JP2005290783A - コンクリート製の配筋用スペーサを製造するための製造型 - Google Patents

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Abstract

【課題】建築現場において、一般作業者が余剰の生コンクリートを使って、簡単にしかも確実に配筋用スペーサ20を製造することができる製造型10を、簡単な構成によって提供すること。
【解決手段】配筋用スペーサ20を製造するための生コンクリートが投入される凹所11と、この凹所11の周囲を囲むフランジ12とを備えた製造型10であって、フランジ12に突起13を形成したこと。
【選択図】図1

Description

本発明は、コンクリート製の配筋用スペーサを製造するための製造型に関し、特に、建築施工現場で配筋用スペーサを簡単に製造できるようにした製造型に関するものである。
コンクリート製の基礎や建築物を構築するためには、補強のための鉄筋30が多数用いられるのであるが、この鉄筋30は、生コンクリート打設前に配筋しておかなければならない。このような鉄筋30は、コンクリート基礎や建築物の内部に入るものであり、生コンクリート打設前においては、打設空間内にて浮いた状態に支持されていなければならない。鉄筋30を生コンクリートによって包み込むようにしなければならないからである。
これらの鉄筋30を、打設空間内にて浮いた状態で支持させるのが配筋用スペーサ20であるが、この種の配筋用スペーサ20としては、従来種々なものが提案されてきており、その一例が特許文献1に記載されている。
特開2002−213050号公報、要約、代表図
この特許文献1に記載されている配筋用スペーサ20は、図8にも示すように、「少なくとも一方向に、結束用の貫通孔1を開けてあり、外面には、前記の貫通孔1と平行または/および直交する方向に、鉄筋が入る凹溝2、3を設けてある。このような形状のスペーサブロックを用いて、前記の少なくとも一つの凹溝に鉄筋を入れた状態で、前記の貫通孔1に結束線を挿通して、凹溝内の鉄筋に結束する」ものであり、「鉄筋コンクリート構造物の施工時に、内部の鉄筋と型枠との間、あるいは鉄筋と鉄筋との間に設置されるコンクリート製の直方体状のスペーサブロックに関し、鉄筋に対するスペーサブロックの方向を自由に選択でき、しかもスペーサブロックの寸法の如何に関係なく、汎用性に富む通常の結束線で確実に結束固定可能とする」ことができると考えられる。
しかしながら、この特許文献1に記載された「スペーサブロック」は、「コンクリート製の直方体状」のものであるため、その製造型に生コンクリートを流し込んで形成したとき、固まったコンクリートと型との間の摩擦が大きくなると考えられるから、所謂「型抜き」が困難になると考えられる。
また、従来の「コンクリート製のスペーサブロック」は、その製造型がある工場で、ブロックのための生コンクリートを用意して製造されていることが多い。コンクリートが固まってスペーサブロックが完成された後には、その型の分解を行ってブロックを外さなければならない。特に、特許文献1に記載された「スペーサブロック」のような直方体状のものであると、型分解は絶対必要な作業である。
ところで、近年においては、ゴミや産業廃棄物を許可無く捨てることはできないことになっており、建築現場で生じた余剰の生コンクリートも例外ではない。通常、コンクリート構造物を構築する場合には、使用する生コンクリートが不足すると工事が中断するため、少し余分に用意することが行われている。そうすると、生コンクリート打設後には、生コンクリートが余ることが多くなり、その処分を考慮しなければならない。
このため、本発明者は、建築現場で生じた余剰の生コンクリートの処理を、この種の配筋用スペーサ20を製造するものとして利用できないか、を検討したところ、その可能性が十分あることに気付いたのであるが、次ぎの点が問題となった。
建築現場で生じた余剰の生コンクリートの量は不定なものであり、しかも建築現場の一般作業者が簡単に、つまり作業の合間に補助的に配筋用スペーサ20を製造することができるようにしなければならないのである。一般に、コンクリート製品を型によって製造する場合には、上述したように、コンクリートが固まった後にその型の分解をしなければならないが、そのような作業は建築現場においてはできないと考えられる。
そこで、本発明者は、建築現場において、一般作業者が余剰の生コンクリートを使って、簡単にしかも確実に配筋用スペーサ20を製造することができるようにするにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
すなわち、本発明の目的とするところは、建築現場において、一般作業者が余剰の生コンクリートを使って、簡単にしかも確実に配筋用スペーサ20を製造することができる製造型10を、簡単な構成によって提供することである。
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する最良の形態の説明中に置いて使用する符号を付して説明すると、
「配筋用スペーサ20を製造するための生コンクリートが投入される凹所11と、この凹所11の周囲を囲むフランジ12とを備えた製造型10であって、
フランジ12に突起13を形成したことを特徴とする配筋スペーサ用の製造型10」
である。
すなわち、この請求項1に係る製造型10は、図1にも示すように、配筋用スペーサ20を形成するための少なくとも一つの凹所11と、この凹所11を囲むフランジ12とを備えたものであり、その全体を、例えば合成樹脂を材料として、「板状」に形成したものである。特に、この製造型10は、図1及び図3に示すように、フランジ12に突起13を形成したものである。
この製造型10は、一個の配筋用スペーサ20を形成するための一個の凹所11を有したものであってもよいが、図1に示すように、多数の配筋用スペーサ20を同時成形できるように、複数の凹所11(図1で示した最良形態では、4×5=20個ある)を設けて実施してもよい。複数の凹所11を形成した場合には、各突起13の形成位置は、例えば2つの凹所11を跨ぐようにするとよい。各凹所11内に打設した生コンクリートを「コテ」で均す場合に、このコテの動きに各突起13が邪魔にならないようにできるからである。
この製造型10を合成樹脂によって形成するには、所謂射出成型であってもよいが、厚さの厚い合成樹脂シートによって真空または圧空成型してもよい。この製造型10を真空または圧空成形する場合には、各突起13は、図3にも示すように、「凹み」であってもよいものである。
さて、以上のように構成した製造型10を使用して配筋用スペーサ20を製造するには、建築現場に行く作業者がこの製造型10を持って行くのである。この製造型10は、図1にも示すように、せいぜい20個分の配筋用スペーサ20を製造する大きさのものであって、板状のものであるから、トラックの荷台の隅にでもおいておけるものであり、持ち運びには何等支承を来すものではない。そして、作業者は、建築現場で生コンクリートが余ったときに、それをこの製造型10の各凹所11内に打設するのである。なお、生コンクリートの打設が完了した製造型10は、その建築現場にコンクリートの養生をして置いておき、作業者はそのまま帰ればよい。
作業者が次にこの建築現場を訪れた頃には、各凹所11内の生コンクリートは固まって配筋用スペーサ20が完成しているから、作業者は、この製造型10を図1に示したのとは反対にして、地面や土間上にこの製造型10を打ち付けるのである。このとき、製造型10のフランジ12は、図4に示すように、その各突起13によって地面や土間上に各突起13の高さ分だけ離れた位置に維持されるため、凹所11内に入っている各配筋用スペーサ20に対しては慣性力が働く。この慣性力によって、各配筋用スペーサ20は各凹所11から「型抜き」され、簡単に製造型10と分離されることになるのである。
従って、この請求項1の製造型10によれば、建築現場において、一般作業者が余剰の生コンクリートを使って、簡単にしかも確実に配筋用スペーサ20を製造することができることになり、しかもこの製造型10の用意は、単に作業トラックの荷台や運転席に置いておくだけで邪魔にならず簡単に行えるのである。
上記課題を解決するために、請求項2に係る発明の採った手段は、上記請求項1に記載の配筋スペーサ用の製造型10について、
「凹所11の底面11aに外気導入孔14を設けたこと」
である。
すなわち、この請求項2の製造型10は、図1及び図2に示すように、各凹所11の底面11aに、配筋用スペーサ20の取り出し時に外気を導入するための外気導入孔14を設けたものである。
この製造型10に設けた外気導入孔14は、上述した各配筋用スペーサ20の「型抜き」の際に、図4にも示すように、配筋用スペーサ20が慣性力によって落下しようとするときに、配筋用スペーサ20の凹所11から抜ける分の容積の空気の導入を自然に行うものである。このため、各凹所11からの配筋用スペーサ20の型抜きは、より一層簡単になるのである。
従って、この請求項2の製造型10は、上記請求項1のそれと同様な機能を発揮する他、型抜き時の空気の凹所11内への導入を行えるから、各配筋用スペーサ20の型抜きをより一層簡単に行えるのである。
また、請求項3に係る発明の採った手段は、上記請求項1または請求項2に記載の配筋スペーサ用の製造型10について、
「凹所11を、頭切四角錐形とするとともに、その各辺の長さを変化させたこと」
である。
すなわち、この請求項3の製造型10は、図8に示したような「直方体状」の配筋用スペーサ20を形成するのではなく、図5〜図7に示すような、「頭切四角錐形」(四角錐の上部を切り取ったような形状)の配筋用スペーサ20を形成するものである。各凹所11がこのような「頭切四角錐形」であれば、これによって製造された配筋用スペーサ20も「頭切四角錐形」になるのであるが、この形状は、各配筋用スペーサ20の凹所11からの型抜きをより一層容易にするものである。
各凹所11が「頭切四角錐形」であると、配筋用スペーサ20と製造型10との間に、配筋用スペーサ20が凹所11から外れた直後から空間が形成され、製造型10と配筋用スペーサ20との間の摩擦力が直ちに無くなり、配筋用スペーサ20の凹所11からの取り外しがより簡単になるのである。
また、この請求項3の製造型10では、各凹所11を構成している各辺の長さを変化させてあった。これにより、完成された配筋用スペーサ20の各辺の長さも変化するから、図6や図7に示すように、一つの配筋用スペーサ20で種々な使い方ができることになるのである。
従って、この請求項3の製造型10は、上記請求項1または2のそれと同様な機能を発揮する他、汎用性に優れた配筋用スペーサ20を製造することができるのである。
さらに、請求項4に係る発明の採った手段は、上記請求項3に記載の配筋スペーサ用の製造型10について、
「凹所11の各辺の長さの比を、5:6:7:8となるように変化させたこと」
である。
すなわち、この請求項4の製造型10では、凹所11の各辺の長さの比を、5:6:7:8となるように変化させたものであるが、この比の値をそのままcmとすることによって、鉄筋30の通常必要とされている具体的位置の殆どを網羅することができるのである。
従って、この請求項4の製造型10は、上記請求項3のそれと同様な機能を発揮する他、実際の施工現場で採用されている寸法を具体的に実現できる、汎用性に優れた配筋用スペーサ20を製造することができるのである。
以上、説明した通り、本発明においては、
「配筋用スペーサ20を製造するための生コンクリートが投入される凹所11と、この凹所11の周囲を囲むフランジ12とを備えた製造型10であって、
フランジ12に突起13を形成したこと」
に、その構成上の主たる特徴があり、これにより、建築現場において、一般作業者が余剰の生コンクリートを使って、簡単にしかも確実に配筋用スペーサ20を製造することができる製造型10を、簡単な構成によって提供することができるのである。
次に、以上のように構成した各発明を、図面に示した最良の形態である製造型10について説明すると、図1には、本発明に係る製造型10の平面図が示してある。この製造型10は、合成樹脂を材料として板状に形成したものであり、配筋用スペーサ20を製造するための生コンクリートが投入される凹所11と、この凹所11の周囲を囲むフランジ12とを備えたものである。
各凹所11は、その開口を上方にした状態(図1に示した状態)で当該製造型10を配置して、その中に生コンクリートが打設されることになる箇所であり、図1及び図2に示したように、頭切四角錐形(四角錐の上部を切り取ったような形状)を呈したものである。
特に、この最良形態の製造型10は、各凹所11にて、図5に示すような形状、つまり各辺の長さが異なり、かつその長さの比が5:6:7:8となるように変化させた配筋用スペーサ20を形成するものである。そのために、各凹所11の形状は、上述した頭切四角錐形であって、各凹所11の内側の辺の長さの比が5:6:7:8となるように変化させたものである。
なお、この製造型10によって形成された配筋用スペーサ20は、図4及び図5に示したように、その頂面に鉄筋収納凹所21が形成されるものであり、この鉄筋収納凹所21中に、図6に示したように、鉄筋30が収納されることもあるものである。このような鉄筋収納凹所21を形成するために、当該製造型10の底面11aにも、図1及び図4に示したように、配筋用スペーサ20側の鉄筋収納凹所21に対応する収納凹所形成用突起15が形成されるものである。なお、この配筋用スペーサ20の各辺の長さは、図5に示したようなH1〜H4のように異なるものとしてあり、これらの各辺を、図6及び図7に示すような鉄筋30のための載置場所とすることによって、当該配筋用スペーサ20の種々な使用が可能となる。勿論、配筋用スペーサ20の各辺の長さH1〜H4は、実際上は鉄筋30までの高さとなるように決定されるものであり、そのように製造型10の各部の寸法も決定されるものである。
また、この製造型10は、図1及び図3に示したように、フランジ12に突起13を形成したものである。この突起13は、完成された配筋用スペーサ20の取り出し時における慣性発生部とするものであり、図4に示したようにして利用されるものである。
すなわち、各凹所11内に打設した生コンクリートが硬化して配筋用スペーサ20が完成された後に、この配筋用スペーサ20を外すには、図4に示したように、底面11aが上側になるようにして製造型10全体を地面や土間上に落とすのである。これにより、製造型10のフランジ12が、地面または土間の上であって各突起13の高さに対応する位置で急激に停止されるから、配筋用スペーサ20はその落下の慣性力によって凹所11から外されることになるのである。つまり、製造型10を落下させたとき、当該製造型10は地面または土間の少し上側で停止するが、配筋用スペーサ20自体は地面等の上に落下するから、結果的に各配筋用スペーサ20は凹所11から完全に外れるのである。
さらに、この最良形態の製造型10においては、その各凹所11の底面11aに、配筋用スペーサ20の取り出し時に外気を導入するための外気導入孔14が設けてある。つまり、この外気導入孔14は、図4に示したように、配筋用スペーサ20が凹所11から外れようとするときに外気を導入して、凹所11内が負圧にならないようにするものである。もし、製造型10自体が薄い合成樹脂材料でできていて、配筋用スペーサ20の取り外し時に凹所11内が負圧になったとすると、凹所11が変形するだけで配筋用スペーサ20の取り出しが確実に行えないからである。
本発明に係る製造型の平面図である。 図1中の1−1線に沿ってみた部分拡大断面図である。 図1中の2−2線に沿ってみた部分拡大断面図である。 本発明に係る製造型の凹所から完成した配筋用スペーサを取り出している状態を示す部分拡大断面図である。 同製造型によって製造された配筋用スペーサの斜視図である。 同配筋用スペーサによって鉄筋を支持している一例を示す断面図である。 同配筋用スペーサによって鉄筋を支持している他の例を示す断面図である。 従来の配筋用スペーサを(1)〜(4)の4つの例で示す斜視図である。
符号の説明
10 製造型
11 凹所
11a 底面
12 フランジ
13 突起
14 外気導入孔
15 収納凹所形成用突起
20 配筋用スペーサ
21 鉄筋収納凹所
30 鉄筋

Claims (4)

  1. 配筋用スペーサを製造するための生コンクリートが投入される凹所と、この凹所の周囲を囲むフランジとを備えた製造型であって、
    前記フランジに突起を形成したことを特徴とする配筋スペーサ用の製造型。
  2. 前記凹所の底面に外気導入孔を設けたことを特徴とする請求項1に記載の配筋スペーサ用の製造型。
  3. 前記凹所を、頭切四角錐形とするとともに、その各辺の長さを変化させたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の配筋スペーサ用の製造型。
  4. 前記凹所の各辺の長さの比を、5:6:7:8となるように変化させたことを特徴とする請求項3に記載の配筋スペーサ用の製造型。
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