JP2005291991A - ガス濃度検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】構成の簡素化を図りつつ、更にガス濃度センサの異常形態を特定することで好適なるセンサ異常検出を実現する。
【解決手段】A/Fセンサのセンサ素子10は、T1端子及びT2端子を介してエンジンECU20に接続されている。エンジンECU20において、A/F検出時には、センサ素子10に電圧が印加されその電圧印加に伴い流れる素子電流がA/F出力電圧AFOとして計測される。また、センサ素子10の内部抵抗検出時には、当該センサ素子10への印加電圧に交流的な変化が付与されそれに伴うインピーダンス電流信号の変化量ΔIoutが計測される。CPU30は、センサ活性前及び活性後におけるA/F出力電圧AFOと、センサ活性後におけるインピーダンス電流信号の変化量ΔIoutとに基づいてA/Fセンサの異常を検出する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ガス濃度検出装置に関するものであり、特にガス濃度センサの断線やセンサ端子の電源ショート、グランドショート等を好適に検出することのできる技術に関する。
例えば、車両用エンジンより排出される排ガスを被検出ガスとして同ガス中の酸素濃度(空燃比)を検出する限界電流式の空燃比センサ(いわゆるA/Fセンサ)が知られている。すなわち、A/Fセンサは、固体電解質体と該固体電解質体に設けられる一対の電極とよりなるセンサ素子を有し、該センサ素子への電圧印加に伴いその都度の酸素濃度に応じた素子電流を流すよう構成されている。そして、センサ素子に流れる素子電流が計測され、その計測結果から酸素濃度(空燃比)が検出されるようになっている。
上記A/Fセンサでは、センサ素子の両端子において断線、電源ショート、グランドショート、両端子間ショート等の異常が生じると、素子電流を正確に計測することができず、酸素濃度(空燃比)の検出が不可能となる。故に、従来はセンサ素子の両端子の電圧値をCPUのA/D入力として取り込み、それらのA/D入力が規定の範囲外となった場合に異常発生の旨を検出するようにしていた。しかしながら、上記の通りセンサ素子の両端子電圧をそれぞれA/D入力として取り込む場合には、センサ端子分だけ余分のA/D変換器が必要となる。この場合、構成上の煩雑化を招くことから、その改良技術が望まれている。
一方、例えば特許文献1に示す従来技術では、A/Fセンサの活性状態を判定すると共に、その判定結果からセンサ異常を診断する。また、エンジンの始動後、A/Fセンサが活性したと判定された後に不活性と判定された場合に、活性不良と判定するようにしている。前記特許文献1を含め、A/Fセンサの異常発生を検出する技術は数多く提案されている。しかしながら近年では、排ガス法規制等が益々厳しくなる実状にあり、より高精度に異常を検出することや、異常箇所を細部まで特定すること等が要求されつつある。従って、センサ異常検出の更なる改善が望まれている。
特許第3446400号公報
本発明は、構成の簡素化を図りつつ、更にガス濃度センサの異常形態を特定することで好適なるセンサ異常検出を実現することができるガス濃度検出装置を提供することを主たる目的とするものである。
本発明のガス濃度検出装置では前提として、ガス濃度検出時には、センサ素子に電圧が印加されその電圧印加に伴い流れる素子電流が電流検出抵抗により計測されると共に、センサ素子の内部抵抗検出時には、当該センサ素子への印加電圧又は電流に交流的な変化が付与されそれに伴う電流又は電圧の応答変化量が計測される。そして特に、請求項1に記載の発明では、センサ活性前及び活性後におけるガス濃度検出時の素子電流計測値とセンサ活性後における内部抵抗検出時の電流又は電圧の応答変化量計測値とに基づいてガス濃度センサの異常が検出される。
ガス濃度センサの代表的な異常形態として、センサ素子との接続部の断線、電源ショート、グランドショートがある。これらの異常発生時には、その異常形態に応じて、センサ活性前及び活性後におけるガス濃度検出時の素子電流計測値、センサ活性後における内部抵抗検出時の電流又は電圧の応答変化量計測値が所定の異常値になる。従って、これら各計測値を異常検出パラメータとすることで、異常形態の特定が可能となる。また、上記構成では、異常検出パラメータとして、少なくともガス濃度検出時の素子電流と、内部抵抗検出時の電流又は電圧の応答変化量とを計測すれば良い。従って、マイクロコンピュータで異常検出を行う場合、前記計測値(アナログ値)を少なくとも2つのA/D入力として取り込む構成とすれば良く、信号線やA/D入力の構成が簡素化できる。その結果、構成の簡素化を図りつつ、更にガス濃度センサの異常形態を特定することで好適なるセンサ異常検出を実現することができる。
異常検出手段としてより具体的には、請求項2に記載したように、センサ活性後における内部抵抗検出時の電流又は電圧の応答変化量計測値に基づいてセンサ異常の有無を判定し、更にセンサ活性前及び活性後におけるガス濃度検出時の素子電流計測値に基づいて異常形態を特定すると良い。
要するに、センサ異常発生時には、センサ活性後において、素子内部抵抗検出のためにセンサ素子への印加電圧又は電流に交流的な変化を付与してもそれに伴う電流又は電圧の応答変化量が殆どなく、当該電流又は電圧の応答変化量により異常発生が検出できる。また、センサ素子の正負何れかの端子で電源ショート又はグランドショートが生じた場合、それが正負何れの端子であるかによって、センサ活性前及び活性後における素子電流計測値が異なる数値となる。それにより、異常箇所がセンサ素子の正負何れかの端子であるかが特定できる。
また、請求項3に記載したように、前記正負両側の接続端子の何れかに電流検出抵抗を接続する構成とし、ガス濃度検出時には、素子電流に応じて変化する電流検出抵抗の端子電圧を素子電流計測値として計測し、センサ素子の内部抵抗検出時には、素子内部抵抗に応じて変化する電流検出抵抗の端子電圧を電流又は電圧の応答変化量計測値として計測すると良い。この場合、センサ断線、電源ショート、グランドショート等の異常発生時には、ガス濃度検出時及び内部抵抗検出時において電流検出抵抗の端子電圧が異常値となるため、センサ異常が好適に検出できる。
前記請求項1のようにセンサ活性前及び活性後におけるガス濃度検出時の素子電流計測値と、センサ活性後における内部抵抗検出時の電流又は電圧の応答変化量計測値とに基づいてセンサ異常を検出する場合には、センサ断線が生じたことやセンサ素子の正負何れかの端子で電源/グランドショートが生じたことが特定できるが、請求項4に記載したように、正負両側の接続端子の何れかの端子電圧計測値を異常検出パラメータに加えることで更に細分化した異常形態の特定が可能となる。すなわち、端子電圧計測値は、異常が電源ショートかグランドショートかによって異なる異常値となるため、それら電源ショート/グランドショートの特定が可能となる。なお、端子電圧計測値は、正負両端子の端子間ショートが生じた場合に電源ショート/グランドショートと異なる値となるため、更に端子間ショートの特定も可能となる。
かかる場合、請求項5に記載したように、端子電圧計測値が信号出力範囲の上限値/下限値の何れに貼り付くかによって電源ショートかグランドショートかを特定すると良い。
一方、請求項6に記載の発明では、正負両側の接続端子の何れかに電流検出抵抗を接続する構成とし、正負両側の接続端子のうち電流検出抵抗を接続していない方の端子電圧が計測される。また、センサ活性前及び活性後における端子電圧計測値と、センサ活性後における内部抵抗検出時の電流又は電圧の応答変化量計測値とに基づいてガス濃度センサの異常が検出される。
センサ断線、電源ショート、グランドショート等の異常発生時には、その異常形態に応じて、センサ活性前及び活性後における端子電圧計測値、センサ活性後における内部抵抗検出時の電流又は電圧の応答変化量計測値が所定の異常値になる。従って、これら各計測値を異常検出パラメータとすることで、異常形態の特定が可能となる。また、上記構成では、異常検出パラメータとして、少なくとも一方の端子電圧と内部抵抗検出時の電流又は電圧の応答変化量とを計測すれば良い。従って、マイクロコンピュータで異常検出を行う場合、前記計測値(アナログ値)を少なくとも2つのA/D入力として取り込む構成とすれば良く、信号線やA/D入力の構成が簡素化できる。その結果、構成の簡素化を図りつつ、更にガス濃度センサの異常形態を特定することで好適なるセンサ異常検出を実現することができる。
異常検出手段としてより具体的には、請求項7に記載したように、センサ活性後における内部抵抗検出時の電流又は電圧の応答変化量計測値に基づいてセンサ異常の有無を判定し、更にセンサ活性前及び活性後における端子電圧計測値に基づいて異常形態を特定すると良い。
要するに、センサ異常発生時には、センサ活性後において、素子内部抵抗検出のためにセンサ素子への印加電圧又は電流に交流的な変化を付与してもそれに伴う電流又は電圧の応答変化量が殆どなく、当該電流又は電圧の応答変化量により異常発生が検出できる。また、センサ素子の正負何れかの端子で電源ショート又はグランドショート等が生じた場合、それが正負何れの端子であるか又は電源/グランドの何れのショート等であるかによって、センサ活性前及び活性後における端子電圧計測値が異なる数値となる。それにより、異常形態の特定が可能となる。
ガス濃度センサには2つ以上のセルを有するものも知られており、当該センサの場合、次の異常検出手法が適用できる。この場合前提として、第2セルより出力される起電力信号に応じて第1セルへの印加電圧が制御され、その電圧印加に伴い流れる第1セル電流が電流検出抵抗により計測される。また、第2セルを対象に内部抵抗を検出する際、当該第2セルへの印加電圧又は電流に交流的な変化が付与されそれに伴う電流又は電圧の応答変化量が計測される。そして特に、請求項8に記載の発明では、第1セルに接続される正負両側の接続端子のうち少なくとも一方の端子電圧が計測される。また、センサ活性前及び活性後における前記第1セル電流の計測値と内部抵抗検出時の電流又は電圧の応答変化量計測値と端子電圧計測値とに基づいてガス濃度センサの異常が検出される。
センサ断線、電源ショート、グランドショート等の異常発生時には、その異常形態に応じて、センサ活性前及び活性後における第1セル電流計測値、内部抵抗検出時の電流又は電圧の応答変化量計測値、端子電圧計測値の何れかが所定の異常値になる。従って、これら各計測値を異常検出パラメータとすることで、異常形態の特定が可能となる。また、上記構成では、マイクロコンピュータで異常検出を行う場合、前記計測値(アナログ値)を少なくとも3つのA/D入力として取り込む構成とすれば良く、信号線やA/D入力の構成が簡素化できる。その結果、構成の簡素化を図りつつ、更にガス濃度センサの異常形態を特定することで好適なるセンサ異常検出を実現することができる。
上記のとおりセンサ活性前及び活性後における第1セル電流計測値、内部抵抗検出時の電流又は電圧の応答変化量計測値、端子電圧計測値を異常検出パラメータとすることで、第1セルに接続される正負両側の接続端子と第2セルに接続される正負両側の接続端子とについて、それら各接続端子の断線、電源ショート、グランドショート、端子間ショートが各々特定できるようになる(請求項9)。なお、第1セルに接続される正負両側の接続端子の何れかと、第2セルに接続される正負両側の接続端子の何れかが共通端子とされる構成もあるが、かかる場合にも同様に各異常形態が特定できる。
ここで、請求項10に記載したように、第1セル,第2セルに接続される正負両側の接続端子の何れか1つずつをまとめて共通端子とし、その共通端子に基準電圧を印加する構成では、第1セルに接続される正負両側の接続端子のうち、共通端子とは異なる方の端子電圧が計測されると良い。
請求項11に記載の発明では、複数ある異常形態毎に、センサ活性前及び活性後において前記した各計測値が如何なる異常値になるかが予めパターン記憶されており、パターン照合により異常形態が特定される。これにより、所望とする異常形態が容易に特定できるようになる。
請求項12に記載の発明では、センサ起動後、ガス濃度センサが非活性状態から活性状態へと移行する移行期間以外で、センサ活性前及び活性後の各種計測値が計測されるため、各異常形態を明確に捉えることができ、センサ異常の検出精度を高めることができる。
(第1の実施の形態)
以下、本発明のガス濃度検出装置を具体化した第1の実施の形態を図面に従って説明する。本実施の形態では、車載エンジンより排出される排ガス(燃焼ガス)を被検出ガスとして同ガス中の酸素濃度(空燃比、以下A/Fとも言う)を検出する空燃比検出装置を具体化しており、空燃比の検出結果はエンジンECU等により構成される空燃比制御システムにて用いられる。空燃比制御システムでは、空燃比をストイキ近傍でフィードバック制御するストイキ燃焼制御や、同空燃比を所定のリーン領域でフィードバック制御するリーン燃焼制御等が適宜実現される。
先ずはじめに、ガス濃度センサとしてのA/Fセンサの構成を図2を用いて説明する。本A/Fセンサは積層型構造のセンサ素子10を有し、図2にはセンサ素子10の断面構成を示す。実際には当該センサ素子10は図2の紙面直交方向に延びる長尺状をなし、素子全体がハウジングや素子カバー内に収容される構成となっている。
センサ素子10は、固体電解質11、拡散抵抗層12、遮蔽層13及び絶縁層14を有し、これらが図の上下に積層されて構成されている。同素子10の周囲には図示しない保護層が設けられている。長方形板状の固体電解質11(固体電解質体)は部分安定化ジルコニア製のシートであり、その固体電解質11を挟んで上下一対の電極15,16が対向配置されている。電極15,16は白金Pt等により形成されている。拡散抵抗層12は電極15へ排ガスを導入するための多孔質シートからなり、遮蔽層13は排ガスの透過を抑制するための緻密層からなる。これら各層12,13は何れも、アルミナ、ジルコニア等のセラミックスをシート成形法等により成形したものであるが、ポロシティの平均孔径及び気孔率の違いによりガス透過率が相違するものとなっている。
絶縁層14はアルミナ、ジルコニア等のセラミックスからなり、電極16に対面する部位には大気ダクト17が形成されている。また、同絶縁層14には白金Pt等により形成されたヒータ18が埋設されている。ヒータ18は、バッテリ電源からの通電により発熱する線状の発熱体よりなり、その発熱により素子全体を加熱する。なお以下の説明では場合によって、電極15を拡散層側電極、電極16を大気側電極とも言うこととする。本実施の形態では、大気側電極16に接続される端子を正側端子(+端子)、拡散層側電極15に接続される端子を負側端子(−端子)としている。
上記センサ素子10において、その周囲の排ガスは拡散抵抗層12の側方部位から導入されて拡散層側電極15に達する。排ガスがリーンの場合、排ガス中の酸素は電極15,16間の電圧印加により拡散層側電極15で分解され、イオン化されて固体電解質11を通過した後、大気側電極16より大気ダクト17に排出される。このとき、大気側電極16→拡散層側電極15の向きに電流(正電流)が流れる。また、排ガスがリッチの場合、逆に大気ダクト17内の酸素が大気側電極16で分解され、イオン化されて固体電解質11を通過した後、拡散層側電極15より排出される。そして、排ガス中のHCやCO等の未燃成分と触媒反応する。このとき、拡散層側電極15→大気側電極16の向きに電流(負電流)が流れる。
図3は、A/Fセンサについての基本的な電圧−電流特性(V−I特性)を示す図面である。図3において、電圧軸(横軸)に平行な平坦部分はセンサ素子10の素子電流Ip(限界電流)を特定する限界電流域であって、この素子電流Ipの増減が空燃比の増減(すなわち、リーン・リッチの程度)に対応している。つまり、空燃比がリーン側になるほど素子電流Ipは増大し、空燃比がリッチ側になるほど素子電流Ipは減少する。
このV−I特性において、限界電流域よりも低電圧側は抵抗支配域となっており、抵抗支配域における一次直線部分の傾きはセンサ素子10の直流内部抵抗Riにより特定される。直流内部抵抗Riは素子温に応じて変化し、素子温が低下すると直流内部抵抗Riが増大する。すなわちこのとき、抵抗支配域の一次直線部分の傾きが小さくなる(直線部分が寝た状態となる)。また、素子温が上昇すると直流内部抵抗Riが減少する。すなわちこのとき、抵抗支配域の一次直線部分の傾きが大きくなる(直線部分が立った状態となる)。図中のRGは、センサ素子10への印加電圧Vpを決定するための印加電圧特性(印加電圧線)を表している。
A/Fセンサは、エンジンECUに設けられたセンサ制御部にて制御されるようになっており、その構成を図1に基づいて説明する。
エンジンECU20において、センサ素子10の大気側電極16に接続された+端子T1には、オペアンプ21及び電流検出抵抗22を介して基準電源23が図示の如く接続され、同センサ素子10の拡散層側電極15に接続された−端子T2には印加電圧制御回路25が接続されている。この場合、電流検出抵抗22の一端のA点は基準電圧Ref1(例えば2.2V)と同じ電圧に保持される。素子電流Ipは電流検出抵抗22を介して流れ、素子電流Ipに応じてB点の電圧が変化する。排ガスがリーンの場合、センサ素子10には+端子T1から−端子T2に向けて素子電流Ipが流れるためB点電圧が上昇し、逆にリッチの場合、センサ素子10には−端子T2から+端子T1に向けて素子電流Ipが流れるためB点電圧が低下する。
印加電圧制御回路25は、B点電圧をモニタすると共にその電圧値に応じてセンサ素子10に印加すべき電圧を決定するものであり、前記図3に示す印加電圧特性RGの如く、基本的に素子電流Ipの増加時(すなわちB点電圧の上昇時)に印加電圧を上昇させるよう印加電圧制御を実施する。
また、図のB点及び基準電源23にはオペアンプ(差動増幅器)26が接続されており、オペアンプ26の出力AFOがA/F出力電圧としてCPU30のA/DポートAD1に取り込まれる。CPU30は、AD1より取り込んだ各A/F出力電圧AFOに基づいてその都度のA/F値を算出する。このA/F値は空燃比フィードバック制御等に適宜用いられる。
また、CPU30は、センサ素子10への印加電圧を一時的に交流的に変化させる旨指令し、その際の電流変化量に基づき素子内部抵抗としての素子インピーダンスZacを検出する。より具体的には、インピーダンス検出に際し、印加電圧制御回路25がCPU30からの指令を受け、センサ素子10への印加電圧を所定幅(例えば0.2V)で正負両側に変化させる。このとき、センサ印加電圧の変化に伴い、その都度の素子インピーダンスに応じてB点電圧が変化する。B点の電圧変化はインピーダンス電流検出回路27にてモニタされ、そのインピーダンス電流検出回路27の出力Ioutがインピーダンス電流信号としてCPU30のA/DポートAD2に取り込まれる。インピーダンス電流検出回路27は、例えばハイパスフィルタとピークホールド回路とを直列に接続して構成されており、このハイパスフィルタ及びピークホールド回路により、インピーダンス検出期間に対応する所定のゲートオン期間内においてB点での交流電流の変化量が計測される。なお、ピークホールドされたB点電圧は、ゲートオフ毎にリセットされる。
CPU30は、インピーダンス検出時の電圧変化量ΔVと、それに伴うインピーダンス電流信号の変化量ΔIoutとから素子インピーダンスZacを算出する。なお、インピーダンス検出に際し、センサ素子10に流す電流を交流的に変化させ、その際の電流又は電圧の応答変化量から素子インピーダンスZacを演算する構成とすることも可能である。
上記インピーダンス検出は所定周期毎(すなわち、例えば128msec毎)に実施されるようになっており、その所定周期毎にCPU30から印加電圧制御回路25に対して電圧変化が指令される。また、CPU30は、素子インピーダンスZacが所定の目標値に保持されるようヒータ18への通電を制御する。これにより、センサ素子10の温度が所定の目標値(例えば750℃)に保持され、当該センサ素子10の活性状態が維持されるようになる。
その他、図1の構成では、T1端子の電圧(T1端子電圧VS+)がCPU30のA/DポートAD3に取り込まれると共に、T2端子の電圧(T2端子電圧VS−)がCPU30のA/DポートAD4に取り込まれるようになっている。但し、これらVS+,VS−の計測は回路構成として必須ではなく、後述するセンサ異常検出の処理内容に応じて適宜用いられる。
本実施の形態では、A/Fセンサにて発生する各種異常に関し、その異常を検出することはもとより、その異常形態を特定することができる構成を採用しており、その詳細を以下に説明する。かかる異常検出には、CPU30のAD1〜AD4に取り込まれる各計測信号が用いられ、センサ活性前と活性後においてそれら計測信号が正常時と同じであるかどうかによりセンサ異常発生が検出されると共にその異常形態が特定されるようになっている。
ここで、センサ活性前から活性後にかけてA/F出力電圧AFO、インピーダンス電流信号の変化量ΔIout、T1端子電圧VS+、T2端子電圧VS−がどういった値となるのかを説明する。なお本実施の形態では、A/F出力電圧AFOが「素子電流計測値」に、インピーダンス電流信号の変化量ΔIoutが「応答変化量計測値」に、T1端子電圧VS+,T2端子電圧VS−が「端子電圧計測値」に、それぞれ相当する。
図4は、A/Fセンサ正常時における各計測信号の変化を示すタイムチャートである。図4のタイミングt1はセンサ活性完了の判定タイミング(例えば素子インピーダンスZacが所定の活性判定値に到達するタイミング)を示しており、t1以前を活性前、t1以後を活性後としている。
図4において、センサ活性前は、素子インピーダンスZacが無限大(∞)であり、センサ素子10に電流が流れない。そのため、A/F出力電圧AFOは、基準電圧Ref1と同じ電圧(2.2V)に保持されている。このとき、インピーダンス検出時において印加電圧を交流的に変化させても電流の応答変化はなく、インピーダンス電流信号の変化量ΔIoutは0のままとなる。また、T1端子電圧VS+は基準電圧Ref1と同じ2.2V固定となっており、T2端子電圧VS−はストイキ時を基準とする所定値(例えば1.8V)に保持されている。
そして、その後次第にセンサ素子温が上昇し始めると、素子インピーダンスZacが低下し、タイミングt1でZacが活性判定値に達することでセンサ活性完了と判定される。センサ活性化に伴い素子電流が流れるようになるため、A/F出力電圧AFOがその都度の排ガス雰囲気に応じた値に収束する。図には、排ガス雰囲気が極リーン(大気)の場合と、リーン(例えばA/F=18)の場合と、ストイキの場合と、リッチ(例えばA/F=12)の場合とを例示しており、ストイキを境に、リーン側ではA/F出力電圧AFOが上昇し、リッチ側ではA/F出力電圧AFOが下降する。A/F=12〜大気をA/F検出範囲とする場合、A/F出力電圧AFOは概ね1.6〜4.1Vの範囲で変化する。
インピーダンス電流信号の変化量ΔIoutは、素子インピーダンスZacの低下(センサ素子温の上昇)に伴い変化し、その後所定の活性様態に至ることで所定値に収束する。
また、T1端子電圧VS+は、センサ活性後も2.2Vのまま固定されるのに対し、T2端子電圧VS−は、印加電圧制御回路25によりその都度の素子電流に応じて制御される。この場合、リーンであるほど、センサ印加電圧を増大させるようにしているため、ストイキ時の所定値(例えば1.8V)を境にリーン側ではT2端子電圧VS−が下降し、リッチ側ではT2端子電圧VS−が上昇する。
A/Fセンサが正常である時は、センサ活性化に伴い前記図4の如くAFO,ΔIout,VS+,VS−が変化するのに対し、A/Fセンサの異常発生時には、同AFO,ΔIout,VS+,VS−の変化が正常時とは異なるものとなる。以下には、A/Fセンサの異常を代表的な異常形態である次の(1)〜(6)に分別してそれらを順に説明する。
(1)センサ断線異常
(2)T1端子(センサ正側端子)のVBショート
(3)T1端子(センサ正側端子)のGNDショート
(4)T2端子(センサ負側端子)のVBショート
(5)T2端子(センサ負側端子)のGNDショート
(6)T1,T2間の端子間ショート
なお、前記(1)はT1,T2端子の何れかで断線が生じた異常を、前記(2),(3)はT1端子でバッテリショート、グランドショートがそれぞれ生じた異常を、前記(4),(5)はT2端子でバッテリショート、グランドショートがそれぞれ生じた異常を、前記(6)はT1,T2端子間がショートした異常を、それぞれ指す。
本願発明者らは、前記(1)〜(6)の各異常時におけるAFO,ΔIout,VS+,VS−を各々計測した。その計測結果を図5に示しており、同図5を参照しながら前記(1)〜(6)の各異常時におけるAFO,ΔIout,VS+,VS−の具体的数値を説明する。図5の最下段には、比較のために正常時の数値を示している。各数値の右横には、異常値であると判定できるものに「×」を、それ以外のものに「○」を付している。なお、図5の各数値は、センサ活性途中における過渡的な数値とならないよう、活性前数値はセンサ起動直後に(エンジン始動直後に)、活性後数値はセンサ起動後、規定時間(例えば1分程度)が経過した時に計測された数値である。
(1)センサ断線異常
センサ断線異常が生じた場合、センサ活性前/活性後を通じてインピーダンス電流信号の変化量ΔIoutが0のままとなる。この場合、センサ活性前のΔIoutは正常値と同じであるが、センサ活性後のΔIoutは正常値と異なるものとなる。これは、後述する(2)〜(6)の異常発生時も同様であり、下記の(2)〜(6)説明時にはΔIoutには触れないこととする。
A/F出力電圧AFOは、センサ活性前/活性後を通じて基準電圧(2.2V)で不変となる。この場合、センサ活性前のAFOは正常値と同じであり、センサ活性後のAFOはAFO正常範囲(1.6〜4.1V)に含まれる。また、T1端子電圧VS+は、センサ活性前/活性後を通じて基準電圧(2.2V)で不変となり、T2端子電圧VS−は、センサ活性前/活性後を通じて所定値(1.8V)で不変となる。
(2)T1端子(センサ正側端子)のVBショート
T1端子がVBショート生じた場合、当該T1端子にバッテリ電圧VB(例えば14V)がかかるため、センサ活性前/活性後を通じてA/F出力電圧AFO及びT1端子電圧VS+がセンサ制御部の出力上限値(5.0V)で固定される。図1の回路構成では、T1端子がVBショートした場合、電流検出抵抗22の両端子のA点電圧とB点電圧とが共に上昇する。これにより、AFO,VS+が5.0Vに貼り付く。また、T2端子電圧VS−は、センサ活性前は所定値(1.8V)で保持されるのに対し、センサ活性後は素子インピーダンスZacが低下することでT1端子側と同じく電圧が上昇し、センサ制御部の出力上限値(5.0V)となる。
(3)T1端子(センサ正側端子)のGNDショート
T1端子のGNDショートが生じた場合、当該T1端子がグランド電位(0V)となるため、センサ活性前/活性後を通じてT1端子電圧VS+が0Vとなる。この場合、図1の回路構成では、電流検出抵抗22の一端のA点電圧が0Vとなり、オペアンプ21がA点電圧を基準電圧(2.2V)まで引き上げようとして能力最大限の電流を流すためにB点電圧が上昇する。従って、センサ活性前/活性後を通じてA/F出力電圧AFOがセンサ制御部の出力上限値(5.0V)となる。T2端子電圧VS−は、センサ活性前は所定値(1.8V)で保持されるのに対し、センサ活性後は図1のB点電圧=5.0Vとなるために印加電圧制御回路25により過剰に低減され、回路構成上の出力下限値(0.9V)となる。
(4)T2端子(センサ負側端子)のVBショート
T2端子のVBショートが生じた場合、当該T2端子にバッテリ電圧VBがかかるため、センサ活性前/活性後を通じてT2端子電圧VS−がセンサ制御部の出力上限値(5.0V)で固定される。このとき、センサ活性前はZac=∞であるため、T2端子側でVBショートが生じてもT1端子側では影響が及ばず、A/F出力電圧AFOとT1端子電圧VS+は基準電圧(2.2V)で保持される。これに対し、センサ活性後は素子インピーダンスZacが低下するため、T2端子側と同じくT1端子側でも電圧が上昇し、A/F出力電圧AFOとT1端子電圧VS+はセンサ制御部の出力上限値(5.0V)となる。
(5)T2端子(センサ負側端子)のGNDショート
T2端子のGNDショートが生じた場合、当該T2端子がグランド電位となるため、センサ活性前/活性後を通じてT2端子電圧VS−が0Vで固定される。このとき、センサ活性前はZac=∞であるため、T2端子側でGNDショートが生じてもT1端子側では影響が及ばず、A/F出力電圧AFOとT1端子電圧VS+は基準電圧(2.2V)で保持される。また、センサ活性後は、T1端子電圧VS+は基準電圧(2.2V)で保持することができるものの、VS+=2.2V、VS−=0Vとなる状態では素子電流が大きくなり、それに伴いT1端子電圧VS+がセンサ制御部の出力上限値(5.0V)となる。
(6)T1,T2間の端子間ショート
T1,T2間の端子間ショートが生じた場合、電流検出抵抗22に過剰に電流が流れるため、A/F出力電圧AFOがセンサ制御部の出力上限値(5.0V)となる。これはセンサ活性前/活性後何れも同じである。また、VS+,VS−は共に中間電位(1.1V)に保持される。
上記のとおりセンサ異常時には、その異常形態に応じてAFO,ΔIout,VS+,VS−が正常値と異なり所定の異常値になるため、AFO,ΔIout,VS+,VS−のどれが如何なる異常値となるかで異常種別の特定が可能となる。
ここで、前記図5の計測結果を解析すると、A/F出力電圧AFOは、T1端子のVBショート、T1端子のGNDショート及びT1,T2端子間ショートで何れも同じ値(活性前/活性後AFO=5.0V)となり、T2端子のVBショート及びT2端子のGNDショートで何れも同じ値(活性前AFO=2.2V、活性後AFO=5.0V)となる。そのため、A/Fセンサの異常形態を次の(イ)〜(ハ)のように分別すれば、ΔIout,AFOの2データを異常検出パラメータとして(イ)〜(ハ)の異常形態の特定が可能となる。
(イ)センサ断線異常
(ロ)T1端子のVB/GNDショート又はT1,T2端子間ショート
(ハ)T2端子のVB/GNDショート
図6は、前記(イ)〜(ハ)についてΔIout,AFOの具体的数値をまとめた図表である。かかる場合、センサ活性後におけるインピーダンス電流信号の変化量ΔIoutが正常値かどうかによりセンサ異常の有無が判定される。そして、センサ異常発生時において、センサ活性前及び活性後のA/F出力電圧AFOに基づいて異常種別が特定される。
図7は、CPU30によるセンサ異常検出処理を示すフローチャートである。本処理は、エンジン始動後において、センサ活性前のAFOとセンサ活性後のΔIout,AFOを計測し終えた後に実行される。なおこのとき、センサ活性前と活性後で各計測値が異常値かどうかが明確に判別できるよう、センサ非活性状態から活性状態への移行期間以外で、各種計測値がサンプリングされるようになっている。
ステップS101では、センサ活性後のΔIoutが正常値であるか否かを判別する。これにより、センサ異常の有無が判定される。センサ活性後のΔIoutが正常値である場合、センサ正常であると判定する(ステップS102)。
これに対し、センサ活性後のΔIoutが異常値である場合、ステップS103では、活性前AFOが異常値であるか否かを判別し、ステップS105では、活性後AFOが異常値であるか否かを判別する。そして、活性前AFOが異常値である場合、T1端子のVB/GNDショート又はT1,T2端子間ショートであると判定する(ステップS104)。また、活性前AFOが正常値であるが、活性後AFOが異常値である場合、T2端子のVB/GNDショートであると判定する(ステップS106)。活性前AFO,活性後AFOが共に正常値である場合、センサ断線であると判定する(ステップS107)。
以上詳述した本実施の形態によれば、センサ活性前及び活性後におけるA/F出力電圧AFOとセンサ活性後におけるインピーダンス電流信号の変化量ΔIoutとに基づいてA/Fセンサの異常を検出する構成としたため、少なくとも前記(イ)〜(ハ)の異常形態が各々特定できるようになる。かかる場合、CPU30には、異常検出パラメータとして少なくともAFOとΔIoutがA/D入力されれば良く、信号線やA/D入力の構成が簡素化できる(前記図1にはAD1〜AD4を図示したが、実際にはAD1,AD2のみで良い)。その結果、構成の簡素化を図りつつ、更にA/Fセンサの異常形態を特定することで好適なるセンサ異常検出を実現することができる。
(第2の実施の形態)
上記第1の実施の形態では、インピーダンス電流信号の変化量ΔIoutとA/F出力電圧AFOとを用いて、
(イ)センサ断線異常
(ロ)T1端子のVB/GNDショート又はT1,T2端子間ショート
(ハ)T2端子のVB/GNDショート
の異常種別を特定したが、本実施の形態では、異常検出パラメータとして前記ΔIout,AFOにT1端子電圧VS+を追加する。これにより、既述した(1)〜(6)の異常種別を全て特定することが可能となる。
図8は、前記(1)〜(6)の各異常形態についてΔIout,AFO,VS+の具体的数値をまとめた図表である。
図8において、T1端子のVBショート、T1端子のGNDショート及びT1,T2端子間ショートのデータを見ると、前述のとおりセンサ活性前/活性後を通じてA/F出力電圧AFOは何れも同じ異常値(5.0V)であるが、T1端子電圧VS+は各々相違する(順に5.0V,0V,1.1V)。従って、T1端子電圧VS+を用いることでこれら3つの異常形態を特定できる。また、T2端子のVBショート及びT2端子のGNDショートのデータを見ると、前述のとおりセンサ活性前/活性後でそれぞれA/F出力電圧AFOが同じとなるが、T1端子電圧VS+は各々相違する。従って、T1端子電圧VS+を用いることでこれら2つの異常形態を特定できる。
図9は、CPU30によるセンサ異常検出処理を示すフローチャートであり、本処理は前記図7の処理に置き換えて実行される。本処理は、エンジン始動後において、センサ活性前のAFOとセンサ活性後のΔIout,AFO,VS+を計測し終えた後に実行される。
図9において、ステップS201では、センサ活性後のΔIoutが正常値であるか否かを判別する。YESの場合、センサ正常であると判定する(ステップS202)。
これに対し、センサ活性後のΔIoutが異常値である場合、ステップS203では、活性前AFOが異常値であるか否かを判別する。そして、YESの場合、ステップS204でVS+が上限値(5.0V)であるか否かを判別し、更にステップS205でVS+が下限値(0V)であるか否かを判別する。なお、前記図8から分かるように、活性前AFOが異常値である場合、VS+はセンサ活性前及び活性後で同じ数値となり、その何れの計測値を用いてもよいが、ここではセンサ活性後のVS+を用いてステップS204,S205の判別を行う。
ステップS204,S205において、VS+=上限値の場合、T1端子のVBショートであると判定し(ステップS206)、VS+=下限値の場合、T1端子のGNDショートであると判定する(ステップS207)。何れでも場合、T1,T2端子間ショートであると判定する(ステップS208)。
また、活性前AFOが正常値である場合において、ステップS209では、活性後AFOが異常値であるか否かを判別する。そして、YESの場合、ステップS210で活性後VS+が異常値であるか否かを判別する。活性後VS+が異常値である場合、T2端子のVBショートであると判定し(ステップS211)、活性後VS+が正常値である場合、T2端子のGNDショートであると判定する(ステップS212)。活性前AFO,活性後AFOが共に正常値である場合、センサ断線であると判定する(ステップS213)。
以上の構成によれば、異常検出パラメータとして、AFO,ΔIoutにT1端子電圧VS+を加えることで、前記(1)〜(6)の異常形態が各々特定できるようになる。この場合、センサ異常検出に要するCPUのA/D入力が3つになるが、全ての端子電圧をA/D入力とする場合に比べれば構成の簡素化が実現できる。
(第3の実施の形態)
インピーダンス電流信号の変化量ΔIoutとT2端子電圧VS−(電流検出抵抗22を接続していない方の端子電圧)とを用いることにより、前記(1)〜(6)の異常形態を各々特定することも可能であり、その詳細を以下に説明する。
図10は、前記(1)〜(6)の各異常形態についてΔIout,VS−の具体的数値をまとめた図表である。図10において、T2端子電圧VS−は、センサ活性前/活性後で異常形態に応じてある決まった値となる。それ故に、前記(1)〜(6)の異常形態が各々特定できる。
図11は、CPU30によるセンサ異常検出処理を示すフローチャートであり、本処理は前記図7等の処理に置き換えて実行される。
図11において、ステップS301では、センサ活性完了か否かを判別する。そして、センサ活性前においては、T2端子電圧VS−の計測を行うと共に、該計測したVS−が正常値か異常値かを判定しその判定結果(正常値/異常値)を各々メモリに記憶する(ステップS302,S303)。
また、センサ活性後においては、インピーダンス電流信号の変化量ΔIoutの計測を行うと共に、該計測したΔIoutが正常値か異常値かを判定しその判定結果(正常値/異常値)を各々メモリに記憶する(ステップS304,S305)。更に、T2端子電圧VS−の計測を行うと共に、該計測したVS−が正常値か異常値かを判定しその判定結果(正常値/異常値)を各々メモリに記憶する(ステップS306,S307)。
その後、ステップS308では、センサ活性前及び活性後の必要データが全て計測完了したか否かを判別する。そして、データ計測完了であれば、前記メモリに記憶したΔIout,VS−を用いてセンサ異常検出を実施する(ステップS309)。このとき、前記図10に示す各異常形態のパターンデータを照合し、メモリに記憶したΔIout,VS−がどの異常形態に相当するかを判定する。そして、その判定結果からその都度の異常形態を判定する。
以上の構成によれば、センサ活性前及び活性後におけるT2端子電圧VS−とセンサ活性後におけるインピーダンス電流信号の変化量ΔIoutとに基づいてA/Fセンサの異常を検出する構成としたため、前記(1)〜(6)の異常形態が各々特定できるようになる。かかる場合、CPU30には、異常検出パラメータとして少なくともVS−とΔIoutがA/D入力されれば良く、信号線やA/D入力の構成が簡素化できる。その結果、構成の簡素化を図りつつ、更にA/Fセンサの異常形態を特定することで好適なるセンサ異常検出を実現することができる。
各異常形態のパターンデータとの照合により異常形態を特定する構成としたため、所望とする異常形態が容易に特定できるようになる。
なお、前記図11の処理において、先ずはセンサ活性後におけるΔIoutによりセンサ異常の有無を判定し、異常発生時においてVS−に基づいて異常形態を特定するようにしても良い。
ところで、前記図1の回路構成では、センサ素子10の正側端子(T1端子)に電流検出抵抗22を接続し、同負側端子(T2端子)に印加電圧制御回路25を接続したが、この構成を変更する。例えば、図12の回路構成とする。図12の回路構成は、基本的にセンサ制御部のT1端子側の構成とT2端子側の構成とを入れ替えたものであり、相違点を中心に説明する。
エンジンECU40において、T2端子には、オペアンプ41及び電流検出抵抗42を介して基準電源43が図示の如く接続され、T2端子には印加電圧制御回路45が接続されている。この場合、電流検出抵抗42の一端のA点は基準電源43の基準電圧(例えば2.2V)と同じ電圧に保持される。素子電流Ipは電流検出抵抗42を介して流れ、素子電流Ipに応じてB点の電圧が変化する。排ガスがリーンの場合、センサ素子10にはT1端子からT2端子に向けて素子電流Ipが流れるためB点電圧が下降し、逆にリッチの場合、センサ素子10にはT2端子からT1端子に向けて素子電流Ipが流れるためB点電圧が上昇する。
印加電圧制御回路45は、B点電圧をモニタすると共にその電圧値に応じてセンサ素子10に印加すべき電圧を決定するものであり、前記図3に示す印加電圧特性RGの如く、基本的に素子電流Ipの増加時(すなわちB点電圧の下降時)に印加電圧を上昇させるよう印加電圧制御を実施する。
また、図のB点及び基準電源43にはオペアンプ(差動増幅器)46が接続されており、オペアンプ46の出力AFOがA/F出力電圧としてCPU50のA/DポートAD1に取り込まれる。CPU50は、AD1より取り込んだ各A/F出力電圧AFOに基づいてその都度のA/F値を算出する。インピーダンス検出に際し、印加電圧制御回路45はCPU50からの指令を受け、センサ素子10への印加電圧を所定幅(例えば0.2V)で正負両側に変化させる。このとき、センサ印加電圧の変化に伴うB点の電圧変化はインピーダンス電流検出回路47にてモニタされ、そのインピーダンス電流検出回路47の出力Ioutがインピーダンス電流信号としてCPU50のA/DポートAD2に取り込まれる。
その他、図12の構成では、T1端子電圧VS+がCPU50のA/DポートAD3に取り込まれると共に、T2端子電圧VS−がCPU50のA/DポートAD4に取り込まれるようになっている。
図13は、前記図12の回路構成において、前記(1)〜(6)の異常発生時にAFO,ΔIout,VS+,VS−がどのように出力されるかを示した図表である。その内容は概ね前述の図5に準ずるため、詳細な説明は割愛するが、本図13の関係を用いることで、前記同様、A/Fセンサの異常が好適に検出できる。この場合、
(a)ΔIoutとAFOとを異常検出パラメータとする構成、
(b)ΔIoutとAFOとVS−とを異常検出パラメータとする構成、
(c)ΔIoutとVS+とを異常検出パラメータとする構成、
がそれぞれ実現できる。前記(a)の構成では、
(イ)センサ断線異常
(ロ)T1端子のVB/GNDショート
(ハ)T2端子のVB/GNDショート
(ニ)T1,T2端子間ショート
の各異常形態が特定できる。また、前記(b),(c)の構成では、
(1)センサ断線異常
(2)T1端子のVBショート
(3)T1端子のGNDショート
(4)T2端子のVBショート
(5)T2端子のGNDショート
(6)T1,T2間の端子間ショート
の各異常形態が特定できる。
センサ制御部の更に別の構成として、T1端子及びT2端子の何れか一方に、電流検出抵抗22と印加電圧制御回路25を共に設ける構成とすることも可能である。
(第4の実施の形態)
前記第1〜第3の実施の形態では、図2のセンサ素子構造を有するA/Fセンサについて説明したが、他のセンサ素子構造を有するA/Fセンサに適用することも可能である。図14に示すセンサ素子60では、2層の固体電解質61,62を有しており、一方の固体電解質61には一対の電極63,64が対向配置され、他方の固体電解質62には一対の電極65,66が対向配置されている。なお、電極63〜65は図の左右対象に2カ所に見えるが、それらは紙面の前後何れかの部位で連結された同一部材である。本センサ素子60では、固体電解質61及び電極63,64により「第1セル」としてのポンプセル71が構成され、固体電解質62及び電極65,66により「第2セル」としてのモニタセル72が構成されている。各電極63〜66はセンサ制御回路80に接続されている。センサ素子60が積層構造を有することは、前述のセンサ素子10と同じである。図14において、符号67はガス導入孔、符号68は多孔質拡散層、符号69は大気ダクト、符号70はヒータである。モニタセル72は、一般に起電力セル、酸素濃度検出セルとも称される。
上記センサ素子構造のA/Fセンサにおいて、モニタセル72は、排ガスがストイキに対してリーンかリッチかに応じて2値(0V又は0.9V)の起電力出力を発生する。例えばリーンである場合、モニタセル72の起電力出力が小さくなり、逆にリッチである場合、モニタセル72の起電力出力が大きくなる。かかる場合において、モニタセル72の起電力出力がストイキ値(0.45V)になるようにポンプセル71の印加電圧が制御される。
図15は、前記構成のA/FセンサについてV−I特性を示す図面である。このV−I特性において、リーン時の限界電流域は正電圧域に、リッチ時の限界電流域は負電圧域に現れる。そのため、リーン時の印加電圧特性RGは正電圧域に、リッチ時の印加電圧特性RGは負電圧域にそれぞれ設けられている。
図16は、上記図14のセンサ素子構造を有するA/Fセンサについてセンサ制御回路80の構成を示す回路図である。図16において、VMはポンプセル71及びモニタセル72の共通端子であり、その共通端子VMには基準電圧電源81が接続されている。基準電圧電源81の基準電圧は例えば2.5Vである。また、IPはポンプセル71の電極63に接続されるポンプセル端子、UNはモニタセル72の電極66に接続されるモニタセル端子である。これら各端子IP,UNには、各セル71,72を通じてオペアンプ82及び電流検出抵抗83を有する閉回路が接続されており、オペアンプ82の非反転端子(+端子)には基準電圧(3.0V)を生成する基準電圧電源84が接続されている。
リーン時にはB→Aの向きに電流検出抵抗83に電流が流れ、逆にリッチ時にはA→Bの向きに電流検出抵抗83に電流が流れる。かかる場合、モニタセル72の出力電圧が所定値になるようポンプセル71がフィードバック制御されるようになっている(但し、フィードバック制御回路については既に種々公開されておりここでは図示及び詳細な説明を省略する)。
電流検出抵抗83の両端子A点,B点には、所定増幅率のオペアンプ85が接続されている。このオペアンプ85の出力がA/F出力電圧AFOとされる。IP端子の電圧はポンプセル端子電圧Vipとして出力される。
また、モニタセル72を対象に素子インピーダンスが検出されるようになっており、インピーダンス検出回路86では、モニタセル72に印加する電圧を交流的に変化させ、それに応答する電圧波形が計測される。そして、その計測結果がインピーダンス検出電圧Vzとして出力される。
本実施の形態では、次の(1)〜(12)に示す異常形態を対象にセンサ異常検出を実施する。
(1)UN端子断線
(2)UN端子のVBショート
(3)UN端子のGNDショート
(4)UN,VM間の端子間ショート
(5)VM端子断線
(6)VM端子のVBショート
(7)VM端子のGNDショート
(8)VM,IP間の端子間ショート
(9)IP端子断線
(10)IP端子のVBショート
(11)IP端子のGNDショート
(12)IP,UN間の端子間ショート
図17には、前記(1)〜(12)の異常時と正常時におけるVz,AFO,Vipの計測値を示している。図17において、例えば「UN/VB」の表記はUN端子のVBショート、「UN/GND」の表記はUN端子のGNDショート、「UN/VM」の表記はUN,VM間の端子間ショートである(他も同様)。また、各数値の右横には、異常値であると判定できるものに「×」を、それ以外のものに「○」を付している。図17の各数値を、先ずは正常値について説明する。
センサ活性前は、素子インピーダンスの検出が不可であり、インピーダンス検出電圧Vzは0のままとなる。また、A/F出力電圧AFOはAFO基準電圧(2.5V)に、ポンプセル端子電圧Vipは所定電圧(2.0V)に、それぞれ保持されている。
これに対して、センサ活性後は、インピーダンス検出電圧Vzは所定値(例えば2.24V)に収束する。また、A/F出力電圧AFOは、所定の正常範囲(例えば1.6〜4.1V)内でその都度の排ガス雰囲気に応じた値に収束する。ポンプセル端子電圧Vipは、その都度の素子電流に応じて所定範囲内で制御される。
次に、前記(1)〜(12)の異常形態について、Vz,AFO,Vipが異常値となる場合を中心に説明する。
前記(1)のUN端子断線が生じた場合には、センサ活性後もインピーダンス検出電圧VzとA/F出力電圧AFOとが0のままとなる。
前記(2)〜(4)のUN端子のVBショート、UN端子のGNDショート、UN,VM間の端子間ショートが生じた場合には、何れもセンサ活性前のインピーダンス検出電圧Vzがセンサ制御部の出力上限値(5.0V)に貼り付く。またこの場合、同(2)〜(4)の違いとして、UN端子のVBショートであれば、センサ活性前/活性後を通じてVipが0Vに貼り付き、UN端子のGNDショートであれば、センサ活性前/活性後を通じてVipが5Vに貼り付き、UN,VM間の端子間ショートであれば、活性前Vip=2.5V(異常値)となる。
また、前記(6),(7)のVM端子のVBショート、VM端子のGNDショートが生じた場合には、活性後Vipが出力上限値(5.0V)に貼り付く。但し両者の違いとして、VM端子のVBショートが生じた場合には活性後AFOが0Vに貼り付き、VM端子のGNDショートが生じた場合には、活性後AFOが5.0Vに貼り付く。
前記(8)のVM,IP間の端子間ショートが生じた場合には、活性前Vipが基準電圧電源81の基準電圧(2.5V)に貼り付く。また、活性後AFOが5.0Vに貼り付く。
前記(9)のIP端子断線が生じた場合には、活性後Vipが出力上限値(5.0V)に貼り付く。
前記(10)のIP端子のVBショートが生じた場合には、センサ活性前/活性後を通じてポンプセル端子電圧Vipが出力上限値(5.0V)に貼り付くと共に、センサ活性前/活性後を通じてAFOが0Vに貼り付く。
前記(11)のIP端子のGNDショートが生じた場合には、センサ活性前/活性後を通じてポンプセル端子電圧Vipが出力下限値(0V)に貼り付くと共に、センサ活性前/活性後を通じてAFOが5.0Vに貼り付く。
前記(12)のIP,UN間の端子間ショートが生じた場合には、活性前Vipがポンプセル電圧制御部(オペアンプ82)の基準電圧(=3.0V)に保持される。
図18は、CPU50によるセンサ異常検出処理を示すフローチャートである。
図18において、ステップS401では、センサ活性完了か否かを判別する。そして、センサ活性前においては、インピーダンス検出電圧Vzの計測を行うと共に、該計測したVzが正常値か異常値かを判定しその判定結果(正常値/異常値)を各々メモリに記憶する(ステップS402,S403)。また、A/F出力電圧AFOとポンプセル端子電圧Vipについても同様の処理を行う(ステップS404〜S407)。
センサ活性後においても同じく、インピーダンス検出電圧Vzの計測を行うと共に、該計測したVzが正常値か異常値かを判定しその判定結果(正常値/異常値)を各々メモリに記憶する(ステップS408,S409)。また、A/F出力電圧AFOとポンプセル端子電圧Vipについても同様の処理を行う(ステップS410〜S413)。
その後、ステップS414では、センサ活性前及び活性後の必要データが全て計測完了したか否かを判別する。そして、データ計測完了であれば、前記メモリに記憶したVz,AFO,Vipを用いてセンサ異常検出を実施する。このとき、メモリに記憶したVz,AFO,Vipが前記図17に示すどの異常形態に相当するかによってその都度の異常種別が判定される。
以上第4の実施の形態によれば、センサ活性前及び活性後におけるA/F出力電圧AFOとインピーダンス検出電圧Vzとポンプセル端子電圧Vipとに基づいてA/Fセンサの異常を検出する構成としたため、前記(1)〜(12)の異常形態が各々特定できるようになる。かかる場合、各計測値を入力するCPUには、異常検出パラメータとして少なくともAFO,Vz,VipがA/D入力されれば良く、信号線やA/D入力の構成が簡素化できる。その結果、構成の簡素化を図りつつ、更にA/Fセンサの異常形態を特定することで好適なるセンサ異常検出を実現することができる。
UN端子の電圧とVM端子の電圧とを計測し、その計測値を異常検出パラメータに加える構成としても良い。この場合、異常形態に応じてUN端子電圧、VM端子電圧が所定の異常値になるため、これら各電圧値を用いることで、より細分化した異常形態の特定が可能となる。
他の構成のA/Fセンサを図19に示す。図19のセンサ素子90では、3層の固体電解質101,102,103を有し、固体電解質101には一対の電極104,105が対向配置され、固体電解質102には一対の電極106,107が対向配置されている。本センサ素子90では、固体電解質101及び電極104,105により「第1セル」としてのポンプセル111が構成され、固体電解質102及び電極106,107により「第2セル」としてのモニタセル112が構成されている。また、固体電解質103は、酸素基準室108を確保するための壁材を構成している。センサ素子90が積層構造を有することは、前述のセンサ素子10等と同じである。図19において、符号109は多孔質拡散層、符号110はガス検出室である。なお、モニタセル112は、前記図14のモニタセル72と同様、一般に起電力セル、酸素濃度検出セルとも称される。上記構成のセンサ素子90であっても同様に本発明が適用できる。
更に、積層型構造のA/Fセンサに限らず、コップ型構造のA/Fセンサに本発明を適用したりすることも可能である。また、排ガス中の酸素濃度に応じてセンサ素子の電極間に起電力を発生させるようにした、いわゆるO2 センサにも適用できる。
また、酸素濃度を検出対象とするA/Fセンサ以外に、他の成分濃度を検出対象とするガス濃度センサにも本発明が適用できる。例えば、複合型のガス濃度センサは、固体電解質体にて形成された複数のセルを有し、そのうちポンプセルでは、チャンバ内に導入した被検出ガス中の酸素を排出又はくみ出すと共に酸素濃度を検出し、センサセルでは酸素排出後のガスから特定成分濃度を検出する。これに加え、チャンバ内の残留酸素濃度に応じて起電力信号を出力するモニタセルを有するガス濃度センサであっても良い。このガス濃度センサは、例えば排ガス中のNOx濃度を検出するNOxセンサとして具体化されるものであり、本発明の適用により、NOxセンサについても好適なセンサ異常検出が可能となる。このとき、何れかのセルを対象に素子インピーダンスが検出されると良い。
NOx濃度を検出可能なガス濃度センサの他に、特定成分濃度としてHC濃度やCO濃度を検出可能なガス濃度センサにも適用できる。この場合、ポンプセルにて被検出ガス中の余剰酸素を排出し、センサセルにて余剰酸素排出後のガスからHCやCOを分解してHC濃度やCO濃度を検出する。更に、自動車用以外のガス濃度検出装置に用いること、排ガス以外のガスを被検出ガスとすることも可能である。
エンジンECU内のセンサ制御部の電気的構成を示す回路図である。 センサ素子の構成を示す断面図である。 A/Fセンサの出力特性を示す図である。 A/Fセンサの各種信号の変化を示すタイムチャートである。 A/Fセンサの各異常形態における計測値を示す図である。 A/Fセンサの各異常形態における計測値を示す図である。 センサ異常検出処理を示すフローチャートである。 A/Fセンサの各異常形態における計測値を示す図である。 センサ異常検出処理を示すフローチャートである。 A/Fセンサの各異常形態における計測値を示す図である。 センサ異常検出処理を示すフローチャートである。 エンジンECU内のセンサ制御部の電気的構成を示す回路図である。 A/Fセンサの各異常形態における計測値を示す図である。 別のA/Fセンサの素子構造を示す断面図である。 A/Fセンサの出力特性を示す図である。 センサ制御部の電気的構成を示す回路図である。 A/Fセンサの各異常形態における計測値を示す図である。 センサ異常検出処理を示すフローチャートである。 別のA/Fセンサの素子構造を示す断面図である。
符号の説明
10…センサ素子、11…固体電解質、15,16…電極、22…電流検出抵抗、30…CPU、42…電流検出抵抗、50…CPU、60…センサ素子、61,62…固体電解質、63〜66…電極、71…ポンプセル、72…モニタセル、80…センサ制御回路、83…電流検出抵抗、90…センサ素子、101〜103…固体電解質、104〜107…電極、111…ポンプセル、112…モニタセル、T1…+端子、T2…−端子、VM…共通端子、IP…ポンプセル端子、UN…モニタセル端子。

Claims (12)

  1. 固体電解質体と少なくとも一対の電極とからなるセンサ素子を有したガス濃度センサに正負両側の接続端子を介して接続され、ガス濃度検出時において前記センサ素子に電圧を印加しその電圧印加に伴い流れる素子電流を電流検出抵抗により計測する一方、前記センサ素子の内部抵抗検出時において当該センサ素子への印加電圧又は電流に交流的な変化を付与しそれに伴う電流又は電圧の応答変化量を計測する構成としたガス濃度検出装置において、
    ガス濃度センサの活性前及び活性後における前記ガス濃度検出時の素子電流計測値と、ガス濃度センサの活性後における前記内部抵抗検出時の電流又は電圧の応答変化量計測値とに基づいて前記ガス濃度センサの異常を検出する異常検出手段を備えたことを特徴とするガス濃度検出装置。
  2. 前記異常検出手段は、センサ活性後における前記内部抵抗検出時の電流又は電圧の応答変化量計測値に基づいてセンサ異常の有無を判定し、更にセンサ活性前及び活性後における前記ガス濃度検出時の素子電流計測値に基づいて異常形態を特定する請求項1に記載のガス濃度検出装置。
  3. 前記正負両側の接続端子の何れかに前記電流検出抵抗を接続する構成とし、
    ガス濃度検出時には、素子電流に応じて変化する前記電流検出抵抗の端子電圧を素子電流計測値として計測し、センサ素子の内部抵抗検出時には、素子内部抵抗に応じて変化する前記電流検出抵抗の端子電圧を電流又は電圧の応答変化量計測値として計測する請求項1又は2に記載のガス濃度検出装置。
  4. 前記正負両側の接続端子のうち少なくとも一方の端子電圧をセンサ活性前又は活性後において計測する手段を更に備え、
    前記異常検出手段は、センサ活性前及び活性後における前記ガス濃度検出時の素子電流計測値と、センサ活性後における前記内部抵抗検出時の電流又は電圧の応答変化量計測値とに加え、前記計測した端子電圧計測値に基づいて前記ガス濃度センサの異常を検出する請求項1乃至3の何れかに記載のガス濃度検出装置。
  5. 前記異常検出手段は、前記計測した端子電圧計測値が信号出力範囲の上限値/下限値の何れに貼り付くかによって電源ショートかグランドショートかを特定する請求項4に記載のガス濃度検出装置。
  6. 固体電解質体と少なくとも一対の電極とからなるセンサ素子を有したガス濃度センサに正負両側の接続端子を介して接続され、ガス濃度検出時において前記センサ素子に電圧を印加しその電圧印加に伴い流れる素子電流を電流検出抵抗により計測する一方、前記センサ素子の内部抵抗検出時において当該センサ素子への印加電圧又は電流に交流的な変化を付与しそれに伴う電流又は電圧の応答変化量を計測する構成としたガス濃度検出装置において、
    前記正負両側の接続端子の何れかに前記電流検出抵抗を接続する構成とし、
    前記正負両側の接続端子のうち前記電流検出抵抗を接続していない方の端子電圧を計測するセンサ端子電圧計測手段と、
    ガス濃度センサの活性前及び活性後における前記センサ端子電圧計測手段により計測した端子電圧計測値と、ガス濃度センサの活性後における前記内部抵抗検出時の電流又は電圧の応答変化量計測値とに基づいて前記ガス濃度センサの異常を検出する異常検出手段と、
    を備えたことを特徴とするガス濃度検出装置。
  7. 請求項6の構成において、前記異常検出手段は、センサ活性後における前記内部抵抗検出時の電流又は電圧の応答変化量計測値に基づいてセンサ異常の有無を判定し、更にセンサ活性前及び活性後における前記端子電圧計測値に基づいて異常形態を特定するガス濃度検出装置。
  8. 固体電解質体よりなり、酸素ポンプ動作を行い酸素移動量に応じた電流を流す第1セルと、同じく固体電解質体よりなり、被検出ガスの酸素濃度に応じて所定の起電力信号を出力する第2セルとを有するガス濃度センサに接続され、
    前記第2セルより出力される起電力信号に応じて前記第1セルへの印加電圧を制御し、その電圧印加に伴い流れる第1セル電流を電流検出抵抗により計測する一方、前記第2セルを対象に内部抵抗を検出する際、当該第2セルへの印加電圧又は電流に交流的な変化を付与しそれに伴う電流又は電圧の応答変化量を計測する構成としたガス濃度検出装置において、
    前記第1セルに接続される正負両側の接続端子のうち少なくとも一方の端子電圧を計測する第1セル端子電圧計測手段と、
    ガス濃度センサの活性前及び活性後における前記第1セル電流の計測値と前記内部抵抗検出時の電流又は電圧の応答変化量計測値と前記第1セル端子電圧計測手段により計測した端子電圧計測値とに基づいて前記ガス濃度センサの異常を検出する異常検出手段と、
    を備えたことを特徴とするガス濃度検出装置。
  9. 請求項8の構成において、前記異常検出手段は、前記第1セルに接続される正負両側の接続端子と、前記第2セルに接続される正負両側の接続端子とについて、それら各接続端子の断線、電源ショート、グランドショート、端子間ショートを各々特定するガス濃度検出装置。
  10. 前記第1セル,第2セルに接続される正負両側の接続端子の何れか1つずつをまとめて共通端子とし、その共通端子に基準電圧を印加する構成において、前記第1セル端子電圧計測手段は、前記第1セルに接続される正負両側の接続端子のうち、前記共通端子とは異なる方の端子電圧を計測する請求項8又は9に記載のガス濃度検出装置。
  11. 複数ある異常形態毎に、センサ活性前及び活性後において前記した各計測値が如何なる異常値になるかを予めパターン記憶しておき、前記異常検出手段は、パターン照合により異常形態を特定する請求項1乃至10の何れかに記載のガス濃度検出装置。
  12. センサ起動後、前記ガス濃度センサが非活性状態から活性状態へと移行する移行期間以外で、センサ活性前及び活性後の各種計測値を計測する構成とした請求項1乃至11の何れかに記載のガス濃度検出装置。
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