以下に、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明が適用されたセンサ制御装置20を備えるガス濃度測定装置1の概略構成を示す説明図である。
図1に示すように、ガス濃度測定装置1は、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)の濃度を検出するガスセンサ10(以下、NOxセンサ10ともいう)と、NOxセンサ10を制御するセンサ制御装置20と、を備えて構成される。
NOxセンサ10は、センサ素子としてのセンサ本体11と、センサ本体11を加熱するためのヒータ12と、を備えて構成されている。
そして、センサ本体11は、第1ポンプセル31、酸素濃度検知セル36、第2ポンプセル41を、アルミナを主体とする絶縁層14、15を介して積層した構造を有する。
このうち、第1ポンプセル31は、酸素イオン伝導性を有するジルコニアからなる第1固体電解質体32と、第1固体電解質体32を挟み込むように配置された第1内側電極33および第1外側電極34と、を備えて構成されている。なお、第1内側電極33および第1外側電極34は、白金(Pt)で形成されている。
また、第2ポンプセル41は、酸素イオン伝導性を有するジルコニアからなる第2固体電解質体42と、第2固体電解質体42の表面のうち絶縁層15に面する表面に配置された第2内側電極43および第2外側電極44と、を備えて構成されている。なお、第2内側電極43および第2外側電極44は、白金(Pt)で形成されている。
更に、酸素濃度検知セル36は、酸素イオン伝導性を有するジルコニアからなる検知用固体電解質体37と、検知用固体電解質体37を挟み込むように配置された検知用電極38および基準用電極39と、を備えて構成されている。なお、検知用電極38および基準用電極39は、白金(Pt)で形成されている。
そして、NOxセンサ10の内部のうち第1ポンプセル31と酸素濃度検知セル36との間には、測定対象ガスが導入される第1測定室46が形成されている。第1測定室46には、第1ポンプセル31と酸素濃度検知セル36との間に配置された第1拡散抵抗体16を介して、測定対象ガスが導入される。なお、第1拡散抵抗体16は、多孔質体で構成されている。
また、NOxセンサ10の内部には、酸素濃度検知セル36と第2ポンプセル41との間に形成される空間と、酸素濃度検知セル36を貫通する孔部と、第1ポンプセル31と酸素濃度検知セル36との間に形成される空間と、が連通して形成される第2測定室47が形成されている。第2測定室47は、第1測定室46において酸素濃度が目標濃度に調整された調整後測定対象ガスが導入される。
なお、第1測定室46と第2測定室47とは、第1ポンプセル31と酸素濃度検知セル36との間に配置された第2拡散抵抗体17によって隔てられている。第2拡散抵抗体17は、多孔質体で構成されている。
第1ポンプセル31の第1内側電極33および酸素濃度検知セル36の検知用電極38は、第1測定室46に面するように配置されており、第2ポンプセル41の第2内側電極43は、第2測定室47に面するように配置されている。
NOxセンサ10の内部のうち、酸素濃度検知セル36と第2ポンプセル41との間には、基準酸素室18が形成されている。そして、酸素濃度検知セル36の基準用電極39および第2ポンプセル41の第2外側電極44は、基準酸素室18に面するように配置されている。
このように構成されたNOxセンサ10は、第1ポンプセル31により第1測定室46における酸素のポンピング(汲み入れ、汲み出し)が可能に構成されており、第1測定室46に導入された測定対象ガスの酸素濃度を目標濃度に調整することができる。このとき、酸素濃度検知セル36にて基準酸素室18と第1測定室46との酸素濃度差を検出できるため、酸素濃度が一定に制御された基準酸素室18を基準として第1測定室46の酸素濃度を判定する。
なお、本実施の形態では、図2に示すセンサ制御装置20に設けられた定電流回路24を用いて一定値の微小電流Icpを酸素濃度検知セル36に通電することで、酸素濃度検知セル36を介して第1測定室46(図1参照)から基準酸素室18(図1参照)に酸素を供給しており、これにより基準酸素室18の酸素濃度は一定に制御される。
第1測定室46に導入された測定対象ガスは、酸素濃度が目標濃度に調整されて調整後測定対象ガスとなり、調整後測定対象ガスは、第2拡散抵抗体17を介して第2測定室47に導入される。
第2測定室47では、一定電圧(Vp2)が印加された第2ポンプセル41を構成する第2内側電極43の触媒作用によって、調整後測定対象ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)が分解される。これにより、調整後測定対象ガスに含まれる窒素酸化物の濃度(換言すれば、分解により得られた酸素の量)に対応した電極間電流(第2ポンプ電流Ip2)が第2ポンプセル41に流れる。このことから、第2ポンプセル41に流れる第2ポンプ電流Ip2の大きさ(あるいは電流積分値)に基づいて、測定対象ガス中の特定ガス(窒素酸化物)の濃度を測定することが可能となる。
次に、ヒータ12は、平板状に形成されており、第1ポンプセル31に対向して配置されている。また、ヒータ12は、センサ制御装置20から供給される電力により、センサ本体11の温度が所定の活性化温度(約550〜900[℃])になるように制御される。
次に、NOxセンサ10により、排気ガス中の窒素酸化物の濃度測定を行うセンサ制御装置20について、図2に基づき説明する。
図2は、NOxセンサ10およびセンサ制御装置20を備えるガス濃度測定装置1の回路構成を示す回路図である。
図2に示すように、センサ制御装置20は、第1ポンプセル31(以下「P1セル31」ともいう)に第1ポンプ電流Ip1を供給する第1ポンプ電流供給回路21と、酸素濃度検知セル36(以下「Vsセル36」ともいう)の両端電圧(電極間電圧)Vsが一定値(425mV)となるように、第1ポンプ電流供給回路21が供給する第1ポンプ電流Ip1をPID(比例・積分・微分)制御するPID回路22と、第2ポンプセル41(以下「P2セル41」ともいう)に一定の第2ポンプ電圧Vp2を印加するための第2ポンプ電圧印加回路23と、ヒータ12の温度を制御するヒータ制御回路25と、センサ制御装置20の全体の制御を行う制御部30と、を備えている。
尚、センサ制御装置20は、Vsセル36の内部抵抗の測定を行うための内部抵抗測定ブロック48を有している。
この内部抵抗測定ブロック48は、Vsセル36に一定電流を流すための2つの定電流源28,29と、PID回路22の入力段に設けられVsセル36とPID回路22の接続/遮断を行うスイッチSW1と、Vsセル36と定電流源の切断/接続を行うスイッチSW2およびスイッチSW3と、を備えて構成されている。なお、内部抵抗測定ブロック48に備えられるスイッチSW1、SW2、SW3は、制御部30によってオン/オフ制御される。
第1ポンプ電流供給回路21は、非反転入力端子に所定の第1基準電圧Vf1(例えば2.5V)が印加され、反転入力端子に電流検出抵抗Rp1を介してPID回路22の出力が印加され、出力端子と反転入力端子との間にP1セル31が接続されたオペアンプOP1を備えて構成される。
また、P1セル31の第1内側電極33、P2セル41の第2内側電極43、Vsセル36の検知用電極38は、オペアンプOP1の反転入力端子側に共通に接続されている。従って、P1セル31、P2セル41、Vsセル36の共通接続側電極の電位は、いずれもオペアンプOP1の非反転入力端子と同電位、即ち第1基準電圧Vf1に保持される。
第2ポンプ電圧印加回路23は、出力端子が電流検出抵抗Rp2を介してP2セル41に接続されると共に、反転入力端子に電流検出抵抗Rp2のP2セル41側端が接続され、非反転入力端子への印加電圧(第2基準電圧Vf2)をP2セル41に印加するための周知のバッファ回路として構成されたオペアンプOP2を備えて構成される。
また、センサ制御装置20は、ヒータ12の温度を制御するヒータ制御回路25を備えている。ヒータ制御回路25は、Vsセル36の内部抵抗Rpvsを測定し、測定した内部抵抗Rpvsに基づいてセンサ本体11の温度を判定して、センサ本体11を目標温度に近づけるためにヒータ12の温度を制御する。
なお、センサ制御装置20は、第1ポンプ電流Ip1および第2ポンプ電流Ip2の検出値として、電流検出抵抗Rp1、Rp2の両端電圧をそれぞれ図示しない差動増幅回路にて差動増幅し、得られた電圧V(Rp1),V(Rp2)を制御部30に出力するとともに、Vsセル36の内部抵抗Rpvsとして抵抗Rp3の一端(オペアンプOP4と接続される側とは反対側の端)の電圧V(Rp3)を制御部30に対して出力するように構成されている。
このように構成されたセンサ制御装置20は、ヒータ12にてセンサ本体11を活性温度(例えば800℃)まで加熱する。そして、センサ制御装置20は、センサ本体11を活性温度にした状態で、酸素濃度検知セル36の電極間電圧Vsが予め設定された一定電圧(例えば425mV)となるように第1ポンプ電流Ip1を制御する。また、センサ制御装置20は、第2ポンプセル41に対して、第2測定室47から酸素を汲み出す方向に一定の第2ポンプ電圧Vp2(例えば450mV)を印加するとともに、第2ポンプセル41に流れる第2ポンプ電流Ip2の検出を行う。
つまり、センサ制御装置20が上記のように第1ポンプ電流Ip1を制御して第1測定室46における酸素のポンピング(汲み入れ、汲み出し)を行うことで、第1測定室46の酸素濃度は、低酸素濃度(≒0%)に保持される。これにより、第1測定室46に導入された測定対象ガスは、酸素濃度が目標濃度に調整されて調整後測定対象ガスとなり、調整後測定対象ガスは、第2測定室47に導入される。
また、センサ制御装置20が第2ポンプ電圧Vp2を所定の電圧に保持することで、第2内側電極43の触媒作用により第2測定室47の窒素酸化物が分解され、その分解量に応じた第2ポンプ電流Ip2が第2ポンプセル41に流れる。このように、第2ポンプ電流Ip2が窒素酸化物の濃度に対応した大きさとなることから、第2ポンプ電流Ip2(電流値、電流積分値など)に基づいて測定対象ガス中の窒素酸化物の濃度を判定することが可能となる。
なお、測定対象ガス中の特定ガス(窒素酸化物)の濃度を判定するための特定ガス検出処理は、制御部30にて実行される。つまり、特定ガス検出処理を実行する制御部30が、センサ制御装置20における各部の動作を制御する(例えば、第1ポンプ電流Ip1の制御など)とともに、ガス検知に必要な情報(第2ポンプ電流Ip2など)を取得することで、測定対象ガス中の窒素酸化物の濃度が判定できる。
次に、センサ制御装置20において、Vsセル36の内部抵抗の測定を行う内部抵抗測定ブロック48について説明する。
内部抵抗測定ブロック48に備えられるオペアンプOP3は、その入力端子がスイッチSW1を介して、Vsセル36の出力端子に接続されている。また、オペアンプOP3の出力端子は、PID回路22の入力端子に接続されている。
オペアンプOP3は、その入力端子とグランド電位(以下「GND」ともいう。)との間に設けられているコンデンサC1と共に、サンプルホールド回路を形成している。
そして、オペアンプOP3とコンデンサC1とで構成されるサンプルホールド回路は、Vsセル36の内部抵抗測定を行うための内部抵抗測定用電流を供給する直前のVsセル36の出力電圧Vsを保持して、PID回路22に出力する役割を果たす。
オペアンプOP4は、2入力の差動アンプであり、+側の入力端子がオペアンプOP3の出力端子に接続され、−側の入力端子がVsセル36の出力端子に接続されている。そして、オペアンプOP4は、サンプルホールド回路に保持されている電圧(内部抵抗測定用電圧を印加する直前のVsセル36の出力電圧Vs)と、Vsセル36に内部抵抗測定用電流−Iconstを供給したときのVsセル36の端子電圧との差分(以下、電圧変化量ΔVsともいう)を抵抗Rp3を介して、制御部30およびヒータ制御回路25に出力する。
スイッチSW1は、Vsセル36の出力端子とオペアンプOP3の入力端子との間に設けられ、制御部30によりオン/オフ制御されて、センサ制御装置20の動作状態を、ガス濃度測定状態または内部抵抗測定状態のいずれかに切替えるために備えられている。
なお、センサ制御装置20の動作状態をガス濃度測定状態に設定する場合には、スイッチSW1がオン状態(短絡状態)に設定されて、オペアンプOP3は、PID回路22に対してVsセル36の出力電圧を入力する。また、センサ制御装置20の動作状態を内部抵抗測定状態に設定する場合には、スイッチSW1がオフ状態(開放状態)に設定されて、オペアンプOP3は、コンデンサC1に保持されている電圧(内部抵抗測定用電圧を印加する直前のVsセル36の出力電圧Vs)を、PID回路22に対して出力する。
また、スイッチSW2は、Vsセル36の出力端子と定電流源28との間に設けられ、制御部30によりオン/オフ制御されることで、定電流源28からの内部抵抗測定用の電流−IconstをVsセル36に供給/遮断する役割を果たしている。
スイッチSW3は、Vsセル36の出力端子と定電流源29との間に設けられ、制御部30によりオン/オフ制御され、スイッチSW2を介してVsセル36に流される内部抵抗測定用電流−Iconstとは逆極性の電流+Iconstを、Vsセル36に供給/遮断する役割を果たしている。
そして、制御部30は、Vsセル36の内部抵抗Rpvsを演算するための内部抵抗測定処理を所定タイミングで実行する。なお、内部抵抗測定処理では、スイッチSW1、SW2、SW3をオン/オフ制御して、Vsセル36に一定電流−Iconstを流し、一定電流−Iconstの通電によるVsセル36の電圧変化量ΔVsを検出して、一定電流−Iconstと電圧変化量ΔVsとに基づいてVsセル36の内部抵抗Rpvsを演算するという一連の処理を行う。
なお、本実施形態のガス濃度測定装置1は、自動車エンジンの排気ガス中の窒素酸化物濃度を測定するために備えられており、センサ制御装置20の制御部30は、ガスセンサ10から検出した各種情報を電子制御装置(ECU)に対して出力するように構成されている。そして、電子制御装置(ECU)は、自動車の各部を総合的に制御するものであり、例えば、空燃比制御などを実行する。
また、センサ制御装置20の制御部30は、特定ガス検出処理や内部抵抗測定処理等の他に、NOxセンサ10とセンサ制御装置20とを接続する接続経路(配線経路)が異常状態であるか否かを判定するための処理(接続判定処理)を実行する。
そこで、制御部30が実行する接続判定処理について説明する。
図3に、接続判定処理の処理内容を表したフローチャートを示す。
接続判定処理が起動されると、まず、S110(Sはステップを表す)にて、NOxセンサ10が活性化状態であるか否かを判断しており、活性化状態である場合には肯定判定されてS120に移行し、活性化状態ではない場合には否定判定されて、活性化状態になるまで同ステップを繰り返し実行する。
なお、S110では、具体的には、内部抵抗測定処理で測定されたVsセル36の内部抵抗Rpvsに基づき判定されるNOxセンサ10の判定温度が、所定の活性化温度であるか否かを判断することで、NOxセンサ10が活性化状態であるか否かを判断する。
S110で肯定判定されてS120に移行すると、S120では、第1ポンプ電流Ip1および第2ポンプ電流Ip2を検出して蓄積するとともに、第2ポンプセル41の通電状態が変動する要因が発生したか否かを判定する処理(情報サンプリング処理)を実行する。
図4に、情報サンプリング処理の処理内容を表したフローチャートを示す。
情報サンプリング処理では、まず、S210にて、処理に用いる内部変数の初期化処理を実行する。具体的には、Ip1軌跡長積算変数(以下、ΣIp1軌跡長ともいう)、Ip2軌跡長積算変数(以下、ΣIp2軌跡長ともいう)、測定時間変数などの各変数に対して初期値(0など)を代入することで、各変数を初期化する。
なお、Ip1軌跡長積算変数(ΣIp1軌跡長)は、第1ポンプセル31の通電状態(詳細には、第1ポンプ電流Ip1)の変化量(換言すれば、第1ポンプ電流Ip1の波形の軌跡長)に応じた値を記録するための変数である。Ip2軌跡長積算変数(ΣIp2軌跡長)は、第2ポンプセル41の通電状態(詳細には、第2ポンプ電流Ip2)の変化量(換言すれば、第2ポンプ電流Ip2の波形の軌跡長)に応じた値を記録するための変数である。測定時間変数は、経過時間を記録するための変数である。
また、S210では、測定時間変数を初期化した後、単位時間毎に測定時間変数を更新して経過時間を計測するタイマカウント処理を起動する。なお、タイマカウント処理は、本処理(情報サンプリング処理)と並行して実行される。
次のS220では、測定時間変数の値を用いて経過時間を判断し、予め定められた1サンプリング時間が経過するまで待機するとともに、1サンプリング時間が経過した時点で、第1ポンプ電流Ip1および第2ポンプ電流Ip2を検出する処理を実行する。
続くS230では、今回のサンプリング時期(数値検出時期)に検出した第1ポンプ電流Ip1および第2ポンプ電流Ip2の数値を用いて、Ip1軌跡長積算変数(ΣIp1軌跡長)およびIp2軌跡長積算変数(ΣIp2軌跡長)を更新する処理を行う。
なお、Ip1軌跡長積算変数の更新は、第1ポンプ電流Ip1における今回検出値Ip1(n)と前回検出値Ip1(n−1)との差分値(以下、軌跡(Ip1(n)−Ip1(n−1)ともいう)を算出し、算出した差分値(軌跡(Ip1(n)−Ip1(n−1))をIp1軌跡長積算変数に加算することで実行する。なお、第1回目の検出時には、前回検出値として予め定められた値を用いて演算処理を実行する。
また、Ip2軌跡長積算変数の更新については、第2ポンプ電流Ip2を用いて、Ip1軌跡長積算変数の更新と同様の演算を行うことにより実行する。
次のS240では、Ip1軌跡長積算変数(ΣIp1軌跡長)が閾値(予め定められた第1電流軌跡変動判定値)以上であるか否かを判定し、肯定判定されると本処理(情報サンプリング処理)を終了し、否定判定されると再びS220に移行する。
なお、第1電流軌跡変動判定値は、第1ポンプセル31の通電状態が変動したことを判定するために定められた判定値であり、実際のNOxセンサを用いた実測データなどに基づいて定めることができる。例えば、第1電流軌跡変動判定値は、第2ポンプセル41の通電状態を変動させる要因(例えば、測定対象ガスの酸素濃度変化など)に関連して第1ポンプセル31の通電状態が変動したときの第1ポンプ電流Ip1(詳細には、第1ポンプ電流Ip1の軌跡積算値)に基づいて定めることができる。
つまり、S240では、Ip1軌跡長積算変数(ΣIp1軌跡長)に基づいて、第2ポンプセル41の通電状態が変動する要因が発生したか否かを判定する処理を行う。
S240で肯定判定されると、本処理(情報サンプリング処理)を終了するとともに、再び接続判定処理に処理を移行する。
次に、接続判定処理におけるS130では、第2ポンプセル41とセンサ制御装置20とを接続する接続経路(Ip2+配線経路)に異常が無いか否かを判定する処理(Ip2+配線判定処理)を実行する。
図5に、Ip2+配線判定処理の処理内容を表したフローチャートを示す。
Ip2+配線判定処理では、まず、S310にて、情報サンプリング処理で得られたIp2軌跡長積算変数(ΣIp2軌跡長)の数値が判定値(予め定められた第2電流軌跡変動判定値)以上であるか否かを判定しており、肯定判定されるとS320に移行し、否定判定されるとS330に移行する。
なお、第2電流軌跡変動判定値は、第2ポンプセル41の通電状態が変動したことを判定するために定められた判定値であり、実際のNOxセンサを用いた実測データなどに基づいて定めることができる。例えば、第2電流軌跡変動判定値は、上述した情報サンプリング処理(詳細にはS240)で判断される要因(第2ポンプセル41の通電状態を変動させる要因)に起因して第2ポンプセル41の通電状態が変動したときの第2ポンプ電流Ip2(詳細には、第2ポンプ電流Ip2の波形の軌跡積算値)に基づいて定めることができる。
つまり、S310では、Ip2軌跡長積算変数(ΣIp2軌跡長)を用いて第2ポンプセル41の通電状態が変動したか否かを判定する処理を行う。
S310で肯定判定されてS320に移行すると、S320では、Ip2+配線経路が正常である(換言すれば、異常が無い)と判断して、Ip2+配線経路が異常状態であることを示す経路異常フラグFaをリセットする処理を行う。
S310で否定判定されてS330に移行すると、S330では、情報サンプリング処理で計測を開始した測定時間変数の数値に基づき、情報サンプリング処理(S120)の所要時間が閾値(予め定められた所要時間判定値)以上であるか否かを判定しており、肯定判定されるとS350に移行し、否定判定されるとS340に移行する。
なお、所要時間判定値は、第2ポンプセル41の通電状態を変動させる要因の発生期間に基づいて定められている。つまり、所要時間判定値は、情報サンプリング処理の所要時間(換言すれば、第1ポンプ電流Ip1および第2ポンプ電流Ip2のサンプリング所要時間)として、Ip2+配線経路の状態判定に誤差を生じさせない範囲内の時間で設定されている。
すなわち、情報サンプリング処理の所要時間が長時間となる場合には、所要時間が長時間であることがIp2軌跡長積算変数(ΣIp2軌跡長)を大きくした原因の1つとなるため、実際に第2ポンプ電流Ip2が僅かしか変動していない場合でも、Ip2軌跡長積算変数が大きい値となる場合がある。このため、情報サンプリング処理の所要時間が長時間となる場合には、第2ポンプセル41の通電状態が変動したか否かを正確に判定することができない虞がある。
このことから、S330で肯定判定されてS350に移行した場合には、S350では、Ip2+配線経路の状態判定を行わない。
他方、S330で否定判定されてS340に移行すると、S340では、Ip2+配線経路が異常状態であると判断して、Ip2+配線経路が異常状態であることを示す経路異常フラグFaをセットする処理を行う。
なお、経路異常フラグFaがセットされると、別途実行される異常発生対応処理が起動される。異常発生対応処理では、第2ポンプセル41とセンサ制御装置20とを接続する接続経路(Ip2+配線経路)が異常状態であることを使用者に報知する処理、特定ガス検出処理で得られた特定ガス濃度に誤差があることを通知する処理、特定ガス検出処理で得られた特定ガス濃度を他の制御処理に使用するのを禁止する処理などを実行する。
S320,S340,S350のいずれかの処理が終了すると、本処理(Ip2+配線判定処理)を終了するとともに、再び接続判定処理に処理を移行する。
このあと、S130の処理が終了するとともに、接続判定処理が終了する。
なお、接続判定処理は、センサ制御装置20の起動中において、一定周期毎に繰り返し実行される。
ここで、実際のNOxセンサを用いて第1ポンプ電流Ip1および第2ポンプ電流Ip2を測定したときの測定結果を図12に示す。
図12に示すように、第1ポンプ電流Ip1(換言すれば、第1ポンプセル31の通電状態)が大きく変動した時には、これに追従するようにして、第2ポンプ電流Ip2(換言すれば、第2ポンプセル41の通電状態)が大きく変動することが判る。なお、このような通電状態の変動は、例えば、第1測定室46に導入される測定対象ガスの酸素濃度が変動することに起因して発生する。
このため、上述した接続判定処理のように、Ip1軌跡長積算変数(ΣIp1軌跡長)に基づいて第1ポンプ電流Ip1の通電状態が変動するか否かを判定(S240)することで、第2ポンプセル41の通電状態が変動する時期を特定することができる。
そして、第1ポンプ電流Ip1の通電状態が変動したと判定(S240で肯定判定)されて、第2ポンプセル41の通電状態が変動する時期を特定したあと、実際に第2ポンプセル41の通電状態が変動したか否かを判定(S310)することで、Ip2+配線経路が異常状態であるか否かを判定できる。
以上説明したように、本実施形態のセンサ制御装置20は、第1ポンプセル31の通電状態(第1ポンプ電流Ip1)が変動したと判定された場合に、第2ポンプセル41の通電状態(第2ポンプ電流Ip2)が変動したか否かによって、第2ポンプセル41とセンサ制御装置20との接続状態が正常状態であるか異常状態であるかを判定している。
このため、センサ制御装置20は、NOxセンサ10のセルに対して異常検出用の信号入力を行うことなく、第2ポンプセル41とセンサ制御装置20との接続状態が正常状態であるか異常状態であるかを判定できる。つまり、センサ制御装置20は、第2ポンプセル41とセンサ制御装置20との接続状態が正常状態であるか異常状態であるかを判定するにあたり、ガス検出を中断する必要が無いという利点がある。
よって、本実施形態のセンサ制御装置20によれば、特定ガス(NOx)濃度の検出動作を中断することなく、NOxセンサ10(詳細には、第2ポンプセル41)とセンサ制御装置20との接続状態が異常であるか否かを判定することが可能となる。すなわち、センサ制御装置20は、特定ガス(NOx)濃度の検出動作と、NOxセンサ10とセンサ制御装置20との接続状態の異常判定動作とを、並行して実行できるという作用効果を奏するものとなる。
また、センサ制御装置20は、Ip1軌跡長積算変数(ΣIp1軌跡長)を用いて判断することから(S240)、第1ポンプセル31の通電状態(第1ポンプ電流Ip1)が変動したか否かを適切に判断できるとともに、第2ポンプセル41の通電状態が変動する時期を適切に判定できる。
さらに、センサ制御装置20は、Ip2軌跡長積算変数(ΣIp2軌跡長)を用いて判断することから(S310)、第2ポンプセル41の通電状態(第2ポンプ電流Ip2)が変動したか否かを適切に判断できるとともに、NOxセンサ10(第2ポンプセル41)とセンサ制御装置20との接続状態が異常であるか否かを適切に判定できる。
なお、本実施形態においては、NOxセンサ10が特許請求の範囲に記載のガスセンサに相当し、第2ポンプセル41が異常判定対象セルに相当し、第1ポンプセル31が変動判定基準セルに相当し、S120(情報サンプリング処理)を実行する制御部30が通電状態変動判定手段に相当し、S130(Ip2+配線判定処理)を実行する制御部30が接続状態判定手段に相当する。
また、Ip1軌跡長積算変数(ΣIp1軌跡長)が基準セル変動量に相当し、第1電流軌跡変動判定値が基準変動判定値に相当し、Ip2軌跡長積算変数(ΣIp2軌跡長)が対象セル変動量に相当し、第2電流軌跡変動判定値が対象変動判定値に相当する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、種々の態様を採ることができる。
例えば、上記実施形態(以下、第1実施形態ともいう)では、変動判定基準セルの通電状態を第1ポンプ電流Ip1によって判定し、異常判定対象セルの通電状態を第2ポンプ電流Ip2によって判定して、接続経路の異常判定を行う実施形態について説明したが、第1ポンプ電流Ip1、第2ポンプ電流Ip2とは別の状態量を用いてもよい。
そこで、第2実施形態として、変動判定基準セルの通電状態として第1ポンプセル31の電極間電圧(第1ポンプ電圧Vp1)を用いて判定し、異常判定対象セルの通電状態として第2ポンプ電流Ip2を用いて判定して、接続経路の異常判定を行う実施形態について説明する。
なお、第2実施形態では、詳細には、第1ポンプ電圧Vp1の軌跡長と第2ポンプ電流Ip2の積分値(面積)とを用いて、接続経路の異常判定を行う。また、第2実施形態のガス濃度測定装置は、基本的な構成は第1実施形態のガス濃度測定装置1と同様であり、制御部30が実行する接続判定処理の処理内容が異なることから、以下の説明では、接続判定処理を中心に説明する。なお、第2実施形態の構成要素のうち第1実施形態と同様の構成要素は、同一符号を用いて表す。
まず、第2実施形態のガス濃度測定装置における接続判定処理の処理内容は、図3に示すフローチャートのうちS120の処理内容およびS130の処理内容が、第1実施形態とは異なる。
図6に第2実施形態でのS120の処理内容(第2情報サンプリング処理)を表すフローチャートを示し、図7に第2実施形態でのS130の処理内容(第2Ip2+配線判定処理)を表すフローチャートを示す。
第2情報サンプリング処理では、まず、S410にて、第2ポンプ電流Ip2の平均値Ip2#avgを演算する処理を実行する。なお、平均値Ip2#avgの演算方法としては、予め定められた検出期間中に検出される第2ポンプ電流Ip2の蓄積データに基づいて、検出期間中の第2ポンプ電流Ip2の平均値(移動平均値)を演算する演算方法等がある。
次のS420では、処理に用いる内部変数の初期化処理を実行する。具体的には、Vp1軌跡長積算変数(以下、ΣVp1軌跡長ともいう)、Ip2面積変数(以下、ΣIp2面積ともいう)、測定時間変数などの各変数に対して初期値(0など)を代入することで、各変数を初期化する。
なお、Vp1軌跡長積算変数(ΣVp1軌跡長)は、第1ポンプセル31の通電状態(詳細には、第1ポンプ電圧Vp1)の変化量(換言すれば、第1ポンプ電圧Vp1の波形の軌跡長)に応じた値を記録するための変数である。Ip2面積変数(ΣIp2面積)は、第2ポンプセル41の通電状態(詳細には、第2ポンプ電流Ip2)の変化量(換言すれば、第2ポンプ電流Ip2の波形の積分値)に応じた値を記録するための変数である。測定時間変数は、経過時間を記録するための変数である。
また、S420では、測定時間変数を初期化した後、単位時間毎に測定時間変数を更新して経過時間を計測するタイマカウント処理を起動する。なお、タイマカウント処理は、本処理(第2情報サンプリング処理)と並行して実行される。
次のS430では、測定時間変数の値を用いて経過時間を判断し、予め定められた1サンプリング時間が経過するまで待機するとともに、1サンプリング時間が経過した時点で、第1ポンプ電圧Vp1および第2ポンプ電流Ip2を検出する処理を実行する。
続くS440では、今回のサンプリング時期(数値検出時期)に検出した第1ポンプ電圧Vp1および第2ポンプ電流Ip2の数値を用いて、Vp1軌跡長積算変数(ΣVp1軌跡長)およびIp2面積変数(ΣIp2面積)を更新する処理を行う。
なお、Vp1軌跡長積算変数の更新は、第1ポンプ電圧Vp1における今回検出値Vp1(n)と前回検出値Vp1(n−1)との差分値(以下、軌跡(Vp1(n)−Vp1(n−1)ともいう)を算出し、算出した差分値(軌跡(Vp1(n)−Vp1(n−1))をVp1軌跡長積算変数に加算することで実行する。なお、第1回目の検出時には、前回検出値として予め定められた値を用いて演算処理を実行する。
また、Ip2面積変数の更新は、まず、第2ポンプ電流Ip2における今回検出値Ip2(n)とS410の演算で得られた平均値Ip2#avgとの差分値を算出し、その差分値の絶対値に1サンプリング時間を乗じて得られる値(今回算出面積)を算出する。そして、Ip2面積変数(ΣIp2面積)に今回算出面積を加算することで、Ip2面積変数の更新を行う。
次のS450では、Vp1軌跡長積算変数(ΣVp1軌跡長)が閾値(予め定められた第1電圧軌跡変動判定値)以上であるか否かを判定し、肯定判定されると本処理(第2情報サンプリング処理)を終了し、否定判定されると再びS430に移行する。
なお、第1電圧軌跡変動判定値は、第1ポンプセル31の通電状態が変動したことを判定するために定められた判定値であり、実際のNOxセンサを用いた実測データなどに基づいて定めることができる。例えば、第1電圧軌跡変動判定値は、第2ポンプセル41の通電状態を変動させる要因(例えば、測定対象ガスの酸素濃度変化など)に関連して第1ポンプセル31の通電状態が変動したときの第1ポンプ電圧Vp1(詳細には、第1ポンプ電圧Vp1の軌跡積算値)に基づいて定めることができる。
つまり、S450では、Vp1軌跡長積算変数(ΣVp1軌跡長)に基づいて、第2ポンプセル41の通電状態が変動する要因が発生したか否かを判定する処理を行う。
S450で肯定判定されると、本処理(第2情報サンプリング処理)を終了するとともに、再び接続判定処理に処理を移行する。
次に、第2実施形態の接続判定処理におけるS130では、第2ポンプセル41とセンサ制御装置20とを接続する接続経路(Ip2+配線経路)に異常が無いか否かを判定する処理(第2Ip2+配線判定処理)を実行する。
図7に示すように、第2Ip2+配線判定処理では、まず、S510にて、第2情報サンプリング処理で得られたIp2面積変数(ΣIp2面積)の数値が判定値(予め定められた第2電流面積変動判定値)以上であるか否かを判定しており、肯定判定されるとS520に移行し、否定判定されるとS530に移行する。
なお、第2電流面積変動判定値は、第2ポンプセル41の通電状態が変動したことを判定するために定められた判定値であり、実際のNOxセンサを用いた実測データなどに基づいて定めることができる。例えば、第2電流面積変動判定値は、上述した第2情報サンプリング処理(詳細にはS450)で判断される要因(第2ポンプセル41の通電状態を変動させる要因)に起因して第2ポンプセル41の通電状態が変動したときの第2ポンプ電流Ip2(詳細には、第2ポンプ電流Ip2の波形の積分値)に基づいて定めることができる。
つまり、S510では、Ip2面積変数(ΣIp2面積)を用いて第2ポンプセル41の通電状態が変動したか否かを判定する処理を行う。
S510で肯定判定されてS520に移行すると、S520では、Ip2+配線経路が正常である(換言すれば、異常が無い)と判断して、Ip2+配線経路が異常状態であることを示す経路異常フラグFaをリセットする処理を行う。
S510で否定判定されてS530に移行すると、S530では、第2情報サンプリング処理で計測を開始した測定時間変数の数値に基づき、第2情報サンプリング処理(S120)の所要時間が閾値(予め定められた所要時間判定値)以上であるか否かを判定しており、肯定判定されるとS550に移行し、否定判定されるとS540に移行する。
なお、所要時間判定値は、第2ポンプセル41の通電状態を変動させる要因の発生期間に基づいて定められている。つまり、所要時間判定値は、第2情報サンプリング処理の所要時間(換言すれば、第1ポンプ電圧Vp1および第2ポンプ電流Ip2のサンプリング所要時間)として、Ip2+配線経路の状態判定に誤差を生じさせない範囲内の時間で設定されている。
すなわち、第2情報サンプリング処理の所要時間が長時間となる場合には、所要時間が長時間であることがIp2面積変数(ΣIp2面積)を大きくした原因の1つとなるため、実際に第2ポンプ電流Ip2が僅かしか変動していない場合でも、Ip2面積変数が大きい値となる場合がある。このため、第2情報サンプリング処理の所要時間が長時間となる場合には、第2ポンプセル41の通電状態が変動したか否かを正確に判定することができない虞がある。
このことから、S530で肯定判定されてS550に移行した場合には、S550では、Ip2+配線経路の状態判定を行わない。
他方、S530で否定判定されてS540に移行すると、S540では、Ip2+配線経路が異常状態であると判断して、Ip2+配線経路が異常状態であることを示す経路異常フラグFaをセットする処理を行う。
なお、経路異常フラグFaがセットされると、別途実行される異常発生対応処理が起動される。異常発生対応処理では、第2ポンプセル41とセンサ制御装置20とを接続する接続経路(Ip2+配線経路)が異常状態であることを使用者に報知する処理、特定ガス検出処理で得られた特定ガス濃度に誤差があることを通知する処理、特定ガス検出処理で得られた特定ガス濃度を他の制御処理に使用するのを禁止する処理などを実行する。
S520,S540,S550のいずれかの処理が終了すると、本処理(第2Ip2+配線判定処理)を終了するとともに、再び接続判定処理に処理を移行する。
このあと、第2実施形態におけるS130の処理が終了するとともに、第2実施形態の接続判定処理が終了する。なお、接続判定処理は、センサ制御装置20の起動中において、一定周期毎に繰り返し実行される。
図12に示す測定結果から判るように、第1ポンプ電流Ip1(換言すれば、第1ポンプセル31の通電状態)が大きく変動した時には、これに追従するようにして、第2ポンプ電流Ip2(換言すれば、第2ポンプセル41の通電状態)が大きく変動する。なお、このような通電状態の変動は、例えば、第1測定室46に導入される測定対象ガスの酸素濃度が変動することに起因して発生する。
このため、本実施形態の接続判定処理のように、Vp1軌跡長積算変数(ΣVp1軌跡長)に基づいて第1ポンプセル31の通電状態が変動するか否かを判定(S450)することで、第2ポンプセル41の通電状態が変動する時期を特定することができる。
そして、第1ポンプセル31の通電状態が変動したと判定(S450で肯定判定)されて、第2ポンプセル41の通電状態が変動する時期を特定したあと、実際に第2ポンプセル41の通電状態が変動したか否かを判定(S510)することで、Ip2+配線経路が異常状態であるか否かを判定できる。
以上説明したように、第2実施形態のセンサ制御装置20は、第1ポンプセル31の通電状態(第1ポンプ電圧Vp1)が変動したと判定された場合に、第2ポンプセル41の通電状態(第2ポンプ電流Ip2)が変動したか否かによって、第2ポンプセル41とセンサ制御装置20との接続状態が正常状態であるか異常状態であるかを判定している。
このため、第2実施形態のセンサ制御装置20は、第1実施形態と同様に、NOxセンサ10のセルに対して異常検出用の信号入力を行うことなく、第2ポンプセル41とセンサ制御装置20との接続状態が正常状態であるか異常状態であるかを判定できるため、接続状態が正常状態であるか異常状態であるかを判定するにあたり、ガス検出を中断する必要が無いという利点がある。
よって、本実施形態のセンサ制御装置20によれば、特定ガス濃度(NOx)の検出動作を中断することなく、NOxセンサ10(詳細には、第2ポンプセル41)とセンサ制御装置20との接続状態が異常であるか否かを判定することが可能となる。
また、センサ制御装置20は、Vp1軌跡長積算変数(ΣVp1軌跡長)を用いて判断することから(S450)、第1ポンプセル31の通電状態(第1ポンプ電圧Vp1)が変動したか否かを適切に判断できるとともに、第2ポンプセル41の通電状態が変動する時期を適切に判定できる。
さらに、センサ制御装置20は、Ip2面積変数(ΣIp2面積)を用いて判断することから(S510)、第2ポンプセル41の通電状態(第2ポンプ電流Ip2)が変動したか否かを適切に判断できるとともに、NOxセンサ10(第2ポンプセル41)とセンサ制御装置20との接続状態が異常であるか否かを適切に判定できる。
なお、本実施形態においては、S120(第2情報サンプリング処理)を実行する制御部30が通電状態変動判定手段に相当し、S130(第2Ip2+配線判定処理)を実行する制御部30が接続状態判定手段に相当する。
また、Vp1軌跡長積算変数(ΣVp1軌跡長)が基準セル変動量に相当し、第1電圧軌跡変動判定値が基準変動判定値に相当し、Ip2面積変数(ΣIp2面積)が対象セル変動量に相当し、第2電流面積変動判定値が対象変動判定値に相当する。
次に、第3実施形態として、変動判定基準セルの通電状態として酸素濃度検知セル36の電極間電圧(酸素検知電圧Vs)を用いて判定し、異常判定対象セルの通電状態として第2ポンプ電流Ip2を用いて判定して、接続経路の異常判定を行う実施形態について説明する。
なお、第3実施形態では、詳細には、酸素検知電圧Vsの積分値(面積)と第2ポンプ電流Ip2の積分値(面積)とを用いて、接続経路の異常判定を行う。また、第3実施形態のガス濃度測定装置は、基本的な構成は第1実施形態のガス濃度測定装置1と同様であり、制御部30が実行する接続判定処理の処理内容が異なることから、以下の説明では、接続判定処理を中心に説明する。なお、第3実施形態の構成要素のうち第1実施形態と同様の構成要素は、同一符号を用いて表す。
まず、第3実施形態のガス濃度測定装置における接続判定処理の処理内容は、図3に示すフローチャートのうちS120の処理内容およびS130の処理内容が、第1実施形態とは異なる。
図8に第2実施形態でのS120の処理内容(第3情報サンプリング処理)を表すフローチャートを示し、図9に第2実施形態でのS130の処理内容(第3Ip2+配線判定処理)を表すフローチャートを示す。
第2情報サンプリング処理では、まず、S610にて、酸素検知電圧Vsの平均値Vs#avgおよび第2ポンプ電流Ip2の平均値Ip2#avgを演算する処理を実行する。なお、平均値Vs#avgおよび平均値Ip2#avgの演算方法としては、予め定められた検出期間中に検出される酸素検知電圧Vsおよび第2ポンプ電流Ip2の蓄積データに基づいて、検出期間中の酸素検知電圧Vsおよび第2ポンプ電流Ip2の平均値(移動平均値)をそれぞれ演算する演算方法等がある。
次のS620では、処理に用いる内部変数の初期化処理を実行する。具体的には、Vs面積変数(以下、ΣVs面積ともいう)、Ip2面積変数(以下、ΣIp2面積ともいう)、Vs超過回数変数(以下、ΣVs超過回数ともいう)、Ip2超過回数変数(以下、ΣIp2超過回数ともいう)、測定時間変数などの各変数に対して初期値(0など)を代入することで、各変数を初期化する。
なお、Vs面積変数(ΣVs面積)は、酸素濃度検知セル36の通電状態(詳細には、酸素検知電圧Vs)の変化量(換言すれば、酸素検知電圧Vsの波形の積分値)に応じた値を記録するための変数である。Ip2面積変数(ΣIp2面積)は、第2ポンプセル41の通電状態(詳細には、第2ポンプ電流Ip2)の変化量(換言すれば、第2ポンプ電流Ip2の波形の積分値)に応じた値を記録するための変数である。
また、Vs超過回数変数(ΣVs超過回数)は、酸素検知電圧Vsが予め定められた閾値(Vs電圧超過判定値)以上となった回数を記録するための変数である。Ip2超過回数変数(ΣIp2超過回数)は、第2ポンプ電流Ip2が予め定められた閾値(Ip2超過判定値)以上となった回数を記録するための変数である。さらに、測定時間変数は、経過時間を記録するための変数である。
また、S620では、測定時間変数を初期化した後、単位時間毎に測定時間変数を更新して経過時間を計測するタイマカウント処理を起動する。なお、タイマカウント処理は、本処理(第3情報サンプリング処理)と並行して実行される。
次のS630では、測定時間変数の値を用いて経過時間を判断し、予め定められた1サンプリング時間が経過するまで待機するとともに、1サンプリング時間が経過した時点で、酸素検知電圧Vsおよび第2ポンプ電流Ip2を検出する処理を実行する。
続くS640では、今回のサンプリング時期(数値検出時期)に検出した酸素検知電圧Vsおよび第2ポンプ電流Ip2の数値を用いて、Vs面積変数(ΣVs面積)およびIp2面積変数(ΣIp2面積)を更新する処理を行う。
なお、Vs面積変数の更新は、まず、酸素検知電圧Vsにおける今回検出値Vs(n)とS610の演算で得られた平均値Vs#avgとの差分値を算出し、その差分値の絶対値に1サンプリング時間を乗じて得られる値(今回算出面積)を算出する。そして、Vs面積変数(ΣVs面積)に今回算出面積を加算することで、Vs面積変数の更新を行う。
また、Ip2面積変数の更新は、まず、第2ポンプ電流Ip2における今回検出値Ip2(n)とS610の演算で得られた平均値Ip2#avgとの差分値を算出し、その差分値の絶対値に1サンプリング時間を乗じて得られる値(今回算出面積)を算出する。そして、Ip2面積変数(ΣIp2面積)に今回算出面積を加算することで、Ip2面積変数の更新を行う。
次のS650では、酸素検知電圧Vsの今回検出値Vs(n)が閾値(予め定められたVs電圧超過判定値)以上であるか否かを判定し、肯定判定されるとS660に移行し、否定判定されるとS670に移行する。
なお、Vs電圧超過判定値は、酸素濃度検知セル36の通電状態が変動したことを判定するために定められた判定値であり、実際のNOxセンサを用いた実測データなどに基づいて定めることができる。例えば、Vs電圧超過判定値は、第2ポンプセル41の通電状態を変動させる要因(例えば、測定対象ガスの酸素濃度変化など)に関連して酸素濃度検知セル36の通電状態が変動したときの酸素検知電圧Vs(詳細には、酸素検知電圧Vsのピーク値)に基づいて定めることができる。
S650で肯定判定されてS660に移行すると、S660では、Vs超過回数変数(ΣVs超過回数)を1インクリメントする処理を行う。
S650で否定判定されるか、S660が終了してS670に移行すると、S670では、第2ポンプ電流Ip2の今回検出値Ip2(n)が閾値(予め定められたIp2電流超過判定値)以上であるか否かを判定し、肯定判定されるとS680に移行し、否定判定されるとS690に移行する。
なお、Ip2電流超過判定値は、第2ポンプセル41の通電状態が変動したことを判定するために定められた判定値であり、実際のNOxセンサを用いた実測データなどに基づいて定めることができる。例えば、Ip2電流超過判定値は、上述したS650で判断される要因(第2ポンプセル41の通電状態を変動させる要因)に起因して第2ポンプセル41の通電状態が変動したときの第2ポンプ電流Ip2(詳細には、第2ポンプ電流Ip2のピーク値)に基づいて定めることができる。
S670で肯定判定されてS680に移行すると、S680では、Ip2超過回数変数(ΣIp2超過回数)を1インクリメントする処理を行う。
S670で否定判定されるか、S680が終了してS690に移行すると、S690では、Vs面積変数(ΣVs面積)が閾値(予め定められたVs電圧面積変動判定値)以上である、かつ、Vs超過回数変数(ΣVs超過回数)が閾値(予め定められたVs回数判定値)以上である、という条件を満たすか否かを判定し、肯定判定されると本処理(第3情報サンプリング処理)を終了し、否定判定されると再びS630に移行する。
なお、Vs電圧面積変動判定値は、酸素濃度検知セル36の通電状態が変動したことを判定するために定められた判定値であり、実際のNOxセンサを用いた実測データなどに基づいて定めることができる。例えば、Vs電圧面積変動判定値は、第2ポンプセル41の通電状態を変動させる要因(例えば、測定対象ガスの酸素濃度変化など)に関連して酸素濃度検知セル36の通電状態が変動したときの酸素検知電圧Vs(詳細には、酸素検知電圧Vsの波形の積分値)に基づいて定めることができる。
また、Vs回数判定値は、酸素濃度検知セル36の通電状態が変動したことを判定するために定められた判定値であり、実際のNOxセンサを用いた実測データなどに基づいて定めることができる。例えば、Vs回数判定値は、第2ポンプセル41の通電状態を変動させる要因(例えば、測定対象ガスの酸素濃度変化など)に関連して酸素濃度検知セル36の通電状態が変動したときの酸素検知電圧Vs(詳細には、酸素検知電圧VsがVs電圧超過判定値(S650で用いる判定値)を超過した回数)に基づいて定めることができる。
つまり、S690では、Vs面積変数(ΣVs面積)およびVs超過回数変数(ΣVs超過回数)に基づいて、第2ポンプセル41の通電状態が変動する要因が発生したか否かを判定する処理を行う。
なお、Vs面積変数(ΣVs面積)およびVs超過回数変数(ΣVs超過回数)に基づいて判定する場合には、Vs面積変数(ΣVs面積)またはVs超過回数変数(ΣVs超過回数)のいずれか一方のみに基づいて判定する場合に比べて、より正確な判定が可能となる。
S690で肯定判定されると、本処理(第3情報サンプリング処理)を終了するとともに、再び接続判定処理に処理を移行する。
次に、第3実施形態の接続判定処理におけるS130では、第2ポンプセル41とセンサ制御装置20とを接続する接続経路(Ip2+配線経路)に異常が無いか否かを判定する処理(第3Ip2+配線判定処理)を実行する。
図9に示すように、第3Ip2+配線判定処理では、まず、S710にて、第3情報サンプリング処理で得られたIp2面積変数(ΣIp2面積)の数値およびIp2超過回数変数(ΣIp2超過回数)を用いて、判定処理を行う。具体的には、Ip2面積変数(ΣIp2面積)の数値が判定値(予め定められた第2電流面積変動判定値)以上である、かつ、Ip2超過回数変数(ΣIp2超過回数)の数値が判定値(予め定められたIp2回数判定値)以上である、という条件を満たすか否かを判定しており、肯定判定されるとS720に移行し、否定判定されるとS730に移行する。
なお、第2電流面積変動判定値は、第2ポンプセル41の通電状態が変動したことを判定するために定められた判定値であり、実際のNOxセンサを用いた実測データなどに基づいて定めることができる。例えば、第2電流面積変動判定値は、上述した第2情報サンプリング処理(詳細にはS690)で判断される要因(第2ポンプセル41の通電状態を変動させる要因)に起因して第2ポンプセル41の通電状態が変動したときの第2ポンプ電流Ip2(詳細には、第2ポンプ電流Ip2の波形の積分値)に基づいて定めることができる。
また、Ip2回数判定値は、第2ポンプセル41の通電状態が変動したことを判定するために定められた判定値であり、実際のNOxセンサを用いた実測データなどに基づいて定めることができる。例えば、Ip2回数判定値は、上述した第2情報サンプリング処理(詳細にはS690)で判断される要因(第2ポンプセル41の通電状態を変動させる要因)に起因して第2ポンプセル41の通電状態が変動したときの第2ポンプ電流Ip2(詳細には、第2ポンプ電流Ip2がIp2電流超過判定値(S670で用いる判定値)を超過した回数)に基づいて定めることができる。
つまり、S710では、Ip2面積変数(ΣIp2面積)およびIp2超過回数変数(ΣIp2超過回数)を用いて、第2ポンプセル41の通電状態が変動したか否かを判定する処理を行う。
S710で肯定判定されてS720に移行すると、S720では、Ip2+配線経路が正常である(換言すれば、異常が無い)と判断して、Ip2+配線経路が異常状態であることを示す経路異常フラグFaをリセットする処理を行う。
S710で否定判定されてS730に移行すると、S730では、第3情報サンプリング処理で計測を開始した測定時間変数の数値に基づき、第3情報サンプリング処理(S120)の所要時間が閾値(予め定められた所要時間判定値)以上であるか否かを判定しており、肯定判定されるとS750に移行し、否定判定されるとS740に移行する。
なお、所要時間判定値は、第2ポンプセル41の通電状態を変動させる要因の発生期間に基づいて定められている。つまり、所要時間判定値は、第3情報サンプリング処理の所要時間(換言すれば、酸素検知電圧Vsおよび第2ポンプ電流Ip2のサンプリング所要時間)として、Ip2+配線経路の状態判定に誤差を生じさせない範囲内の時間で設定されている。
すなわち、第3情報サンプリング処理の所要時間が長時間となる場合には、所要時間が長時間であることがIp2面積変数(ΣIp2面積)およびIp2超過回数変数(ΣIp2超過回数)を大きくした原因の1つとなるため、実際に第2ポンプ電流Ip2が僅かしか変動していない場合でも、Ip2面積変数およびIp2超過回数変数が大きい値となる場合がある。このため、第3情報サンプリング処理の所要時間が長時間となる場合には、第2ポンプセル41の通電状態が変動したか否かを正確に判定することができない虞がある。
このことから、S730で肯定判定されてS750に移行した場合には、S750では、Ip2+配線経路の状態判定を行わない。
他方、S730で否定判定されてS740に移行すると、S740では、Ip2+配線経路が異常状態であると判断して、Ip2+配線経路が異常状態であることを示す経路異常フラグFaをセットする処理を行う。
なお、経路異常フラグFaがセットされると、別途実行される異常発生対応処理が起動される。異常発生対応処理では、第2ポンプセル41とセンサ制御装置20とを接続する接続経路(Ip2+配線経路)が異常状態であることを使用者に報知する処理、特定ガス検出処理で得られた特定ガス濃度に誤差があることを通知する処理、特定ガス検出処理で得られた特定ガス濃度を他の制御処理に使用するのを禁止する処理などを実行する。
S720,S740,S750のいずれかの処理が終了すると、本処理(第3Ip2+配線判定処理)を終了するとともに、再び接続判定処理に処理を移行する。
このあと、第3実施形態におけるS130の処理が終了するとともに、第3実施形態の接続判定処理が終了する。なお、接続判定処理は、センサ制御装置20の起動中において、一定周期毎に繰り返し実行される。
なお、実際の測定結果の図示は省略するが、酸素検知電圧Vs(換言すれば、酸素濃度検知セル36の通電状態)が大きく変動した時には、これに追従するようにして、第2ポンプ電流Ip2(換言すれば、第2ポンプセル41の通電状態)が大きく変動することが、実際のガスセンサを用いた実測データにより判明している。なお、このような通電状態の変動は、例えば、第1測定室46に導入される測定対象ガスの酸素濃度が変動することに起因して発生する。
このため、本実施形態の接続判定処理のように、Vs面積変数(ΣVs面積)およびVs超過回数変数(ΣVs超過回数)に基づいて酸素濃度検知セル36の通電状態が変動するか否かを判定(S690)することで、第2ポンプセル41の通電状態が変動する時期を特定することができる。
そして、酸素濃度検知セル36の通電状態が変動したと判定(S690で肯定判定)されて、第2ポンプセル41の通電状態が変動する時期を特定したあと、実際に第2ポンプセル41の通電状態が変動したか否かを判定(S710)することで、Ip2+配線経路が異常状態であるか否かを判定できる。
以上説明したように、第3実施形態のセンサ制御装置20は、酸素濃度検知セル36の通電状態(酸素検知電圧Vs)が変動したと判定された場合に、第2ポンプセル41の通電状態(第2ポンプ電流Ip2)が変動したか否かによって、第2ポンプセル41とセンサ制御装置20との接続状態が正常状態であるか異常状態であるかを判定している。
このため、第3実施形態のセンサ制御装置20は、第1実施形態と同様に、NOxセンサ10のセルに対して異常検出用の信号入力を行うことなく、第2ポンプセル41とセンサ制御装置20との接続状態が正常状態であるか異常状態であるかを判定できるため、接続状態が正常状態であるか異常状態であるかを判定するにあたり、ガス検出を中断する必要が無いという利点がある。
よって、本実施形態のセンサ制御装置20によれば、特定ガス濃度(NOx)の検出動作を中断することなく、NOxセンサ10(詳細には、第2ポンプセル41)とセンサ制御装置20との接続状態が異常であるか否かを判定することが可能となる。
また、センサ制御装置20は、Vs面積変数(ΣVs面積)およびVs超過回数変数(ΣVs超過回数)を用いて判断することから(S690)、酸素濃度検知セル36の通電状態(酸素検知電圧Vs)が変動したか否かを適切に判断できるとともに、第2ポンプセル41の通電状態が変動する時期を適切に判定できる。
さらに、センサ制御装置20は、Ip2面積変数(ΣIp2面積)およびIp2超過回数変数(ΣIp2超過回数)を用いて判断することから(S710)、第2ポンプセル41の通電状態(第2ポンプ電流Ip2)が変動したか否かを適切に判断できるとともに、NOxセンサ10(第2ポンプセル41)とセンサ制御装置20との接続状態が異常であるか否かを適切に判定できる。
なお、本実施形態においては、S120(第3情報サンプリング処理)を実行する制御部30が通電状態変動判定手段に相当し、S130(第3Ip2+配線判定処理)を実行する制御部30が接続状態判定手段に相当する。
また、Vs面積変数(ΣVs面積)およびVs超過回数変数(ΣVs超過回数)が基準セル変動量に相当し、Vs電圧面積変動判定値およびVs回数判定値が基準変動判定値に相当する。さらに、Ip2面積変数(ΣIp2面積)およびIp2超過回数変数(ΣIp2超過回数)が対象セル変動量に相当し、第2電流面積変動判定値およびIp2回数判定値が対象変動判定値に相当する。
次に、第4実施形態として、変動判定基準セルの通電状態として酸素濃度検知セル36の内部抵抗Rpvsを用いて判定し、異常判定対象セルの通電状態として第2ポンプ電流Ip2を用いて判定して、接続経路の異常判定を行う実施形態について説明する。
なお、第4実施形態では、詳細には、酸素濃度検知セル36の内部抵抗Rpvsを示す波形の積分値(面積)と第2ポンプ電流Ip2を示す波形の積分値(面積)とを用いて、接続経路の異常判定を行う。また、第4実施形態のガス濃度測定装置は、基本的な構成は第1実施形態のガス濃度測定装置1と同様であり、制御部30が実行する接続判定処理の処理内容が異なることから、以下の説明では、接続判定処理を中心に説明する。なお、第4実施形態の構成要素のうち第1実施形態と同様の構成要素は、同一符号を用いて表す。
第4実施形態のガス濃度測定装置1(詳細には、センサ制御装置20の制御部30)で実行される総合接続判定処理の処理内容を表したフローチャートを図10に示す。
なお、総合接続判定処理は、NOxセンサ10とセンサ制御装置20とを接続する接続経路(配線経路)が異常状態であるか否かを判定するための処理である。
総合接続判定処理が起動されると、まず、S810にて、処理に用いる内部変数等の初期化処理を実行する。具体的には、異常判断回数変数(以下、判断count ともいう)に対して初期値(0など)を代入するとともに、経路異常フラグFaをリセット(0を代入)することで、変数およびフラグを初期化する。
なお、異常判断回数変数(判断count )は、後述する判定処理(S830)においてIp2+配線経路が異常であると判定された回数を記録するための変数であり、経路異常フラグFaは、Ip2+配線経路が異常状態であることを示す状態フラグである。
次のS820では、ヒータ12、他のセンサ、回路などが正常動作しているか否かを判定しており、肯定判定されるとS830に移行し、否定判定されると本処理(総合接続判定処理)を終了する。
なお、ヒータ12、他のセンサ、回路などが正常動作しているか否かの判定は、センサ制御装置20や他の制御装置において別途実行される正常動作判定処理での判定結果を用いて判定される。この正常動作判定処理としては、公知の手法を適宜採用すればよいことから、当該処理についての説明は省略する。
S820で肯定判定されてS830に移行すると、S830では、酸素濃度検知セル36の内部抵抗Rpvsおよび第2ポンプ電流Ip2を検出して蓄積して、第2ポンプセル41の通電状態が変動する要因が発生したか否かを判定するとともに、第2ポンプセル41とセンサ制御装置20とを接続する接続経路(Ip2+配線経路)に異常が無いか否かを判定する処理(Ip2+配線異常検出処理)を実行する。
図11に、Ip2+配線異常検出処理の処理内容を表したフローチャートを示す。
Ip2+配線異常検出処理が起動されると、まず、S910にて、NOxセンサ10が活性化状態であるか否かを判断しており、活性化状態である場合には肯定判定されてS120に移行し、活性化状態ではない場合には否定判定されて、活性化状態になるまで同ステップを繰り返し実行する。
なお、S910では、具体的には、内部抵抗測定処理で測定されたVsセル36の内部抵抗Rpvsに基づき判定されるNOxセンサ10の判定温度が、所定の活性化温度であるか否かを判断することで、NOxセンサ10が活性化状態であるか否かを判断する。
S910で肯定判定されてS920に移行すると、S920では、第2ポンプ電流Ip2の平均値Ip2#avgを演算する処理を実行する。なお、平均値Ip2#avgの演算方法としては、予め定められた検出期間中に検出される第2ポンプ電流Ip2の蓄積データに基づいて、検出期間中の第2ポンプ電流Ip2の平均値(移動平均値)を演算する演算方法等がある。
次のS930では、処理に用いる内部変数の初期化処理を実行する。具体的には、Rpvs面積変数(以下、ΣRpvs面積ともいう)、Ip2面積変数(以下、ΣIp2面積ともいう)、測定時間変数などの各変数に対して初期値(0など)を代入することで、各変数を初期化する。
なお、Rpvs面積変数(ΣRpvs面積)は、酸素濃度検知セル36の通電状態(詳細には、内部抵抗Rpvsに応じた通電状態)の変化量(換言すれば、酸素濃度検知セル36の内部抵抗Rpvsに関する波形の積分値)に応じた値を記録するための変数である。Ip2面積変数(ΣIp2面積)は、第2ポンプセル41の通電状態(詳細には、第2ポンプ電流Ip2)の変化量(換言すれば、第2ポンプ電流Ip2の波形の積分値)に応じた値を記録するための変数である。測定時間変数は、経過時間を記録するための変数である。
次のS940では、測定時間変数の値を用いて経過時間を判断し、予め定められた1サンプリング時間が経過するまで待機するとともに、1サンプリング時間が経過した時点で、酸素濃度検知セル36の内部抵抗Rpvsおよび第2ポンプ電流Ip2を検出する処理を実行する。
続くS950では、今回のサンプリング時期(数値検出時期)に検出した酸素濃度検知セル36の内部抵抗Rpvsおよび第2ポンプ電流Ip2の数値を用いて、Rpvs面積変数(ΣRpvs面積)およびIp2面積変数(ΣIp2面積)を更新する処理を行う。
なお、Rpvs面積変数の更新は、まず、酸素濃度検知セル36の内部抵抗Rpvsにおける今回検出値Rpvs(n)と予め定められたRpvs目標値との差分値を算出し、その差分値の絶対値に1サンプリング時間を乗じて得られる値(今回算出面積)を算出する。そして、Rpvs面積変数(ΣRpvs面積)に今回算出面積を加算することで、Rpvs面積変数の更新を行う。
また、Ip2面積変数の更新は、まず、第2ポンプ電流Ip2における今回検出値Ip2(n)とS920の演算で得られた平均値Ip2#avgとの差分値を算出し、その差分値の絶対値に1サンプリング時間を乗じて得られる値(今回算出面積)を算出する。そして、Ip2面積変数(ΣIp2面積)に今回算出面積を加算することで、Ip2面積変数の更新を行う。
さらに、測定時間変数の更新は、1サンプリング時間を測定時間変数に加算することで実行する。
次のS960では、Rpvs面積変数(ΣRpvs面積)が閾値(予め定められたRpvs面積変動判定値)以上であるか否かを判定し、肯定判定されるとS970に移行し、否定判定されると再びS940に移行する。
なお、Rpvs面積変動判定値は、酸素濃度検知セル36の通電状態が変動したことを判定するために定められた判定値であり、実際のNOxセンサを用いた実測データなどに基づいて定めることができる。例えば、Rpvs面積変動判定値は、第2ポンプセル41の通電状態を変動させる要因(例えば、センサ本体11の温度変化など)に関連して酸素濃度検知セル36の通電状態が変動したときの内部抵抗Rpvs(詳細には、内部抵抗Rpvsに関する波形の積分値(面積))に基づいて定めることができる。
つまり、S960では、Rpvs面積変数(ΣRpvs面積)に基づいて、第2ポンプセル41の通電状態が変動する要因が発生したか否かを判定する処理を行う。
S960で肯定判定されてS970に移行すると、S970では、S950の処理で得られたIp2面積変数(ΣIp2面積)の数値が判定値(予め定められた第2電流面積変動判定値)以上であるか否かを判定しており、肯定判定されるとS980に移行し、否定判定されるとS990に移行する。
なお、第2電流面積変動判定値は、第2ポンプセル41の通電状態が変動したことを判定するために定められた判定値であり、実際のNOxセンサを用いた実測データなどに基づいて定めることができる。例えば、第2電流面積変動判定値は、上述したS960で判断される要因(第2ポンプセル41の通電状態を変動させる要因)に起因して第2ポンプセル41の通電状態が変動したときの第2ポンプ電流Ip2(詳細には、第2ポンプ電流Ip2の波形の積分値)に基づいて定めることができる。
つまり、S970では、Ip2面積変数(ΣIp2面積)を用いて第2ポンプセル41の通電状態が変動したか否かを判定する処理を行う。
S970で肯定判定されてS980に移行すると、S980では、Ip2+配線経路が正常である(換言すれば、異常が無い)と判断して、異常判断回数変数(判断count )を1ディクリメント(1減算)する処理を実行する。なお、異常判断回数変数(判断count )の採りうる最小値は0であり、演算結果が0未満になる場合には、異常判断回数変数(判断count )の数値を0に設定する。
S970で否定判定されてS990に移行すると、S990では、S950で更新された測定時間変数の数値に基づき、内部抵抗Rpvsおよび第2ポンプ電流Ip2のサンプリング処理(S940〜S960の繰り返し処理)の所要時間が閾値(予め定められた所要時間判定値)以上であるか否かを判定しており、肯定判定されるとS1010に移行し、否定判定されるとS1000に移行する。
なお、所要時間判定値は、第2ポンプセル41の通電状態を変動させる要因の発生期間に基づいて定められている。つまり、所要時間判定値は、内部抵抗Rpvsおよび第2ポンプ電流Ip2のサンプリング処理(S940からS960までの繰り返し処理)の所要時間として、Ip2+配線経路の状態判定に誤差を生じさせない範囲内の時間で設定されている。
すなわち、内部抵抗Rpvsおよび第2ポンプ電流Ip2のサンプリング処理の所要時間が長時間となる場合には、所要時間が長時間であることがIp2面積変数(ΣIp2面積)を大きくした原因の1つとなるため、実際に第2ポンプ電流Ip2が僅かしか変動していない場合でも、Ip2面積変数が大きい値となる場合がある。このため、内部抵抗Rpvsおよび第2ポンプ電流Ip2のサンプリング処理の所要時間が長時間となる場合には、第2ポンプセル41の通電状態が変動したか否かを正確に判定することができない虞がある。
このことから、S990で肯定判定されてS1010に移行した場合には、S10100では、Ip2+配線経路の状態判定を行わず、また、異常判断回数変数(判断count )の更新処理を行わない。
他方、S990で否定判定されてS1000に移行すると、S1000では、Ip2+配線経路が異常状態であると判断して、異常判断回数変数(判断count )を1インクリメント(1加算)する処理を実行する。なお、異常判断回数変数(判断count )の採りうる最大値は、後述するS840で用いる閾値(判断回数判定値)と等しい値であり、演算結果が判断回数判定値よりも大きくなる場合には、異常判断回数変数(判断count )の数値を判断回数判定値に設定する。
S980,S1000,S1010のいずれかの処理が終了すると、本処理(Ip2+配線異常検出処理)を終了するとともに、再び総合接続判定処理に処理を移行する。
総合接続判定処理に戻り、次のS840では、異常判断回数変数(判断count )が閾値(予め定められた判断回数判定値)以上であるか否かを判定し、肯定判定されるとS850に移行し、否定判定されると再びS820に移行する。
なお、判断回数判定値は、第2ポンプセル41の通電状態が変動したことを判定するために定められた判定値であり、実際のNOxセンサを用いた実測データなどに基づいて定めることができる。例えば、判断回数判定値は、上述したS960で判断される要因(第2ポンプセル41の通電状態を変動させる要因)に起因して第2ポンプセル41の通電状態が変動したときに、実際にS970で肯定判定された実測肯定回数(あるいは実測肯定回数に所定の係数を乗じた値)に基づいて定めることができる。
つまり、S840では、異常判断回数変数(判断count )を用いて第2ポンプセル41の通電状態が変動したか否かを判定する処理を行う。
なお、本実施形態では、S970での判定結果に基づき直ちにIp2+配線経路が正常であるか異常であるかを判定するのではなく、S970で異常状態と判定(否定判定)された回数(つまり、異常判断回数変数(判断count ))に基づいて、Ip2+配線経路が正常であるか異常であるかを判定する。このように複数回の判定結果に基づいて総合的に判定を行うことで、誤判定による影響を低減することができ、Ip2+配線経路の状態判定を精度良く実現することができる。
S840で肯定判定されてS850に移行すると、S850では、Ip2+配線経路が異常状態であると判断して、Ip2+配線経路が異常状態であることを示す経路異常フラグFaをセットする処理を行う。
なお、経路異常フラグFaがセットされると、別途実行される異常発生対応処理が起動される。異常発生対応処理では、第2ポンプセル41とセンサ制御装置20とを接続する接続経路(Ip2+配線経路)が異常状態であることを使用者に報知する処理、特定ガス検出処理で得られた特定ガス濃度に誤差があることを通知する処理、特定ガス検出処理で得られた特定ガス濃度を他の制御処理に使用するのを禁止する処理などを実行する。
S850の処理が終了すると、本処理(総合接続判定処理)が終了する。
なお、総合接続判定処理は、センサ制御装置20の起動中において、一定周期毎に繰り返し実行される。
また、実際の測定結果についての図示は省略するが、酸素濃度検知セル36の内部抵抗Rpvs(換言すれば、酸素濃度検知セル36の通電状態)が大きく変動した時には、これに追従するようにして、第2ポンプ電流Ip2(換言すれば、第2ポンプセル41の通電状態)が大きく変動することが、実際のガスセンサを用いた実測データにより判明している。なお、このような第2ポンプセル41の通電状態の変動は、例えば、センサ素子の温度が変動したことに起因して発生する。
このため、本実施形態の接続判定処理のように、Rpvs面積変数(ΣRpvs面積)に基づいて酸素濃度検知セル36の通電状態が変動するか否かを判定(S960)することで、第2ポンプセル41の通電状態が変動する時期を特定することができる。
そして、酸素濃度検知セル36の通電状態が変動したと判定(S960で肯定判定)されて、第2ポンプセル41の通電状態が変動する時期を特定したあと、実際に第2ポンプセル41の通電状態が変動したか否かを判定(S970)することで、Ip2+配線経路が異常状態であるか否かを判定できる。
以上説明したように、第4実施形態のセンサ制御装置20は、酸素濃度検知セル36の通電状態(内部抵抗Rpvs)が変動したと判定された場合に、第2ポンプセル41の通電状態(第2ポンプ電流Ip2)が変動したか否かによって、第2ポンプセル41とセンサ制御装置20との接続状態が正常状態であるか異常状態であるかを判定している。
このため、第4実施形態のセンサ制御装置20は、第1実施形態と同様に、NOxセンサ10のセルに対して異常検出用の信号入力を行うことなく、第2ポンプセル41とセンサ制御装置20との接続状態が正常状態であるか異常状態であるかを判定できるため、接続状態が正常状態であるか異常状態であるかを判定するにあたり、ガス検出を中断する必要が無いという利点がある。
よって、本実施形態のセンサ制御装置20によれば、特定ガス濃度(NOx)の検出動作を中断することなく、NOxセンサ10(詳細には、第2ポンプセル41)とセンサ制御装置20との接続状態が異常であるか否かを判定することが可能となる。
また、センサ制御装置20は、Rpvs面積変数(ΣRpvs面積)を用いて判断することから(S960)、酸素濃度検知セル36の通電状態(内部抵抗Rpvs)が変動したか否かを適切に判断できるとともに、第2ポンプセル41の通電状態が変動する時期を適切に判定できる。
さらに、センサ制御装置20は、Ip2面積変数(ΣIp2面積)を用いて判断することから(S970)、第2ポンプセル41の通電状態(第2ポンプ電流Ip2)が変動したか否かを適切に判断できるとともに、NOxセンサ10(第2ポンプセル41)とセンサ制御装置20との接続状態が異常であるか否かを適切に判定できる。
また、本実施形態のセンサ制御装置20は、Ip2面積変数(ΣIp2面積)を用いてIp2+配線経路の接続状態が異常であるか否かを判定し(S970)、異常状態と判定(S970で否定判定)された回数(異常判断回数変数(判断count ))に基づいて、Ip2+配線経路が異常であるか否かを最終的に判定する(S840)。
つまり、本実施形態のセンサ制御装置20は、S970での1回の判定結果に基づき直ちにIp2+配線経路が正常であるか異常であるかを判定するのではなく、S970での複数回の判定結果に基づいて総合的に判定を行う構成である。このようにして総合的な判定を行うことから、本実施形態のセンサ制御装置20は、誤判定による影響を低減することができ、Ip2+配線経路の状態判定を精度良く実現することができる。
なお、本実施形態においては、Ip2+配線異常検出処理におけるS940からS960までの処理を実行する制御部30が通電状態変動判定手段に相当し、Ip2+配線異常検出処理におけるS940,S950およびS970からS1010までの処理ならびに総合接続判定処理におけるS840からS850の処理を実行する制御部30が接続状態判定手段に相当する。
また、Rpvs面積変数(ΣRpvs面積)が基準セル変動量に相当し、Rpvs面積変動判定値が基準変動判定値に相当する。さらに、Ip2面積変数(ΣIp2面積)および異常判断回数変数(判断count )が対象セル変動量に相当し、第2電流面積変動判定値および判断回数判定値が対象変動判定値に相当する。
さらに、酸素濃度検知セル36においては、内部抵抗Rpvsが検出されるが、この内部抵抗Rpvsの値は、ガスセンサ(NOxセンサ10)の温度に相関があり、NOxセンサ10の温度を検知するための温度検知セルにあたるものである。従って、本実施形態においては、酸素濃度検知セル36が、温度検知セルに相当する。
以上、本発明に関する複数の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、種々の態様を採ることができる。
例えば、接続判定処理は、センサ制御装置の起動中において、一定周期毎に繰り返し実行される形態に限られることはなく、予め定められた判定処理実行条件が成立したときに実行するようにしてもよい。
また、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態においては、1回の判定結果に基づき直ちにIp2+配線経路が正常であるか異常であるかを判定する構成であるが、第4実施形態のように、複数回の判定結果に基づいて総合的に判定を行う構成を採ることができる。このようにして総合的な判定を行うことで、誤判定による影響を低減することができ、Ip2+配線経路の状態判定を精度良く実現することができる。
さらに、基準セル変動量として用いる状態量と、対象セル変動量として用いる状態量の組合せは、上記の各実施形態の内容に限定されることはない。例えば、基準セル変動量としてRpvs面積変数(ΣRpvs面積)を用い、対象セル変動量としてIp2軌跡長積算変数(ΣIp2軌跡長)を用いる形態や、基準セル変動量としてVs面積変数(ΣVs面積)を用い、対象セル変動量としてIp2軌跡長積算変数(ΣIp2軌跡長)および異常判断回数変数(判断count )を用いる形態などを採用しても良い。
また、第4実施形態においては、NOxセンサ10の温度を検知するための温度検知セルが酸素濃度検知セル36であったが、第1ポンプセル31または第2ポンプセル41を温度検知セルとし、いずれかのセル31,41の内部抵抗Rpvsを検出して、その内部抵抗Rpvsの値に基づいてガスセンサ(NOxセンサ10)の温度を検知するようにしても良い。
また、第1〜第3実施形態においては、第1ポンプセル31の通電状態が変動していると判定された(第1実施形態のS240での肯定判定、第2実施形態のS450での肯定判定、第3実施形態のS690での肯定判定)直後に、接続判定処理におけるS130の処理に移行するものであったが、第2ポンプセル41の通電状態の変動は、第1ポンプセル31の変動に遅れて追従変動する。このことを考慮して、第1ポンプセル31の通電状態が変動していると判断されてから、所定の一定時間が経過した後に、接続判定処理におけるS130の処理に移行するようにフローチャートを構成しても良い。
その一例として、第1実施形態における情報サンプリング処理(S120)の変形形態を、図13を用いて説明する。なお、図13のフローチャートにおいて、S210〜S240の処理は、第1実施形態の処理内容と同様であるため説明は省略し、S240にて肯定判定された後からの処理について、以下に説明する。
S240にて肯定されると、S250に移行し、このS250では、測定時間変数の値を用いて経過時間を判断し、予め定められた1サンプリング時間が経過するまで待機するとともに、1サンプリング時間が経過した時点で、第2ポンプ電流Ip2を検出する処理を実行する。
続くS260では、今回のサンプリング時期(数値検出時期)に検出した第2ポンプ電流Ip2の数値を用いて、Ip2軌跡長積算変数(ΣIp2軌跡長)をS230の処理に引き続いて更新する処理を行う。
次のS270では、S240での肯定判定後に第2ポンプ電流Ip2の検出が複数サンプリング(例えば、3サンプリング)行われたか否かを判定し、第2ポンプ電流Ip2の検出が複数サンプリング行われたと肯定判定されると本処理(情報サンプリング処理)を終了し、接続判定処理(S130)に処理を移行する。一方、S270にて否定判定されると再びS250の処理に移行する。
このような変更を行うことで、上述の実施形態において、第1ポンプセル31の通電状態が変動していると判断されてから、所定の一定時間経過した後に、接続判定処理におけるS130の処理に移行するようなフローチャートを構成することができる。
また、上述の各実施形態においては、自動車の各部を総合的に制御するための電子制御装置(ECU)とは別に備えられたセンサ制御装置について説明したが、センサ制御機能を有する電子制御装置(ECU)において、本発明を適用しても良い。つまり、電子制御装置(ECU)は、センサ制御装置を介してガスセンサと接続される形態に限られることはなく、ガスセンサと直接接続される形態であってもよい。
そして、ガスセンサと直接接続される形態の電子制御装置(ECU)において、ガスセンサと自身(電子制御装置)とを接続する接続経路(配線経路)が異常状態であるか否かを判定するための処理(接続判定処理)を実行してもよい。
1…ガス濃度測定装置、10…ガスセンサ(NOxセンサ)、11…センサ本体、12…ヒータ、20…センサ制御装置、30…制御部、31…第1ポンプセル(P1セル)、32…第1固体電解質体、33…第1内側電極、34…第1外側電極、36…酸素濃度検知セル(Vsセル)、37…検知用固体電解質体、38…検知用電極、39…基準用電極、41…第2ポンプセル(P2セル)、42…第2固体電解質体、43…第2内側電極、44…第2外側電極、46…第1測定室、47…第2測定室。