JP3541411B2 - 自動ピアノ - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、自動的に鍵盤を駆動して演奏を行う自動ピアノに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動ピアノにおいては、ソレノイドを励磁して鍵を駆動すると、これに応じてハンマが回転して打弦がおこなわれる。そして、ハンマによる打弦の強弱は、鍵の駆動速度に対応し、鍵の駆動速度はソレノイドへの供給電流に対応する。したがって、ソレノイドへの給電量を制御することにより、打弦の強弱、すなわち、発生楽音の大きさを制御することができる。
【0003】
また、自動ピアノにおいては、演奏情報を記録する際に、打弦直前のハンマの速度を検出し、これを打弦強度を示すデータ(以下、打弦強度データという)として記録するとともに、ハンマが打弦位置を通過する時刻を打弦時刻データとして記録する。なお、打弦時刻データは、一般的に一つ前の音との間隔を示す時間データ(相対時間データ)として記録されるが、演奏開始時からの絶対時刻が記録されることもある。
そして、記録した演奏情報を再生する際には、演奏情報中の打弦強度データに応じた電流をソレノイドに供給する。また、ソレノイドへの給電量制御は、一般にはパルス幅変調(PWM)によって行われる。
【0004】
この場合、鍵を駆動し始めてからハンマが実際に打弦するまでの時間差を見込んで、打弦時刻データが示す打弦タイミングより少し前にソレノイドへの給電を行う。また、強音と弱音では、押鍵開始から打弦までの時間が異なるので、打弦強度データに応じて、ソレノイドへの給電タイミングを調整するようにした自動ピアノも開発されている。
また、離鍵の場合は、鍵の離鍵タイミングをフォトセンサによって検出して記録し、再生時には離鍵タイミングに応じた時刻にソレノイドを非励磁にするという制御を行っていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ピアノの演奏においては、いわゆるハーフストロークと言われる奏法がなされることがあり、この場合には、完全に押鍵される(鍵をエンド位置まで押し切る)前に離鍵が開始されたり、あるいは、離鍵の途中から次の押鍵操作に入る。
【0006】
しかしながら、従来の自動ピアノにおいては、押鍵タイミングの少し前にソレノイドを励磁し、離鍵タイミングの少し前にソレノイドを非励磁にするという単純な制御を行っており、押鍵や離鍵が途中までしか行われないハーフストロークの再現については、何等考慮されていなかった。このため、ハーフストロークで演奏される部分については、押鍵や離鍵にタイミングずれが生じ、特に、ハーフストロークの連打においては、再現が不能になるという問題が生じた。
【0007】
また、演奏家による演奏は、単に押鍵開始時の押下力だけをコントロールしているのではなく、楽曲の微妙なニュアンスを表現すべく、押鍵開始から離鍵に至るまで、楽音の表情に応じた操作を行う。したがって、単に、押鍵開始時や離鍵の開始時を制御しただけでは、楽音の表情を正確に再現することはできず、機械的な味気ない演奏となってしまう。
【0008】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、ハーフストロークを正確に再現することができる自動ピアノを提供することを第1の目的としている。
また、この発明の他の目的は、演奏の微妙なニュアンスをも表現することができる自動ピアノを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1に記載の発明においては、記録時の発音時刻を示す発音時刻情報および発音強度を示す発音強度情報に基づいて、押鍵動作におけるレスト位置から鍵の動作が開始される時刻である押鍵開始時刻およびエンド位置に達する時刻である押鍵完了時刻を求めるとともに、記録時の離鍵時刻情報および離鍵速度情報に基づいて離鍵動作におけるエンド位置から鍵の動作が開始される時刻である離鍵開始時刻およびレスト位置に達する時刻である離鍵終了時刻を求める制御手段と、前記押鍵開始時刻と前記押鍵終了時刻との間で押鍵が完了するように鍵を駆動するとともに、前記離鍵開始時刻と前記離鍵終了時刻の間で離鍵が完了するように鍵を駆動する鍵駆動手段と、押鍵完了時刻が次の離鍵の離鍵開始時刻より遅い場合および離鍵終了時刻が次の押鍵の押鍵開始時刻より遅い場合はハーフストロークがなされたと判定するハーフストローク判定手段とを具備し、前記鍵駆動手段は、ハーフストロークと判定されたときは、押鍵完了時刻に達する前から離鍵処理に移行するか、または離鍵終了時刻に達する前から押鍵処理に移行することを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に記載の発明においては、記録時の発音時刻を示す発音時刻情報および発音強度を示す発音強度情報に基づいて鍵の押鍵直線軌道を算出するとともに、記録時の離鍵時刻情報および離鍵速度情報に基づいて鍵の離鍵直線軌道を算出する軌道算出手段と、指令値に応じて鍵をサーボ駆動するサーボ駆動手段と、前記軌道演算手段が算出した押鍵直線軌道および離鍵直線軌道に対応する指令値を前記サーボ駆動手段に供給する指令値出力手段と、前記押鍵直線軌道が次の離鍵の離鍵直線軌道に交差する場合および前記離鍵軌道が次の押鍵の押鍵直線軌道に交差する場合は、ハーフストロークがなされたと判定するハーフストローク判定手段とを具備し、前記指令値出力手段は、ハーフストロークと判定されたときは、軌道の交差点において押鍵直線軌道と離鍵直線軌道とを切り換えることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明においては、記録時の発音時刻を示す発音時刻情報および発音強度を示す発音強度情報に基づいて、押鍵動作におけるレスト位置から鍵の動作が開始される時刻である押鍵開始時刻およびエンド位置に達する時刻である押鍵完了時刻を求めるとともに、記録時の離鍵時刻情報および離鍵速度情報に基づいて離鍵動作におけるエンド位置から鍵の動作が開始される時刻である離鍵開始時刻およびレスト位置に達する時刻である離鍵終了時刻を求める制御手段と、前記発音時刻情報および前記発音強度情報に基づいて鍵の押鍵直線軌道を算出するとともに、記録時の離鍵時刻情報および予め設定した押鍵/離鍵速度比に従って離鍵直線軌道を算出する軌道算出手段と、指令値に応じて鍵をサーボ駆動するサーボ駆動手段と、前記軌道演算手段が算出した押鍵直線軌道および離鍵直線軌道に対応する指令値を前記サーボ駆動手段に供給する指令値出力手段と、押鍵完了時刻が次の離鍵の離鍵開始時刻より遅い場合および離鍵終了時刻が次の押鍵の押鍵開始時刻より遅い場合はハーフストロークがなされたと判定するハーフストローク判定手段とを具備し、前記指令値出力手段は、ハーフストロークと判定されたときは、軌道の交差点において押鍵直線軌道と離鍵直線軌道とを切り換えることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明においては、記録時の打弦時刻情報、打弦強度情報、押鍵時刻情報および押鍵速度情報に基づき鍵の押鍵放物線軌道を算出するとともに、記録時の離鍵時刻情報および離鍵速度情報に基づいて鍵の離鍵直線軌道を算出する軌道算出手段と、指令値に応じて鍵をサーボ駆動するサーボ駆動手段と、前記軌道演算手段が算出した押鍵放物線軌道および離鍵直線軌道に対応する指令値を前記サーボ駆動手段に供給する指令値出力手段と、前記押鍵放物線軌道が次の離鍵の離鍵直線軌道に交差する場合、または前記離鍵軌道が次の押鍵の押鍵放物線軌道に交差する場合はハーフストロークが行われたと判定するハーフストローク判定手段とを具備し、前記指令値出力手段は、ハーフストロークと判定されたときは、軌道の交差点において押鍵放物線軌道と離鍵直線軌道とを切り換えることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明においては、記録時の打弦時刻情報、打弦強度情報、押鍵時刻情報および押鍵速度情報に基づき鍵の押鍵放物線軌道を算出するとともに、記録時の離鍵時刻情報および離鍵速度情報に基づいて鍵の離鍵直線軌道を算出する軌道算出手段と、指令値に応じて鍵をサーボ駆動するサーボ駆動手段と、
前記軌道演算手段が算出した押鍵放物線軌道および離鍵直線軌道に対応する指令値を前記サーボ駆動手段に供給する指令値出力手段と、前記押鍵放物線軌道が次の離鍵の離鍵直線軌道に交差する場合、または前記離鍵軌道が次の押鍵の押鍵放物線軌道に交差する場合はハーフストロークが行われたと判定するハーフストローク判定手段とを具備し、ハーフストロークと判定された場合は、前記軌道算出手段は前記打弦時刻情報および打弦強度情報に基づいて押鍵直線軌道を算出し、前記指令値出力手段は前記押鍵放物線軌道に代えて前記押鍵直線軌道を用いるとともに、軌道の交差点において押鍵直線軌道と離鍵直線軌道とを切り換えることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明においては、記録時の打弦時刻情報、打弦強度情報、押鍵時刻情報および押鍵速度情報に基づき鍵の押鍵放物線軌道を算出するとともに、記録時の離鍵時刻情報および離鍵速度情報に基づいて鍵の離鍵直線軌道を算出する軌道算出手段と、指令値に応じて鍵をサーボ駆動するサーボ駆動手段と、前記軌道演算手段が算出した押鍵放物線軌道および離鍵直線軌道に対応する指令値を前記サーボ駆動手段に供給する指令値出力手段と、前記押鍵放物線軌道が次の離鍵の離鍵直線軌道に交差する場合、または前記離鍵軌道が次の押鍵の押鍵放物線軌道に交差する場合はハーフストロークが行われたと判定するハーフストローク判定手段とを具備し、ハーフストロークと判定され、かつ、押鍵加速度が正の場合は、前記指令値出力手段は軌道の交差点において押鍵放物線軌道と離鍵直線軌道とを切り換え、また、ハーフストロークと判定され、かつ、押鍵加速度が負の場合は、前記軌道算出手段は前記打弦時刻情報および打弦強度情報に基づいて押鍵直線軌道を算出し、前記指令値出力手段は、前記押鍵放物線軌道に代えて前記押鍵直線軌道を用いるとともに、軌道の交差点において押鍵直線軌道と離鍵直線軌道とを切り換えることを特徴とする。
【0015】
【作用】
まず、押離鍵の開始時刻、完了時刻あるいは押離鍵の軌道の交差からハーフストロークか否かが判定される。そして、ハーフストロークと判定された場合は、押鍵の途中から離鍵処理へ移行するか、あるいは離鍵の途中から押鍵処理に移行する。これにより、ハーフストロークが忠実に再現される。
また、押鍵に際して放物線軌道を採用した場合は、人間の鍵操作軌道に近いため、演奏のニュアンスをも再現することができる。
【0016】
【実施例】
A:第1実施例
(イ)構成
図1は、この発明の第1実施例の構成を示すブロック図である。図において1は鍵であり、3は鍵1の運動をハンマ2に伝達するアクションである。4は、ハンマ2によって打弦される弦であり、5は鍵1を駆動するソレノイドである。この場合、ソレノイド5のプランジャが突出すると、鍵1がバランスピンPを中心に回動し、その演奏者側が下がり(以下、この状態を押鍵状態という)、また、これに連動してアクション3が作動し、ダンパー6が弦4から離れるとともに、ハンマ2が回動して打弦する。一方、演奏者が弾く場合は、指で鍵1を押下することにより、上述と同様の作用が生じて打弦が行われる。
【0017】
また、図において、SE1,SE2は、打弦速度を計測するためのセンサであり、演奏記録部30は、ハンマ2がこれらのセンサSE1,SE2の間を通過する時間を計測することにより、ハンマ2の速度、すなわち、打弦速度を計測し、また、ハンマ2がセンサSE1を通過する時刻を打弦時刻として検出する。なお、ハンマ2が実際に打弦する時刻にセンサSE1で検出される打弦時刻をより近づけるために、センサSE1はハンマ2の打弦位置に近接した位置に設けられている。
次に、図に示す26は、鍵1の下面に取り付けられた板状のシャッタである。25は、上下方向に所定距離隔て設けられる2組のフォトセンサによって構成されているキーセンサであり、鍵1が押下され始めると、まず上方のフォトセンサが遮光され、次いで、下方のフォトセンサが遮光される。離鍵の際には、下方のフォトセンサが受光状態になり、ついで、上方のセンサが受光状態になる。
【0018】
キーセンサ25の出力信号は、演奏記録部30に供給され、演奏記録部30は、キーセンサ25内の下方のフォトセンサが受光状態になってから上方のフォトセンサが受光状態になるまでの時間を測定し、ここから、離鍵速度を検出する。また、演奏記録部30は上方のフォトセンサが受光状態になった時刻を離鍵時刻として検出する。
【0019】
すなわち、演奏記録部30は、演奏が開始されると、センサSE1,SE2の出力信号に基づいて、打弦時刻および打弦速度を検出し、かつ、キーセンサ25の出力信号に基づいて離鍵時刻および離鍵速度を検出する。以上のようにして検出された各情報は、記録後処理部31に供給される。
【0020】
記録後処理部31においては、演奏記録部30から供給される各種情報に対し、
正規化処理を施した後に、外部の記録媒体に演奏情報として供給する。ここで、正規化処理とは、ピアノの個体差を吸収するための処理である。すなわち、打弦速度、打弦時刻、離鍵速度、離鍵時刻等は、各ピアノにおけるセンサの位置や、構造上の違い、あるいは機械的誤差によって固有の傾向を持つため、標準となるピアノを想定し、そのピアノにおける打弦速度、打弦時刻等に変換するための処理である。
【0021】
10は再生前処理部であり、記録メディアあるいはリアルタイム通信装置から供給される演奏データに基づいて、鍵の軌道データを作成する回路であり、後述する制御原理に基づいて動作する。
再生前処理部10で作成された軌道データは、モーションコントローラ11に供給される。モーションコントローラ11においては、作成された軌道データに基づいて、各時刻における鍵1の位置に対応した位置制御データ(X)を作成し、サーボコントローラ12に供給する。
サーボコントローラ12は、位置制御データ(X)に応じた励磁電流をソレノイド5に供給するとともに、ソレノイド5から供給されるフィードバック信号と制御データ(X)を比較し、両者が一致するようにサーボ制御を行う。
【0022】
(ロ)軌道作成の原理
次に、本実施例における再生前処理部10における軌道作成の原理について説明する。
▲1▼リファレンスポイント
鍵1を押し下げる速度に応じてハンマ2の打弦速度が決まるが、鍵1の速度は初め遅くて次第に早くなる場合や、その逆の場合もあり、さらには、ほとんど一定の速さで押される場合もある。この場合、鍵1のレスト位置(鍵1を押してない場合の初期位置)からエンド位置(鍵を押し切った位置)に至るまでの速度と、ハンマ2の打弦速度とがどのような関係になっているのかが重要である。なぜならば、その関係を考察せず、打弦強度データに応じて鍵速度(初期速度など)を制御しても、記録時の打弦速度を再生することはできないからである。
【0023】
実験によれば、鍵1のある位置における速度とハンマ2の打弦速度とが極めて良い対応を示すことが判った。この位置は、ピアノの個体差にもよるが、概ねレスト位置から9.0mm〜9.5mm程度押し下げた位置であった。したがって、鍵1がこの位置に達するときの速度を、打弦強度データに応じて制御すれば、記録時の打弦速度を忠実に再現することができる。なお、以下においては、上述の所定位置をリファレンスポイントXrという。
【0024】
▲2▼リファレンス速度
次に、上述のようにして求めたリファレンスポイントXrにおいて、どのような鍵速度にすれば、打弦速度を忠実に再現することができるかを設定する必要がある。なお、以下においては、リファレンスポイントXrにおける鍵速度をリファレンス速度Vrという。
【0025】
ここで、図2はリファレンスポイントXrを9.5mmに設定したときの鍵速度と打弦速度の関係を示す図である。図中、白点は鍵をエンド位置まで押し切る単打奏法を行った場合の結果を示し、黒点は鍵をエンド位置まで押し切らずに連打する連打奏法を行った場合の結果を示している。また、C1は1次最小自乗法近似による直線、C2は6次最小自乗法による曲線を示している。
【0026】
図2から明らかなように、リファレンス速度Vrは、直線C1あるいは曲線C2のいずれによっても近似できる。したがって、近似性のよい関数を適宜選択すれば、この関数を用いて任意の打弦強度データ(記録時の打弦速度情報)からリファレンス速度Vrを決定することができる。
この実施例においては、計算が簡単で誤差の少ない1次関数近似を採用している。したがって、リファレンス速度vrは、次式によって求められる。
【0027】
【数1】
Vr=α・VH+β
数1において、VHは打弦速度(打弦強度データ)であり、αおよびβは定数である。定数αおよびβは、ピアノの機種等に応じ実験等によって決定する。なお、αおよびβは、同一ピアノであっても、リファレンスポイントXrをどこにするかによって変動する。
【0028】
▲3▼リファレンス時間差
さて、演奏情報に含まれる打弦時刻データは、前述したように、相対時刻あるいは絶対時刻で記録されているが、いずれにしても再生側自動ピアノにおいて打弦時刻データを読みとって処理することにより、再生時の各音の打弦絶対時刻が求められる。そこで、このようにして求めた打弦絶対時刻において正確に打弦を行わせるには、鍵が何時リファレンスポイントXrを通過すればよいかを求める必要がある。
【0029】
ここで、鍵1がリファレンスポイントXrを通過する時刻(以下、リファレンス時刻trという)と打弦時刻(正確には、ハンマが打弦位置直前にあるセンサSE1を通過した時刻)との時間差をリファレンス時間差Trと定義し、これと打弦速度との関係を実験により求めたものが図3である。図3において、白点は単打奏法による結果、黒点は連打奏法による結果を示している。そして、図3を縮尺2倍にしたものが図4であり、縮尺4倍にしたものが図5である。これらの図から判るように、リファレンス時間差Trと打弦速度との関係は、双曲線により極めて良好に近似される。すなわち、このリファレンス時間差Trは、打弦速度VHを分母にする1変数式で近似することができ、次式によって算出される。
【0030】
【数2】
Tr=−(γ/VH)+δ
なお、数2における定数γおよびδは、ピアノの機種等に応じ実験等によって決定する。また、γおよびδは、同一ピアノであっても、リファレンスポイントXrをどこにするかによって変動する。これは、数1におけるα、βの場合と同様である。
【0031】
さて、数2によって、リファレンス時間差Trが求まれば、再生側の打弦絶対時刻からリファレンス時間差Trを減算することによって、リファレンス時刻trが求められ、結局、上述した▲1▼、▲2▼、▲3▼の処理により、リファレンスポイントXr、リファレンス速度Vr、およびリファレンス時刻trが求められる。したがって、リファレンス時刻trにリファレンスポイントXrに達し、かつ、その時の速度がリファレンス速度Vrとなるように鍵1を駆動すれば、記録時の打弦状態を忠実に再現することができる。
なお、鍵1がリファレンスポイントXrに達したときに打弦が行われるのであれば、リファレンス時間差Trを求める処理は不要になる。
【0032】
▲4▼押鍵時の軌道データ作成
図6は、鍵の押鍵軌道(直線軌道)を示す図であり、レスト位置X0から等速運動をしてエンド位置Xeに至っている。ここで、鍵の初速度をV0、鍵の位置をX、鍵の駆動開始時点からの時刻をtとすれば、鍵の軌道は、
【0033】
【数3】
X=V0・t+X0
と表される。
また、鍵がリファレンスポイントXrに達する時刻をtr’とすると、
【0034】
【数4】
Xr=V0・tr’+X0
なる式が成り立つから、この数4から時刻tr’を求めることができる。したがって、押鍵を開始する絶対時刻(以下、押鍵開始時刻という)t0は、次式によって求めることができる。
【0035】
【数5】
0=tr−tr' =tr−(Xr−X0)/V0 なお、リファレンス時刻trは、前述のように、打弦時刻からリファレンス時間差Trを減算することによって求める。上記数5によって押鍵開始時刻t0を求め、この時刻から、数3で示される軌道に従って鍵1を駆動すれば、鍵1は、リファレンス時刻trにおいて正確にリファレンスポイントXrに達し、しかも、その時の速度は、打弦強度データに対応したファレンス速度Vrとなる。
【0036】
なお、鍵の挙動については、直線軌道(等速運動)を想定しているから、リファレンス速度Vrと初速度V0は等しい。そして、リファレンス速度Vrは、前述の数1によって求められるから、結局、数5で求めた押鍵開始時刻t0から一定速度vrで鍵を駆動するように制御(速度制御)することができる。
【0037】
▲5▼離鍵時の軌道データ作成
次に、離鍵時の軌道データ作成について説明する。
まず、鍵の位置をXN、離鍵初速度をV0N(<0)、離鍵開始時点からの時刻をtN、エンド位置をXeとすれば、離鍵時の鍵軌道は、次式で表される。
【0038】
【数6】
XN=V0N・tN+Xe
ここで、図7は数6で示される軌道を示す図である。
さて、前述のように、演奏記録部30(図1参照)は、キーセンサ25内の下方のフォトセンサが受光状態になってから上方のフォトセンサが受光状態になるまでの時間を測定して離鍵速度vkNを検出し、また、上方のフォトセンサが受光状態になった時刻を離鍵時刻tkNとして検出する。この場合、離鍵時刻tkNにおけるダンパ6は、弦4に接して音の減衰を開始する状態なっている(そのような状態になるようフォトセンサの位置が調整されている)。そして、このようにして検出された離鍵速度VkNおよび離鍵時刻tkNは、それぞれ演奏情報を構成するデータとして記録され、再生時に読み出される。
【0039】
ここで、ダンパ6が弦4に接するときの鍵の位置を離鍵リファレンスポイントXrNと定義すれば、鍵1が離鍵リファレンスポイントXrNに達したときに、離鍵状態になったということができる。したがって、鍵1が離鍵リファレンスポイントXrNに達する時刻(以下、離鍵リファレンス時刻trNという)と、演奏情報中の離鍵時刻tkNとが一致するように鍵位置を制御すれば、正確な離鍵タイミング制御を行うことができる。
【0040】
また、ダンパ6が弦4に接する速さは、音の減衰状態に影響を与えるから、これを忠実に再現することが望ましい。この速さは、離鍵速度VkNに対応するから、結局、離鍵リファレンスポイントXrNにおける鍵速度(以下、離鍵リファレンス速度VrNという)を正確に離鍵速度VkNに一致させれば、音の減衰状態が正確に再現される。
ここで、鍵の駆動が開始される時刻を基準(=0)にして、鍵がリファレンスポイントXrNに達する時刻をtrN’とすると、
【0041】
【数7】
XrN=V0N・trN’+XeN
(ただし、直線軌道だからV0N=VrN=VkN)
なる関係が成り立ち、この数7より時刻trN’を求めることができる。したがって、次式によって離鍵開始時刻t0Nを求めることができる。
【0042】
【数8】
Figure 0003541411
この数8によって離鍵開始時刻t0Nを求め、この時刻から、数6で示される軌道に従って鍵を駆動すれば、鍵は離鍵時刻tkNにおいて離鍵リファレンスポイントXrNに達し、記録時の離鍵状態を忠実に再現することができる。
なお、時刻t0から速度V0N(=vkN:離鍵速度)で鍵駆動するように制御(速度制御)しても上記と同様の結果を得ることができる。
【0043】
▲6▼交差時の軌道データ作成
押鍵軌道および離鍵軌道は上述のようにして作成されるが、ハーフストロークで演奏された場合には、離鍵の途中から次の押鍵に移ったり、あるいは、押鍵の途中から離鍵される。このような場合においては、作成した押鍵軌道と離鍵軌道とが交差する。
例えば、図8は、このような軌道の交差状態を示しており、図示の状態では、時刻t0から時刻tcまで押鍵が行われ、時刻tcから時刻t4まで離鍵が行われている。このとき、上述の方法によって生成される押鍵軌道は、時刻t0にレスト位置X0を離れ、時刻t3においてエンド位置Xeに達する軌道であり、また、離鍵軌道は時刻t0Nにエンド位置Xeを離れ、時刻t4においてレスト位置X0に達する軌道である。
【0044】
ここで、交差する時刻tcを求めることができれば、t0〜tcまでは押鍵軌道に基づいて鍵1を制御し、tc〜t4までは離鍵軌道に基づいて鍵を制御すればよい。さて、図8に示すように押鍵の後に発生した離鍵の軌道が交差する場合は、交差時刻tcは次のようにして求めることができる。
【0045】
【数9】
Figure 0003541411
なお、数9におけるt3は、次式により算出される。
【0046】
【数10】
3=t0+(Xe−X0)/V0
また、離鍵の後に発生した押鍵の軌道が交差する場合も、2つの直線軌道の交点を求めればよいので、上記と同様の考え方により交差時刻を求めることができる。
このようにして、交差時刻を求め、押鍵軌道と離鍵軌道を組み合わせることにより、交差時の軌道データを作成する。
以上が、再生前処理部10における軌道データの作成原理である。
【0047】
(ハ)第1実施例の動作
始めに、記録動作について説明する。まず、演奏者によって演奏が行われると、
演奏記録部30がセンサSE1,SE2の出力信号に基づいて打弦速度および打弦時刻を検出するとともに、センサ25の出力信号に基づいて離鍵時刻および離鍵速度を検出する。これらの情報は、記録後処理部31において正規化処理された後に、演奏情報としてフロッピーディスク等の記録媒体に記録される。
【0048】
次に、再生動作について説明すると、まず、再生前処理部10は、記録媒体から演奏情報を読み出すか、あるいは、外部から供給されるリアルタイム演奏情報を受信し、その中の打弦時刻データおよび打弦速度データに基づいて、押鍵軌道を作成する。作成された押鍵軌道データは、モーションコントローラ11に供給され、ここで、位置制御データ(X)に変換される。すなわち、押鍵開始時刻t0になると、数3に示される軌道データがモーションコントローラ11に供給され、モーションコントローラ11は、数3のXを時間経過とともに順次演算し、位置制御データ(X)を作成する。この位置制御データ(X)は、サーボコントローラ12に供給され、これにより、数3のXに対応した励磁電流がソレノイド5に供給される。この場合、サーボコントローラ12は、ソレノイド5のフィードバック信号と位置制御データ(X)とを比較し、両者が一致するように励磁電流を制御するから、ソレノイド5のプランジャの突出量は、数3のXに対応したものとなる。したがって、鍵1は数3で示される直線軌道に従って押下されていき、ファレンスポイントXrにおいてファレンス速度Vrを有する運動を行う。これにより、記録時の打弦強度を忠実に再現する打弦が行われる。
【0049】
次に、再生前処理部10は、演奏情報の中の離鍵時刻データ、離鍵速度データに応じて、離鍵軌道を作成し、モーションコントローラ11に供給する。モーションコントローラ11は、上述の場合と同様にして、数6のXNを時間の経過に応じて順次演算し、位置制御データ(X)を作成し、サーボコントローラ12に供給する。この結果、サーボコントローラ12は数6に対応した励磁電流制御を行い、鍵1は数6で示される直線軌道に従ってレスト位置X0に戻っていく。これにより、鍵1の運動は、離鍵リファレンスポイントXrNにおいて離鍵リファレンス速度VrNを有するものとなり、記録時の離鍵状態が忠実に再現される。一方、ハーフストロークによる演奏が行われ、押鍵軌道と離鍵軌道が交差するときは、再生前処理部10が数10によって交差時刻tcを演算し、この時刻を境に、押鍵軌道と離鍵軌道を切り換えてモーションコントローラ11に供給する。これにより、鍵1は押鍵軌道の途中から離鍵軌道に、あるいは離鍵軌道の途中から押鍵軌道に切り換えられ、ハーフストロークの奏法に忠実に再現する。
【0050】
(ニ)第1実施例の変形
上述した実施例においては、ハーフストロークにより軌道が交差する場合は、押鍵と離鍵の双方の軌道を求め、さらに、これらの交点を求める演算を行ったが、これを簡略化して演算速度を上げるようにしてもよい。
すなわち、まず、数9に代えて次式によってt0を求める。
【0051】
【数11】
Figure 0003541411
この数10におけるmおよびnは、予め設定した固定値であり、図9に示すように、離鍵開始時刻t0Nと交差時刻tcとの時間間隔に対する交差時刻tcと押鍵完了時刻t3との時間間隔の比である。この固定値m、nは、例えば、実験により統計的に求める。これは、ハーフストロークによって押離鍵軌道が交差する場合は、押鍵速度と離鍵速度の比がほぼ一定になる場合が多く、この速度比に基づいて、tON−tc間とtc−t3間の比を固定しても、ほぼ良好な再現性が保てるという実験結果に基づくものである。したがって、この場合には、押鍵の初速度V0が検出されれば、これに所定比を乗じて離鍵速度V0Nが求められる。このため、演奏記録部30においては、離鍵速度VkNの測定が不要になる。
【0052】
すなわち、数11に示す演算を行う場合には、まず、押鍵開始時刻t0と押鍵速度V0から押鍵完了時刻t3を求め、また、推定した離鍵速度V0Nを数8に代入して離鍵開始時刻t0Nを求める。ここで、時刻t3とt0Nとの関係からハーフストロークであるか否かを判定し、ハーフストロークであれば、数11によって交差時刻tcを求める。そして、交差時刻tcまでは押鍵直線軌道、それ以後は離鍵直線軌道にしたがって鍵1を駆動する。
なお、離鍵とその後の押鍵の軌道が交差する場合も上述と同様の処理によって交差時刻を求めることができる。
【0053】
ここで、実験結果を図10に示す。この図の(イ)は、実際の演奏による鍵軌道を測定したもので、符号Hがハーフストロークの部分である。また、同図(ハ)は数11による演算で求めた再生軌道を示しており、同図(ロ)は実際の演奏の軌道と再生軌道とを重ねたものである。そして、同図(ロ)から明らかなように、比m,nを固定しても、比較的良好な再現性が得られる。また、図11は、図10の一部を拡大した図である。
この変形例の場合は、離鍵速度の算出が不要であるから、センサの省略、および計算の省略ができ、装置構成を簡略化できるとともに、処理速度の高速化を図ることができる。
【0054】
B:第2実施例
(イ)第2実施例の構成
次に、この発明の第2実施例について説明する。この実施例が前述した第1実施例と異なる点は、演奏記録部30において、打弦速度とともにキーオン速度も検出する点と、再生前処理部10において放物線の軌道データを作成する点である。そこで、説明の簡略化のため、第2実施例の構成については、第1実施例の構成を示す図1を兼用して説明する。
【0055】
この実施例における演奏記録部30は、キーセンサ25内の上方のフォトセンサが遮光されてから下方のフォトセンサが遮光されまでの時間を計測し、ここからキーオン速度Vkを検出する。また、下方のフォトセンサが遮光された時刻をキーオン時刻tk2として検出する。これらのデータは、打弦速度等のデータと共に、記録後処理部31を介して記録媒体に書き込まれる。
また、この実施例における再生前処理部10は、押鍵時の鍵軌道として放物線、離鍵の鍵軌道として直線を想定するので、次のような手法で軌道データの作成を行う。
【0056】
▲1▼押鍵時の軌道データ作成
押鍵軌道を次のように規定する。
【0057】
【数12】
X=a/2・t2+b・t+c
ここで、aは加速度であり、次式によって求める。
【0058】
【数13】
a=(Vr−Vk)/(tr−(tk1+tk2)/2)
数13におけるリファレンス速度Vrは、前述の実施例と同様に、数1を用いて打弦速度から求める。また、tk1は、次式によって求めることができる。
【0059】
【数14】
tk1=tk2−Xd/Vk
ここで、Xdは、キーセンサ25内の2つのセンサの取り付け間隔である。また、図12は、この実施例における押鍵軌道(放物線軌道)を示す図であり、図において、Xk2、Xk1はキーセンサ25内の2つのセンサの取り付け位置である。この図からも判るように、キーオン速度Vkは、シャッタ26がXk1とXk2の間を通過する間の平均速度であり、放物線軌道においては、中間時刻である時刻(tk1+tk2)/2における速度である。
前述した数13は、リファレンス速度Vrとキーオン速度Vkの速度差を、リファレンス時刻trと中間時刻(tk1+tk2)/2の時間差で除したもので、言い替えれば、リファレンスポイントXrとセンサ中間点との間の速度変化から加速度を算出するものである。なお、加速度一定という推定のもとでは、任意の2点間の速度変化を基にして加速度を検出することができる。
【0060】
以上のことから判るように、演奏データ中の打弦時刻と打弦速度から、リファレンス時刻trとリファレンス速度Vrが求められ、さらに、キーオン速度Vkとキーオン時刻tk2を参照して加速度aが求められる。
したがって、あとは押鍵開始時刻と初速度が求められれば、図12に示す放物線軌道に沿ってキーを駆動できることになる。次に、これらの求め方について説明する。
まず、図13に示すように、押鍵開始時刻をt0、初速度をV0とすれば、数12における係数bは、
【0061】
【数15】
b=V0−a・t0
と表され、また、数12における定数cは、
【0062】
【数16】
c=X0−(a/2)・t0 2+b・t0
と表される(ただし、数16におけるX0は前述のようにレスト位置)。
ここで、押鍵開始時刻を基準(=0)にした場合のリファレンス時刻をtr’とし、さらに、数15、数16を用いて、数12をリファレンスポイントXrにおける式に書き直すと次式になる。
【0063】
【数17】
Xr=(a/2)・tr’2+V0・tr’+X0
ここで、リファレンス速度Vrは、
【0064】
【数18】
Vr=a・tr’+V0
と表すことができるから、この関係を数17に代入して整理すると、
【0065】
【数19】
0=(a/2)・tr2−Vr・tr’−(X0−Xr)
となり、ここから、tr’を求めると、
【0066】
【数20】
tr’=(Vr−(Vr2+2a(X0−Xr))1/2)/a
となる。したがって、加速度a、リファレンス速度Vr、リファレンスポイントXr、およびレスト位置X0が既知であれば、鍵が押鍵開始時からリファレンスポイントXrに至るまでの時刻tr’が求められる。また、リファレンス時刻trと押鍵開始時刻t0の関係は、
【0067】
【数21】
tr’=tr−t0
であるから、数21を用いて、押鍵開始時刻t0が求められる。
また、数17に数18を代入して初速度V0について整理して解けば、
【0068】
【数22】
0=(Vr2+2a(X0−Xr))1/2
となり、これにより初速度V0を求めることができる。
したがって、以上のようにして求めた初速度V0、加速度aを、数12に代入して軌道を求め、押鍵開始時刻t0からその軌道に従って鍵を駆動することにより、打弦時刻と打弦速度とを正確に再現することができる。しかも、人間の鍵操作に近い放物線軌道なので、演奏者の微妙なニュアンスまで表現することが可能になる。
なお、時刻t0から初速度V0で鍵を駆動し、後は、加速度aに対応した速度変化分を用いて速度制御を行っても、上記と同様の効果が奏することができる。
【0069】
▲2▼離鍵時の軌道データ作成
離鍵については、直線軌道を想定するので、前述した第1実施例と同様の離鍵軌道データ作成を行う。
【0070】
▲3▼交差時の軌道データ作成
この実施例における押鍵軌道と離鍵軌道の交差は、放物線軌道と直線軌道との交差であるので、交差時刻tcは、次のようにして求めることができる。
【0071】
【数23】
tc=(−Δb+(Δb2−2・Δa・Δc)1/2)/Δa
ただし、数23におけるΔaは、
【0072】
【数24】
Δa=a−aN
であり、aNは、離鍵時の加速度である。この実施例の場合は、離鍵時の加速度は0であるので、Δa=a(押鍵時の加速度)となる。
また、数23におけるΔbは、
【0073】
【数25】
Figure 0003541411
であり、Δcは、
【0074】
【数26】
Figure 0003541411
である。
このようにして、交差時刻tcを求め、押鍵軌道と離鍵軌道を組み合わせることにより、交差時の軌道データを作成する。
【0075】
以上が、第2実施例における再生前処理部10の軌道データ作成処理である。このようにして作成された軌道データは、図1に示すモーションコントローラ11に供給され、モーションコントローラ11においては、作成された軌道データに基づいて、各時刻における鍵1の位置に対応した位置制御データ(X)を作成し、サーボコントローラ12に供給する。このモーションコントローラ11とサーボコントローラ12の構成は、第1実施例と同様になっている。
【0076】
(ロ)第2実施例の動作
次に、第2実施例の動作について説明するが、概ね、第1実施例の動作と同じであるため、異なる点だけを説明する。
まず、記録動作は、演奏記録部30がセンサ25の出力信号に基づいてキーオン時刻およびキーオン速度をも検出し、記録後処理部31において正規化処理された後に、演奏情報の一つとしてフロッピーディスク等の記録媒体に記録される。
【0077】
次に、再生動作について説明すると、まず、再生前処理部10は、記録媒体から演奏情報を読み出し、その中の打弦時刻データ、打弦速度データ、キーオン速度データおよびキーオン時刻データに基づいて、放物線の押鍵軌道を作成する。作成された放物線の押鍵軌道データは、モーションコントローラ11に供給され、ここで、位置制御データ(X)に変換される。すなわち、押鍵開始時刻t0になると、数12に示される軌道データがモーションコントローラ11に供給され、モーションコントローラ11は、数12のXを時間経過とともに順次演算し、位置制御データ(X)を作成する。この位置制御データ(X)は、サーボコントローラ12に供給され、これにより、数3のXに対応した励磁電流がソレノイド5に供給される。したがって、鍵1は数12で示される放物線軌道に従って押下されていき、ファレンスポイントXrにおいてファレンス速度Vrおよび加速度aを有する運動を行う。この結果、記録時の打弦強度を忠実に再現する打弦が行われる。しかも、人間の演奏状態に近い放物線軌道により、加速度をも再現するので、演奏の微妙なニュアンスも再現される。また、押鍵軌道と離鍵軌道が交差するときは、再生前処理部10が数23によって交差時刻tcを演算し、この時刻を境に、押鍵軌道と離鍵軌道を切り換えてモーションコントローラ11に供給する。これにより、鍵1は放物線の押鍵軌道の途中から直線の離鍵軌道に、あるいは直線の離鍵軌道の途中から放物線の押鍵軌道に切り換えられ、いわゆる、ハーフストロークの奏法に従った運動を行う。
【0078】
ここで、図14に本実施例によって鍵駆動した場合の実験例を示す。この図14に示す3つのグラフは、いずれも横軸が時間であり、縦軸が鍵のレスト位置X0からの移動量を示している。
この図に示す(イ)は、演奏者が実際に演奏を行った場合の鍵の軌道を示しており、図に示す時刻t10、t11の付近はハーフストローク奏法のために、鍵がレスト位置X0に戻る前に次の押鍵動作に入っている。また、時刻t12付近は、鍵は動いているが打弦は行われなかった部分である。
また、図14(イ)に示す演奏から得られる打弦時刻、打弦速度、キーオン時刻、キーオン速度、離鍵時刻および離鍵速度を基にして、本実施例において再現した押鍵軌道および離鍵軌道が同図(ハ)に示す軌道である。また、同図(ロ)は、同図(イ)および(ハ)に示す2つの軌道を重ねたものであり、両者が良く一致していることが判る。例えば、ハーフストロークの部分については、再生軌道もハーフストローク軌道になっており、打弦が行われなかった時刻t12の部分については、再生軌道は鍵を押し切った状態が継続されている。
【0079】
また、図15は、図14の一部を拡大したものであり、この図からも実際の演奏による鍵軌道と、実施例において再現した鍵軌道との一致性が確認される。なお、実際の演奏による鍵軌道に対して、実施例で再現した鍵軌道は揺らぎが少なく一見単純に見えるが、図14(イ)の軌道に含まれる揺らぎは、演奏者の意図とは違った部分(ミスによる部分、もしくはアクション機構特性によって生じる演奏に関係しない部分)がほとんどである。したがって、実施例による軌道は、演奏者の意図とは違った部分を除外し、理想に近づいた軌道であると言える。
【0080】
(ハ)第2実施例の変形
▲1▼加速度が負になる場合処理
ハーフストロークの場合に、押鍵の加速度が負になることがある。この時、負の加速度を忠実に再現するよりも、押鍵加速度を0(すなわち、等速)として処理した方が、軌道の再現性がよい場合がある。
ここで、図16に実測例を示す。この図の(イ)は、実際の演奏による鍵軌道を測定したもので、符号Hがハーフストロークの部分である。このハーフストロークの部分Hでは、押鍵加速度が負になっている。
また、同図(ロ)は、負の加速度も忠実に再現した場合の再生軌道と同図(イ)の実際の演奏の軌道とを重ねたものであり、同図(ハ)はハーフストローク時の押鍵加速度を0にした場合の再生軌道(数12に示す加速度aを0にした軌道)と実際の演奏の軌道を重ねたものである。そして、同図(ロ)、(ハ)を比較すれば、明らかなように、押鍵加速度を0にした方が、軌道波形の谷の部分での一致性が良い。図17(イ)、(ロ)、(ハ)は、各々図16の(イ)、(ロ)、(ハ)のハーフストロークの部分Hを拡大したものであり、この図からも押鍵加速度を0にした方が、実際の演奏の軌道との一致性が良いことが判る。
【0081】
▲2▼ハーフストローク時の加速度固定処理
上述した▲1▼の処理は、ハーフストローク時に押鍵加速度が負になった場合は、再生時の押鍵加速度を0にするものであったが、これに代えて、ハーフストローク時は、記録時の押鍵加速度の値に係わらず、再生時の押鍵加速度を0にして軌道再生してもよい。
図18に実測例を示す。この図の(イ)は、実際の演奏による鍵軌道を測定したもので、符号Hがハーフストロークの部分である。また、同図(ロ)は、ハーフストローク時の加速度を再現した場合の再生軌道と同図(イ)の実際の演奏の軌道とを重ねたものであり、同図(ハ)はハーフストローク時の押鍵加速度を全て0にした場合の再生軌道(数12に示す加速度aを0にした軌道)と実際の演奏の軌道を重ねたものである。そして、同図(ロ)、(ハ)を比較すれば、明らかなように、押鍵加速度を0にした方が、軌道波形の谷の部分での一致性が良い。図19(イ)、(ロ)、(ハ)は、各々図18の(イ)、(ロ)、(ハ)のハーフストロークの部分Hを拡大したものであり、この図からも押鍵加速度を0にした方が、実際の演奏の軌道との一致性が良いことが判る。
すなわち、ハーフストロークが検出された場合は、記録時の押鍵加速度に係わらず、直線軌道に従って鍵を駆動しても、十分に高い再現性を得ることができる。
【0082】
D:変形例
この発明においては、上述した各実施例に対し、以下に述べる種々の変形が可能である。
▲1▼サーボ制御の変形
上述した各実施例においては、モーションコントローラ11とサーボコントローラ12によって位置サーボ制御を行っていたが、これに代えて、速度を指示する速度サーボ制御を行っても良い。すなわち、モーションコントローラ11が押鍵(あるいは離鍵)開示時刻において初速度を指示し、サーボコントローラ12は鍵1が与えられた速度を保つようにサーボ制御を行うようにしてもよい。また、第2実施例においては、加速度制御を行うようにしてもよい。すなわち、モーションコントローラ11が押鍵開始時刻において初速度を指定し、以後は時間の経過とともに速度の変化分を順次指示する。そして、サーボコントローラ12は、速度変化分を累算して、現時点の速度を算出し、鍵1の速度が累算速度に一致するようにサーボ制御を行う。
【0083】
▲2▼推定した交差時刻の電子楽器への応用
前述した各実施例において推定した軌道の交差時刻は、自動ピアノの押離鍵制御に限らず、電子楽器等の楽音制御に用いることができる。例えば、楽音波形を複数記憶し、これらの波形を選択して読み出す電子楽器があるが、交差時刻において読み出す波形を切り換えるように制御してもよい。また、交差時刻の前後において、エンベロープ制御の態様を切り換えるようにしてもよい。
【0084】
▲3▼離鍵時の加速度軌道
上述した各実施例においては、離鍵時の軌道は全て直線軌道であったが、これを加速度軌道としてもよい。この場合には、離鍵速度を2カ所以上で測定するようにセンサを追加し、得られた速度の変化から加速度を推定するように構成すればよい。例えば、キーセンサ25内のフォトセンサの数を増やし、演奏記録部30がこれらのセンサの出力信号から2カ所以上の離鍵速度を検出するようにすればよい。
さらに、押鍵時と離鍵時の軌道を直線とするか放物線とするかは、任意に組み合わせることが可能である。
【0085】
▲4▼打弦時刻、打弦速度の代用
例えば、特開平1−239594号では、押鍵速度から打弦速度を推定して記録するようにしているが、このように、打弦速度に代わるデータが記録されている場合は、前述した各実施例において、それを用いることも可能である。したがって、MIDI信号中のキーオン速度(キーベロシティ)のように、打弦速度に対応するデータが記録されている場合においては、これを用いて軌道演算を行うことができる。打弦時刻についても、これに代わるデータがあれば代用することができる。要は、発音時刻や発音強度に関連したデータであれば用いることができる。
【0086】
リファレンスポイントを用いない場合のハーフストローク制御上述した各実施例は、すべてリファレンスポイントにおける運動属性を再生するように鍵を駆動する例であったが、本願はリファレンスポイントを用いない場合にも適用できる。すなわち、鍵を駆動し始めてからハンマが実際に打弦するまでの時間差を見込んで、打弦時刻データが示す打弦タイミングより少し前にソレノイドへの給電を行い、また、離鍵タイミングに応じた時刻にソレノイドを非励磁にするという制御を行うタイプの自動ピアノであっても、例えば、ソレノイドへの給電完了時刻と励磁を解除する時刻との関係からハーフストロークを検出し、給電が完了する前に励磁解除を行えばハーフストロークを再現することができる。なお、この場合の離鍵制御については、急に励磁解除せず、離鍵終了時間内に離鍵が終了するように徐々に励磁電流を低減してもよい。要は、記録時の発音時刻情報および発音強度情報に基づいて押鍵開始時刻および押鍵完了時刻を求めるとともに、記録時の離鍵時刻情報および離鍵速度情報に基づいて離鍵開始時刻および離鍵終了時刻を求め、これらの時刻から、ハーフストロークであるか否かを判定し、ハーフストロークと判定されたときは、押鍵完了時刻に達する前から離鍵処理に移行するか、または離鍵終了時刻に達する前から押鍵処理に移行するように制御すればよい。
【0087】
また、リファレンスポイントやリファレンス速度を考慮せず、単純に押鍵と離鍵の直線軌道を作成し、これによって制御することも考えられる。例えば、打鍵速度から単純に押鍵の直線軌道を想定し、これに基づいて鍵をサーボ駆動することもできる。このような制御を行う場合のハーフストローク処理は、第1実施例と同様にして軌道の交差点を求め、この点で押鍵と離鍵の軌道を切り換えればよい。
【0088】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、押離鍵の開始時刻、完了時刻あるいは押離鍵の軌道の交差からハーフストロークか否かが判定され、ハーフストロークと判定された場合は、押鍵の途中から離鍵処理へ移行、または離鍵の途中から押鍵処理に移行するので、ハーフストロークが忠実に再現される。
また、押鍵に際して放物線軌道を採用した場合は、人間の鍵操作軌道に近いため、演奏のニュアンスをも再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】図2はリファレンスポイントを9.5mmに設定したときの鍵速度と打弦速度の関係を示す図である。
【図3】リファレンス時間差Trと打弦速度との関係を示す図である。
【図4】図3を縮尺2倍にした図である。
【図5】図3を縮尺4倍にした図である。
【図6】鍵の押鍵軌道(直線軌道)を示す図である。
【図7】数6で示される軌道を示す図である。
【図8】押鍵の後に発生した離鍵の軌道が交差する場合を示す図である。
【図9】交差時刻を予め設定した比によって固定する場合の軌道を示す図である。
【図10】交差時刻の比を固定した場合の実験結果を示す図である。
【図11】図10の一部を拡大した図である。
【図12】第2実施例で用いる放物線軌道を示す図である。
【図13】第2実施例における押鍵開始時刻の算出を説明するための図である。
【図14】第2実施例において、鍵駆動した場合の実験例を示す図である。
【図15】図14の一部を拡大した図である。
【図16】ハーフストロークにおいて、記録時の押鍵加速度が負のときに再生時の押鍵加速度を0にした場合の実験例を示す図である。
【図17】図16の一部を拡大した図である。
【図18】ハーフストロークにおいて、再生時の押鍵加速度を0にした場合の実験例を示す図である。
【図19】図18の一部を拡大した図である。
【符号の説明】
5……ソレノイド(鍵駆動手段:サーボ駆動手段)、10……再生前処理部(制御手段:ハーフストローク判定手段:軌道算出手段)、11……モーションコントローラ(鍵駆動手段:指令値出力手段)、12……サーボコントローラ(鍵駆動手段:サーボ駆動手段)。

Claims (8)

  1. 記録時の発音時刻を示す発音時刻情報および発音強度を示す発音強度情報に基づいて、押鍵動作におけるレスト位置から鍵の動作が開始される時刻である押鍵開始時刻およびエンド位置に達する時刻である押鍵完了時刻を求めるとともに、記録時の離鍵時刻情報および離鍵速度情報に基づいて離鍵動作におけるエンド位置から鍵の動作が開始される時刻である離鍵開始時刻およびレスト位置に達する時刻である離鍵終了時刻を求める制御手段と、
    前記押鍵開始時刻と前記押鍵終了時刻との間で押鍵が完了するように鍵を駆動するとともに、前記離鍵開始時刻と前記離鍵終了時刻の間で離鍵が完了するように鍵を駆動する鍵駆動手段と、
    押鍵完了時刻が次の離鍵の離鍵開始時刻より遅い場合および離鍵終了時刻が次の押鍵の押鍵開始時刻より遅い場合はハーフストロークがなされたと判定するハーフストローク判定手段とを具備し、
    前記鍵駆動手段は、ハーフストロークと判定されたときは、押鍵完了時刻に達する前から離鍵処理に移行するか、または離鍵終了時刻に達する前から押鍵処理に移行することを特徴とする自動ピアノ。
  2. 記録時の発音時刻を示す発音時刻情報および発音強度を示す発音強度情報に基づいて鍵の押鍵直線軌道を算出するとともに、記録時の離鍵時刻情報および離鍵速度情報に基づいて鍵の離鍵直線軌道を算出する軌道算出手段と、指令値に応じて鍵をサーボ駆動するサーボ駆動手段と、
    前記軌道演算手段が算出した押鍵直線軌道および離鍵直線軌道に対応する指令値を前記サーボ駆動手段に供給する指令値出力手段と、
    前記押鍵直線軌道が次の離鍵の離鍵直線軌道に交差する場合および前記離鍵軌道が次の押鍵の押鍵直線軌道に交差する場合は、ハーフストロークがなされたと判定するハーフストローク判定手段とを具備し、
    前記指令値出力手段は、ハーフストロークと判定されたときは、軌道の交差点において押鍵直線軌道と離鍵直線軌道とを切り換えることを特徴とする自動ピアノ。
  3. 記録時の発音時刻を示す発音時刻情報および発音強度を示す 発音強度情報に基づいて、押鍵動作におけるレスト位置から鍵の動作が開始される時刻である押鍵開始時刻およびエンド位置に達する時刻である押鍵完了時刻を求めるとともに、記録時の離鍵時刻情報および離鍵速度情報に基づいて離鍵動作におけるエンド位置から鍵の動作が開始される時刻である離鍵開始時刻およびレスト位置に達する時刻である離鍵終了時刻を求める制御手段と、
    前記発音時刻情報および前記発音強度情報に基づいて鍵の押鍵直線軌道を算出するとともに、記録時の離鍵時刻情報および予め設定した押鍵/離鍵速度比に従って離鍵直線軌道を算出する軌道算出手段と、
    指令値に応じて鍵をサーボ駆動するサーボ駆動手段と、
    前記軌道演算手段が算出した押鍵直線軌道および離鍵直線軌道に対応する指令値を前記サーボ駆動手段に供給する指令値出力手段と、
    押鍵完了時刻が次の離鍵の離鍵開始時刻より遅い場合および離鍵終了時刻が次の押鍵の押鍵開始時刻より遅い場合はハーフストロークがなされたと判定するハーフストローク判定手段とを具備し、
    前記指令値出力手段は、ハーフストロークと判定されたときは、軌道の交差点において押鍵直線軌道と離鍵直線軌道とを切り換えることを特徴とする自動ピアノ。
  4. 記録時の打弦時刻情報、打弦強度情報、押鍵時刻情報および押鍵速度情報に基づき鍵の押鍵放物線軌道を算出するとともに、記録時の離鍵時刻情報および離鍵速度情報に基づいて鍵の離鍵直線軌道を算出する軌道算出手段と、
    指令値に応じて鍵をサーボ駆動するサーボ駆動手段と、
    前記軌道演算手段が算出した押鍵放物線軌道および離鍵直線軌道に対応する指令値を前記サーボ駆動手段に供給する指令値出力手段と、
    前記押鍵放物線軌道が次の離鍵の離鍵直線軌道に交差する場合、または前記離鍵軌道が次の押鍵の押鍵放物線軌道に交差する場合はハーフストロークが行われたと判定するハーフストローク判定手段とを具備し、
    前記指令値出力手段は、ハーフストロークと判定されたときは、軌道の交差点において押鍵放物線軌道と離鍵直線軌道とを切り換えることを特徴とする自動ピアノ。
  5. 記録時の打弦時刻情報、打弦強度情報、押鍵時刻情報および押鍵速度情報に基づき鍵の押鍵放物線軌道を算出するとともに、記録時の離鍵時刻情報および離鍵速度情報に基づいて鍵の離鍵直線軌道を算出する軌道算出手段と、
    指令値に応じて鍵をサーボ駆動するサーボ駆動手段と、
    前記軌道演算手段が算出した押鍵放物線軌道および離鍵直線軌道に対応する指令値を前記サーボ駆動手段に供給する指令値出力手段と、
    前記押鍵放物線軌道が次の離鍵の離鍵直線軌道に交差する場合、または前記離鍵軌道が次の押鍵の押鍵放物線軌道に交差する場合はハーフストロークが行われたと判定するハーフストローク判定手段とを具備し、
    ハーフストロークと判定された場合は、前記軌道算出手段は前記打弦時刻情報および打弦強度情報に基づいて押鍵直線軌道を算出し、前記指令値出力手段は前記押鍵放物線軌道に代えて前記押鍵直線軌道を用いるとともに、軌道の交差点において押鍵直線軌道と離鍵直線軌道とを切り換えることを特徴とする自動ピアノ。
  6. 記録時の打弦時刻情報、打弦強度情報、押鍵時刻情報および押鍵速度情報に基づき鍵の押鍵放物線軌道を算出するとともに、記録時の離鍵時刻情報および離鍵速度情報に基づいて鍵の離鍵直線軌道を算出する軌道算出手段と、
    指令値に応じて鍵をサーボ駆動するサーボ駆動手段と、
    前記軌道演算手段が算出した押鍵放物線軌道および離鍵直線軌道に対応する指令値を前記サーボ駆動手段に供給する指令値出力手段と、
    前記押鍵放物線軌道が次の離鍵の離鍵直線軌道に交差する場合、または前記離鍵軌道が次の押鍵の押鍵放物線軌道に交差する場合はハーフストロークが行われたと判定するハーフストローク判定手段とを具備し、
    ハーフストロークと判定され、かつ、押鍵加速度が正の場合は、前記指令値出力手段は軌道の交差点において押鍵放物線軌道と離鍵直線軌道とを切り換え、また、ハーフストロークと判定され、かつ、押鍵加速度が負の場合は、前記軌道算出手段は前記打弦時刻情報および打弦強度情報に基づいて押鍵直線軌道を算出し、前記指令値出力手段は、前記押鍵放物線軌道に代えて前記押鍵直線軌道を用いるとともに、軌道の交差点において押鍵直線軌道と離鍵直線軌道とを切り換えることを特徴とする自動ピアノ。
  7. 演奏データに基づいて、鍵の押鍵線軌道と離鍵線軌道とをそれぞれ算出する軌道算出手段と、
    前記軌道演算手段が算出した押鍵線軌道および離鍵線軌道に沿って鍵を駆動する鍵駆動手段と、
    前記押鍵線軌道が次の離鍵の離鍵線軌道に交差する場合および前記離鍵線軌道が次の押鍵の押鍵線軌道に交差する場合は、ハーフストロークがなされたと判定するハーフストローク判定手段と
    を具備し、前記指令値出力手段は、ハーフストロークと判定されたときは、軌道の交差点において押鍵線軌道と離鍵線軌道を切り替えることを特徴とする自動ピアノ。
  8. 記録時の発音時刻情報、発音強度情報、離鍵時刻情報、離鍵速度情報を含む演奏情報から、ハーフストロークがなされたか否かを判定するハーフストローク判定手段と、
    鍵を駆動する鍵駆動手段と、
    を備え、前記ハーフストローク判定手段によって、押鍵終了前に離鍵に移行したハーフストロークと判定されたときには、前記鍵駆動手段を押鍵処理が完了する前に離鍵処理に移行させるとともに、離鍵完了前に押鍵に移行したハーフストロークと判定されたときは、前記鍵駆動手段を離鍵処理が完了する前に押鍵処理に移行させることを特徴とする自動ピアノ。
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