速軌道という)を上記の軌道作成の原理に従って生成すると共に、離鍵イベントに対応する演奏情報(例えば離鍵速度と離鍵時刻等)に基づき鍵がエンド位置xEから等速運動してレスト位置xRに到る離鍵軌道(以下、これを離鍵等速軌道という)を、該軌道作成の原理に従って生成するものとする。なお、レスト位置xR(鍵のストローク0mmの位置)及びエンド位置xE(例えばレスト位置xRから10mm押し下げられた位置)は固定値として予め設定される。
押鍵等速軌道において、鍵が等速運動することを想定しているので、押鍵時の鍵の初速度は、前記リファレンス速度と等しいものとなるため、既知の値として定めることができる。押鍵時の初速度(=リファレンス速度)を押鍵リファレンス速度vP(但しvP>0)、鍵の駆動開始時点からの時間をt、当該軌道上の鍵の位置をXとすると押鍵等速軌道は、下記の式(1)によって表すことができる。
X=vP*t+xR・式(1)
なお、本明細書中では、数式中の「*」は乗算を表すものとする。
上記式(1)により、再生すべき演奏情報(押鍵イベント)を直線軌道に従って再現する際の押鍵開始時刻(押鍵レスト出発時刻tPR)と押鍵終了時刻(押鍵エンド到着時刻tPE)を求めることができる。そして、この軌道データに従って、押鍵レスト出発時刻tPRから一定速度vPで鍵を押鍵駆動するように制御することができる。
離鍵時の鍵の軌道についても、所定のリファレンスポイント(例えばダンパ5が弦4に接するときの鍵1の位置)、リファレンス速度(離鍵リファレンス速度vN)及びリファレンス時刻を定義し、演奏情報に基づく直線軌道を設定することで、離鍵等速軌道を求めることができる。離鍵等速軌道では、鍵が等速運動することを想定しているので、離鍵時の鍵の初速度は離鍵リファレンス速度vN(但しvN<0)と等しいものとなる。従って、鍵の駆動開始時点からの時間をtN、離鍵等速軌道上の鍵の位置をXNとすると、離鍵等速軌道は下記式(2)によって表すことができる。
XN=vN*tN+xE・式(2)
上記式(2)により、再生すべき演奏情報(離鍵イベント)を直線軌道に従って再現する際の離鍵開始時刻(離鍵エンド出発時刻tNE)と離鍵終了時刻(離鍵レスト到着時刻tNR)を求めることができる。そして、この軌道データに従って、離鍵エンド出発時刻tNEから一定速度vNで鍵が離鍵されるように制御することができる。
上述した押鍵等速軌道及び離鍵等速軌道によれば、レスト位置からエンド位置まで押し下げられた後に、エンド位置からレスト位置まで戻る鍵の動きを等速運動で再現することができる。しかしながら、実際のピアノ演奏では、このような等速運動による軌道ばかりでなく、鍵の押し下げ途中で速度が変化する演奏操作や、所謂ハーフストロークのように完全にエンド位置まで押しきる(あるいはレスト位置まで戻しきる)前に、離鍵(あるいは次の押鍵)操作が開始される奏法等のように、鍵の動作速度の変化を伴う奏法がある。上記の等速軌道では、そのような速度変化を伴う鍵の軌道を適切に再現することはできない。また、ハーフストロークの連打奏法などにおいては、鍵の暴れが発生し易く、正確な演奏の再現が難しい。この実施例に従う自動ピアノは、軌道作成に際して、前記の点に改良が施されたことに特徴がある。すなわち、必要に応じて、鍵の動作速度並びに加速度を連続的に変化させることが可能な滑らかな曲線軌道を生成して、その軌道に基づき鍵1の駆動が制御されることに特徴がある。
次に、この発明に係る曲線軌道の作成処理について説明する。一例として、エンド位置まで押し切った鍵を、完全にレスト位置に戻しきらずに、再びエンド位置まで押し切るハーフストロークの連打奏法(すなわち、鍵を半ば押し下げた状態で、離鍵操作と押鍵操作を繰り返すハーフストロークの連打)の軌道を作成する場合について説明する。図3(a)はこの実施例に係る連打軌道の一例を示す軌道図である。図3(a)において、実線はこの実施例に係る連打軌道(時間経過に応じた位置成分の変化)を示し、点線は等速運動による軌道(等速軌道)を示している。また、(b)は(a)に示す軌道における速度成分の変化を示し、(c)は(a)に示す軌道における加速度成分の変化を示し、(d)は(a)に示す軌道における躍動成分の変化を示す。なお、ここで「躍動」とは加速度の時間微分を意味する。また、図3(b)、(c)及び(d)において、実線はこの実施例に係る連打軌道における各成分の変化を表し、点線は等速運動における前記各成分の変化を表している。
図3(a)において実線で示すように、離鍵動作と押鍵動作とを表す一連の軌道は、エンド位置xEから所定のストローク位置までの間では、前述したような押鍵等速軌道及び離鍵等速軌道によって表現され、離鍵動作から押鍵動作に移行する区間では3次曲線状の曲線軌道によって表現されている。すなわち、当該連打軌道は等速軌道と曲線軌道の組み合わせによって構成されている。前記所定のストローク位置は、エンド位置xEとレスト位置xRの間において、鍵1に自然な動作を与えうるよう適宜設定してよく、以下、この位置をトランジット位置xTという。等速軌道が短すぎると鍵速度の再現性が不安定になってしまうことから、前記トランジット位置xTは、エンド位置xEとレスト位置xRの中間位置よりもややレスト位置xR寄りに設定するとよい。また、以下の説明において、鍵の軌道がトランジット位置xTを通過する時刻について、離鍵時のものを離鍵トランジット通過時刻tNT、押鍵時のものを押鍵トランジット通過時刻tPTと称する。
図3(a)に示す連打軌道は、具体的には、鍵の離鍵時の軌道については、エンド位置xEからトランジット位置xTの間では離鍵等速軌道によって表現され、該トランジット位置xTから離鍵動作終了時点までの間で、鍵速度が漸減変化する特性を示す曲線軌道(以下、これを離鍵スローダウン軌道と称する)によって表現される。また、押鍵時の軌道については、押鍵動作開始時点からトランジット位置xTまでの間では、鍵速度が漸増変化する特性を示す曲線軌道(以下、これを押鍵スローアップ軌道と称する)によって表現され、トランジット位置xTからエンド位置xEの間では押鍵等速軌道によって表現される。
この実施例に係る連打軌道の作成処理の手順の一例として、先ず、演奏情報に基づき離鍵等速軌道と押鍵等速軌道とを算出してから、該離鍵等速軌道と押鍵等速軌道とが交差するかどうかを判定することで、曲線軌道の作成が必要かどうかを調べる。そして、曲線軌道の作成が必要であった場合に、後述する演算処理によって曲線軌道を作成する。ここで、「離鍵等速軌道と押鍵等速軌道とが交差する」とは、図3(a)の軌道図において点線で示すようにレスト位置xRに達する前に、離鍵等速軌道と押鍵等速軌道とが交差していることを指しており、このような場合、離鍵等速軌道と押鍵等速軌道によって再現される鍵の軌道は、レスト位置に戻りきる前に押鍵が開始されるハーフストロークとなる。離鍵等速軌道と押鍵等速軌道が交差するか否かを判定は、種々の条件乃至方法によって実行可能であり、従来から知られるどのような条件乃至方法を適用してもよい。一例としては、離鍵等速軌道がエンド位置xEに達する時刻(離鍵レスト到着時刻tNR)が押鍵等速軌道の開始時刻(押鍵レスト出発時刻tPR)よりも時間的に遅ければ、2つの等速軌道は交差する、ということが判定できる。なお、離鍵等速軌道と押鍵等速軌道の交差判定のための諸条件の具体的な例については、例えば上記特許文献2に詳細に記載されており、ここではその詳細な説明を省略する。なお、離鍵等速軌道と押鍵等速軌道がレスト位置xRよりも手前(エンド位置よりの位置)では交差しない場合であったとしも、曲線軌道との組み合わせによってハーフストロークの軌道が表現される(レスト位置xRに達する前に交差する軌道となる)ことがあるため、等速軌道が交差しない場合には、更に、離鍵スローダウン軌道と押鍵スローアップ軌道が交差するかどうかを計算によって調べるよう構成してもよい。この場合の判定構成についても、上記特許文献2に詳細に記載されている。
この実施例では、説明の便宜上、離鍵等速軌道と押鍵等速軌道とが交差するかどうかのみによって、曲線軌道(離鍵スローダウン軌道及び押鍵スローアップ軌道)の作成が必要かどうか判定するものとするが、更に、離鍵スローダウン軌道と押鍵スローアップ軌道の交差を判定するよう構成しても差し支えない。また、当該演奏イベントにおいて曲線軌道を作成すべきことを標識するデータを演奏情報に含み、該データによって曲線軌道の作成が必要かどうか判定できるよう構成してもよい。要するに、加速度特性で鍵を駆動する必要のあるときに、曲線軌道(離鍵スローダウン軌道及び押鍵スローアップ軌道)の作成を行うようにすればよい。
さて、離鍵等速軌道と押鍵等速軌道が交差する場合は、曲線軌道(離鍵スローダウン軌道及び押鍵スローアップ軌道)の作成処理を行う。押鍵等速軌道と離鍵等速軌道とが交差する位置を等速時交差位置xcとし、その時刻を等速時交差時刻tcとすると、等速時交差時刻tcは押鍵等速軌道と離鍵等速軌道の軌道データから計算によって求めることができる。すなわち、等速時交差時刻tcは下記式(3)によって算出することができる。
tc=(−vN*tNE+vP*tPE)/(−vN+vP)・式(3)
なお、上記式(3)による等速時交差時刻tcの算出に際して、離鍵リファレンス速度vN(但し<0)、離鍵エンド出発時刻tNE、押鍵リファレンス速度vP(但し>0)及び押鍵エンド到着時刻tPEは、夫々既知値として定まる。
図示の通り、等速時交差時刻tcは離鍵動作から押鍵動作に移行時点であるから、離鍵スローダウン軌道は、離鍵トランジット通過時刻tNTから該交差時刻tcまでの間に鍵の速度がvNから0に漸減変化するよう設定され、また、押鍵スローアップ軌道は該交差時刻tcから押鍵トランジット通過時刻tPTまでの間に鍵の速度が0からvPに漸増変化するよう設定される。また、離鍵トランジット通過時刻tNTから押鍵トランジット通過時刻tPTの間が、この発明に係る曲線軌道(離鍵スローダウン軌道と押鍵スローアップ軌道)を適用する区間となる。
先ず、離鍵スローダウン軌道における離鍵加速度aNを求める。加速度は速度の時間微分であるから下記式(4)によって算出することができる。
aN=(0−vN)/(tc−tNT)・(4)
上記式(4)における離鍵トランジット通過時刻tNTは、下記式(5)によって算出できる。
tNT=tNE+(xT−xE)/vN・(5)
なお、上記式(5)におけるトランジット位置xT及びエンド位置xEは、固定値として予め設定されている。
また、押鍵スローアップ軌道における押鍵加速度aPは、下記式(6)によって算出することができる。
aP=(vP−0)/(tPT−tc)・(6)
また、上記式(6)における押鍵トランジット通過時刻tPTは、下記式(7)によって算出できる。
tPT=tPE−(xE−xT)/vP・(7)
離鍵加速度aNと押鍵加速度aPとを求めることで、図3(a)において一点鎖線で示すような離鍵スローダウン軌道(離鍵用の時変動する速度特性の軌道)及び押鍵スローアップ軌道(押鍵用の時変動する速度特性の軌道)を生成しうる。すなわち、離鍵加速度aN及び押鍵加速度aPに基づき、時間経過に応じて連続に変化する押鍵及び離鍵速度情報を求めると共に、その連続的な速度変化を再現する曲線軌道(一点鎖線で示す離鍵スローダウン軌道及び押鍵スローアップ軌道)の軌道データを算出できる。この軌道は、図3(c)において一点鎖線で示すように加速度成分が或る一定の値(離鍵加速度aN及び押鍵加速度aP)に保たれた等加速度軌道となる。等加速度軌道において連続的に変化する速度成分の様子を図3(b)において一点鎖線で示す。なお、上述のように加速度を一定に保ち鍵の速度を連続的に変化させる軌道の生成については、上記特許文献2においても示されている。
以上の処理によって求めた、鍵の自動操作のための位置、速度、加速度成分からなる軌道データを、1次的軌道データということにする。この1次的軌道データは、従来技術によって求められるもので、加速度特性は等加速度特性である。
次に、この発明にしたがって提案する離鍵スローダウン軌道と押鍵スローアップ軌道を確立するために、更に加速度成分(離鍵加速度及び押鍵加速度)もまた時間経過に応じて連続に変化させるように、1次的軌道データを修正する。そこで、連続に変化するような加速度情報を1次的軌道データから算出すべく、該1次的軌道データの加速度成分(等加速度特性)から、時間的に変化する離鍵加速度並びに押鍵加速度の単位時間当たりの変位量(時間微分値)たる躍動成分を夫々求める。
離鍵スローダウン軌道における離鍵躍動jNは下記式(8)によって算出することができる。
jN=2*aN/(tc−tNT)・(8)
但し、上記式(8)において、aNは前記等加速度軌道における離鍵加速度である。この意味は、時間長「tc−tNT」の間での加速度の変化量をaNの2倍にするような、単位時間当たりの加速度変化値を、躍動成分jNとして算出する、ということである。なお、係数「2」の値は設計上適宜に可変調整してよい。
また、押鍵スローアップ軌道における押鍵躍動jPは下記式(9)によって算出することができる。
jP=2*aP/(tPT−tc)・(9)
但し、上記式(9)において、aPは前記等加速度軌道における押鍵加速度である。この意味も上記と同様である。
上記式(8)及び(9)によって離鍵躍動jNと押鍵躍動jPとを求めることで、図3(a)において実線で示すような離鍵スローダウン軌道及び押鍵スローアップ軌道の軌道データを生成することができる。すなわち、1次的軌道データにおける等加速度区間の軌道(一点鎖線で示す等加速度軌道)が、図3(a)において実線で示すような離鍵スローダウン軌道及び押鍵スローアップ軌道(不等加速度軌道)で置換・修正されたこととなり、このように修正されたものを、2次的軌道データということにする。こうして生成した離鍵スローダウン軌道及び押鍵スローアップ軌道(2次的軌道データ)によれば、離鍵スローダウン軌道及び押鍵スローアップ軌道の交差時刻tcJ(=等速時交差時刻tc)を含む所定区間(離鍵トランジット時刻tNTから押鍵トランジット時刻tPTの間)において、図3(d)において実線で示すように、当該軌道の躍動成分を或る一定の値(離鍵躍動jN及び押鍵躍動jP)に保つことができる(この軌道を等躍動軌道という)。すなわち、上記算出した離鍵躍動jNと押鍵躍動jPに基づき躍動成分を一定値に管理することで、図3(c)に実線で示すよう押鍵加速度及び離鍵加速度を時間経過に応じて連続に変化させることができる。このように等躍動軌道により加速度を連続的に変化させることで、図3(b)に実線で示すように、速度成分を曲線状に変化させることができる。従って、この実施例に係る等躍動による離鍵スローダウン軌道及び押鍵スローアップ軌道によれば、従来の等速度軌道や等加速度軌道と比較して、鍵の変位、速度及び加速度をより滑らかに制御できるようになる。また、等加速度軌道の場合と比べて離鍵スローダウン軌道の開始位置(離鍵側トランジット位置)における加速度の変化を滑らかにすることができるので、離鍵動作時の鍵の暴れを効果的に抑制することができるようになる。
図3(a)において、この実施例に係る等躍動による離鍵スローダウン軌道及び押鍵スローアップ軌道(実線で示す軌道)の交差位置xcJは、一点鎖線で示す等加速度による軌道の交差位置xcAに比較して、よりレスト位置xR側の位置を取る。したがって、この実施例に係る等躍動による離鍵スローダウン軌道及び押鍵スローアップ軌道によれば、等加速度による軌道よりも、鍵の駆動振幅を拡大することができる。具体的には、等加速度時(1次的軌道データ)の交差位置xcAは、トランジット位置xTと等速時交差位置xcの略中間点にあった。これに対して、等躍動時(2次的軌道データ)の交差位置xcJは、等加速度時の交差位置xcAと等速時交差位置xcの略中間点に位置する。従って、等躍動の軌道によると、トランジット位置xTから交差位置までの距離を、等加速度の場合と比べて、略4/3倍にすることができる。このように軌道の振幅を拡大することで、軌道データ再生時の打鍵ミスを減少させることができるようになる。
以上説明した処理に従って、再生前処理部10(図1参照)において軌道データが作成される。この再生前処理部10における上述の1次的軌道データの作成処理及び2次的軌道データの作成処理は、CPU40(図2参照)が上述した各演算及び処理を実行するように組まれたコンピュータプログラムによって実現される。あるいは、それに限らず、専用のハードウェア回路で実現されるようになっていてもよい。勿論、1次的軌道データにおいて曲線軌道(離鍵スローダウン軌道及び押鍵スローアップ軌道)がない場合は、1次的軌道データを修正することなくそのまま出力すればよい。
次に、モーションコントローラ11(図1参照)では、前記作成された軌道データ(2次的軌道データ、又はそれが作成されなかった場合は1次的軌道データ)を用いてソレノイド駆動制御用の制御信号(目標値)を生成し、これをサーボコントローラ12に供給する。そして、サーボコントローラ12は、前記供給された制御信号と、キーセンサ25及びプランジャセンサ35の出力とに基づくサーボ制御を行う。
図4は、当該自動ピアノにおけるサーボ制御のシステム構成の一例を機能的に示すブロック図である。図4において、1点鎖線で囲むフィードバックループにおける各種演算処理は、CPU40(図2参照)が実行するソフトウェアプログラムによって実施される。
目標値生成部50には、当該サーボ制御の目標値(リファランス値)として、再生すべき演奏情報に応じて生成された鍵の軌道データ(軌道リファランス)が供給される。目標値生成部50では、供給された軌道リファランスに従って、或る時刻における目標値として、位置目標値rx、速度目標値rv及び加速度目標値raの夫々の事象について生成する。ここで、位置目標値rx、速度目標値rv及び加速度目標値raは、前記軌道データにおける位置成分、速度成分及び加速度成分である。目標値生成部50で生成された各事象(位置、速度、加速度)についての目標値は、所定のサンプル時間(例えば1ms毎)に従って、並行に送出される。また、図において「ru」は目標値に相当する電気量(電流信号)の直接出力を表す。この電流信号ruの目標値全体に対する使用率は実験により適切に定めるものとする。目標値生成部50で生成された位置目標値rx、速度目標値rv及び加速度目標値raは、前記所定のサンプリング時間に従って、位置比較部51、速度比較部52及び加速度比較部53に夫々入力される。
他方、キーセンサ25及びプランジャセンサ35の出力の取り込みについて説明すると、前述のとおりソレノイド6に対して通電オンがなされると、通電されたソレノイド6に対応して設けられた鍵1が駆動される。速度センサ(プランジャセンサ)35は、ソレノイド6のプランジャ6aの移動速度ymを検出し、該移動速度ymに対応するアナログ検出信号yvmaを出力する。AD変換器(図2のI/O44に相当)44aは、速度センサ(プランジャセンサ)35から出力されるプランジャ速度を表すアナログ検出信号yvmaをディジタル信号(プランジャ速度検出値)yvmdに変換する。
また、位置センサ(キーセンサ)25は、ソレノイド6によって駆動された鍵1のストローク位置ykを検出し、鍵のストローク位置ykに対応するアナログ検出信号yxkaを出力する。AD変換器(図2のI/O44に相当)44bは、位置センサ(キーセンサ)25から出力されるアナログ検出信号yxkaをディジタル信号(鍵位置検出値)yxkdに変換する。
AD変換器44a,44bでディジタル信号に変換されたプランジャ速度検出値yvmd及び鍵位置検出値yxkdは、正規化処理部54a,54bに夫々供給され、該正規化処理部54a,54bにおいてプランジャ速度検出値yvmd及び鍵位置検出値yxkdの各々に対する所定の正規化処理が行われる。図において、正規化処理後のプランジャ速度検出値を「yvm」、正規化処理後の鍵位置検出値を「yxk」で示す。
速度生成部55は、鍵位置検出値yxkに基づき、鍵1の速度情報(鍵速度値yvk)を生成する。すなわち、速度生成部55では、キーセンサ25から出力された鍵1の位置情報を適宜微分演算(例えば多項式適合等)することにより鍵の速度情報を算出する。算出方法の一例として、ある任意のサンプリング時点について前後7点での位置情報(鍵位置検出値)を使用した2次曲線適合によって鍵の速度情報(鍵速度値yvk)を算出することができる。
位置生成部56は、プランジャ速度検出値yvkに基づき、プランジャ6aの位置情報(プランジャ位置値yxm)を生成する。すなわち、位置生成部56では、プランジャセンサ35から出力されたプランジャ6aの速度情報を積分演算することによりプランジャ6aの位置情報(プランジャ位置値yxm)を算出する。
加速度生成部57は、プランジャ速度検出値yvmに基づき、プランジャ6aの加速度情報(プランジャ加速度値yam)を生成する。すなわち、加速度生成部57では、プランジャセンサ35から出力されたプランジャ6aの速度情報を適宜微分演算(例えば多項式適合等)することによりプランジャ6aの加速度情報を算出する。算出方法の一例として、ある任意のサンプリング時点について前後7点での速度情報(プランジャ速度検出値yvm)を使用した2次曲線適合によってプランジャ6aの加速度情報(プランジャ加速度値yam)を算出することができる。
速度調整部58には、プランジャセンサ35から出力されるプランジャ速度検出値yvmと、速度生成部55にて生成された鍵速度値yvkが供給される。速度調整部58ではプランジャ速度検出値yvmと鍵速度値yvkの一本化調整を行うことで、速度フィードバック信号yvを得る。速度フィードバック信号yvは、プランジャセンサ35とキーセンサ25の双方のセンサ出力から得たフィードバック制御用の速度情報であり、これは、前記目標値生成部50で生成された速度目標値rvと比較するために前記速度比較部52へ帰還入力(負帰還)される。
速度調整部58において、具体的には、プランジャ速度検出値yvmに対して所定の係数Kvmによって重み付け(演算要素58a)し、また、鍵速度値yvkに対して所定の係数Kvkによって重み付け(演算要素58b)して、加算要素58cにて両者を加算することで速度フィードバック信号yvを得ている。ここで、両者の重み係数Kvm及びKvkは、「Kvm+Kvk=1」の関係を持たせつつ、プランジャ速度検出値yvmと鍵速度値yvkのいずれに重点を置いた速度フィードバック信号yvを得るのかに応じて設定されるもので、実験の結果を基に適切な値に設定する。実験結果に基づく重み係数の一例として、係数Kvm=0.7、係数Kvk=0.3と設定しうる。
位置調整部59には、キーセンサ25から出力される鍵位置検出値yxkと、位置生成部56にて生成されたプランジャ位置値yxmが供給される。位置調整部59では鍵位置検出値yxkとプランジャ位置値yxmの一本化調整を行うことで、位置フィードバック信号yxを得る。位置フィードバック信号yxは、キーセンサ25とプランジャセンサ35との双方のセンサ出力から得たフィードバック制御用の位置情報であり、これは、前記目標値生成部50で生成された位置目標値rxと比較するために前記位置比較部51へ帰還入力(負帰還)される。
位置調整部59において、具体的には、鍵位置検出値yxkに対して所定の係数Kxkによって重み付け(演算要素59a)し、また、プランジャ位置値yxmに対して所定の係数Kxmによって重み付け(演算要素59b)して、加算要素59cにて両者を加算することで位置フィードバック信号yxを得ている。ここで、両者の重み係数Kxk及びKxmは、「Kxk+Kxm=1」の関係を持たせつつ、鍵位置検出値yxkとプランジャ位置値yxmのいずれに重点を置いた位置フィードバック信号yxを得るのかに応じて設定されるもので、実験の結果を基に適切な値に設定する。実験結果に基づく重み係数の一例として、係数Kxk=0.9、係数Kxm=0.1と設定しうる。
また、加速度生成部57において算出されたプランジャ加速度値yamは、フィードバック制御用の加速度情報として、前記目標値生成部50で生成された加速度目標値raと比較するために前記加速度比較部53へ帰還入力(負帰還)される。なお、前記速度生成部55において算出した鍵速度値yvkを更に微分して鍵加速度情報を求めて、その鍵加速度情報とプランジャ加速度値yamを一本化調整して位置フィードバック信号を求めることも考えられるが、その場合、該鍵加速度情報は鍵位置検出値yxkを2次微分した値であり、信号の品質が劣化するので、この実施例では、これを行わない。
以上のようにして、キーセンサ25及びプランジャセンサ35の出力に基づき、位置、速度及び加速度目標値のそれぞれと同一種類の物理量のフィードバック制御用の物理量情報、つまり位置フィードバック信号yx、速度フィードバック信号yv及びプランジャ加速度値yamが与えられる。
位置比較部51には、前記位置調整部59から出力された位置フィードバック信号yxと、目標値生成部50から出力された位置目標値rxとが供給される。位置比較部51では、位置目標値rxと位置フィードバック信号yxを減算演算することで、rx、yxの差分である位置偏差exを求める。
速度比較部52には、前記速度調整部58から出力された速度フィードバック信号yvと、目標値生成部50から出力された速度目標値rvとが供給される。速度比較部52では、位置目標値rvと位置フィードバック信号yvを減算演算することで、rv、yvの差分である速度偏差evを求める。
加速度比較部53には、前記加速度生成部57から出力されたプランジャ加速度値yamと、目標値生成部50から出力された加速度目標値raとが供給される。加速度比較部53では、加速度目標値raとプランジャ加速度値yamを減算演算することで、ra、yamの差分である加速度偏差eaを求める。ここで、サーボ制御の要素として加速度目標値raが入っていることで、鍵駆動時の躍動成分をより直接に管理することができる。この実施例において、上述したような加速度を連続変化させる等躍動軌道を再生する場合は、躍動成分を或る一定の値に保つよう鍵の駆動が制御されることとなるだろう。
位置偏差exは、増幅部60aを介して位置サーボゲインKxによって増幅されて、位置制御信号uxとして加算部61に供給される。また、速度偏差evは、増幅部60bを介して速度サーボゲインKvによって増幅されて、速度制御信号uvとして加算部61に供給される。また、加速度偏差eaは、増幅部60cを介して加速度サーボゲインKaよって増幅されて、加速度制御信号uaとして加算部61に供給される。前記位置偏差ex、速度偏差ev及び加速度偏差eaの各々に乗算する各ゲインの係数Kx,Kv及びKaは実験によって適切設定されてよく、ゲイン係数の数値例として、位置サーボゲインKx=1.7、速度サーボゲイン=3.5、加速度サーボゲイン=0.5という値に設定しうる。前記ゲイン係数の一例によれば、速度成分にサーボ制御の重点が置かれるようになる。
加算部61において、位置制御信号ux、速度制御信号uv及び加速度制御信号uaを加算することで、これら各事象の制御信号を一本化する。そして、その加算結果に対して更に目標値電流信号ruを加算(加算要素62)することで、ソレノイド駆動信号uが生成される。
ソレノイド駆動信号uは、PWM変換器45を介してPWM形式のソレノイド励磁電流信号uiに変換され、この励磁電流信号uiに基づきソレノイド6が駆動される。
上述したサーボ制御システムによれば、直接のサーボ制御対象となるソレノイド6の動きと該ソレノイド6によって駆動される鍵1の動きとを反映したソレノイド駆動信号uが生成されるので、この駆動信号uに応じた励磁電流信号uiでソレノイド6を駆動することで、鍵1を目標値に対してより正確に動作させることができ、与えられた軌道リファレンスをより精密に再現することができるようなる。また、図4に示すサーボ制御システムによれば、位置センサたるキーセンサ25の出力と速度センサたるプランジャセンサ35の出力から生成した位置、速度及び加速度の各事象についてのフィードバック信号と、位置、速度及び加速度の各事象の目標値とに基づいたハイブリットタイプのサーボ制御を実現することで、より高性能な自動ピアノを実現することができる。ここで、当サーボ制御システムでは、位置センサ(キーセンサ25)の出力を微分して生成した速度情報、速度センサ(プランジャセンサ35)の出力を積分して生成した位置情報、及び、速度センサの出力を微分して生成した加速度情報を利用しており、この点について、当該ハイブリットタイプのサーボ制御を位置制御の立場からみれば、速度サーボ制御が微分補償器としての機能を果たし、また、速度制御の立場からみれば、位置サーボ制御が積分補償器、加速度サーボが微分補償器としての機能を果たす。
図5は、図3(a)を参照して説明した等躍動連打軌道を上記図4に示す構成からなるサーボ制御によって再現した際の制御結果の実測例を示すグラフである。図において、当該連打軌道データの位置成分(位置目標値rx)を破線で示し、連打駆動された鍵1の位置データの実測値yxkを実線で示す。また、該連打軌道データの速度成分(速度目標値rv)を1点鎖線で示し、該連打軌道データの加速度成分(加速度目標値ra)を2点鎖線で示す。また、横軸は時間tを表す。前述の通り、この実施例に係る等躍動による離鍵スローダウン軌道及び押鍵スローアップ軌道によれば、加速度成分(加速度目標値ra)を連続的に変化させることで、連打軌道の全般にわたって滑らかな力変化を鍵に対して与えることができる。このため、図5に示すように、連打軌道の位置目標値rxに対して極めて正確な(近似した)鍵1の位置データの実測値yxkを得ることができるようになる。よって、この実施例に係る等躍動連打軌道によれば、スムーズな打鍵を行わせることが可能となり、連打性能を向上することができる。また、鍵の加速度変化が滑らか(連続的)になることによって、連打時に打弦速度が増大する問題を改善することができる。
なお、上述の実施例では、等躍動による連打軌道の作成について説明したが、この発明に係る等躍動軌道の適用例は、これに限定されず、この発明に係る等躍動軌道をフルストロークでの単打打鍵に適用することも可能である。この発明に係る等躍動軌道を単打打鍵に適用した場合の特徴について、図6(a)〜(c)を参照して説明する。図6(a)〜(c)は鍵最終速度80mm/sにて単打打鍵するための軌道を表す軌道図であって、レスト位置(ストローク0mmの位置)からエンド位置(該レスト位置からストローク量10mmの位置)まで押鍵動作し、該エンド位置にて適宜の時間停止した後に、レスト位置まで戻る(離鍵動作する)軌道を表している。(a)は等躍動による軌道を、また、(b)は等速度による軌道を、また、(c)は等加速度による軌道を、夫々示す。また、図6(a)〜(c)の各図において、当該軌道の位置成分を実線で示し、速度成分を点線で示し、また、加速度成分を一点鎖線で示す。
図6(a)に示すように、等躍動による押鍵スローアップ軌道は、レスト位置x0(ストローク0mm)から、初期速度v0=0mm/s及び初期加速度a0=0mm/s^2(なお、「s^2」は秒sの二乗を表す)で動作開始して、エンド位置x1(ストローク量10mm)において、最終速度v1=80mm/s及び最終加速度a1=約427mm/s^2で停止する軌道となる。この軌道は、躍動j0=約1138mm/s^3(なお、「s^3」は秒sの三乗を表す)にて一定(等躍動)に保たれたスローアップ軌道となる。この軌道に従って鍵がレスト位置x0からエンド位置x1に到達するのにかかる時間は、375msとなる。そして離鍵動作時には、エンド位置x1を初期速度v2=−80mm/s及び初期加速度a2=約427mm/s^2で動作開始して、レスト位置x0において、最終速度v3=0mm/s及び最終加速度a3=0mm/s^2で停止するスローダウン軌道となり、エンド位置x1からレスト位置x0に到達までの所要時間は375msとなる。
これに対して、(b)に示す等速度の場合は、レスト位置x0から、初期速度v0=80mm/sで動作開始して、等速度v0=80mm/sでエンド位置x1まで動作する軌道となるため、この軌道に従って鍵がレスト位置x0からエンド位置x1に到達するのにかかる時間は、125msとなる。離鍵時の等速度軌道は、等速度v2=−80mm/sでエンド位置x1からレスト位置x0まで動作するものであるから、その所要時間は125msとなる。また、(c)に示す等加速の場合は、レスト位置x0から、初期速度v0=0mm/sで動作開始して、等加速度a0=320mm/s^2にてエンド位置x1まで動作し、最終速度v1=80mm/sとなる。この軌道に従って鍵がレスト位置x0からエンド位置x1に到達するのにかかる時間は、250msとなる。この場合の離鍵スローダウン軌道は、初期速度v2=−80mm/sで動作開始して、等加速度a2=320mm/s^2にてスローダウンする軌道であり、レスト位置x0において最終速度v1=80mm/sとなる。この軌道に従って鍵がエンド位置x1からレスト位置x0に到達するのにかかる時間は250msである。
図6(a)〜(c)から明らかなように、等躍動の軌道によれば、等速度、更に等加速度による軌道と比較して、より緩やかな速度でのスローアップ軌道並びにスローダウン軌道を表現できるようになる。従って、等躍動でのスローアップ・スローダウン軌道によれば、単打打鍵において、より滑らかな押鍵動作の再現が可能となり、より丁寧な(ソフトなタッチの)指付け打鍵を表現して、例えばより柔らかい音色での演奏音を発音させること等が可能となる。離鍵の場合も、より遅い、ゆったりした離鍵動作を再現することが可能となり、これにより、例えば止音による音の減衰をより緩やかなものとすることができる。このように、より緩やかな押鍵動作及び離鍵動作の再現が可能となることで、例えば、演奏者が気持ちを込めて行った滑らかな押鍵動作及び離鍵動作を、軌道データによって表現できるようになる。従って、自動ピアノにおいて、演奏者の気持ち等をより繊細、緻密に再現することが可能となる。
なお、上述した図3(a)〜(d)に示す軌道の例では、エンド位置から離鍵を開始し、完全にレスト位置に戻しきらずに、再びエンド位置まで押し切るハーフストロークの連打奏法(すなわち、鍵を半ば押し下げた状態で、離鍵操作と押鍵操作を繰り返すハーフストロークの連打)の軌道の作成について説明したが、この発明を適用可能な連打軌道は、上記に限らず、レスト位置から押鍵開始して、エンド位置まで完全に押しきらずに離鍵を開始して、再びレスト位置まで戻す動作を繰り返すタイプの連打軌道など、どのようなタイプの連打軌道であってもよい。また、上述した実施例に係る連打軌道においては、軌道の一部を等速軌道によって表す例について説明したが、これに限らず押鍵及び離鍵動作の全工程を等躍動軌道によって表現することも可能である。また、この発明によれば、押鍵を押鍵等速軌道に従い、該押鍵に続く離鍵を等躍動による離鍵スローダウン軌道に従う単打打鍵を行うことができ、また、押鍵を等躍動による押鍵スローアップ軌道に従い、該押鍵に続く離鍵を離鍵等速軌道に従う単打打鍵を行うこともできる。更に、離鍵を離鍵等速軌道に従い、該離鍵に続く押鍵を等躍動による押鍵スローアップ軌道に従う単打打鍵を行うことができ、また、離鍵を等躍動による離鍵スローダウン軌道に従い、該離鍵に続く押鍵を押鍵等速軌道に従う単打打鍵を行うこともできる。また、これらの単打打鍵を組み合わせた連打演奏を行うことも可能である。
また、上述の例では、鍵1を駆動するための軌道データの作成について説明したが、これに限らず、例えばペダル等を自動で駆動するための軌道データに、この発明に係る等躍動軌道を適用することも可能である。また、この発明に係る自動ピアノの形態は、グランドピアノ、アップライトピアノいずれであってもよい。
この発明の一実施例に係る自動ピアノの全体構成を示す図。 同実施例に係る自動ピアノにおける電気的ハードウェア構成を示すブロック図。 同実施例に係る鍵の連打軌道の一例を示す軌道図であり、(a)は該連打軌道の位置成分を示し、(b)は該連打軌道の速度成分を示し、(c)は該連打軌道の加速度成分を示し、(b)は該連打軌道の躍動成分を示す。 同実施例に係る自動ピアノのサーボ制御システム構成例を示す機能ブロック図。 同実施例に係る連打軌道の軌道データに従って鍵を駆動制御した際の制御結果を示す実測例を示すグラフ。 上記実施例の変更例であって、(a)は、この発明に係る等躍動軌道を単打打鍵に適用した場合の軌道図であり、(b)は従来から知られる等速度による単打打鍵の軌道を示し、(c)は従来から知られる等加速度による単打打鍵の軌道を示す。
符号の説明
1 鍵、2 アクション機構、3 ハンマ、4 弦、5 ダンパ、6 電磁ソレノイド、6a プランジャ、10 再生前処理部、11 モーションコントローラ、12 サーボコントローラ、25 キーセンサ、27 ハンマセンサ、28 記録制御部、29 記録後処理部、35 プランジャセンサ

Claims (5)

  1. 複数の鍵と、
    前記複数の鍵の各々を個別に駆動するための駆動装置と、
    演奏情報に基づき、自動的に操作されるべき特定の鍵の動きを規定するために、該特定の鍵の動きの位置、速度及び加速度成分の時間的変遷を表す1次的軌道データを生成する1次的軌道データ生成部と、
    前記1次的軌道データにおける加速度成分に基づき前記特定の鍵の動きに関する躍動成分を算出し、この躍動成分によって前記1次的軌道データを修正した2次的軌道データを生成する2次的軌道データ生成部と、
    前記2次的軌道データに基づき、前記特定の鍵を駆動するために前記駆動装置を付勢する制御装置と
    を備えることを特徴とする自動ピアノ。
  2. 前記1次的軌道データによって表わされる軌道には等加速度期間が含まれ、
    前記2次的軌道データ生成部は、この等加速度区間の加速度成分に基づき、該区間で加速度を徐々に変化させるように前記躍動成分を算出し、この躍動成分によって前記1次的軌道データにおける前記等加速度区間に対応する期間で加速度が変化するように修正した2次的軌道データを生成することを特徴とする請求項1に記載の自動ピアノ。
  3. 前記躍動成分は、加速度の単位時間当たりの変化を示す値であり、この値を増減することで加速度が逐次変化するように前記1次的軌道データを修正し、これにより、前記等加速度区間に対応する期間で加速度が変化するように修正された前記2次的軌道データが生成されることを特徴とする請求項2に記載の自動ピアノ。
  4. 前記1次的軌道データ生成部は、前記特定の鍵を等速で押鍵操作するときの押鍵等速軌道と等速で離鍵操作するときの離鍵等速軌道をそれぞれ算出し、該押鍵等速軌道と離鍵等速軌道の交差点を含む或る区間を等加速度区間に設定して押鍵から離鍵に切り替わる等加速度軌道を算出し、これらの等速軌道と等加速度軌道の組み合わせによって前記1次的軌道データを生成し、
    前記2次的軌道データ生成部は、前記等加速度区間で或る一定値をとるように前記躍動成分を定め、この躍動成分の一定値に従い加速度が逐次変化するように前記等加速度区間における加速度の軌道を変更し、この加速軌道の変更に伴い前記1次的軌道データを修正した前記2次的軌道データを生成する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の自動ピアノ。
  5. 複数の鍵と、前記複数の鍵の各々を個別に駆動するための駆動装置とを有する自動ピアノにおいて、演奏情報に基づき鍵を自動的に操作するための処理をコンピュータに実行させるための命令群からなるプログラムであって、該プログラムは、該コンピュータに、
    演奏情報に基づき、自動的に操作されるべき特定の鍵の動きを規定するために、該特定の鍵の位置、速度及び加速度の時間的変遷を表す1次的軌道データを生成する手順と、
    前記1次的軌道データにおける加速度成分に基づき前記特定の鍵の動きに関する躍動成分を算出し、この躍動成分によって前記1次的軌道データを修正した2次的軌道データを生成する手順と
    を実行させることからなり、生成された前記2次的軌道データに基づき前記駆動装置が駆動されて前記特定の鍵が自動的に操作される。
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